JP2001132777A - 電磁クラッチおよびこれを用いた駆動力伝達装置 - Google Patents

電磁クラッチおよびこれを用いた駆動力伝達装置

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JP2001132777A JP31391099A JP31391099A JP2001132777A JP 2001132777 A JP2001132777 A JP 2001132777A JP 31391099 A JP31391099 A JP 31391099A JP 31391099 A JP31391099 A JP 31391099A JP 2001132777 A JP2001132777 A JP 2001132777A
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暁彦 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁クラッチの電磁コイルへの通電電流をデュ
ーティ制御する際の通電電流の繰り返しの変動の変動幅
を低減して、電磁クラッチのクラッチ特性の変動を抑制
するとともに異音の発生を防止する。 【解決手段】電磁クラッチにおける循環磁路Xの近傍
に、非磁性かつ高導電性部材である銅リング18を配設
する。銅リング18の配設により磁束数の変動に起因す
る逆起電圧が発生して、電磁コイルの電流変動とは逆向
きの逆向電流が発生する。この逆向電流は、通電電流の
変動を相殺すべく作用して、通電電流の繰り返しの変動
の変動幅を低減させ、電磁クラッチの係合力は変動幅の
少ない状態に維持され、また、係合力の繰り返しの変動
に起因する異音の発生が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁クラッチ、お
よびこれを用いた駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁クラッチの一形式として、実開平6
−16731号公報に示されているように、磁路形成部
材と、磁路形成部材の一側に位置するクラッチと、クラ
ッチの一側に位置するアーマチャと、磁路形成部材の他
側に位置する電磁石を備え、電磁石への通電により生じ
る磁力(吸引力)にてアーマチャを電磁石側へ吸引して
クラッチを係合させる形式の電磁クラッチがある。
【0003】当該形式の電磁クラッチにおいては、電磁
石の電磁コイルへの通電により上記した磁路を通る磁束
により、電磁石にアーマチャを吸引作用する磁力が発生
し、アーマチャは摩擦クラッチ側へ吸引されてクラッチ
を磁力に応じて押圧して係合させ、電磁クラッチはこれ
により作動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、当該形式の
電磁クラッチにおいては、電磁石の電磁コイルへ通電す
る電流はデューティ制御により所定の電流値に制御され
ている。デューティ制御は、電磁石の電磁コイルへ所定
電圧を断続的に印加するもので、印加電圧のON−OF
Fサイクル(デューティ比)を変化させることにより、
通電電流値を制御している。このため、電磁コイルへ通
電される電流値は印加電圧の各ON−OFF間で繰り返
し変動し、この電流変動が磁力の繰り返しの変動をもた
らす。この結果、電磁コイルへの通電により発生する磁
力が変動して、クラッチの係合力を繰り返し変動させる
ことになり、クラッチにおいては係合力の繰り返しの変
動により異音が発生するおそれがある。
【0005】また、当該電磁クラッチにおいては、クラ
ッチ特性が繰り返し変動することになり、当該電磁クラ
ッチをアクチュエータとする機器類の作動に影響を及ぼ
すことになる。例えば、当該電磁クラッチをパイロット
クラッチ機構とする駆動力伝達装置にあっては、電磁ク
ラッチのクラッチ特性の繰り返しの変動に起因して、カ
ム機構を介してメインクラッチの伝達トルクが繰り返し
変動するとともに、この伝達トルクの繰り返しの変動に
起因してにメインクラッチでは異音が発生するおそれが
ある。
【0006】従って、本発明の目的は、この種形式の電
磁クラッチにおいて、電磁コイルへ通電する電流のデュ
ーティ制御に起因する磁力の繰り返しの変動を可及的に
抑制して、クラッチ特性の繰り返しの変動を抑制するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は電磁クラッチに
関するもので、当該電磁クラッチは、磁路形成部材と、
同磁路形成部材の一側に位置するクラッチと、同クラッ
チの一側に位置するアーマチャと、前記磁路形成部材の
他側に位置する電磁石を備え、同電磁石への通電により
生じる磁力にて前記アーマチャを前記電磁石側へ吸引し
て前記クラッチを係合させる電磁クラッチであって、前
記電磁石への通電時に形成される循環磁路の近傍に、非
磁性かつ高導電性部材を配設したことを特徴とするもの
である。
【0008】また、本発明に係る電磁クラッチは、磁路
形成部材と、同磁路形成部材の一側に位置するクラッチ
と、同クラッチの一側に位置するアーマチャと、前記磁
路形成部材の他側に位置する電磁石を備え、デューティ
制御により前記クラッチの係合力を制御する電磁クラッ
チにおいて、前記デューティ制御にともなう磁束の変動
に起因して逆起電圧を発生する逆起電圧発生部材を、前
記電磁石への通電時に形成される循環磁路の近傍に配設
したことを特徴とするものであり、前記逆起電圧発生部
材として、非磁性かつ高導電性部材を採用することがで
きる。であることを特徴とする電磁クラッチ。
【0009】本発明に係る各電磁クラッチにおいては、
前記非磁性かつ高導電性部材は、銅、アルミ、カーボ
ン、コイルから選択されることが好ましく、また、前記
非磁性かつ高導電性部材の配設部位は前記磁路形成部材
または電磁石であること、特に同磁路形成部材における
循環磁路のループの内側であることが好ましい。
【0010】また、本発明は当該電磁クラッチを採用し
た駆動力伝達装置であり、当該駆動力伝達装置は、互い
に同軸的かつ相対回転可能に位置する外側回転部材と内
側回転部材間に配設されたメインクラッチおよびパイロ
ット機構と、これらメインクラッチおよびパイロット機
構間に配設されて前記パイロット機構にて発生する作用
力を前記メインクラッチに伝達して同メインクラッチを
作動させるカム機構を備え、前記パイロット機構として
前記電磁クラッチを採用したことを特徴とするものであ
る。
【0011】
【発明の作用・効果】本発明に係る電磁クラッチにおい
ては、電磁石の電磁コイルに通電することにより、電磁
石を基点として磁路形成部材、クラッチ、アーマチャを
循環するループ状の磁路が形成されて所定の大きさの磁
束が発生する。これにより、通電電流値に応じた磁力が
発生してアーマチャを電磁石側に吸引して、クラッチを
通電電流値に応じて係合させる。
【0012】しかして、当該電磁クラッチにおいては、
通電電流はデューティ制御により所定の電流値に制御さ
れていて、電磁コイルへの通電電流値は印加電圧の各O
N−OFF間で繰り返し変動して磁束数を変動させ、こ
の磁束数の変動が磁力の繰り返しの変動をもたらす。こ
のため、この状態をそのまま放置すれば、電磁コイルへ
の通電により発生する磁力の変動により、クラッチの係
合力を繰り返し変動させることになる。
【0013】しかしながら、当該電磁クラッチにおいて
は、循環磁路の近傍に配設した非磁性かつ高導電性部材
に、磁束数の変動に起因する逆起電圧が発生して、電磁
コイルの電流変動とは逆向きの逆向電流が発生する。こ
の逆向電流は、通電電流の変動を相殺すべく作用して、
通電電流の繰り返しの変動の変動幅を低減させる。これ
により、クラッチの係合力は変動が少ない安定した状態
に維持されるとともに、係合力の繰り返しの変動に起因
する異音の発生が低減される。
【0014】また、本発明に係る駆動力伝達装置におい
ては、当該電磁クラッチをパイロット機構として採用し
ていることから、パイロット機構にて発生する作用力は
変動の少ない安定したものとなり、メインクラッチの伝
達トルクの変動が低減されるとともに、メインクラッチ
での異音の発生が低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明すると、図1には本発明に係る電磁クラッチをパイロ
ットクラッチ機構として採用した駆動力伝達装置10が
示されている。駆動力伝達装置10は、図4に示すよう
に、四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達経路に搭
載される。なお、駆動力伝達装置10の主要部は、軸線
に対して略対称の構成であるため、図1には、駆動力伝
達装置10の略半分の部位を示し、他の略半分の部位を
省略している。
【0016】当該四輪駆動車において、トアランスアク
スル21はトランスミッション、トランスファおよびフ
ロントディファレンシャルを一体に備えるもので、エン
ジン22の駆動力をトランスアクスル21のフロントデ
ィファレンシャル23を介して、両アクスルシャフト2
4a,24aに出力して左右の前輪24b,24bを駆
動させるとともに、第1プロペラシャフト25側に出力
させる。第1プロペラシャフト25は、駆動力伝達装置
10を介して第2プロペラシャフト26に連結されてお
り、第1プロペラシャフト25と第2プロペラシャフト
26がトルク伝達可能に連結された場合には、駆動力は
リヤディファレンシャル27に伝達され、リヤディファ
レンシャル27から両アクスルシャフト28a,28a
へ出力されて左右の後輪28b,28bを駆動させる。
【0017】駆動力伝達装置10は、第1プロペラシャ
フト25と第2プロペラシャフト26間に配設されてい
るもので、図1に示すように、アウタケース10a、イ
ンナシャフト10b、メインクラッチ10c、パイロッ
トクラッチ機構10d、およびカム機構10eを備えて
いる。本発明の一例に係る電磁クラッチは、パイロット
クラッチ機構10dとして採用されている。
【0018】駆動力伝達装置10を構成するアウタケー
ス10aは、有底筒状のハウジング11aと、ハウジン
グ11aの後端開口部に嵌合螺着されて同開口部を覆蓋
するリヤカバー11bとにより形成されている。ハウジ
ング11aは非磁性材料であるアルミ合金にて、かつ、
リヤカバー11bは磁性材料である鉄にてそれぞれ形成
されている。リヤカバー11bは本発明の磁路形成部材
に該当する。なお、リヤカバー11bにはその中間部
に、非磁性材料であるステンレス製の筒体11cが埋設
されており、筒体11cは環状の非磁性部位を形成して
いる。
【0019】インナシャフト10bは、リヤカバー11
bの中央部を液密的に貫通してアウタケース10a内に
同軸的に挿入されていて、軸方向を規制された状態で、
ハウジング11aとリヤカバー11bに回転可能に支持
されている。インナシャフト10bには、第2プロペラ
シャフト26の先端部が挿入されて、トルク伝達可能に
連結される。なお、アウタケース10aを構成するハウ
ジング11aの前端部には、第1プロペラシャフト25
がトルク伝達可能に連結されている。
【0020】メインクラッチ10cは湿式多板式の摩擦
クラッチであり、多数のクラッチプレート(インナクラ
ッチプレート12a、アウタクラッチプレート12b)
を備え、ハウジング11a内に配設されている。メイン
クラッチ10cを構成する各インナクラッチプレート1
2aは、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌合
して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各アウタク
ラッチプレート12bはハウジング11aの内周にスプ
ライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。
各インナクラッチプレート12aと各アウタクラッチプ
レート12bは交互に位置していて、互いに当接して摩
擦係合するとともに互いに離間して自由状態となる。
【0021】パイロットクラッチ機構10dは、本発明
の一例に係る電磁クラッチであり、電磁石13、摩擦ク
ラッチ14、アーマチャ15、およびヨーク16にて構
成されている。電磁石13は環状を呈し、ヨーク16に
嵌着された状態でリヤカバー11bの環状凹所11dに
嵌合されている。ヨーク16は、リヤカバー11bの後
端部の外周に回転可能に支持された状態で車体側に固定
されている。
【0022】摩擦クラッチ14は、複数のアウタクラッ
チプレート14aとインナクラッチプレート14bとか
らなる湿式多板式の摩擦クラッチであり、各アウタクラ
ッチプレート14aはハウジング11aの内周にスプラ
イン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各
インナクラッチプレート14bは後述するカム機構10
eを構成する第1カム部材17aの外周に、スプライン
嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。
【0023】アーマチャ15は環状を呈するもので、ハ
ウジング11aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移
動可能に組付けられていて、摩擦クラッチ14の前側に
位置して対向している。
【0024】以上の構成のパイロットクラッチ機構10
dにおいては、電磁石13の電磁コイルへの通電によ
り、電磁石13を基点としてヨーク16、リヤカバー1
1b、摩擦クラッチ14およびアーマチャ15を循環す
る磁束が通るループ状の循環磁路Xが形成される。電磁
石13の通電電流は、デューティ制御により設定された
所定の電流値に制御される。
【0025】電磁石13の電磁コイルへの通電の断続
は、スイッチの切替え操作によりなされ、後述する3つ
の駆動モードを選択できるようになっている。当該スイ
ッチは、車室内の運転席の近傍に配設されて、運転者が
容易に操作し得るようになっている。なお、駆動力伝達
装置10を後述する第2の駆動モードのみの構成とすれ
ば、当該スイッチを省略できる。
【0026】カム機構10eは、第1カム部材17a、
第2カム部材17b、およびカムフォロアー17cにて
構成されている。第1カム部材17aは、インナシャフ
ト10bの外周に回転可能に嵌合されていて、リヤカバ
ー11bに回転可能に支承されており、その外周に摩擦
クラッチ14のインナクラッチプレート14bがスプラ
イン嵌合している。第2カム部材17bは、インナシャ
フト10bの外周にスプライン嵌合されて一体回転可能
に組付けられていて、メインクラッチ機構10cのイン
ナクラッチプレート12aの後側に対向して位置してい
る。第1カム部材17aと第2カム部材17bの互いに
対向するカム溝には、ボール状のカムフォロアー17c
が介在している。
【0027】かかる構成の駆動力伝達装置10において
は、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石1
3の電磁コイルが非通電状態にある場合には磁路は形成
されず、摩擦クラッチ14は非係合状態にある。このた
め、パイロットクラッチ機構10dは非作動の状態にあ
って、カム機構10eを構成する第1カム部材17aは
カムフォロアー17cを介して第2カム部材17bと一
体回転可能であり、メインクラッチ10cは非作動の状
態にある。このため、車両は二輪駆動である第1の駆動
モードを構成する。
【0028】一方、電磁石13の電磁コイルへの通電が
なされると、パイロットクラッチ機構10dには電磁石
13を基点とするループ状の循環磁路Xが形成されて磁
力が発生して、電磁石13はアーマチャ15を吸引す
る。このため、アーマチャ15は摩擦クラッチ14を押
圧して摩擦係合させ、カム機構10eの第1カム部材1
7aをアウタケース10a側へ連結させて、第2カム部
材17bとの間に相対回転を生じさせる。この結果、カ
ム機構10eでは、カムフォロアー17cが両カム部材
17a,17bを互いに離間する方向へ押圧する。
【0029】このため、第2カム部材17bはメインク
ラッチ10c側へ押動されて、メインクラッチ10cを
ハウジング11aの奥壁部とにより押圧して、摩擦クラ
ッチ14の摩擦係合力に応じて摩擦係合させる。これに
より、アウタケース10aとインナシャフト10b間で
のトルク伝達が生じ、車両は第1プロペラシャフト25
と第2プロペラシャフト26が非直結状態と直結状態間
での四輪駆動である第2の駆動モードを構成する。この
駆動モードでは、車両の走行状態に応じて、前後輪間の
駆動力分配比を100:0(二輪駆動状態)〜直結状態
の範囲で制御することができる。
【0030】この第2の駆動モードでは、車輪速セン
サ、スロットル開度センサ、舵角センサ等各種のセンサ
からの信号に基づいて、車両の走行状態や路面状態に応
じて電磁コイルへの通電電流をデューティ制御すること
により、摩擦クラッチ14の摩擦係合力、すなわち、後
輪側への伝達トルクを制御される。
【0031】また、電磁石13の電磁コイルへの通電電
流を所定の値に高めると電磁石13のアーマチャ15に
対する吸引力が増大し、アーマチャ15は強く吸引され
て摩擦クラッチ14の摩擦係合力を増大させ、両カム部
材17a,17b間の相対回転を増大させる。この結
果、カムフォロアー17cは第2カム部材17bに対す
る押圧力を高めて、メインクラッチ機構10cを結合状
態とする。このため、車両は第1プロペラシャフト25
と第2プロペラシャフト26が直結状態の四輪駆動であ
る第3の駆動モードを構成する。
【0032】しかして、当該駆動力伝達装置10におい
ては、リヤーカバー11bの凹所11dに銅リング18
が嵌着されていて、電磁石13の前側にてループ状の磁
路Xの内側に位置している。銅リング18は、本発明に
おける非磁性かつ高導電性部材に該当するもので、電磁
石13の電磁コイルへの通電電流がデューティ制御によ
り所定の電流値に制御される場合、銅リング18では磁
路Xにおける磁束φの数の変動に起因して逆起電圧が発
生して、電磁コイルの電流変動とは逆向きの電流(逆向
電流)が発生する。この逆向電流は、通電電流の変動を
相殺すべく作用して、通電電流の繰り返しの変動の変動
幅を低減させる。
【0033】図5のグラフは、デューティ制御における
電圧Vと電流Aの経時的変化を示すもので、電磁石13
の電磁コイルへの通電電流は所定の印加電圧をON−O
FFサイクル(デューティ比)を変化させることによ
り、所定の電流値に制御される。グラフにおいて、実線
で示す広幅の柱Y、1点鎖線で示す狭幅の柱Zは電圧を
示し、各柱Y,Zの横幅はONしている時間(t1Y,
t1Z)、間隔幅はOFFしている時間(t2Y,t2
Z)を示している。当該デューティ制御でのデューティ
比は、t1Y/(t1Y+t2Y),t1Z/(t1Z+t2
Z)である。
【0034】当該デューティ制御においては、印加電圧
を柱YのごとくON−OFF制御することにより、例え
ば通電電流の電流値を曲線Y1(実線)のごとく5Aに
制御し、印加電圧を柱ZのごとくON−OFF制御する
ことにより、例えば通電電流の電流値を曲線Z1(1点
鎖線)のごとく2Aに制御することができる。
【0035】図6のグラフは、デューティ制御における
起磁力NIの経時的変化を示すもので、印加電圧を柱Y
のごとくON−OFF制御することにより、磁路Xでは
曲線Y2(実線)のごとき起磁力NIが発生する。この
起磁力NIは、印加電圧をON−OFF制御している間
繰り返し変動して磁束数φを変動させ、この磁束φの数
の変動が磁力の繰り返しの変動をもたらす。このため、
この状態をそのまま放置すれば、電磁コイルへの通電に
より発生する磁力の変動により、クラッチの係合力を繰
り返し変動させることになる。
【0036】しかしながら、当該駆動力伝達装置10に
おいては、リヤカバー11bに配設されている非磁性か
つ高導電性である銅リング18に、磁束φの数の変動に
起因して曲線Y3(1点鎖線)のごとき逆向きの起磁力
NIが発生する。銅リング18には、この逆向きの起磁
力NIにより逆起電圧が発生して、電磁コイルの電流変
動とは逆向きの逆向電流が発生する。この逆向電流は、
図5のグラフ中の曲線Y4(実線)で示すもので、曲線
Y1で示す通電電流の変動を相殺すべく作用する。つま
り、通電電流の繰り返しの変動の変動幅が低減されるの
で、磁束φの数の変動が低減される。
【0037】これにより、パイロットクラッチ機構10
dの摩擦係合力は変動幅の少ない安定した状態に維持さ
れるとともに、摩擦係合力の繰り返しの変動に起因する
摩擦クラッチからの異音の発生が低減される。これにと
もない、当該駆動力伝達装置10においては、カム機構
10eを介してメインクラッチ10cに伝達される作用
力は変動の少ない安定したものとなり、メインクラッチ
10cでの伝達トルクの変動が低減されるとともに、メ
インクラッチ10cでの異音の発生が低減される。
【0038】また、印加電圧を図5の柱ZのごとくON
−OFF制御する場合も、柱YのごとくON−OFF制
御する場合と同様であり、この場合に発生する逆向電流
は、図5のグラフ中の曲線Z4(1点鎖線)であって、
この逆向電流が曲線Z1で示す通電電流の変動を相殺す
べく作用して同様の作用効果をもたらす。
【0039】なお、図1に示す駆動力伝達装置10にお
いては、リヤカバー11bの凹所11dに銅リング18
を嵌着しているが、銅リング18に換えてカーボン等の
非磁性かつ高導電性部材からなるリングを採用すること
ができる。
【0040】図2および図3には、銅リング18とは異
なる非磁性かつ高導電性部材を配設した例を示すもの
で、図2に示す例は、図1に示す銅リング18を廃止す
るともに、ステンレス製の筒体11cを非磁性かつ高導
電性のリング18aに変更したものである。リング18
aとしては、銅等の金属製リング、カーボンリングが好
適に採用できる。また、図3に示す例は、図1に示す銅
リング18に換えて、電磁石13の電磁コイルと同様の
コイル18bを採用したもので、コイル18bはその両
端を短絡させた状態で電磁石13に並列して配設されて
いる。これらのリング18aおよびコイル18bは、銅
リング18と同様に作用して同様の効果を奏するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る電磁クラッチをパイロット
クラッチ機構として採用した駆動力伝達装置の部分断面
図である。
【図2】同パイロットクラッチ機構における非磁性かつ
高導電性部材の配設状態の変形例を示す部分断面図であ
る。
【図3】同パイロットクラッチ機構における非磁性かつ
高導電性部材の配設状態の他の変形例を示す部分断面図
である。
【図4】同駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車の概略
構成図である。
【図5】デューティ制御における電圧Vと電流Aの経時
的変化を示すグラフである。
【図6】デューティ制御における起磁力NIの経時的変
化を示すグラフである。
【符号の説明】 10…駆動力伝達装置、10a…アウタケース、10b
…インナシャフト、10c…メインクラッチ、10d…
パイロットクラッチ機構、10e…カム機構、11a…
ハウジング、11b…リヤカバー、11c…筒体、11
d…凹所、12a…インナクラッチプレート、12b…
アウタクラッチプレート、13…電磁石、14…摩擦ク
ラッチ、14a…アウタクラッチプレート、14b…イ
ンナクラッチプレート、15…アーマチャ、16…ヨー
ク、17a…第1カム部材、17b…第2カム部材、1
7c…カムフォロアー、18…銅リング、18a…リン
グ、18b…コイル、21…トランスアクスル、22…
エンジン、23…フロントディファレンシャル、24a
…アクスルシャフト、24b…前輪、25,26…プロ
ペラシャフト、27…リヤディファレンシャル、28a
…アクスルシャフト、28b…後輪。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久志野 宏 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 池田 暁彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大葉 充 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁路形成部材と、同磁路形成部材の一側に
    位置するクラッチと、同クラッチの一側に位置するアー
    マチャと、前記磁路形成部材の他側に位置する電磁石を
    備え、同電磁石への通電により生じる磁力にて前記アー
    マチャを前記電磁石側へ吸引して前記クラッチを係合さ
    せる電磁クラッチにおいて、前記電磁石への通電時に形
    成される循環磁路の近傍に、非磁性かつ高導電性部材を
    配設したことを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 【請求項2】磁路形成部材と、同磁路形成部材の一側に
    位置するクラッチと、同クラッチの一側に位置するアー
    マチャと、前記磁路形成部材の他側に位置する電磁石を
    備え、デューティ制御により前記クラッチの係合力を制
    御する電磁クラッチにおいて、前記デューティ制御にと
    もなう磁束の変動に起因して逆起電圧を発生する逆起電
    圧発生部材を、前記電磁石への通電時に形成される循環
    磁路の近傍に配設したことを特徴とする電磁クラッチ。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の電磁クラッチにおいて、
    前記逆起電圧発生部材は非磁性かつ高導電性部材である
    ことを特徴とする電磁クラッチ。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3に記載の電磁クラッ
    チにおいて、前記非磁性かつ高導電性部材は銅、アル
    ミ、カーボン、コイルから選択されることを特徴とする
    電磁クラッチ。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4に記載の電磁ク
    ラッチにおいて、前記非磁性かつ高導電性部材は、前記
    磁路形成部材または前記電磁石に配設されることを特徴
    とする電磁クラッチ。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の電磁クラッチにおいて、
    前記非磁性かつ高導電性部材は前記磁路形成部材におけ
    る循環磁路のループの内側に配設されることを特徴とす
    る電磁クラッチ。
  7. 【請求項7】請求項1,2,3,4,5または6に記載
    の電磁クラッチを用いた駆動力伝達装置であり、互いに
    同軸的かつ相対回転可能に位置する外側回転部材と内側
    回転部材間に配設されたメインクラッチおよびパイロッ
    ト機構と、これらメインクラッチおよびパイロット機構
    間に配設されて前記パイロット機構にて発生する作用力
    を前記メインクラッチに伝達して同メインクラッチを作
    動させるカム機構を備え、前記パイロット機構として前
    記電磁クラッチを採用したことを特徴とする駆動力伝達
    装置。
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JP2002206566A (ja) * 2001-01-11 2002-07-26 Toyoda Mach Works Ltd 駆動力伝達制御装置

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