JP2006266940A - 入力地震動の推定方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 簡易かつ高精度に入力地震動を推定することのできる入力地震動の推定方法を提供すること。
【解決手段】 公開された基盤面における地震波形データを使用して、複数の解析方法に基づいて地表面または表層地盤の適宜の深度における地震動波形を作成し、作成された地震動波形の中から適宜の地震動波形を選択することによって入力地震動が推定される方法である。ここで、複数の解析方法には、表層地盤の材料特性を線形として扱う線形解析法と、表層地盤の歪み依存性が考慮された等価線形解析法と、表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスに基づく非線形解析法とが少なくとも含まれている。公開された基盤面における地震波形データが所定規模以上の地震波形データである場合には、例えば、非線形解析法に基づいて作成された地震動波形が入力地震動であると推定できる。
【選択図】図7

Description

本発明は、基盤面上に堆積する表層地盤上または表層地盤内に建設される構造物の地震応答解析モデルに入力される入力地震動の推定方法に係り、特に、簡易かつ高精度に入力地震動を推定することのできる入力地震動の推定方法に関するものである。
地上や地中に建設される構造物の設計に際しては、特に地震時に十分な耐力(靭性なども含む)が確保できるように構造物の設計がなされるが、近時においては、近い将来にその発生が危惧されている東海地震や東南海地震などを想定した構造解析の必要性が叫ばれている。
構造物の地震応答解析に際しては、該構造物が建設される地域の地盤をどのようにモデル化するかによって構造物に入力される地震動波形が多様に変化する。基盤面(工学的基盤)に入射された地震動は、表層地盤の地盤特性によっては増幅されることがあり、増幅された地震動が地上構造物に載荷される。構造解析の際に使用される入力地震動が相違することによって応答解析結果も多様に相違することとなり、それに応じて実際の構造物の構造や使用される構造部材の仕様も相違することとなる。したがって、構造物の解析モデルに入力する地震動をどのように推定するのか、さらにはそれに付随する要素として地盤特性をどのように評価するのかといった問題は地震応答解析にとって極めて重要なものである。
耐震設計における入力地震動の推定方法には種々の方法がある。その1つは理論的方法と呼ばれる方法であり、この方法は、断層の破壊現象を時間的/空間的に考慮して地震動を推定する方法である。他の方法として小地震の重ね合わせによる半経験的な地震動評価法によるものであり、この方法は、地震波の伝播経路の影響や地盤の増幅特性を同じ伝播経路を持つ小地震記録を用いて表現し、それらを大地震の破壊過程に従って重ね合わせることにより地震動を評価するものである。さらにその他の方法としては、距離減衰式に断層の広がりの効果を考慮した方法や、観測された強震記録に基づく方法などがある。
特許文献1には、模擬地震動作成方法やその装置に関する発明が開示されている。かかる方法は、構造物の建設対象地域近傍の歴史地震や活断層を特定し、解析パラメータや断層パラメータ、破断パラメータ、基盤模擬地震動パラメータに基づいて基盤模擬地震動を作成し、作成された基盤模擬地震動と建設地域の地盤の地盤物性値に基づいて構造物に入力される模擬地震動を作成するものである。
特開平10−320450号公報
上記する従来の地震動の推定方法や特許文献1に開示の模擬地震動の作成方法では、断層パラメータをはじめとする多数のパラメータの設定が必要となり、パラメータの設定に多大な時間を要することに加えて、解析する技術者ごとに地震応答解析結果が相違する可能性が高くなる。また、上記する観測された強震記録に基づく方法によれば、極めて簡便に地震動波形を推定することが可能となる一方で、強震記録には建設地域の地盤特性が考慮されていないことから地震応答解析結果の精度は極めて低いものにならざるを得ない。
本発明の入力地震動の推定方法は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、汎用性
があって簡便かつ高精度な入力地震動の推定方法を提供することを目的とする。また、解析をおこなう技術者の技量などに左右されることなく、一般的な地震応答解析にかかる知識を有する技術者であればその解析結果にほとんど差異が生じ得ない入力地震動の推定方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明による入力地震動の推定方法は、基盤面上に堆積する表層地盤上の地表面または表層地盤内に建設される構造物の地震応答解析モデルに入力される入力地震動の推定方法であって、前記入力地震動の推定方法は、公開された基盤面における地震波形データを使用して、複数の解析方法に基づいて地表面または表層地盤の適宜の深度における地震動波形を作成し、作成された地震動波形の中から適宜の地震動波形を選択することによって入力地震動が推定される方法であり、該複数の解析方法には、表層地盤の材料特性を線形として扱う線形解析法と、表層地盤の歪み依存性が考慮された等価線形解析法と、表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスに基づく非線形解析法とが少なくとも含まれていることを特徴とする。
ここで、公開された基盤面における地震動波形とは、特に阪神淡路大震災以降に各種の学会や協会、各種の研究機関(大学等)にて作成され、公開されている適宜の地震動波形を意味する。かかる公開された地震動波形を使用することで、断層パラメータや断層地点から建設予定地点までの距離減衰パラメータ等の多様なパラメータを設定する必要がなくなり、極めて簡便に基盤面における地震動波形を特定することが可能となる。尤も、建設予定地域に近い断層等を想定して作成された公開地震動波形を使用するのが望ましい。
この公開された基盤面における地震動波形を使用して、基盤面上に堆積する表層地盤の地盤特性を勘案しながら地中の任意の地点または地表における地震動波形(構造物の解析モデルに入力する入力地震動波形)を解析する。
ここで、基盤面における地震動波形から地中の任意の地点または地表における地震動波形を解析する方法としては、表層地盤の地盤モデルや表層地盤の材料特性(材料特性モデル)に応じて大きく3つの方法がある。
その1つは、多層構造または単層構造の表層地盤を1次元の成層構造モデルとし、表層地盤の材料特性はその歪み依存性を考慮しない線形であると仮定して表層地盤をモデル化し、かかる表層地盤モデルの下方(基盤面)から公開地震動波形を入力して地震動波形を解析する方法である。本発明においては、この方法を線形解析法としている。
他の1つは、多層構造または単層構造の表層地盤を1次元の成層構造モデルとするとともに、各層の境界面における地震動の屈折と反射を考慮した重複反射理論を適用した地盤モデルを設定し、表層地盤の材料特性は地盤の応力と歪みの関係を部分的に線形として扱いながら擬似的に非線形性を考慮した等価線形モデルとして解析する方法である。基盤面における公開地震動波形は、表層地盤内で地盤の歪み依存特性に応じて増幅され、地中の任意の地点または地表における地震動波形が解析される。
さらに他の1つは、表層地盤を減衰特性を有するいくつかの質点とばねに置き換えた地盤モデルとし、表層地盤の材料特性は表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスに基づく非線形特性を備えた材料特性として解析する方法である。かかる応力とひずみの関係を表したヒステリシスモデルとしては、公知のバイリニアモデルやランバーグ・オスグット(Ramberg−Osgood)モデル、ハーディン・ドルネビッチ(Hardin−Drnevich)モデルなどを使用することができる。
本発明においては、少なくとも上記する解析方法にて入力地震動の解析をおこない、例えば経済性や建設される構造物の重要度などに応じて適宜の入力地震動を地震応答解析に使用する入力地震動として推定するものである。
また、請求項2に記載の発明による入力地震動の推定方法は、前記公開された基盤面における地震波形データが所定規模以上の地震波形データである場合には、前記非線形解析法に基づいて作成された地震動波形が入力地震動であると推定されることを特徴とする。
大規模な地震力が作用する場合においては、地表面付近の歪みレベルも大きくなり、場合によっては10−3を超えることもある。かかる場合には土のダイレタンシーを考慮する必要が生じ、歪みレベルごとのヒステリシスループを等価のせん断弾性係数と減衰定数に置き換える等価線形解析法が適用できない。尤も、かかる場合に線形解析法が適用できないことは言うまでもない。
したがって、例えば、基盤面の地震動波形が所定規模以上の地震である場合には、非線形解析法にて解析された地震動波形を入力地震動とするものである。なお、ここでいう所定規模とは、例えば地震動の加速度波形における最大値などを意味しており、所定規模を250galや300galなど適宜の値に設定することができる。
なお、比較的大きな地震力が作用する場合であって等価線形解析の適用が可能な場合には、非線形解析法ではなく等価線形解析法を適用するのが好ましい。非線形解析法では過度な減衰を示すことがあるため、地表面における地震動波形が現実のものよりも小さくなる可能性があるためである。
また、請求項3に記載の発明による入力地震動の推定方法は、基盤面上に堆積する表層地盤上の地表面または表層地盤内に建設される構造物の地震応答解析モデルに入力される入力地震動の推定方法であって、前記入力地震動の推定方法は、公開された基盤面における地震波形データを使用して、複数の解析方法に基づいて地表面または表層地盤の適宜の深度における地震動波形を作成し、作成された地震動波形の大小を比較し、適宜の地震動波形を選択することによって入力地震動が推定される方法であり、該複数の解析方法には、表層地盤の材料特性を線形として扱う線形解析法と、表層地盤の歪み依存性が考慮された等価線形解析法とが少なくとも含まれていることを特徴とする。
例えば、線形解析法によって地表の地震動波形を解析する一方で、等価線形解析法によっても別途、地表の地震動波形を解析する。双方の地震動波形の規模を比較し、過大な設計をしないという設計思想に基づく場合には小さい方の地震動波形を地震応答解析に使用し、安全側の設計をおこなう場合には大きい方の地震動波形を地震応答解析に使用する。
なお、本発明においては、その他の解析方法として、既述する非線形解析法をも含むこともでき、この場合には3つの解析法に基づいて解析されたそれぞれの地震動波形の大小比較をおこない、設計思想に合った地震動波形を選定することができる。
また、請求項4に記載の発明による入力地震動の推定方法は、前記公開された基盤面における地震波形データと、選択された適宜の地震動波形とを比較し、基盤面における地震波形データから選択された適宜の地震動波形への増幅率が1を超える場合には選択された適宜の地震動波形が入力地震動と推定され、増幅率が1以下の場合には基盤面における地震波形データが入力地震動と推定されることを特徴とする。
本発明は、表層地盤における増幅率を考慮して入力地震動を決定(推定)するものである。例えば、等価線形解析法によって解析された地震動波形と線形解析法によって解析さ
れた地震動波形を比較し、過大な設計をしないとする設計思想に基づいて小さい規模の地震動波形を選定する。選定された地震動波形と、この地震動波形のもとになっている基盤面の公開地震動波形とを比較し、公開地震動波形の方が大きい規模の場合には公開地震動波形を選定し、公開地震動波形の方が小さい規模の場合には解析後の地震動波形を選定するものである。選定された地震動波形は、構造物の地震応答解析モデルに直接入力されることとなる。
かかる方法によれば、解析方法によって異なる規模の地震動波形が作成された場合でも過大な地震動波形は選定せず、その一方で表層地盤の地盤特性(ここでは地盤の増幅率)が勘案された地震動波形を入力地震動とすることが可能となる。尤も、地盤の増幅率が1よりも小さな場合には、地盤の場所ごとの不確定性などを勘案して基盤面における公開地震動波形を選定するものである。
さらに、請求項5に記載の発明による入力地震動の推定方法は、前記公開された地震波形データが、内閣府中央防災会議の東海地震に関する専門調査会及び東海地震対策専門調査会において作成された「想定東海地震に係る地震動データ」であることを特徴とする。
上記する内閣府中央防災会議の「東海地震に関する専門調査会」及び「東海地震対策専門調査会」において作成された想定東海地震に係る地震動データは、基盤面(工学的基盤)での想定東海地震波形と、基盤面から地表までの表層地盤モデルとからなるデータのことである。かかる公開データは、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県の1都8県に対して1kmメッシュ単位で作成されている。
この公開データを積極的に使用することで、関東〜近畿にかけての広範囲にわたる地域で建設される構造物の設計に際し、東海地震を対象とした地震応答解析を簡易に実施することが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の入力地震動の推定方法によれば、公開された基盤面における地震動波形を複数の解析方法を介して地震動波形を解析し、設計思想などに応じて適宜の地震動波形を地震応答解析用の入力地震動とすることができるため、簡便で高精度な入力地震動を推定でき、さらには選定自由度の高い入力地震動の推定をおこなうことができる。また、本発明の入力地震動の推定方法によれば、公開されたデータとして想定東海地震に係る地震動データを使用することで、関東〜近畿にかけての広範囲にわたる地域で建設される構造物に対して、東海地震を対象とした地震応答解析を簡易におこなうことができる。さらに、本発明の入力地震動の推定方法によれば、地震応答解析をおこなう技術者の技量に左右されることなく、ほぼ同じ解析結果を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、基盤面における公開地震動波形データの一実施形態を示した図を、図2は、公開された任意地点の表層地盤の物性値を示した図をそれぞれ示している。図3は、等価線形解析法を説明したフローを、図4は、等価線形解析法において使用される歪み依存曲線をそれぞれ示している。図5は、非線形解析法における表層地盤のモデル化を説明した模式図である。図6は、非線形解析法における表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスを示した図であり、(a)は、バイリニアモデルを、(b)は、ランバーグ・オスグットモデルを、(c)は、ハーディン・ドルネビッチモデルをそれぞれ示している。図7は、本発明の入力地震動の推定方法の一実施形態を示したフローを、図8は、本発明の入力地震動の推定方法の他の実施形態を示したフローをそれぞれ示している。図9aは、は、基盤面における公開地震動の時刻歴波形を示した図であり、図9bは、図8の入力地震動の推定方法によって解析さ
れた地震動の時刻歴波形を示した図である。
図1は、内閣府中央防災会議の東海地震に関する専門調査会及び東海地震対策専門調査会において作成された「想定東海地震に係る地震動データ」の一部を示したものである。図中のデータは地震動の加速度(gal)を示しており、1/100秒刻みのサンプルとなっている。データ数(NDATA)が16384あるため、かかるデータに基づいて作成される地震動の時刻歴波形は163.83秒までの波形が作成される。
図2は、公開地震動波形とともに公開された任意地域の表層地盤の物性値データを示したものである。ここで、動的変形特性番号について粘性土(図中の番号1)や砂質土(図中の番号2)などを指定すると、粘性土や砂質土に応じた歪み依存特性などが勘案されることとなる。一方、線形を設定するのは(図中の番号が4,5)、土質が比較的硬質であって地震時に地盤の歪みに応じて地震動の地盤内増幅がなされないと判断されるためである。
次に、図3,4に基づいて、等価線形解析法について説明する。表層地盤は、粘性土や砂質土など物性の相違する複数の土層から構成されるのが一般的である。そこで、等価線形解析法で解析をおこなう際には、予め各土層の歪み依存曲線が求められ、ステップ1(S1)にて初期物性値の設定がおこなわれる。ステップ2(S2)では、各土層における剛性の評価がなされ、ステップ3(S3)において周波数応答計算がおこなわれる。かかる周波数応答計算は複素応答解析と同一の手順でおこなわれるものである。周波数応答計算がおこなわれた後、ステップ4(S4)で有効歪みeγが計算され、ステップ5(S5)では、計算に使用された物性値(各土層のせん断剛性と減衰定数)とステップ4で計算された物性値とが適合するか否かの判定がおこなわれる。双方が適合する場合にはそこで計算は終了となるが、適合しない場合にはステップ6(S6)で歪み依存曲線により計算された歪みに適合するように物性値の設定が再度なされ、ステップ2に戻る。かかる手順を繰返しながら解の収束を図るものである。図4はその一例である(X線はせん断剛性:Gを示す曲線、Y線は減衰定数:hを示す曲線)が、最初に設定した物性値(G0,h0)と計算された歪み:eγ1とが適合しないため、次に物性値をG1,h1に設定し直して再度計算する。計算した結果の歪み:eγ2はやはり適合しないため、以後同様に繰返し計算をおこない、設定された物性値に適合する歪みとなるまで繰返し計算を実施する。
等価線形解析法においては、土層モデルは、1次元の成層地盤モデルが適用され、各土層ごとに既述する収束計算がおこなわれることで地盤の歪み依存性が考慮された任意地点(地表面や適宜の深度)における地震動波形が解析される。
一方、図5,6には、非線形解析法における地盤モデルと、地盤の材料特性を表すヒステリシスがそれぞれ示されている。図5に示す地盤モデルは、各土層(G1〜G4、G0は基盤)を減衰特性を有する幾つかの質点(M1,M2,M3,M4)とばね(K1,K2,K3,K4)に置き換えた、いわゆるばね−質点系モデルである。ここで、地盤は集中質点に置き換えられ、その間はせん断ばねにて結合される。地震時に地盤はせん断波(S波)が卓越することから、地盤を1次元のせん断振動系にモデル化するのが簡易でかつ効果的なモデル化であると言える。
このばね−質点系モデルにおけるせん断ばねには、以下に示す3つの材料特性を表すヒステリシスを適用することができる。
その1つは、図6aに示すバイリニアモデルである。このモデルの骨格曲線は、原点から降伏ひずみ:γまでは勾配Gの直線とし、γ以上では勾配Gの直線となる。
他の1つは、図6bに示すランバーグ・オスグットモデルである。このモデルの骨格曲線(図中のX線)は、降伏歪み:γy、せん断応力:τおよび定数:αを用いて式1で表すことができる。なお、修正ランバーグ・オスグットモデルを使用することもできる。
[式1]
γ=τ+α|τ|γ/(Gγγ−1
さらに図6cに示すモデルは、ハーディン・ドルネビッチモデルであり、微小歪みレベルでのせん断弾性係数:G、γ(=τ/G)で定義される基準歪みを用いてその骨格曲線(図中のY線)は、式2で表すことができる。
[式2]
τ=Gγ/(1+γ/γ
基盤面における地震動波形が比較的大きな場合であって、表層地盤内の土質が比較的軟質である場合には、地盤の歪みレベルが大きくなるため、線形解析は勿論のこと、等価線形解析法による方法でも地盤の歪みを十分に反映させることができない。そこで、かかるケースの場合においては、上記するばね−質点系モデルを適用し、ばねには上記する材料特性を反映したヒステリシスを導入して非線形解析法により地震動波形の解析をおこなうことが望ましい。
図7は、入力地震動の推定方法の一実施形態のフローを示したものである。まず、ステップ1において、基盤面における公開地震動波形の加速度の閾値(フロー中のXgal)を設定する。このXの値は250や300など、例えば、表層地盤の地盤特性を勘案して、等価線形解析法と非線形解析法のどちらを選定するのが解析結果として好ましいかを技術者が判断して設定することができる。閾値であるXgalをステップ1(S1)で設定し、適用する公開地震動波形の加速度がその値以上の場合にはステップ2(S2)のルート、すなわち非線形解析法を採用してその解析された地震動波形を入力地震動として推定する(ステップ3(S3))。一方、公開地震動波形の加速度が閾値未満の場合には、ステップ4(S4)のルートを選定し、等価線形解析法にて解析された地震動波形を入力地震動として推定する。
また、図8には、入力地震動の推定方法の他の実施形態のフローを示している。ここでは、公開地震動波形を使用し、一方では線形解析法を実施して地震動波形を解析し(ステップ11(S11))、他方では等価線形解析法を実施して地震動波形を解析する(ステップ12(S12))。
双方の解析結果を比較し、例えば、等価線形解析法による結果(地震動波形の加速度)が線形解析法による結果よりも大きいか否かを判断する(ステップ13(S13))。図示する実施例では、過大な設計をしないという設計思想に基づいて小さな地震動波形を採用する場合を示しており、ステップ14,15では加速度の小さくなる地震動波形が選定される。
次に、表層地盤の増幅率を勘案するため、増幅率の値が1.0よりも大きいかそれ未満かの判定をおこなう(ステップ16(S16))。この表層地盤の増幅率は、基盤面から地表まで地震動が伝播する過程での地震動の増幅を表すものであり、表層地盤の地盤特性を反映した重要な要素である。そこで、ステップ16での判定は、基盤面における公開地震動波形の加速度とステップ14またはステップ15で解析されて選定された地震動波形の加速度とを比較しておこなわれる。例えば、図9aに示す地震動の時刻歴波形が基盤面における公開地震動波形であり、選定された地震動波形が図9bに示す地震動の時刻歴波
形である。図9aによれば、加速度の最大値(絶対値の最大)は−525galであり、図9bによれば、加速度の最大値は1159galである。したがって、かかる実施例では、表層地盤内を地震動が伝播する過程で地表面においては約2倍に増幅された地震動が形成されることとなり、増幅率は約2ということになる。したがって、この場合には、図8のフローにおいて、ステップ17(S17)が選択されて、解析後の地震動波形が入力地震動として推定されることとなる。一方、増幅率が1未満の場合には、地盤の場所ごとの不確定性などを勘案して、公開地震動波形を入力地震動として推定する安全側の推定がなされることとなる(ステップ18(S18))。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
基盤面における公開地震動波形データの一実施形態を示した図。 公開された任意地点の表層地盤の物性値を示した図。 等価線形解析法を説明したフロー。 等価線形解析法において使用される歪み依存曲線。 非線形解析法における表層地盤のモデル化を説明した模式図。 非線形解析法における表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスを示した図であり、(a)は、バイリニアモデルを示した図。(b)は、ランバーグ・オスグットモデルを示した図。(c)は、ハーディン・ドルネビッチモデルを示した図。 本発明の入力地震動の推定方法の一実施形態を示したフロー。 本発明の入力地震動の推定方法の他の実施形態を示したフロー。 (a)は、基盤面における公開地震動の時刻歴波形を示した図。(b)は、図8の入力地震動の推定方法によって解析された地震動の時刻歴波形を示した図。

Claims (5)

  1. 基盤面上に堆積する表層地盤上の地表面または表層地盤内に建設される構造物の地震応答解析モデルに入力される入力地震動の推定方法であって、
    前記入力地震動の推定方法は、公開された基盤面における地震波形データを使用して、複数の解析方法に基づいて地表面または表層地盤の適宜の深度における地震動波形を作成し、作成された地震動波形の中から適宜の地震動波形を選択することによって入力地震動が推定される方法であり、該複数の解析方法には、表層地盤の材料特性を線形として扱う線形解析法と、表層地盤の歪み依存性が考慮された等価線形解析法と、表層地盤の応力とひずみの関係を表したヒステリシスに基づく非線形解析法とが少なくとも含まれていることを特徴とする入力地震動の推定方法。
  2. 前記公開された基盤面における地震波形データが所定規模以上の地震波形データである場合には、前記非線形解析法に基づいて作成された地震動波形が入力地震動であると推定されることを特徴とする請求項1に記載の入力地震動の推定方法。
  3. 基盤面上に堆積する表層地盤上の地表面または表層地盤内に建設される構造物の地震応答解析モデルに入力される入力地震動の推定方法であって、
    前記入力地震動の推定方法は、公開された基盤面における地震波形データを使用して、複数の解析方法に基づいて地表面または表層地盤の適宜の深度における地震動波形を作成し、作成された地震動波形の大小を比較し、適宜の地震動波形を選択することによって入力地震動が推定される方法であり、該複数の解析方法には、表層地盤の材料特性を線形として扱う線形解析法と、表層地盤の歪み依存性が考慮された等価線形解析法とが少なくとも含まれていることを特徴とする入力地震動の推定方法。
  4. 前記公開された基盤面における地震波形データと、選択された適宜の地震動波形とを比較し、基盤面における地震波形データから選択された適宜の地震動波形への増幅率が1を超える場合には選択された適宜の地震動波形が入力地震動と推定され、増幅率が1以下の場合には基盤面における地震波形データが入力地震動と推定されることを特徴とする請求項3に記載の入力地震動の推定方法。
  5. 前記公開された地震波形データが、内閣府中央防災会議の東海地震に関する専門調査会及び東海地震対策専門調査会において作成された「想定東海地震に係る地震動データ」であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の入力地震動の推定方法。
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