JP2001131124A - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの製造方法

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JP2001131124A
JP2001131124A JP31570399A JP31570399A JP2001131124A JP 2001131124 A JP2001131124 A JP 2001131124A JP 31570399 A JP31570399 A JP 31570399A JP 31570399 A JP31570399 A JP 31570399A JP 2001131124 A JP2001131124 A JP 2001131124A
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diaryl carbonate
hot water
organic phase
water treatment
kgf
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Masaaki Miyamoto
正昭 宮本
Seiji Hisama
清次 久間
Toru Egashira
徹 江頭
Hidetoshi Urashima
英俊 浦嶋
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネ
ート製造時の重合触媒被毒物質を含まない重合原料ジア
リールカーボネートを、分解損失を抑制しながら製造す
る方法を提供する。 【解決手段】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
又はジアルキルカーボネートとを反応させて得たジアリ
ールカーボネートを含有する反応混合物を、温水と接触
させ、水相と有機相に分離し、該有機相よりジアリール
カーボネートを回収するジアリールカーボネートの製造
方法において、下記数式(1)で求められる、温水処理
槽内の単位流量当たりの攪拌動力(P/q)として、8
0(kgf・m/l)以上の負荷を与えることを特徴と
するジアリールカーボネートの製造方法。 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(1) Np:攪拌動力定数、ρ:温水処理液の比重(kg/m
3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の翼
径(m)、q:温水処理液の流量(l/sec)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度に精製され
たジアリールカーボネートを高収率で製造する方法に関
するものである。本発明で得られたジアリールカーボネ
ートは、溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネ
ートを製造する原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】ジアリールカーボネートの製造方法とし
ては、種々の製造法が知られている。例えば、アルカリ
水溶液中での芳香族モノヒドロキシ化合物の相界面ホス
ゲン化法(Schotten−Baumann反応)が
知られている。この場合、アルカリ水溶液によりホスゲ
ンの部分ケン化が起こると共に、副生成物として大量の
塩化ナトリウムを生じるので、ホスゲンの有効利用率の
低下、アルカリ使用による原料コストの増加、排水処理
等の問題を生じる。
【0003】また、米国特許第2,837,555号明
細書には、触媒としてハロゲン化テトラメチルアンモニ
ウムの存在下に無溶媒縮合を行うことが提案されてい
る。しかしながら、この方法では経済的な反応速度を得
るためには、比較的多量の触媒を必要とし、且つ180
〜215℃という高い温度を用いることが必要であり、
そのために熱的に不安定なハロゲン化テトラメチルアン
モニウムの分解の恐れを伴う。加うるに、化学量論的に
必要とされる量よりもずっと高い割合でホスゲンが消費
される。
【0004】かかる問題を解決する手段として、芳香族
モノヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応を、触媒量の
芳香族複素環式塩基性窒素化合物またはその塩の存在に
おいて行ってジアリールカーボネートを製造する方法が
提案されている(特公昭58−50977号公報参
照)。反応混合物中に含有される触媒を分離する方法と
して該公報には、反応混合物蒸留時の釜残物質として易
融解性付加物として単離する方法と、反応溶融物の底に
沈降した第2の液相から触媒を単離する方法が記載され
ている。
【0005】しかし、前者の蒸留釜残として易融解性付
加物の状態で分離できる触媒は、塩酸付加物の熱安定性
や沸点の上から限られており、後者の反応溶融物からの
液液分離の場合には、ジアリールカーボネート中へかな
りの触媒の塩が溶解し、これを原料としてビスフェノー
ルAとエステル交換法により製造された芳香族ポリカー
ボネートは色相が悪かったり、金型を腐食する。
【0006】一方、特開平7−138208号公報にあ
る、ジアリールカーボネートを得るプロセスでも、副生
してくる無機物や有機物を水洗浄することが重要で、そ
の洗浄効率も有機相から水相への物質移動が律速となっ
ている。
【0007】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
またはアリールクロロフォーメートとを反応させた場
合、ジアリールカーボネートの他に塩酸が副生する。ア
ルカリ水溶液中での反応例等を除いて、この塩酸の一部
が、反応混合物への溶解、塩基性触媒との付加物の形成
等により、反応混合物中に残存する。塩酸等の加水分解
性塩素を有する化合物は、ジアリールカーボネートから
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製
造する際の重合触媒に被毒作用を示す物質として知られ
ており、ジアリールカーボネート中の含有量を数十pp
b以下とすることが望ましい。塩酸を含んだ反応混合物
を中和する場合、アルカリ水溶液と接触させるのが一般
的であり、高いpHで処理する方が充分に中和を行える
が、ジアリールカーボネートを含む反応混合物の場合、
過剰にアルカリを使用するとジアリールカーボネートの
加水分解が著しくなる(特開平11−5766号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物と、ホスゲンまたはジアルキルカーボ
ネートとを反応させて得た、ジアリールカーボネートを
含有する反応混合物を、温水処理する際の攪拌動力(P
/q)として80kgf・m/l以上の負荷を与え、物
質移動律速を回避した領域で洗浄した後、有機相と水相
に分離し、該有機相よりジアリールカーボネートを回収
することにより、溶融エステル交換法による芳香族ポリ
カーボネート製造において重合触媒に被毒作用を示す物
質を含まない高純度のジアリールカーボネートを、精製
工程におけるジアリールカーボネートの加水分解を抑制
しながら製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族モノヒ
ドロキシ化合物と、ホスゲンまたはジアルキルカーボネ
ートとを反応させて得たジアリールカーボネートを含有
する反応混合物を、温水と接触させ水相と有機相に分離
し、該有機相よりジアリールカーボネートを回収するジ
アリールカーボネートの製造方法において、下記数式
(1)で求められる、温水処理槽内の単位流量当たりの
攪拌動力(P/q)として80kgf・m/l以上の負
荷を与えることを特徴とするジアリールカーボネートの
製造方法と提供するものである。 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(1) Np:攪拌動力定数、ρ:温水処理液の比重(kg/m
3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の翼
径(m)、q:温水処理液の流量(l/sec)
【0010】
【発明の実施の形態】原料及び補助材料 芳香族モノヒドロキシ化合物: 芳香族モノヒドロキシ
化合物としては、芳香環に直接ヒドロキシ基が結合して
いるものであり、フェノール、クレゾールやブチルフェ
ノール等のアルキルフェノール類、アリールフェノール
類、ハロゲン化フェノール類及びヘテロ原子を介してア
ルキル又はアリール基の結合したフェノール類が使用で
きる。 アリールクロロフォーメート: アリールクロロフォー
メートとしては、前記芳香族モノヒドロキシ化合物のク
ロロフォーメートが使用できる。
【0011】ホスゲン: ホスゲンとしては、塩化メチ
レンや四塩化炭素や塩素等の不純物を含有しない純粋の
ものが好ましい。ホスゲン導入量としては、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物1.0モルに対して1.0モル以下が
好ましく、0.4〜0.5モルがさらに好ましい。化学
量論量は0.5モルであるが、ホスゲンの導入量を化学
量論量以下に抑制することにより、未反応の芳香族モノ
ヒドロキシ化合物が必然的に残存し、反応中間体である
アリールクロロフォーメートと芳香族モノヒドロキシ化
合物のジアリールカーボネート生成反応が促進されて、
工業用グレードの着色のないポリカーボネートが得られ
る。 ジアルキルカーボネート: ジメチルカーボネートが最
も代表的であり、その製造方法に特に制限はないが、一
般的には、メチルアルコールと一酸化炭素を原料とし、
塩化第一銅触媒の存在下、酸素で気相酸化することによ
って得られる。一酸化炭素に代えて尿素を使用し、脱ア
ンモニア反応をくり返しても得られる。
【0012】芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はそ
の塩: 触媒として用いられる芳香族複素環式含窒素塩
基性化合物としては、窒素原子が芳香族の5員環又は6
員環中に存在しており、かつ、反応条件下にホスゲン又
は炭酸エステルと強固な結合を生じやすい官能基(例え
ば、アミノ基又はヒドロキシ基)を有していない塩基性
窒素化合物であり、環には、窒素原子の他に酸素、硫黄
等の他のヘテロ原子を有していても良い。かかる塩基性
触媒の具体例としては、ピリジン、キノリン、ピコリ
ン、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、ピラゾー
ル類、トリアゾール類及びベンゾトリアゾール類であ
る。
【0013】上記塩基性触媒は、反応混合物中で直ちに
相当する塩酸塩に変化する。この塩酸塩は遊離型の塩基
性触媒と解離平衡の状態にあるため、遊離型の塩基性触
媒の代わりに、塩基性触媒の塩、例えば、塩酸塩や硫酸
塩等の無機酸塩、蟻酸塩や酢酸塩等の有機酸塩を使用す
ることができる。これらの触媒は、芳香族モノヒドロキ
シ化合物1.0モルに対して、0.001〜0.20モ
ルの量で使用することが好ましく、0.01〜0.10
モルの使用がさらに好ましい。
【0014】アルカリ: 塩酸塩型の塩基性触媒の中和
剤として用いられるアルカリとしては、ナトリウム、カ
リウム、カルシウム及びバリウムの水酸化物、炭酸及び
リン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩が使用でき
る。
【0015】フローシート 本発明のジアリールカーボネート製造方法の一例を、図
1のフローシートを用いて説明する。図中、1は第1反
応器、2は第2反応器、3は第3反応器、4は中和槽、
5、7は分離槽、6は温水処理槽、8は蒸留装置、1
1、12、13、14、15及び16はそれぞれ芳香族
モノヒドロキシ化合物、塩基性触媒又はその塩、ホスゲ
ン、不活性ガス、アルカリ水溶液及び温水導入用の配
管、21、22、23、24、25、26、27、28
及び29はそれぞれ第1反応器反応混合物、第2反応器
排ガス、第2反応器排液、第3反応器排ガス、第3反応
器排液、中和液、その分離有機相、温水処理液及びその
分離有機相排出用の配管、31、32、33、34及び
35はそれぞれ第1反応器、第2反応器、第3反応器、
中和槽及び温水処理槽に設置された撹拌機を示す。
【0016】反応:加熱溶融した芳香族モノヒドロキシ
化合物(11)、塩基性触媒又はその塩(12)及びガ
ス状のホスゲン(13)を、第1反応器(1)に連続的
に供給し、120〜190℃の温度で、撹拌(31)を
行いながら反応を行う。その際、ホスゲン(13)は図
示するように反応器内の液相部に導入される。また、塩
基性触媒又はその塩(12)は、加熱溶融した芳香族モ
ノヒドロキシ化合物(11)の一部又は全部と混合して
導入してもよい。
【0017】第1反応器反応混合物は気液分散状態のま
ま連続的に排出され、配管(21)を経て第2反応器
(2)に導入され、撹拌下(32)更に反応を進めホス
ゲンの転化率を向上させる。第2反応器排ガスは、主に
反応によって発生した塩化水素及び未反応ホスゲンから
なり、配管(22)から排出され、コンデンサー(図示
せず)を経て系外にパージされる。従って、このホスゲ
ンの消費率を向上させることは重要となる。
【0018】第2反応器排液は配管(23)から排出さ
れ、更に第3反応器(3)に導入され、撹拌(33)
下、窒素ガスのような不活性ガス(14)を吹き込んで
液中に溶存する塩化水素ガスを除去し、クロロフォーメ
ート体の押し切り反応(芳香族モノヒドロキシ化合物と
の平衡反応によるジアリールカーボネートへの転換)を
促進する。第3反応器排ガスは、不活性ガスに同伴され
た塩化水素であり、配管(24)から排出され、塩化水
素は必要に応じ精製を施し回収塩酸として再利用され
る。不活性ガスは、塩酸回収後この反応器に再循環使用
することもできる。なお、反応器2基の場合は、第2反
応器を省略し、第1反応器と第3反応器で運転すること
もできる。
【0019】分離・回収:反応終了後の混合物中には、
ジアリールカーボネート、未反応芳香族モノヒドロキシ
化合物、塩基性触媒の塩酸塩及び微量不純物が含まれて
おり、塩素含有量は、触媒の使用量に応じて約300〜
60,000ppmとなる。第3反応器排液は、配管
(25)を経て中和槽(4)に供給し、撹拌下(34)
アルカリ水溶液(15)と接触させて塩基性触媒の塩酸
塩を中和する。中和液は、配管(26)を経て分離槽
(5)に導入し、ここで有機相と水相に分離する。分離
槽(5)から排出される有機相は、配管(27)を経て
温水処理槽(6)に供給し、撹拌下(35)更に温水
(16)と接触させた後、温水処理液は配管(28)を
経て分離槽(7)に導入し、ここで再び、有機相と水相
に分離する。塩素は水相とともに除去される。
【0020】上記の中和・温水処理を行い最終的に分離
された有機相は、塩素の含有量が約100ppb以下に
低減されている。分離槽(7)から排出される有機相
は、配管(29)を経て蒸留装置(8)に供給し、そこ
で蒸留によって、遊離型の塩基性触媒、未反応芳香族モ
ノヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートを分離
回収する。蒸留は、蒸留時の加熱によるジアリールカー
ボネートの分解を抑えるためには1〜100torr、
実用上は5〜50torrの減圧蒸留が好ましい。蒸留
装置は、複数の蒸留塔(図示せず)から構成されていて
もよい。例えば、塩基性触媒を容易に効率良く回収する
ために、第1蒸留塔で軽沸物(未反応芳香族モノヒドロ
キシ化合物、遊離型の塩基性触媒及び水分等)を分離
し、第2蒸留塔で高沸不純物と製品ジアリールカーボネ
ートに分離してもよい。
【0021】塩素の除去を行う、中和工程及び温水処理
工程のうち、中和工程では、反応混合物中に存在する塩
基性触媒の塩酸塩が、アルカリ水溶液との接触により、
完全に遊離型の塩基性触媒に転化できる処理条件が選択
されるが、具体的には、撹拌動力及びpHを所定の範囲
内に調整することが必要である。すなわち、この反応混
合物とアルカリ水溶液と接触させる時、中和液に与えら
れる負荷を、下記数式(2)で求められる攪拌動力(P
/q)として 80kgf・m/l以上、好ましくは1
00kgf・m/l以上 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(2) Np:攪拌動力定数、ρ:中和液の比重(kg/
3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の
翼径(m)、q:中和液の流量(l/sec) に調整することにより、反応段階で微量に残存したアリ
ールクロロフォーメート及び加水分解性塩素含有物を完
全に消失させることができる。一定の攪拌動力が加わっ
たことを検知する手段として、攪拌軸にトルクメーター
を設置し動力値を実測する。また、計算上の動力値との
比で機器ごとにNpの値を算出する。しかも、中和時の
pH6.0〜9.5、好ましくはpH7.0〜9.0の
範囲が選択される。中和時のpHが上記の範囲を超える
と、ジアリールカーボネートの分解が増大し、また上記
範囲未満では遊離型の塩基性触媒への転化が不十分とな
るので好ましくない。
【0022】また、温水処理工程では、塩基性触媒の塩
酸塩の中和の際に副成し有機相中に溶存する中和塩(ア
ルカリの塩酸塩)を、温水で十分に抽出し、製品ジアリ
ールカーボネート中の塩素含有量を、重合を阻害しない
量まで低減可能な処理条件が選択される。具体的には、
使用する温水(16)の量は、有機相(27)の重量に
対して、通常0.01〜20倍、好ましくは0.2〜1
倍であることが好ましい。水の量が少なすぎると塩素除
去の効果が十分でなく、多すぎると分離した水相中に飽
和で包含されるフェノールの回収に手間がかかり好まし
くない。中和工程及び温水処理工程の攪拌と分離を適切
に行えば、温水処理は1回で十分であるが、攪拌や分離
が不十分で塩素の含有量が十分には低下しない場合は、
温水との接触及び水相と有機相の分離からなる工程が複
数回必要となり、結果的に得られたジアリールカーボネ
ートが加水分解する機会を増やすこととなり好ましくな
い。
【0023】それゆえ、温水処理工程においても、温水
処理液に与えられる負荷を、下記数式(1)で求められ
る撹拌動力(P/q)として、80kgf・m/l以
上、好ましくは100kgf・m/l以上 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(1) Np:攪拌動力定数、ρ:温水処理液の比重(kg/m
3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の翼
径(m)、q:温水処理液の流量(l/sec) に調整することにより、十分な効果が得られる。この要
件は、芳香族モノヒドロキシ化合物とジアルキルカーボ
ネートとの反応によるジアリールカーボネートの製造に
おいても重要である。この反応では、中和塩を生成する
ことはないが、得られるジアリールカーボネートは、反
応副生物や触媒残査等、エステル交換を阻害する要因と
なる有害物質を含むので、これらを除去するために、温
水との接触及びそれに続く水相の分離が有効なことが多
いからである。
【0024】また、中和工程及び温水処理工程の温度
は、有機相及び水相がいずれも液状を保持し、両者間で
の液・液接触が可能な温度が選ばれるが、中和反応の促
進及び中和塩や上記有害物質等の水相への抽出効果を考
慮すると、50〜100℃、好ましくは65〜90℃の
範囲で行うことが望ましい。
【0025】本発明のジアリールカーボネートの製造
は、連続式でも、バッチ式(回分式)でもよい。このよ
うにして得られる製品ジアリールカーボネートは、塩素
含有量40ppb以下であり、重合を阻害しない。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、D
PC(ジフェニルカーボネート)分解率及び塩素含有量
の測定及び表示は、下記の手順による。
【0027】DPC分解率 中和前の反応液、中和後の
有機相及び温水処理後の有機相の含有DPC、フェノー
ル量は、その0.2gをアセトニトリルを溶媒として1
0mlとし、ガスクロ法(GC:島津GC17A、カラ
ム:島津CPGIキャピラリー0.22mmφ×50
m)にて分析。中和後の水相及び温水処理後の水相の含
有DPC、フェノール量は、その0.4gをアセトニト
リルを溶媒として10mlとし、液クロ法(LC:島津
LC6A、カラム:MCIGEL−ODS1HU)にて
分析。中和工程及び温水処理工程について、それぞれ、
上記の諸分析値から中和及び温水処理前後のDPC減少
量(mol)を求め、中和及び温水処理前のDPC量
(mol)に対する比率を算出し、DPC分解率(mo
l%)として表示した。
【0028】塩素含有量 DPC又はこれを含む有機相
約5gを精秤してトルエン10mlに加え、60℃で溶
解後、超純水(塩素イオンを含有しないイオン交換水)
10mlを加え、23℃の恒温室で、マグネチックスタ
ーラを用い1000rpmで10分間攪拌した後、DP
C又はこれを含む有機相から水相を分離した。水相中に
抽出された塩素イオンを、イオンクロマトグラフで定量
分析した。分析結果は、DPC又はこれを含む有機相の
重量に対する、塩素の量として表示した。
【0029】実施例1反応 図1に示すように、オイル循環方式の外部加熱装置に接
続された、ジャケット及び撹拌機付きのガラスライニン
グ製反応容器(内容積が60l、実液29lの位置にオ
ーバーフロー管を設置)を3基直列に接続した。第1反
応器(1)には、フェノール導入管(11)、触媒導入
管(12)及びホスゲン導入管(13)を接続し、第2
反応器(2)には、塩化水素ガス排出用のコンデンサー
付き排気管(22)を接続し、第3反応器(3)には窒
素ガス導入管(14)及び塩化水素ガス排出用の排気管
(24)を接続した。第1反応器(1)へ、あらかじめ
触媒ピリジンを5モル%添加して撹拌しておいた溶融フ
ェノールを、約29l/hr(フェノール29.7kg
/hr、ピリジン1.24kg/hrに相当)で連続供
給しながら、150℃へ昇温した。また、攪拌機(3
1)にはテフロンライニング製のデイスクタービン翼を
装備し、これを駆動させた。一方、供給されるフェノー
ルに対し0.46モル比のホスゲン(14.4kg/h
r)を第1反応器へ連続供給した。第1反応器(1)か
ら流出した反応混合物は、オーバーフロー管(21)を
介して第2反応器(2)へ供給し、第2反応器から流出
した反応混合物は、第3反応器(3)に供給され、反応
混合物中へ導入される窒素ガス0.5m3 /hrと混合
接触させ、塩化水素ガス及びフェニルクロロフォーメー
トガスを同伴除去させた。
【0030】中和・温水処理 第3反応器(3)から流出した反応混合物(組成:DP
C89重量%、フェノール6重量%、ピリジン塩酸塩5
重量%、フェニルクロロフォーメート0.03重量%)
は、オイル循環方式の外部加熱装置に接続された、ジャ
ケット及び撹拌機付きテフロンライニング製中和槽
(4)に供給され、温水処理工程からの循環水を含む2
5%水酸化ナトリウム水溶液と、温度80℃、攪拌動力
(P/q)として100kgf・m/lの条件で、混合
接触させて中和した。この時、中和槽に設置したpH計
の値が8.5になるように、アルカリ水溶液の供給量を
調整した。この時の中和槽(4)での液滞留時間は8分
間であつた。この中和液は、テフロンライニング製分離
槽(5)に導かれ、有機相と水相に分離された。この時
の分離槽(5)での滞留時間は30分間であつた。更に
分離された有機相は、温水処理槽(6)に供給されて温
水(水相/有機相比=0.3)と、温度80℃、攪拌動
力(P/q)として200kgf・m/lで、8分間攪
拌混合された後、分離槽(7)にて30分間の静置時間
を経て、再び水相から分離された。中和工程と温水処理
工程におけるDPCの分解率を測定したところ、中和工
程で0.7%、温水処理工程で0.4%であり、合計
1.1%であった。また、分離された有機相中の塩素含
有量をイオンクロマトグラフで分析したところ、中和工
程後(27)で5ppmであり、温水処理工程後(2
9)で43ppbであった。
【0031】蒸留 上記温水処理後に分離された有機相からは、第1蒸留塔
における減圧蒸留により未反応フェノール、ピリジン、
水の軽沸点物が分離除去され、次に第2蒸留塔において
製品DPCを分離取得した。この製品DPC中の塩素含
有量は20ppb以下であった。
【0032】実施例2〜3 中和時の攪拌動力(P/q)を、実施例2では200k
gf・m/lに変更し、実施例3では400kgf・m
/lに変更した以外は、実施例1と全く同様にして製品
DPCを得た。その結果は、表−1に示すように、DP
Cの中和・温水処理時の分解率に有意差は無く、中和後
の塩素含有量は撹拌動力が大きいほど低下しているが、
温水処理後及び製品の塩素含有量に、いずれも有意差は
なかった。
【0033】実施例4〜5 中和時のpHを、実施例4では8に変更し、実施例5で
は9に変更した以外は、実施例2と全く同様にして製品
DPCを得た。その結果は、表−1に示すように、中和
時及び温水処理時のDPCの分解率合計は、実施例4で
0.8%と減少し、実施例5で1.6%と若干増加した
が、中和後、温水処理後及び製品の塩素含有量に、いず
れも有意差はなかった。
【0034】実施例6 中和時の温度を90℃に変更した以外は、実施例4と全
く同様にして製品DPCを得た。その結果は、表−1に
示すように、中和時及び温水処理時のDPCの分解率合
計が、実施例4の0.8%に対し、実施例6では1.3
%と若干増加したが、中和後、温水処理後及び製品の塩
素含有量に、いずれも有意差はなかった。
【0035】実施例7〜8 温水処理時の撹拌動力(P/q)を、実施例7では10
0kgf・m/lに変更し、実施例8では400kgf
・m/lに変更した以外は、実施例2と全く同様にして
製品DPCを得た。その結果は、表−1に示すように、
温水処理後及び製品の塩素含有量に、いずれも有意差は
無かった。
【0036】比較例1〜2 中和時の攪拌動力(P/q)を、比較例1では50kg
f・m/lに変更し、比較例2では20kgf・m/l
に変更した以外は、実施例1と全く同様にして製品DP
Cを得た。その結果は、表−1に示すように、中和時及
び温水処理時のDPCの分解率に、いずれも有意差は無
かったが、中和後、温水処理後及び製品の塩素含有量
が、いずれも大幅に増加した。
【0037】比較例3 中和槽に供給される反応混合物の流量を半分に変更し
た、従って中和槽での液滞留時間が倍になり、攪拌動力
(P/q)も倍の40kgf・m/lになった以外は、
比較例2と全く同様にして製品DPCを得た。その結果
は、表−1に示すように、中和時及び温水処理時のDP
Cの分解率合計が2.3%に増加した。また、中和後、
温水処理後及び製品の塩素含有量はいずれも、比較例2
に比し減少はしたが、各実施例に比べれば大幅に多い値
であった。
【0038】比較例4 中和時のpHを5に変更した以外は、実施例2と全く同
様にして製品DPCを得た。その結果は、表−1に示す
ように、中和時及び温水処理時のDPCの分解率合計が
0.9%と若干少なくなったが、中和後、温水処理後及
び製品の塩素含有量は、いずれも実施例2に比し大幅に
増加した。
【0039】比較例5 中和時のpHを10に変更した以外は実施例2と全く同
様にして製品DPCを得た。その結果は、表−1に示す
ように、中和後、温水処理後及び製品の塩素含有量は実
施例2に比し有意差は無いが、中和時及び温水処理時の
DPCの分解率合計が12.8%と大幅に増加した。
【0040】比較例6 中和時及び温水処理時の処理温度をいずれも95℃に変
更した以外は、実施例2と全く同様にして製品DPCを
得た。その結果は、表−1に示すように、中和後、温水
処理後及び製品の塩素含有量は実施例2に比し有意差は
無いが、中和時及び温水処理時のDPCの分解率合計が
2.8%と増加した。
【0041】比較例7〜8 温水処理時の撹拌動力(P/q)を、比較例7では20
kgf・m/lに変更し、比較例8では50kgf・m
/lに変更した以外は、実施例2と全く同様にして製品
DPCを得た。その結果は、表−1に示すように、温水
処理後の塩素含有量が、比較例7で290ppbに比較
例8で150ppbに増加し、さらに製品の塩素含有量
も、比較例7で53ppbに比較例8で45ppbに増
加した。
【0042】比較例9 温水処理槽に供給される有機相の流量を半分に変更し
た、従って温水処理槽での液滞留時間が倍になり、攪拌
動力(P/q)も倍の40kgf・m/lになった以外
は、比較例7と全く同様にして製品DPCを得た。その
結果は、表−1に示すように、中和時及び温水処理時の
DPCの分解率合計が2.2%に増加した。また、温水
処理後及び製品の塩素含有量はいずれも、比較例7に比
し減少はしたが、各実施例に比べれば大幅に多い値であ
った。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族モノヒドロキシ
化合物と、ホスゲン又はジアルキルカーボネートとの反
応によるジアリールカーボネートの製造において、反応
副生物、反応中間体、触媒残査等の、溶融エステル交換
法による芳香族ポリカーボネート製造において重合触媒
に被毒作用を示す物質を含まない高純度のジアリールカ
ーボネートを、ジアリールカーボネートの分解損失を抑
制しながら製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジアリールカーボネートの製造方法を
示すフローシート図。
【符号の説明】
1 第1反応器 2 第2反応器 3 第3反応器 4 中和槽 5、7 分離槽 6 温水処理槽 8 蒸留装置 11〜16 導入用の配管 21〜29 排出用の配管 31〜35 撹拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江頭 徹 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 浦嶋 英俊 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD16 BC40 BC51 BC53 BD82 BD84 BT40 KA52 KA57

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
    又はジアルキルカーボネートとを反応させて得たジアリ
    ールカーボネートを含有する反応混合物を、温水と接触
    させ、水相と有機相に分離し、該有機相よりジアリール
    カーボネートを回収するジアリールカーボネートの製造
    方法において、下記数式(1)で求められる、温水処理
    槽内の単位流量当たりの攪拌動力(P/q)として、8
    0(kgf・m/l)以上の負荷を与えることを特徴と
    するジアリールカーボネートの製造方法。 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(1) Np:攪拌動力定数、ρ:温水処理液の比重(kg/m
    3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の翼
    径(m)、q:温水処理液の流量(l/sec)
  2. 【請求項2】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
    及び/又はアリールクロロフォーメートとを反応させて
    得たジアリールカーボネートを含有する反応混合物を、
    アルカリ水溶液と接触させて中和した後、有機相と水相
    に分離し、該有機相を温水と接触させ、再び水相と有機
    相に分離し、該有機相よりジアリールカーボネートを回
    収するジアリールカーボネートの製造方法において、中
    和をpH6.0〜9.5の範囲で行い、下記数式(2)
    で求められる、中和槽内の単位流量当たりの攪拌動力
    (P/q)として、80(kgf・m/l)以上の負荷
    を与えることを特徴とするジアリールカーボネートの製
    造方法。 P/q=Np・ρ・n3 ・d5 /q(kgf・m/l) ・・・(2) Np:攪拌動力定数、ρ:中和液の比重(kg/
    3 )、n:撹拌機の回転数(rps)、d:撹拌機の
    翼径(m)、q:中和液の流量(l/sec)
  3. 【請求項3】攪拌動力(P/q)として100kgf・
    m/l以上の負荷を与えることを特徴とする請求項1又
    は2記載のジアリールカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】アルカリ水溶液との接触及び温水との接触
    を、いずれも50〜100℃の範囲で行うことを特徴と
    する請求項2〜3のいずれか1項記載のジアリールカー
    ボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】ジアリールカーボネートの回収を蒸留によ
    り行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記
    載のジアリールカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
    及び/又はアリールクロロフォーメートとの反応を、芳
    香族複素環式含窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に
    行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載
    のジアリールカーボネートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003068711A1 (en) * 2002-02-15 2003-08-21 Sumitomo Chemical Company, Limited Process for performing oxidation reaction

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WO2003068711A1 (en) * 2002-02-15 2003-08-21 Sumitomo Chemical Company, Limited Process for performing oxidation reaction

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