JP3171220B2 - 連続鋳造におけるモールド内溶融金属レベル制御方法 - Google Patents

連続鋳造におけるモールド内溶融金属レベル制御方法

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JP3171220B2
JP3171220B2 JP24913593A JP24913593A JP3171220B2 JP 3171220 B2 JP3171220 B2 JP 3171220B2 JP 24913593 A JP24913593 A JP 24913593A JP 24913593 A JP24913593 A JP 24913593A JP 3171220 B2 JP3171220 B2 JP 3171220B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造におけるモー
ルド内溶融金属レベル制御方法に係り、特に、溶融金属
のモールドへの流入流量を制御するためのストッパある
いはスライディングノズル等のアクチュエータを備えた
連続鋳造機により、スラブ、ビレット等の鋳片を連続的
に製造する際に、モールドへの流入流量が突発的に変化
する非定常状態においてはモールド内溶融金属レベルの
変動を抑制することができ、且つ、該非定常状態以外
(定常状態)においてはアクチュエータの必要以上に過
大な動作を防止することができる、連続鋳造におけるモ
ールド内溶融金属レベル制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属からスラブ、ビレット等の鋳片
を連続的に製造する連続鋳造機(以下連鋳機と称する)
は、例えば図5に示す如く構成されており、レードル1
2内の溶融金属10は、タンディシュ14及びノズル1
6を通って、モールド18に注入される。
【0003】モールド18に注入された溶融金属10
は、例えば、水冷されているモールド18内で側表面層
から冷却されていき、凝固した溶融金属は、ピンチロー
ル20で引き抜かれ、更に冷却され、トーチ22で切断
されて鋳片24となって後方の圧延工程に送られる。
【0004】この連鋳機において、モールド18内の溶
融金属10のレベル(溶融金属10の表面位置)を安定
に保つことは、良好な鋳片品質を確保する上で極めて重
要である。即ち、モールド内溶融金属レベルの変動は、
耐火物、溶融スラグ等の介在物の溶融金属中への巻き込
みを生じ、凝固鋳片24の表皮部に補足されてピンホー
ル発生や皮下介在物生成により欠陥をもたらしたり、不
均一な抜熱による割れが生じたりする。
【0005】従って、一般に、連続鋳造においては、モ
ールド18内の溶融金属レベル(湯面レベル)を検出す
るモールド内溶融金属レベル計26からの信号を受け、
ストッパ28やスライディングノズル等を流量制御アク
チュエータとしたモールド内溶融金属レベル一定制御が
行われている。特に、最近の鋳造速度の高速化により、
モールド内溶融金属レベル制御の重要性は、ますます高
まっている。
【0006】従来、モールド内溶融金属レベル制御は、
例えば特開昭59−30460に開示されているよう
に、図6に示す如く、タンディシュ14からモールド1
8への流路を絞ることにより溶融金属流量を制御するア
クチュエータである前記ストッパ28と、該ストッパ2
8を所望位置に制御するストッパ制御器30と、モール
ド18内の溶融金属レベルを検出する前記モールド内溶
融金属レベル計26と、モールド内溶融金属レベル目標
設定器32と、モールド内溶融金属レベルの目標値と検
出値とを比較して、その偏差e を零とするようなストッ
パ位置指令値u を演算して、比例積分微分(PID)制
御を行うPID調節計36と、からなるモールド内溶融
金属レベル制御系を用いて実施されるのが一般的であっ
た。
【0007】このようなモールド内溶融金属レベル制御
系の動作は、図7に示す如くである。
【0008】即ち、モールド内溶融金属レベル計26に
よってモールド内溶融金属レベルLが検出され、比較器
34によってモールド内溶融金属レベルの目標値Lref
と測定値Lの偏差e (=Lref −L)が算出され、この
偏差e に基づいて、PID調節計36がストッパ制御器
30に対し、ストッパ位置指令値u を送る。ストッパ制
御器30は、該指令値u に従って、ストッパ28を所定
位置に制御し、該ストッパ位置x (図7の例では、スト
ッパ制御器30の出力自体)とモールドへ流入する溶融
金属流量との関係を表わす流量ゲインGc によって決ま
る溶融金属流量q を調整することにより、モールド内溶
融金属レベルLを制御する。即ち、常にモールド内溶融
金属レベル検出値Lを監視し、それをフィードバックし
て制御を行っている。
【0009】図7において、∂Q0 /∂V(Q0 のVに
よる偏微分)は、モールドから流出する溶融金属流量Q
0 に対する鋳込み速度Vの影響係数を表わす。
【0010】モールドへの溶融金属流量を制御するアク
チュエータとしては、スライディングノズルと称する丸
い穴の開いた板を2枚以上組み合わせ、それらをスライ
ドさせるものもあるが、基本的な制御方法はストッパの
場合と同一である。
【0011】実際の連鋳機においては、前述した如く、
溶融金属10がレードル12から一旦タンディッシュ1
4へ注ぎ込まれ、次いで該タンディッシュ14からモー
ルド18へ注入されるが、この時、タンディッシュ14
からモールド18への溶融金属10の流入流量はタンデ
ィッシュ14内の溶融金属レベルの影響を受ける。特
に、タンディッシュ14へ溶融金属10を注ぎ入れるレ
ードル12が空になり、それを溶融金属が満載された他
のレードルと交換する際に、タンディッシュ14内の溶
融金属レベルが変動し、タンディッシュ14からモール
ド18への溶融金属10の流入流量が大きく変動するた
めに、上記モールド内の溶融金属レベルも大きく変動す
ることになる。
【0012】しかしながら、このような突発的なモール
ド内溶融金属レベルの変動が生じる場合、前記のような
通常のPID制御系では対処することができず、大きな
問題となっていた。即ち、連続鋳造におけるモールド内
溶融金属レベルの制御モデルは、モールドへの流入流量
が積分されてモールド内溶融金属レベルとなるため、積
分が系の特性を支配するモデルとなる。従って、微分動
作がモールド内溶融金属レベル維持に有効であるが、微
分動作は一般にノイズの影響を強く受けるため、希望す
る高いゲインを使用することは困難であり、必ずしも単
純なPID調節計だけでは、安定で且つ良好な結果を得
られなかった。
【0013】このような問題に対して、特開平3−17
4961においては、フィードバック制御量演算部が、
フィードバック演算信号を出力してモールド内溶融金属
レベル実績値をモールド内溶融金属レベル目標値に一致
させるべく作用すると共に、外乱量打消制御量演算部
が、前記アクチュエータの位置指令値又は実績値とモー
ルド内溶融金属レベル実績値とを用いて、モールド内溶
融金属レベル変動を引き起こす外乱量を推定し、該外乱
推定値を用いて前記外乱量を打ち消す補正信号を演算
し、該補正信号を前記フィードバック演算信号の補正信
号として前記アクチュエータに加えることにより、様々
な外乱に対してもモールド内溶融金属レベル変動を抑制
し、モールド内溶融金属レベルを安定化させるようにし
ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭59−30460のようなモールド内溶融金属レベ
ル制御方法では、前述した突発的なタンディシュ内溶融
金属レベル変動に伴うモールドへの溶融金属流入流量の
変動には対応できないため、モールド内溶融金属レベル
変動は依然として残るという問題点を有していた。
【0015】モールド内溶融金属レベル制御において、
直接操作できる量は溶融金属の流量であり、それがモー
ルドに蓄積された量、即ち積分量が制御したいモールド
内溶融金属レベルの値となる。即ち、もともと位相遅れ
の大きい系であるため、外乱の影響が結果となって現わ
れるのに時間がかかり、モールド内溶融金属レベルの値
だけを見てフィードバック制御しているのでは、制御が
後追いとなり、外乱の影響が大きく残るという性質をも
っている。
【0016】例えば、突発的にタンディシュ内溶融金属
レベルが変動したとすると、流量ゲインGc が突発的に
増加し、モールド内に流入する溶融金属の流量は、図8
の(A)に示す如く、ステップ状に変化する。それに対
して何も処置をしないと、モールド内溶融金属レベル
は、図8の(B)の如く、ランプ状に上昇する。これに
対する望ましい処置は、ストッパなどの流量制御アクチ
ュエータを、図8の(C)の如く、ステップ状に操作し
て、外乱による流量変動を打ち消すことであるが、PI
D制御系のようなフィードバック制御系では、モールド
内溶融金属レベル変化が現われてから初めて処置が行わ
れるため、流量制御アクチュエータの操作は、図8の
(D)の如く緩慢なものとなり、図8の(E)に示す如
く、大きなモールド内溶融金属レベル変動をもたらすこ
とになる。
【0017】一方、前記特開平3−174961におい
て提案されているモールド内溶融金属レベル制御方法
は、前述した如く、フィードバック制御量演算部が、フ
ィードバック演算信号を出力してモールド内溶融金属レ
ベル実績値をモールド内溶融金属レベル目標値に一致さ
せるべく作用すると共に、外乱量打消制御量演算部が、
前記アクチュエータの位置指令値又は実績値とモールド
内溶融金属レベル実績値とを用いてモールド内溶融金属
レベル変動を引き起こす外乱量を推定し、該外乱推定値
を用いて外乱量を打ち消す補正信号を演算し、該補正信
号によって前述の様々な外乱に対してモールド内溶融金
属レベル変動を抑制することを特徴としているが、前記
外乱推定値を求めるための演算式のパラメータの誤差
や、制御対象の経時変化によるパラメータ変動、あるい
は前記モールド内溶融金属レベルを検出するための検出
器に加わる観測雑音に関しては何ら考慮していない。そ
のため、該パラメータ誤差や該パラメータ変動あるいは
該観測雑音等の影響により、アクチュエータの動作が過
大になる場合があり、常に安定なモールド内溶融金属レ
ベルを維持できるとは限らない。
【0018】本発明は、前記従来の課題を解決するべく
なされたもので、レードルを交換する際に発生する、
い応答性が要求される突発的なタンディッシュ内溶融金
属レベル変動に伴うモールドへの溶融金属流入流量の変
動、又は前記パラメータの誤差や変動あるいは前記観測
雑音等に対して、安定且つ良好なモールド内溶融金属レ
ベル制御を実現して、このレベル変動を抑制することが
できる、連続鋳造におけるモールド内溶融金属レベル制
御方法を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、レードルから
タンディシュに供給された溶融金属をモールドへ流入さ
せる際の流量を制御するアクチュエータの位置指令値又
は位置実績値と、レベルセンサで計測したモールド内溶
融金属レベル実績値とを用いてモールド内溶融金属レベ
ル変動を引き起こす外乱の量を推定し、該推定値を用い
て外乱量を打ち消すための補正信号を生成する外乱量打
消制御量演算部と、モールド内溶融金属レベル実績値を
モールド内溶融金属レベル目標値に一致させるべく作用
するフィードバック演算信号を出力するフィードバック
制御量演算部とを備えた制御装置を用いる、連続鋳造に
おけるモールド内溶融金属レベル制御方法において、フ
ィードバック制御量演算部から出力されるフィードバッ
ク演算信号によって前記アクチュエータを操作する単純
フィードバック制御と、外乱量打消制御量演算部で生成
した補正信号を、上記フィードバック演算信号に加算し
た信号によって前記アクチュエータを操作する外乱オブ
ザーバ制御と、を自動的に切り換えるようにし、単純フ
ィードバック制御から外乱オブザーバ制御への自動切換
が、レードル内の溶融金属の残量が基準値以下になると
実行され、外乱オブザーバ制御から単純フィードバック
制御への自動切換が、レードル内の溶融金属が基準値以
上になって所定時間経過した後に実行されるようにした
ことにより、前記課題を解決したものである。
【0020】
【0021】
【0022】
【作用】本発明においては、フィードバック制御量演算
部から出力されるフィードバック演算信号によって前記
アクチュエータを操作する単純フィードバック制御と、
外乱量打消制御量演算部で生成した補正信号を上記フィ
ードバック演算信号に加算した信号によって前記アクチ
ュエータを操作する外乱オブザーバ制御とを、自動的に
切り換えてこれら両制御を使い分けるようにしたので、
モールドへの溶融金属の流入流量が突発的に変化する非
定常状態においては、外乱オブザーバ制御を用いること
によりモールド内溶融金属レベルの変動を抑制し、非定
常状態以外(定常状態)においては、単純フィードバッ
ク制御を用いることにより、前記パラメータ誤差等の影
響を排除し、アクチュエータの過大な動作を防止するこ
とが可能となる。
【0023】ここで、非定常状態とは、溶融金属が空に
なったレードルから溶融金属を満載したレードルに交換
する際にタンディッシュ内溶融金属レベルが大きく変動
し、タンディッシュからモールドへの溶融金属流入流量
が大きく変動する状態を意味する。
【0024】本発明において、単純フィードバック制御
から外乱オブザーバ制御への自動切換が、レードル内の
溶融金属の残量が基準値以下になると実行されるように
したので、レードル内の溶融金属残量が空に近い状態に
なると、レードル内残量が基準値以下になるタイミング
を検出し、該検出タイミングで単純フィードバック制御
から、非定常状態に有効な外乱オブザーバ制御への切換
を自動的に実行することができる。
【0025】一方、外乱オブザーバ制御から単純フィー
ドバック制御への自動切換が、レードル内の溶融金属が
基準値以上になって所定時間経過した後に行われるよう
したので、溶融金属を満載したレードルに交換した
後、所定時間経過するとタンディッシュ内溶融金属レベ
ルが安定し、定常状態になるので、レードル内溶融金属
残量が基準値以上になるタイミングを検出し、該タイミ
ングから一定時間経過した後、外乱オブザーバ制御か
ら、定常状態に有利な単純フィードバック制御への切換
を自動的に実行することができる。
【0026】このようにすることにより、定常状態、非
定常状態の状況に応じて適切な制御方法が自動的に選択
することが可能となるため、常に良好且つ安定なモール
ド内溶融金属レベル制御が実現される。
【0027】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0028】図1は、本発明の一実施例に適用される制
御装置の概略構成を示すブロック線図であり、本実施例
は前述した図7の連続鋳造機に適用される。本実施例で
は、アクチュエータがストッパ28であり、又、モール
ド18への流入流量q がストッパ位置実績値と比例関係
で決定され(比例係数は流量係数Gc (流量ゲイ
ン))、流入流量q からモールド内溶融金属レベルLへ
の動特性が積分で表現される場合を例にとって説明す
る。
【0029】図1中、34は、モールド内溶融金属レベ
ルの目標値Lref とモールド内溶融金属レベル計26で
検出したモールド内溶融金属レベル検出値Lとを比較し
て、その偏差e (=Lref −L)を出力する比較器であ
る。
【0030】40は、フィードバック制御量演算器であ
り、比較器34から入力された偏差e を零にするように
ストッパ28の位置を指令するストッパ位置指令値U0
を演算して、加算器42に出力する。
【0031】上記加算器42では、入力されたストッパ
位置指令値U0 と後述するストッパ補正信号Uc とが加
算され、それがストッパ位置の実際の指令値u としてス
トッパ動特性44に出力される。
【0032】上記ストッパ動特性44は、加算器42か
ら入力されたストッパ位置指令値uによって制御された
ストッパ28の動特性を一時遅れ(時定数T0 )と仮定
して示し、該ストッパ動特性44からはストッパ位置指
令値u によって制御されたストッパ28の実際の位置
が、ストッパ位置実績値x として流量特性46に出力さ
れる。
【0033】この流量特性46は、モールド18の流量
特性を示し、ノズル16からモールド18に流入する溶
融金属10の流入流量q を、ストッパ動特性44で決定
されるストッパ位置実績値x と比例関係(比例係数は流
量係数Gc )を保って加算器48に出力する。
【0034】この加算器48は、流量外乱が生じた場合
に、その流量外乱Qw を流入流量qに加わえて、総流入
量Qを算出し、その総流入量Qの溶融金属10をモール
ド18に流入させる。
【0035】図中50は、総流入量Qの溶融金属10が
流入されたモールド18内の現象を示し、モールド内溶
融金属レベルLは総流入量Qによって決定される。ここ
で、Aはモールド18の断面積、s はラプラス演算子で
ある。
【0036】以上の構成により、モールド内溶融金属レ
ベル検出値Lをモールド内溶融金属レベル目標値Lref
に一致させるべく作用するフィードバック制御ループが
形成されるが、本実施例には、更に補正信号演算器52
と補正係数乗算器54とで構成される外乱打ち消し制御
量演算部が内包され、しかも補正係数乗算器54から前
記加算器42への入力を調整して制御方法を切換える制
御方法切換装置56が設けられている。
【0037】前記補正信号演算器52は、ストッパ動特
性44で決定されるストッパ位置実績値x とモールド内
溶融金属レベル検出値Lとから流量外乱推定値Qw を演
算し、この推定値Qw から突発的なタンディシュ内溶融
金属レベル変動に伴って生じる流量外乱Qw を打ち消す
ためのストッパ補正量指令値UD を算出して出力する演
算器である。
【0038】この補正信号演算器52では、制御モデル
によって流量外乱推定値Qw を演算する。この制御モデ
ルは、状態方程式
【数1】 で表現される。ここで、d /dtは微分演算子である。
【0039】補正信号演算器52は、この(1)式を演
算する機能を有し、ストッパ動特性44で決定されたス
トッパ位置実績値x を入力して(1)式に代入してモー
ルド内溶融金属レベルLを算出する。算出されたモール
ド内溶融金属レベルLはモールド内溶融金属レベルの推
定値Lであり、補正信号演算器52は、このモールド内
溶融金属レベル補正信号Lとモールド内溶融金属レベル
計26を介して入力したモールド内溶融金属レベル検出
値との差を式
【数2】 にて、逐次モデルへフィードバックして、モールド内溶
融金属レベルLをモールド内溶融金属レベルの推定値L
ハットと一致させるように機能することができる。ここ
で、G1は定数である。
【0040】そして、補正信号演算器52は、このモデ
ルによる演算過程において流量外乱推定値Qw ハットを
算出し、この推定値Qw ハットに基づいて、流量外乱Q
w を打ち消すストッパ補正指令値UD を、式
【数3】 に従って演算し、補正係数乗算器52に出力する。な
お、k1は流量係数Gc から決定される定数である。
【0041】前記補正係数乗算器54は、補正信号演算
器52からのストッパ補正量指令値UD に補正係数−k
を乗じて、ストッパ補正信号Uc を加算器42に出力す
るものである。即ち、補正係数乗算器54から出力され
るストッパ補正信号Uc は、式 Uc =−k ・UD …(4) で示される。
【0042】補正係数乗算器54から出力される上記ス
トッパの補正信号Uc は、一旦前記制御方法切換装置5
6に入力される。この制御方法切換装置56は、レード
ル内溶融金属重量の基準値WL0 とタイマ設定時間Tが
予め設定できるようになっており、該基準値WL0 と実
測したレードル内溶融金属重量WLとを比較して該重量
WLが上記基準値WL0 より小さくなった時に上記補正
信号Uc を出力する機能と、該基準値WL0 とレードル
内溶融金属重量WLとを比較して、WLがWL0 より大
きくなった時から所定時間Tが経過した後に補正信号U
c の出力を停止する機能を備えている。
【0043】本実施例においては、フィードバック制御
量演算器40から出力されるストッパ位置指令値U0 を
ストッパ動特性44に直接入力してストッパを制御する
単純フィードバック制御と、上記ストッパ位置指令値U
0 と補正係数乗算器54から出力されるストッパ補正信
号Uc とを加算器42で加算し、それを実際のストッパ
位置指令値u としてストッパ動特性44に入力して制御
する外乱オブザーバ制御と、をそれぞれ実行する機能を
備えると共に、上記ストッパ補正信号Uc の入力を制御
方法切換装置56によって調整することにより、レード
ル交換の際には、フィードバック演算信号であるストッ
パ位置指令値U0 に、外乱を打消すための補正信号Uc
を加えて行う外乱オブザーバ制御によりモールド内溶融
金属レベルを制御し、レードル交換時以外では、フィー
ドバック演算信号U0 のみで行う単純フィードバック制
御によりモールド内溶融金属レベルを制御することがで
きる。
【0044】従って、本実施例によれば、レードル交換
時に発生する流量外乱に対して迅速且つ適切に対応でき
ると共に、制御対象に摂動が生じても、アクチュエータ
(ストッパ)の動作が不必要に過大になることなく、モ
ールド内溶融金属レベルを常に安定に保つことができ
る。
【0045】図2は、本実施例の制御方法を適用した場
合のレードル交換時とその前後における制御特性を示
し、図3は、フィードバック演算信号のみで制御した場
合、図4は、フィードバック演算信号に外乱打消補正信
号を常時加えて制御した場合の上記図2に相当する制御
特性をそれぞれ示している。
【0046】図3より、フィードバック演算信号のみを
用いる従来の制御方法では、レードル交換時におけるモ
ールド内溶融金属レベル変動が20ミリ以上にもなるこ
とが分かる。一方、フィードバック演算信号に外乱打消
補正信号を常時加えて制御する方法では、図4よりレー
ドル交換時におけるレベル変動が6ミリ程度に抑制され
ているものの、レードル交換時以外の定常状態における
レベル制御性が悪化していることが分かる。
【0047】これに対して、本発明の制御方法によれ
ば、図2より、レードル交換時におけるレベル変動を6
ミリ程度に抑制できると共に、その前後の定常状態にお
けるレベル制御性も良好に維持できていることが分か
る。
【0048】なお、前記実施例では、流量外乱量の推定
にストッパ(アクチュエータ)の位置実績値を用いた
が、位置指令値を用いてもよいことはいうまでもない。
【0049】又、アクチュエータとしてストッパを例に
とって説明したが、スライディングノズルを用いても良
いことは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、レ
ードル交換によるタンディッシュ内溶融金属レベルの変
動等によって引き起こされる流量外乱とその微分量とを
推定し、これらの推定値を用いて流量外乱を打消すよう
に制御する外乱オブザーバ制御方法と、モールド内溶融
金属レベル実績値をモールド内溶融金属レベル目標値に
一致させるべく作用するフィードバック演算信号を出力
する単純フィードバック制御方法とを、状況に応じて自
動的に切り換えることにより、前記流量外乱に対して迅
速且つ適切に対応すると共に、制御対象に摂動が生じて
もアクチュエータの動作が不必要に過大になることな
く、モールド内溶融金属レベルを常に安定に保つことが
でき、その結果、製造される鋳片を良好な品質に保つこ
とができると共に、品質欠陥の発生を防止して歩留り向
上を図ることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の連続鋳造におけるモー
ルド内溶融金属レベル制御方法に適用される制御装置の
概略構成を示すブロック線図
【図2】本発明による制御応答性の一例を示す線図
【図3】フィードバック演算信号のみで制御した場合の
応答性の一例を示す線図
【図4】フィードバック演算信号に外乱打消補正信号を
加えて制御した場合の応答性の一例を示す線図
【図5】連続鋳造機の一例の概略構成を示す全体図
【図6】従来のモールド内溶融金属レベル制御装置の概
略構成を示す全体図
【図7】図6の装置を伝達関数で表わしたブロック線図
【図8】モールドへの溶融金属流量が突発的に変化した
場合のモールド内溶融金属レベル変動の一例を示す線図
【符号の説明】
10…溶融金属 14…タンディシュ 16…ノズル 18…モールド 24…鋳片 26…モールド内溶融金属レベル計 28…ストッパ(アクチュエータ) 34…比較器 40…フィードバック制御量演算器 42、48…加算器 44…ストッパ動特性 46…流量特性 50…モールド内現象 52…補正信号演算器 54…補正係数乗算器 56…制御方法切換装置 L…モールド内溶融金属レベル検出値(実績値) Lref …モールド内溶融金属レベル目標値 q …流入流量 Qw …流量外乱 Qw ハット…流量外乱推定値 u …ストッパ位置指令値 Uc …ストッパ補正信号(補正信号) U0 …ストッパ位置指令値(フィードバック演算信号) x …ストッパ位置実績値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬田 一 岡山県倉敷市水島川崎通一丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (72)発明者 加地 孝行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平5−23811(JP,A) 特開 平2−142658(JP,A) 特開 昭61−292701(JP,A) 特開 平4−309440(JP,A) 特開 平5−31560(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/18 G05B 13/02 G05D 9/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レードルからタンディシュに供給された溶
    融金属をモールドへ流入させる際の流量を制御するアク
    チュエータの位置指令値又は位置実績値と、レベルセン
    サで計測したモールド内溶融金属レベル実績値とを用い
    てモールド内溶融金属レベル変動を引き起こす外乱の量
    を推定し、該推定値を用いて外乱量を打ち消すための補
    正信号を生成する外乱量打消制御量演算部と、モールド
    内溶融金属レベル実績値をモールド内溶融金属レベル目
    標値に一致させるべく作用するフィードバック演算信号
    を出力するフィードバック制御量演算部とを備えた制御
    装置を用いる、連続鋳造におけるモールド内溶融金属レ
    ベル制御方法において、 フィードバック制御量演算部から出力されるフィードバ
    ック演算信号によって前記アクチュエータを操作する単
    純フィードバック制御と、 外乱量打消制御量演算部で生成した補正信号を、上記フ
    ィードバック演算信号に加算した信号によって前記アク
    チュエータを操作する外乱オブザーバ制御と、を自動的
    に切り換えるようにし、 単純フィードバック制御から外乱オブザーバ制御への自
    動切換が、レードル内の溶融金属の残量が基準値以下に
    なると実行され、 外乱オブザーバ制御から単純フィードバック制御への自
    動切換が、レードル内の溶融金属が基準値以上になって
    所定時間経過した後に実行される ことを特徴とする連続
    鋳造におけるモールド内溶融金属レベル制御方法。
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