JP2001133999A - 導電性ベルト及び中間転写装置 - Google Patents

導電性ベルト及び中間転写装置

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JP2001133999A
JP2001133999A JP31224099A JP31224099A JP2001133999A JP 2001133999 A JP2001133999 A JP 2001133999A JP 31224099 A JP31224099 A JP 31224099A JP 31224099 A JP31224099 A JP 31224099A JP 2001133999 A JP2001133999 A JP 2001133999A
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belt
intermediate transfer
conductive belt
amorphous polyolefin
conductive
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JP31224099A
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Yoko Inoue
葉子 井上
Masahiko Adachi
雅彦 足立
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置に装着した状態で長時間経過したときに
生じる変形を抑え、ランニング耐久時に生じる割れを防
止し、かつトナーの効率のよい転写を実現する、機械強
度特性、画質性およびトナー転写性に優れた導電性ベル
トおよび該ベルトを中間転写部材として用いた中間転写
装置を提供すること。 【解決手段】 少なくとも熱可塑性非晶質ポリオレフィ
ン(X)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重
合体(Y)および導電性フィラー(Z)からなり、Xを
(X+Y)基準で80〜97重量%、Yを(X+Y)基
準で3〜20重量%含んでなることを特徴とする導電性
ベルトおよび該ベルトを中間転写部材として用いた中間
転写装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性ベルトに関
し、特に、電子写真式複写機やプリンタの機能性ベル
ト、例えば、転写ベルト、感光体ベルト等として使用さ
れるのに適した継なぎ目あり又は継なぎ目なしの導電性
ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電子写真式複写機やプリンタ等
に使用される転写ベルトや感光体ベルト等の導電性ベル
トとしては、例えば、エチレン−4フッ化エチレン共重
合体(ETFE)及び/又はエチレン−フッ化塩化エチ
レン(ECTFE)を主成分として含み、導電性フィラ
ー等を配合したベルト(特公平8−25232号公
報)、導電性カーボンを配合したPC(ポリカーボネー
ト)を含むベルト(登録特許番号第2592000号公
報)、および環状ポリオレフィンおよびカーボンブラッ
クからなる半導電性ベルト(特開平8−44101号公
報)等が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ETF
EやECTFE等のフッ素系樹脂を主成分としたベルト
を用いると、電子写真式複写機やプリンタに装着して外
力を付与した状態で一定時間を経過したとき、そのとき
の形状が保持され、折り目が残留して変形が生じ、画像
品質の低下(スジムラの発生)をもたらした。また、P
Cあるいは環状ポリオレフィン樹脂を主成分としたベル
トを用いると、ランニング耐久において割れるという現
象が発生し、製品寿命を満足しない等の問題点があり、
機械強度特性上、ベルト材料としての不具合があった。
また、フッ素系樹脂を主成分としたベルトを中間転写部
材として用いると、フッ素系樹脂はマイナス帯電性であ
るため、デジタル方式採用の電子写真複写機やプリンタ
ーに用いられるマイナス帯電トナーとの付着力が弱く、
感光体からのトナー転写性に劣り、良好な画像性能が得
難かった。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
って、装置に装着した状態で長時間経過したときに生じ
る変形を抑え、かつランニング耐久時に生じる割れを防
止する、機械強度特性および画質性に優れた導電性ベル
トおよび該ベルトを中間転写部材として用いた中間転写
装置を提供することを目的とする。
【0005】本発明はまた、装置に装着した状態で長時
間経過したときに生じる変形を抑え、ランニング耐久時
に生じる割れを防止し、かつトナーの効率のよい転写を
実現する、機械強度特性、画質性およびトナー転写性に
優れた導電性ベルトおよび該ベルトを中間転写部材とし
て用いた中間転写装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも熱
可塑性非晶質ポリオレフィン(X)、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体(Y)および導電性フ
ィラー(Z)からなり、Xを(X+Y)基準で80〜9
7重量%、Yを(X+Y)基準で3〜20重量%含んで
なることを特徴とする導電性ベルトに関する。
【0007】本発明はまた、感光体と記録媒体との間に
配置され、該感光体表面に形成されたトナー像を一旦自
己の表面に転写保持し、これを記録媒体へと転写する中
間転写部材と、該中間転写部材に電圧を印加する電圧印
加装置を具備してなる中間転写装置において、前記中間
転写部材として、上記の導電性ベルトを用いたことを特
徴とする中間転写装置に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の導電性ベルトは少なくと
も熱可塑性非晶質ポリオレフィン(X)、エチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(Y)および導電
性フィラー(Z)からなる。
【0009】本発明において使用される熱可塑性非晶質
ポリオレフィン(X)はモノマーとしてシクロオレフィ
ンを分子構造内に含んだ熱可塑性ポリオレフィンであ
り、このため従来のポリオレフィンとは異なり非結晶性
を有する。すなわち本発明における熱可塑性非晶質ポリ
オレフィン(以下、単に非晶質ポリオレフィンという)
はシクロオレフィンの単独重合体であっても、またはシ
クロオレフィンと、シクロオレフィンと重合可能なビニ
ル系化合物との共重合体であってもよい。
【0010】本発明において非晶質ポリオレフィンを構
成するシクロオレフィンは、環構造を有し、当該環内に
反応性二重結合を有していれば特に制限されず、例え
ば、ノルボルネン、シクロプロペン、シクロブテン、シ
クロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シク
ロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、クロマン、
インデン、シクロペンタジエン、およびこれらの誘導体
が挙げられる。シクロオレフィンは単独で用いてもよい
し、または2種以上混合して用いてもよい。本発明にお
いては、これらの中でも、ノルボルネンおよび/または
その誘導体をシクロオレフィンとして用いた非晶質ポリ
オレフィンを用いることがより好ましい。
【0011】本発明において使用されるノルボルネン誘
導体は下式(I)で表される。
【化1】
【0012】式中、R1〜R12はそれぞれ独立して水素
またはアルキル基を示し、さらにR9またはR10とR11
またはR12とは互いに環を形成していてもよい。nは0
〜3の整数を示す。
【0013】シクロオレフィンと重合可能なビニル系化
合物としては、シクロオレフィンと反応性を有する二重
結合を有していれば特に制限されず、例えば、エチレ
ン、プロピレン、α−ブチレン、β−ブチレン、イソブ
チレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メ
タ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニリデン、トリクロルエチレン等が挙げられ
る。ビニル系化合物は単独で用いてもよいし、または2
種以上混合して用いてもよい。上記の中でも、炭素−炭
素一重結合が存在しないビニル系化合物を用いることが
好ましい。炭素−炭素一重結合が存在しないビニル系化
合物を用いることにより、外力付与下での長時間放置後
の変形を有効に低減できるためである。このようなビニ
ル系化合物としてエチレン、塩化ビニル、フッ化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、トリクロルエ
チレンが使用され、最も好ましくはエチレンを単独で用
いる。
【0014】本発明においては上記のようなシクロオレ
フィンとビニル系化合物を公知の方法によって共重合し
てなる全ての非晶質ポリオレフィンが使用可能である
が、分子構造内に親水基をもたない非晶質ポリオレフィ
ンを用いることが好ましい。このようなポリオレフィン
は吸湿性が非常に小さく、高湿環境にさらされても強度
物性を有効に維持できるためである。
【0015】本発明においては非晶質ポリオレフィンと
してノルボルネンとエチレンとの共重合体を用いること
がより好ましい。
【0016】非晶質ポリオレフィンは、複写機・プリン
ターの使用環境を考慮すると、ガラス転移点(JIS K712
2)が60℃以上、好ましくは70℃以上であることが
望ましい。60℃以上のガラス転移点を有する非晶質ポ
リオレフィンを用いると、複写機・プリンターがさらさ
れる高温環境下でのベルトの強度低下をより有効に防止
でき、長期間一定量のひずみ(外力)を受けたときに生
じる変形の量もより有効に低減できる。
【0017】非晶質ポリオレフィンのガラス転移点はシ
クロオレフィンの含有量を選択することによって、制御
することができる。例えば、シクロオレフィンとしてノ
ルボルネン、ビニル化合物としてエチレンを用いる場
合、ノルボルネン含有量(モル%)と得られる非晶質ポ
リオレフィンのガラス転移点は図1に示すような関係を
有する。図1はノルボルネン含有量を増加させるに従っ
て非晶質ポリオレフィンのガラス転移点は上昇すること
を示し、詳しくはノルボルネン含有量(Xモル%)およ
び非晶質ポリオレフィンのガラス転移点(Y℃)の関係
が近似式;Y=4X−70で表されることを示してい
る。従って、ノルボルネンおよびエチレンからなる非晶
質ポリオレフィンを用いる場合、ノルボルネン含有量
は、得られる非晶質ポリオレフィンのガラス転移点が上
記範囲内になるように、32.5モル%以上、好ましく
は35モル%以上とすることが望ましい。
【0018】本発明においては、外力付与下での長時間
放置後における変形のより有効な低減の観点から、シク
ロオレフィン含有量(Xモル%)および非晶質ポリオレ
フィンのガラス転移点(Y℃)を近似式;Y=a・X+
bで表したとき、a≧4かつb≧−70であるような非
晶質ポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0019】上記のような非晶質ポリオレフィンの市販
品として、ゼオノア(日本ゼオン社製)、TOPAS(Hoech
st社製)、アペル(三井化学社製)等が使用可能であ
る。
【0020】以上のような非晶質ポリオレフィン(X)
を用いることにより、複写機・プリンターの輸送及び使
用環境の温度及び湿度に対して、安定した物性を保持す
ることができ、特に従来より問題となっている長期保管
後のベルトの変形(折り目発生)を顕著に低減でき、良
好な画像品質を保持できると考えられる。
【0021】本発明においては上記非晶質ポリオレフィ
ン(X)とともにエチレン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体(Y)を用いる。当該共重合体を構成する
(メタ)アクリル酸エステルは特に制限されず、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸エチルを
用いる。すなわち、エチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体としてはエチレン−アクリル酸エチル共重
合体を用いることが好ましい。本明細書中、「(メタ)
アクリル」は「アクリル」および「メタクリル」を包含
して意味するものとし、例えば、「(メタ)アクリル酸
エチル」はアクリル酸エチルおよびメタクリル酸エチル
を意味するものとする。
【0022】エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体(Y)の軟化点(ビカット軟化点(JIS K720
6))は0〜100℃、好ましくは0〜40℃が好適で
ある。
【0023】本発明の導電性ベルトにおける非晶質ポリ
オレフィン(X)およびエチレン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体(Y)の含有量について、Xは(X+
Y)基準で80〜97重量%、Yは(X+Y)基準で3
〜20重量%とする。本発明においては、エチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を上記のような量
で使用することにより、輸送及び使用環境の温度及び湿
度に対して安定した物性を確保する上記のような非晶質
ポリオレフィン(X)の効果を阻害することなく、ベル
トに適度な柔軟性を付与することができ、ランニング耐
久時の割れが改善されると考えられる。
【0024】本発明の導電性ベルトには導電性フィラー
が含有されている。本発明に使用される導電性フィラー
としては特に制限されず、例えば、カーボンブラック、
金属微粉末、カーボンファイバー等を使用することがで
きる。本発明においては、混練性、成形性、経済性の観
点からカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0025】カーボンブラックとしては導電性を有する
公知のカーボンブラックが使用可能であり、具体的には
ケッチェン系カーボンブラック、アセチレン系カーボン
ブラック、ファーネス系カーボンブラック等が挙げられ
る。それらの中で、ケッチェン系カーボンブラック、ア
セチレン系カーボンブラックを用いることが好ましい。
ケッチェン系カーボンブラックは、少量の添加量で所定
の体積抵抗値が得られ、しかも繰返し曲げ疲労強度のさ
らなる向上に寄与すると考えられるためである。また、
アセチレン系カーボンブラックは分散性に優れているた
めである。
【0026】ケッチェン系カーボンブラックの市販品と
しては600jd(ケッチェンブラックインターナショナル
社製)、EC(ケッチェンブラックインターナショナル
社製)が使用可能である。アセチレン系カーボンブラッ
クの市販品としては電化アセチレンブラック(電気化学
工業社製)が使用可能である。
【0027】導電性フィラーの添加量は、トナー転写性
および画質性のさらなる向上の観点から、非晶質ポリオ
レフィン(X)とエチレン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体(Y)との合計量(X+Y)100重量部に
対して1〜13重量部であることが好ましい。
【0028】具体的には、ケッチェン系カーボンブラッ
ク(600jd)を導電性フィラーとして添加する場合に
は、その添加量は、非晶質ポリオレフィン(X)とエチ
レン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(Y)との
合計量(X+Y)100重量部に対して1〜3重量部で
あることがより好ましい。ケッチェン系カーボンブラッ
ク(EC)を導電性フィラーとして添加する場合には、
その添加量は、非晶質ポリオレフィン(X)とエチレン
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(Y)との合計
量(X+Y)100重量部に対して4〜6重量部である
ことがより好ましい。一方、アセチレン系カーボンブラ
ックを導電性フィラーとして添加する場合には、その添
加量は、非晶質ポリオレフィン(X)とエチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体(Y)との合計量(X
+Y)100重量部に対して7〜13重量部であること
がより好ましい。
【0029】本発明の導電性ベルトには、感光体の機能
性ベルトの分野で公知の添加剤を、本発明の効果を妨げ
ない範囲内で適量含有させてもよい。そのような添加剤
としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、有機または無機
系の各種顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中
和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、架橋剤、流れ性改
良剤等を例示することができる。
【0030】以上のような組成を有する本発明の導電性
ベルトは厚みを50〜1000μm、好ましくは100
〜300μmとすることが望ましい。当該導電性ベルト
を適用され得る電子写真式複写機やプリンタ等の機能性
ベルト、例えば、中間転写ベルト(中間転写部材)およ
び感光体ベルトは一定テンション下で、規定速度で回転
を繰り返す回転部材であり、従って、スムーズな走行性
の実現には、優れた屈曲性を確保する必要があるためで
ある。
【0031】本発明の導電性ベルトは環状または帯状で
あってよいが、電子写真式複写機やプリンタ等の機能性
ベルトとしては機能上、環状であることが好ましい。ま
た、本発明の環状導電性ベルトは継ぎ目なし(シームレ
ス)形態あるいは継ぎ目あり形態、いずれの形態も有し
得るが、画質性のさらなる向上の観点から継ぎ目なし
(シームレス)形態を有することが好ましい。
【0032】シームレス導電性ベルトを製造するに際し
ては公知の方法を採用でき、例えば、単軸または二軸押
出機に丸型を取り付け、丸型先端のシームレスベルト形
状の樹脂吐出口より前記組成を有する混合材料(溶融状
態)を押出すことによりシームレスベルトを形成するシ
ームレス連続押し出し成形法、または回転可能な金型に
前記組成を有する混合材料(粒状)を入れ、金型の壁か
らの伝熱によって溶融状態になるまで加熱し、高速回転
させ遠心力によって溶融材料を金型の内面に押し付けて
シームレスベルトを形成する遠心回転成形法等を採用す
ることができる。
【0033】継ぎ目あり導電性ベルトを製造するに際し
ては、例えば、単軸または二軸押出機から前記組成の混
合材料(溶融状態)を押し出し、その溶融物をローラー
等によって延伸する公知のシート押し出し成形法によ
り、一旦、シートを形成した後、このシートを継ぎ目溶
着によってベルトに加工する方法等を採用することがで
きる。
【0034】継ぎ目部分があるとトナー転写性に乱れが
生じ易く、画質低下を起こすため、シームレス連続押し
出し成形法、シート押し出し成形法を利用した方法を採
用することが好ましい。シームレス押出成形法により得
られる本発明のベルトの回軸方向の引張強度について、
引張弾性率は2.0〜3.0GPa、引張応力は50〜
70MPaである(JIS K7127試験法による)。
【0035】本発明の導電性ベルトは上記のような方法
によって得られる単層型であってもよいし、または後述
するような多層型であってもよい。
【0036】本発明の導電性ベルトが環状であって、多
層型の場合、少なくとも前記の熱可塑性非晶質ポリオレ
フィン(X)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体(Y)および導電性フィラー(Z)からなり、
Xを(X+Y)基準で80〜97重量%、Yを(X+
Y)基準で3〜20重量%含んでなる層を少なくとも1
層有していれば、いかなる構造を有していてよく、好ま
しくは当該層を外側最表面に有する。
【0037】上記のような層を外側最表面に有する導電
性ベルトは、具体的には、以下の方法により製造され得
る。
【0038】まず、公知のベルトを、前記のシームレス
連続押し出し成形法、遠心回転成形法、またはシート押
し出し成形後、ベルトに加工する方法等によって製造す
る。当該ベルトの樹脂材料はいかなる公知のベルト樹脂
材料からなっていてよく、例えば、ポリアミド樹脂(P
A12、PA11)、エチレン−4フッ化エチレン共重
合体(ETFE)、エチレン−フッ化塩化エチレン(E
CTFE)、ポリアリレート(PAR)、変性ポリイミ
ド、ポリカーボネート(PC)、飽和ポリエステル樹脂
(PBT、PET)等を使用できる。このとき、前記と
同様の導電性フィラーを上記のベルト樹脂材料100重
量部に対して1〜13重量部添加しておくことが好まし
い。また、ベルトの厚みは屈曲性確保の観点から50〜
150μmが好適である。
【0039】次いで、得られたベルトの外側最表面に層
を積層する。当該層の組成は前記の単層型導電性ベルト
の組成と同様であり、すなわち少なくとも前記の熱可塑
性非晶質ポリオレフィン(X)、エチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体(Y)および導電性フィラー
(Z)からなり、Xを(X+Y)基準で80〜97重量
%、Yを(X+Y)基準で3〜20重量%含んでなる。
好ましくは導電性フィラー(Z)の含有量が熱可塑性非
晶質ポリオレフィン(X)とエチレン−(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体(Y)との合計量(X+Y)10
0重量部に対して1〜13重量部である。
【0040】このような層の積層方法は特に制限され
ず、例えば、上記組成の混合材料をジクロロメタン等の
有機溶媒に溶解・分散して得られた塗液を塗布する方
法、上記塗液を噴霧する方法等が挙げられる。このよう
にして積層される層の厚みは本発明の効果が得られれば
特に制限されないが、50〜150μmが好適である。
【0041】以上のような本発明の導電性ベルトは中間
転写部材としてトナーを保持、搬送するため、適当な導
電性が要求される。電気抵抗が高すぎるとトナーを移動
させる電界力が発生せず、トナー移送不良となり適正濃
度に達しない。また抵抗が低すぎれば過電流が流れ、異
常放電などが発生し濃度ムラなどの問題が生じる。した
がって導電性ベルトは通常、体積電気抵抗値が107
1011Ω・cmの範囲に設定されることが必要である。
このとき、複数のトナー転写部位の体積電気抵抗値、詳
しくはベルト回転方向20mmピッチ、回転軸方向に3
ヶ所(中央、左右両端部)に位置する各ポイントの体積
電気抵抗値が全て107Ω・cm以上1011Ω・cm以
下の範囲にあり、かつそれらの体積電気抵抗値において
最小値に比して最大値が1倍以上100倍以下の範囲で
あることが好ましい。
【0042】本明細書中、体積電気抵抗値はJIS K6911
に準拠した値を意味し、ハイレスターUP(MCP-HT45
0;三菱化学社製)によって測定された値を用いている
が、当該装置によって測定されなければならないという
わけではなく、上記JIS規格に従って測定可能な装置で
あればいかなる装置を用いて測定されてよい。
【0043】また、本発明の導電性ベルトの表面、特に
ベルトが環状である場合の外側表面における水の接触角
は大きいほど好ましく、85°以上である。当該接触角
が大きいほどトナー離形性(剥離性)に優れることを意
味するが、水との接触角が85°以上の導電性ベルトを
用いると、当該ベルトを特に中間転写部材として用いた
場合において、二次転写における転写効率が向上する。
水との接触角が85°未満の導電性ベルトを用いると、
トナー離型性の低下に伴う二次転写効率の低下が無視で
きなくなり、結果として総合的な転写効率が低下する。
【0044】本明細書中、上記接触角は接触角計(Mode
l CA-X;協和界面科学社製)による値を意味し、蒸留水
(0.4ml液滴)との接触角を示しているが、当該装
置によって測定されなければならないというわけではな
く、上記方法に従って測定可能な装置であればいかなる
装置を用いて測定されてよい。
【0045】さらに、本発明の導電性ベルトは帯電序列
がプラスチック材料中プラス側であって仕事関数が4.
6eV以下、好ましくは4.5eV以下である。このよ
うに、本発明の導電性ベルトは、例えば、フッ素系樹脂
を主成分として含むベルト(樹脂としてフッ素系樹脂を
単独で用いたベルトの仕事関数;5.0eV程度)と比
較して、プラス帯電性を有することから、マイナス帯電
トナーとの付着力が強いため、本発明の導電性ベルトを
中間転写部材として用いた場合、フッ素樹脂含有ベルト
と比較して、同一電圧での一次転写効率が向上する。詳
しくは一次転写効率は90%以上を確保する。ここで帯
電序列(帯電列)とは、異なった種類のプラスチック材
料同士を摩擦帯電させ、常に正に帯電するものから順
に、常に負に帯電するものまでを一列に並べた相対的な
序列を指す。また、「本発明の導電性ベルトは帯電序列
がプラスチック材料中プラス側である」とは本発明の導
電性ベルトをトナーと摩擦帯電させたとき、プラス側に
帯電することを意味する。
【0046】このように、本発明の導電性ベルトは仕事
関数が4.6eV以下であり、しかも接触角は少なくと
も85°を確保するため、トナー離形性が劣ることな
く、一次、二次転写をあわせたトータルでの転写効率が
向上し、良好な画像が得られる。
【0047】本明細書中、ベルトの仕事関数は接触電位
差計(SSVII-10;(株)川口電機製作所製)を用い、金
との接触電位差ΔVを測定し、金の仕事関数を4.9e
Vとして、サンプルの仕事関数Wfを算出した(Wf=
4.9−ΔV)。しかしながら当該装置によって測定さ
れなければならないというわけではなく、上記方法に従
って測定可能な装置であればいかなる装置を用いて測定
されてよい。
【0048】以上のような本発明の導電性ベルトは中間
転写ベルト(中間転写部材)としての使用に適してい
る。
【0049】本発明の導電性ベルトを中間転写部材とし
て用いる場合について説明する。詳しくは、感光体と記
録媒体との間に配置され、該感光体表面に形成されたト
ナー像を一旦自己の表面に転写保持し、これを記録媒体
へと転写する中間転写部材と、該中間転写部材に電圧を
印加する電圧印加装置を具備してなる中間転写装置にお
いて、前記中間転写部材として、上記の本発明の導電性
ベルトを用いる。
【0050】このような中間転写装置は、現像装置に単
色トナーのみを持つモノカラー画像形成装置、感光体ド
ラムにY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)、B(ブラック)を順次現像し、そしてトナー像を
中間転写部材に順次一次転写させるプロセスを繰り返す
カラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数のト
ナーカートリッジを直列に配置したタンデム方式カラー
画像形成装置などに適用される。
【0051】図2に、本発明の中間転写装置を適用した
画像形成装置の概略部分構成図を示す。1は感光体、4
が中間転写部材である。感光体の周囲には、通常、帯電
器、感光体上に静電潜像をを形成するための露光光学
系、トナーを収容する現像器、感光体表面に形成された
トナー像を中間転写部材を介して記録媒体へと転写する
中間転写装置、残留トナーを除去するクリーナー等が配
置されているが、図2においては簡略化のため感光体1
を帯電させるための帯電器2、感光体1上に形成された
静電潜像をトナー現像するための現像器3、感光体1上
に形成されたトナー像を記録媒体5に転写するための中
間転写装置10のみを図示している。
【0052】中間転写部材4は転写・搬送ローラー6に
掛け渡され、矢印方向に回転する感光体1と同調して矢
印方向に回転するようになっている。
【0053】図2に示すような中間転写装置を有する画
像形成装置においては、まず矢印方向に回転する感光体
1の表面を帯電器2により一様に帯電し、図示しない露
光光学系により画像に対応する静電潜像を形成する。静
電潜像は現像器3でトナー像に現像される。
【0054】現像されたトナー像は中間転写装置10に
よって記録媒体5に転写される。詳しくは、中間転写部
材に電圧印加装置8により電圧を印加し、感光体1上の
トナー像を中間転写部材4に静電的に転写する。そして
中間転写部材上に形成されたトナー像は、搬送・転写ロ
ーラー6と押圧ローラー7の間で記録紙5に転写するよ
うになっている。
【0055】このような中間転写装置を有する画像形成
装置においては中間転写部材4は、図2に示されている
ように数本のローラ6を介して感光体1に接し、かつ4
〜6kgのテンション力により張られた状態になってい
る。また、中間転写部材4は、例えば感光体からトナー
をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、、
B(ブラック)と順次一次転写させるために、中間転写
装置に適した周速、例えば80〜150mm/sで回転
させられている。その際、数本のローラ6のローラ径と
中間転写部材4の巻き付け角度により繰返し曲げ疲労ス
トレスを受け、中間転写部材4の設定寿命に満たず割れ
破壊に至ることがある。本発明の中間転写部材はこのよ
うな繰返し曲げ疲労ストレスに強い。また、上記のよう
な画像形成装置においては中間転写部材が装着され、外
力を付与された状態で出荷の前後で一定時間を経過する
ことがよくあるが、このとき、特に周囲環境が高温高湿
のとき、そのときの形状が保持され、折り目が残留して
変形が生じ、画像品質の低下(スジムラの発生)に至る
ことがある。本発明の中間転写部材はこのような状況に
おいても、変形が生じ難い。
【0056】
【実施例】本実施例中、非晶質ポリオレフィンとしてゼ
オノア(日本ゼオン社製)(Tg=105℃)を用い
た。エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)
としてエバフレックス(三井デュポンケミカル社製)を
用いた(ビカット軟化点40℃)。ETFE材料として
アフロン(旭硝子社製)を用いた。PAR材料としてU
ポリマー(ユニチカ社製)を用いた。変性PI材料とし
てTIポリマー(東レ社製)を用いた。PC材料として
ユーピロン(三菱エンジニアリングプラスチック社製)
を用いた。PA12材料としてグリルアミド((株)エ
ムスジャパン製)を用いた。特記しない限り、「部」は
「重量部」を意味するものとする。
【0057】(残留変形率)長期保管によるベルト変形
レベルを材料固有の残留変形率を代用値とし、評価を行
った。幅50mm、長さ130mmの大きさに切断した
試験片を用いて、図3(A)の初期状態寸法aを測定
し、内径φ28mmのアルミパイプに挿入し、40℃、
95%rh環境に100時間投入後、パイプを取出し2
3℃、50%rh環境に12時間放置し、パイプから試
験片を抜き取り図3(B)の寸法bを測定し、次に示す
計算式により残留変形率を算出した。残留変形率の算
出:元の長さaに戻った時を0、パイプ保管状態のまま
である時を100として考える。 残留変形率(%)=(a−b)/(a+X)×100 φ28パイプの時はX=シート長さ130−φ28π=
42.0mm
【0058】 (非晶質ポリオレフィン80部、エチレン−エチルアク
リレート共重合体20部を添加し、溶融して得られた混
合物) 混合非晶質ポリオレフィンは、ETFE材料に比べて、
顕著な効果を示す。また、他社の半導電性ベルト(中間
転写部材)のPC、PAR、変性PI系材料に比べても
ほぼ同等レベルであることがわかった。
【0059】(折り曲げ試験)ランニング耐久による耐
割れ性を材料固有の耐折り曲げ破壊回数を代用値とし、
評価を行った。以下にその結果を示す(MIT耐揉折り
曲げ試験(JIS-P8115準拠))。
【0060】 (非晶質ポリオレフィン80部、エチレン−エチルアク
リレート共重合体20部を添加し、溶融して得られた混
合物) 混合非晶質ポリオレフィンは他社の半導電性ベルト(中
間転写部材)のPC、PAR、変性PI系材料に比べ
て、耐割れ性は良好であった。また、非晶質ポリオレフ
ィン単体に比べて柔軟性に富み、非晶性ポリオレフィン
と相溶性の良いエチレン−エチルアクリレート共重合体
を添加した混合非晶質ポリオレフィンは、耐割れ性の改
善が認められた。
【0061】実験例1 非晶質ポリオレフィンとエチレン−エチルアクリレート
共重合体の配合比率について検討した。
【0062】表1に示す配合比率で、エチレン−エチル
アクリレート共重合体を添加した非晶質ポリオレフィン
樹脂に、導電性を付与する導電性フィラーとして、アセ
チレンカーボンブラックを添加し、ペレット状の原料を
製作した。上記原料を窒素パージしながら溶融押し出し
を行い、シームレス連続押出し成形法にてチューブ状の
ベルト成形品を製造した。得られたベルト(厚み150
μm)を以下の項目について評価した。
【0063】評価 (残留変形率および耐折り曲げ破壊回数)残留変形率お
よび耐折り曲げ破壊回数はそれぞれ前記と同様にして測
定した。 (体積電気抵抗値)ベルトの測定点(回転方向20mm
ピッチ、回転軸方向に各3ヶ所(中央、左右両端部)に
位置する各ポイント)の体積電気抵抗値をハイレスター
UP(三菱化学社製)により測定し、測定値の平均を求
めた(JIS 6911準拠)。
【0064】(画像ノイズおよび耐久性)各ベルトをプ
リンターユニット(ミノルタ社製;Color Page Pro)に
中間転写部材として組み込み、輸送環境として想定した
高温高湿環境下(40℃、95%)に100時間放置
後、画出しした画像を用いて画像ノイズを評価した。画
像ノイズとして、ベルトの変形(折り目発生)による画
像のスジムラレベル(○:良好、×:不良)を示した。
さらに、12000枚画出しした後のベルトにおける割
れ発生レベル(○:割れなし、×:割れ発生)を耐久性
として示した。以上の結果を総合的に判断し、結果を示
した(○:実用上問題なし、×:実用上問題あり)。
【0065】
【表1】
【0066】表1より、樹脂配合比率に関しては、非晶
質ポリオレフィンの添加量が80〜97重量部、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体の添加量が20〜3重
量部の範囲が良いことがわかった。
【0067】実験例2 カーボン添加量について検討を行った。カーボンブラッ
クとしてケッチェンブラック600jdまたはアセチレ
ンブラックを選択し検討した。
【0068】表2に示す配合比率で、カーボンブラッ
ク、エチレン−エチルアクリレート共重合体および非晶
質ポリオレフィン樹脂を用いたこと以外、実験例1にお
いてと同様にして、ベルトを製造した。得られたベルト
を実験例1においてと同様に評価した。
【0069】
【表2】
【0070】ケッチェン600jdは、添加量が少量で
所定の体積抵抗値が得られ、しかも繰返し曲げ疲労強度
にも優れることがわかった。
【0071】実験例3 成形方法について検討した。非晶質ポリオレフィン材料
が80重量部、エチレン−エチルアクリレート共重合体
が20重量部からなるベース樹脂材料100重量部に、
導電フィラーとしてアセチレンブラックを10重量部添
加した材料を用いて、シームレス連続押出し成形法また
は遠心回転成形法により、厚みの薄いシームレスベルト
の成形を試みた。
【0072】
【表3】
【0073】シームレス連続押出し成形法または遠心回
転成形法、いずれの成形方法においても、厚み100〜
300μmのシームレスベルトの成形が可能であった。
【0074】実験例4 多層ベルトの加工検討について、以下に示す。 実施例9 12ナイロン(PA12)樹脂90部に導電性を付与す
る導電性フィラーとして、アセチレンブラックを10部
添加し、ペレット状の原料を製作した。上記原料を用い
て、シームレス連続押出し成形にてベルト(厚み150
μm)を製造した。その後、得られたベルト表面に、非
晶質ポリオレフィン80重量部、エチレン−エチルアク
リレート共重合体20重量部およびアセチレンブラック
10重量部をジクロロメタンに溶解・分散させた塗液を
塗布し、2層ベルト(積層された層単独の厚み;50μ
m)を得た。得られたベルトを実験例1においてと同様
に評価した。
【0075】比較例3 実施例9において、塗液を塗布する前の、PA12およ
びアセチレンブラックからなるベルトを実験例1におい
てと同様に評価した。
【0076】
【表4】
【0077】残留変形率の大きいベース樹脂(PA1
2)においても、非晶質ポリオレフィンとの2層化によ
り、残留変形率が低下し、画像ノイズが有効に低減され
た。また、柔軟性に富むPA12との2層化により、非
晶質ポリオレフィンの耐久限界値を向上させベルト製品
寿命の長期化にも対応できる。
【0078】実験例5 接触角および表面自由エネルギーについて検討した。樹
脂材料として、非晶質ポリオレフィン、EEA、フッ素
樹脂(ETFE)、PCおよびナイロン樹脂(PA1
2)を表5に示す配合比率で用いたこと以外、実験例1
においてと同様にして、ベルトを製造した。得られたベ
ルトの体積抵抗値を実験例1においてと同様に測定し
た。さらに、各ベルトを以下の項目について評価した。
【0079】(接触角)接触角計(Model CA-X;協和界
面科学社製)を用い、蒸留水(0.4ml液滴)との接
触角を測定した。 (仕事関数)接触電位計(SSVII-10;(株)川口電機製
作所製)を用い、金との接触電位差ΔVを測定し、金の
仕事関数を4.9eVとしてサンプルの仕事関数をWf
を算出した。
【0080】(転写効率)ベルトをプリンターユニット
(ミノルタ社製;Color Page Pro)に中間転写部材とし
て組み込み、各単色(Y、M、CおよびB)のベタ画像
を画出しするに際して、感光体上のトナー像のトナー重
量に対する転写されたベルト上のトナー像のトナー重量
の割合(一次転写効率)およびベルト上のトナー像のト
ナー重量に対する転写された記録媒体上のトナー像のト
ナー重量(二次転写効率)を求めた。なお、各色につい
ての転写効率のうち最も低い値を示した。
【0081】
【表5】
【0082】非晶質ポリオレフィンおよびEEA材料か
らなる本発明のベルトは仕事関数が4.3〜4.4eV
であり、他の樹脂、特にフッ素樹脂からなるベルトと比
べ正帯電性が強いため、同一の一次転写電圧に対して負
帯電性トナーの一次転写効率が向上した。仕事関数が
4.6eVを越えるベルトを用いた場合、一次転写効率
は90%未満であった。また、本発明のベルトは接触角
が85°、86°であり、PCまたはナイロン樹脂から
なるベルトの接触角に比べ大きく、表面自由エネルギー
が比較的小さいゆえ、トナー離形性に劣ることなく、二
次転写での転写効率の低下が抑えられた。総合的にみ
て、本発明のベルトを用いるとトナー転写性が向上し、
良好な画像が得られることがわかった。
【0083】実験例6 非晶質ポリオレフィンとしてのエチレン−シクロオレフ
ィン共重合体におけるシクロオレフィンの含有量につい
て検討した。非晶質ポリオレフィンとして、エチレン−
ノルボルネン共重合体(ノルボルネン含有量;35モル
%(実施例13)または50モル%(実施例12))9
7重量部およびエチレン−エチルアクリレート共重合体
3重量部からなるベース樹脂材料100重量部に対し
て、アセチレンブラック10重量部を添加したこと以
外、実験例1においてと同様にして、ベルトを製作し
た。得られたベルトにおけるベルト回転方向20mmピ
ッチ、回転軸方向に3ヶ所(中央、左右両端部)に位置
する各ポイントの体積抵抗平均値は1011Ω・cmであ
った。ベルトを実験例1においてと同様に、画像ノイズ
について評価した。また、各ノルボルネン含有量の非晶
質ポリオレフィンのガラス転移点を測定した。
【0084】
【表6】
【0085】
【発明の効果】非晶質ポリオレフィンの特徴の一つであ
る温度・湿度に対する物性安定性が、複写機およびプリ
ンターの輸送及び使用環境に対して、ベルトの長期的物
性安定性を確保し、画像劣化を阻止する。また、柔軟性
向上を目的としたエチレン−エチルアクリレート共重合
体を特定量添加することで割れに対する改善が実現でき
た。また、比較的小さい表面自由エネルギーと比較的プ
ラスの帯電性を有する特徴が、転写効率を向上させ、良
好な画像を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ノルボルネン含有量と得られる非晶質ポリオ
レフィンのガラス転移点との関係を表すグラフを示す。
【図2】 本発明の中間転写装置を有する画像形成装置
の概略部分構成図を示す。
【図3】 残留変形率の測定方法を説明するための試験
片の概略側面図であり、(A)は初期状態の試験片
(a;初期寸法)の概略側面図を示し、(B)はパイプ
から取出した直後の試験片(b;変形後寸法)の概略側
面図を示し、(C)はパイプ内での試験片の状態(X;
巻が重なっている寸法)を表す概略側面図を示す。
【符号の説明】
1:感光体、2:帯電器、3:現像器、4:中間転写部
材、5:記録媒体、6:搬送・転写ローラー、7:押圧
ローラー、10:中間転写装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B32B 27/18 B32B 27/18 J 4F207 B29K 105:16 B29K 105:16 Fターム(参考) 2H032 BA09 BA18 2H035 CA05 CB06 2H068 AA52 AA55 AA58 BB03 BB07 BB08 BB20 BB54 BB55 EA07 4F100 AA37H AK02 AK02A AK03A AK04 AK18 AK21A AK45 AK48 AK71A AL01 AL01A BA01 CA21 EH17 EH172 GB90 JA05A JA12A JB16A JG01 JG04 YY00A 4F205 AA03 AA04E AA12E AA14E AA20E AA21E AB03 AG16 GA01 GA13 GB01 GC04 GE06 GE07 GE16 GF02 GN01 GN28 4F207 AA03 AA04E AA12E AA14E AA20E AA21E AB03 AG16 KA04 KF02 KJ06 KL88 KW23

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも熱可塑性非晶質ポリオレフィ
    ン(X)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重
    合体(Y)および導電性フィラー(Z)からなり、Xを
    (X+Y)基準で80〜97重量%、Yを(X+Y)基
    準で3〜20重量%含んでなることを特徴とする導電性
    ベルト。
  2. 【請求項2】 導電性フィラー(Z)の含有量が熱可塑
    性非晶質ポリオレフィン(X)とエチレン−(メタ)ア
    クリル酸エステル共重合体(Y)との合計量(X+Y)
    100重量部に対して1〜13重量部である請求項1に
    記載の導電性ベルト。
  3. 【請求項3】 熱可塑性非晶質ポリオレフィン(X)が
    シクロオレフィンと、シクロオレフィンと重合可能なビ
    ニル系化合物との共重合体であり、シクロオレフィン含
    有量(Xモル%)および非晶質ポリオレフィンのガラス
    転移点(Y℃)を近似式;Y=a・X+bで表したと
    き、a≧4かつb≧−70である請求項1または2に記
    載の導電性ベルト。
  4. 【請求項4】 シームレス連続押し出し成形法により製
    造されるか、またはシート押し出し成形後ベルト状に加
    工することにより製造される請求項1〜3いずれかに記
    載の導電性ベルト。
  5. 【請求項5】 遠心回転成形法により製造される請求項
    1〜3いずれかに記載の導電性ベルト。
  6. 【請求項6】 少なくとも熱可塑性非晶質ポリオレフィ
    ン(X)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重
    合体(Y)および導電性フィラー(Z)からなり、Xを
    (X+Y)基準で80〜97重量%、Yを(X+Y)基
    準で3〜20重量%含んでなる層を少なくとも1層有す
    る多層型導電性ベルト。
  7. 【請求項7】 複数の部位の体積電気抵抗値が全て10
    7Ω・cm以上101 1Ω・cm以下の範囲にあり、かつ
    複数の部位の体積電気抵抗値において最小値に比して最
    大値が1倍以上100倍以下の範囲である請求項1〜6
    いずれかに記載の導電性ベルト。
  8. 【請求項8】 表面における水の接触角が85°以上で
    ある請求項1〜7いずれかに記載の導電性ベルト。
  9. 【請求項9】 帯電序列がプラスチック材料中プラス側
    であって仕事関数が4.6eV以下であり、一次転写効
    率が90%以上である請求項1〜8いずれかに記載の導
    電性ベルト。
  10. 【請求項10】 感光体と記録媒体との間に配置され、
    該感光体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に
    転写保持し、これを記録媒体へと転写する中間転写部材
    と、該中間転写部材に電圧を印加する電圧印加装置を具
    備してなる中間転写装置において、前記中間転写部材と
    して、請求項1〜9いずれかに記載の導電性ベルトを用
    いたことを特徴とする中間転写装置。
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