JP2001116651A - 地震動の動的応答解析法 - Google Patents

地震動の動的応答解析法

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JP2001116651A JP29835399A JP29835399A JP2001116651A JP 2001116651 A JP2001116651 A JP 2001116651A JP 29835399 A JP29835399 A JP 29835399A JP 29835399 A JP29835399 A JP 29835399A JP 2001116651 A JP2001116651 A JP 2001116651A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物性が急激に変化する現象に等価線形解析法
を適用すること。 【解決手段】 解析手順がスタートすると、地盤の予備
解析が行われる。予備解析が終了すると、液状化判定お
よび液状化発生時刻の推定が行われる。次ぎに、推定し
た液状化発生時刻tの前後で、入力地震動の分割が行わ
れ、液状化前の第1グループと、液状化後の第2グルー
部とにグループ分けされる。第1グループは、その後、
予備解析と同様に、液状化前の動的変形特性を用いた等
価線形解析が行われる。ただし、ここで行われる等価線
形解析では、入力地震動が、予備解析と異なり、0秒か
ら液状化発生時刻tまでとされる。第2グループは、そ
の後、液状化後の動的変形特性を用い、入力地震動が、
液状化発生時刻tから最後までとされる等価線形解析が
行われる。第1および第2グループの等価線形解析の解
が得られると、解析結果(応答波形)を重ね合わせて手順
が終了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震動の動的応答
解析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地震動の動的応答解析法としては、振動
領域で解析を行う周波数応答解析法と、時刻歴領域で解
析を行う時刻歴応答解析法とが知られている。前者の解
析法では、解析手法に、複素応答解析法を採用する方法
であり、後者の解析法では、解析手法に、直接積分法を
採用する方法である。
【0003】図14は、複素応答解析法による動的応答
特性の解析法の手順の一例を示している。同図は、地盤
中に構築されたカルバートに複素応答解析法を適用した
場合であって、左端の上部に示した地震動が入力した場
合に、カルバートにどのような応答振動が発生するのか
を解析している。
【0004】解析手順は、まず、.複素フーリエ変換
により、入力動F(t)のフーリエスペクトルF(f)を求
める。
【0005】一方、解析モデルに、有限要素法によるメ
ッシュを設定し、.解析モデルの剛性などを評価した
運動方程式を解き、解析モデルの各節点に置ける伝達関
数A(f)を求める。
【0006】入力動F(t)のフーリエスペクトルF(f)
と伝達関数A(f)とが求められると、.両者を乗算し
て、応答のフーリエスペクトルR(f)を求める。応答の
フーリエスペクトルR(f)が求められると、.複素フ
ーリエ逆変換を行い、応答のフーリエスペクトルR(f)
から応答波形R(t)の時刻歴を求める。
【0007】他方、時刻歴応答解析法においては、微分
方程式の初期値問題をステップバイステップに順次解く
直接積分法が行われ、例えば、運動方程式が、Mu”+
Cu'+Ku=fである場合には、 u(t+Δt)=u(t)+Δtu'(t) u'(t+Δt)=u'(t)+Δtu"(t) u"(t+Δt)=M-1{f(t+Δt)−Ku(t+Δt)−
Cu'(t+Δt)} という形で計算を進めて、解を求める。
【0008】ところで、このような2つの動的応答解析
法においては、前者の場合には、解析が無条件で安定に
なるが、後者の場合には、時刻刻みの大きさなどによ
り、解析が不安定になる場合がある。
【0009】また、地震動の動的応答解析では、変化が
緩やかな範囲が多く、前者の解析法では、解析振動数の
定義や、振動数領域での補間手段を採用することによ
り、演算処理時間の低減を図ることができるが、後者の
場合には、解の安定性を考えると、時刻刻みをあまり大
きくすることが難しいので、演算処理に時間がかかると
いう問題があって、地震動の解析には、比較的多く前者
の解析法が採用されている。
【0010】しかし、複素応答解析法は、フーリエ変換
という重ね合わせの原理を採用しているので、線形問題
にしか適用することができない。ところが、地盤の歪な
どの解析は、非線形問題であって、複素応答解析法をそ
のまま適用することができない。
【0011】そこで、このような非線形問題に複素応答
解析法を適用するための手法として、線形解析を複数回
繰り返すことにより、非線形問題の解を求める等価線形
解析法が案出され、非線形問題に広く用いられている。
【0012】図15は、この等価線形解析法により、非
線形関係にある地盤の歪と剛性との関係を解く場合の解
析フロー図15(A)と、物性値の歪依存曲線図15(B)
とを示している。
【0013】物性値の歪依存曲線は、実際の地盤の調査
結果に基づいて作成され、同曲線においては、Gが地盤
の剛性を、hが歪をそれぞれ示している。
【0014】等価線形解析を行う際には、まず、ステッ
プ1で、初期物性値の定義が行われる。図15(B)に示
した歪依存曲線においては、初期値は、G0およびh0
定義される。
【0015】続くステップ2では、剛性の評価が行わ
れ、続くステップ3で、周波数応答計算が行われる。こ
の周波数応答計算は、図14に示した複素応答解析法と
同じ手順により実行される。
【0016】そして、周波数応答計算の結果が得られる
と、次ぎのステップ4で、有効歪eγの計算が行われ、
続くステップ5で、計算に用いた物性値(歪値)と、ステ
ップ4で計算された物性値(有効歪値)とが適合するか否
かが判断され、適合していれば、解析フローを終了す
る。
【0017】一方、ステップ5で適合していないと判断
された場合には、ステップ6に移行し、歪依存曲線によ
り計算された歪に合う物性値を新たに定義して、ステッ
プ2に戻る。
【0018】ステップ4から6までをより具体的に説明
すると、今ここで、ステップ4の計算によって得られた
物性値G0,h0に対する有効歪がeγ1であったとする
と、ステップ5では、初期歪値h0とこの有効歪eγ1
が適合しているか否かが判断される。
【0019】この場合には、図15(B)に示した歪依存
曲線から見ると明らかなように、適合していない。そこ
で、ステップ6では、有効歪eγ1に対する物性値G1,h
1を新たに定義して、ステップ2以降の手順を実行し、
このような手順を複数回繰り返すことにより、収束させ
て解を得る。
【0020】そして、このような解析フローを全ての点
において実行することにより、地盤に対する応力解析が
行われるが、このような従来の等価線形解析法には、以
下に説明する技術的な課題があった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来の等価
線形解析法は、各要素に対して、動的変形特性から1つ
の代表的な物性値を仮定する線形解析であるので、ある
程度の歪レベルに対しては、信頼性が高いものの、地盤
の液状化現象のように、経時的な関係において、物性が
急激に変化する現象においては、1つの代表的な物性値
でこれを表現することが難しいので、解析結果の信頼性
に欠けると言う問題があった。
【0022】より具体的に説明すると、図16は、液状
化が発生した前後の地盤の歪依存特性を示しており、同
図には、実線で液状化前の剛性低下の状態が、また、点
線で液状化後の剛性低下の状態がそれぞれ示されてい
る。
【0023】このような歪依存特性を有する地盤におい
て従来の等価線形解析法により解析を行う際には、物性
値の選択として、実線か点線のいずれか1つしか選べな
いので、地盤の液状化を評価することが困難で、地盤の
液状化現象などのように、急激に物性が変化する場合つ
いて、等価線形解析法では、厳密に評価できないという
考え方は、当業者の常識的な考え方であった。
【0024】このような問題の解決に際しては、等価線
形解析法に時間的な概念を導入することも考えられる。
【0025】しかしながら、等価線形解析法では、複素
応答解析法を基礎としており、振動数領域での動的応答
解析を行い、振動数領域での応答解析を考えた場合、当
然のことながら、入力地震動の全てを対象としてフーリ
エ変換を行う。
【0026】ところが、フーリエ変換された入力地震動
は、この時点で、既に時間的概念がなくなっおり、解析
自体は、0秒から継続時間までの地震が入力された場合
の応答解析となる。
【0027】従って、従来の等価線形解析法では、時間
の概念が全く存在しない状態で解析を行っており、解析
者は、時間的な概念を全く思考の外においていて、入力
地震動をある時間で分割するといった発想をする必然性
がなく、従来の等価線形解析法から、物性の急激変化時
の前後で時間的に分割するという技術思想を簡単に導き
出すことはできなかった。
【0028】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的とするところは、物
性が急激に変化いる現象において、信頼性の高い解析が
可能な地震動の動的応答解析法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、線形解析を複数回繰り返すことにより、
非線形問題に適用される等価線形解析法に基づく地震動
の動的応答解析法において、入力地震動を経時的に複数
に分割し、分割した部分にそれぞれ前記等価線形解析法
による解析を実施し、しかる後に、各解析によって得ら
れた結果を重ね合わせるようにした。このように構成し
た地震動の動的応答解析法によれば、入力地震動を経時
的に複数に分割し、分割した部分にそれぞれ等価線形解
析法による解析を実施し、しかる後に、各解析によって
得られた結果を重ね合わせる。このことは、分割した部
分の前後で、それぞれ独立して等価線形解析を行うこと
を意味し、それぞれの解析で使用する物性に関しては、
同じ物性を用いてもよいし、別の物性を用いてもよい。
従って、分割した部分にそれぞれ別の物性を用いること
が可能になり、従来の等価線形解析法の課題を解決し
て、信頼性の高い解析結果が得られ、例えば、経時的に
物性が急激に変化する地盤の液状化に適用すると、それ
を正当に評価することができる。この場合、本発明で
は、物性が急激に変化する現象として、地盤の液状化現
象以外に、地盤に破砕帯が存在する場合の滑り現象、構
造物の浮き上がり現象,構造物の塑性化現象から選択す
ることができる。また、本発明の解析法は、前記物性が
急激に変化する現象が、地盤の液状化現象であって、前
記物性の急激変化時の前後で複数に分割し、分割した部
分にそれぞれ前記等価線形解析法による解析を実施する
前に、分割しない状態で等価線形解析法による予備解析
を実施して、この予備解析に基づいて、前記地盤の液状
化時期を求めることができる。この構成を採用すると、
地盤の液状化時期の判断と動的応答解析とを一連の手順
で処理することができる。以上のような本発明の技術的
思想の根幹は、経時的に物性が急激に変化する現象に、
等価線形解析法を適用するに際して、物性の急激変化時
の前後で時間的に分割して、分割した部分にそれぞれ等
価線形解析法を適用し、その後に解析結果を重ね合わせ
るので、複数の等価線形解析法を重合する多重等価線形
解析法であるともいる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい形態につ
いて添付図面を参照して詳細に説明する。図1および図
2は、本発明にかかる地震動の動的応答解析法の第1実
施例を示している。
【0031】これらの図に示した地震動の動的応答解析
法は、経時的に物性が急激に変化する現象として、地盤
の液状化現象に本発明を適用した場合を示している。図
1は、本実施例の解析法の解析手順のフロー図である。
【0032】解析手順がスタートすると、まず、ステッ
プ10で地盤の予備解析が行われる。この予備解析は、
液状化の判定と、液状化発生時刻の推定とを行うため
に、実施される手順であって、通常の等価線形解析法に
基づいて、全応力解析が実行される。
【0033】なお、この全応力解析は、液状化前の動的
変形特性を用い、図14,15に示した手順と同じ方法
で行われる。この予備解析が終了すると、ステップ11
で、液状化判定および液状化発生時刻の推定が行われ
る。
【0034】この判定および推定では、水位,繰り返し
三軸試験による液状化強度曲線,判定領域を入力し、こ
れらのデータとステップ10で実施した全応力解析によ
るせん断応力時刻歴とを用い、累積損傷度の概念を適用
することで行われる。
【0035】続くステップ12では、ステップ11で推
定した液状化発生時刻tの前後で、入力地震動の分割が
行われ、液状化前の第1グループと、液状化後の第2グ
ループとにグループ分けされる。
【0036】次ぎに、液状化前の第1グループは、ステ
ップ13で等価線形解析が行われ、この等価線形解析
は、ステップ10の予備解析と同様に、液状化前の動的
変形特性を用いた通常の等価線形解析となる。
【0037】ただし、ここで行われる等価線形解析で
は、入力地震動は、予備解析と異なり、0秒から液状化
発生時刻tまでとされる。
【0038】一方、液状化後の第2グループは、ステッ
プ14で等価線形解析が行われ、この等価線形解析で
は、液状化後の動的変形特性を用い、入力地震動が、液
状化発生時刻tから最後までとされる。
【0039】このようにして、第1および第2グループ
のそれぞれに異なった条件の動的変形特性で等価線形解
析を行い、その解が得られると、ステップ15で解析結
果(応答波形)を重ね合わせて手順が終了する。
【0040】図2は、本発明の理解を容易にするため
に、所要部分を模式的に示したものであって、図1に示
した手順中のステツプ12からステップ15に対応して
いる。図2において、最上段に示した図形が入力地震動
の波形であり、図14のF(t)に相当する。
【0041】この入力地震動の波形は、本実施例の場合
には、ステップ11で推定された液状化発生時刻tに基
づいて、続くステップ12で、第1および第2グループ
に分けられる。
【0042】このようにして、分割された2つのグルー
プが図2の上から2段目に示されている。そして、本実
施例の場合には、ステップ13および14で分割された
グループ毎に等価線形解析が実行される。
【0043】この時の解析の条件が図2の四角内に示さ
れていて、この四角の下方に、第1および第2グループ
のそれぞれに異なった条件で等価線形解析を行つて得ら
れた応答結果がそれぞれ示されている。
【0044】そして、最後に、得られた解析結果(応答
波形)を重ね合わせて手順が終了することになる。
【0045】さて、以上のように構成した地震動の動的
応答解析法によれば、物性の急激変化時の前後で複数に
分割し、分割した部分にそれぞれ等価線形解析法による
解析を実施し、しかる後に、各解析によって得られた結
果を重ね合わせるので、以下の作用効果が得られる。
【0046】.解析上、物性の急激変化時を境にし
て、全く動的変形特性が異なる場合を考慮することがで
きる。 .分割に伴なうグループ化により、地盤の時間的な相
互作用を評価することができる。 .地震力の時間的な変化に対応する物性の変化を表現
することができる。
【0047】図3〜図10は、本発明の作用効果を確認
するため、実際に発生した地震観測記録を基に行ったシ
ミュレーション解析の条件および結果を示している。こ
のシミュレーション解析では、1987年11月に米国
カリフォルニア州で得られた鉛直アレー観測記録(図3,
4)を用いた。
【0048】図3に示した地震1は、マグニチュードが
5.8で、最大加速度126galを記録したが、地盤
の液状化は、発生しなかった。図4に示した地震2は、
マグニチュードが6.1で、最大加速度201galを
記録し、図5に示した過剰間隙水圧の記録から地盤は、
ほぼ液状化したものと思われる。
【0049】そこで、地震1を用いた同定解析を実施
し、地盤物性の妥当性や不明確である地盤の歪依存性を
算定し、これによって得られた地盤の特性を踏まえて、
地震2に基づく、本発明の解析法を実施した。
【0050】全ての解析、GL−7.5mで得られた観
測記録を入力とし、地表の実記録と解析結果とを比較す
ることで、解析の適否を判断した。表1に地盤構造およ
びその物性諸元を示している。
【0051】
【表1】
【0052】地盤物性の妥当性や不明確である地盤の動
的変形特性を推定する目的で実施した地震1に基づく同
定解析の結果を図6に示しているが、実記録と解析結果
とは、概ね同様に傾向を示していて、同定解析の妥当性
が認められる。
【0053】図7は、この同定解析で使用した歪依存曲
線を示している。この同定解析によって得られた解析結
果を踏まえて、地震2に関して、本発明の解析法を実施
した。本発明の解析法では、地盤の液状化の発生時刻で
入力地震動を分割する。そこで、まず、以下の表2に示
すように、各地層毎の液状化時刻を判定した。
【0054】
【表2】
【0055】この判定では、各層で若干異なるものの、
約13.6secで液状化が発生する結果となった。図
5に示した過剰間隙水圧の記録では、約13.0sec
から過剰間隙水圧の上昇が認められるので、この判定の
妥当性が認められる。
【0056】これらの結果から、本シミュレーションで
は、13.6secを液状化発生時刻として、この時刻
で2分割し、その前後で等価線形解析を行った。
【0057】図8に、GL−7.5mに対する地表の伝
達関数、図9に、地表の加速度スペクトル、図10に、
地表の加速度時刻歴をそれぞれ示している。これらの図
中には、比較のために、本発明の解析法とともに、従来
の等価線形解析法で実施した解析結果も合わせて表示し
ている。
【0058】これらの結果から明らかなように、従来の
等価線形解析法の解析結果は、実記録と比較して差異が
顕著に認められるが、本発明の解析法では、概ね実記録
と同じ解析結果が得られ、本発明の有効性が確認され
た。
【0059】図11は、本発明にかかる地震動の動的応
答解析法の第2実施例を示しており、以下にその特徴点
についてのみ説明する。同図に示した実施例では、本発
明にかかる解析法を地盤に破砕帯がある場合に適用した
場合を示している。
【0060】地盤中に破砕帯があると、地震動が地盤に
加わった際に、破砕帯にある地震応力が生じると、抵抗
がなくなり、すべり現象が発生する。このような地盤の
解析では、時刻歴応答解析法では、逐次解析(ステップ
バイステップ解析)なので、破砕帯の地震応力の増加関
係を時々刻々と把握し、破砕帯の許容応力以上になる
と、抵抗をなくす要素、すなわち、ジョイント要素を用
いることで評価している。
【0061】一方、複素応答解析を基本とする従来の等
価線形解析法では、時間的概念がないことから、破砕帯
の地震応力の増加関係を時々刻々に把握することができ
ないので、このようなモデルの解析が困難とされてい
た。
【0062】ところが、本発明にかかる地震動の動的応
答解析法では、経時的に物性が急激に変化する現象に適
用する際に、物性の急激変化時の前後で複数に分割し、
分割した部分にそれぞれ等価線形解析法による解析を実
施し、しかる後に、各解析によって得られた結果を重ね
合わせる。
【0063】従って、破砕帯の地震応力に基づいて、こ
れが許容応力以内か、以上かを判定し、許容応力以上に
なった時刻で、入力地震動を分割し、許容応力以内の場
合には、通常の剛性を破砕帯に持たせ、許容応力以上の
場合には、無抵抗として解析すると、時刻歴応答解析方
と同様に評価することができる。
【0064】この場合、本実施例の解析法では、時刻歴
応答解析のように解析が不安定になることがなく、ま
た、解析時間も大幅に短縮することができる。
【0065】図12は、本発明にかかる地震動の動的応
答解析法の第3実施例を示しており、以下にその特徴点
についてのみ説明する。同図に示した実施例では、構造
物の浮き上がり現象に本発明を適用した場合である。
【0066】ビルなどの建築構造物が直接基礎を採用し
ていると、地震動が加わった際に、地震力によりロッキ
ング挙動を起こし、構造物の一部が地盤から離れる浮き
上がり現象が発生することがある。
【0067】構造物が地盤から離れると、その前後で地
盤の物性が急激に変化し、このような浮き上がり現象
は、時刻歴応答解析では、第2実施例と同様に評価でき
るが、従来の等価線形解析法では、評価できないとされ
ていた。
【0068】ところが、構造物の浮き上がりを判定し、
構造物に浮き上がり現象が発生した時刻の前後で、入力
地震動の分割を行い、分割した部分にそれぞれ等価線形
解析法による解析を実施し、しかる後に、各解析によっ
て得られた結果を重ね合わせることにより、浮き上がり
現象を評価することが可能になり、本実施例の場合に
も、上記実施例と同等の作用効果が得られる。
【0069】図13は、本発明にかかる地震動の動的応
答解析法の第4実施例を示しており、以下にその特徴点
についてのみ説明する。同図に示した実施例では、構造
物の塑性化現象に本発明を適用した場合である。
【0070】地中に構築されているボックスカルバート
などの構造物は、使用している構造材料の特性から、大
地震の発生時に、塑性化現象を起こすことが知られてい
る。例えば、鉄筋コンクリート構造物においては、ひび
割れ、降伏状態がそれである。
【0071】このように塑性化現象が発生すると、構造
物には、図13(B)に示したような塑性ヒンジが発生す
る。
【0072】この場合、時刻歴応答解析では、この現象
を評価することができるが、従来の糖化線形解析法で
は、時間的な概念がないので評価することができない。
【0073】ところが、本実施例の場合には、塑性ヒン
ジの発生時刻を判定し、この発生時刻において、入力地
震動を分割して、それぞれに等価線形解析を行い、得ら
れた解析結果を重ね合わせることで、その評価が可能に
なる。
【0074】
【発明の効果】以上実施例で詳細に説明したように、本
発明にかかる地震動の動的応答解析法によれば、従来等
価線形解析法での解析が不可能とされていた物性が急激
に変化する現象などの解析が可能になり、しかも、解析
の信頼性も高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地震動の動的応答解析法の第1
実施例を示す解析手順のフロー図である。
【図2】図1のフロー図の要部を模式的示した説明図で
ある。
【図3】図1に示した解析法のシミュレーションに用い
た地震の観測記録図である。
【図4】図1に示した解析法のシミュレーションに用い
た地震の観測記録図である。
【図5】図4の地震の際の過剰間隙水圧の記録図であ
る。
【図6】図3に示した地震を入力とする等価線形解析法
による解析結果(加速度応答スペクトル)と、観測記録と
を示すグラフである。
【図7】図3に示した地震を入力とする等価線形解析法
で用いた歪依存曲線である。
【図8】図4に示した地震を入力とする本発明にかかる
解析法による解析結果(伝達関数)と、観測記録とを示す
グラフである。
【図9】図4に示した地震を入力とする本発明にかかる
解析法による解析結果(加速度応答スペクトル)と、観測
記録とを示すグラフである。
【図10】図4に示した地震を入力とする本発明にかか
る解析法による解析結果(地表の加速度時刻歴)と、観測
記録とを示す波形図である。
【図11】本発明にかかる地震動の動的応答解析法の第
2実施例を示す解析モデルの説明図である。
【図12】本発明にかかる地震動の動的応答解析法の第
3実施例を示す解析モデルの説明図である。
【図13】本発明にかかる地震動の動的応答解析法の第
4実施例を示す解析モデルの説明図である。
【図14】複素応答解析法の解析手順の説明図である。
【図15】等価線形解析の解析手順の説明図である。
【図16】地盤の液状化前後の歪依存特性を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 治 東京都新宿区富久町2−19−108 株式会 社地震工学研究所内 (72)発明者 田中 典明 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 佐藤 博 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 2F076 BA16 BA18 BB09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線形解析を複数回繰り返すことにより、
    非線形問題に適用される等価線形解析法に基づく地震動
    の動的応答解析法において、 入力地震動を経時的に複数に分割し、分割した部分にそ
    れぞれ前記等価線形解析法による解析を実施し、 しかる後に、各解析によって得られた結果を重ね合わせ
    ることを特徴とする地震動の動的応答解析法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の地震動の動的応答解析法
    を経時的に物性が急激に変化する現象に適用する際に、
    前記経時的な分割個所を前記物性の急激変化点に設定す
    ることを特徴とする地震動の動的応答解析法。
  3. 【請求項3】前記物性が急激に変化する現象が、地盤の
    液状化現象,地盤に破砕帯が存在する場合の滑り現象、
    構造物の浮き上がり現象,構造物の塑性化現象から選択
    されることを特徴とする請求項1または2記載の地震動
    の動的応答解析法。
  4. 【請求項4】 前記物性が急激に変化する現象が、地盤
    の液状化現象であって、前記物性の急激変化時の前後で
    複数に分割し、分割した部分にそれぞれ前記等価線形解
    析法による解析を実施する前に、分割しない状態で等価
    線形解析法による予備解析を実施して、この予備解析に
    基づいて前記地盤の液状化時期を求めることを特徴とす
    る請求項3記載の地震動の動的応答解析法。
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