JP2001125146A - 液晶素子、及び該液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子、及び該液晶素子の製造方法

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JP2001125146A
JP2001125146A JP30764799A JP30764799A JP2001125146A JP 2001125146 A JP2001125146 A JP 2001125146A JP 30764799 A JP30764799 A JP 30764799A JP 30764799 A JP30764799 A JP 30764799A JP 2001125146 A JP2001125146 A JP 2001125146A
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phase
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pair
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Yasushi Asao
恭史 浅尾
Takeshi Togano
剛司 門叶
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶パネルが何らかの理由で相転移温度以上
の温度に昇温された後に降温されたとしても、液晶の層
方向及び液晶パネルの性能を初期の状態に維持する。 【解決手段】 液晶パネルP1 の液晶2は、等方性液体
相(Iso.)及びカイラルスメクチックC相(SmC
* )の相系列を有するカイラルスメクチック液晶であっ
て、高分子による網目構造が形成されたものとする。こ
のような液晶2は、液晶パネルを製造する際の降温過程
にDC電圧が印加されることによって層構造が一方向と
なるが、その製造後に何らかの理由によって相転移温度
よりも高い温度に昇温され、その後DC電圧の印加を受
けることなく自然冷却された場合でも、層方向は一方向
のまま維持され、液晶パネルの性能も維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットパネルデ
ィスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンタ
ー等に用いられるライトバルブに使用される液晶素子、
及び該液晶素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネマチック液晶を用いると共
にTFT(Thin Film Trasistor)
等のスイッチング素子を各画素に配置したアクティブマ
トリクス型の液晶パネル(液晶素子)が広く使用されて
いる。
【0003】かかる液晶パネルには、たとえばエム・シ
ャット(M.Schadt)とダブリュー・ヘルフリッ
ヒ(W.Helfrich)著Applied Phy
sics Letters第18巻、第4号(1971
年2月15日発行)第127頁から128頁において示
されたツイステッドネマチック(Twisted Ne
matic)モードが広く用いられている。
【0004】また、最近では横方向電界を利用したイン
プレインスイッチング(In−Plain Switc
hing)モードや垂直配向(Vertical Al
ignment)モードが発表されており、ツイステッ
ドネマチックモード液晶ディスプレイの欠点であった視
野角特性の改善がなされている。
【0005】このように、こうしたネマチック液晶を用
いた液晶パネルは様々なモードが存在するのであるが、
そのいずれのモードの場合にも液晶の応答速度が数十ミ
リ秒以上かかってしまうという問題点が存在していた。
【0006】このような従来型のネマチック液晶パネル
の欠点を改善するものとして、近年、カイラルスメクチ
ック相を示す液晶を用いた液晶モードがいくつか提案さ
れている。例えば、「ショートピッチタイプの強誘電性
液晶」、「高分子安定型強誘電性液晶」、「無閾反強誘
電性液晶」などが提案されており、未だ実用化には至っ
ていないものの、いずれもサブミリ秒以下の高速応答性
が実現できると報告されている。
【0007】ところで、上述した従来の液晶パネルにお
いては、液晶分子の規制力は配向制御膜に付与された一
軸配向規制力のみであったため、種々の問題が存在して
いた。すなわち、液晶の両側の配向状態が対称な場合
(すなわち、液晶の両側に施した一軸配向処理の状態
(処理方向等の条件、配向材料等)が対称な場合)に
は、Ch相において液晶分子を一方向に配列させる力は
あるものの、それよりも低温側のSmC* 相において層
法線方向を一方向に揃える力は存在しないという問題が
あった。
【0008】そこで、このような問題を解決する液晶パ
ネルが本発明者らによって提案されている(特願平10
−177145号)。この液晶パネルでは、高温側より
等方性液体相(Iso.)−コレステリック相(Ch)
−カイラルスメクチックC相(SmC* )又は等方性液
体相(Iso.)−カイラルスメクチックC相(SmC
* )を示す相系列のカイラルスメクチック液晶に着目
し、仮想コーンのエッジより内側の位置にて液晶分子を
単安定化させるようにしている。そして、Ch相からS
mC* 相への相転移時、或は等方相からSmC* 相への
相転移時に、その相転移温度(Tc)近傍にてDC電圧
を印加する等によって層方向を一方向に均一化させ、こ
れにより、高速応答及び階調制御が可能であって、動画
質に優れた高輝度の液晶パネルを量産できるようにして
いる。かかる液晶パネルは、上述した各種スメクチック
液晶モードと比較して自発分極値を小さくできることか
ら、TFT等のスイッチング素子とのマッチングが良い
ものとなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た液晶パネルにおけるDC電圧の印加は、製造過程にお
いては必ず行えるものの、製造された後(すなわち、製
造された後に何らかの理由で液晶パネルが相転移温度以
上に昇温され、該相転移温度以下に降温される過程)に
おいては行えず、そのような液晶パネルでは、層法線方
向は一方向に定まらず2方向存在することとなってしま
って、初期の性能が悪化することとなる。つまり、液晶
パネルの性能を維持するには、液晶パネルが相転移温度
(Tc)より高温に昇温されないように注意しておく必
要があった。
【0010】なお、このような問題を解決する方法とし
て、両方の配向制御膜を非対称とし、或は両方の配向制
御膜に異なる条件の配向処理を施すことによって、実質
的に液晶層に内部電位を発生させ、いずれか一方の層方
向が出易くするようにする(すなわち、自然冷却後にお
いて自発分極の方向を揃える)ことも考えられる。しか
し、このようにした場合には、通常の駆動を行う場合に
液晶にDC成分が多く残留してしまい、いわゆる液晶の
焼き付きが発生してしまうという問題があった。
【0011】そこで、本発明は、昇温されることに伴う
性能悪化を防止する液晶素子及びその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記事情を考慮
してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置
された一対の基板と、これら一対の基板の間隙に配置さ
れたカイラルスメクチック液晶と、該カイラルスメクチ
ック液晶を挟み込むように配置された一対の電極と、を
備え、前記一対の基板の少なくとも一方の基板には前記
カイラルスメクチック液晶を配向させるための一軸配向
処理が施され、かつ、前記一対の電極を介して前記カイ
ラルスメクチック液晶に電圧を印加することにより駆動
される液晶素子において、前記カイラルスメクチック液
晶は、相系列が、高温側より等方性液体相(Iso.)
−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC
相(SmC* )又は等方性液体相(Iso.)−カイラ
ルスメクチックC相(SmC* )を示す液晶であり、電
圧が印加されていない状態では、液晶の平均分子軸が単
安定化された配向状態を示し、一の極性の電圧が印加さ
れて駆動される場合には、液晶の平均分子軸は印加電圧
の大きさに応じた角度で該単安定化された位置から一方
の側にチルトし、他の極性の電圧が印加されて駆動され
る場合には、液晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに応
じた角度で該単安定化された位置から他方の側にチルト
し、前記一の極性の電圧が印加されて駆動される場合の
最大チルト角が、前記他の極性の電圧が印加されて駆動
される場合の最大チルト角よりも大きく、かつ、前記カ
イラルスメクチック液晶は、高分子による網目構造が形
成されたものである、ことを特徴とする。
【0013】また本発明は、所定間隙を開けた状態に一
対の基板を配置する工程と、これら一対の基板の間隙に
カイラルスメクチック液晶を配置する工程と、該カイラ
ルスメクチック液晶を挟み込むように一対の電極を配置
する工程と、からなる液晶素子の製造方法において、前
記カイラルスメクチック液晶は、相系列が、高温側より
等方性液体相(Iso.)−コレステリック相(Ch)
−カイラルスメクチックC相(SmC* )又は等方性液
体相(Iso.)−カイラルスメクチックC相(SmC
* )を示す液晶であり、前記カイラルスメクチック液晶
に重合性モノマーを添加したものを前記一対の基板の間
隙に配置し、その後、該カイラルスメクチック液晶が等
方性液体相(Iso.)やコレステリック相(Ch)に
なる温度まで昇温し、さらに、該カイラルスメクチック
液晶がカイラルスメクチックC相(SmC*)に転移す
る際にその相転移温度近傍にて前記一対の電極の間にD
C電圧を印加し、かつ、前記重合性モノマーを反応させ
高分子化させる、ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図6を参照して、
本発明の実施の形態について説明する。 (1) まず、本実施の形態に係る液晶素子の構成につい
て図1を参照して説明する。
【0015】本実施の形態に係る液晶素子は、図1に符
号P1 で示すように、所定間隙を開けた状態に配置され
た一対の基板1a,1bと、これら一対の基板1a,1
bの間隙に配置されたカイラルスメクチック液晶2と、
該カイラルスメクチック液晶2を挟み込むように配置さ
れた一対の電極3a,3bと、を備えている。そして、
該液晶素子P1 は、前記一対の電極3a,3bを介して
前記カイラルスメクチック液晶2に電圧を印加すること
により駆動されるようになっている。
【0016】なお、前記一対の基板1a,1bの少なく
とも一方の基板には、前記カイラルスメクチック液晶2
を配向させるための一軸配向処理が施されている。この
一軸配向処理は、両方の基板1a,1bに対して同じ方
向・条件で行う方が好ましい。
【0017】一方、本実施の形態にて用いるカイラルス
メクチック液晶2は、相系列が、高温側より等方性液体
相(Iso.)−コレステリック相(Ch)−カイラル
スメクチックC相(SmC* )又は等方性液体相(Is
o.)−カイラルスメクチックC相(SmC* )を示す
液晶であって、具体的には、下記(1) 〜(4) に示す液晶
が好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】 また、本実施の形態にて用いるカイラルスメクチック液
晶2は、 * 電圧が印加されていない状態では、液晶の平均分子
軸が単安定化された配向状態を示し、 * 一の極性の電圧が印加されて駆動される場合には、
液晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で該
単安定化された位置から一方の側にチルトし、 * 他の極性(前記一の極性に対する逆極性をいう。以
下、同じ)の電圧が印加されて駆動される場合には、液
晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で該単
安定化された位置から他方の側(前記一の極性の電圧が
印加されてチルトされる側とは逆の側)にチルトする、
ような液晶である。ここで、一の極性の電圧が印加され
て駆動される場合の最大チルト角が、他の極性の電圧が
印加されて駆動される場合の最大チルト角よりも大きく
なるようにしてもよい。具体的には、一の極性の電圧が
印加されて駆動される場合の最大チルト角が、他の極性
の電圧が印加されて駆動される場合の最大チルト角の5
倍以上にすると良い。なお、カイラルスメクチック液晶
2をこのような特性のものにするには、その材料の組成
を調整し、更に液晶材料の処理条件や素子構成(例えば
後述する配向制御膜6a,6bの材料や処理条件等)を
調整すれば良い。例えば、カイラルスメクチック液晶2
として、所定の特性(液晶材料固有の物性値であるコー
ン角Θ、スメクチック層の層間隔d、傾斜角δについて
特性)を示すようなビフェニル骨格やフェニルシクロヘ
キサンエステル骨格、フェニルピリミジン骨格等を有す
る炭化水素系液晶材料、ナフタレン系液晶材料、ポリフ
ッ素系液晶材料を適宜選択して調整した組成物を用いれ
ば良い。
【0022】さらに、本実施の形態にて用いるカイラル
スメクチック液晶2は、高分子による網目構造(高分子
ネットワーク)が形成されたものである。そのような網
目構造を形成するには、カイラルスメクチック液晶2に
重合性モノマーを添加しておき、降温時の相転移過程に
おいてDC電圧を印加した後に重合性モノマーを反応さ
せて高分子化させると良い(詳細は後述)。
【0023】なお、前記カイラルスメクチック液晶2の
バルク状態でのらせんピッチはセル厚(基板1a,1b
の間隙)の2倍より長くすると良い。 (2) 次に、上述した液晶素子P1 の構成について補足
する。
【0024】図1に示した液晶素子P1 は単純マトリク
ス型であるが、もちろんこれに限る必要はなく、図2及
び図3に示すように各画素にスイッチング素子4を配置
したアクティブマトリクス型液晶素子P2 としても良
い。これらの図2及び図3において、符号23aは、図
1の電極3aに相当する共通電極を示し、符号23b
は、図1の電極3bに相当する画素電極を示す(詳細は
後述)。なお、アクティブマトリクス型液晶素子P2
場合には、画素電極23bを画素毎に複数配置し、各画
素電極23bにはスイッチング素子4を接続する必要が
ある(詳細は後述)。
【0025】また、これらの液晶素子P1 ,P2 によっ
てカラー表示を行うようにしてもよい。その方法として
は、 * いずれか一方の基板1a,1bにカラーフィルター
(不図示)を設ける方法や、 * そのようなカラーフィルターは設けずに、各色光源
を順次照射しながら液晶素子にて白黒画像を順次表示
し、各色画像を視覚的に混色させてカラー表示を行う方
法(いわゆるフィールドシーケンシャル方式)、を挙げ
ることができる。
【0026】さらに、これらの液晶素子P1 ,P2 は、
透過型としても良く反射型としても良い。なお、透過型
の場合には、両基板1a,1bを透明にし、液晶素子を
挟み込むように一対の偏光板(不図示)をそれらの偏光
軸が互いに直交するように配置する必要がある。また、
反射型の場合には、基板1a,1bの一方に光を反射さ
せる機能を付与し、観察者側に偏光板を配置する必要が
ある。なお、光を反射させる機能を付与する方法として
は、 * 反射部材(例えば反射板や反射膜)を基板とは別体
に設ける方法や、 * 基板自体を反射部材で形成する方法や、 等を挙げることができる。
【0027】またさらに、チルト角が印加電圧の大きさ
に応じて連続的に変化するカイラルスメクチック液晶2
を用いると共に、液晶素子P1 ,P2 に駆動回路を接続
して階調信号を供給し、階調表示が行われるようにして
もよい。例えば、アクティブマトリクス型の液晶素子P
2 において、各スイッチング素子4に駆動回路を接続す
ると共に、該駆動回路で振幅変調によるアクティブマト
リクス駆動を行う方法がある。
【0028】一方、各電極3a,3b,23a,23b
の表面には、電極間のショートを防止するための絶緑膜
5a,5bを形成すると良く(図1には両方の絶緑膜5
a,5bを図示、図2には絶縁膜5bのみ図示)、かか
る絶緑膜5a,5bは、SiO2 、TiO2 、Ta2
5 等にて形成すれば良い。
【0029】また、本実施の形態では、前記一対の基板
1a,1bの少なくとも一方の基板には一軸配向処理を
施す必要があるが、図1及び図2に示すように、一軸配
向処理を施した配向制御膜6a,6bをカイラルスメク
チック液晶2に接する位置に配置すると良い。かかる配
向制御膜6a,6bとしては、 * ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポリ
ビニルアルコール等の有機材料からなる溶液を塗布して
膜を形成し、該膜の表面にラビング処理を施したもの
や、 * SiO等の酸化物や窒化物からなる無機材料を基板
1a,1bに斜め方向から蒸着させて形成した斜方蒸着
膜、を挙げることができる。なお、この配向制御膜6
a,6bの材質や一軸配向処理の条件等により、液晶分
子のプレチルト角(すなわち、配向制御膜6a,6bの
界面近傍において液晶分子が配向制御膜6a,6bに対
してなす角度)が調整される。また、このような配向制
御膜6a,6bは、カイラルスメクチック液晶2の両側
に配置しても片側にのみ配置しても良い。さらに、かか
る配向制御膜6a,6bを液晶2の両側に配置して両側
に一軸配向処理をする場合におけるそれらの一軸配向処
理方向(特にラビング方向)の関係は、用いる液晶材料
を考慮して、 * 平行(両一軸配向処理方向が平行かつ同方向)、 * 反平行(両一軸配向処理方向が平行かつ逆方向)、 * 45°以下の範囲でクロスする関係、 のいずれかになるように設定すれば良い。
【0030】さらに、基板1a,1bの間隙にスペーサ
ー(図1の符号8参照)を配置して、かかるスペーサー
8によってその間隙寸法を規定するようにしてもよい。
このスペーサー8にはシリカビーズ等を用いれば良い。
なお、間隙寸法は、液晶材料に応じて調整すれば良い
が、均一な一軸配向性を達成したり、電圧が印加されて
いない状態での液晶分子の平均分子軸を配向処理軸の平
均方向の軸と実質的に一致させるために、0.3〜10
μmの範囲に設定することが好ましい。またさらに、こ
のセル厚の値は上述したように所望のリタデーション量
となるよう、適宜調整し設定することが好ましい。
【0031】またさらに、基板1a,1bの間隙にエポ
キシ樹脂等からなる接着粒子(不図示)を分散配置し
て、両基板1a,1bの接着性や、液晶素子P1 ,P2
の耐衝撃性を向上させると良い。
【0032】一方、基板1a,1bには、ガラスやプラ
スチック等の透明性の高い材料を用いれば良い。
【0033】また、電極3a,3b,23a,23bに
は、In23 やITO(インジウム・ティン・オキサ
イド)等の材料を用いれば良く、これらの電極3a,3
b,23a,23bは基板1a又は1bの表面に形成す
ると良い。なお、単純マトリクス型液晶素子P1 の場合
には、電極3a,3bをストライプ状に形成して互いに
交差するように配置すれば良く、アクティブマトリクス
型液晶素子P2 の場合には、一方の電極23bをドット
状にマトリックス状に配置し、各電極23bにスイッチ
ング素子4を接続し、他方の電極23aを基板全面或は
所定パターンで形成すると良い。
【0034】なお、スイッチング素子4としては、TF
TやMIM(Metal−Insulator−Met
al)等を用いれば良い。 (3) 次に、本実施の形態に係る液晶素子の製造方法に
ついて説明する。
【0035】液晶素子を製造するには、 * 所定間隙を開けた状態に一対の基板1a,1bを配
置する工程と、 * これら一対の基板1a,1bの間隙に上述した相系
列のカイラルスメクチック液晶2を配置する工程と、 * 該カイラルスメクチック液晶2を挟み込むように一
対の電極3a,3b(又は23a,23b)を配置する
工程と、を実施し、その後、 * カイラルスメクチック液晶2が等方性液体相(Is
o.)やコレステリック相(Ch)になる温度まで昇温
し、 * カイラルスメクチック液晶2がSmC* 相に転移す
る際(Ch相からSmC* 相へ転移する際、或は等方相
からSmC* 相へ転移する際)にその相転移温度(T
c)近傍(例えば、±5℃の温度範囲のいずれかの温
度)にて電極3a,3b(又は23a,23b)の間に
正負いずれかのDC電圧を印加、する。
【0036】このDC電圧の印加によって、液晶2は、
2つの層方向のうち一方の層方向に揃えられ(すなわ
ち、平均一軸配向処理軸とスメクチック層法線方向のズ
レ方向が一定となり)、電圧無印加の状態では、液晶分
子は仮想コーンのエッジの内側の位置に安定化(単安定
化)されることとなり、そのメモリー性を消失させたS
mC* 相の配向状態が得られる。
【0037】ここで、印加するDC電圧としては、0.
1〜10V程度が好ましい。
【0038】一方、上述したカイラルスメクチック液晶
2に重合性モノマーを添加しておき、 * それらの混合物を一対の基板1a,1bの間隙に配
置し、 * カイラルスメクチック液晶2が等方性液体相(Is
o.)やコレステリック相(Ch)になる温度まで昇温
し、 * カイラルスメクチック液晶2がSmC* 相に転移す
る際(Ch相からSmC* 相へ転移する際、或は等方相
からSmC* 相へ転移する際)にその相転移温度(T
c)近傍にて電極3a,3b(又は23a,23b)の
間に正負いずれかのDC電圧を印加し、 * SmC* 相に降温されて層方向が一方向に揃ってい
る状態で、重合性モノマーを反応させ高分子化させる、
ようにしてもよい。その際、重合性モノマーは層間方向
及び層内方向とネットワーク状に架橋するよう高分子化
すると考えられる。こうして形成された層内方向の高分
子ネットワークは比較的安定であり、液晶2をCh相若
しくは等方相温度まで昇温しても崩壊することは無いと
考えられる。そして、再びSmC* 相へ降温させるとき
には液晶分子はこの高分子ネットワークに沿って層構造
が形成され易くなるため、DC電圧を印加しなくとも層
方向を一方向へと揃えることが可能となる。
【0039】かかる重合性モノマーとしては、紫外線照
射によって重合されるものや、例えばロディック社製の
UCL−001等の液晶性アクリレートモノマーのよう
に液晶性を示すものを挙げることができる。なお、この
液晶性アクリレートモノマーの組成比は10重量%以下
にすると良い。また、重合開始剤を含有していても良い
し、素子は所望のタイミングで高分子化させることが必
要であるので、重合禁止剤等によって重合のための活性
化エネルギーを高くすることで素子製造の際のハンドリ
ングを容易にすることもできる。 (4) 次に、TFTを用いたアクティブマトリクス型液
晶素子P2 の構成の一例を、図2乃至図4を参照して説
明する。
【0040】図2に示す液晶素子P2 は、所定間隙を開
けた状態に配置した一対のガラス基板1a,1b、を備
えており、一方のガラス基板1aの全面には、均一な厚
みの共通電極23aが形成され、共通電極23aの表面
には配向制御膜6aが形成されている。
【0041】また、他方のガラス基板1bの側には、図
3に示すように、ゲート線G1 ,G2 ,…が図示x方向
に多数配置され、ゲート線G1 ,G2 ,…とは絶縁され
た状態のソース線S1 ,S2 ,…が図示y方向に多数配
置されている。そして、これらのゲート線G1 ,G2
…及びソース線S1 ,S2 ,…の各交点の画素には、ス
イッチング素子としての薄膜トランジスタ(アモルファ
スSiTFT)4や、ITO膜等の透明導電膜からなる
画素電極23b及び保持容量電極7等が配置されてい
る。
【0042】このうち、アモルファスSiTFT4は、
図2に示すように、ゲート電極10と、窒化シリコン
(SiNx)からなる絶縁膜(ゲート絶緑膜)5bと、
半導体層であるa−Si層11やn+ a−Si層12,
13と、ソース電極14と、ドレイン電極15と、チャ
ネルを保護するチャネル保護膜16と、によって構成さ
れている。すなわち、ガラス基板1bには各画素毎にゲ
ート電極10が形成され、該ゲート電極10の表面は絶
縁膜5bにて覆われ、絶縁膜5bの表面であってゲート
電極10を形成した位置にはa−Si層11が形成され
ている。また、このa−Si層11の表面には、互いに
離間するようにn+ a−Si層12,13が形成されて
おり、各n+ a−Si層12,13にはソース電極14
やドレイン電極15が互いに離間した状態に形成されて
いる。さらに、これらのa−Si層11や電極14,1
5を覆うようにチャネル保護膜16が形成されている。
【0043】そして、TFT4のゲート電極10は上述
したゲート線G1 ,G2 ,…を介して走査信号ドライバ
20に接続され、TFT4のソース電極14はソース線
1,S2 ,…を介して情報信号ドライバ21に接続さ
れ、TFT4のドレイン電極15は画素電極23bに接
続されている。
【0044】ところで、上述した保持容量電極7はガラ
ス基板1bの表面に形成されており、上述した絶縁膜5
bは、この保持容量電極7を覆うようにガラス基板1b
のほぼ全面に形成され、上述したソース電極14や画素
電極23bはこの絶縁膜5bの表面に形成されている。
これにより、保持容量電極7と画素電極23bとは、絶
縁膜5bを挟んだ状態に配置されることとなり、これら
によって保持容量Csが構成されることとなる(図4参
照)。なお、この保持容量電極7は、面積を大きくした
場合における開口率低下を防止するため、透明なITO
によって形成すると良い。
【0045】また、図2に示すように、上述したTFT
4や画素電極23bの表面には配向制御膜6bが形成さ
れており、その表面には一軸配向処理(ラビング処理)
が施されている。
【0046】さらに、これらのガラス基板1a,1bの
間隙であって、画素電極23bと共通電極23aとの間
には、自発分極を有するカイラルスメクチック液晶2が
配置されていて、液晶容量Clcが保持容量Csと並列
に構成されることとなる(図4参照)。
【0047】また、このような液晶素子P2 の両側に
は、互いに偏光軸が直交した関係にある一対の偏光板
(不図示)が配置されている。
【0048】なお、図2に示す液晶素子P2 ではアモル
ファスSiTFT4を用いているが、もちろんこれに限
る必要はなく、多結晶Si(p−Si)TFTを用いて
も良い。 (5) 次に、上述した液晶素子P2 の駆動方法の一例に
ついて説明する。
【0049】上述した液晶素子P2 においては、走査信
号ドライバ20から各ゲート線G1,G2 ,…にゲート
電圧が線順次に印加され、TFT4はゲート電圧が印加
されることによってオン状態となる。
【0050】一方、ゲート電圧の印加に同期して、情報
信号ドライバ21からソース線S1,S2 ,…にはソー
ス電圧(各画素に書き込む情報に応じた情報信号電圧)
が印加される。したがって、TFT4がオン状態にある
画素では、ソース電圧がTFT4及び画素電極23bを
介して液晶2に印加され、液晶2のスイッチングが画素
単位で行われる。
【0051】そして、このような駆動を一定期間(フレ
ーム期間)毎に繰り返し、画像の書き換えを行うように
なっている。 (6) なお、図5に示すように、1つのフレーム期間を
複数のフィールド期間F1 ,F2 ,…に分割し、各フィ
ールド期間F1 ,F2 ,…でそれぞれ画像書き換えを行
うようにしてもよい。以下、その駆動方法について説明
する。
【0052】ここで、図5は、各フレーム期間F0 を2
つのフィールド期間F1 ,F2 に分割した例を示す図で
あり、同図(a) は、ある1本のゲート線Gi にゲート電
圧Vgが印加される様子を示す図、同図(b) は、ある1
本のソース線Sj にソース電圧Vsが印加される様子を
示す図、同図(c) は、これらゲート線Gi 及びソース線
j の交差部の画素(すなわち、液晶2)に電圧Vpi
xが印加される様子を示す図、同図(d) は、当該画素に
おける透過光量Tの変化を示す図である。
【0053】いま、ある1本のゲート線Gi に一定期間
(選択期間Ton)だけゲート電圧Vgが印加され(同
図(a) 参照)、ある1本のソース線Sj には、ゲート電
圧Vgの印加に同期した選択期間Tonに、共通電極2
3aの電位Vcを基準電位としたソース電圧Vs(=+
Vx)が印加される(同図(b) 参照)。すると、当該画
素のTFT4はゲート電圧Vgの印加によってオンさ
れ、ソース電圧VxがTFT4及び画素電極23bを介
して印加されて液晶容量Clc及び保持容量Csの充電
がなされる。
【0054】ところで、選択期間Ton以外の非選択期
間Toffには、ゲート電圧Vgは他のゲート線G1
2 ,…に印加されていて同図(a) に示すゲート線Gi
には印加されず、当該画素のTFT4はオフとなる。し
たがって、液晶容量Clc及び保持容量Csは、この
間、充電された電荷を保持することとなる(同図(c) 参
照)。これにより、1フィールド期間F1 を通じて液晶
2には電圧Vpix(=+Vx)が印加され続けること
となり、1フィールド期間F1 を通じてほぼ同じ透過光
量Txが維持されることとなる(同図(d) 参照)。この
とき、液晶2の応答速度が選択期間Tonよりも遅い場
合、液晶容量Clc及び保持容量Csへの充電が完了
し、非選択期間Toffにスイッチングが開始される。
このような場合は、自発分極の反転によって充電された
電荷が相殺されて、液晶2に印加される電圧が+Vxよ
りもVdだけ小さい+Vx′という値を取る。
【0055】他のゲート線G1 ,G2 ,…の走査が終了
すると(すなわち、フィールド期間F1 が終了する
と)、上述したゲート線Gi には再びゲート電圧Vgが
印加され(同図(a) 参照)、これと同期してソース線S
j には、先のものとは逆極性のソース電圧−Vxが印加
される(同図(b) 参照)。これによって、ソース電圧−
Vxが液晶容量Clc及び保持容量Csに充電されると
共に、非選択期間Toffにおいてはその電荷が保持さ
れる(同図(c) 参照)。このときも同様に、液晶2の応
答速度が選択期間Tonよりも遅い場合、液晶容量Cl
c及び保持容量Csへの充電が完了し、非選択期間To
ffにスイッチングが開始される。このような場合は、
自発分極の反転によって充電された電荷が相殺されて、
液晶2に印加される電圧が−VxよりもVdだけ絶対値
が小さい−Vx′という値を取る。
【0056】そして、液晶2は、印加電圧+Vx,−V
xの大きさに応じてスイッチングされるが、図6に示す
特性の液晶を用いている場合には、一番目のフィールド
期間F1 では+Vxに応じた高い階調表示状態(透過光
量)Txが得られ、二番目のフィールド期間F2 では−
Vxに応じた低い階調表示状態Tyが得られる。
【0057】なお、上述のように駆動した場合、カイラ
ルスメクチック液晶2に起因した高速応答が可能とな
る。
【0058】また、1フレームF0 における階調表示
を、高い透過率のフィールド期間F1と、低い透過率の
フィールド期間F2 とによって連続的に行うため、時間
開口率が50%以下となり、人間の眼に感じる動画高速
応答特性も良好となる。
【0059】さらに、フィールド期間F2 における透過
率は、液晶分子の若干のスイッチング動作により完全に
は0にならないので、フレーム期間全体での人間の眼に
感じる輝度は確保される。
【0060】またさらに、上述のように駆動した場合、
一番目のフィールド期間F1 ではでは正極性の電圧(+
Vx)が液晶2に印加され、二番目のフィールド期間F
2 では負極性の電圧(−Vx)が液晶2に印加されるこ
となるため、液晶2に実際に印加される電圧が時間的に
交流化され、液晶2の劣化が防止される。
【0061】また、上述のように駆動した場合、1フレ
ーム全体では、TxとTyとを平均した透過光量が得ら
れる。このため、情報信号電圧Vsについては、実際に
当該フレームで当該画素で得ようとする画像情報(階調
情報)に応じて、所定のレベルだけ大きな透過光量を得
ることのできる電圧値を選択して印加することで、フィ
ールド期間F0 において、所望の階調状態より高いレベ
ルの透過光量での階調状態を表示することも好ましい。
【0062】なお、本実施の形態に係る液晶素子に類似
したものとしては、小林らが提唱する「高分子安定化強
誘電性液晶素子」が挙げられる(例えば、第23回液晶
討論会予稿集p.456,1997 東京)。これは、
Iso−Ch−SmA−SmC* の相系列を有する液晶
材料を用い、高分子ネットワークが存在しない状態にお
いては双安定性を示す素子を用いた際、高分子ネットワ
ークの規制力によって強誘電性液晶を単安定化させてい
るのが特徴であるため、添加させる重合性モノマーは本
来の表面安定化強誘電性液晶が有する双安定性を解消さ
せるべく添加しているものである。しかしながら、本発
明の液晶素子は単安定化の起源については特願平10−
177145号のものと同様であり、等方性液体相(I
so.)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメク
チックC相(SmC* )の相系列、又は等方性液体相
(Iso.)−カイラルスメクチックC相(SmC*
の相系列を示す液晶材料を用い、カイラルスメクチック
C相(SmC* )における分子位置がラビング方向と一
致、或は若干ずれた位置に配向させることによってコー
ン上のラビング方向に近い位置が最も安定になる(すな
わち、単安定性が一軸配向規制力に由来する)ものであ
る。つまり、本発明における高分子の役割は層方向を一
方向に揃える一助になりさえすれば良いという思想に基
づくものであり、原理的にも全く異なる発明と考えて良
い。さらに、前記理由により小林らの提唱する素子と比
較して重合性モノマーの添加量が少なくて済むと考えら
れる。
【0063】次に、本実施の形態の効果について説明す
る。
【0064】本実施の形態によれば、カイラルスメクチ
ック液晶2には高分子による網目構造が形成されている
ので、何らかの理由によって製造後に液晶素子P1 ,P
2 が相転移温度(Tc)よりも高い温度に昇温され、そ
の後DC電圧の印加を受けることなく自然冷却された場
合でも、層方向は一方向のまま維持され、液晶素子の性
能も維持される。
【0065】
【実施例】以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説
明する。 〈実施例1〉 (液晶セルの作製)本実施例においては図1に示す液晶
パネル(液晶素子)P1 を次のようにして作製した。
【0066】まず、厚さ1.1mmの一対のガラス基板
1a,1bのそれぞれに、厚さ700のITO膜(イン
ジウム・ティン・オキサイド膜)によって透明電極3
a,3bを形成した。
【0067】そして、各透明電極3a,3bを覆うよう
に、下記の繰り返し単位PI−aを有するポリイミド前
駆体をスピンコート法により塗布し、その後、80℃の
温度で5分間の前乾燥を行ない、さらに200℃の温度
で1時間の加熱焼成を施し、膜厚200Åのポリイミド
被膜(配向制御膜)6a,6bを形成した。
【0068】
【化5】 続いて、当該基板上のポリイミド膜6a,6bに対し
て、ナイロン布によるラビング処理(一軸配向処理)を
施した。このラビング処理には、外周面にナイロン(N
F−77/帝人(株)製)を貼り合わせた径10cmの
ラビングロールを用い、押し込み量を0.3mm、送り
速度を10cm/secとし、回転数を1000rp
m、送り回数を4回とした。
【0069】続いて、一方の基板上には、平均粒径1.
3μmのシリカビーズ(スペーサー)8を散布し、各基
板のラビング処理方向が互いに反平行(アンチパラレ
ル)となるように対向させ、均一な基板間隙のセル(単
画素の空セル)を得た。
【0070】(液晶組成物の調製)下記の液晶性化合物
を、それぞれの右方に併記した重量比率で混合した(こ
のように混合されたものを“液晶組成物LC−1”とす
る)。
【0071】
【化6】 ここで、上記液晶組成物LC−1の物性パラメータを以
下に示す。
【0072】 67.0 50.6 -9.3 相転移温度(℃) :Iso → Ch → SmC* → Cry 自発分極(30℃):Ps=1.2nC/cm2 チルト角(30℃):Θ=23.7° Δn(30℃) :0.173 SmC* 相でのらせんピッチ(30℃):20μm以上 上述のような液晶組成物LC−1に液晶性アクリレート
モノマーUCL−001(ロディック社製)を2重量%
だけ添加したものを、基板間隙に等方相の温度で注入
し、その液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度
まで徐冷し、この冷却の際、Ch−SmC* 相転移前後
において−5Vのオフセット(直流)電圧を印加して冷
却を行う処理を施し、層方向を一方向に揃えた。
【0073】その後、30℃の温度の下で、高圧水銀ラ
ンプにて主波長365nmで強度が14mJ/sec・
cm2 の紫外線を300秒間照射して液晶パネルP1
得た。
【0074】かかる液晶パネルP1 について、下記の事
項についての評価を行った。
【0075】1.配向状態 偏光顕微鏡によって液晶の配向状態を観察したところ、
室温(30℃)では、電圧無印加で最暗軸がラビング方
向と若干ずれた状態であり、かつ層法線方向がパネル全
体で一方向しかないほぼ均一な配向状態が観測された。
【0076】2.光学応答 電気光学応答を測定するために、液晶パネルをクロスニ
コル下でフォトマルチプライヤー付き偏光顕微鏡に、偏
光軸を電圧無印加状態で暗視野となるように配置した。
【0077】そして、30℃の温度下で±5V、0.2
Hzの三角波を印加した際の光学応答を観測すると、正
極性の電圧印加に対しては、印加電圧の大きさに応じて
徐々に透過光量が増加していった。一方、負極性の電圧
印加の際の光学応答の様子は、電圧レベルに対して透過
光量が変化しているものの、その最大光量は、正極性電
圧印加の際の最大透過率と比較すると、1/10程度で
あった。なお、正極性電圧印加の際の最大透過率が得ら
れる電圧値(飽和電圧値)は4.3Vであった。このこ
とから、紫外線照射によってアクリレートモノマーが重
合した結果、液晶層内にスイッチングに影響を及ぼすモ
ノマーが減少し、何も添加されていない液晶パネルの特
性に近づいたと考えられる。しかしながら、そのような
液晶パネルと比較すると若干の飽和電圧の上昇が残って
いる。
【0078】3.矩形波応答 光学応答の場合と同じ装置を用い、液晶パネルに60H
z(±5V)の矩形波を印加して電圧を変化させながら
光学レベルを測定した。
【0079】その結果、正極性の電圧には十分に光学応
答し、その光学応答は前状態には依存せずに安定した中
間調状態が得られることが確認できた。また、負極性の
電圧に対しても同じ絶対値の正極性電圧印加の場合の1
/10程度の光学応答が確認され、正負の電圧に対する
光学応答の平均値は前状態には依存せず安定した中間調
が得られることが確認できた。
【0080】4.高温保存後の配向状態 液晶パネルを60℃(>Tc)の温度にまで昇温した
後、室温まで自然冷却し、そのときの配向状態を観察し
た。その結果、層法線方向がセル全体で一方向しかない
ほぼ均一な配向状態が維持されたままであり、初期の特
性が失われていないことが確認できた。
【0081】以上の実施例から、液晶性アクリレートモ
ノマーを添加し、所望の配向状態を得た後、紫外線によ
る重合を行った結果、Tc以上の温度に昇温した後も自
然冷却によって初期の特性を復元し得ることが確認でき
た。なお、駆動特性において飽和電圧値に若干の上昇が
見られたが、これは本質的に本来の特性を損なってしま
ったものではなく、また実用上の観点からも十分許容し
得る範囲内である。 〈比較例1〉本比較例では、実施例1と同様の液晶セル
を作成し、該セルに液晶組成物LC−1を等方相の温度
で注入し、液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温
度まで徐冷した。なお、この冷却の際、Ch−SmC*
相転移前後において、−5Vのオフセット(直流)電圧
を印加して冷却を行う処理を施し、層方向を一方向に揃
えた。
【0082】このようにして作成した液晶パネルについ
て、下記の事項についての評価を行った。
【0083】1.配向状態 偏光顕微鏡によって液晶の配向状態を観察した。
【0084】その結果、室温(30℃)では、電圧無印
加で最暗軸がラビング方向と若干ずれた状態であり、か
つ層法線方向がパネル全体で一方向しかないほぼ均一な
配向状態が観測された。
【0085】2.光学応答 電気光学応答を測定するために、液晶パネルをクロスニ
コル下でフォトマルチプライヤー付き偏光顕微鏡に、偏
光軸を電圧無印加状態で暗視野となるように配置した。
【0086】そして、30℃の温度下で±5V、0.2
Hzの三角波を印加した際の光学応答を観測すると、正
極性の電圧印加に対しては、印加電圧の大きさに応じて
徐々に透過光量が増加していった。一方、負極性の電圧
印加の際の光学応答の様子は、電圧レベルに対して透過
光量が変化しているものの、その最大光量は、正極性電
圧印加の際の最大透過率と比較すると、1/10程度で
あった。なお、正極性電圧印加の際の最大透過率が得ら
れる電圧値(飽和電圧値)は4.0Vであった。
【0087】3.矩形波応答 光学応答の場合と同じ装置を用い、液晶パネルに60H
z(±5V)の矩形波を印加して電圧を変化させながら
光学レベルを測定した。
【0088】その結果、正極性の電圧には十分に光学応
答し、その光学応答は前状態には依存せずに安定した中
間調状態が得られることが確認できた。また、負極性の
電圧に対しても同じ絶対値の正極性電圧印加の場合の1
/10程度の光学応答が確認され、正負の電圧に対する
光学応答の平均値は前状態には依存せず安定した中間調
が得られることが確認できた。
【0089】4.高温保存後の配向状態 液晶パネルを60℃(>Tc)の温度にまで昇温した
後、室温まで自然冷却し、そのときの配向状態を観察し
た。その結果、層法線方向が二方向存在する配向へと変
化し、初期の特性が失われたことが分かった。 〈比較例2〉本比較例では、実施例1と同様の液晶セル
を作成し、液晶性アクリレートモノマーUCL−001
(ロディック社製)を液晶組成物LC−1に2重量%だ
け添加したものを、基板間隙に等方相の温度で注入し、
その液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで
徐冷し、この冷却の際、Ch−SmC* 相転移前後にお
いて、−5Vのオフセット(直流)電圧を印加して冷却
を行う処理を施し、層方向を一方向に揃えた。
【0090】そして、実施例1のような紫外線照射を行
わずに、下記の事項についての評価を行った。
【0091】1.配向状態 比較例と同様に、ほぼ均一な配向状態が観測された。
【0092】2.光学応答 正極性の電圧印加に対しては、印加電圧の大きさに応じ
て徐々に透過光量が増加していった。一方、負極性の電
圧印加の際の光学応答の様子は、電圧レベルに対して透
過光量が変化しているものの、その最大光量は、正極性
電圧印加の際の最大透過率と比較すると、1/10程度
であった。なお、正極性電圧印加の際の最大透過率が得
られる電圧値(飽和電圧値)は4.8Vであり、アクリ
レートモノマー添加の影響が若干現れていた。
【0093】3.矩形波応答 比較例1と同様であった。
【0094】4.高温保存後の配向状態 比較例1と同様、層法線方向が二方向存在する配向へと
変化し、初期の特性が失われたことが分かった。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
カイラルスメクチック液晶には高分子による網目構造が
形成されているので、何らかの理由によって製造後に液
晶素子が相転移温度よりも高い温度に昇温され、その後
DC電圧の印加を受けることなく自然冷却された場合で
も、層方向は一方向のまま維持され、液晶素子の性能も
維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶素子の構造の一例を示す断面
図。
【図2】本発明に係る液晶素子の構造の他の例を示す断
面図。
【図3】図2に示す液晶素子の構造を示す平面図。
【図4】図2及び図3に示す液晶素子の等価回路図。
【図5】本発明に係る液晶素子の駆動方法の一例を示す
タイミングチャート図。
【図6】本発明に用いる液晶の電圧−透過率特性の一例
を示す図。
【符号の説明】
1a,1b ガラス基板(基板) 2 カイラルスメクチック液晶 3a,3b 電極 4 TFT(スイッチング素子) 23a,23b 電極 P1 液晶パネル(液晶素子) P2 液晶パネル(液晶素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 GA04 GA06 GA10 HA01 HA03 HA06 HA08 HA18 JA04 MA20 2H089 QA16 RA05 RA11 RA13 RA14 RA16 SA10 TA01 TA04 TA07 TA09 UA05 2H092 HA28 JA03 JA24 JA37 JA41 NA25 PA01 PA02 PA03 PA06 PA11 PA12 QA07 QA13 QA14 QA15 RA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定間隙を開けた状態に配置された一対
    の基板と、これら一対の基板の間隙に配置されたカイラ
    ルスメクチック液晶と、該カイラルスメクチック液晶を
    挟み込むように配置された一対の電極と、を備え、前記
    一対の基板の少なくとも一方の基板には前記カイラルス
    メクチック液晶を配向させるための一軸配向処理が施さ
    れ、かつ、前記一対の電極を介して前記カイラルスメク
    チック液晶に電圧を印加することにより駆動される液晶
    素子において、 前記カイラルスメクチック液晶は、相系列が、高温側よ
    り等方性液体相(Iso.)−コレステリック相(C
    h)−カイラルスメクチックC相(SmC* )又は等方
    性液体相(Iso.)−カイラルスメクチックC相(S
    mC* )を示す液晶であり、 電圧が印加されていない状態では、液晶の平均分子軸が
    単安定化された配向状態を示し、一の極性の電圧が印加
    されて駆動される場合には、液晶の平均分子軸は印加電
    圧の大きさに応じた角度で該単安定化された位置から一
    方の側にチルトし、他の極性の電圧が印加されて駆動さ
    れる場合には、液晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに
    応じた角度で該単安定化された位置から他方の側にチル
    トし、 前記一の極性の電圧が印加されて駆動される場合の最大
    チルト角が、前記他の極性の電圧が印加されて駆動され
    る場合の最大チルト角よりも大きく、かつ、 前記カイラルスメクチック液晶は、高分子による網目構
    造が形成されたものである、 ことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記一の極性の電圧が印加されて駆動さ
    れる場合の最大チルト角が、前記他の極性の電圧が印加
    されて駆動される場合の最大チルト角の5倍以上であ
    る、 ことを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記一対の電極のうちの一方の電極が画
    素毎に複数配置され、 該複数配置された電極にそれぞれスイッチング素子が接
    続され、 各スイッチング素子に階調信号を供給する駆動回路が接
    続され、かつ、 該階調信号に基づき階調表示を行う、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記カイラルスメクチック液晶のバルク
    状態でのらせんピッチは、前記一対の基板の間隙の2倍
    より長い、 ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の液晶素子。
  5. 【請求項5】 所定間隙を開けた状態に一対の基板を配
    置する工程と、これら一対の基板の間隙にカイラルスメ
    クチック液晶を配置する工程と、該カイラルスメクチッ
    ク液晶を挟み込むように一対の電極を配置する工程と、
    からなる液晶素子の製造方法において、 前記カイラルスメクチック液晶は、相系列が、高温側よ
    り等方性液体相(Iso.)−コレステリック相(C
    h)−カイラルスメクチックC相(SmC* )又は等方
    性液体相(Iso.)−カイラルスメクチックC相(S
    mC* )を示す液晶であり、 前記カイラルスメクチック液晶に重合性モノマーを添加
    したものを前記一対の基板の間隙に配置し、 その後、該カイラルスメクチック液晶が等方性液体相
    (Iso.)やコレステリック相(Ch)になる温度ま
    で昇温し、 さらに、該カイラルスメクチック液晶がカイラルスメク
    チックC相(SmC*)に転移する際にその相転移温度
    近傍にて前記一対の電極の間にDC電圧を印加し、か
    つ、 前記重合性モノマーを反応させ高分子化させる、 ことを特徴とする液晶素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記重合性モノマーが、紫外線照射によ
    って重合されるものである、 ことを特徴とする請求項5に記載の液晶素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記重合性モノマーが液晶性アクリレー
    トモノマーである、 ことを特徴とする請求項6に記載の液晶素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記液晶性アクリレートモノマーの組成
    比が10重量%以下である、 ことを特徴とする請求項7に記載の液晶素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記DC電圧は0.1〜10Vである、 ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載
    の液晶素子の製造方法。
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