JP2001116484A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイドプレート端部とシートメタルとのろう
付け部において、ろう回り不足によって生ずる隙間を防
止し、隙間からの空気の漏洩を防止する熱交換器を提供
することにある。 【解決手段】 サイドプレート端部５ｃをシートメタル
３の底部３ｃに設けたサイドプレート孔３ｂ２に嵌合さ
せ、ろう付けすることにより、チューブ端部２ａのろう
付けと同様、プレス加工により、高精度で開けられたバ
ーリング孔とサイドプレート端部５ｃが適切なろう付け
クリアランスを確保することにより、確実なろう付けが
実現でき、ろう材の回り不足を無くし、サイドプレート
端部５ｃとシートメタル３との空気の漏洩を防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用ヒ
ータコア、ラジエータ等に用いて好適な熱交換器に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術として、特開平１０−４７８
８６号公報にて知られるように、図１１、図１２に示す
ように、熱交換器のコア６は、まず、フィン４、チュー
ブ２を交互に積層してフィン４の最外方の更に外方に補
強部材としてのサイドプレート５を配置する。サイドプ
レート５には補強部材としての剛性を持たせるために、
一般に、幅方向の端部に折り曲げによるフランジ５ａを
設け、また中間部には、ローラ成形等による断面形状が
凹凸形状となるようなリブ５ｂを設け、また、サイドプ
レート端部５ｃ近傍は、リブ５ｂによってできる開口部
を閉塞させるために両端部のリブ５ｂを押しつぶすプレ
ス加工を行い、つぶし形状５ｄとしている。次に、チュ
ーブ端部２ａとシートメタル３にプレスバーリング加工
によって成形されたチューブ孔３ｂ１とをチューブ２の
長手方向より嵌合させ、またサイドプレート端部５ｃと
シートメタル爪３ａとを同様にチューブ２の長手方向よ
り嵌合させ、シートメタル３を組付ける。これによって
できたコア６を、ワイヤ治具等でフィン４とチューブ２
の積層方向に巻き付け、その形状を保持する。

【０００３】更に熱交換器として、図示していない流体
の流入、流出を行うパイプをタンク１に嵌合させ、タン
ク１をシートメタル３に嵌合させ、一体でろう付けを行
う。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、図１３に示すように、シートメタル爪３
ａは一般にプレス曲げ加工により成形されており、隙間
寸法Ｌは、プレスバーリング成形されるチューブ孔３ｂ
１に比べて寸法精度は低く、シートメタル爪３ａにサイ
ドプレート端部５ｃを嵌合させた後、フィン４とチュー
ブ２との積層寸法のバラツキによる広がり力とワイヤ治
具等による押さえ力とのバランスにより、サイドプレー
ト端部５ｃとシートメタル爪３ａとの間には隙間Ｌ１が
発生しうる。

【０００５】この隙間Ｌ１寸法がろう付けにおける適正
隙間を超えると、ろう材の回り不足が発生し、ろう付け
後においてサイドプレート端部５ｃとシートメタル３と
の間に隙間が生ずる。

【０００６】また図１１に示すように、サイドプレート
端部５ｃ近傍は、つぶし形状５ｄとしているものの、一
度凹凸形状に成形したものを完全には平面形状にはつぶ
しきれず、若干の凹凸形状は残るため、シートメタル爪
３ａとの隙間Ｌ１に関わらず、サイドプレート端部５ｃ
とシートメタル３との間に隙間が生ずる。

【０００７】サイドプレート端部５ｃとシートメタル３
との間に隙間が生ずると、最外方のフィン部への流入空
気Ｘが流出空気Ｙとなってサイドプレート端部５ｃより
漏洩してしまう。空気が漏洩すると、熱交換器の性能が
低下し、また隙間部を通過する空気の笛吹き効果により
異音が生ずる等の問題がある。

【０００８】本発明の目的は、上記問題に鑑み、サイド
プレート長手方向の端部とシートメタルとの組付け時の
隙間を適正にし、ろう材の回り不足を無くし、空気の漏
洩を防止できる熱交換器を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、以下の技術的手段を採用する。

【００１０】請求項１の発明では、タンク、シートメタ
ル、チューブ、フィン、サイドプレート等より構成され
る熱交換器において、そのサイドプレート長手方向の端
部をシートメタルの底部に設けた孔に嵌合させ、ろう付
けしたことを特徴としてる。これにより、プレス加工に
よる寸法精度の高い孔との嵌合による適正隙間を有する
確実なろう付けを実現し、空気の漏洩を防止することが
できる。

【００１１】請求項２の発明では、前記サイドプレート
の幅寸法を、前記サイドプレートの長手方向の全領域に
わたって同一としたことを特徴としている。これによ
り、サイドプレートの長手方向の位置が、組付け寸法許
容公差内でずれた場合でも、サイドプレートの幅寸法を
同一としているために、熱交換器をケースに挿入したと
きに、ケース入り口部との隙間を一定に保ち、不要な隙
間が生ずることなく、空気がケース外へ漏洩することを
防止できる。

【００１２】また、請求項３の発明では、前記サイドプ
レートの幅方向の端部を折り曲げてフランジを形成し、
このフランジのサイドプレートの長手方向寸法を、熱交
換器コア部のシートメタル間寸法と略同一としたことを
特徴としている。これにより、フィン、チューブ、サイ
ドプレートを積層したものにシートメタルを嵌合させる
とき、サイドプレートのフランジ端部がシートメタル底
部に当たり、熱交換器コア部のシートメタル間寸法のス
トッパーとなり組付けが容易になる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１〜図４は本発明の一実施形態
を示す。熱交換器のコア６はチューブ２、フィン４、サ
イドプレート５、シートメタル３から構成され、フィン
４とチューブ２を交互に必要段数積層し、最外方のフィ
ンの更に外方に熱交換器コア部の補強部材として、サイ
ドプレート５を配置する。サイドプレート５は、長手方
向の両端部５ｃを平面形状とし、端部５ｃ以外の部分は
補強部材としての剛性を持たせるために、サイドプレー
ト５の幅方向の両端部には折り曲げて形成したフランジ
５ａを有し、またサイドプレート５の幅方向中間部には
長手方向に伸びる断面形状が凹凸形状を成すリブ５ｂを
有する。シートメタル３の底部３ｃにはプレスのバーリ
ング加工により成形され、チューブ端部２ａが嵌合する
チューブ孔３ｂ１を積層されたチューブ２と同数、同位
置に有し、チューブ孔３ｂ１の最外方の更に外方に同様
のプレスのバーリング加工により成形されるサイドプレ
ート孔３ｂ２を設けている。このシートメタル３のチュ
ーブ孔３ｂ１とチューブ端部２ａを、またサイドプレー
ト孔３ｂ２とサイドプレート端部５ｃをチューブ２の長
手方向に嵌合させることにより、コア６が形成される。
形成されたコア６はワイヤ治具等により、フィン４とチ
ューブ２の積層方向に巻き付けられ、形状が保持され
る。更に、流体の流入および流出を行うパイプ７をタン
ク１に嵌合させ、タンク１をシートメタル３に嵌合さ
せ、ろう付け炉に搬入し、あらかじめ各部材にクラッド
されたろう材が高温炉内にて溶融し、一体でろう付けさ
れる。この場合、従来技術におけるプレスの曲げ加工に
よるシートメタル爪３ａに対して、サイドプレート端部
５ｃはプレスの孔あけ加工により精度よく設けられたサ
イドプレート孔３ｂ２と適切なろう付けクリアランスを
保ち、ろう付けされるため、チューブ端部２ａと同様に
確実なろう付けが可能となり、ろう材の回り不足を無く
し、熱交換器コア部の最外方のフィン部に流入した空気
がサイドプレート端部５ｃから漏洩することが防止でき
る。

【００１４】次に、サイドプレート５のフランジ５ａは
一般に図５に示すように、板材の曲げ寸法Ｒを考慮して
幅寸法はＤおよびＤ１の段差を持ったものが考えられる
が、サイドプレート５が許容寸法公差内で長手方向にず
れて組付けされた場合、図６に示すように熱交換器をケ
ース８に挿入したときに隙間７ａができ、空気がケース
８の外へ流出空気Ｚとなって漏洩してしまうため、図
７、図８、図９に示すようにサイドプレート５の幅寸法
を長手方向に対して全領域同一寸法（Ｄ）にしている。
具体的には、切り込み部５ｅ、絞り曲げ部５ｆ、折り曲
げ部５ｇを設けることにより幅寸法を同一にしている。
これにより、上記のような、サイドプレート５の長手方
向の組付けのずれがあっても、図６に示すようなケース
８との隙間７ａは生じることはなく、空気がケース８の
外に漏洩することはない。

【００１５】また、図１０に示すように、サイドプレー
ト５のフランジ５ａのサイドプレート長手方向の寸法ｈ
を熱交換器のコア６のシートメタル間寸法Ｈと略同一に
設定することにより、シートメタル３、具体的にはシー
トメタル３のチューブ孔３ｂ１およびサイドプレート孔
３ｂ２をチューブ端部２ａおよびサイドプレート端部５
ｃに嵌合させるとき、フランジ端部５ａ１がストッパー
の役目を果たし、シートメタル間寸法の治具等を用いな
くても組付けが容易にできるようになる。

【００１６】その他の付随効果として、従来用いていた
シートメタル爪３ａが廃止できるため、シートメタル３
の絞り前の展開形状が凹凸のない矩形状とすることがで
きるため、材料の歩留まりが向上できる。また、このよ
うな熱交換器は内部に流体が流れるため気密性が重要で
あり、通常、製造工程のろう付け後に、漏れの有無を検
査するが、本発明の構造であれば、サイドプレート端部
５ｃをチューブ端部２ａと同じタンク１に連通させてい
るため、もし仮に、サイドプレート端部５ｃでのろう回
り不足があれば、上記の検査工程にて本来の熱交換器と
しての気密性の良否と同時に検出することができ、しか
も従来の外観検査に比べてろう回りの良否を確実に判定
することができるようになり、その結果として空気の漏
洩するものの流出を確実に防止できる。

【００１７】上記発明の実施形態では、サイドプレート
５は端部５ｃを平面形状、それ以外の部分の幅方向端部
にフランジ５ａを、また幅方向の中間部にリブ５ｂを設
けたが、端部５ｃはリブ５ｂが貫通する形状でも、相手
側のシートメタル３のサイドプレート孔３ｂ２をリブ５
ｂに沿う形状にしてやればよい。また、サイドプレート
５自身の剛性が充分高ければ、リブ５ｂはなくてもよ
い。更に、シートメタル３のサイドプレート孔３ｂ２は
バーリング加工によるバーリング孔に対して、シートメ
タル３の板厚で必要なろう付け長さが確保できるなら、
単なる打ち抜き孔でもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態となる全体構成を示す斜視
図である。

【図２】サイドプレート近傍を示す斜視図である。

【図３】図２の縦断面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ断面図である。

【図５】サイドプレート５の幅寸法が段差を持つ場合の
（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。

【図６】熱交換器をケース８に挿入した場合の正面図で
ある。

【図７】サイドプレート５の変形例１を示す（ａ）は正
面図、（ｂ）は下面図である。

【図８】サイドプレート５の変形例２を示す（ａ）は正
面図、（ｂ）は下面図である。

【図９】サイドプレート５の変形例３を示す（ａ）は正
面図、（ｂ）は下面図である。

【図１０】サイドプレート５のフランジ５ａを熱交換器
コア部のシートメタル間寸法のストッパーとなることを
示す正面図である。

【図１１】従来技術のサイドプレート５近傍を示す斜視
図である。

【図１２】図１１の縦断面図である。

【図１３】図１２中のＢ部の拡大図である。

【符号の説明】 １ タンク ２ チューブ ２ａ チューブ端部 ３ シートメタル ３ｂ１ チューブ孔 ３ｂ２ サイドプレート孔 ３ｃ シートメタル底部 ４ フィン ５ サイドプレート ５ａ フランジ ５ａ１ フランジ端部 ５ｂ リブ ５ｃ サイドプレート端部 ６ コア ７ パイプ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流体の流入および流出を行うタンクと、
   内部に流体を流すチューブと、前記タンクと前記チュー
   ブとを連通可能に接続するシートメタルと、前記チュー
   ブにろう付けされ前記チューブ内部の流体と空気との熱
   交換を促進するフィンと、このフィンのうち最外方のフ
   ィンの更に外方に配置され熱交換器コア部の補強を行う
   サイドプレートとを備え、このサイドプレートの長手方
   向の端部と前記シートメタルの底部に設けた孔とを嵌合
   させ、ろう付けしたことを特徴とする熱交換器。
2. 【請求項２】 前記サイドプレートの幅寸法を、前記サ
   イドプレートの長手方向の全領域にわたって同一とした
   ことを特徴とする請求項１に記載の熱交換器。
3. 【請求項３】 前記サイドプレートの幅方向の端部を折
   り曲げてフランジを形成し、このフランジの前記サイド
   プレートの長手方向寸法を、前記熱交換器コア部のシー
   トメタル間寸法と略同一としたことを特徴とする請求項
   １あるいは請求項２に記載の熱交換器。