JP2001130442A - 衝撃吸収部材とこれを成形するための治具 - Google Patents

衝撃吸収部材とこれを成形するための治具

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JP2001130442A
JP2001130442A JP32011699A JP32011699A JP2001130442A JP 2001130442 A JP2001130442 A JP 2001130442A JP 32011699 A JP32011699 A JP 32011699A JP 32011699 A JP32011699 A JP 32011699A JP 2001130442 A JP2001130442 A JP 2001130442A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】衝突時の衝撃を分散して吸収できると共に成形
加工も容易で安価に製造し得る衝撃吸収部材と、これを
成形するために用いる治具を提供する。 【解決手段】断面矩四角形の中空部4を有するアルミニ
ウム合金の押出形材2からなり、係る形材2の一端にお
ける各辺に上記中空部4の内側又は外側に円弧状に張り
出すトリガ6,8を設け、且つ隣接する辺同士のトリガ
6,8が互いに異なる向きに張り出している、衝撃吸収
部材1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や各種車両
のフレーム等として使用され、衝突時の衝撃を吸収して
運転者や同乗者を保護する衝撃吸収部材と、これを成形
するために用いる治具に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車には、衝突時のエネルギー
を吸収し運転者等を保護するため、衝撃吸収部材が採用
されている。この衝撃吸収部材は、中空部を有し、その
長手方向に沿って蛇腹状に座屈しつつ折り畳まれること
により、当初の状態から全体の長さを短くする間に、上
記エネルギーを吸収するものである。係る衝撃吸収部材
には、例えば図10(A)に示すように、アルミニウム合
金製でパイプ状の本体72の中間を圧縮加工して外側張
り出し部74を設けた押出形材70や、図10(B)に示
すように、上記本体72の中間を圧縮加工して内側張り
出し部76を設けた押出形材78が提案されている(特
開平6−247337号公報参照)。これらは、張り出し
部74,76により衝突時に押出形材70,78をその
軸方向に沿って蛇腹状に複数の座屈を確実に誘発するも
ので、座屈開始時の吸収エネルギーのピーク荷重を小さ
くするものである。
【0003】また、図10(C)に示すように、アルミニ
ウム合金の押出形材からなり断面四角形の中空部81を
有する四つの辺82〜85のうち、左右にて対向する辺
82,83に一端の開口部からやや離して凸部86を、
上下に対向する辺84,85の同じ位置に凹部87を形
成した衝撃吸収性能に優れた構造部材80も提案されて
いる(特開平8−216917号公報参照)。該構造部材
80は、衝突時に凹・凸部86,87により、その軸方
向に沿って複数の座屈を誘発するものである。
【0004】しかしながら、上記押出形材70,78や
構造部材80は、何れも張り出し部74,76や凹・凸
部86,87が上記形材70等や部材80の一端から離
れた位置にあるため、これらを精度良く成形することが
困難で且つそれらのサイズも制限を受けるため、衝突時
の衝撃を十分に吸収できない、という問題がある。しか
も、上記端部から離れた位置に張り出し部74等を成形
するため、複雑で高価な治具や装置を必要する、という
問題もあった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上に説明した従
来の技術における問題点を解決し、衝突時の衝撃エネル
ギーを分散して吸収できると共に成形加工も容易で安価
に製造し得る衝撃吸収部材と、これを成形するために用
いる治具を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、断面四角形の中空部を有する形材の一端に
座屈を連続的に誘発するトリガを設けることに着想して
成されたものである。即ち、本発明の衝撃吸収部材は、
断面四角形の中空部を有する形材からなり、長手方向に
沿って蛇腹状に折り畳まれることにより衝撃エネルギー
を吸収する衝撃吸収部材であって、上記形材の一端に蛇
腹状に折り畳まれる端緒となるトリガを設けた、ことを
特徴とする。この衝撃吸収部材のように、形材の一端に
トリガを形成することにより、該トリガの形状やサイズ
を大きくしたり、その加工が容易となり、座屈開始時に
生じる一次ピーク荷重をそれ以降の荷重と同程度に小さ
くし、運転者等に与える衝撃を小さくすることが可能と
なる。
【0007】また、断面四角形の中空部を有する形材か
らなり、係る形材の一端における上記中空部を構成する
各辺に中空部の内側又は外側に円弧状に張り出すトリガ
を設け、且つ隣接する辺同士のトリガが互いに異なる側
に張り出している、衝撃吸収部材も含まれる。これによ
れば、衝撃荷重によって各トリガはその張り出した側に
小さな荷重で確実に変形し、且つ形材の周方向において
隣接する辺が互いに逆向きに座屈変形すると共に、形材
の長手方向に沿って各トリガによる既設の座屈に隣接し
てこれと逆向きの座屈が連続して生じ、形材を蛇腹状に
折り畳むように変形させる。従って、自動車等の衝突時
における衝撃を分散して吸収し、且つ一次ピーク荷重を
十二分に低減できるので、運転者等に与える衝撃を小さ
くすることが可能となる。しかも、従来から公知のもの
と異なり、トリガは形材の端部に設けるので、所望の形
状、サイズ、及び精度をもって容易且つ安価に形成するこ
とができる。尚、上記トリガには、中空部の内側又は外
側に断面く字形に張り出した辺の部分も含まれる。ま
た、トリガには、各辺の全体を内側又は外側に張り出し
た形態や、各辺で部分的に張り出した形態も含まれる。
更に、上記形材には、主にアルミニウム合金の押出形材
を用いるが、断面四角形の鋼管等も含まれ得る。
【0008】更に、前記形材が断面四角形の中空部を複
数連設して内蔵し、隣接する中空部同士間の仕切壁に
も、前記トリガが設けられている、衝撃吸収部材も含ま
れる。これによれば、二以上の中空部が直線状又は縦・
横方向に連設された所要のサイズと形状を有する形材か
らなる衝撃吸収部材であっても、一端における各辺に設
けたトリガにより、それらの張り出した側に変形し且つ
形材の周方向において隣接する辺が互いに逆向きに座屈
を開始すると共に、形材の長手方向に沿って既設の座屈
と逆向きの座屈が連続して形成され、形材を蛇腹状に折
り畳むように変形させる。このように、形材の端部にト
リガを比較的大きく形成し得るため、座屈開始時の変形
力は曲げ変形に近似した小さな力が作用する。従って、
衝突時における衝撃、特に一次ピーク荷重をそれ以降に
連続する変形により生じる荷重と同程度に低減できるの
で、運転者等に与える衝撃を小さくすることが可能とな
る。
【0009】また、断面四角形の中空部を有する形材か
らなり、係る形材の一端において対向する一対の辺のみ
に上記中空部の内側又は外側に円弧状に張り出すトリガ
を設け、係る一対のトリガは同じ側に張り出している、
衝撃吸収部材も含まれる。これによれば、形材の一端に
設けた少ないトリガにより、その張り出した側に変形
し、且つ形材の周方向に隣接する平坦な辺にこれと逆向
きの座屈が形成されると共に、形材の長手方向に沿って
既設の座屈と逆向きの座屈が連続して形成され、形材を
蛇腹状に折り畳むように変形させる。従って、衝突時の
一次ピーク荷重をそれ以降の荷重と同程度に小さくで
き、且つ衝撃を十分に分散して吸収できるので、運転者
等に与える衝撃を小さくすることが可能となると共に、
加工コストも一層低減でき安価に提供できる。この部材
の場合、一端で対向する辺のトリガは、形材の中空部の
外側向き又は内側向きの何れかに張り出している。
【0010】更に、断面四角形の中空部を複数連設して
内蔵する形材からなり、上記形材の周方向に沿って隣接
する各辺の一つ置きに中空部の内側又は外側に円弧状に
張り出すトリガを設けるか、或いは、隣接する中空部同
士間の仕切壁も含めた各辺であって当該形材の断面の何
れかの方向に沿った各辺に上記トリガを設ける、衝撃吸
収部材も含まれる。これによれば、二以上の中空部が直
線状又は縦横方向に連設された所用サイズ等を有する衝
撃吸収部材であっても、一端において各中空部を構成す
る各辺のうち、形材の周方向において一つ置きの辺等に
形材の中空部の外側向き又は内側向きの何れかに張り出
したトリガにより、その張り出した側に変形し且つ形材
の周方向に隣接する平坦な辺にこれと逆向きの座屈が形
成される。そして、形材の長手方向に沿って既設の座屈
と逆向きの座屈が連続して折り畳まれるように形成され
る。従って、前記の各衝撃吸収部材と同等の効果を発揮
し得ると共に、その設計時の自由度を増やすこともでき
る。
【0011】また、前記トリガは、その中央部が前記形
材の押出方向に対して30°〜60°傾斜している、衝
撃吸収部材も含まれる。これによれば、トリガ付近から
の座屈変形を一次ピーク荷重を小さくして確実に誘発す
ると共に、形材の長手方向に隣接する位置に逆向きの座
屈を連続して形成したり、形材の周方向に隣接する平坦
な辺に逆向きの座屈を誘発することができる。尚、上記
傾斜が30°未満では変形開始時の一次ピーク荷重が大
きくなり、一方、60°を越えるとトリガ自体の成形が
困難化し得る。このため、これらを除いた上記の範囲と
したものである。更に、前記トリガを成形した後で、前
記形材の一端付近に溶接熱を加えて、係る形材の一端付
近の強度を低化させた、衝撃吸収部材も含まれる。これ
によれば、上述したトリガによって誘発される連続する
座屈と共に、係るトリガを含む形材の端部を例えばバン
パと直角に溶接することにより、係る端部自体を軟化し
て強度を低下させ、確実に一次ピーク荷重を下げること
ができる。
【0012】また、本発明の衝撃吸収部材成形用治具
は、断面四角形の中空部を有する形材の一端における当
該中空部の対向する各辺に対し、係る中空部内に進入し
且つ対向する各辺を外側向きに変形させる傾斜面を外向
きにして対称に有する一対の内側成形片と、これらの内
側成形片を挟んで上記中空部の他の対向する各辺の外側
に位置し且つ当該各辺を中空部の内側向きに変形させる
傾斜面を対向して有する一対の外側成形片と、含む、こ
とを特徴とする。これによれば、形材の一端における一
つの中空部に対し、1回の工程で各辺に内側又は外側向
きに張り出すトリガを容易且つ精度良く形成することが
可能となる。尚、複数の中空部に対しては、隣接する中
空部と直角に配置した内・外側成形片を連設した治具を
用いる。また、前記形材の各辺の外側に位置する外側押
さえ片と、前記形材の中空部内に挿入する内側押さえ片
と、を更に含む、衝撃吸収部材成形用治具も含まれる。
これによれば、一つの中空部を構成する各辺にトリガを
一層容易且つ精度良く形成することが可能となる。尚、
内・外側押さえ片の先端は、所要のトリガにおける傾斜
した中央部付近の変形開始部位を決める位置に設定され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1は、本発明による一
つの衝撃吸収部材1に関し、図1(A)〜(C)に示すよう
に、正方形(四角形)の中空部4を長手方向に沿って有し
且つアルミニウム合金製で断面角形の押出形材2からな
る。形材2の左端(一端)における中空部4を囲む各辺の
うち、図示で左右の辺には中空部4の内側に円弧状に張
り出すトリガ6が、上下の辺には中空部4の外側に円弧
状に張り出すトリガ8が設けられている。互いに隣接す
る辺に形成されるトリガ6,8は、中空部4の内側向き
又は外側向きの異なる側に張り出している。また、トリ
ガ6,8は、その中央部が形材2の押出(長手)方向に対
して30°〜60°の範囲で傾斜し、その両端は形材2
の左端における各コーナー付近に位置している。更に、
トリガ6,8は中空部4を囲む各辺の中央部付近のみに
形成しても良い。
【0014】形材2にトリガ6,8を形成するには、図
2(A),(B)に示す治具10,20を用いる。成形用治具
10は、ベース11の一側面における中央付近に突設した
一対の内側成形片12,14及びこれらの両側に突設し
た外側成形片16,18とを有する。内側成形片12,
14は、形材2の中空部4内に進入し且つ中空部4の対
向する上下の辺を外側向きに張り出すように変形させる
傾斜面13を外向きに対称に有する。図2(A)に示すよ
うに、傾斜面13は内側成形片12,14の幅方向に沿
って緩くカーブする曲面で且つその長手方向で約45°
傾斜している。また、内側成形片12,14を挟んで突
設される外側成形片16,18は、中空部4の対向する
左右の辺を内側向きに張り出すように変形させる傾斜面
17を内向きに対称に有する。この傾斜面17も、外側
成形片16,18の幅方向に沿って緩くカーブする曲面
で且つ上記と同じ傾斜を有する。図2(A),(B)に示す
ように、傾斜面13,17は形材2の一端の各辺に当接
する位置に設定されている。尚、内側成形片12,14
及び外側成形片16,18は、ベース11に対しその位
置を変更可能にして固定することもできる。
【0015】図2(A)に示すように、形材2にはその左
端付近において形材2を保持する押さえ治具20がセッ
トされる。該治具20は、形材2の中空部4内にその右
端側から挿入されるブロック状の内側押さえ片22と、
形材2の各辺の外周面を取り囲むように接触し、図示で
左端側の各辺にテーパ面28を有する角筒形状の外側押
さえ片26とからなる。図3(a),(b)に示すように、
形材2に押さえ治具20をセットして係る形材2を保持
すると共に、形材2の左端に治具10を接近させる。
尚、治具20の内側押さえ片22の先端面23には、そ
の両側辺から突出する一対の突条24が設けてある。図
示の状態で、治具10を形材2の端部に向けて押し付け
る。
【0016】すると、図3(A)に示すように、治具10
の内側成形片12,14は、その傾斜面13を形材2に
おける端面の上下辺に当接し且つこれを外側向きに円弧
状に張り出すように変形させ、トリガ8,8を形成する。
この際、治具20の外側押さえ片26のテーパ面25の
先端縁によりトリガ8の中央部の位置が決まり且つ傾斜
面13に沿って外側に曲げられる。また、内側成形片1
2,14の各先端は、治具20の内側押さえ片22の先端
面23の手前で止まるように設定されている。一方、図
3(B)に示すように、治具10の外側成形片16,18
は、その傾斜面17を形材2における端面の左右辺に当
接し且つこれを中空部4の内側向きに円弧状に張り出す
ように変形させ、トリガ6,6を形成する。この際、治
具20の内側押さえ片22先端の各突条24により各ト
リガ6の中央部の位置が決まり且つ傾斜面13に沿って
内側に曲げられる。また、外側成形片16,18の各先
端は、治具20の外側押さえ片26のテーパ面28に接
触しないように予め設定されている。
【0017】この結果、前記図1(A)〜(C)に示したよ
うな一対ずつのトリガ6,8を一端に設けた衝撃吸収部
材1を得ることができる。この衝撃吸収部材1の作用に
ついて図4に基づき説明する。図4(A1),(B1)は、
トリガ6,8を左端に有する衝撃吸収部材1を、その右
端側で図示しない固定手段により固定した状態を示す側
面図と平面図を示す。この部材1に対し、図中の矢印で
示すように、トリガ6,8を有するその左端に所要の重
量を伴った図示しない錘りを部材1の軸方向に沿って衝
突させる。すると、図4(A2),(B2)に示すように、
先ず外側に張り出すトリガ8は更に外側向きに押されて
変形し、内側に張り出すトリガ6は更に内側向きに押さ
れて変形する。同時にトリガ8に隣接した上下の各辺に
は中空部4側に凹む凹部9が、トリガ6に隣接した左右
の各辺には外側に張り出す凸部7が部材1の略周方向に
沿って形成される。
【0018】更に、衝突が進むと図4(A3),(B3)に
示すように、部材1の左端寄りの凹部9に隣接して逆向
きの凸部7が、上記凸部7に隣接して逆向きの凹部9が
形成される。即ち、部材1の上下辺では、トリガ8、凹
部9、凸部7、凹部9、凸部7の順で凹凸状に褶曲した座
屈が順次形成され、部材1の左右辺では、トリガ6、凸
部7、凹部9、凸部7、凹部9の順で凹凸状に褶曲した座
屈が順次形成される。しかも、部材1の周方向に沿って
同じ位置においても凸部7、凹部9、凸部7、凹部9がこ
の順で各辺に交互に形成される。その結果、図4(C)に
示すように、左端面にほぼ垂直向きになったトリガ6,
8とこれらに隣接して凸部7、凹部9、又は凹部9、凸部
7の順で交互に凹・凸部9,7を連続的で且つ規則的に
形成し、且つ部材1の軸方向の寸法を蛇腹状に短縮する
よう塑性変形した衝撃吸収部材1aを得ることができ
る。
【0019】以上のような衝撃吸収部材1よれば、形材
2の一端の各辺に内側向きのトリガ6と外側向きのトリ
ガ8とを交互に形成しているので、衝突時にトリガ6,
8自体を内側向き又は外側向きに容易に塑性変形でき、
且つこれらに隣接して内外方向に逆向きの凸・凹部7,
9の形成が連続的に誘発され、軸方向に沿って蛇腹状に
折り畳むように変形させることができる。従って、確実
に衝突エネルギーを吸収し且つ運転者等に与える衝撃も
小さくすることが可能となる。この際、部材1の一端に
おける各辺にトリガ6,8を設けているため、衝突時の
一次ピーク荷重が小さくなり、運転者等に与える衝撃を
小さくし、一層確実に保護することが可能となる。ま
た、図5(A)に示すように、衝撃吸収部材1の端面にお
けるトリガ6,8に対して例えばバンパ29を直角に溶
接Wし、その溶接熱により各トリガ6,8付近を軟化し
て、部材1の端部付近の強度を低下させることにより、
更に衝突時の一次ピーク荷重を一層下げることを容易に
することが可能となる。
【0020】図5(B)は、異なる形態の衝撃吸収部材3
0の一端面を示す。尚、以下においては前記形態と同じ
部分や要素には共通する符号を用いるものとする。衝撃
吸収部材30は、図5(B)に示すように、縦・横の比が
1対2で左右に断面正方形で一対の中空部4a,4bを
併設し且つその間に仕切壁34を設けた押出形材32か
らなる。形材32の一端において、各中空部4a,4b
の上・下辺に内側向きのトリガ6と、外側向きのトリガ
8とを左右に連続して形成し、且つ対向する上下辺には
互いに対称にトリガ6又はトリガ8を配置している。ま
た、左右両端の各辺と仕切壁34には、隣接する上・下
辺のトリガ6,8と逆向きになる内側向きのトリガ6
と、外側向きのトリガ8が形成される。尚、仕切壁34
のトリガは、図5(B)で左側の中空部4aに対しては内
側向きのトリガ6であると同時に、右側の中空部4bに
対しては外側向きのトリガ8となる。
【0021】更に、図5(C)に示す一端面を示す衝撃吸
収部材36は、縦・横の比が1対3で左右方向に断面正
方形で三個の中空部4a,4b,4aを併設し且つ一対の
仕切壁34を設けた押出形材38からなる。且つ、中空
部4a,4b,4aの上・下辺に内側向きのトリガ6と、
外側向きのトリガ8とを左右に連続して形成し且つ対向
する上下辺には互いに対称にトリガ6又はトリガ8を配
置している。また、左右両端の各辺と仕切壁34には、
隣接する上・下辺のトリガ6,8と逆向きになるトリガ
6,8が形成される。尚、図5(C)で左側の仕切壁34
のトリガは、左端の中空部4aに対しては内側向きのト
リガ6であると同時に、中央の中空部4bに対しては外
側向きのトリガ8となる。また、図5(C)で右側の仕切
壁34のトリガは、右端の中空部4aに対しては内側向
きのトリガ6であると同時に、中央の中空部4bに対し
ては外側向きのトリガ8となる。
【0022】以上の衝撃吸収部材30,36も、衝撃荷
重を受けた場合、前記図4にて示したように、各中空部
4a,4b毎に一端でトリガ6,8が垂直に変形し且つこ
れらに隣接した各辺にする凸・凹部7,9が連続的に形
成され、且つ上下辺でも部材30,36の幅(周)方向に
沿って凸・凹部7,9が連続的に形成される。従って、
縦横の寸法が異なる断面四角形で所要サイズを必要とす
る場合も、衝撃吸収部材30,36によって容易に対応
でき、確実に衝突エネルギーを吸収し且つ優れた安全性
が得られる。しかも、上記部材30,36の各辺にトリ
ガ6,8を設けているため、衝突時の一次ピーク荷重が
小さくなるため、一層運転者に与える衝撃を小さくする
ことができる。尚、上記部材30,36も図5(A)で示
したように、その端面にバンパ29を直角に溶接Wし、
その溶接熱により端面のトリガ6,8付近を軟化して、
部材1の端部付近の強度を低下させることにより、衝突
時の一次ピーク荷重を一層容易に下げることが可能とな
る。
【0023】図6(A)は、前記図3(a)中における矢視
X−X方向に相当する断面図であり、上記部材30を得
るための治具40を示す。部材30を構成する形材32
のうち図6(A)で左側の中空部4aに対しては、前記冶
具10と同じ内側成形片12,14と外側成形片16,
18とを図示しない長方形のベースから突設している。
また、図6(A)で右側の中空部4bに対しては、前記冶
具10を図示で90度回転させ、中空部4b内の右端寄
りに内側成形片12aと、中空部4bの上下辺の外側に
対称に外側成形片16a,18aとをベースから突設し
ている。更に、中空部4a,4b内には、押さえ冶具の
先端に突条43,46を有する内側押さえ片42,44が
反対側から挿入され、且つその外側には形材32の外周
面を取り囲むように角筒形状の外側押さえ片48が配置
されている。
【0024】一方、図6(B)は、図6(A)と同様の断面
図で、上記部材36を得るための治具50を示す。部材
36を構成する形材38のうち図6(B)で左右両側の各
中空部4aに対しては、前記冶具10と同じ内側成形片
12,14及び外側成形片16,18をそれぞれ図示しな
いベースから突設している。また、図6(B)で中央の中
空部4bに対しては、前記冶具10を図示で90度回転
させて、中空部4bの上下辺の外側に対称に外側成形片
16a,18aをベースから突設している。更に、中空
部4a,4b,4a内には、押さえ冶具における先端に突
条43,46を有する内側押さえ片42,44が、反対側
から挿入され且つその外側には形材38の外周面を取り
囲むように角筒形状の外側押さえ片52が配置されてい
る。以上の冶具40,50及び押さえ冶具を用いること
により、形材32,38の一端における仕切壁34を含
む各辺毎に交互にトリガ6,8を一回の工程で確実に成
形でき、衝撃吸収部材30,36を効率良く製作するこ
とができる。
【0025】ここで本発明の衝撃吸収部材36の衝撃吸
収性能について、比較例と共に説明する。図7(A)に示
す中空部4a,4b,4aを有する前記押出形材38は、
JIS:A6063−T5のアルミニウム合金からなり、縦
30mm,横90mmの断面寸法で各辺の肉厚は1.3
mmであり、図示で奥行き(長手)方向の長さは100m
mである。この押出形材38を二つ用意し、一方に対し
ては図7(B),(b)に示す比較例の衝撃吸収部材39と
した。上記部材39は、形材38の左右両側の各中空部
4a内に断面半円形に5mm窪む凹部39aを、形材3
8の左端から15mmの位置にそれぞれ形成したもの
で、前記従来技術の特開平8−216917号公報の構
造部材に略相当する。
【0026】また、残った他方の押出形材38に対して
は、前記治具50を用いることにより、図7(C),(c)
に示すように、左端に合計10個のトリガ6,8を交互
に設けた実施例の衝撃吸収部材36とした。この部材3
6の左端で中空部4a,4b,4aを囲む各辺に設けたト
リガ6,8は、その中央部で内・外側に6mm(a1)張
り出し、且つその中央部で形材38の左端から10mm
の幅寸法(a2)を有すると共に、部材36の軸(長手)方
向に対し傾斜している。実施例の部材36と比較例の部
材39の右端側を個別に図示しない保持手段により固定
し、各部材36,39の左端に対して、それぞれの軸方
向に沿って2kNの錘りを、1.2m/秒の速度で衝突さ
せて衝撃荷重を加えた。そして、両部材36,39が軸
方向に沿って50mm圧縮変形されるまでの間にて、部
材36,39が吸収したエネルギーを、部材36,39
の右端に加えられる荷重の推移を測定することで測定し
た。それらの結果を図7(D)のグラフに示した。尚、部
材36,39は共に溶接熱による軟化処理を施されてい
ない。
【0027】7(D)のグラフに示すように、両部材36,
39共に変形が約2mm付近において最も大きな一次ピ
ーク荷重N1,N2を受け、その後略20〜30kNの
レベルの荷重で波形に推移した。両部材36,39が5
0mm圧縮変形されるまでの間に吸収した衝突エネルギ
ーは、上記グラフ中の各折れ線の下側の面積の積分値に
相当する。その値は、実施例の部材36では、1.43
kN・m、比較例の部材39では、1.42kN・mと略
同等であった。比較例の一次ピーク荷重N2に対して、
実施例の一次ピーク荷重N1が約10kNも低いのは、
部材36の一端に交互に設けた10個のトリガ6,8
が、個別に小さな曲げ変形力により変形を開始し、これ
を端緒として順次各辺におけるトリガ6,8の隣接する
位置にも逆向きの座屈を順次誘発するためである。
【0028】これに対し、比較例の部材39では変形量
の小さい4個の凹部39aのみであり、且つトリガに相
当する凹部39aは端部に位置しないが、凹部39a等
のトリガを全く設けない部材に比べると、最初の座屈荷
重は小さくなる。しかし、係る最初の座屈変形により変
形が開始されるものの、一次ピーク荷重N2はそれ以降
(7(D)のグラフでピークN2の右側)の荷重よりもかな
り大きくなる。一方、実施例の部材36では、トリガ6,
8にて端部に内側と外側向きに生じる変形を大きくする
力として作用する曲げ変形力により座屈が開始するた
め、一次ピーク荷重N1はそれ以降の座屈に要する荷重
と大差ない程度まで小さくなる。係る高い一次ピーク荷
重N2が加わると比較例の部材39を用いた自動車等で
は、衝突時に運転者等に与える衝撃も大きくなる。これ
に対し一次ピーク荷重N1が約10kNと低い実施例の
部材36を用いることにより、衝突時における運転者等
に与える衝撃は小さくなる。
【0029】図8(A)は、更に異なる衝撃吸収部材54
を示す。この部材54は、断面正方形で且つ田の字形を
呈し、縦横二個ずつ合計四つの中空部4a,4b,4c,4
dを併設し、且つ縦横一対の仕切壁57,58を断面十
字形に設けた押出形材56からなる。中空部4a〜4d
を囲む各辺に内側向きのトリガ6、又は外側向きのトリ
ガ8を上下と左右に連続して形成し、且つ対向する辺に
は互いに対称にトリガ6又はトリガ8を配置している。
尚、図8(A)で垂直の仕切壁57のトリガは、左右の中
空部4a〜4dに対して一方では内側向きのトリガ6で
あると同時に、他方では外側向きのトリガ8となり、図
5(C)で水平の仕切壁58のトリガも、上下の中空部4
a〜4dに対して一方では内側向きのトリガ6であると
同時に、他方では外側向きのトリガ8となっている。
【0030】係る衝撃吸収部材54も、前記図4にて示
したように、各中空部4a〜4d毎に一端でトリガ6,
8が変形し且つこれらに隣接した各辺や仕切壁57,5
8に凸・凹部7,9が連続的に形成され、且つ部材54
の幅(周)方向に沿って凸・凹部7,9が交互に連続して
形成される。従って、断面寸法が大きなサイズを必要と
する場合も、衝撃吸収部材54によって容易に対応で
き、確実に衝突エネルギーを吸収し且つ一次ピーク荷重
を、それ以降の荷重に近くなるよう下げ易くなるため、
優れた安全性が得られる。尚、上記部材54も図5(A)
で示したように、その端面にバンパ29を直角に溶接W
し、その溶接熱により端面のトリガ6,8付近を軟化し
て、部材54の端部付近の強度を低下させることによ
り、更に衝突時の一次ピーク荷重を一層下げることを容
易にすることが可能となる。
【0031】図8(B)も、前記図3(a)中における矢視
X−X方向に相当する断面図であり、上記部材54を得
るための治具60を示す。部材54を構成する形材56
のうち図8(B)で左上と右下の中空部4a,4dに対し
ては、前記冶具10と同じ内側成形片12,14及び外
側成形片16,18をそれぞれ図示しないベースから突
設している。また、図8(B)で右上と左下の中空部4
b,4cに対しては、前記冶具10を図示で90度回転
させ、中空部4b内の右側と上辺の外側に内・外側成形
片12,16aのみ、中空部4c内の左側と下辺の外側
に内・外側成形片12,18aのみをベースから突設し
ている。尚、中空部4b,4c内の外側成形片16,18
は内側成形片も兼ねている。更に、図8(B)に示すよう
に、中空部4a〜4d内には押さえ冶具の先端に突条4
3,46を有する内側押さえ片42,44が反対側から挿
入され、その外側には形材56の外周面を取り囲むよう
に角筒形状の外側押さえ片62が配置されている。以上
のような冶具60及び押さえ冶具を用いることにより、
形材56の一端における各辺及び仕切壁57,58毎に
交互にトリガ6,8を一回の工程で確実に成形でき、衝
撃吸収部材54を効率及び精度良く製作することができ
る。
【0032】本発明は以上において説明した各形態に限
定されるものではない。例えば、図9(A)に示す前記中
空部4を有する形材2の一端に対し、前記治具10の内
側成形片12,14のみと治具20の外側押さえ片26
を用いることにより、図9(A1)に示すように、上下辺
が外側(同じ側)に張り出すトリガ8,8を設けた衝撃吸
収部材1′を得ることもできる。また、上記形材2の一
端に対し、前記治具10の外側成形片16,18のみと、
治具20の内・外側押さえ片22,26を用いることで、
図9(A2)に示すように、上下辺が中空部4の内側(同じ
側)に張り出すトリガ6,6を設けた衝撃吸収部材1″を
得ることもできる。
【0033】上記部材1′によれば、 図9(A1)で各ト
リガ8に隣接する左右の平坦な垂直辺は、部材1′が衝
撃を受けた場合、トリガ6と同様に中空部4の内側に張
り出すように変形する。即ち、各トリガ8が外向きに変
形するとこれに隣接する平坦な各垂直辺は、上記変形に
起因してトリガ6と同様に内向きに変形し、且つ各辺に
おいてこれらに隣接する位置には、前記図4(C)に示し
たように、それぞれ逆向きの凹・凸部7,9が交互に連
続して形成される。また、部材1″によれば、図9(A2)
でトリガ6に隣接する平坦な垂直辺は、部材1″が衝撃
を受けた場合、トリガ8と同様に外側に張り出すように
変形する。即ち、各トリガ6が内向きに変形すると平坦
な各垂直辺はトリガ8と同様に外向きに変形し、且つ各
辺にてこれらに隣接する位置には、前記図4(C)に示し
たように、それぞれ逆向きの凹・凸部7,9が交互に連
続して形成される。以上のような衝撃吸収部材1′,
1″よれば、少ないトリガ6又はトリガ8により前記部
材1と同等程度の衝撃を吸収でき、且つ一次ピーク荷重
も小さくして運転者等の安全を図れると共に、一層容易
且つ安価に制作することが可能となる。
【0034】また、図9(B)に示す一対の中空部4a,
4bを有する形材32の一端に対し、前記治具40の一
部を用いることで、図9(B1)に示すように、形材32
の周方向に一つ置きで、且つ中空部4aの左側の垂直辺
のトリガ8と、中空部4bの上下辺のトリガ8,8とを設
けた衝撃吸収部材30′を得ることもできる。また、同
様にして上記形材32の一端に対し、図9(B2)に示す
ように、中空部4aの左側の垂直辺にトリガ6を、中空
部4bの上下辺に中空部4の内側に張り出すトリガ6,
6を対称に設けた衝撃吸収部材30″を得ることもでき
る。
【0035】更に、図9(C)に示す三個の中空部4a,
4b,4aを直列に有する形材38の一端に対し、前記
治具50の一部を用いることにより、図9(C1)に示す
ように、両側の中空部4a,4aの上下辺にトリガ8,8
をそれぞれ対称に設けた衝撃吸収部材36′を得ること
もできる。また、図9(C2)に示すように、同様にして
上記形材38の一端に対し、両側の中空部4a,4aの上
下辺に中空部4の内側に張り出すトリガ6,6を対称に
それぞれ設けた衝撃吸収部材36″を得ることもでき
る。更に、図9(C3)に示すように、上記形材38の一
端における中央の中空部4bの上下辺と両側の各中空部
4aの両端の垂直辺にトリガ8をそれぞれ設けた衝撃吸
収部材36a′や、図9(C4)に示すように、形材38
の一端における中央の中空部4bの上下辺と両側の各中
空部4aの両端の垂直辺にトリガ6をそれぞれ設けた衝
撃吸収部材36a″を得ることも可能である。
【0036】加えて、図9(D)に示す前記中空部4a〜
4dを田の字形有する形材56の一端に対し、前記治具
60の一部を用いることにより、図9(D1)に示すよう
に、中空部4a〜4dの外側辺の一方が一つ置きに外側
に点対称に張り出すトリガ8,8を設けた衝撃吸収部材
54′を得ることもできる。この際、係るトリガ8に替
えて同じ位置にトリガ6を設けても良い。また、図9
(D2)に示すように、同様にして仕切壁58を含む中空
部4a〜4dの上下辺にトリガ6,8を図示で左右方向
に連続してそれぞれ設けた衝撃吸収部材54″を得るこ
ともできる。以上のような衝撃吸収部材30′,30″,
36′,36″,36′a,36″a,54′,54″によ
っても、少ないトリガ6,8により前記部材30等と同
程度にして衝撃を吸収でき、且つ一次ピーク荷重も小さ
くして運転者等に与える衝撃を小さくすると共に、一層
容易且つ安価に制作することが可能となる。
【0037】尚、上記部材30′等も図5(A)で示した
ように、端面にバンパ29を直角に溶接Wし、その溶接
熱により端面のトリガ6,8付近を軟化して、部材3
0′等の端部の強度を低下させることにより、更に衝突
時の一次ピーク荷重を一層下げることを容易にすること
が可能となる。また、前記中空部4等の断面形状は長方
形であっても良く、或いは、同一の形材32,38等に
おける複数の中空部4a,4b等の断面形状が、正方形と
長方形を併有する形態も含まれる。更に、前記形材38
における三個の中空部4a,4b,4aを2列に並行に設
け、合計六個の中空部4a等を有する形材としたり、前
記形材56の中空部4a等を縦横三個以上併設し合計九
個以上の中空部4a等を有する形材としても良い。尚、
前記衝撃吸収部材1等の両端にトリガ6,8を設けた
り、或いは係る両端のトリガ6,8にそれぞれバンパ2
9を直角に溶接Wすることも可能である。尚また、前記
の各実施形態の部材1等は、その材質や断面形状(寸法、
肉厚、中空部の数)が変化すると、これに伴い吸収エネル
ギー量や一次ピーク荷重も変化するが、従来の部材に比
べて一次ピーク荷重をそれ以降の荷重に対し大きくなら
ない点では同じである。
【0038】
【発明の効果】以上において説明した本発明の衝撃吸収
部材によれば、各トリガの張り出した側に曲げ変形力に
より座屈が開始し、且つ形材の周方向において隣接する
辺が連鎖的に互いに逆向きに座屈すると共に、形材の長
手方向に沿って既設の座屈に隣接してこれと逆向きの座
屈が連続的に形成し、形材が蛇腹状に折り畳むように変
形する。従って、自動車等の衝突時における衝撃を吸収
し、且つ一次ピーク荷重をそれ以降に連続する変形によ
り生じる荷重と同程度に低減できるので、運転者等に与
える衝撃を小さくすることができる。しかも、トリガは
形材の端部に設けるので、所望のサイズと精度をもって
容易且つ安価に形成することができる。また、請求項4
の衝撃吸収部材によれば、形材の一端に設けた少ないト
リガにより、その張り出した側に座屈変形し且つ当該形
材の周方向等に隣接する平坦な辺にこれと逆向きの座屈
を形成すると共に、該形材の長手方向に沿って既設の座
屈と逆向きの座屈が連続して形成し、形材を折り畳むよ
うに変形させる。従って、衝突時における衝撃を分散し
て吸収できるので、運転者等に与える衝撃を小さくする
ことが可能となると共に、加工コストも一層低減でき安
価に提供できる。更に、請求項8,9の衝撃吸収部材成
形用治具によれば、形材の一端における一つの中空部に
対し、1回の工程で各辺に内側又は外側に張り出すトリ
ガを容易且つ精度良く形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の衝撃吸収部材を示す側面図、
(B)はその端面の拡大図、(C)はその斜視図。
【図2】(A)及び(B)は図1の衝撃吸収部材の制作する
ための準備工程を示す概略図。
【図3】(a),(b)及び(A),(B)は図1の衝撃吸収部材
の制作するための各工程を示す概略断面図。
【図4】(A1)〜(A3)及び(B1)〜(B3)は図1の衝
撃吸収部材の衝突時に当初における変形状況を示す概略
図、(C)はその変形後の形態を示す斜視図。
【図5】(A)は図1の衝撃吸収部材の一端に溶接熱を加
えた形態を示す斜視図、(B)と(C)は異なる形態の衝撃
吸収部材を示す端面図。
【図6】(A),(B)は図3(a)中の矢視X−X方向に相
当する断面図で、且つ図5(B),(C)の衝撃吸収部材の
各制作工程を示す概略図。
【図7】(A)は図5(C)の部材を得るための形材の端面
図、(B)はこの形材を成形した比較例の衝撃吸収部材を
示す端面図、(b)は(B)中のb−b線に沿った断面図、
(C)は(A)の形材を成形した実施例の衝撃吸収部材を示
す端面図、(c)はその側面図、(D)は上記実施例と比較
例の衝撃吸収部材の衝突時における荷重と変形量の推移
を示すグラフ。
【図8】(A)は更に異なる形態の衝撃吸収部材を示す斜
視図、(B)はこの部材の制作工程を示す概略図で、且つ
図3(a)中の矢視X−X方向に相当する断面図。
【図9】(A)乃至(D)は別の衝撃吸収部材を得るための
形材の端面図、(A1),(A2),(B1),(B2),(C1)〜
(C4),(D1),(D2)は上記形材を種々に成形して得ら
れた本発明による別異の形態の各衝撃吸収部材の端面
図。
【図10】(A)及び(B)は従来の衝撃吸収部材を示す概
略図、(C)は異なる従来の衝撃吸収部材を示す斜視図。
【符号の説明】 1,1′,1″,30,30′,30″,36,36′,3
6″,36a′,36a″,54,54′,54″…………
………衝撃吸収部材 2,32,38,56………………形材 4,4a〜4d……………………中空部 6,8………………………………トリガ 10,40,50,60……………衝撃吸収部材成形用治
具 12,12a,14…………………内側成形片 13,17…………………………傾斜面 16,16a,18,18a………外側成形片 22,42,44……………………内側押さえ片 26,48,52,62……………外側押さえ片 34,57,58……………………仕切壁

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面四角形の中空部を有する形材からな
    り、長手方向に沿って蛇腹状に折り畳まれることにより
    衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部材であって、上記
    形材の一端に蛇腹状に折り畳まれる端緒となるトリガを
    設けた、 ことを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 【請求項2】断面四角形の中空部を有する形材からな
    り、係る形材の一端における上記中空部を構成する各辺
    に中空部の内側又は外側に円弧状に張り出すトリガを設
    け、且つ隣接する辺同士のトリガが互いに異なる側に張
    り出している、 ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材。
  3. 【請求項3】前記形材が断面四角形の中空部を複数連設
    して内蔵し、隣接する中空部同士間の仕切壁にも、前記
    トリガが設けられている、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃吸収部
    材。
  4. 【請求項4】断面四角形の中空部を有する形材からな
    り、係る形材の一端において対向する一対の辺のみに上
    記中空部の内側又は外側に円弧状に張り出すトリガを設
    け、係る一対のトリガは同じ側に張り出している、 ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材。
  5. 【請求項5】断面四角形の中空部を複数連設して内蔵す
    る形材からなり、係る形材の一端における各中空部を構
    成する辺のうち、 上記形材の周方向に沿って隣接する各辺の一つ置きに中
    空部の内側又は外側に円弧状に張り出すトリガを設ける
    か、 或いは、隣接する中空部同士間の仕切壁も含めた各辺で
    あって当該形材の断面の何れかの方向に沿った各辺に上
    記トリガを設ける、 ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材。
  6. 【請求項6】前記トリガは、その中央部が前記形材の押
    出方向に対して30°〜60°傾斜している、 ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の衝撃
    吸収部材。
  7. 【請求項7】前記トリガを成形した後で、前記形材の一
    端付近に溶接熱を加えて、係る形材の一端付近の強度を
    低化させた、 ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の衝撃
    吸収部材。
  8. 【請求項8】断面四角形の中空部を有する形材の一端に
    おける当該中空部の対向する各辺に対し、係る中空部内
    に進入し且つ対向する各辺を外側向きに変形させる傾斜
    面を外向きにして対称に有する一対の内側成形片と、こ
    れらの内側成形片を挟んで上記中空部の他の対向する各
    辺の外側に位置し且つ当該各辺を中空部の内側向きに変
    形させる傾斜面を対向して有する一対の外側成形片と、
    含む、 ことを特徴とする衝撃吸収部材成形用治具。
  9. 【請求項9】前記形材の各辺の外側に位置する外側押さ
    え片と、前記形材の中空部内に挿入する内側押さえ片
    と、を更に含む、 ことを特徴とする請求項8に記載の衝撃吸収部材成形用
    治具。
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