JP2001135828A - 3−5族化合物半導体およびその製造方法 - Google Patents

3−5族化合物半導体およびその製造方法

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和政 平松
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Yoshinobu Ono
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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化物系化合物半導体において埋め込み電極と
して利用可能な特定のパターン形状の導電性材料を埋め
込んだ構造を実現し、SIT等のデバイスを作製可能に
する。 【解決手段】(1)一般式InxGayAlzN(ただ
し、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z
≦1)で表される第1の3−5族化合物半導体と、
(2)これに接して該第1の3−5族化合物半導体表面
の一部を特定のパターン形状で被覆する導電性材料と、
(3)該導電性材料で被覆されてない該第1の3−5族
化合物半導体表面の露出部と該導電性材料に接して両者
を被覆する一般式InuGavAlwN(ただし、u+v
+w=1、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1)で表
される第2の3−5族化合物半導体と、からなる3−5
族化合物半導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式InxGay
AlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦
y≦1、0≦z≦1)で表される3−5族化合物半導体
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式InxGayAlzN(ただし、x
+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)
で表される3−5族化合物半導体は、3族元素の組成に
より紫外から赤色に対応するバンドギャップが調整可能
な直接遷移型の半導体であるため、紫外から可視領域に
わたる高効率の発光素子用材料として利用可能である。
また、従来用いられているSiあるいはGaAsなどの
半導体に比べて大きなバンドギャップを持つために、従
来の半導体では動作できないような高温においても動作
可能な、耐環境性に優れた電子素子の作製が原理的に可
能である。
【0003】ところで、従来のトランジスタよりも高周
波動作が原理的に可能なデバイスといわれている静電誘
導トランジスタ(SIT)の作製のためには、半導体結
晶内部に埋め込まれたゲート電極の作製が重要である。
【0004】従来窒化物系化合物半導体では結晶内部に
酸化珪素(SiO2)膜を埋め込んだ構造を形成するこ
とが可能であることが知られている。酸化珪素(SiO
2)膜マスクパターンを形成した窒化物系化合物半導体
上に窒化物系化合物半導体を再度成長させると、通常は
いわゆる選択成長がおこり、SiO2膜マスク上では結
晶成長がおこらず、下地結晶の露出部分だけに結晶成長
がおこる。しかし選択成長の結晶成長条件を適当に選べ
ば、結晶成長部での横方向の成長速度を大きくすること
ができてSiO2膜マスクを被覆することが可能にな
る。
【0005】この横方向の結晶成長を利用して異種材料
を埋め込んだ構造を作製することは、酸化珪素(SiO
2)の他に窒化珪素でも可能なことが知られているが、
これらはいずれも絶縁体であった。すなわち電極に利用
できる導電性材料を埋め込んだ構造を作製することは、
従来できていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、窒化
物系化合物半導体において埋め込み電極として利用可能
な特定のパターン形状の導電性材料を埋め込んだ構造を
実現し、静電誘導トランジスタ(SIT)等のデバイス
を作製可能にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような状況を見て、
本発明者らは鋭意検討した結果、窒化物系化合物半導体
の成長条件に耐える、耐熱性、耐反応性の優れた導電性
材料を選択し、導電性材料の形成、窒化物系化合物半導
体の再成長を行なうことにより、再現性よく埋め込みが
起こることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明
は、〔1〕(1)一般式InxGayAlzN(ただし、
x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦
1)で表される第1の3−5族化合物半導体と、(2)
これに接して該第1の3−5族化合物半導体表面の一部
を特定のパターン形状で被覆する導電性材料と、(3)
該導電性材料で被覆されてない該第1の3−5族化合物
半導体表面の露出部と該導電性材料とを共に被覆する一
般式InuGavAlwN(ただし、u+v+w=1、0
≦u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1)で表される第2の
3−5族化合物半導体と、からなる3−5族化合物半導
体に係るものである また、本発明は、〔2〕第2の3−5族化合物半導体を
有機金属気相成長法またはハイドライド気相成長法によ
り成長する〔1〕に記載の3−5族化合物半導体の製造
方法に係るものである。さらに、本発明は、〔3〕特定
のパターンの導電性材料膜を形成した後、第2の3−5
族化合物半導体を成長する前に真空中または不活性雰囲
気下で熱処理する〔1〕に記載の3−5族化合物半導体
の製造方法に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における一般式InxGay
AlzN(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦
y≦1、0≦z≦1)で表される第1の3−5族化合物
半導体および一般式InuGavAlwN(ただし、u+
v+w=1、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1)で
表される第2の3−5族化合物半導体の成長方法として
は、ハイドライド気相成長法(以下、HVPE法と略記
することがある)、または有機金属気相成長法(以下、
MOVPE法と略記する場合がある)が挙げられる。
【0009】導電性材料をその上に成長する第1の窒化
物系化合物半導体の成長は、薄い膜でも優れた結晶品質
の得られるMOVPE法を用いる方がより好ましい。第
2の窒化物系化合物半導体の成長(以下、再成長という
場合がある)ではどちらの成長方法も利用可能である。
HVPE法は、大きな成長速度が得られるため、短時間
で良好な結晶を得ることができ、本発明における再成長
に好適に用いることができる。また、MOVPE法は、
多数の基板に均一性良く結晶成長を行なうことができ、
やはり本発明の再成長に好適に用いることができる。
【0010】再成長を行なう条件としては、温度、圧
力、キャリアガス、原料などが挙げられる。これらの条
件については、従来より公知のものを用いることができ
る。具体的には、成長温度については、成長する該化合
物半導体の物性にも依存するが、Inを構成元素として
含まない場合には、600℃以上1200℃以下が好ま
しい。再成長温度が600℃より低い場合、あるいは1
200℃より高い場合には、再成長による良好な結晶が
得られにくい。また、該化合物半導体がInを構成元素
として含む場合には、熱的安定性が低下するため、再成
長温度は、600℃以上900℃以下が好ましい。
【0011】本発明における再成長に用いることができ
る成長圧力としては、100Pa以上が挙げられる。再
成長での圧力が100Pa未満の場合、良好な結晶を得
ることが難しい。該圧力は、好ましくは500Pa以
上、さらに好ましくは1kPa以上である。なお、成長
圧力が高くなるにつれて場合、結晶性が改善される場合
があるが、一般的に結晶成長に用いるMOVPE装置あ
るいはHVPE装置は、工業的にあまり高い成長圧力で
は用いられないので、再成長における成長圧力は、10
気圧以下が好ましい。
【0012】本発明における再成長に用いることができ
るキャリアガスは、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン
等、通常のMOVPE法またはHVPE法で用いられて
いるものを用いることができる。
【0013】MOVPE法による3−5族化合物半導体
の製造には、以下のような原料を用いることができる。
3族原料としては、トリメチルガリウム[(CH33
a、以下TMGと記すことがある。]、トリエチルガリ
ウム[(C253Ga、以下TEGと記すことがあ
る。]等の一般式R123Ga(ここで、R1、R2
3は、低級アルキル基を示す。)で表されるトリアル
キルガリウム;トリメチルアルミニウム[(CH33
l]、トリエチルアルミニウム[(C253Al、以
下TEAと記すことがある。]、トリイソブチルアルミ
ニウム[(i−C493Al]等の一般式R123
l(ここで、R1、R2、R3は、低級アルキル基を示
す。)で表されるトリアルキルアルミニウム;トリメチ
ルアミンアラン[(CH33N:AlH3];トリメチ
ルインジウム[(CH33In、以下TMIと記すこと
がある。]、トリエチルインジウム[(C253
n]等の一般式R123In(ここで、R1、R2、R3
は、低級アルキル基を示す。)で表されるトリアルキル
インジウム等が挙げられる。これらは、単独でまたは混
合して用いられる。
【0014】次に、5族原料としては、アンモニア、ヒ
ドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラ
ジン、1,2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミ
ン、エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは単独
でまたは混合して用いられる。これらの原料のうち、ア
ンモニアとヒドラジンは、分子中に炭素原子を含まない
ため、半導体中への炭素の汚染が少なく好適である。
【0015】3−5族化合物半導体のn型ドーパントと
して、Si、Ge、Oが用いられる。この中で、低抵抗
のn型をつくりやすく、原料純度の高いものが得られる
Siが好ましい。Siのドーピング用の原料としては、
シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、モノメチ
ルシラン(Si(CH3)H3)などが用いられる。
【0016】HVPE法による3−5族化合物半導体の
製造には、以下のような原料を用いることができる。3
族原料としては、金属Ga、金属In等に塩化水素ガス
を反応させ、GaCl、InClを発生させて用いるこ
とができる。また、TMG、TEG等の一般式R12
3Ga(ここで、R1、R2、R3は、低級アルキル基を示
す。)で表されるトリアルキルガリウム;TMI、トリ
エチルインジウム等の一般式R12 3In(ここで、
1、R2、R3は、低級アルキル基を示す。)で表され
るトリアルキルインジウム等を高温で塩化水素ガスと反
応させ、GaCl、InCl等を発生させて用いること
ができる。また、ジメチルガリウムクロライド(Ga
(CH32Cl)、ジエチルガリウムクロライド(Ga
(C252Cl)、ジメチルインジウムクロライド
(In(CH32Cl)、ジエチルインジウムクロライ
ド(In(C252Cl)等を高温で分解させ、Ga
Cl、あるいはInClを発生させて用いることもでき
る。また、常温で安定な、GaCl3、InCl3などに
キャリアガスをバブリングしてして供給することもでき
る。これらは、単独でまたは混合して用いられる。
【0017】次に、5族原料としては、アンモニア、ヒ
ドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラ
ジン、1,2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミ
ン、エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは単独
でまたは混合して用いられる。これらの原料のうち、ア
ンモニアとヒドラジンは、分子中に炭素原子を含まない
ため、半導体中への炭素の汚染が少なく好適である。
【0018】3−5族化合物半導体のn型ドーパントと
して、Si、Ge、Oが用いられる。この中で、低抵抗
のn型をつくりやすく、原料純度の高いものが得られる
Siが好ましい。Siのドーピング用の原料としては、
モノクロルシラン(SiH3Cl)、ジクロルシラン
(SiH2Cl2)などが用いられる。
【0019】本発明に用いられる導電性材料は、再成長
時に高温の反応性ガス雰囲気にさらされるので、耐熱
性、耐反応性にすぐれたものが必要である。具体的に
は、タングステン(W)、レニウム(Re)、モリブデ
ン(Mo)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、珪素
(Si)、金(Au)、ジルコニウム(Zr)、タンタ
ル(Ta)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ニッケ
ル(Ni)、白金(Pt)、バナジウム(V)、ハフニ
ウム(Hf)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合
金などが挙げられる。これらの中でもタングステン
(W)が特に好ましい。また、導電性材料が化合物の例
としては、Wの窒化物、Tiの窒化物、Zrの窒化物、
Hfの窒化物、Vの窒化物、Nbの窒化物、Taの窒化
物、Crの窒化物、Moの窒化物、Reの窒化物、また
はFeの窒化物が挙げられる。
【0020】本発明における導電性材料の形成方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、化学気相堆積法(CVD
法)、メッキ等、公知のものを用いることができる。タ
ングステン(W)の場合、製膜性に優れたスパッタ法お
よび蒸着法が好ましい。また、単体の材料の薄膜を形成
した後、これを化学反応で所望の導電性化合物材料とし
てもよい。具体例としては、タングステンの薄膜を形成
後、アンモニアを含む雰囲気で熱処理することで、窒化
タングステンとする方法が挙げられる。あるいは、窒素
を含む雰囲気中でタングステンをターゲットとしてスパ
ッタリングすることで、窒化タングステン層を形成する
こともできる。また、SiO2などの絶縁材料、あるい
は再成長条件で安定でないものの上に本発明における導
電性材料を積層して用いることもできる。また、本発明
に用いる導電性材料によっては、再成長後に下地層に窪
みが生じ、平坦性が悪化する場合がある。このような場
合には、下地層に窪みを生じることが少ないマスク材料
上に、本発明の導電性材料を積層してもよい。具体的に
は、SiO2とWを積層した構造が挙げられる。
【0021】スパッタ法で製膜する場合、スパッタ装置
に試料をセットして、真空中で熱処理した後に製膜する
ことにより再成長時の導電性材料膜の耐久性が向上し本
発明の効果がより大きい場合がある。好ましい熱処理温
度は、200℃以上500℃以下であり、好ましい熱処
理時間は、熱処理温度によって変わるが、400℃の場
合の例では5分以上1時間以下である。
【0022】導電性材料の好ましい膜厚は、用いる材料
によって異なるが、概ね2nm以上5μm以下である。
該膜厚は、タングステン(W)の場合、5nm以上10
0nm以下が好ましい。該膜厚が5nm未満の場合に
は、再成長時の雰囲気により化学変化を受け消失する場
合があるので好ましくなく、100nmより厚い場合に
は剥がれやすくなりやはり好ましくない。
【0023】導電性材料膜を特定の形状にパターニング
するには、公知のフォトリソグラフィ法を利用して行な
うことができる。タングステン(W)の場合には、スパ
ッタ法で形成したタングステン膜上にフォトリソグラフ
ィ法によってフォトレジストパターンを形成し、例えば
過酸化水素(H22)およびフッ酸と硝酸の1:1の混
合酸でエッチングすることによりパターン形成をするこ
とができる。
【0024】本発明で用いる形状のパターンとしては、
公知のものを用いることができる。具体的には被覆部ま
たは開口部が一定幅のストライプ状のもの;円形、多角
形状に下地結晶を露出(または被覆)させたもの;円形
リング、多角形リング状に下地結晶を露出(または被
覆)させたものなどが挙げられる。中でもストライプ状
のパターンを用いると本発明における埋め込み構造が再
現性よく作製できるので好ましい。
【0025】ストライプ状パターンは、導電性材料膜
(マスク)部分の幅と下地結晶の露出部分の幅の和(す
なわち周期)と、導電性材料膜(マスク)部分の幅の2
つで規定できる。本発明における埋め込み構造を再現性
よく作製させるためには、特に導電性材料膜(マスク)
部分の幅の制御が重要であり、好ましい導電性材料膜
(マスク)部分の幅は、0.05μm以上20μm以下
である。0.05μmより小さい幅は作製するのが困難
で実用的ではなく、20μmより大きいと埋め込みに要
する時間が長くなりすぎてやはり実用的ではない。
【0026】導電性材料膜(マスク)のストライプの方
向としては、窒化物系化合物半導体結晶の<1−100
>、および<11−20>方向およびこれらに結晶学的
に等価な方向が好ましい。<1−100>方向に結晶学
的に等価な方向とは<−1100>、<10−10>、
<−1010>、<01−10>、<0−110>であ
り、これらは(0001)面内に含まれ互いに60°の
角度をなしている。また<11−20>方向に結晶学的
に等価な方向とは、<−1−120>、<1−210
>、<−12−10>、<−2110>、<2−1−1
0>であり、これらも(0001)面内に含まれ、互い
に60°の角度をなしている。<1−100>に結晶学
的に等価な方向群と<11−20>に結晶学的に等価な
方向群とは、互いに30°角度がずれている。従って
(0001)面内に30°ごとに好ましい方向がある。
【0027】<1−100>に結晶学的に等価な方向に
導電性材料膜(マスク)のストライプを作製した場合に
は、横方向の成長速度が最大になり、マスクの埋め込み
を最も短時間で行なうことができる。一方、<11−2
0>に結晶学的に等価な方向に導電性材料膜(マスク)
のストライプを作製した場合には、横方向の成長速度は
最小になるので埋め込みに長時間を要するが、横方向成
長時の成長面(ファセット)が平坦である特徴があり、
結晶欠陥の少ない品質のよい結晶を作ることができる。
【0028】導電性材料膜(マスク)のストライプの方
向の上記の方向からのずれが大きくなると、横方向成長
時の成長面に凹凸ができ、結晶品質が劣るものができる
場合がある。ずれの範囲は小さいほどよいが、上記の好
ましい方向からのずれが10°以下であることが好まし
く、より好ましくは5°以下である。
【0029】導電性材料膜(マスク)のストライプを形
成した試料の上に再成長を行なう際に、真空中または不
活性雰囲気中で熱処理を行ない、しかる後に公知の成長
条件で窒化物系化合物半導体の再成長を行なうことによ
り、再成長時の導電性材料膜の耐久性が向上し、本発明
における埋め込み構造をより再現性よく作製することが
できるようになる。
【0030】熱処理温度は、使用する導電性材料によっ
て変わるが、概ね300℃以上1000℃以下が好まし
い。また、熱処理時間は1分以上60分以下が好まし
い。該熱処理温度が300℃よりも低い場合には再成長
時の導電性材料膜の耐久性の向上効果が小さい場合があ
り、1000℃よりも高い場合には導電性材料膜が剥が
れやすくなる場合がある。
【0031】次に、本発明の3−5族化合物半導体を利
用して作製できる素子の例として、図1に示す静電誘導
トランジスタ(SIT)について説明する。
【0032】サファイア基板1上に、Siドープn+
GaN層2、Siドープn-型GaN層3の積層構造か
らなる第1の3−5族化合物半導体4を成長する。次
に、タングステン(W)をスパッタ法で形成した後、第
1の3−5族化合物半導体の結晶方位<1−100>方
向のストライプ状電極8を、フォトリソグラフィの手法
によって形成する。ストライプ状電極8は広い面積を有
するゲート電極9に連結している。ストライプ状電極を
形成した試料の上に、Siドープn-型GaN層5、お
よびSiドープn+型GaN層6の積層構造からなる第
2の3−5族化合物半導体7を成長する。この成長によ
ってタングステン(W)電極8の埋め込み構造ができ
る。なお、広い面積を有するゲート電極9は、再成長に
よっても埋め込まれることはなく、このまま取り出し電
極として利用できる場合がある。
【0033】次に、ドライエッチング法によって、一部
をSiドープn+型GaN層2まで掘り、Siドープn+
型GaN層2を露出させる。露出したSiドープn+
GaN層2の上に電極11、さらに再成長表面に露出し
ているSiドープn+型GaN層6の上に電極10を形
成する。
【0034】この構造では、上から(または下から)ソ
ース電極、ゲート電極、ドレイン電極として利用でき
る。タングステン(W)は、窒化物系化合物半導体に対
してショットキー特性を示すので、このままゲート電極
として利用できる。ゲート電圧を調整することにより、
埋め込まれたストライプ状のタングステン(W)電極の
周囲の電荷空乏層の厚さを変化させ、電子の走行チャン
ネルの断面積が変化し、電流のオン・オフ制御ができ
る。すなわちゲート電圧により、ソース・ドレイン間の
電流が変調され、デバイスは3端子動作をする。
【0035】次にSITを動作させるための各層の層
厚、物性の好ましい範囲に関して説明する。電子走行チ
ャンネルに利用される、Siドープn型GaN層3、
5のキャリア濃度は、ストライプ状タングステン(W)
電極の間隔に応じて適当な範囲があり、ストライプの間
隔が大きくなるに従い、キャリア濃度を小さくする必要
がある。好ましいストライプの間隔は、0.1μm以上
5μm以下であり、これに応じて好ましいキャリア濃度
は、2×1018から1×1015cm-3まで変化する。S
iドープn+型GaN層2および6は、それぞれ電極1
1および10に対するコンタクト層として作用するの
で、そのキャリア濃度は、十分なオーミック電極特性を
得るために結晶性を損なわない範囲で高い方が良い。該
キャリア濃度は好ましくは1×1017cm-3以上1×1
21cm-3以下であり、より好ましくは1×1018cm
-3以上1×1020cm-3以下である。
【0036】ソース電極とドレイン電極は、オーミック
電極であることが好ましい。n型GaNに対するオーミ
ック電極材料としては、Al、In、TiAu、TiA
lCrAu等を好適に用いることができる。
【0037】本発明においてはパターンの作製条件、熱
処理条件、再成長条件によっては再成長後に第1の3−
5族化合物半導体4に窪みが発生する場合がある。Ga
N層3をGaAlN層またはGaN層上にGaAlNを
積層した構造とすることにより再成長後に発生する窪み
を低減することができる。ただし、GaAlN層のAl
N混晶比および膜厚は結晶品質を低下させることがな
く、SITを作製した場合、素子の性能を損なうことの
ない範囲とする。具体的なAlN混晶比の範囲としては
1%以上、好ましくは5%以上が挙げられる。ただし、
AlN混晶比が高い場合、絶縁性になる傾向があるた
め、素子としての特性を低下させないAlN混晶比の範
囲としてはとしては、60%以下、好ましくは40%以
下が挙げられる。また、具体的なGaAlN層の層厚の
範囲としては0.3nm以上、好ましくは1nm以上が
挙げられる。ただし、GaAlN層の層厚が厚い場合、
絶縁性になる傾向があるため、素子としての特性を低下
させないGaAlN層の層厚の範囲としては、5μm以
下、好ましくは3μm以下が挙げられる。
【0038】
【実施例】実施例1 まず下地結晶を次のようにして作製した。MOVPE法
により基板であるサファイア(0001)面上に、バッ
ファ層としてGaNを550℃で50nm成長し、さら
にGaNを約1100℃で4μm成長した。この下地結
晶試料を、スパッタ装置にセットし、真空中で400℃
30分の熱処理を行なったのち、タングステン(W)を
スパッタ法により20nm成膜した。通常のフォトリソ
グラフィ法を用いて、<1−100>方向にマスク幅5
μm、開口部幅5μmとなるフォトレジストパターンを
形成し、次に湿式エッチングによってタングステン
(W)の不要部分を除去し、タングステン(W)のスト
ライプパターンを作製した。次に、この試料をHVPE
装置にセットし、真空中で600℃10分間の熱処理を
行なった後、窒素をキャリアガスに用いてHVPE法に
より再成長を35μm行なった。再成長により得られた
結晶は、鏡面状の表面であり、タングステン(W)のス
トライプパターンが埋め込まれた構造が作製できた。
【0039】実施例2 タングステン(W)のストライプパターンがマスク幅3
μm、開口部幅3μmであることを除いて、実施例1と
同様の方法でタングステン(W)のストライプパターン
を作製した。次に、この試料をMOVPE装置にセット
し、真空中で600℃10分間の熱処理を行なった後、
MOVPE法により再成長を約7μm行なった。再成長
により得られた結晶は、鏡面状の表面であり、タングス
テン(W)のストライプパターンが埋め込まれた構造が
作製できた。
【0040】実施例3 タングステン(W)のストライプパターンの方向が<1
1−20>であることを除いては実施例2と同様の方法
でタングステン(W)のストライプパターンの作製、M
OVPE法による再成長を行なった。再成長により得ら
れた結晶は鏡面状の表面であり、タングステン(W)の
ストライプパターンが埋め込まれた構造が作製できた。
【0041】実施例4 タングステン(W)のパターンが直径200μmの円形
および膜厚が50nmであることを除いて実施例1と同
様の方法でタングステンパターンを作製した。この試料
を真空中および窒素中で600℃および900℃におい
て熱処理を行なった。いずれの場合も、熱処理なしのも
のより、大幅に整流特性が向上した。さらに、同じ熱処
理温度なら窒素中よりも真空中が、同じ熱処理雰囲気な
ら600℃よりも900℃の方が良い整流特性が確認さ
れた。結果を図2に示す。
【0042】実施例5 実施例1と同様にGaNを4μm成長し、さらにGaA
lNを成長した。この層のAlN混晶比は、約15%、
厚さは30nmである。この上にタングステン(W)を
電子ビーム蒸着により成膜し、通常のリソグラフィー法
を用いてストライプ状パターンを作製した。ストライプ
方向は<1-100>方向、ストライプ幅およびストラ
イプ間隔は、ともに5μmである。次に、MOVPE法
により再成長を行なった。成長圧力は、40kPaであ
り、成長膜厚は約3μmであった。再成長により得られ
た結晶の表面は、鏡面状であった。実施例1および本実
施例で得られた試料をストライプパターンと垂直方向に
劈開を行い、断面を走査電子顕微鏡で観察したところ、
実施例1で得られた試料には下地結晶に損傷が確認でき
る部分があったが、実施例5で得られた試料では下地結
晶に損傷は確認されなかった。
【0043】実施例6 実施例1と同様にGaNを4μm成長した。この下地結
晶にSiO2をスパッタ法により50〜70nm成膜
し、引き続きタングステン(W)をスパッタ法にて50
nm成膜した。これを通常のリソグラフィー法を用いて
ストライプパターンを作製した。ストライプ方向は、<
1−100>および<11−20>方向である。ストラ
イプ幅およびストライプ間隔は、ともに3μmである。
次に、常圧MOVPE法により再成長を行なった。再成
長膜厚は、約8μmである。得られた結晶は、鏡面状の
表面であり、タングステンストライプパターンの埋め込
まれた構造が作製できた。実施例1のWのみをマスクと
したものでは、マスク下部に窪みの生じた部分が見られ
たが、本実施例の積層構造によるマスクの場合には、い
ずれのストライプ方向のマスクを用いたものでもマスク
下部の窪みの発生は大幅に低減された。
【0044】実施例7 実施例1と同様にGaNを4μm成長した。この下地結
晶にWを電子ビーム蒸着により20nm成膜した。この
試料を水素中400℃で10分保持し、つぎに水素・ア
ンモニア混合ガス中600℃で5分保持した後、さらに
水素・アンモニア混合ガス中で950℃まで昇温した
後、すぐに冷却を行なった。この試料の表面をXPS
(X線光電子分光法)により元素分析したところ、W層
中に均一に窒化タングステン層が形成されていることが
確認された。こうして得られたマスク材料をパターニン
グし、実施例1と同様にして再成長を行なったところ、
実施例1と同様の良好な埋め込み構造が形成された。
【0045】本実施例において、アンモニアを含む処理
する雰囲気としては、水素とアンモニアの混合ガス以外
にも、アンモニアと不活性ガスの混合ガスを用いてもよ
い。また、実施例1と同様にして成長したGaN層上
に、タングステンをターゲットとして、窒素とアルゴン
の1:1の体積混合比の雰囲気中でスパッタリングを行
なうことで50nm堆積した窒化タングステン層を用い
ても同様の結果が得られた。本実施例で述べた窒化タン
グステンは、GaN層に対してショットキー接合を形成
する電極として作用した。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、導電性材料膜のパター
ンを窒化物系化合物半導体中に埋め込んだ構造を作製で
きる。これにより静電誘導トランジスタ(SIT)など
の電子デバイスをはじめ複合型のオプトエレクトロニク
スデバイスも作製できるのでその工業的価値はきわめて
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における埋め込み構造を用いた静電誘導
トランジスタの構造例を示す図
【図2】本発明における電極のアニール処理によるショ
ットキー性改善の効果の例を示す図
【符号の説明】
1...基板 2...n+GaN 3...n-GaN 4...第1の3−5族化合物半導体 5...n-GaN 6...n+GaN 7...第2の3−5族化合物半導体 8...埋め込まれたストライプ状ゲート電極 9...ゲート電極 10...電極 11...電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平松 和政 三重県四日市市芝田1−4−22 (72)発明者 三宅 秀人 三重県久居市野村町372番地303 (72)発明者 小野 善伸 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 前田 尚良 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 Fターム(参考) 5F041 CA34 CA65 5F045 AA04 AB14 AB18 AC01 AC05 AC07 AC08 AC09 AC12 AC19 AD09 AD15 AE23 AE25 AF09 AF13 AF20 DA53 HA16 5F102 FB01 GB04 GC08 GD01 GJ10 GK04 GL04 GS07 GT03 HC01 HC21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)一般式InxGayAlzN(ただ
    し、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z
    ≦1)で表される第1の3−5族化合物半導体と、
    (2)これに接して該第1の3−5族化合物半導体表面
    の一部を特定のパターン形状で被覆する導電性材料と、
    (3)該導電性材料で被覆されてない該第1の3−5族
    化合物半導体表面の露出部と該導電性材料とを共に被覆
    する一般式InuGavAlwN(ただし、u+v+w=
    1、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1)で表される
    第2の3−5族化合物半導体と、からなることを特徴と
    する3−5族化合物半導体。
  2. 【請求項2】導電性材料がタングステン、レニウム、モ
    リブデン、クロム、コバルト、珪素、金、ジルコニウ
    ム、タンタル、チタン、ニオブ、ニッケル、白金、バナ
    ジウム、ハフニウム、パラジウム、またはそれらの合金
    であることを特徴とする請求項1に記載の3−5族化合
    物半導体。
  3. 【請求項3】導電性材料がタングステンの窒化物、チタ
    ンの窒化物、ジルコニウムの窒化物、ハフニウムの窒化
    物、バナジウムの窒化物、ニオブの窒化物、タンタルの
    窒化物、クロムの窒化物、モリブデンの窒化物、レニウ
    ムの窒化物、または鉄の窒化物であることを特徴とする
    請求項1に記載の3−5族化合物半導体。
  4. 【請求項4】導電性材料の層厚が5nm以上100nm
    以下であることを特徴とする請求項1、2または3に記
    載の3−5族化合物半導体。
  5. 【請求項5】第2の3−5族化合物半導体を有機金属気
    相成長法またはハイドライド気相成長法により成長する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の3
    −5族化合物半導体の製造方法。
  6. 【請求項6】特定のパターンの導電性材料膜を形成した
    後、第2の3−5族化合物半導体を成長する前に真空中
    または不活性雰囲気下で熱処理することを特徴とする請
    求項1から4のいずれかに記載の3−5族化合物半導体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載の3−5族
    化合物半導体を用いてなることを特徴とする静電誘導ト
    ランジスタ。
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