JP2001116463A - 加熱炉 - Google Patents

加熱炉

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JP2001116463A
JP2001116463A JP29888799A JP29888799A JP2001116463A JP 2001116463 A JP2001116463 A JP 2001116463A JP 29888799 A JP29888799 A JP 29888799A JP 29888799 A JP29888799 A JP 29888799A JP 2001116463 A JP2001116463 A JP 2001116463A
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space
heating
heat transfer
return
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JP29888799A
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Nobuhito Yokoyama
暢人 横山
Akimichi Mori
昭道 森
Masaru Nagaike
勝 長池
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 循環コンベアー方式加熱炉において、コンベ
アーのローラー列における返送空間内での温度低下を低
減し、加熱炉の熱効率を向上させることを目的とする。 【解決手段】 加熱空間B及び返送空間Aの間にある中間
隔壁7に少なくとも一以上の伝熱穴7aを設け、加熱空間B
内の余熱が返送空間A内に伝わるようにする。これによ
り、エネルギーを新たに消費することなく、返送空間A
内の温度が上昇する。従って、返送空間A内におけるロ
ーラー列1aの温度低下が低減するため、それを加熱空間
B内で再加熱するために生じるエネルギーロスが削減で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンベアーによっ
て搬送中の物品を加熱する加熱炉に関する。
【従来の技術】コンべアーによって搬送中の物品を加熱
する加熱炉(以下、循環コンベアー方式加熱炉という)
としては、例えば、蛍光灯のガラス管に対する蛍光体焼
成工程に用いられるベーキング炉等が知られている。図
5に、従来知られているベーキング炉における側断面図
を示す。従来のベーキング炉は、コンベアー、加熱手段
2、上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、中間下側断熱壁5、
下部断熱壁6、及び、側面断熱壁(図示せず)を有す
る。但し、側面断熱壁は図5の紙面に平行な二つの側壁
で、図5に示された構造を内部に挟むようにある。
【0002】コンベアーはガラス管10を図の矢印の向き
に搬送する。その構造は、ガラス管10を上に載せて搬送
するためのローラー列1a、及び、ローラー列1aを図の矢
印の向きに移動させるように、それぞれの中心軸の周り
を図の矢印の向きに回転する第1及び第2スプロケット
1b、1cから成る。ローラー列1aは、セラミック等ででき
た円柱形のローラー1dを多数個、それぞれの中心軸に対
して垂直な方向に並列に配列し、それらをチェーン等で
接続させてできている。ガラス管10を搬送する側のロー
ラー列1aは、上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、及び、側
面断熱壁に囲まれた空間(加熱空間)B内を、ガラス管1
0の搬送を終えて返送される側のローラー列1aは、中間
下側断熱壁5、下部断熱壁6、及び、側面断熱壁に囲まれ
た空間(返送空間)A内を、それぞれ貫いて通る。加熱
手段2は、ローラー列1aに対向する側の上部断熱壁3の表
面に設けられた凹部内にあり、コンベアーによって搬送
されるガラス管10を加熱する。加熱手段2としては、ガ
スバーナー、ニクロム線、赤外線加熱器等が用いられ
る。加熱手段2の発する熱は、セラミックファイバーボ
ードまたはセラミックファイバーブランケット等から成
る上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、及び、側面断熱壁に
よって、外部へ逃げにくくなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来のベ
ーキング炉では、加熱空間Bを通過する際、コンベアー
のローラー列1aも同時に加熱され高温となる。高温とな
ったローラー列1aは、加熱空間Bから出て返送空間Aを通
過し、再び加熱空間Bに入るまでの間に、周囲の気体等
によって冷却される。冷却されたローラー列1aが再び加
熱空間B内で加熱し直されることになる結果、加熱手段2
に供給するエネルギーの内、ガラス管10の加熱以外に消
費される部分、すなわち、エネルギーロスが生じる。こ
のエネルギーロスを減らすために、従来は次のような手
段が取られていた。つまり、返送空間Aを囲む中間下側
断熱壁5、下部断熱壁6、及び、側面断熱壁の構成要素で
あるセラミックファイバーボードまたはセラミックファ
イバーブランケット等の断熱材を厚くして、そこから外
部への放熱を減少させる。これにより、返送空間Aにお
けるローラー列1aの温度低下を抑えようとしていた。し
かし、断熱材を厚くしても得られる効果には限界があ
り、十分な効果が得られなかった。本発明は、以上述べ
たようなベーキング炉を例とする、循環コンベアー方式
加熱炉において、コンベアーのローラー列における返送
空間内での温度低下を低減し、加熱炉の熱効率を向上さ
せることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を果たすため
に、本発明の加熱炉は、柱形である多数個のローラーを
それぞれの長手方向に対して垂直な方向に並列に配列し
たローラー列と、前記ローラー列を配列方向に移動させ
るように、それぞれの中心軸の周りを回転する第1及び
第2スプロケットとを有するコンベアー、前記第1及び
第2スプロケット間にある前記ローラー列の加熱対象物
を搬送する側の部分を取り囲み、その部分の近傍の加熱
空間と外部とを熱的に遮断するための加熱空間断熱壁、
前記第1及び第2スプロケット間にある前記ローラー列
の返送される側の部分を取り囲み、その部分の近傍の返
送空間と外部とを熱的に遮断するための返送空間断熱
壁、前記ローラー列の加熱対象物を載せた部分に対向す
る前記加熱空間断熱壁の表面近傍にある加熱手段、及
び、前記加熱空間及び前記返送空間の間にあり、前記加
熱空間内の熱を、外部へ漏らすことなく、前記返送空間
内に伝える中間隔壁を有する。これにより、その中間隔
壁を通して前記加熱空間内の余熱が前記返送空間に有効
に伝わり、エネルギーを新たに消費しなくても、前記返
送空間内の温度が上昇する。すると、前記返送空間内に
おける前記ローラー列の温度低下が低減する。
【0005】本発明の加熱炉における前記中間隔壁が、
前記加熱空間から前記返送空間へと貫通する少なくとも
一以上の伝熱穴となる表面部分を有する断熱壁であって
もよい。こうすると、前記加熱空間から前記返送空間へ
の熱の伝達が各伝熱穴を通して効果的に行われる。例え
ば、前記伝熱穴が空洞の場合、前記加熱空間内で熱せら
れた気体が前記返送空間内へと対流することによって、
熱が伝達される。また、前記伝熱穴内に熱伝導性の良い
物質が詰まっている場合は、その物質を伝わってきた熱
がその物質から前記返送空間内へと輻射されて伝達され
る。
【0006】上記構成を有する本発明の加熱炉が、前記
伝熱穴の開口端を塞ぐ、少なくとも一以上の導熱板を有
しても良い。この導熱板により、前記ローラー列上から
振動等で誤って落下した加熱対象物が前記伝熱穴から前
記返送空間へ落ち込むことを防止できる。
【0007】前記導熱板は、前記伝熱穴の開口端を密閉
しても良い。こうすると、前記加熱空間内の熱は前記導
熱板から前記返送空間へ輻射されて伝達される。更に、
前記加熱空間内にある前記加熱手段からの排ガス等が持
つ余熱を回収するため、その排ガス等をブロアー等で吸
引して熱交換器へ供給する場合でも、前記伝熱穴を通し
て前記返送空間内にある比較的低温の気体まで吸い込ん
で前記排ガス等の温度を低下させることを防止できる。
【0008】また、前記導熱板が、前記伝熱穴の開口端
近傍の前記中間隔壁の表面との間に、前記加熱空間内の
気体が通り抜けるための所定の隙間を置いて設置されて
も良い。こうすると、前記加熱空間内の高温の気体が前
記伝熱穴を通して前記返送空間内へ移動することによっ
ても、熱が伝わるようになる。このため、前記加熱空間
内の余熱が前記返送空間内に、より効率良く伝わる。
【0009】本発明の加熱炉において、前記伝熱穴の開
口端近傍における前記導熱板の厚さが、各前記伝熱穴ご
とに、その伝熱穴を通して前記加熱空間から前記返送空
間へ伝わる熱量が所定量となるように、変化していても
良い。この構成により、前記加熱手段から加熱対象物へ
与えられる熱量が前記加熱空間内の場所によって変化す
る場合、前記伝熱穴ごとに、それを通って前記加熱空間
から前記返送空間へ伝わる熱量が調節される。こうする
と、前記返送空間内の場所によっては、前記ローラー列
が加熱され過ぎて、却ってエネルギーロスを大きくする
ことがなくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、その好ましい実施例を図1〜4を用いて説明する。 《実施例1》本発明をベーキング炉に対して実施したも
のを実施例1として説明する。図1に、本発明の実施例
1であるベーキング炉の側断面図を示す。但し、従来の
ものと同じ構造については図5と同じ符号を付してその
説明を省略する。従来のベーキング炉と比べて本発明の
実施例1が異なるところは、従来の中間上側及び下側断
熱壁4、5の代わりに、中間断熱隔壁7を有するところで
ある。中間断熱隔壁7は加熱される側のローラー列1aと
返送される側のローラー列1aとの間に設けられている。
すなわち、中間断熱隔壁7の加熱手段2側の表面、上部断
熱壁3、及び、側面断熱壁で囲まれる加熱空間B内を、ガ
ラス管10を搬送する側のローラー列1aが貫いて通る。そ
して、中間断熱隔壁7の加熱手段2側とは逆側の表面、下
部断熱壁6、及び、側面断熱壁で囲まれる返送空間A内
を、返送される側のローラー列1aが貫いて通る。中間断
熱隔壁7に用いられる断熱材としては、他の断熱壁同
様、セラミックファイバーボードまたはセラミックファ
イバーブランケット等が用いられる。
【0011】中間断熱隔壁7には、加熱空間Bと返送空間
Aとをつなぐ伝熱用の穴(伝熱穴)7aが複数開けられて
いる。図1では、伝熱穴7aが4個ある場合が描かれてい
る。各伝熱穴7aの加熱空間B側の開口端には、ガラス管1
0等の搬送物品が伝熱穴7aから返送空間A側へ落下するこ
とを防ぐための導熱板8がある。導熱板8には、例えば、
低熱膨張セラミックパネル等、熱変形が少なく、かつ、
酸化等による劣化がないものが用いられる。導熱板8
は、中間断熱隔壁7に対して、図2のように密着していて
も、図3のように所定の間隔を置いていても良い。この
ように設けられた伝熱穴7a及び導熱板8を通して、加熱
空間Bから返送空間Aへと、従来のベーキング炉より良く
熱が良く伝導するようになる。そして、加熱空間B内の
余熱だけで返送空間A内の温度を従来より高くできる。
従って、新たなエネルギーを加えなくても、返送空間A
内のローラー列1aの冷却が従来より緩和されるため、エ
ネルギーロスも従来より削減される。尚、この効果のた
めには、返送空間Aはできる限り小さくすることが望ま
しい。
【0012】以上述べた実施例1について、実際に試し
てみたベーキング炉における様々な数値を具体的に上げ
て説明すると、以下のようになる。コンベアーのローラ
ー列1aは、直径約34mm及び長さ2100mmの円柱形であるロ
ーラー1dが約38mmピッチで接続されて構成されている。
第1及び第2スプロケット1b、1cは半径約185mmを有
し、互いに約3.6mの距離を置いている。加熱空間のサイ
ズについては以下の通りである。幅が側面断熱壁間の距
離に等しく約2m、長さが第1及び第2スプロケット1b、
1c間の距離に実質的に等しい。高さが、加熱手段2と加
熱空間B内のローラー列1aとの距離約130mm、そのローラ
ー列1aと中間上側断熱壁4(従来例の場合)または導熱
板8(実施例1の場合)との距離約40mm、及び、ローラ
ー1dの直径約34mmの和約200mmである。返送空間のサイ
ズについては以下の通りである。幅は加熱空間と実質的
に等しい。長さは第1及び第2スプロケット1b、1c両直
径の和である約740mm程加熱空間より長い。高さが約100
mmで、ローラー列1aがほぼ中間の位置を通っている。
【0013】各断熱壁の厚さは、上部断熱壁3が約250m
m、下部断熱壁6が約150mm、側面断熱壁が約175mmであ
る。従来例における中間上側及び下側断熱壁4、5の厚さ
はいずれも約150mmあり、中間上側断熱壁4の加熱空間B
側の表面から中間下側断熱壁5の返送空間A側の表面まで
の距離が約700mmである。実施例1における中間断熱隔
壁7は厚さ約350mmであり、形状が300×500mmの矩形であ
る伝熱穴7aを4箇所に有している。また、実施例1で
は、厚さ5mmの導熱板8が、伝熱穴7aの開口端を含む、中
間断熱隔壁7の加熱空間B側の表面全体を覆って密着して
いる。ローラー1dとして用いられるセラミックの熱伝導
率は約4W/m℃、第1及び第2両スプロケットの素材であ
る鉄の熱伝導率は約55W/m℃、各断熱壁に用いられる断
熱材であるセラミックファイバーボード等の熱伝導率は
約0.12W/m℃(at 600℃)、導熱板8の素材である低熱膨
張セラミックボードの熱伝導率が約6W/m℃(at600℃)で
ある。
【0014】コンベアーの搬送速度を約20mm/sとし、加
熱空間B内で加熱されるガラス管10の加熱温度を約650℃
とする。この時、従来例においては、返送空間A内の温
度が200〜300℃、ローラー列1aの温度が、返送空間Aの
入り口付近で約420℃、出口付近で約350℃、下部断熱壁
6の外側表面の温度が50〜60℃程度となる。実施例1に
おいては、導熱板8及び伝熱穴7aを通して加熱空間B内の
余熱が返送空間Aに伝わる。これにより、返送空間A内の
温度が従来例より20〜50℃程度上昇する。このため、返
送空間A内でのローラー列1aの温度低下が5〜10℃程度抑
えられる。ここで、ガラス管10は主に加熱手段2からの
輻射によって加熱されるため、伝熱穴7aからの熱の流出
によっては影響をほとんど受けない。また、返送空間A
から出て加熱空間Bに再び入るまでにローラー列1aから
外気へと失われる熱量は、返送空間Aの出口におけるロ
ーラー列1aの温度が従来よりも高いため、従来よりも若
干増える。しかし、その増加量は、返送空間A内におけ
るローラー列1aの温度低下が抑えられるために節約され
る熱量よりも少ない。以上の結果、従来のベーキング炉
におけるエネルギーロスに比べると、実施例1のものに
おいては5〜10%程度エネルギーロスが削減される。
【0015】導熱板8を伝熱穴7aの開口部に、図2のよう
に密着させておけば、余熱を回収するために加熱空間B
内にある排ガス等の高温の気体をブロアー等で吸引する
場合、伝熱穴7aを通して返送空間A内の比較的低温の気
体まで吸引して加熱空間B内等の温度を低下させること
を防止できる。この時の導熱板8を、図1に示すように伝
熱穴7aごとに分離したものとしても、または、中間断熱
隔壁7全体を覆う一体のものとしても良い。また、伝熱
穴7aの内部に熱伝導性の良い物質(例えば金属等)を詰
め、伝熱量を損なうことなく加熱空間の気密性を高める
構造としても良い。加熱空間B内の気体を吸引しない場
合は、図3のように導熱板8と中間断熱隔壁7との間に所
定の間隔を置いても良い。このようにすると、加熱空間
B側の高温の気体が伝熱穴7aを通って返送空間A内に移動
することによっても熱が伝達される。このため、図2の
ように密着させた場合に比べて、より効率良く返送空間
A内に熱が伝わる。
【0016】《実施例2》本発明をベーキング炉に対し
て実施したものを実施例2として説明する。図4に、本
発明の実施例2であるベーキング炉の側断面図を示す。
但し、実施例1と同じ構造については図1と同じ符号を
付してその説明を省略する。実施例1のベーキング炉と
比べて実施例2が異なるところは、図4に示すように、
導熱板8の厚さが、各伝熱穴7aの近傍ごとに変化してい
るところにある。実施例1で説明したように、各導熱板
8及び伝熱穴7aを通して、熱が加熱空間Bから返送空間A
へと伝わる。この時、各導熱板8の厚さを各伝熱穴の近
傍ごとに変化させると、各伝熱穴を通して加熱空間Bか
ら返送空間Aへと伝わる各熱量がそれぞれ変化する。
【0017】加熱対象物によっては、例えば、加熱空間
Bから出る前に十分に加熱対象物の温度を下降させる必
要があり得る。この場合、加熱空間Bの出口付近にある
伝熱穴7aoutを塞ぐ導熱板8outを他のものより薄くする
と、そこからより多くの熱が伝わるように促される。ま
た、加熱開始直後から急速に温度を上昇させるために、
加熱空間Bの入り口付近にある加熱手段2の発生する熱量
を大きくする場合がある。この場合、伝熱穴7ainを塞ぐ
導熱板8inを他のものより厚くすると、そこから返送空
間Aへと伝わる熱量が抑えられる。すると、例えば、加
熱空間Bからの伝熱量が多すぎて、返送空間Aにあるロー
ラー列1aが加熱され、返送空間A内を通過することで却
って温度が上昇してしまうことを防止できる。もし、返
送空間Aを通過する間にローラー列1aの温度が上昇する
ようになると、返送空間Aを出て再び加熱空間Bへ入るま
でにローラー列1aから外気へと失われる熱量が増加す
る。このため、却ってエネルギーロスが増加してしまう
可能性がある。このように、導熱板8の厚さを各伝熱穴7
aの近傍ごとに変化させ、そこから返送空間Aへと伝わる
熱量を調節し、返送空間A内でのローラー列1aの温度変
化を加熱炉全体でのエネルギーロスが最小となるような
ものにする。
【0018】
【発明の効果】本発明の加熱炉は、加熱空間と返送空間
との間に、加熱空間内の熱を返送空間内に伝える中間隔
壁を有し、加熱空間の余熱によって返送空間内の温度を
上昇させる。これにより、返送空間内におけるローラー
の温度低下を低減させることができ、再び加熱空間内で
ローラーを加熱し直すことによるエネルギーロスを削減
することができる。このため、加熱炉の熱効率が従来よ
りも向上する。この効果は、中間隔壁に加熱空間から返
送空間へと通じる伝熱穴を設けると、より良く得られ
る。
【0019】伝熱穴内に搬送物等が落ち込まないように
するための導熱板を有する場合は、この導熱板で伝熱穴
の開口端を密閉することも、また、気体が所定量通り抜
けるだけの隙間を開けておくこともできる。導熱板で伝
熱穴の開口端を密閉すれば、加熱手段からの排ガス等が
持つ余熱を回収するために、排ガス等をブロアー等で吸
引し熱交換器へ供給するような場合、その伝熱穴を通し
て返送空間の比較的低温の気体まで吸い込んで排ガス等
の温度を低下させることが防止できる。排ガス等が持つ
余熱を回収する必要がない場合には、導熱板と伝熱穴の
開口端近傍の中間隔壁との間に、気体が通り抜けるだけ
の隙間を設ければ、加熱空間内の高温の気体が伝熱穴を
通って返送空間へと移動することでも熱が伝わる。従っ
て、単に導熱板による熱伝導のみよりもより効率的に、
加熱空間内の余熱を返送空間に伝えることができる。
【0020】伝熱穴ごとにそれを塞ぐ導熱板の厚さを変
化させると、各伝熱穴を通して加熱空間から返送空間へ
と伝わる各熱量がそれぞれ調整できる。これにより、返
送空間内でのローラーの温度変化を加熱炉全体でのエネ
ルギーロスが最小となるようなものにすることができ
る。つまり、加熱炉の熱効率を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1であるベーキング炉の側断面
【図2】実施例1のベーキング炉における導熱板によっ
て密閉された伝熱穴近傍の側断面図
【図3】実施例1のベーキング炉における導熱板と中間
隔壁との間に隙間を設けた時の伝熱穴近傍の側断面図
【図4】本発明の実施例2であるベーキング炉の側断面
【図5】従来のベーキング炉の側断面図
【符号の説明】
1a ローラー列 1b、1c 第1及び第2スプロケット 1d ローラー 2 加熱手段 3 上側断熱壁 4 中間上側断熱壁 5 中間下側断熱壁 6 下側断熱壁 7 中間断熱隔壁 7a 伝熱穴 8 導熱板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月1日(1999.11.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンベアーによっ
て搬送中の物品を加熱する加熱炉に関する。
【0002】
【従来の技術】コンべアーによって搬送中の物品を加熱
する加熱炉(以下、循環コンベアー方式加熱炉という)
としては、例えば、蛍光灯のガラス管に対する蛍光体焼
成工程に用いられるベーキング炉等が知られている。図
5に、従来知られているベーキング炉における側断面図
を示す。従来のベーキング炉は、コンベアー、加熱手段
2、上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、中間下側断熱壁5、
下部断熱壁6、及び、側面断熱壁(図示せず)を有す
る。但し、側面断熱壁は図5の紙面に平行な二つの側壁
で、図5に示された構造を内部に挟むようにある。
【0003】コンベアーはガラス管10を図の矢印の向き
に搬送する。その構造は、ガラス管10を上に載せて搬送
するためのローラー列1a、及び、ローラー列1aを図の矢
印の向きに移動させるように、それぞれの中心軸の周り
を図の矢印の向きに回転する第1及び第2スプロケット
1b、1cから成る。ローラー列1aは、セラミック等ででき
た円柱形のローラー1dを多数個、それぞれの中心軸に対
して垂直な方向に並列に配列し、それらをチェーン等で
接続させてできている。ガラス管10を搬送する側のロー
ラー列1aは、上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、及び、側
面断熱壁に囲まれた空間(加熱空間)B内を、ガラス管1
0の搬送を終えて返送される側のローラー列1aは、中間
下側断熱壁5、下部断熱壁6、及び、側面断熱壁に囲まれ
た空間(返送空間)A内を、それぞれ貫いて通る。加熱
手段2は、ローラー列1aに対向する側の上部断熱壁3の表
面に設けられた凹部内にあり、コンベアーによって搬送
されるガラス管10を加熱する。加熱手段2としては、ガ
スバーナー、ニクロム線、赤外線加熱器等が用いられ
る。加熱手段2の発する熱は、セラミックファイバーボ
ードまたはセラミックファイバーブランケット等から成
る上部断熱壁3、中間上側断熱壁4、及び、側面断熱壁に
よって、外部へ逃げにくくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来のベ
ーキング炉では、加熱空間Bを通過する際、コンベアー
のローラー列1aも同時に加熱され高温となる。高温とな
ったローラー列1aは、加熱空間Bから出て返送空間Aを通
過し、再び加熱空間Bに入るまでの間に、周囲の気体等
によって冷却される。冷却されたローラー列1aが再び加
熱空間B内で加熱し直されることになる結果、加熱手段2
に供給するエネルギーの内、ガラス管10の加熱以外に消
費される部分、すなわち、エネルギーロスが生じる。こ
のエネルギーロスを減らすために、従来は次のような手
段が取られていた。つまり、返送空間Aを囲む中間下側
断熱壁5、下部断熱壁6、及び、側面断熱壁の構成要素で
あるセラミックファイバーボードまたはセラミックファ
イバーブランケット等の断熱材を厚くして、そこから外
部への放熱を減少させる。これにより、返送空間Aにお
けるローラー列1aの温度低下を抑えようとしていた。し
かし、断熱材を厚くしても得られる効果には限界があ
り、十分な効果が得られなかった。本発明は、以上述べ
たようなベーキング炉を例とする、循環コンベアー方式
加熱炉において、コンベアーのローラー列における返送
空間内での温度低下を低減し、加熱炉の熱効率を向上さ
せることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を果たすため
に、本発明の加熱炉は、柱形である多数個のローラーを
それぞれの長手方向に対して垂直な方向に並列に配列し
たローラー列と、前記ローラー列を配列方向に移動させ
るように、それぞれの中心軸の周りを回転する第1及び
第2スプロケットとを有するコンベアー、前記第1及び
第2スプロケット間にある前記ローラー列の加熱対象物
を搬送する側の部分を取り囲み、その部分の近傍の加熱
空間と外部とを熱的に遮断するための加熱空間断熱壁、
前記第1及び第2スプロケット間にある前記ローラー列
の返送される側の部分を取り囲み、その部分の近傍の返
送空間と外部とを熱的に遮断するための返送空間断熱
壁、前記ローラー列の加熱対象物を載せた部分に対向す
る前記加熱空間断熱壁の表面近傍にある加熱手段、及
び、前記加熱空間及び前記返送空間の間にあり、前記加
熱空間内の熱を、外部へ漏らすことなく、前記返送空間
内に伝える中間隔壁を有する。これにより、その中間隔
壁を通して前記加熱空間内の余熱が前記返送空間に有効
に伝わり、エネルギーを新たに消費しなくても、前記返
送空間内の温度が上昇する。すると、前記返送空間内に
おける前記ローラー列の温度低下が低減する。
【0006】本発明の加熱炉における前記中間隔壁が、
前記加熱空間から前記返送空間へと貫通する少なくとも
一以上の伝熱穴となる表面部分を有する断熱壁であって
もよい。こうすると、前記加熱空間から前記返送空間へ
の熱の伝達が各伝熱穴を通して効果的に行われる。例え
ば、前記伝熱穴が空洞の場合、前記加熱空間内で熱せら
れた気体が前記返送空間内へと対流することによって、
熱が伝達される。また、前記伝熱穴内に熱伝導性の良い
物質が詰まっている場合は、その物質を伝わってきた熱
がその物質から前記返送空間内へと輻射されて伝達され
る。
【0007】上記構成を有する本発明の加熱炉が、前記
伝熱穴の開口端を塞ぐ、少なくとも一以上の導熱板を有
しても良い。この導熱板により、前記ローラー列上から
振動等で誤って落下した加熱対象物が前記伝熱穴から前
記返送空間へ落ち込むことを防止できる。
【0008】前記導熱板は、前記伝熱穴の開口端を密閉
しても良い。こうすると、前記加熱空間内の熱は前記導
熱板から前記返送空間へ輻射されて伝達される。更に、
前記加熱空間内にある前記加熱手段からの排ガス等が持
つ余熱を回収するため、その排ガス等をブロアー等で吸
引して熱交換器へ供給する場合でも、前記伝熱穴を通し
て前記返送空間内にある比較的低温の気体まで吸い込ん
で前記排ガス等の温度を低下させることを防止できる。
【0009】また、前記導熱板が、前記伝熱穴の開口端
近傍の前記中間隔壁の表面との間に、前記加熱空間内の
気体が通り抜けるための所定の隙間を置いて設置されて
も良い。こうすると、前記加熱空間内の高温の気体が前
記伝熱穴を通して前記返送空間内へ移動することによっ
ても、熱が伝わるようになる。このため、前記加熱空間
内の余熱が前記返送空間内に、より効率良く伝わる。
【0010】本発明の加熱炉において、前記伝熱穴の開
口端近傍における前記導熱板の厚さが、各前記伝熱穴ご
とに、その伝熱穴を通して前記加熱空間から前記返送空
間へ伝わる熱量が所定量となるように、変化していても
良い。この構成により、前記加熱手段から加熱対象物へ
与えられる熱量が前記加熱空間内の場所によって変化す
る場合、前記伝熱穴ごとに、それを通って前記加熱空間
から前記返送空間へ伝わる熱量が調節される。こうする
と、前記返送空間内の場所によっては、前記ローラー列
が加熱され過ぎて、却ってエネルギーロスを大きくする
ことがなくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、その好ましい実施例を図1〜4を用いて説明する。 《実施例1》本発明をベーキング炉に対して実施したも
のを実施例1として説明する。図1に、本発明の実施例
1であるベーキング炉の側断面図を示す。但し、従来の
ものと同じ構造については図5と同じ符号を付してその
説明を省略する。従来のベーキング炉と比べて本発明の
実施例1が異なるところは、従来の中間上側及び下側断
熱壁4、5の代わりに、中間断熱隔壁7を有するところで
ある。中間断熱隔壁7は加熱される側のローラー列1aと
返送される側のローラー列1aとの間に設けられている。
すなわち、中間断熱隔壁7の加熱手段2側の表面、上部断
熱壁3、及び、側面断熱壁で囲まれる加熱空間B内を、ガ
ラス管10を搬送する側のローラー列1aが貫いて通る。そ
して、中間断熱隔壁7の加熱手段2側とは逆側の表面、下
部断熱壁6、及び、側面断熱壁で囲まれる返送空間A内
を、返送される側のローラー列1aが貫いて通る。中間断
熱隔壁7に用いられる断熱材としては、他の断熱壁同
様、セラミックファイバーボードまたはセラミックファ
イバーブランケット等が用いられる。
【0012】中間断熱隔壁7には、加熱空間Bと返送空間
Aとをつなぐ伝熱用の穴(伝熱穴)7aが複数開けられて
いる。図1では、伝熱穴7aが4個ある場合が描かれてい
る。各伝熱穴7aの加熱空間B側の開口端には、ガラス管1
0等の搬送物品が伝熱穴7aから返送空間A側へ落下するこ
とを防ぐための導熱板8がある。導熱板8には、例えば、
低熱膨張セラミックパネル等、熱変形が少なく、かつ、
酸化等による劣化がないものが用いられる。導熱板8
は、中間断熱隔壁7に対して、図2のように密着していて
も、図3のように所定の間隔を置いていても良い。この
ように設けられた伝熱穴7a及び導熱板8を通して、加熱
空間Bから返送空間Aへと、従来のベーキング炉より良く
熱が良く伝導するようになる。そして、加熱空間B内の
余熱だけで返送空間A内の温度を従来より高くできる。
従って、新たなエネルギーを加えなくても、返送空間A
内のローラー列1aの冷却が従来より緩和されるため、エ
ネルギーロスも従来より削減される。尚、この効果のた
めには、返送空間Aはできる限り小さくすることが望ま
しい。
【0013】以上述べた実施例1について、実際に試し
てみたベーキング炉における様々な数値を具体的に上げ
て説明すると、以下のようになる。コンベアーのローラ
ー列1aは、直径約34mm及び長さ2100mmの円柱形であるロ
ーラー1dが約38mmピッチで接続されて構成されている。
第1及び第2スプロケット1b、1cは半径約185mmを有
し、互いに約3.6mの距離を置いている。加熱空間のサイ
ズについては以下の通りである。幅が側面断熱壁間の距
離に等しく約2m、長さが第1及び第2スプロケット1b、
1c間の距離に実質的に等しい。高さが、加熱手段2と加
熱空間B内のローラー列1aとの距離約130mm、そのローラ
ー列1aと中間上側断熱壁4(従来例の場合)または導熱
板8(実施例1の場合)との距離約40mm、及び、ローラ
ー1dの直径約34mmの和約200mmである。返送空間のサイ
ズについては以下の通りである。幅は加熱空間と実質的
に等しい。長さは第1及び第2スプロケット1b、1c両直
径の和である約740mm程加熱空間より長い。高さが約100
mmで、ローラー列1aがほぼ中間の位置を通っている。
【0014】各断熱壁の厚さは、上部断熱壁3が約250m
m、下部断熱壁6が約150mm、側面断熱壁が約175mmであ
る。従来例における中間上側及び下側断熱壁4、5の厚さ
はいずれも約150mmあり、中間上側断熱壁4の加熱空間B
側の表面から中間下側断熱壁5の返送空間A側の表面まで
の距離が約700mmである。実施例1における中間断熱隔
壁7は厚さ約350mmであり、形状が300×500mmの矩形であ
る伝熱穴7aを4箇所に有している。また、実施例1で
は、厚さ5mmの導熱板8が、伝熱穴7aの開口端を含む、中
間断熱隔壁7の加熱空間B側の表面全体を覆って密着して
いる。ローラー1dとして用いられるセラミックの熱伝導
率は約4W/m℃、第1及び第2両スプロケットの素材であ
る鉄の熱伝導率は約55W/m℃、各断熱壁に用いられる断
熱材であるセラミックファイバーボード等の熱伝導率は
約0.12W/m℃(at 600℃)、導熱板8の素材である低熱膨
張セラミックボードの熱伝導率が約6W/m℃(at600℃)で
ある。
【0015】コンベアーの搬送速度を約20mm/sとし、加
熱空間B内で加熱されるガラス管10の加熱温度を約650℃
とする。この時、従来例においては、返送空間A内の温
度が200〜300℃、ローラー列1aの温度が、返送空間Aの
入り口付近で約420℃、出口付近で約350℃、下部断熱壁
6の外側表面の温度が50〜60℃程度となる。実施例1に
おいては、導熱板8及び伝熱穴7aを通して加熱空間B内の
余熱が返送空間Aに伝わる。これにより、返送空間A内の
温度が従来例より20〜50℃程度上昇する。このため、返
送空間A内でのローラー列1aの温度低下が5〜10℃程度抑
えられる。ここで、ガラス管10は主に加熱手段2からの
輻射によって加熱されるため、伝熱穴7aからの熱の流出
によっては影響をほとんど受けない。また、返送空間A
から出て加熱空間Bに再び入るまでにローラー列1aから
外気へと失われる熱量は、返送空間Aの出口におけるロ
ーラー列1aの温度が従来よりも高いため、従来よりも若
干増える。しかし、その増加量は、返送空間A内におけ
るローラー列1aの温度低下が抑えられるために節約され
る熱量よりも少ない。以上の結果、従来のベーキング炉
におけるエネルギーロスに比べると、実施例1のものに
おいては5〜10%程度エネルギーロスが削減される。
【0016】導熱板8を伝熱穴7aの開口部に、図2のよう
に密着させておけば、余熱を回収するために加熱空間B
内にある排ガス等の高温の気体をブロアー等で吸引する
場合、伝熱穴7aを通して返送空間A内の比較的低温の気
体まで吸引して加熱空間B内等の温度を低下させること
を防止できる。この時の導熱板8を、図1に示すように伝
熱穴7aごとに分離したものとしても、または、中間断熱
隔壁7全体を覆う一体のものとしても良い。また、伝熱
穴7aの内部に熱伝導性の良い物質(例えば金属等)を詰
め、伝熱量を損なうことなく加熱空間の気密性を高める
構造としても良い。加熱空間B内の気体を吸引しない場
合は、図3のように導熱板8と中間断熱隔壁7との間に所
定の間隔を置いても良い。このようにすると、加熱空間
B側の高温の気体が伝熱穴7aを通って返送空間A内に移動
することによっても熱が伝達される。このため、図2の
ように密着させた場合に比べて、より効率良く返送空間
A内に熱が伝わる。
【0017】《実施例2》本発明をベーキング炉に対し
て実施したものを実施例2として説明する。図4に、本
発明の実施例2であるベーキング炉の側断面図を示す。
但し、実施例1と同じ構造については図1と同じ符号を
付してその説明を省略する。実施例1のベーキング炉と
比べて実施例2が異なるところは、図4に示すように、
導熱板8の厚さが、各伝熱穴7aの近傍ごとに変化してい
るところにある。実施例1で説明したように、各導熱板
8及び伝熱穴7aを通して、熱が加熱空間Bから返送空間A
へと伝わる。この時、各導熱板8の厚さを各伝熱穴の近
傍ごとに変化させると、各伝熱穴を通して加熱空間Bか
ら返送空間Aへと伝わる各熱量がそれぞれ変化する。
【0018】加熱対象物によっては、例えば、加熱空間
Bから出る前に十分に加熱対象物の温度を下降させる必
要があり得る。この場合、加熱空間Bの出口付近にある
伝熱穴7aoutを塞ぐ導熱板8outを他のものより薄くする
と、そこからより多くの熱が伝わるように促される。ま
た、加熱開始直後から急速に温度を上昇させるために、
加熱空間Bの入り口付近にある加熱手段2の発生する熱量
を大きくする場合がある。この場合、伝熱穴7ainを塞ぐ
導熱板8inを他のものより厚くすると、そこから返送空
間Aへと伝わる熱量が抑えられる。すると、例えば、加
熱空間Bからの伝熱量が多すぎて、返送空間Aにあるロー
ラー列1aが加熱され、返送空間A内を通過することで却
って温度が上昇してしまうことを防止できる。もし、返
送空間Aを通過する間にローラー列1aの温度が上昇する
ようになると、返送空間Aを出て再び加熱空間Bへ入るま
でにローラー列1aから外気へと失われる熱量が増加す
る。このため、却ってエネルギーロスが増加してしまう
可能性がある。このように、導熱板8の厚さを各伝熱穴7
aの近傍ごとに変化させ、そこから返送空間Aへと伝わる
熱量を調節し、返送空間A内でのローラー列1aの温度変
化を加熱炉全体でのエネルギーロスが最小となるような
ものにする。
【0019】
【発明の効果】本発明の加熱炉は、加熱空間と返送空間
との間に、加熱空間内の熱を返送空間内に伝える中間隔
壁を有し、加熱空間の余熱によって返送空間内の温度を
上昇させる。これにより、返送空間内におけるローラー
の温度低下を低減させることができ、再び加熱空間内で
ローラーを加熱し直すことによるエネルギーロスを削減
することができる。このため、加熱炉の熱効率が従来よ
りも向上する。この効果は、中間隔壁に加熱空間から返
送空間へと通じる伝熱穴を設けると、より良く得られ
る。
【0020】伝熱穴内に搬送物等が落ち込まないように
するための導熱板を有する場合は、この導熱板で伝熱穴
の開口端を密閉することも、また、気体が所定量通り抜
けるだけの隙間を開けておくこともできる。導熱板で伝
熱穴の開口端を密閉すれば、加熱手段からの排ガス等が
持つ余熱を回収するために、排ガス等をブロアー等で吸
引し熱交換器へ供給するような場合、その伝熱穴を通し
て返送空間の比較的低温の気体まで吸い込んで排ガス等
の温度を低下させることが防止できる。排ガス等が持つ
余熱を回収する必要がない場合には、導熱板と伝熱穴の
開口端近傍の中間隔壁との間に、気体が通り抜けるだけ
の隙間を設ければ、加熱空間内の高温の気体が伝熱穴を
通って返送空間へと移動することでも熱が伝わる。従っ
て、単に導熱板による熱伝導のみよりもより効率的に、
加熱空間内の余熱を返送空間に伝えることができる。
【0021】伝熱穴ごとにそれを塞ぐ導熱板の厚さを変
化させると、各伝熱穴を通して加熱空間から返送空間へ
と伝わる各熱量がそれぞれ調整できる。これにより、返
送空間内でのローラーの温度変化を加熱炉全体でのエネ
ルギーロスが最小となるようなものにすることができ
る。つまり、加熱炉の熱効率を向上させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長池 勝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4K050 AA01 BA07 CB03 CE09 CF06 CF16 CG04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱形である多数個のローラーをそれぞれ
    の長手方向に対して垂直な方向に並列に配列したローラ
    ー列と、前記ローラー列を配列方向に移動させるよう
    に、それぞれの中心軸の周りを回転する第1及び第2ス
    プロケットとを有するコンベアー、 前記第1及び第2スプロケット間にある前記ローラー列
    の加熱対象物を搬送する側の部分を取り囲み、その部分
    の近傍の加熱空間と外部とを熱的に遮断するための加熱
    空間断熱壁、 前記第1及び第2スプロケット間にある前記ローラー列
    の返送される側の部分を取り囲み、その部分の近傍の返
    送空間と外部とを熱的に遮断するための返送空間断熱
    壁、 前記ローラー列の加熱対象物を載せた部分に対向する前
    記加熱空間断熱壁の表面近傍にある加熱手段、及び、 前記加熱空間と前記返送空間との間にあり、前記加熱空
    間内の熱を、外部へ漏らすことなく、前記返送空間内に
    伝える中間隔壁を有する加熱炉。
  2. 【請求項2】 前記中間隔壁が、前記加熱空間から前記
    返送空間へと貫通する少なくとも一以上の伝熱穴となる
    表面部分を有する断熱壁であることを特徴とする請求項
    1記載の加熱炉。
  3. 【請求項3】 前記伝熱穴の開口端を塞ぐ、少なくとも
    一以上の導熱板を有することを特徴とする請求項2記載
    の加熱炉。
  4. 【請求項4】 前記導熱板が前記伝熱穴の開口端を密閉
    することを特徴とする請求項3記載の加熱炉。
  5. 【請求項5】 前記導熱板が、前記伝熱穴の開口端近傍
    の前記中間隔壁の表面との間に、前記加熱空間内の気体
    が通り抜けるための所定の隙間を置いて設置されること
    を特徴とする請求項3記載の加熱炉。
  6. 【請求項6】 前記伝熱穴の開口端近傍における前記導
    熱板の厚さが、各前記伝熱穴ごとに、その伝熱穴を通し
    て前記加熱空間から前記返送空間へ伝わる熱量が所定量
    となるように、変化していることを特徴とする請求項3
    から5までのいずれか一項に記載の加熱炉。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013035595A1 (ja) 2011-09-05 2013-03-14 株式会社Ihi 連続加熱炉
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US10502487B2 (en) 2011-09-05 2019-12-10 Ihi Corporation Heating furnace and continuous heating furnace

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