JP2001129647A - 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置 - Google Patents

連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置

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JP2001129647A JP2000109912A JP2000109912A JP2001129647A JP 2001129647 A JP2001129647 A JP 2001129647A JP 2000109912 A JP2000109912 A JP 2000109912A JP 2000109912 A JP2000109912 A JP 2000109912A JP 2001129647 A JP2001129647 A JP 2001129647A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造機の鋳型内部における湯面レベルの
周期的な変動を、その周波数の如何に拘わらず、また制
御系全体の安定性を損なわずに抑制する。 【解決手段】 レベル制御装置7の開度演算部71は、目
標レベル設定器8に設定された目標レベルrと、レベル
計6により検出された鋳型1内部の湯面の検出レベルy
との偏差を用い、スライディングゲート30の開度変更量
を演算する。また開度演算部71は、目標レベルrと検出
レベルyとの偏差を用い、開度変更量の補正量を演算す
る。この補正量は、制御系の感度関数又は相補感度関数
のゲインを所定の周波数に対して低減すべく求め、この
補正量を開度変更量に加えた開度指令uを出力し、スラ
イディングゲート30のアクチュエータ31を動作させて、
鋳型1内への注湯量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機の鋳込
み操業中に、鋳型内部の湯面レベルを予め定めた目標レ
ベルに保つべく制御する湯面レベル制御方法及びその装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造機の操業は、上下に開口を有す
る筒形の鋳型に溶融金属(溶湯)を注入(注湯)し、該
鋳型の水冷された内壁に接触せしめて冷却し、その外側
を凝固シェルにて被覆された鋳片となし、該鋳片を、こ
れの外側に転接する複数対のガイドロールにより案内
し、前記鋳型の下側開口部から連続的に引き抜きつつ更
に冷却して、内側にまで凝固が進行した製品鋳片を得る
手順にて行われる。
【0003】このような連続鋳造機においては、鋳型上
部からの溶湯の溢出、ブレークアウトの発生等、安定操
業を阻害する各種の不都合を未然に防止して生産能率の
向上を図ると共に、鋳型内での冷却、凝固状態を安定化
させ、製品鋳片の品質向上を図るため、鋳型の内部に滞
留する溶湯の表面レベル(湯面レベル)を適正レベルに
維持することが重要であり、従来から、鋳型内部の湯面
レベルを予め定めた目標レベルに保つための湯面レベル
制御が行われている。
【0004】この湯面レベル制御は、渦流レベル計等の
適宜のレベル計により、操業中の鋳型内部の湯面レベル
を検出し、この検出レベルと予め定めた目標レベルとを
比較して、両者の偏差に基づく演算により鋳型への注湯
のための注湯手段(スライディングゲート、ストッパ装
置等)の開度変更量を求め、求められた開度変更量に対
応する開度指令を前記注湯手段のアクチュエータ(油圧
シリンダ等)に与え、前記鋳型への注湯量を加減するこ
とにより行われている。なお、前記開度変更量は、前記
偏差を入力とするPI演算又はPID演算により求めら
れ、制御対象を含めた制御系の安定化を図るようにして
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、連続鋳造機
の操業においては、鋳型から引き抜かれる鋳片のバルジ
ング等、湯面レベルの変動を引き起こす周期的な外乱が
存在しており、これらの外乱に起因して鋳型内部に発生
する周期的なレベル変動は、前述の如く行われる一般的
な湯面レベル制御により抑制することは難しい。
【0006】鋳型内部の溶湯の表面上には、鋳型の内壁
との間の潤滑性の向上を図ると共に、外気との接触によ
る前記表面の酸化を防止することを目的として、パウダ
と称される潤滑剤が供給されており、前述の如く周期的
なレベル変動が生じた場合、溶湯内への前記パウダの巻
き込みが助長されて、この間に生成された製品鋳片に表
皮下欠陥が生じ易くなるという問題があり、特に、高い
製品品質が要求される連続鋳造機においては、前述の如
く発生する周期的な湯面レベルの変動を抑制することが
重要な課題となっている。
【0007】また以上の如き周期的なレベル変動は、鋳
型の幅に対応する特定の周期にて発生したとき、前記鋳
型の幅を半波長の整数倍とする定在波として、その振幅
を徐々に増しつつ継続することがあり、このような場合
には、鋳型上部からの溶湯の溢出、ブレークアウトの発
生等、連続鋳造機の安定操業に支障を来す重大な問題を
引き起こす虞れもある。
【0008】このような事情により従来から、周期的な
レベル変動の抑制を図った湯面レベル制御方法及び湯面
レベル制御装置が種々提案されている。
【0009】特開平5-23811号公報には、注湯手段の開
度変更量を、鋳型内部の湯面の検出レベルと目標レベル
の偏差を入力とするPI演算により求める一方、注湯手
段の開度及び鋳型内部の湯面レベルの検出値を入力とす
るオブザーバにより、周期的なレベル変動を引き起こす
外乱を正弦波状又はランプ状に変化する流量外乱として
推定し、この推定値を用いて外乱を打ち消し得る補正信
号を求め、前記開度変更量に加算することによりレベル
変動の抑制を図る方法が開示されている。
【0010】また特開平10−314911号公報には、注湯手
段の開度変更量を、鋳型内部の湯面の検出レベルと目標
レベルとの偏差を入力とするPI演算により求める一
方、前記偏差を、特定の周波数に対応する位相進み補償
器に与え、該位相進み補償器の出力を前記開度変更量に
加算することによりレベル変動の抑制を図る方法が開示
されている。
【0011】ところが、前者の方法により周期的なレベ
ル変動を抑制しようとする場合、この変動を引き起こす
外乱を正弦波状に変化する流量外乱であると仮定する
が、実際の外乱波形は、正弦波にひずみが加わった形態
となることが多く、このような場合、十分なレベル変動
抑制効果は得られない。また後者の方法においては、前
記位相進み補償器が、特定の周波数以外のレベル変動に
対し注湯手段の開度操作量を増すように働き、他の周波
数でのレベル変動を引き起こす虞れがある。
【0012】また特開平11-77268号公報及び1998年12月
発行のNKK技報 No.164 に掲載された「連続鋳造モー
ルド湯面レベル制御の高精度化」には、注湯手段の開度
変更量を、鋳型内部の湯面の検出レベルと目標レベルと
の偏差を入力とするPI演算により求める一方、鋳込み
速度をスケジューリングパラメータとするゲインスケジ
ューリングH∞制御理論により設計した補償器を備え、
前記偏差を入力とする該補償器の出力を前記開度変更量
に加算することによりレベル変動の抑制を図る方法が開
示されている。
【0013】更に特開平7-40022号公報には、周期的な
レベル変動の周波数帯域を通過帯域とするバンドパスフ
ィルタを重み関数として、H∞制御理論により設計され
た制御装置により湯面レベル制御を実行することによ
り、対象となる周期的なレベル変動の抑制を図る方法が
開示されている。
【0014】これらの方法は、目標値(目標レベル)を
入力とし、制御量(湯面レベル)を出力とする本来の制
御系の伝達関数を1に近付け、制御系の安定性を確保す
ることと、レベル変動の原因となる外乱を入力とし、制
御量(湯面レベル)を出力とする仮の制御系の伝達関数
を零に近付け、前記外乱に起因する湯面レベルの変化を
抑制することとを両立させようとする線形ロバスト制御
の考えに基づくものであり、前記補償器又は制御装置の
設計に用いた所定周波数の外乱に対しては有効である反
面、前記所定周波数と異なる周波数を有する外乱に対し
ては殆ど効果がないという欠点を有している。
【0015】即ち、前記特開平11-77268号公報及び特開
平7-40022号公報に開示された方法においては、H∞制
御理論により設計された補償器又は制御装置が、前記設
計に用いた周波数の近傍のレベル変動に対して機能する
のみであり、前記周波数から外れた周波数を有するレベ
ル変動の抑制効果は殆ど期待し得ず、より優先すべき制
御系の安定性が損なわれる虞れさえある。
【0016】また、前記バルジングに起因するレベル変
動は、鋳込み速度に関連する周波数を有しており、鋳込
み速度が変更される連続鋳造機に適用する場合、夫々の
鋳込み速度に対して設計された補償器又は制御装置を各
別に用意する必要があって、制御系の構成が複雑化する
という問題がある。
【0017】一方鋳型の内部には、前述の如く、鋳型幅
を半波長の整数倍とする定在波として周期的なレベル変
動が生じることがあり、このようなレベル変動に対し、
従来においては、湯面の検出レベルと目標レベルとの偏
差を用いて前記注湯手段の開度変更量を求める演算器
(PI演算器又はPID演算器等)のゲインを所定の周
波数以上において低減せしめることにより対応している
が、この場合、外乱に起因するレベル変動に対する抑制
周波数帯域が小さいため、鋳型内部の湯面レベルが目標
レベルから外れた後の復帰が遅くなり、鋳型内での冷
却、凝固状態を安定化させることが難しいという問題が
あった。
【0018】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、連続鋳造機の鋳型内部における湯面レベルの周
期的な変動を、その周波数の如何に拘わらず効果的に抑
制することができ、またこのために制御系全体の安定性
を損なうことのない湯面レベル制御方法及び湯面レベル
制御装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明に係る
連続鋳造機の湯面レベル制御方法は、連続鋳造機の操業
中に鋳型の内部の湯面レベルを検出し、この検出レベル
と予め定めた目標レベルとの偏差を用いて求めた開度指
令に従って前記鋳型への注湯手段の開度を変更して、前
記湯面レベルを前記目標レベルに保つべく制御する連続
鋳造機の湯面レベル制御方法において、前記目標レベル
と前記検出レベルとの偏差を用い、前記注湯手段に必要
とされる開度変更量を求める一方、前記目標レベルと前
記検出レベルとの偏差を用い、制御系の感度関数及び相
補感度関数のゲインを所定の周波数に対して低減すべ
く、前記開度変更量に加える開度補正量を求め、該開度
補正量により前記開度変更量を補正して前記開度指令と
することを特徴とする。
【0020】また本発明の第2発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御方法は、鋳造機の操業中に鋳型の内部の
湯面レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた目標
レベルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前記鋳
型への注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベルを前
記目標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベ
ル制御方法において、前記目標レベルと前記検出レベル
との偏差の補正値を用い、前記注湯手段の開度変更量を
求める一方、前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差
の補正値を用い、制御系の感度関数又は相補感度関数の
ゲインを所定周波数に対して低減すべく、前記偏差に加
える偏差補正量、及び前記開度変更量に加える開度補正
量を夫々求め、前記目標レベルと前記検出レベルとの偏
差に前記偏差補正量を加えて前記補正値とし、また前記
開度変更量に前記開度補正量を加えて前記開度指令とす
ることを特徴とする。
【0021】また本発明の第3発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、連続鋳造機の操業中に鋳型の内
部の湯面レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた
目標レベルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前
記鋳型への注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベル
を前記目標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面
レベル制御装置において、前記目標レベルと前記検出レ
ベルとの偏差を入力とし、前記注湯手段に必要とされる
開度変更量を求める開度演算部と、前記目標レベルと前
記検出レベルとの偏差を入力とし、制御系の感度関数又
は相補感度関数のゲインを所定の周波数に対して低減す
べく、前記開度変更量に加える開度補正量を求める補正
量演算部と、該補正量演算部により求められた開度補正
量を前記開度演算部により求められた開度変更量に加算
して前記開度指令を出力する加算器とを具備することを
特徴とする。
【0022】また本発明の第4発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、連続鋳造機の操業中に鋳型の内
部の湯面レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた
目標レベルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前
記鋳型への注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベル
を前記目標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面
レベル制御装置において、前記目標レベルと前記検出レ
ベルとの偏差の補正値を入力とし、前記注湯手段の開度
変更量を求める開度演算部と、前記目標レベルと前記検
出レベルとの偏差の補正値を入力とし、制御系の感度関
数又は相補感度関数のゲインを所定の周波数に対して低
減すべく、前記偏差に加える偏差補正量及び前記開度変
更量に加える開度補正量を夫々求める補正量演算部と、
該補正量演算部により求められた偏差補正量を前記偏差
に加算して該偏差の補正値を出力する加算器と、前記補
正量演算部により求められた開度補正量を前記開度演算
部により求められた開度変更量に加算して前記開度指令
を出力する加算器とを具備することを特徴とする。
【0023】また本発明の第5発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、第3発明又は第4発明の補正量
演算部が、前記開度演算部のみを備える制御系の感度関
数と、前記開度演算部と前記補正量演算部とを備える制
御系の感度関数と、前記所定の周波数の信号を遮断する
ノッチフィルタの伝達関数とを用いた評価関数を最小と
すべく決定された伝達関数を有するフィルタ要素として
構成してあることを特徴とする。
【0024】また本発明の第6発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、第3発明又は第4発明の補正量
演算部が、前記開度演算部のみを備える制御系の相補感
度関数と、前記開度演算部と前記補正量演算部とを備え
る制御系の相補感度関数と、前記所定の周波数の信号を
遮断するノッチフィルタの伝達関数とを用いた評価関数
を最小とすべく決定された伝達関数を有するフィルタ要
素として構成してあることを特徴とする。
【0025】また本発明の第7発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、第5発明又は第6発明のノッチ
フィルタの遮断周波数、遮断周波数におけるゲイン及び
遮断周波数を中心とする減衰帯域幅を変更可能に構成し
てあることを特徴とする。
【0026】また本発明の第8発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、前記鋳型内部の湯面レベルの変
動状態を表す変動モデルに前記検出レベル及び開度指令
を適用し、湯面変動の原因となる外乱を推定する手段
と、該手段による推定外乱の周波数分布を求める手段
と、該手段により求められた周波数分布に基づいて前記
ノッチフィルタの遮断周波数及びゲインを夫々変更する
手段とを備えることを特徴とする。
【0027】更に本発明の第9発明に係る連続鋳造機の
湯面レベル制御装置は、前記検出レベルの周波数分布を
求める手段と、該手段により求められた周波数分布に基
づいて前記ノッチフィルタの遮断周波数及びゲインを夫
々変更する手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る連続
鋳造機の湯面レベル制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
【0029】図中1は、上下に開口を有する筒形の鋳型
であり、該鋳型1の上方には、溶湯2を貯留するタンデ
ィッシュ20が配してある。該タンディッシュ20の底面に
は、注湯ノズル3が連設され、前記鋳型1の内部にまで
延長されており、タンディッシュ20内の溶湯2は、前記
注湯ノズル3の基部に注湯手段として構成されたスライ
ディングゲート30を経て鋳型1内に注湯され、該鋳型1
の水冷された内壁との接触により冷却されて外側から凝
固し、凝固シェルにより外側を被覆された鋳片4となっ
て鋳型1の下方に連続的に引き抜かれる。
【0030】このような鋳片4の引き抜きは、鋳型1の
下方に所定の間隔毎に並設された複数対のガイドロール
5,5…により案内され、予め定めた鋳込み速度を保っ
て行われており、この引き抜きの間に前記鋳片4は、図
示しないスプレ帯から噴射される冷却水により冷却さ
れ、最内部にまで凝固が進行した段階にて所定の寸法に
切断され、圧延等の後工程において用いられる製品鋳片
となる。
【0031】以上の如き連続鋳造機の操業中、鋳型1内
部の溶湯2の表面レベル(湯面レベル)は、該溶湯2の
表面に臨ませたレベル計6により検出されており、この
検出レベルyは、レベル制御装置7に与えられている。
またレベル制御装置7には、目標レベル設定器7aに設定
された鋳型1内にて維持すべき溶湯2の表面レベルの目
標値(目標レベルr)が与えられており、該レベル制御
装置7は、前記レベル計6による検出レベルyと目標レ
ベル設定器7aに設定された目標レベルrとの偏差を求
め、この偏差を解消すべく前記スライディングゲート30
の開度変更量を求め、求められた開度変更量を得るべ
く、前記スライディングゲート30の開閉用アクチュエー
タ(油圧シリンダ)31に開閉指令uを発し、この開閉指
令uに応じたアクチュエータ31の動作によりスライディ
ングゲート30の開度を変え、鋳型1への注湯量を調節す
る湯面レベル制御動作を行うように構成されている。
【0032】図2は、レベル制御装置7の第1の実施の
形態を示すブロック線図であり、このレベル制御装置7
は、入力として与えられる目標レベルrと検出レベルy
との偏差を求め、この偏差に対応する偏差信号eを出力
する加算器70と、この偏差信号eを入力とし、開度変更
量u0 を演算する開度演算部71と、同じく前記偏差信号
eを入力とし、開度演算部71により求められた開度変更
量u0 に加える開度補正量vを演算する補正量演算部72
と、該補正量演算部72の出力と前記開度演算部71の出力
とを加算して前記開度指令uとして出力する加算器73と
を備えて構成されている。
【0033】ここで図2中に示す如く、開度演算部71の
伝達関数をC0 (s)とし、補正量演算部72の伝達関数
をC1 (s)(sはラプラス演算子)とした場合、開度
演算部71と補正量演算部72とが並列配置されていること
から、前記偏差信号eを入力とし、前記開度指令uを出
力とする伝達関数C(s)は、次式により表される。
【0034】 C(s)=C0 (s)+C1 (s) …(1)
【0035】図3は、以上の如きレベル制御装置7を用
いた湯面レベル制御系を、前記目標レベルをr、前記検
出レベルをyとし、制御対象となる連続鋳造機における
湯面レベル変動プロセスモデルの伝達関数をP(s)と
し、また、操業中に湯面レベルの変動を引き起こす外乱
をd(ノズル開度に換算したもの)として表したブロッ
ク線図である。なお、湯面レベル変動プロセスモデルの
伝達関数P(s)は、次式により表される。
【0036】 P(s)=Kf ・Vf ・Ks ・exp(−Td s)/(Am s) …(2)
【0037】この式中、Vf はタンディッシュ20の底部
での溶湯の流出速度、Kf はスライディングゲート30を
含む注湯ノズル3の流量係数、Ks はスライディングゲ
ート30の動作量に対する開口面積の変化率であり、ま
た、Am は鋳型1の水平方向断面積、Td は注湯ノズル
3の内部での湯落ちに要する無駄時間である。以下の説
明においては、(2)式における定数項をまとめたパラ
メータKp を用いる。
【0038】 Kp =Kf ・Vf ・Ks /Am …(3)
【0039】前記補正量演算部72が働かないと仮定した
場合、図3に示すブロック線図は、図4に示す如く、単
純なフィードバック制御系のブロック線図に簡略化され
る。この場合、開度演算部71において求められた開度変
更量u0 が開度指令として出力され、外乱dを加算され
て湯面レベル変動プロセスモデルに与えられて湯面レベ
ルが変化する。このように変化する湯面レベルは、前記
レベル計6による検出レベルyとしてフィードバックさ
れ、加算器70において目標レベルrとの偏差が求めら
れ、この偏差に対応する偏差信号eが開度演算部71に与
えられて開度変更量u0 が求められることとなる。
【0040】従って、PI演算器、PID演算器等、そ
れ自体安定な演算器により開度演算部71を構成すれば、
補正量演算部72が働かない状態での制御系の基本特性を
安定に定めることができる。
【0041】補正量演算部72は、以上の如く安定に構成
された制御系の感度関数のゲイン、又は相補感度関数ゲ
インのいずれか一方が、予め定めた目標周波数において
小さくなるように以下の如くに定める。
【0042】感度関数は、湯面レベル制御の目標値とな
る目標レベルrを入力とし、前記偏差信号eを出力とす
る伝達関数として定義されるものであり、図3に示す制
御系における感度関数S(s)は、下式により表され、
【0043】 S(s)=e/r=1/(1+P(s)C(s)) =1/{1+P(s)(C0 (s)+C1 (s))} …(4)
【0044】図4に示す制御系における感度関数S
0 (s)は、下式により表される。
【0045】 S0 (s)=e/r=1/(1+P(s)C0 (s)) …(5)
【0046】また相補感度関数は、目標レベルrを入力
とし、湯面レベル(検出レベル)yを出力とする伝達関
数として定義されるものであり、図3に示す制御系にお
ける感度関数T(s)は、下式により表され、
【0047】 T(s)=y/r=P(s)C(s)/(1+P(s)C(s)) =P(s)(C0 (s)+C1 (s)) /{1+P(s)(C0 (s)+C1 (s))} …(6)
【0048】図4に示す制御系における相補感度関数T
0 (s)は、下式により表される。
【0049】 T0 (s)=y/r=P(s)C0 (s)/(1+P(s)C0 (s)) …(7)
【0050】最初に、相補感度関数のゲインが目標周波
数において小さくなるように補正量演算部72の伝達関数
1 (s)を定める手順について説明する。まず、伝達
関数F(s)とT0 (s)/T(s)の誤差伝達関数の
H∞ノルムとして下記(8)式で表される評価関数Jを
導入すると、該評価関数Jが小さくなるに従って前記T
0 (s)/T(s)の全周波数におけるゲインが伝達関
数F(s)のゲインに近付くから、補正量演算部72の伝
達関数C1 (s)を前記評価関数Jを最小とするように
定めることにより目的を達成することができる。
【0051】 J=‖F(s)−T0 (s)/T(s)‖∞ …(8)
【0052】ここで、前記伝達関数F(s)は、目標周
波数fc におけるゲインが他の周波数のゲインに比して
高く、また、|F(0)|=|F(∞)|=1となり、
全ての極と零点の実部が負である安定した伝達関数とし
て、例えば、下式により表されるものである。
【0053】 F(s)=(s2 +2ωc /Qf s+ωc 2 ) /(s2 +2gf ωc /Qf s+ωc 2 ) …(9)
【0054】但し、ωc =2πfc であり、Qf は、目
標周波数fc を中心としてF(s)のゲインが1以上と
なる周波数帯域幅を表すパラメータであり、またg
f は、目標周波数fc におけるF(s)のゲインの逆数
である。
【0055】従って、前記(8)式にて表される評価関
数Jの最小値をJmin とすると、全ての角周波数ωに対
して(10)式が成り立つ。但し、jは虚数単位である。
【0056】 |F(jω)−T0 (jω)/T(jω)|<Jmin …(10)
【0057】従ってこのとき、T0 (jω)/T(j
ω)がF(jω)に十分に近ければ、T0 (jω)/T
(jω)がF(jω)に近付く。
【0058】|T0 (jω)/F(jω)|は、ω=ω
c のとき最小となる一方、ω→0又はω→∞とするとT
0 (jω)に近付く。従って、図3に示す如く、開度演
算部71と共に補正量演算部72を備える制御系における相
補感度関数T(s)のゲインは、目標周波数fc の近傍
では、開度演算部71を単独に備える制御系における相補
感度関数T0 (s)のゲインよりも小さくなり、他の周
波数においては、前記T0 (s)のゲインに近くなる。
【0059】前記(8)式にて表される評価関数Jを最
小にする補正量演算部72の伝達関数C1 (s)は、以下
の手順にて求めることができる。まず、下式にて表され
る伝達関数C2 (s)を定義する。
【0060】 C1 (s)=C0 (s)(1−C2 (s))/C2 (s) …(11)
【0061】この(11)式を(6)式に代入し、得られ
た結果を式(7)と共に式(8)に代入すると、前記評
価関数Jは、下式の如く表される。
【0062】 J=‖F(s)−T0 (s)−S0 (s)C2 (s)‖∞ …(12)
【0063】このように表される評価関数Jを最小とす
るC2 (s)を求める問題は、H∞制御理論においてモ
デルマッチング問題として知られており、例えば、「ア
ドバンスト制御のためのシステム制御理論」(前田肇,
杉江俊治著、朝倉書店、1990)のP124に記載さ
れた方法を用いることにより、前記C2 (s)は、下式
の如く求められる。
【0064】 C2 (s)=(F(s)−T0 (s))/S0 (s) …(13)
【0065】従って、目的となる補正量演算部72の伝達
関数C1 (s)は、(13)式により求められたC
2 (s)と開度演算部71の伝達関数C0 (s)とを(1
1)式に代入することにより決定することができる。
【0066】ここで、図3に示すブロック線図におい
て、検出レベルyと目標レベルrとの偏差信号eを入力
として求められた開度指令に従う制御動作により、外乱
dの作用下において鋳型1の内部において変化する湯面
レベルyを出力とする一巡ループ伝達関数は、1+P
(s)C(s)であるが、これは、前記(1)式、(1
1)式及び(13)式と、S0 (s)=1−T0 (s)な
る関係とを用いることにより下式により表される。
【0067】 1+P(s)C(s)=F(s)/(F(s)−T0 (s)) …(14)
【0068】このような一巡ループを安定とするには、
前記(14)式により表される伝達関数の全ての零点の実
部が負であることが必要である。ここで、(14)式の伝
達関数の零点は、F(s)の零点と、F(s)の極及び
0 (s)の極との和集合であるが、前述の如くF
(s)の全ての零点及び極の実部は負であり、また、C
0(s)が図4のブロック線図により示される制御系を
安定化するので、相補感度関数T0 (s)の全ての極の
実部は負である。従って、図3のブロック線図により示
される制御系は安定となる。
【0069】次に、以上の如く決定された伝達関数C1
(s)を有する補正量演算部72を備えたレベル制御装置
7を、1500mm×250mm なる断面寸法を有する鋳型1と、
70mmの開口径を有するスライディングゲート30とを備
え、鋳込み速度2m/min にて操業されるスラブ連続鋳
造機の湯面レベル制御系に適用した場合に得られる感度
関数及び相補感度関数のゲイン低減効果について、図5
及び図6を参照して説明する。
【0070】前述の如き連続鋳造機を対象とし、目標周
波数fc を0.2Hzとし、gf を0.8としたとき、
前記(13)式により求めたC1 (s)は、図5に実線に
より示す周波数−ゲイン特性と、同じく破線により示す
周波数−位相特性とを有し、これらの特性に従って前記
偏差信号eの振幅及び位相が変更される。
【0071】従って、このような補正量演算部72と、伝
達関数C0 (s)を有する開度演算部71とを並列に備え
るレベル制御装置7を用いて図3に示す如く構成された
制御系において、感度関数の周波数−ゲイン特性は、図
6(a)に実線にて示す如くなり、相補感度関数の周波
数−ゲイン特性は、図6(b)に実線にて示す如くな
る。また図6中には、開度演算部71のみを備える従来の
制御装置を用いた場合における同様の特性が破線により
夫々示されている。
【0072】本図により、レベル制御装置7を用いた場
合、感度関数及び相補感度関数のゲインが共に、0.2
Hzなる目標周波数の近傍において小さくなっているこ
とが明らかであり、目的の達成が確認できる。
【0073】次に、感度関数のゲインが目標周波数にお
いて小さくなるように補正量演算部72の伝達関数C
1 (s)を定める手順について説明する。この場合にお
いても前記(8)式と同様に、(15)式で表される評価
関数Jを導入し、この評価関数Jが最小となるように補
正量演算部72の伝達関数C1 (s)を定めることにより
目的を達成することができる。
【0074】 J=‖F(s)−S0 (s)/S(s)‖∞ …(15)
【0075】式中のF(s)は、例えば、前記(9)式
により表される目標周波数fc におけるゲインが他の周
波数におけるゲインに比して高く、また|F(0)|=
|F(∞)|=1で、且つ前記(2)式中のTd を用い
た伝達関数(=1+F(s)−F(Td /2))の全て
の零点の実部が負であるような伝達関数であり、前記
(15)式にて表される評価関数Jの最小値をJmin とす
ると、全ての角周波数ωに対して下式が成り立つ。
【0076】 |F(jω)−S0 (jω)/S(jω)|<Jmin …(16)
【0077】そしてこのとき、S0 (jω)/S(j
ω)がF(jω)に十分に近ければ、S0 (jω)/S
(jω)はF(jω)に近付く。
【0078】従って、|S0 (jω)/F(jω)|
は、ω=ωc のとき最小となる一方、ω→0又はω→∞
とするとS0 (jω)に近付く。これにより、開度演算
部71と共に補正量演算部72を備える図3に示す制御系の
感度関数S(s)のゲインは、前記目標周波数fc の近
傍では、開度演算部71のみを備える制御系での感度関数
0 (s)のゲインよりも小さくなり、他の周波数にお
いては、前記S0 (s)のゲインに近くなる。
【0079】前記(14)式にて表される評価関数Jを最
小にする補正量演算部72の伝達関数C1 (s)は、以下
の手順にて求めることができる。まず前記(4)及び
(5)式に表された関係を用いて(15)式を変形すると
下式が得られる。
【0080】 J=‖F(s)−1−P(s)S0 (s)C1 (s)‖∞ …(17)
【0081】このような評価関数Jを最小とするC
1 (s)は、前記(2)式中に含まれる無駄時間伝達関
数exp(−Td s)が、(19)式に示す一次パデ近似
により十分な精度にて近似し得るものと仮定すると、前
述したモデルマッチング問題を解くことにより(18)式
の如く求められる。
【0082】 C1 (s)={F(s)−F(2/Td )}/(P(s)S0 (s)) …(18) 但し、 exp(−Td s)≒(1−Td /2s)/(1+Td /2s) …(19)
【0083】ここで、図3に示すブロック線図におい
て、検出レベルyと目標レベルrとの偏差信号eを入力
として求められた開度指令に従う制御動作により、外乱
dの作用下において鋳型1の内部において変化する湯面
レベルyを出力とする一巡ループ伝達関数は、1+P
(s)C(s)であるが、これは、前記(1)式、
(5)式及び(18)式を用いることにより下式により表
される。
【0084】 1+P(s)C(s)=(1+P0 (s)C0 (s)) ・{1+F(s)−F(2/Td )} …(20)
【0085】このような一巡ループを安定とするには、
前記(20)式により表される伝達関数の全ての零点の実
部が負であることが必要である。1+P0 (s)C
0 (s)は、図4のブロック線図により示される制御系
の一巡ループ伝達関数であり、全ての零点及び極の実部
は負であり、またF(s)は、前述の如く、1+F
(s)−F(2/Td )の全ての零点の実部が負である
ように定めてあるので、(20)式の伝達関数の全ての極
の実部は負であり、図3のブロック線図により示される
制御系は安定となる。
【0086】次に、以上の如く決定された伝達関数C1
(s)を有する補正量演算部72を備えたレベル制御装置
7を、前述の如く構成されたスラブ連続鋳造機の湯面レ
ベル制御系に適用した場合に得られる感度関数及び相補
感度関数のゲイン低減効果について、図7及び図8を参
照して説明する。
【0087】この場合、目標周波数fc を0.2Hzと
し、gf を0.2として前記(18)式により求めたC1
(s)は、図7に実線により示す周波数−ゲイン特性
と、同じく破線により示す周波数−位相特性とを有し、
これらの特性に従って前記偏差信号eの振幅及び位相が
変更される。
【0088】従って、このような補正量演算部72と、伝
達関数C0 (s)を有する開度演算部71とを並列に備え
るレベル制御装置7を用いて図3に示す如く構成された
制御系において、感度関数の周波数−ゲイン特性は、図
8(a)に実線にて示す如くなり、相補感度関数の周波
数−ゲイン特性は、図8(b)に実線にて示す如くな
る。図8中には、開度演算部71のみを備える従来の制御
装置を用いた場合における同様の特性が破線により夫々
示されている。
【0089】本図により、レベル制御装置7を用いた場
合、感度関数及び相補感度関数のゲインが共に、0.2
Hzなる目標周波数の近傍において小さくなっているこ
とが明らかであり、目的の達成が確認できる。
【0090】図9は、レベル制御装置7の第2の実施の
形態を示すブロック線図である。このレベル制御装置7
は、入力として与えられる目標レベルrと検出レベルy
との偏差を求め、この偏差に対応する偏差信号eを出力
する加算器74と、この偏差信号eと後述する偏差補正量
xとを加算し、両者の加算信号Eを出力する加算器75
と、この加算信号Eを入力とし、開度変更量u0 を演算
する開度演算部76と、同じく前記加算信号Eを入力と
し、開度演算部76により求められた開度変更量u0に加
える開度補正量v、及び前記偏差信号eに加える偏差補
正量xとを演算する補正量演算部77と、該補正量演算部
77の出力と前記開度演算部76の出力とを加算して前記開
度指令uとして出力する加算器78とを備えて構成されて
いる。
【0091】補正量演算部77は、図示の如く、第1,第
2,第3のフィルタ 77a,77b,77cを備えるフィルタ要素
として構成されている。前記加算信号Eは、第1のフィ
ルタ77aに与えられ、該フィルタ 77aの出力qが第2,
第3のフィルタ 77b,77cに並列に与えられており、第2
のフィルタ 77bが前記開度補正量vを、第3のフィルタ
77cが前記偏差補正量xを夫々出力する構成となってい
る。
【0092】ここで図9中に示す如く、開度演算部76の
伝達関数をC0 (s)とし、補正量演算部77を構成する
第1,第2,第3のフィルタ 77a,77b,77cの伝達関数
を、夫々Q(s),Ma (s),Na (s)とした場
合、図9に示す如く、第1,第2のフィルタ 77a,77b
は、前記開度演算部76の入力側のフィードバックループ
を、第1,第3のフィルタ 77a,77cは、前記開度演算部
76と並列されたフィードフォワードループを夫々構成し
ていることから、前記偏差信号eを入力とし、前記開度
指令uを出力とする伝達関数C(s)は、下式により表
される。
【0093】 C(s)=(C0 (s)+Ma (s)Q(s)) /(1−Na (s)Q(s)) …(21)
【0094】図10は、以上の如きレベル制御装置7を用
いたレベル制御系を、前記目標レベルをr、前記検出レ
ベルをyとし、制御対象となる連続鋳造機における湯面
レベル変動プロセスモデルの伝達関数をP(s)とし、
また、操業中に湯面レベルの変動を引き起こす外乱d
(ノズル開度に換算したもの)として表したブロック線
図である。なお、伝達関数P(s)は、前記(2)式に
より与えられる。
【0095】ここで、前記補正量演算部77が働かないと
仮定した場合、図10に示すブロック線図は、前記図4に
示すブロック線図に簡略化される。この場合、前記偏差
信号eを入力として開度演算部76(図4においては開度
演算部71)において求められた開度変更量が開度指令u
として出力され、外乱dを加算されて湯面レベル変動プ
ロセスモデルに与えられて湯面レベルが変化する。この
ように変化する湯面レベルは、前記レベル計6による検
出レベルyとしてフィードバックされ、この検出レベル
yと目標レベルrとの偏差信号eが開度演算部76に与え
られて開度変更量が求められることとなる。
【0096】従って、PI演算器、PID演算器等、そ
れ自体安定な演算器により開度演算部76を構成すれば、
補正量演算部77が働かない状態での制御系の基本特性を
安定に定めることができる。
【0097】補正量演算部77は、第1の実施の形態にお
けると同様に、以上の如く構成された制御系の感度関数
のゲイン、又は相補感度関数ゲインのいずれか一方が、
予め定めた目標周波数において小さくなるように以下の
如くに定める。
【0098】補正量演算部77に含まれる第2,第3のフ
ィルタ 77b,77cは、これらの伝達関数Ma (s),Na
(s)のいずれもが、前記(2)式により表される湯面
レベル変動プロセスモデルの伝達関数をP(s)に対し
て安定であるように、下式の如く構成する。
【0099】 P(s)=Na (s)/Ma (s) …(22)
【0100】而して、図10に示す制御系の感度関数のゲ
イン又は相補感度関数ゲインの低減は、補正量演算部77
に含まれる第1のフィルタ 77aの伝達関数Q(s)を以
下の手順にて設定することにより実現する。
【0101】図9に示す如く構成されたレベル制御装置
7は、前述の如く、第1,第2のフィルタ 77a,77bを備
えるフィードバック構造と、第1,第3のフィルタ 77
a,77cを備えるフィードフォワード構造とを備えている
が、この構造は、第1のフィルタ 77aが安定であれば常
に安定である特性を有する。
【0102】図10に示すブロック線図において、検出レ
ベルyと目標レベルrとの偏差信号eを入力として求め
られた開度指令uに従う制御動作により、外乱dの作用
下にて鋳型1の内部にて変化する湯面レベルyを出力と
する一巡ループの伝達関数は、下記(23)式にて表され
る。
【0103】
【数1】
【0104】前記一巡ループを安定とするには、この
(23)式にて表される伝達関数の全ての零点の実部が負
であることが必要である。ここで、補正量演算部77が働
かないと仮定して得られた図4に示すブロック線図にお
いては、同様の一巡ループの伝達関数は、1+P(s)
0 (s)であり、これは、全ての零点の実部が負であ
り、しかも原点に極をもつ。
【0105】従って、前記(21)式の一巡伝達関数を有
する制御系、即ち、図10に示す制御系が安定であるため
には、1−Na (s)Q(s)の全ての極の実部が負で
あるか、又は、1+P(s)C0 (s)と同数の極を原
点にもてばよい。ここで、前述の如くNa (s)は安定
であることから、Q(s)の全ての極の実部が負である
か、又は、1+P(s)C0 (s)と同数の極を原点に
もてば、図10に示す制御系は常に安定となる。
【0106】図10に示す制御系の感度関数S(s)は、
前述の如く、湯面レベル制御の目標値となる目標レベル
rを入力とし、前記偏差信号eを出力とする伝達関数と
して定義されるものであり、下式により表される。
【0107】 S(s)=e/r=1/(1+P(s)C(s)) …(24)
【0108】また、補正量演算部77が働かないと仮定し
て得られた図4に示す制御系の感度関数S0 (s)は、
下式により表される。
【0109】 S0 (s)=e/r=1/(1+P(s)C0 (s)) …(25)
【0110】従って、(24)式により表される感度関数
S(s)は、(23)式と(25)式とを用いて変形する
と、下式により表される。
【0111】 S(s)=(1−Na (s)Q(s))S0 (s) …(26)
【0112】また図10に示す制御系の相補感度関数T
(s)は、目標レベルrを入力とし、湯面レベルyを出
力とする伝達関数として定義されるものであり、下式に
より表される。
【0113】 T(s)=y/r=P(s)C(s)/(1+P(s)C(s)) …(27)
【0114】また、補正量演算部77が働かないと仮定し
て得られた図4に示す制御系の相補感度関数T0 (s)
は、下式により表される。
【0115】 T0 (s)=y/r=P(s)C0 (s)/(1+P(s)C0 (s)) …(28)
【0116】従って、(27)式により表される相補感度
関数T(s)は、(23)式と(28)式とを用いて変形す
ると、下式により表される。
【0117】 T(s)=(1−Ma (s)/C0 (s)Q(s))T0 (s) …(29)
【0118】このように、図10に示す制御系において
は、前記補正量演算部77の第1のフィルタ 77aの伝達関
数Q(s)を適宜に調整することにより、前記(26)式
により示される感度関数S(s)のゲイン、又は前記
(29)式に示される相補感度関数T(s)のゲインを変
更することができる。
【0119】以上により、感度関数又は相補感度関数の
ゲインを所定の目標周波数において小さくすることがで
きるが、更には、前記目標周波数以外の周波数における
感度関数又は相補感度関数のゲインが、補正量演算部77
を備えない図4に示す制御系におけるそれらと可及的に
近くなるように補正量演算部77を構成するのが望まし
い。
【0120】このような目的は、感度関数のゲインに関
して、(24)式に表される感度関数S(s)と、(25)
式に表される感度関数S0 (s)と、図11に示す如く、
前記目標周波数において信号を遮断するノッチフィルタ
としての特性を有する伝達関数Fn (s)とを用いた下
記の評価関数Jを最小とするように、前記第1のフィル
タ 77aの伝達関数Q(s)を定めることにより達成され
る。
【0121】 J=‖Fn (s)−S(s)/S0 (s)‖∞ …(30)
【0122】この評価関数Jは、伝達関数S(s)/S
0 (s)によってノッチフィルタ伝達関数Fn (s)を
近似した誤差をH∞ノルムで評価するものであり、Jの
最小値をJmin とすると、全てのωに対して下式の関係
が成り立つ。
【0123】 |Fn (jω)−S(jω)/S0 (jω)|<Jmin …(31)
【0124】従って、Jmin が十分に小さければ、S
(jω)は、全ての周波数域においてS0 (jω)/F
(jω)に近付く。ここでノッチフィルタ伝達関数Fn
(s)は、ω→0又はω→∞としたとき零ゲインとなる
バンドパスフィルタFb (s)を用いて下式により表さ
れる。
【0125】Fn (s)=1−Fb (s) …(32)
【0126】これと前記(26)式に示す関係とを用いれ
ば、(30)式に示す評価関数Jは、下式に変形される。
【0127】 J=‖−Fb (s)+Na (s)Q(s)‖∞ …(33)
【0128】次に、補正量演算部77の第1のフィルタ 7
7aの伝達関数Q(s)の決定方法を具体的に説明する。
第2のフィルタ 77bの伝達関数Ma (s)と、第3のフ
ィルタ 77cの伝達関数Na (s)とは、前述の如く、湯
面レベル変動プロセスモデルの伝達関数をP(s)に対
して安定であるように前記(22)式により決定し、ま
た、前記無駄時間伝達関数exp(−Td s)を(19)
式に示す一次パデ近似により近似すると、下式により表
される。
【0129】 Na (s)=(1−(Td /2)s) /{(1+(Td /2)s)(1+Tm s)} …(34) Ma (s)=s/{Kp (1+Tm s)} …(35)
【0130】またノッチフィルタ伝達関数Fn (s)
は、例えば、下式に示す如くに定めることができる。
【0131】 Fn (s)={s2 +2gf (ωc /Qf )s+ωc 2 } /{s2 +2(ωc /Qf )s+ωc 2 } …(36)
【0132】但し、ωc =2πfc 、fc は目標周波
数、gf は、目標周波数fc におけるFn (s)のゲイ
ン(0<gf ≦1)であり、Qf は、目標周波数fc
中心とする減衰帯域幅(Qf >1)である。
【0133】従って、(33)式中に含まれるバンドパス
フィルタの伝達関数Fb (s)は、下式の如くなる。
【0134】 Fb (s)=2(1−gf )(ωc /Qf )s /{s2 +2(ωc /Qf )s+ωc 2 } …(37)
【0135】従って、前記(33)式のJを最小とするQ
(s)は、前述したモデルマッチング問題として解くこ
とができ、ここで湯落ちに要する無駄時間Td が0であ
るとき、評価関数Jを最小とするQ(s)は、(38)式
の如くとなり、Jの最小値は0となる。
【0136】Q(s)=Fb (s) …(38)
【0137】また無駄時間Td が、Td >0であると
き、評価関数Jを最小とするQ(s)は、(39)式の如
くなり、Jの最小値はFb (2/Td )となる。
【0138】 Q(s)=(Fb (s)−Fb (2/Td ))/Na (s) …(39)
【0139】図12は、以上の如く構成された制御系にお
ける感度関数S(s)の周波数−ゲイン特性を示す図で
ある。この特性は、目標周波数fc を0.255 Hzとし、
fを0.4 とし、またQf を10として補正量演算部77に
おける第1のフィルタ 77aの伝達関数Q(s)を定めた
場合の結果である。本図中には比較例として、開度演算
部76のみを備える従来の制御系ににおける感度関数S0
(s)の周波数−ゲイン特性が破線により示されてい
る。
【0140】両特性の比較により、目標周波数の近傍で
の感度関数S(s)のゲインは、感度関数S0 (s)の
ゲインに対して略8dB低下している一方、他の周波数
域での両者のゲイン差は、最大2dBに止まっており、
目的の達成が確認できる。
【0141】また前述した目的は、(27)式に表される
相補感度関数T(s)と、(28)式に表される相補感度
関数T0 (s)との比が、図10に示す関係を満足するよ
うになすことによっても達成可能である。このために
は、感度関数の場合と同様に、第1のフィルタ 77aの伝
達関数Q(s)を、前記T(s)及びT0 (s)と、目
標周波数において信号を遮断すべく、前記(36)式の如
く設定されたノッチフィルタの伝達関数Fn (s)とを
用いた下記の評価関数Jを最小とするように定めればよ
い。
【0142】 J=‖Fn (s)−T(s)/T0 (s)‖∞ …(40)
【0143】この評価関数Jは、伝達関数T(s)/T
0 (s)によってノッチフィルタ伝達関数Fn (s)を
近似した誤差をH∞ノルムで評価するものであり、この
ような評価関数Jを最小とすることは、伝達関数T
(s)/T0 (s)のゲイン特性をノッチフィルタ伝達
関数Fn (s)の周波数ゲイン特性に近付けることと等
価であり、前述した目的に対して最適である。
【0144】前記(40)式は、前記(29)式及び(32)
式に示す関係を用いれば、下式に変形される。
【0145】 J=‖−Fb (s)+Ma (s)/C0 (s)Q(s)‖∞ …(41)
【0146】この評価関数Jを最小とするQ(s)は、
(42)式の如くとなり、Jの最小値は0である。
【0147】 Q(s)=−Fb (s)C0 (s)/ Ma (s) …(42)
【0148】ここで、(37)式に示すFb (s)と(3
5)式に示すMa (s)とを用い、更に、C0 (s)な
る伝達関数を有する開度演算部76がPID演算器として
構成されている場合、(42)式により表されるQ(s)
の原点の極数は1個となり、1+P(s)C0 (s)の
原点の極数よりも少ないことから、制御系の安定性は確
保される。
【0149】図13は、以上の如く構成された制御系にお
ける相補感度関数T(s)の周波数−ゲイン特性を示す
図である。この特性は、目標周波数fc を1.02Hz、g
f を0.2 とし、またQf を20として補正量演算部77にお
ける第1のフィルタ 77aの伝達関数Q(s)を定めた場
合の結果である。本図中には比較例として、PID演算
器として構成された開度演算部76のみを備える場合の相
補感度関数T0 (s)の周波数−ゲイン特性が破線によ
り示されている。
【0150】両特性の比較により、目標周波数の近傍に
おいて、相補感度関数T(s)のゲインは、相補感度関
数T0 (s)のゲインに対して略14dB低下している一
方、他の周波数域での両者のゲイン差は、最大2dBに
止まっていることが明らかであり、目的の達成が確認で
きる。
【0151】目標周波数の近傍での相補感度関数のゲイ
ン低下は、PID演算器として構成された開度演算部76
のみを備える従来の制御系において、図中に一点鎖線に
より示す相補感度関数T0 (s)の周波数−ゲイン特性
を得るべく開度演算部76を構成することによっても達成
し得る。
【0152】しかしながらこの場合、図14に示す如く、
感度関数のゲインが0dB以下となる領域が本発明にお
けるそれに比して大幅に狭く、制御動作中における湯面
レベルの変動幅が大きくなるという問題がある。本発明
においては、外乱による湯面レベル変動を小さく保ちな
がら、共振による湯面の波立ちを効果的に防止すること
が可能である。なお図14中の各特性は、図13に示す各制
御系における感度関数の周波数−ゲイン特性を、図13と
共通の線種によって表したものである。
【0153】また本発明においては、抑制すべき湯面レ
ベルの目標周波数を適宜に変更することが可能である。
図15は、目標周波数の変更を可能としたレベル制御装置
7の第3の実施の形態を示すブロック線図である。
【0154】本図に示すレベル制御装置7は、図9に示
すレベル制御装置7と同様に、目標レベルrと検出レベ
ルyとを入力とし、両者の偏差に対応する偏差信号eを
出力する加算器74と、この偏差信号eと偏差補正量xと
を加算し、両者の加算信号Eを出力する加算器75と、こ
の加算信号Eを入力とし、開度変更量u0 を演算する開
度演算部76と、同じく加算信号Eを入力とし開度補正量
v及び偏差補正量xとを演算すべく、3つのフィルタ 7
7a,77b,77cを備えて構成された補正量演算部77と、開度
変更量u0 に開度補正量vを加算して開度指令uとして
出力する加算器78とを備えて構成されている。
【0155】図15に示すレベル制御装置7は、更に、制
御条件設定器79を備えており、該制御条件設定器79にお
いて、低減すべき周期的レベル変動の周波数(目標周波
数)fc 、該目標周波数fc 下でのFn (s)のゲイン
f 、及び目標周波数fc を中心とする減衰帯域幅Qf
を、外部から設定可能に構成してある。
【0156】このレベル制御装置7においても、fc
f 及びQf を(36)式に適用して得られたノッチフィ
ルタ伝達関数Fn (s)を用い、(30)式又は(40)式
に表される評価関数Jを最小とするように第1のフィル
タ 77aの伝達関数Q(s)を定めることにより前述した
目的を達成することができる。このとき、前記制御条件
設定器79に設定されたfc 、gf 及びQf を用いること
により、低減対象となる周期的レベル変動の周波数、そ
の低減程度、及び低減すべき周波数帯域を適宜に変更す
ることができ、鋳型1内部の周期的なレベル変動を、そ
の変動周期の如何に拘わらず効果的に抑制することが可
能となる。
【0157】以上の如く制御条件設定器79に外部から設
定される設定値のうち、低減すべき周期的レベル変動の
周波数(目標周波数)fc と、この目標周波数fc 下で
のノッチフィルタ伝達関数Fn (s)のゲインgf
は、操業中に実際に生じる湯面レベルの変動状態に応じ
て適正に自動変更することが可能である。図16は、fc
及びgf の自動変更を可能としたレベル制御装置7の第
4の実施の形態を示すブロック線図、図17は、同様にf
c 及びgf の自動変更を可能としたレベル制御装置7の
第5の実施の形態を示すブロック線図である。
【0158】これらの図に示すレベル制御装置7は、図
15に示すレベル制御装置7と同様、目標レベルrと検出
レベルyとを入力とし、両者の偏差に対応する偏差信号
eを出力する加算器74と、この偏差信号eと偏差補正量
xとを加算し、両者の加算信号Eを出力する加算器75
と、この加算信号Eを入力とし、開度変更量u0 を演算
する開度演算部76と、同じく加算信号Eを入力とし開度
補正量v及び偏差補正量xとを演算すべく、3つのフィ
ルタ 77a,77b,77cを備えて構成された補正量演算部77
と、開度変更量u0 に開度補正量vを加算して開度指令
uとして出力する加算器78とを備え、また、低減すべき
周期的レベル変動の目標周波数fc 、該目標周波数fc
下でのFn (s)のゲイン(抑制ゲイン)gf 、及び前
記目標周波数fc を中心とする減衰帯域幅Qf を、外部
から設定可能に構成された制御条件設定器79を備えてい
る。
【0159】更に、図16に示すレベル制御装置7には、
外乱オブザーバ8と周波数・ゲイン設定部9とが付設さ
れている。外乱オブザーバ8は、湯面レベルの変動モデ
ルとステップ状に変化することを仮定した外乱のダイナ
ミクスとを用いて湯面変動の原因となる前記外乱の推定
値を算出するものであり、この算出は、入力として与え
られる前記検出レベルy及び開度指令uに基づいて行わ
れる。
【0160】例えば、湯面レベルの変動モデルが下記
(43)式により表されるとき、外乱推定値は下記(44)
式により算出される。
【0161】
【数2】
【0162】
【数3】
【0163】以上の如く算出される外乱推定値は、周波
数・ゲイン設定部9に与えられる。周波数・ゲイン設定
部9は、フーリエ変換器90、最大振幅検出部91及びゲイ
ン設定部92を備えている。前記外乱推定値は、前記フー
リエ変換器90に入力され、該フーリエ変換器90において
周波数分布が求められる。
【0164】最大振幅検出部91は、フーリエ変換器90か
ら与えられる外乱推定値の周波数分布を調べ、予め定め
た周波数範囲における最大振幅を、これに対応する周波
数と共に検出し、前記最大振幅の周波数を低減すべき周
期的レベル変動の目標周波数fc として制御条件設定器
79に出力し、また検出された最大振幅をゲイン設定部92
に出力する。ゲイン設定部92は、最大振幅検出部91から
与えられる最大振幅が大となるに従って小さくなるよう
に前記抑制ゲインgf を設定し、この設定値を制御条件
設定器79に出力する。
【0165】レベル制御装置7においては、前記制御条
件設定器79に設定されたfc 、gf及びQf を(36)式
に適用して得られたノッチフィルタ伝達関数Fn (s)
を用い、(30)式又は(40)式に表される評価関数Jを
最小とするように前記第1のフィルタ 77aの伝達関数Q
(s)を定めることにより前述した目的を達成すること
ができる。
【0166】このとき、前記目標周波数fc 及び抑制ゲ
インgf 、即ち、ノッチフィルタの遮断周波数及びゲイ
ンは、周波数・ゲイン設定部9の前述した動作により、
湯面変動の原因となる外乱を外乱オブザーバ8により推
定した結果に基づいて設定されたものであり、実操業中
に発生する外乱の周波数分布に追従するように逐次変更
される。前記感度関数又は相補感度関数のゲインは、外
乱が制御系に与える影響を周波数毎に示すものであるか
ら、前述した目標周波数fc 及び抑制ゲインg f の変更
により、鋳型1内部の湯面レベルの変動を、長期に亘っ
て効果的に抑制することが可能となる。
【0167】一方、図17に示すレベル制御装置7には、
周波数・ゲイン設定部9のみが付設されている。この周
波数・ゲイン設定部9は、図16に示す周波数・ゲイン設
定部9と同様、フーリエ変換器90、最大振幅検出部91及
びゲイン設定部92を備えており、フーリエ変換器90に
は、前記レベル計6による検出レベルyが入力として与
えられ、該フーリエ変換器90において前記検出レベルy
の周波数分布が求められるようにしてある。
【0168】最大振幅検出部91は、フーリエ変換器90か
ら与えられる検出レベルyの周波数分布を調べ、予め定
めた周波数範囲における最大振幅を、これに対応する周
波数と共に検出し、検出された周波数を低減すべき周期
的レベル変動の目標周波数f c として制御条件設定器79
に出力し、また検出された最大振幅をゲイン設定部92に
出力する。ゲイン設定部92は、最大振幅検出部91から与
えられる最大振幅が大となるに従って小さくなるように
前記抑制ゲインgf を設定し、この設定値を制御条件設
定器79に出力する。
【0169】レベル制御装置7においては、前記制御条
件設定器79に設定されたfc 、gf及びQf を(36)式
に適用して得られたノッチフィルタ伝達関数Fn (s)
を用い、(30)式又は(40)式に表される評価関数Jを
最小とするように前記第1のフィルタ 77aの伝達関数Q
(s)を定めることにより前述した目的を達成すること
ができる。
【0170】このとき、前記目標周波数fc 及び抑制ゲ
インgf 、即ち、ノッチフィルタの遮断周波数及びゲイ
ンは、周波数・ゲイン設定部9の前述した動作により、
実操業中の鋳型1内部の湯面レベルの検出結果に基づい
て設定されたものであり、実操業中に発生する湯面レベ
ルの変動に追従するように逐次変更される。湯面レベル
の検出値の周波数分布は、レベル変動の原因となる外乱
の周波数分布をレベル制御により整形した結果として表
れるものであるから、前述した目標周波数fc及び抑制
ゲインgf の変更により、鋳型1内部の湯面レベルの変
動を、長期に亘って効果的に抑制することが可能とな
る。
【0171】この実施の形態においては、目標周波数f
c 及び抑制ゲインgf が、鋳型1内部の湯面レベルの検
出結果をそのまま用いて変更されるから、図16に示す実
施の形態と比較して制御系の構成が簡素化されるという
利点を有しているが、実際の湯面レベルは種々の原因に
よる変動成分を含んでいるため、図16に示す実施の形態
と比較してレベル変動の抑制効果はやや劣る。
【0172】なお、以上の実施の形態においては、低減
目標となる目標周波数を1つとしているが、評価関数J
に用いるF(s)として、2つ以上の周波数においてゲ
インが極大となる特性を有する伝達関数を用いること、
又は前記Fb (s)として2つ以上の周波数においてゲ
インが極大となる特性を有する伝達関数を用い、前記
(32)式にFn (s)を定めることにより、夫々の周波
数において制御系の感度関数のゲイン又は相補感度関数
のゲインを低減することができ、異なる周波数を有する
複数種の周期的レベル変動を効果的に抑制することが可
能となる。また以上の実施の形態においては、開度演算
部71,76を、PI演算器又はPID演算器として構成し
た場合について述べたが、開度演算部71,76は、図4に
示す制御系を安定にし、湯面レベルを目標値に一致させ
得る演算器であれば、例えば、H∞制御、最適レギュレ
ータ等、他の手法での演算を行わせるべく構成された演
算器であってもよい。
【0173】最後に、図9に示す湯面レベル制御装置
を、前述した如く、1500mm×250mm なる断面寸法を有す
る鋳型1と、70mmの開口径を有するスライディングゲー
ト30とを備えるスラブ連続鋳造機に適用した場合の操業
実績について説明する。
【0174】図18は、鋳型1内部の湯面レベルとスライ
ディングゲート30の開度(ノズル開度)との時間的な変
化の様子を示す図であり、図の上半部は、湯面レベルの
変化の様子を、下半部はノズル開度の変化の様子を夫々
示してある。
【0175】本図の0秒から100 秒までの間において
は、補正量演算部77を動作させず、開度演算部76により
演算された開度変更量u0 を開度指令uとして湯面レベ
ル制御を行っており、この間の湯面レベルには、周波数
0.255Hzなる周期的なレベル変動が、±11mmなる振幅
を有して発生している。
【0176】前記連続鋳造機は、鋳型1の下方に 148mm
なる間隔で並ぶガイドロール5,5…を備え、2m/min
なる鋳込み速度にて操業が行われており、このときの鋳
造速度が、
【0177】2000(mm/min)/60/ 148(mm) =0.255
【0178】となることから、前記レベル変動は、バル
ジング性のレベル変動であると考えられる。
【0179】図18の 100秒から 200秒までの間において
は、(36)式において、ノッチフィルタの目標周波数f
c を 0.255Hz、この目標周波数fc 下でのノッチフィ
ルタゲインgf を 0.7、ノッチフィルタ減衰帯域幅Qf
を10とし、制御系の感度関数のゲインを目標周波数fc
において低減させるべく構成された補正量演算部77を動
作させて湯面レベル制御が行われており、この結果、周
期的な湯面レベルの変動幅は±7mmに低減された。更
に、 200秒から 300秒までの間においては、前記ノッチ
フィルタゲインgf を 0.4として制御を行っており、こ
の結果、湯面レベルの変動幅は±4mmに低減された。
【0180】また図18の 300秒から 400秒までの間にお
いては、鋳込み速度を1.55m/min に減速して操業が行わ
れており、この結果、湯面レベルの変動周波数は 0.175
Hzに変化し、その変動幅は、略14mmに達している。こ
のような鋳込み速度の変更に対応するため、ノッチフィ
ルタの目標周波数fc を 0.175Hzに変更した 400秒以
降においては、湯面レベルの変動幅は±6mmに低減され
た。なお、目標周波数fc 及びゲインgf の変更は、図
15に示す制御条件設定器79においてなされる。
【0181】この図から、湯面レベルの変動周波数にお
いて制御系の感度関数のゲインを低減させる本発明方法
の実施により、バルジングに起因する周期的なレベル変
動を効果的に抑制することが可能であることがわかる。
【0182】図19は、前述した連続鋳造機の操業中に、
湯面レベルとノズル開度との時間的な変化の様子を示す
図であり、本図においては、0秒から20秒までの間に、
補正量演算部77を動作させずに湯面レベル制御を行って
おり、この間の湯面レベルには、1.02Hzなる周波数を
有する周期的なレベル変動が、時間の経過と共に振幅を
徐々に増して発生している。これは、鋳型1内部の湯面
の波立ちが、1500mmなる鋳型1の幅に対し、2次の固有
振動として発生したものである。
【0183】このような現象に対応するため、図19の20
秒以降においては、(36)式において、ノッチフィルタ
の目標周波数fc を1.02Hz、この目標周波数fc 下で
のノッチフィルタゲインgf を 0.2、ノッチフィルタ減
衰帯域幅Qf を20とし、制御系の相補感度関数のゲイン
を目標周波数fc において低減させるべく構成された補
正量演算部77を動作させて湯面レベル制御が行われてお
り、この結果、湯面レベルの変動は収束し、40秒の時点
において±2mmに低減された。
【0184】また図18においては、 260秒なる時点にお
いて鋳型1の幅を1300mmに減じて操業が行われており、
この結果、湯面レベルの周期的な変動の周波数が1.09H
zに変化し、再度振幅を増す現象が新たに発生した。
【0185】このような現象に対応するため、図18の 2
80秒以降において、ノッチフィルタの目標周波数fc
1.09Hzに変更し、更に 285秒以降において、ノッチフ
ィルタゲインgf を 0.1に変更してレベル制御を行っ
た。この結果、湯面レベルの変動は収束し、 300秒の時
点において±2mmに低減された。
【0186】この図から、本発明方法は、鋳型1内部の
湯面の波立ちに起因する湯面レベルの変動においても有
効であり、対応する周波数において制御系の相補感度関
数のゲインを低減させることにより前記レベル変動を効
果的に抑制することが可能であることがわかる。
【0187】
【発明の効果】以上詳述した如く、第1発明に係る湯面
レベル制御方法及び第3発明に係る湯面レベル制御装置
においては、目標レベルと検出レベルとの偏差を用いて
注湯手段の開度変更量を演算する一方、同じく前記偏差
を用いて前記開度変更量の補正量を、制御系の感度関数
又は相補感度関数のゲインを所定の周波数に対して低減
すべく求め、この補正量を前記開度変更量に加算して前
記注湯手段への開度指令としたから、連続鋳造機の鋳型
内部における湯面レベルの周期的な変動を、その周波数
の如何に拘わらず、また制御系全体の安定性を損なうこ
となく効果的に抑制することができ、このようなレベル
変動に起因する製品鋳片の欠陥の発生を防止して、良質
な製品鋳片を安定して製造することが可能となる。
【0188】また第2発明に係る湯面レベル制御方法及
び第4発明に係る湯面レベル制御装置においては、目標
レベルと検出レベルとの偏差をそのまま用いるのではな
く、この補正値を用いて注湯手段の開度変更量を演算す
る一方、同じく前記補正値を用いて前記開度変更量の補
正量と前記偏差の補正量を、制御系の感度関数又は相補
感度関数のゲインを所定の周波数に対して低減すべく演
算し、前者の補正量を前記開度変更量に加算して前記注
湯手段への開度指令とすると共に、後者の補正量を前記
偏差に加算して前述した演算に用いるようにしたから、
連続鋳造機の鋳型内部における湯面レベルの周期的な変
動を、その周波数の如何に拘わらず、また制御系全体の
安定性を損なうことなく効果的に抑制することができ、
このようなレベル変動に起因する製品鋳片の欠陥の発生
を防止して、良質な製品鋳片を安定して製造することが
可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【0189】また第5発明又は第6発明に係る湯面レベ
ル制御装置においては、補正量を演算する補正量演算部
をフィルタ要素とし、その伝達関数を、前記開度演算部
のみを備える制御系の感度関数又は相補感度関数と、こ
の開度演算部と共に前記補正量演算部を備える制御系の
感度関数又は相補感度関数と、所定の周波数の信号を遮
断するノッチフィルタの伝達関数とを用いた評価関数を
最小とすべく決定したから、湯面レベルの周期的な変動
を有効に抑制し得る制御系を、容易にしかも確実に構成
することができる。
【0190】また第7発明に係る湯面レベル制御装置に
おいては、第6発明に係るノッチフィルタの遮断周波
数、遮断周波数におけるゲイン及び遮断周波数を中心と
する減衰帯域幅を変更可能に構成したから、湯面レベル
の周期的な変動を、その周波数の如何に拘わらず、また
操業中の周波数の揺らぎに拘らず確実に抑制することが
できる。
【0191】更に第8発明に係る湯面レベル制御装置に
おいては、湯面変動の原因となる外乱を推定し、この推
定外乱の周波数分布を求め、この結果に基づいて第7発
明において変更可能としたノッチフィルタの遮断周波数
及び遮断周波数におけるゲインを変更する構成とし、ま
た第9発明に係る湯面レベル制御装置においては、操業
中の湯面レベルの検出結果の周波数分布を求め、この結
果に基づいて前記遮断周波数及びゲインを変更する構成
としたから、鋳型内部の湯面レベルの周期的な変動を、
この変動の実際の出現態様に合わせて抑制することがで
き、長期に亘って良好な抑制効果が得られ、湯面レベル
制御を安定して行わせることが可能となる等、本発明は
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続鋳造機の湯面レベル制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】レベル制御装置の第1の実施の形態を示すブロ
ック線図である。
【図3】図2に示すレベル制御装置を備える湯面レベル
制御系のブロック線図である。
【図4】補正量演算部が働かないと仮定した場合の湯面
レベル制御系のブロック線図である。
【図5】図3に示す湯面レベル制御系における感度関数
の周波数−ゲイン特性及び周波数−位相特性を示す図で
ある。
【図6】図3に示す湯面レベル制御系を感度関数に関し
て最適化した場合の感度関数及び相補感度関数の周波数
−ゲイン特性を示す図である。
【図7】図3に示す湯面レベル制御系を相補感度関数に
関して最適化した場合の周波数−ゲイン特性及び周波数
−位相特性を示す図である。
【図8】図3に示す湯面レベル制御系を相補感度関数に
関して最適化した場合の感度関数及び相補感度関数の周
波数−ゲイン特性を示す図である。
【図9】レベル制御装置の第2の実施の形態を示すブロ
ック線図である。
【図10】図9に示すレベル制御装置を備える湯面レベ
ル制御系のブロック線図である。
【図11】図9に示すレベル制御装置の補正量演算部の
伝達関数の決定に使用するノッチフィルタの周波数特性
を示す図である。
【図12】図10に示す湯面レベル制御系を感度関数に関
して最適化した場合の感度関数の周波数−ゲイン特性を
示す図である。
【図13】図10に示す湯面レベル制御系を相補感度関数
に関して最適化した場合の相補感度関数の周波数−ゲイ
ン特性を示す図である。
【図14】図10に示す湯面レベル制御系を相補感度関数
に関して最適化した場合の感度関数の周波数−ゲイン特
性を示す図である。
【図15】レベル制御装置の第3の実施の形態を示すブ
ロック線図である。
【図16】レベル制御装置の第4の実施の形態を示すブ
ロック線図である。
【図17】レベル制御装置の第5の実施の形態を示すブ
ロック線図である。
【図18】本発明に係るレベル制御装置を備える連続鋳
造機の操業実績を示す図である。
【図19】本発明に係るレベル制御装置を備える連続鋳
造機の操業実績を示す図である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 溶湯 3 注湯ノズル 4 鋳片 5 ガイドロール 6 レベル計 7 レベル制御装置 8 外乱オブザーバ 9 周波数・ゲイン設定部 71,76 開度演算部 72,77 補正量演算部 79 制御条件設定器 90 フーリエ変換器 91 最大振幅検出部 92 ゲイン設定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E004 MB02 MB09 MB10 5H004 GA07 GA17 GA40 GB03 HA05 HB05 HB07 JB22 JB30 KA65 KA78 KB02 KB04 KB06 KB17 KB28 KB29 KB30 KB31 KC08 KC18 LA02 LA03 LA12 LA13 MA14 MA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機の操業中に鋳型の内部の湯面
    レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた目標レベ
    ルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前記鋳型へ
    の注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベルを前記目
    標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制
    御方法において、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差を用い、前記
    注湯手段に必要とされる開度変更量を求める一方、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差を用い、制御
    系の感度関数及び相補感度関数のゲインを所定の周波数
    に対して低減すべく、前記開度変更量に加える開度補正
    量を求め、 該開度補正量により前記開度変更量を補正して前記開度
    指令とすることを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制
    御方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造機の操業中に鋳型の内部の湯面
    レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた目標レベ
    ルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前記鋳型へ
    の注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベルを前記目
    標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制
    御方法において、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差の補正値を用
    い、前記注湯手段の開度変更量を求める一方、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差の補正値を用
    い、制御系の感度関数又は相補感度関数のゲインを所定
    周波数に対して低減すべく、前記偏差に加える偏差補正
    量、及び前記開度変更量に加える開度補正量を夫々求
    め、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差に前記偏差補
    正量を加えて前記補正値とし、また前記開度変更量に前
    記開度補正量を加えて前記開度指令とすることを特徴と
    する連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  3. 【請求項3】 連続鋳造機の操業中に鋳型の内部の湯面
    レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた目標レベ
    ルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前記鋳型へ
    の注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベルを前記目
    標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制
    御装置において、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差を入力とし、
    前記注湯手段に必要とされる開度変更量を求める開度演
    算部と、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差を入力とし、
    制御系の感度関数又は相補感度関数のゲインを所定の周
    波数に対して低減すべく、前記開度変更量に加える開度
    補正量を求める補正量演算部と、 該補正量演算部により求められた開度補正量を前記開度
    演算部により求められた開度変更量に加算して前記開度
    指令を出力する加算器とを具備することを特徴とする連
    続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  4. 【請求項4】 連続鋳造機の操業中に鋳型の内部の湯面
    レベルを検出し、この検出レベルと予め定めた目標レベ
    ルとの偏差を用いて求めた開度指令に従って前記鋳型へ
    の注湯手段の開度を変更して、前記湯面レベルを前記目
    標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制
    御装置において、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差の補正値を入
    力とし、前記注湯手段の開度変更量を求める開度演算部
    と、 前記目標レベルと前記検出レベルとの偏差の補正値を入
    力とし、制御系の感度関数又は相補感度関数のゲインを
    所定の周波数に対して低減すべく、前記偏差に加える偏
    差補正量及び前記開度変更量に加える開度補正量を夫々
    求める補正量演算部と、 該補正量演算部により求められた偏差補正量を前記偏差
    に加算して該偏差の補正値を出力する加算器と、 前記補正量演算部により求められた開度補正量を前記開
    度演算部により求められた開度変更量に加算して前記開
    度指令を出力する加算器とを具備することを特徴とする
    連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  5. 【請求項5】 前記補正量演算部は、前記開度演算部の
    みを備える制御系の感度関数と、前記開度演算部と前記
    補正量演算部とを備える制御系の感度関数と、前記所定
    の周波数の信号を遮断するノッチフィルタの伝達関数と
    を用いた評価関数を最小とすべく決定された伝達関数を
    有するフィルタ要素として構成してある請求項3又は請
    求項4記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  6. 【請求項6】 前記補正量演算部は、前記開度演算部の
    みを備える制御系の相補感度関数と、前記開度演算部と
    前記補正量演算部とを備える制御系の相補感度関数と、
    前記所定の周波数の信号を遮断するノッチフィルタの伝
    達関数とを用いた評価関数を最小とすべく決定された伝
    達関数を有するフィルタ要素として構成してある請求項
    3又は請求項4記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装
    置。
  7. 【請求項7】 前記ノッチフィルタの遮断周波数、遮断
    周波数におけるゲイン及び遮断周波数を中心とする減衰
    帯域幅を変更可能に構成してある請求項5又は請求項6
    記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  8. 【請求項8】 前記鋳型内部の湯面レベルの変動状態を
    表す変動モデルに前記検出レベル及び開度指令を適用
    し、湯面変動の原因となる外乱を推定する手段と、該手
    段による推定外乱の周波数分布を求める手段と、該手段
    により求められた周波数分布に基づいて前記ノッチフィ
    ルタの遮断周波数及びゲインを夫々変更する手段とを備
    える請求項7記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  9. 【請求項9】 前記検出レベルの周波数分布を求める手
    段と、該手段により求められた周波数分布に基づいて前
    記ノッチフィルタの遮断周波数及びゲインを夫々変更す
    る手段とを備える請求項7記載の連続鋳造機の湯面レベ
    ル制御装置。
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