JP4222555B2 - 導電性エンドレスベルトおよびこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、複写機、プリンター等の電子写真装置や静電記録装置等における静電記録プロセスにおいて、表面に静電潜像を保持した潜像保持体等の画像形成体表面に現像剤を供給して形成されたトナー像を、紙等の記録媒体へと転写する際に用いられる導電性エンドレスベルト(以下、単に「ベルト」とも称する)およびこれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、複写機、プリンター等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
まず、第1には、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行い、感光体上にカラーのトナー像を形成する多重現像方式がある。この方式によれば比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、この方式では階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2に、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現するタンデム方式がある。この方式は、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、各感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図2にタンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光体ドラム1、帯電ロール2、現像ロール3、現像ブレード4、トナー供給ロール5およびクリーニングブレード6で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ(駆動部材)9により循環駆動されて転写搬送ベルト10で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール7および除電ロール8で行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト10の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所、短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、タンデム型の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく4色の連続する転写でも比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度への依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第3に、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
前記多重現像方式、タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、かつ装置が特に大型化するようなこともなく、しかも記録媒体種が特に制限されるようなこともない方式として、中間転写方式が提案されている。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、かつタンデム方式のように感光体を1列に並べる必要がないので装置が特に大型化することもなく、しかも記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。
中間転写方式によりカラー画像の形成を行う装置として、中間転写部材として無端ベルト状の中間転写部材を用いた画像形成装置を図3に例示する。
図3中、11はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体11は、一次帯電器12によって帯電され、次いで画像露光13により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光体11上に形成され、更に静電潜像が現像器41により第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光体11上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ(駆動部材)30により循環駆動されて感光体11と接触しながら循環回転する中間転写部材20に転写される。この場合、感光体11から中間転写部材20への転写は、感光体11と中間転写部材20とのニップ部において、中間転写部材20に電源61から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写部材20に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、前記感光体11はその表面がクリーニング装置14により清掃され、感光体11の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光体が3回転し、各周回ごとに現像器42〜44を順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光体11上に形成され、これが周回ごとに中間転写部材20に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写部材20上に形成される。なお、図3の装置にあっては、感光体11の周回ごとに現像器41〜44が順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写部材20に転写ローラ25が当接し、そのニップ部に給紙カセット19から紙等の記録媒体26が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源29から転写ローラ25に印加され、中間転写部材20から記録媒体26上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体26へと転写した後の中間転写部材20は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置35により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
従来、かかる無端ベルト状の中間転写部材20としては、半導電性の樹脂フィルムベルトと、繊維補強体を有するゴムベルトとが主に用いられている。これらのうち半導電性の樹脂フィルムベルトとしては、例えば、ポリカーボネートにカーボンブラックを配合したものや、ポリアルキレンテレフタレートを基材とするもの、熱可塑性ポリイミドを基材とするものなどが提案されている。
ところで、中間転写方式においては、上述したように中間転写部材20上にトナーを蓄積して画像の転写を行うことから、繰り返し使用に伴いベルト上にトナーが残留する場合があり、このような残留トナーが耐久時にベルト表面に融着して、画像の不具合等を引き起こすという問題があった。また、タンデム転写方式においても、位置検出や紙詰まりなどの転写異常の際に飛散したトナーがベルト上に残留して、同様の問題を生ずる場合があった。
このような問題に対して、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)などの表面エネルギーの小さいフッ素樹脂をベルトに適用することで、ベルト表面のトナー離型性を向上する技術が種々提案されてきている。例えば、多層構造のベルトにおいて、表面にフッ素樹脂を含む層を設けるとともに、強度や弾性等を補う材料を併用することで、他物性を保持しつつトナー離型性を高めたベルトに関する技術が提案されている。また、ベルト表面に対し所定の処理剤を用いた表面処理を施すことで、表面のトナー離型性を高める技術も種々提案されている。
しかしながら、上記従来の技術では、トナー離型性の向上効果を得ることはできても、導電性エンドレスベルトとして要求される諸特性を十分満足するものではなかった。即ち、各種転写方式の画像形成装置においては、いずれも、導電性エンドレスベルトが機構面で繰り返し連続使用に耐える強度、特には屈曲耐久性を備えていることが要求されるが、かかる従来のベルトでは、優れたトナー離型性と強度との両立が十分得られていなかった。
そこで本発明の目的は、タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式の画像形成装置に使用する樹脂フィルムベルトにおいて、優れたトナー離型性を備えるとともに、良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を備え、かつ、良好な帯電特性を有し、特には高電圧印加時にも適正な抵抗値を安定して得ることができる導電性エンドレスベルトおよびこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、導電性エンドレスベルトの基材として、特定のポリマー材料と低融点のフッ素樹脂とを組み合わせて用い、これとともに所定の導電性材料を使用することにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記に示す通りである。
(1)静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルトにおいて、
(a)熱可塑性ポリアミド、(b)熱可塑性ポリアリレート、(c)熱可塑性ポリアセタール、(d)前記(a)〜(c)のうちのいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンド、および(e)前記(a)〜(c)のうちのいずれか1種または2種以上と熱可塑性樹脂とのポリマーアロイまたはポリマーブレンド、からなる群から選ばれる1種と、フッ素樹脂とを基材とし、カーボンブラックが添加されてなり、
前記フッ素樹脂の融点が250℃以下であり、
前記フッ素樹脂が、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、および、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド3元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性エンドレスベルトである。
(2)画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に転写保持し、これを記録媒体へと転写する中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、
(a)熱可塑性ポリアミド、(b)熱可塑性ポリアリレート、(c)熱可塑性ポリアセタール、(d)前記(a)〜(c)のうちのいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンド、および(e)前記(a)〜(c)のうちのいずれか1種または2種以上と熱可塑性樹脂とのポリマーアロイまたはポリマーブレンド、からなる群から選ばれる1種と、フッ素樹脂とを基材とし、カーボンブラックが添加されてなり、
前記フッ素樹脂の融点が250℃以下であり、
前記フッ素樹脂が、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、および、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド3元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性エンドレスベルトである。
(3)前記(1)〜(2)のいずれかの導電性エンドレスベルトにおいて、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーである導電性エンドレスベルトである。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの導電性エンドレスベルトにおいて、前記フッ素樹脂の添加量が、前記基材の総量に対し、0.1〜50重量%の範囲内である導電性エンドレスベルトである。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかの導電性エンドレスベルトにおいて、前記カーボンブラックの添加量が、前記基材100重量部に対し、0.01〜40重量部の範囲内である導電性エンドレスベルトである。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの導電性エンドレスベルトにおいて、体積抵抗値が107〜1016Ω・cmである導電性エンドレスベルトである。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかの導電性エンドレスベルトにおいて前記駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材と嵌合する嵌合部を有する導電性エンドレスベルトである。
(8)前記(7)の導電性エンドレスベルトにおいて、前記嵌合部が、回転方向に沿って連続して突設された凸条である導電性エンドレスベルトである。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかの導電性エンドレスベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の導電性エンドレスベルトは、基材に上記のような特定のポリマー材料を用いたことにより、良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を有するとともに、導電性材料としてカーボンブラックを用いたことにより、帯電特性においても良好な性能を有する。また、基材にフッ素樹脂を用いたことにより、トナー離型性にも優れるものである。さらに、前記駆動部材と導電性エンドレスベルトとに互いに嵌合する嵌合部を設けた場合には、2以上の軸に張架した導電性エンドレスベルトが回転とともに幅方向にずれていく現象を防止することができる。従って、かかる本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置によれば、長期間にわたる使用においても不良を生ずることがなく、良好な画像を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよい。好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図2に参照符号10で示す転写搬送ベルトの場合、駆動ローラ9等の駆動部材により駆動され、これに伴い搬送される記録媒体上にトナーが順次転写され、カラー画像が形成される。
また、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図3に参照符号20で示す中間転写部材の場合、これを駆動ローラ30等の駆動部材により循環駆動させ、感光体ドラム(潜像保持体)11と紙等の記録媒体26との間に配設することで、前記感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体26へと転写する。なお、図3の装置は、上述したように、中間転写方式によりカラー印刷を行うものである。
本発明の導電性エンドレスベルトにおいては、基材として、(a)熱可塑性ポリアミド(PA)、(b)熱可塑性ポリアリレート(PAR)、(c)熱可塑性ポリアセタール(POM)、(d)これら(a)〜(c)のうちのいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンド、あるいは(e)これら(a)〜(c)のうちのいずれか1種または2種以上と(a)〜(c)以外の熱可塑性樹脂、特には熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイまたはポリマーブレンド、のうちの1種と、フッ素樹脂とを組み合わせて用いる。本発明においては、上記(a)〜(e)のポリマー材料のうちのいずれかを基材として用いることにより良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を実現するとともに、フッ素樹脂を用いることによりトナー離型性を良好に高めた、高性能のベルトを得ることができる。
本発明に係る(a)熱可塑性ポリアミドは、耐摩耗性の良好な材料として最も古くから使われている樹脂の一つであり、強度や耐衝撃性等にも優れており、市場で容易に入手することができる。PAとしてはいくつか種類があるが、本発明においては、特にナイロン12(以下、「PA12」と称する)、例えば、東レ(株)製、商品名:リルサンAESN O TLやダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドL2101、ダイアミドL1940、宇部興産(株)製、商品名:3024Uなどを好適に用いることができる。PA12は他のPAに比べ環境変動における寸法安定性に優れている。また、PA6も好適である。かかる熱可塑性ポリアミドを導電性エンドレスベルトの基材に用いることで、抵抗のバラツキがなく、かつ、強度、特には屈曲耐久性に優れる導電性エンドレスベルトを得ることができる。尚、本発明に用いるPA12としては、好適には数平均分子量7000〜100000、より好適には13000〜40000の範囲内のものである。
かかるPAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイのうち好適なものとしては、PA12と熱可塑性ポリエーテルとのブロック共重合アロイを挙げることができる。これにより、寸法安定性に加え、低温特性の向上にも優れた効果を得ることができる。かかるPA12と熱可塑性ポリエーテルとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドX4442などを代表的に挙げることができる。
また、PAとのポリマーブレンドに好適に用いることのできる熱可塑性エラストマーとしては、ヤング率が98000N/cm2以下、好ましくは980〜49000N/cm2の重合体が知られ、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、スチレン系、アクリル系、ポリジエン系等のエラストマーを使用することができる。かかる熱可塑性エラストマーをブレンドすることにより、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。PA12と熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンドも市場で入手可能であり、例えば、ダイセル・ヒュルス(株)製、商品名:ダイアミドE1947が挙げられる。
尚、本発明におけるPAと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイおよびポリマーブレンドにおける配合比としては、PAがPA12である場合には、好適には、PA12を100重量部に対し熱可塑性エラストマー100重量部以下である。
また、本発明に係る(b)熱可塑性ポリアリレートは、耐衝撃性および寸法安定性に優れ、かつ、弾性回復特性が良好なエンプラであり、市場で容易に入手することができ、例えば、ユニチカ(株)製のU−100などを代表的に挙げることができる。かかるPARを導電性エンドレスベルトの基材とすることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
かかるPARのポリマーアロイまたはポリマーブレンドのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリカーボネート(PC)または熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)とのポリマーアロイを挙げることができる。かかるPARと熱可塑性樹脂とのポリマーアロイおよびポリマーブレンドも市場で入手することが可能であり、例えば、PCとのアロイとしてのユニチカ(株)製のP−3001、PETとのアロイとしてのユニチカ(株)製のU−8000などを代表的に挙げることができる。
また、本発明に係る(c)熱可塑性ポリアセタールは、ホモポリマーであっても、あるいはコポリマーであってもよいが、熱安定性の面からはコポリマーが好ましい。POMは、強度、耐摩耗性、寸法安定性、成形性などのバランスがとれていることから、プラスチック歯車などに多く使用されているエンプラであり、市場で容易に入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック2010、ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラコンM25−34などを代表的に挙げることができる。かかるPOMを導電性エンドレスベルトの基材に用いることで、抵抗のバラツキがなく、強度、特には屈曲耐久性と耐クリープ性に優れ、かつ、高い寸法精度を有する導電性エンドレスベルトが得られる。
かかるPOMのポリマーアロイのうち好適なものとしては、熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイを挙げることができ、これにより、前記特性に加えて耐衝撃性にも優れた効果を奏する。POMと熱可塑性ポリウレタンとのポリマーアロイも市場で入手することができ、例えば、旭化成(株)製、商品名:テナック4012などを代表的に挙げることができる。
また、POMとのポリマーブレンドに好適に用いることができる熱可塑性エラストマーとしては、前述のPAの場合と同様のものを挙げることができる。この場合にも、かかる熱可塑性エラストマーとのブレンドの効果により、耐折回数が増加し、クラックに対する耐久性を高めることができる。
また、これらポリマー材料と共に基材に用いるフッ素樹脂は、上記したように、他材料とともに配合、混練することにより、ベルトのトナー離型性を良好に高めることができるものである。かかるフッ素樹脂としては、250℃以下、特には240℃以下程度の低融点のものが好適であり、具体的には、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ECTFE)、ビニリデンフルオライド(VDF)とテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、および、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオライドとの3元共重合体(THV)等を挙げることができる。上記フッ素樹脂は市場で容易に入手可能であり、例えば、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体としては、ダイキン工業(株)製、商品名:ネオフロンVT100等、THVとしては、ダイニオン社製、商品名:THV220G、THV500G等を代表的に挙げることができる。
上記フッ素樹脂は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよいが、中でも融点が120〜200℃程度と極めて低いTHVが特に好適であり、他材料と同時に混練した際に容易に溶融して、効果を発現することができる。THVは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンフルオライドの3種のモノマーからなる低融点熱可塑性樹脂であり、耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、難焼性などの汎用フッ素樹脂の特長に加え、優れた加工性や溶解性、架橋性、柔軟性、接着性、透明性等を併せ持つ樹脂材料である。THVにおいては、上記モノマー比を調整することにより融点を変動させることが可能である。
フッ素樹脂の添加量は、基材の総量に対し、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%程度である。添加量が多すぎるとベルトの体積抵抗値に影響を及ぼすが、この範囲内の添加量であれば、体積抵抗値をほとんど変えることなく、トナー離型性および耐融着性を良好に発現させることができる。
本発明においては、上記ポリマー成分およびフッ素樹脂からなる基材に対し、導電性材料としてのカーボンブラックが添加されている。かかるカーボンブラックとしては、特に制限されるものではなく、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等の汎用のものを適宜選択して用いることができる。
カーボンブラックの添加量は、基材100重量部に対し、好ましくは0.01〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の範囲内であり、これにより弾性材層の体積抵抗値を好ましくは107〜1016Ω・cm、より好ましくは108〜1015Ω・cmに調整することができる。カーボンブラックの添加量が0.01重量部未満であるとかかる抵抗レベルを達成することができず、一方、40重量部を超えると屈曲耐久性等の物性面に影響を及ぼすおそれがあるため、好ましくない。
また、本発明においては、基材に対し、機能性成分として他の導電性材料を添加して、補助的に導電性の付与、調整を行うことができる。かかる導電性材料としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベルジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、LiCF2SO2、NaClO4、LiBF4、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca(ClO42等の周期律表第2族の金属塩:およびこれらの帯電防止剤がイソシアネートと反応する活性水素を有する基(水素基、カルボキシル基、一級乃至二級アミン基等)を1個以上有するものなどが挙げられる。更に、これらと多価アルコール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)またはその誘導体との錯体、或いはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等との錯体などのイオン導電剤;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅等の金属および金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなどを例示することができる。
また、導電性材料として、高分子イオン導電剤を用いることも可能である。本発明に用いることのできる高分子イオン導電剤としては、例えば、特開平9−227717号公報、特開平10−120924号公報、および、特開2000−327922号公報に記載されているものを用いることができるが、特に限定されない。
具体的には、(A)有機ポリマー材料、(B)イオン導電可能なポリマーまたはコポリマー、および、(C)無機または低分子量有機塩、からなる混合物を挙げることができ、ここで、成分(A)は、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステルであり、成分(B)は、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリレート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエステルであり、また、成分(C)は、無機または低分子量有機プロトン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩であり、好ましくは、LiClO4、LiCF3SO3、NaClO4、LiBF4、NaBF4、KBF4、NaCF3SO3、KClO4、KPF6、KCF3SO3、KC49SO3、Ca(ClO42、Ca(PF62、Mg(ClO42、Mg(CF3SO32、Zn(ClO42、Zn(PF62またはCa(CF3SO32等である。
これらの中でも、成分(B)として、ポリエーテルアミド成分またはポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子イオン導電剤が好適であり、さらに、これに加えて成分(C)として低分子イオン導電剤成分を含有することが好ましい。また、かかるポリエーテルアミド成分およびポリエーテルエステルアミド成分としては、ポリエーテル成分が(CH2−CH2−O)を含有し、ポリアミド成分がナイロン12またはナイロン6を含有するものが特に好ましく、これを成分(B)として含有し、さらに成分(C)の低分子イオン導電剤成分としてNaClO4を含有する高分子イオン導電剤が特に好適である。かかる好適な高分子イオン導電剤は、市場においてIrgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)、ペレスタットNC6321(三洋化成(株)製)として入手することができる。
これら他の導電性材料の添加量は、基材100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。
また、本発明の導電性エンドレスベルトに高分子イオン導電剤を添加する場合には、基材と高分子イオン導電剤との相溶性を向上するために、相溶化剤を添加してもよい。本発明において好適に用いることができる相溶化剤としては、例えば、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフトコポリマー、ポリオレフィン系グラフトコポリマーおよび反応性(GMA、MAH含有)ポリオレフィン系グラフトコポリマー、P(St−co−GMA)、EGMA、P(Et−co−EA−co−MAH)、オレフィン系グラフトコポリマー、マレイン化ポリオレフィン、SEBSおよびそのマレイン化物、オキサゾリン基含有スチレン系またはアクリロニトリル−スチレン系ポリマー、マレイン化EPDM、マレイン化PE、マレイン化PP、マレイン化EVA、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、SANグラフトEPDM、反応性ポリスチレン、ポリカプロラクトン−b−ポリスチレン、反応性スチレン・アクリロニトリルコポリマー、イミド化ポリアクリレート、エチレン・グリシジルメタクリレートアクリル酸コポリマー、塩素化ポリエチレン、反応性フェノキシ、シラン化合物、ペルオキシドポリマー、ポリカプロラクトン、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフトポリマー等が挙げられる(上記列挙中の略称は、夫々、EVA:エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM:エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、EGMA:エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、SEBS:スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、GMA:メタクリル酸グリシジル、MAH:無水マレイン酸、EA:アクリル酸エチルである)等を挙げることができ、これら相溶化剤を、基材と高分子イオン導電剤との総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部添加することにより、両者の相溶性を向上して、高分子イオン導電剤の基材への均質かつ良好な分散を可能にし、高性能の導電性エンドレスベルトを得ることができる。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲内で上述の成分に加え他の機能性成分を添加することができ、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。着色剤を添加して着色を施してもよい。
本発明の導電性エンドレスベルトの厚さは、転写搬送ベルトまたは中間転写部材等の形態に応じて適宜選定されるものであるが、好ましくは50〜200μmの範囲内である。
また、本発明の導電性エンドレスベルトには、図1に一点鎖線で示すように、図2の画像形成装置における駆動ローラ9または図3の駆動ローラ30などの駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材に形成した嵌合部(図示せず)と嵌合する嵌合部を形成してもよく、本発明の導電性エンドレスベルトは、このような嵌合部を設け、これを駆動部材に設けた嵌合部(図示せず)と嵌合させて走行させることにより、導電性エンドレスベルトの幅方向のずれを防止することができる。
この場合、前記嵌合部は、特に制限されるものではないが、図1に示すように、ベルトの周方向(回転方向)に沿って連続する凸条とし、これを駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した溝に嵌合させるようにすることが好ましい。
なお、図1(a)では、1本の連続する凸条を嵌合部として設けた例を示したが、この嵌合部は多数の凸部をベルトの周方向(回転方向)に沿って一列に並べて突設してもよく、また嵌合部を2本以上設けたり(図1(b))、ベルトの幅方向中央部に設けてもよい。更に、嵌合部として図1に示した凸条ではなく、ベルトの周方向(回転方向)に沿った溝を設け、これを前記駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した凸条と嵌合させるようにしてもよい。
本発明の導電性エンドレスベルトは、特に制限されるものではないが、表面粗さをJIS10点平均粗さRzで10μm以下、特に6μm以下、更には3μm以下とすることが好ましい。
また、本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置としては、図2に示すタンデム方式のものや図3に示す中間転写方式のもの、または、タンデム中間転写方式のものを例示することができるが、これらには限定されない。尚、図3の装置の場合、本発明の中間転写部材20を回転させる駆動ローラまたは駆動ギアには適宜電源61から電圧を印加することができ、この場合の電圧は直流のみの印加または直流に交流を重量する印加など、印加条件は適時選択することができる。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトの製法は特に制限されるべきものではなく、例えば、二軸混練機により基材の樹脂成分と導電性材料等の機能性成分とを混練し、得られた混練物を環状ダイスを使って押出し成形することにより製造することができる。または、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ法または遠心注型法も好適に採用することができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づき詳細に説明する。
実施例1
熱可塑性ポリアミド(PA12)(宇部興産(株)製、商品名:3024U)90重量部と、導電性材料としての商品名:デンカブラック(電気化学工業(株)製)28重量部と、フッ素樹脂としての商品名:ネオフロンVT100(ダイキン工業(株)製)10重量部とを混合し、所定の成型温度(下記表2参照、以下の実施例および比較例についても同様)において二軸混練機により溶融混練した。得られた混練物を一軸押出機の先頭に装着した環状ダイスにより押出し成形して、内径140mm、厚さ100μm、幅247mmの導電性エンドレスベルトを得た。
実施例2
フッ素樹脂として商品名:ネオフロンVT100(ダイキン工業(株)製)に代えて商品名:ネオフロンVW410(ダイキン工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
実施例3
フッ素樹脂として商品名:ネオフロンVT100(ダイキン工業(株)製)に代えて商品名:THV500G(ダイニオン社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
実施例4
熱可塑性ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラコンM25−34)90重量部と、導電性材料としての商品名:FEFカーボン(旭カーボン(株)製)10重量部と、フッ素樹脂としての商品名:THV220G(ダイニオン社製)10重量部とを混合し、所定の成型温度において二軸混練機により溶融混練した。その後は実施例1と同様に押出し成形して、導電性エンドレスベルトを得た。
実施例5
熱可塑性ポリアリレート(ユニチカ(株)製、商品名:U−100)80重量部と、導電性材料としての商品名:デンカブラック(電気化学工業(株)製)25重量部と、フッ素樹脂としての商品名:ネオフロンVW410(ダイキン工業(株)製)20重量部とを混合し、所定の成型温度において二軸混練機により溶融混練した。その後は実施例1と同様に押出し成形して、導電性エンドレスベルトを得た。
実施例6
熱可塑性ポリアリレートと熱可塑性ポリエチレンテレフタレートとのポリマーアロイ(ユニチカ(株)製、商品名:U−8000)90重量部と、導電性材料としての商品名:デンカブラック(電気化学工業(株)製)20重量部と、フッ素樹脂としての商品名:ネオフロンVT100(ダイキン工業(株)製)10重量部とを混合し、所定の成型温度において二軸混練機により溶融混練した。その後は実施例1と同様に押出し成形して、導電性エンドレスベルトを得た。
実施例7
フッ素樹脂として商品名:ネオフロンVT100(ダイキン工業(株)製)に代えて商品名:ネオフロンVW410(ダイキン工業(株)製)を用いた以外は実施例6と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
比較例1
PA12の量を100重量部とし、フッ素樹脂を混合しなかった以外は実施例1と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
比較例2
POMの量を100重量部とし、フッ素樹脂を混合しなかった以外は実施例4と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
比較例3
PARの量を100重量部とし、フッ素樹脂を混合しなかった以外は実施例5と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
比較例4
PARとPETとのポリマーアロイの量を100重量部とし、フッ素樹脂を混合しなかった以外は実施例6と同様にして、導電性エンドレスベルトを作製した。
比較例5
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、商品名:パンライトK1300Y)100重量部と、導電性材料としての商品名:FEFカーボン(旭カーボン(株)製)30重量部とを混合し、所定の成型温度において二軸混練機により溶融混練した。その後は実施例1と同様に押出し成形して、導電性エンドレスベルトを得た。
上記実施例1〜7および比較例1〜5で得られた導電性エンドレスベルトにつき、以下の手順に従い各測定を行った。
<動的引っ張り弾性率(E’)の測定>
以下に示す条件にて、動的引っ張り弾性率の測定を行った。
装置:東洋精機(株)製 Rheolograph solid レオロジーメーター
サンプル形状:5mm幅×0.15〜0.22mm厚×30mm(チャック間距離)
測定条件:初期延伸3%
振幅±1%
周波数1Hz
温度 室温(22℃、50%)
<体積固有抵抗率の測定>
温度23℃、相対湿度50%にて、測定装置として、アドバンテスト(ADVANTEST)社製の、抵抗計R8340AにサンプルチャンバーR12704Aを接続したものを用いて、測定電圧100Vにおける体積固有抵抗率を測定した。
<耐折り曲げ回数の測定>
東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機を用いて耐折り曲げ回数を測定し、この結果を、比較例5を20とした指数で示した。数値が大なるほど結果が良好である。
<画像特性>
各ベルトを図2に示した転写搬送ベルトを用いたタンデム方式の画像形成装置に装着し、転写操作を繰り返してA4用紙10万枚の耐久試験を行った。この試験の結果を画像性、耐久時のトナー堆積および汚染性につき評価した。
各実施例および比較例の配合内容を下記の表1に、各成形温度および上記各測定等の結果を下記の表2に夫々示す。
Figure 0004222555
Figure 0004222555
本発明によれば、優れたトナー離型性を備えるとともに、高強度、特には良好な屈曲耐久性を備え、かつ、良好な帯電性能を有し、高電圧印加時であっても適正な抵抗値を安定して得ることができる導電性エンドレスベルトを提供することができる。また、かかる本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置によれば、長期間の使用においても不良を生じない良好な画像を提供することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る導電性エンドレスベルトの幅方向断面図である。 本発明の画像形成装置の一例としての転写搬送ベルトを用いたタンデム方式の画像形成装置を示す概略図である。 本発明の画像形成装置の他の例としての中間転写部材を用いた中間転写装置を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体ドラム
2 帯電ロール
3 現像ロール
4 現像ブレード
5 トナー供給ロール
6 クリーニングブレード
7 帯電ロール
8 除電ロール
9 駆動ローラ(駆動部材)
10 転写搬送ベルト
11 感光体(ドラム)
12 一次帯電器
13 画像露光
14,35 クリーニング装置
19 給紙カセット
20 中間転写部材
25 転写ローラ
26 記録媒体
29,61 電源
30 駆動ローラ
41,42,43,44 現像器

Claims (9)

  1. 静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルトにおいて、
    (a)熱可塑性ポリアミド、(b)熱可塑性ポリアリレート、(c)熱可塑性ポリアセタール、(d)前記(a)〜(c)のうちのいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンド、および(e)前記(a)〜(c)のうちのいずれか1種または2種以上と熱可塑性樹脂とのポリマーアロイまたはポリマーブレンド、からなる群から選ばれる1種と、フッ素樹脂とを基材とし、カーボンブラックが添加されてなり、
    前記フッ素樹脂の融点が250℃以下であり、
    前記フッ素樹脂が、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、および、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド3元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性エンドレスベルト。
  2. 画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に転写保持し、これを記録媒体へと転写する中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、
    (a)熱可塑性ポリアミド、(b)熱可塑性ポリアリレート、(c)熱可塑性ポリアセタール、(d)前記(a)〜(c)のうちのいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンド、および(e)前記(a)〜(c)のうちのいずれか1種または2種以上と熱可塑性樹脂とのポリマーアロイまたはポリマーブレンド、からなる群から選ばれる1種と、フッ素樹脂とを基材とし、カーボンブラックが添加されてなり、
    前記フッ素樹脂の融点が250℃以下であり、
    前記フッ素樹脂が、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、および、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド3元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性エンドレスベルト。
  3. 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーである請求項1または2記載の導電性エンドレスベルト。
  4. 前記フッ素樹脂の添加量が、前記基材の総量に対し、0.1〜50重量%の範囲内である請求項1〜のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
  5. 前記カーボンブラックの添加量が、前記基材100重量部に対し、0.01〜40重量部の範囲内である請求項1〜のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
  6. 体積抵抗値が107〜1016Ω・cmである請求項1〜のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
  7. 前記駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材と嵌合する嵌合部を有する請求項1〜のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
  8. 前記嵌合部が、回転方向に沿って連続して突設された凸条である請求項記載の導電性エンドレスベルト。
  9. 請求項1〜のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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