JP2001114563A - セラミック抵抗体及びその製造方法 - Google Patents
セラミック抵抗体及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 負荷変動を嫌う高電圧大容量電力回路用とし
て好適に使用される窒化アルミニウム/窒化チタン複合
焼結体からなるセラミック抵抗体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 AlN 70 vol%以上、焼結助剤 3〜5 vol
%、TiN 10〜20 vol%、Cr2O3 5 〜15 vol%の組成から
なり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、室温〜
100 ℃の温度域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以
上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備える AlN/ TiN複
合焼結からなるセラミック抵抗体。製造方法はAlN 70 v
ol%以上、焼結助剤 3〜5 vol %、TiN 10〜20 vol%、
Cr2O3 5〜15 vol%の量比で混合した原料粉末に、分散
媒及びバインダーを加え混練してスラリーを調製し、調
製したスラリーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、
次いで成形体を窒素雰囲気下1700〜1900℃の温度で焼結
する。
て好適に使用される窒化アルミニウム/窒化チタン複合
焼結体からなるセラミック抵抗体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 AlN 70 vol%以上、焼結助剤 3〜5 vol
%、TiN 10〜20 vol%、Cr2O3 5 〜15 vol%の組成から
なり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、室温〜
100 ℃の温度域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以
上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備える AlN/ TiN複
合焼結からなるセラミック抵抗体。製造方法はAlN 70 v
ol%以上、焼結助剤 3〜5 vol %、TiN 10〜20 vol%、
Cr2O3 5〜15 vol%の量比で混合した原料粉末に、分散
媒及びバインダーを加え混練してスラリーを調製し、調
製したスラリーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、
次いで成形体を窒素雰囲気下1700〜1900℃の温度で焼結
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
/窒化チタン複合焼結体からなり、電力制御用のインバ
ーター保護用や核融合炉の超伝導コイル保護用などの抵
抗器として高電圧で電力負荷容量の大きな回路に使用さ
れる、特に水冷式の高熱伝導性のセラミック抵抗体及び
その製造方法に関する。
/窒化チタン複合焼結体からなり、電力制御用のインバ
ーター保護用や核融合炉の超伝導コイル保護用などの抵
抗器として高電圧で電力負荷容量の大きな回路に使用さ
れる、特に水冷式の高熱伝導性のセラミック抵抗体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インバーター保護回路などの装置
は容量の増大により大電力化が進むとともに装置のコン
パクト化が図られ、それに組み込まれる抵抗器について
も大電力による高負荷を吸収し得る高容量化が必要とな
っている。これらの高電圧大容量用の抵抗器に用いられ
る抵抗体としては、一般的に金属材料からなる抵抗体が
使用されてきたが、金属抵抗体は誘導電流が生じ易い、
残留インダクタンスが大きい、電流容量が小さい、体積
抵抗率が低い、などの欠点があり、高電圧大容量用の抵
抗体として用いるには難点がある。
は容量の増大により大電力化が進むとともに装置のコン
パクト化が図られ、それに組み込まれる抵抗器について
も大電力による高負荷を吸収し得る高容量化が必要とな
っている。これらの高電圧大容量用の抵抗器に用いられ
る抵抗体としては、一般的に金属材料からなる抵抗体が
使用されてきたが、金属抵抗体は誘導電流が生じ易い、
残留インダクタンスが大きい、電流容量が小さい、体積
抵抗率が低い、などの欠点があり、高電圧大容量用の抵
抗体として用いるには難点がある。
【0003】上記欠点を克服する抵抗材料としては、カ
ーボン−アルミナ系、酸化亜鉛系、Si(またはFeS
i)−アルミノ珪酸系、窒化珪素結合炭化珪素系、など
のセラミック抵抗体が使用されている。しかしながら、
カーボン−アルミナ系や酸化亜鉛系セラミック抵抗体
は、長時間、大電流を負荷していると抵抗値が上昇する
特徴があり、高電圧大容量用の抵抗器に用いるには適し
ておらず、主に遮断機などの開閉サージ吸収用として使
用されている。
ーボン−アルミナ系、酸化亜鉛系、Si(またはFeS
i)−アルミノ珪酸系、窒化珪素結合炭化珪素系、など
のセラミック抵抗体が使用されている。しかしながら、
カーボン−アルミナ系や酸化亜鉛系セラミック抵抗体
は、長時間、大電流を負荷していると抵抗値が上昇する
特徴があり、高電圧大容量用の抵抗器に用いるには適し
ておらず、主に遮断機などの開閉サージ吸収用として使
用されている。
【0004】一方、Si(またはFeSi)−アルミノ
珪酸系抵抗体は無誘導性で電流容量が大きく、耐熱温度
も高いのでジュール熱による抵抗値上昇を招くこともな
く大容量抵抗体として好適なものである。しかしなが
ら、その熱伝導率は5W/mK程度と低いために放熱性が
悪く、通電負荷中に熱膨張差による割れが発生する場合
があり、負荷率を制限して使用せざるを得ない難点があ
る。この難点を解消するために本出願人は、アルミノ珪
酸塩を主とする構造材料中に導電材としてのSiまたは
FeSiを5〜60重量%含有させた抵抗体において、
SiC粉末を5〜50重量%含有させたことを特徴とす
るセラミック抵抗体(特開平5−234704号公報)を提案
した。このセラミック抵抗体によれば熱伝導率が向上す
るために1枚当たりの負荷率を2倍程度向上させること
が可能となるが、負荷率の増大や装置のコンパクト化が
更に進む中で、このセラミック抵抗体でも対応が困難と
なってきている。
珪酸系抵抗体は無誘導性で電流容量が大きく、耐熱温度
も高いのでジュール熱による抵抗値上昇を招くこともな
く大容量抵抗体として好適なものである。しかしなが
ら、その熱伝導率は5W/mK程度と低いために放熱性が
悪く、通電負荷中に熱膨張差による割れが発生する場合
があり、負荷率を制限して使用せざるを得ない難点があ
る。この難点を解消するために本出願人は、アルミノ珪
酸塩を主とする構造材料中に導電材としてのSiまたは
FeSiを5〜60重量%含有させた抵抗体において、
SiC粉末を5〜50重量%含有させたことを特徴とす
るセラミック抵抗体(特開平5−234704号公報)を提案
した。このセラミック抵抗体によれば熱伝導率が向上す
るために1枚当たりの負荷率を2倍程度向上させること
が可能となるが、負荷率の増大や装置のコンパクト化が
更に進む中で、このセラミック抵抗体でも対応が困難と
なってきている。
【0005】また、窒化珪素結合炭化珪素系抵抗体は、
熱伝導率が10〜20W/mK程度と放熱性が比較的に高
いので抵抗体1枚当たりの負荷率を上げることができ
る。しかしながら、抵抗温度係数は炭化珪素の影響によ
り−0.2%/℃程度と負特性を示すために通電負荷時
の負荷変動が大きく、所望の抵抗値に安定して制御する
ことが難しく、更に熱暴走する危険があり、作業上およ
び安全面で使用が制約される難点がある。
熱伝導率が10〜20W/mK程度と放熱性が比較的に高
いので抵抗体1枚当たりの負荷率を上げることができ
る。しかしながら、抵抗温度係数は炭化珪素の影響によ
り−0.2%/℃程度と負特性を示すために通電負荷時
の負荷変動が大きく、所望の抵抗値に安定して制御する
ことが難しく、更に熱暴走する危険があり、作業上およ
び安全面で使用が制約される難点がある。
【0006】このように、インバーター装置など電力設
備のコンパクト化や高電力化が進む中で、それに対応し
た熱伝導率が高く放熱性に富み、抵抗温度係数が正特性
の抵抗体のニーズが高まりつつある。こうしたニーズに
対応するセラミック抵抗材料として、高熱伝導性を示す
窒化アルミニウム(AlN)を主成分とし、窒化チタン
(TiN)などの耐熱性導電性材料を分散させた複合セ
ラミックス焼結体からなるセラミック抵抗体が開発され
ている。
備のコンパクト化や高電力化が進む中で、それに対応し
た熱伝導率が高く放熱性に富み、抵抗温度係数が正特性
の抵抗体のニーズが高まりつつある。こうしたニーズに
対応するセラミック抵抗材料として、高熱伝導性を示す
窒化アルミニウム(AlN)を主成分とし、窒化チタン
(TiN)などの耐熱性導電性材料を分散させた複合セ
ラミックス焼結体からなるセラミック抵抗体が開発され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窒化ア
ルミニウム複合焼結体は、窒化チタンなどの導電性材料
を単に分散させただけでは抵抗値を再現性よく制御、調
整することが難しい。特に、高電圧で大電力が負荷され
る回路に使用する用途分野で用いるセラミック抵抗体に
は、比抵抗値が10-2〜102 Ωcm程度であることが必
要であり、この範囲での抵抗値の調整は一層難しいもの
となっている。
ルミニウム複合焼結体は、窒化チタンなどの導電性材料
を単に分散させただけでは抵抗値を再現性よく制御、調
整することが難しい。特に、高電圧で大電力が負荷され
る回路に使用する用途分野で用いるセラミック抵抗体に
は、比抵抗値が10-2〜102 Ωcm程度であることが必
要であり、この範囲での抵抗値の調整は一層難しいもの
となっている。
【0008】その理由は、窒化アルミニウム(AlN)
/窒化チタン(TiN)複合焼結体の導電機構から次の
ように考えられる。絶縁性粒子AlNと導電性粒子Ti
Nとの混合系において、電流は導電性粒子であるTiN
が繋がったところを選択的に流れることになる。この場
合、TiN粒子が格子を形成しているとすると、TiN
粒子に隣り合う格子点がやはりTiN粒子で占められて
いれば、その間には導電路が形成され、それが端から端
まで繋がっていれば全体に亘って導電路が形成されるこ
とになる。
/窒化チタン(TiN)複合焼結体の導電機構から次の
ように考えられる。絶縁性粒子AlNと導電性粒子Ti
Nとの混合系において、電流は導電性粒子であるTiN
が繋がったところを選択的に流れることになる。この場
合、TiN粒子が格子を形成しているとすると、TiN
粒子に隣り合う格子点がやはりTiN粒子で占められて
いれば、その間には導電路が形成され、それが端から端
まで繋がっていれば全体に亘って導電路が形成されるこ
とになる。
【0009】しかしながら、TiN粒子で占められてい
る格子点の体積比率がある臨界値を超えない限り、全体
を貫く導電路が形成されることはない。したがって、A
lN/TiN焼結体の抵抗値はTiN粒子の体積比率に
よって変化することとなり、導電路が形成される体積比
率を境に急激に変化することになる。実際にAlNの比
抵抗値は1014Ωcm以上であり、TiNの比抵抗値は2
×10-5Ωcm程度であるから、体積比率が臨界値付近で
は体積比率の僅かな変化によって比抵抗値は急激に変化
することとなる。
る格子点の体積比率がある臨界値を超えない限り、全体
を貫く導電路が形成されることはない。したがって、A
lN/TiN焼結体の抵抗値はTiN粒子の体積比率に
よって変化することとなり、導電路が形成される体積比
率を境に急激に変化することになる。実際にAlNの比
抵抗値は1014Ωcm以上であり、TiNの比抵抗値は2
×10-5Ωcm程度であるから、体積比率が臨界値付近で
は体積比率の僅かな変化によって比抵抗値は急激に変化
することとなる。
【0010】こうした問題を解決するために、抵抗値の
バラツキが少なく、抵抗温度係数の小さな半絶縁性を有
する窒化アルミニウム焼結体として、例えば特開平10
−279358号公報には第1相として窒化アルミニウ
ム粒子を主体とし、これら窒化アルミニウム粒子間に体
積固有抵抗値が102 Ωcm以下の導電性粒子である第2
相を分散させ、第3相として上記第1相と第2相の中間
的な体積固有抵抗値を有するSi及び/又はTi、C
e、Ni、Taの1種以上を含む酸化物からなる粒界相
を形成したことを特徴とする半絶縁性窒化アルミニウム
焼結体が提案されている。
バラツキが少なく、抵抗温度係数の小さな半絶縁性を有
する窒化アルミニウム焼結体として、例えば特開平10
−279358号公報には第1相として窒化アルミニウ
ム粒子を主体とし、これら窒化アルミニウム粒子間に体
積固有抵抗値が102 Ωcm以下の導電性粒子である第2
相を分散させ、第3相として上記第1相と第2相の中間
的な体積固有抵抗値を有するSi及び/又はTi、C
e、Ni、Taの1種以上を含む酸化物からなる粒界相
を形成したことを特徴とする半絶縁性窒化アルミニウム
焼結体が提案されている。
【0011】しかしながら、この発明は搬送アームや真
空チャックなどに用いられる104〜1011Ωcm程度の
抵抗値を有する半絶縁性の窒化アルミニウム焼結体を対
象とするものであるから、高電圧で大電力が負荷される
回路に使用される本発明のセラミック抵抗体に要求され
る10-2〜102 Ωcm程度の比抵抗値とは著しく異なる
ものである。
空チャックなどに用いられる104〜1011Ωcm程度の
抵抗値を有する半絶縁性の窒化アルミニウム焼結体を対
象とするものであるから、高電圧で大電力が負荷される
回路に使用される本発明のセラミック抵抗体に要求され
る10-2〜102 Ωcm程度の比抵抗値とは著しく異なる
ものである。
【0012】このように、AlNを主成分としたセラミ
ック抵抗体においては、比抵抗値を10-2〜102 Ωcm
程度に安定して調整することは極めて困難であり、電力
容量の大きな回路用の抵抗体として使用することができ
ない問題点がある。そこで、本発明はこのような問題点
を解消し、AlN−TiN系焼結体を対象として、負荷
変動を嫌う高電圧大容量電力回路用に好適に使用される
セラミック抵抗体及びその製造方法を提供することを目
的として開発されたものである。
ック抵抗体においては、比抵抗値を10-2〜102 Ωcm
程度に安定して調整することは極めて困難であり、電力
容量の大きな回路用の抵抗体として使用することができ
ない問題点がある。そこで、本発明はこのような問題点
を解消し、AlN−TiN系焼結体を対象として、負荷
変動を嫌う高電圧大容量電力回路用に好適に使用される
セラミック抵抗体及びその製造方法を提供することを目
的として開発されたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるセラミック抵抗体は、窒化アルミニウ
ム70 vol%以上、焼結助剤3〜5 vol%、窒化チタン
10〜20 vol%、酸化クロム5〜15 vol%の組成か
らなり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、
室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が+0.
01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備
える窒化アルミニウム/窒化チタン複合焼結体からなる
ことを構成上の特徴とする。
めの本発明によるセラミック抵抗体は、窒化アルミニウ
ム70 vol%以上、焼結助剤3〜5 vol%、窒化チタン
10〜20 vol%、酸化クロム5〜15 vol%の組成か
らなり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、
室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が+0.
01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備
える窒化アルミニウム/窒化チタン複合焼結体からなる
ことを構成上の特徴とする。
【0014】また、その製造方法は窒化アルミニウム粉
末70 vol%以上、焼結助剤粉末3〜5 vol%、窒化チ
タン粉末10〜20 vol%、酸化クロム粉末5〜15 v
ol%の量比で混合した混合粉末に、分散媒およびバイン
ダーを加え混練してスラリーを調製し、調製したスラリ
ーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、次いで成形体
を窒素雰囲気下で1700〜1900℃の温度で焼結す
ることを構成上の特徴とする。
末70 vol%以上、焼結助剤粉末3〜5 vol%、窒化チ
タン粉末10〜20 vol%、酸化クロム粉末5〜15 v
ol%の量比で混合した混合粉末に、分散媒およびバイン
ダーを加え混練してスラリーを調製し、調製したスラリ
ーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、次いで成形体
を窒素雰囲気下で1700〜1900℃の温度で焼結す
ることを構成上の特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック抵抗体は、比
抵抗値が1014Ωcm以上である窒化アルミニウム(以
下、AlNとも記す)をマトリックスとして、導電性粒
子である比抵抗値2×10-5Ωcm程度の窒化チタン(以
下、TiNとも記す)を分散させた複合焼結体で、窒化
アルミニウム/窒化チタン複合焼結体の比抵抗値を10
-2〜102Ωcmの範囲に調整したものである。
抵抗値が1014Ωcm以上である窒化アルミニウム(以
下、AlNとも記す)をマトリックスとして、導電性粒
子である比抵抗値2×10-5Ωcm程度の窒化チタン(以
下、TiNとも記す)を分散させた複合焼結体で、窒化
アルミニウム/窒化チタン複合焼結体の比抵抗値を10
-2〜102Ωcmの範囲に調整したものである。
【0016】AlNとTiNは比抵抗値の差が大きいた
めに、単に両者を混合してTiNをAlN中に分散させ
ただけでは、比抵抗値をその中間である10-2〜102
Ωcmの範囲に調整することは困難である。
めに、単に両者を混合してTiNをAlN中に分散させ
ただけでは、比抵抗値をその中間である10-2〜102
Ωcmの範囲に調整することは困難である。
【0017】通常、AlN焼結体はY2 O3 やCaOな
どの焼結助剤を添加し、焼結することにより得られる
が、これらの焼結助剤成分はAlN粒子の表面が酸化さ
れて生成したAl2 O3 と反応して1500〜1700
℃の温度で液相を生成し、この液相がAlN粒子の再配
列と溶解析出を促進する、いわゆる液相焼結機構によっ
て緻密化が達成される。焼結の促進に機能した液相は冷
却時には固化、結晶化して粒界相が形成される。粒界相
の組成に関しては、Y2 O3 助剤についてはY4Al2
O9 、YAlO3 、Y3 Al5 O12などの化合物が、C
aO助剤についてはCa3 Al2 O6 、Ca12Al19O
33、CaAl2 O4 などの化合物が、粒界相に析出する
ことが知られており、この粒界相は比抵抗が比較的に高
く、結果的にAlN焼結体全体の抵抗値を高くしてい
る。
どの焼結助剤を添加し、焼結することにより得られる
が、これらの焼結助剤成分はAlN粒子の表面が酸化さ
れて生成したAl2 O3 と反応して1500〜1700
℃の温度で液相を生成し、この液相がAlN粒子の再配
列と溶解析出を促進する、いわゆる液相焼結機構によっ
て緻密化が達成される。焼結の促進に機能した液相は冷
却時には固化、結晶化して粒界相が形成される。粒界相
の組成に関しては、Y2 O3 助剤についてはY4Al2
O9 、YAlO3 、Y3 Al5 O12などの化合物が、C
aO助剤についてはCa3 Al2 O6 、Ca12Al19O
33、CaAl2 O4 などの化合物が、粒界相に析出する
ことが知られており、この粒界相は比抵抗が比較的に高
く、結果的にAlN焼結体全体の抵抗値を高くしてい
る。
【0018】本発明は、このAlN焼結体の粒界相に酸
化クロム(以下、Cr2 O3 とも記す)を含有させるこ
とにより、TiN粒子の繋がりによる接触だけで導電路
を形成させるのではなく、粒界相とともに導電路を形成
することにより、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲
に調整することを可能とするものである。
化クロム(以下、Cr2 O3 とも記す)を含有させるこ
とにより、TiN粒子の繋がりによる接触だけで導電路
を形成させるのではなく、粒界相とともに導電路を形成
することにより、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲
に調整することを可能とするものである。
【0019】本発明のセラミック抵抗体を構成するAl
N/TiN複合焼結体の組成は、AlNが70 vol%以
上であることが必要である。AlNの組成比が70 vol
%未満であると熱伝導率が低下して40W/mKを下回
り、本発明のセラミック抵抗体に必要な充分な放熱性を
確保することができなくなる。なお、AlNは焼結性を
考慮して粒径範囲が0.1〜10μm 、平均粒径が2.
0μm 以下の粉末を用いることが好ましい。
N/TiN複合焼結体の組成は、AlNが70 vol%以
上であることが必要である。AlNの組成比が70 vol
%未満であると熱伝導率が低下して40W/mKを下回
り、本発明のセラミック抵抗体に必要な充分な放熱性を
確保することができなくなる。なお、AlNは焼結性を
考慮して粒径範囲が0.1〜10μm 、平均粒径が2.
0μm 以下の粉末を用いることが好ましい。
【0020】焼結助剤にはY2 O3 やCaOの粉末、あ
るいはこれらの混合物が用いられ、特にCr2 O3 との
共相酸化物が生成し難いY2 O3 が好適に用いられる。
焼結助剤は、AlN/TiN複合焼結体中に3〜5 vol
%の組成範囲になるように添加する。なお、焼結助剤の
分散性を良くするために、粒径範囲0.1〜10μmの
粉末を使用することが望ましい。
るいはこれらの混合物が用いられ、特にCr2 O3 との
共相酸化物が生成し難いY2 O3 が好適に用いられる。
焼結助剤は、AlN/TiN複合焼結体中に3〜5 vol
%の組成範囲になるように添加する。なお、焼結助剤の
分散性を良くするために、粒径範囲0.1〜10μmの
粉末を使用することが望ましい。
【0021】本発明のセラミック抵抗体に導電性を付与
する導電性粒子としては、AlNと反応せず、またAl
Nの焼結を阻害しないTiNが用いられる。TiNの添
加量は、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲に制御す
るためにAlN/TiN複合焼結体中に10〜20 vol
%の組成比となるように設定する。なお、TiNは粒径
範囲が0.1〜10μm の粉末が好ましく用いられる。
する導電性粒子としては、AlNと反応せず、またAl
Nの焼結を阻害しないTiNが用いられる。TiNの添
加量は、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲に制御す
るためにAlN/TiN複合焼結体中に10〜20 vol
%の組成比となるように設定する。なお、TiNは粒径
範囲が0.1〜10μm の粉末が好ましく用いられる。
【0022】Cr2 O3 は粒界相を導電路として機能さ
せるために添加するものであり、その添加量はAlN/
TiN複合焼結体中の組成比が5〜15 vol%の範囲に
なるように設定される。Cr2 O3 の組成比が5 vol%
未満では導電路の形成が充分でないために比抵抗値を1
0-2〜102 Ωcmの範囲に制御することができず、また
比抵抗値のバラツキが大きくなり、歩留りよくセラミッ
ク抵抗体を製造することができなくなる。一方、Cr2
O3 の組成比が15 vol%を超えると熱伝導率が40W
/mKを下回り、充分な放熱性が得られなくなる。
せるために添加するものであり、その添加量はAlN/
TiN複合焼結体中の組成比が5〜15 vol%の範囲に
なるように設定される。Cr2 O3 の組成比が5 vol%
未満では導電路の形成が充分でないために比抵抗値を1
0-2〜102 Ωcmの範囲に制御することができず、また
比抵抗値のバラツキが大きくなり、歩留りよくセラミッ
ク抵抗体を製造することができなくなる。一方、Cr2
O3 の組成比が15 vol%を超えると熱伝導率が40W
/mKを下回り、充分な放熱性が得られなくなる。
【0023】このように本発明のセラミック抵抗体は、
AlN焼結体に形成される粒界相にCr2 O3 を含有さ
せることにより、TiN粒子の繋がりによる接触ととも
に粒界相により導電路が形成されることとなり、比抵抗
値を低位に制御することが可能となる。そして、Al
N、焼結助剤、TiN、Cr2 O3 の各成分を特定の組
成比に設定することにより、比抵抗値が10-2〜102
Ωcm、室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が
+0.01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物
性を備えた、高電圧大容量電力回路用として好適に用い
られるセラミック抵抗体が提供される。
AlN焼結体に形成される粒界相にCr2 O3 を含有さ
せることにより、TiN粒子の繋がりによる接触ととも
に粒界相により導電路が形成されることとなり、比抵抗
値を低位に制御することが可能となる。そして、Al
N、焼結助剤、TiN、Cr2 O3 の各成分を特定の組
成比に設定することにより、比抵抗値が10-2〜102
Ωcm、室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が
+0.01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物
性を備えた、高電圧大容量電力回路用として好適に用い
られるセラミック抵抗体が提供される。
【0024】このセラミック抵抗体は次の方法により製
造される。まず、原料としてAlN粉末を70 vol%以
上、焼結助剤粉末を3〜5 vol%、TiN粉末を10〜
20vol%、Cr2 O3 粉末を5〜15 vol%、の量比
で混合して原料の混合粉末を作製する。この混合粉末に
エタノールや水などの分散媒およびポリビニルアルコー
ルやアクリル樹脂などのバインダーを加え、混練してス
ラリーを調製する。なお、スラリーを調製する際にはマ
レイン酸エステル型ポリマーなどの分散剤を添加するこ
ともできる。また、混練は例えばボールミルなどにより
強力に混合して均一なスラリーを調製することが望まし
い。
造される。まず、原料としてAlN粉末を70 vol%以
上、焼結助剤粉末を3〜5 vol%、TiN粉末を10〜
20vol%、Cr2 O3 粉末を5〜15 vol%、の量比
で混合して原料の混合粉末を作製する。この混合粉末に
エタノールや水などの分散媒およびポリビニルアルコー
ルやアクリル樹脂などのバインダーを加え、混練してス
ラリーを調製する。なお、スラリーを調製する際にはマ
レイン酸エステル型ポリマーなどの分散剤を添加するこ
ともできる。また、混練は例えばボールミルなどにより
強力に混合して均一なスラリーを調製することが望まし
い。
【0025】調製したスラリーは、噴霧乾燥により顆粒
化される。噴霧乾燥は、例えばクローズドタイプのスプ
レードライヤーを用いて窒素あるいは減圧雰囲気中でス
ラリーを噴霧して乾燥し、顆粒化する。なお、顆粒の平
均粒径は約50μm 程度であることが好ましい。得られ
た顆粒を成形型に入れて加圧成形し、所望形状の成形体
を作製する。成形体は充分に乾燥したのち、窒素雰囲気
中で加熱し、約500℃の温度で脱バインダー処理す
る。次いで、成形体を窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することによりセラミック抵抗体が製
造される。なお、焼結は窒化ほう素(BN)製トレー、
あるいは黒鉛製トレーの内側をBNコートしたトレー、
の中に脱バインダー処理した成形体をセットし、黒鉛加
熱炉を用いて窒素雰囲気中で1700〜1900℃の温
度に1〜3時間保持することにより焼結される。
化される。噴霧乾燥は、例えばクローズドタイプのスプ
レードライヤーを用いて窒素あるいは減圧雰囲気中でス
ラリーを噴霧して乾燥し、顆粒化する。なお、顆粒の平
均粒径は約50μm 程度であることが好ましい。得られ
た顆粒を成形型に入れて加圧成形し、所望形状の成形体
を作製する。成形体は充分に乾燥したのち、窒素雰囲気
中で加熱し、約500℃の温度で脱バインダー処理す
る。次いで、成形体を窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することによりセラミック抵抗体が製
造される。なお、焼結は窒化ほう素(BN)製トレー、
あるいは黒鉛製トレーの内側をBNコートしたトレー、
の中に脱バインダー処理した成形体をセットし、黒鉛加
熱炉を用いて窒素雰囲気中で1700〜1900℃の温
度に1〜3時間保持することにより焼結される。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0027】実施例1〜7、比較例1〜6 平均粒径0.6μm のAlN粉末、平均粒径1.4μm
のTiN粉末、平均粒径0.7μm のY2 O3 粉末、お
よび平均粒径0.5μm のCr2 O3 粉末を量比を変え
て混合し、原料混合粉末を作製した。この混合粉末にバ
インダーとしてポリビニルブチルアルコールを5重量%
の割合で添加し、分散媒としてエタノールを加えてボー
ルミルにより充分に混練してスラリーを調製した。得ら
れたスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し
て、平均粒径が約50μm の顆粒を作製し、この顆粒を
モールド成形用金型に入れて1トン/cm2 の圧力で加圧
成形して、外径88.2mm、厚さ18.2mmの円板状成
形体を得た。
のTiN粉末、平均粒径0.7μm のY2 O3 粉末、お
よび平均粒径0.5μm のCr2 O3 粉末を量比を変え
て混合し、原料混合粉末を作製した。この混合粉末にバ
インダーとしてポリビニルブチルアルコールを5重量%
の割合で添加し、分散媒としてエタノールを加えてボー
ルミルにより充分に混練してスラリーを調製した。得ら
れたスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し
て、平均粒径が約50μm の顆粒を作製し、この顆粒を
モールド成形用金型に入れて1トン/cm2 の圧力で加圧
成形して、外径88.2mm、厚さ18.2mmの円板状成
形体を得た。
【0028】この成形体を乾燥し、窒素雰囲気中で50
0℃の温度に加熱して脱バインダー処理したのち、BN
製トレーに入れ黒鉛加熱炉を用いて窒素雰囲気中で18
00℃の温度に2時間保持して焼成し、外径75mm、厚
さ16mmの円板状のAlN/TiN複合焼結体を製造し
た。
0℃の温度に加熱して脱バインダー処理したのち、BN
製トレーに入れ黒鉛加熱炉を用いて窒素雰囲気中で18
00℃の温度に2時間保持して焼成し、外径75mm、厚
さ16mmの円板状のAlN/TiN複合焼結体を製造し
た。
【0029】参考例 粒径150〜350μm 、Al含有量0.106%の粗
粒α型SiC粉末Aを43重量%、粒径0.2〜2μm
の微粒β型SiC粉末Bを14.3重量%、粒径0.3
〜3μm のSi3 N4 粉末を14.2重量%、およびフ
ェロシリコン粉末(Fer-rosilicon #2 Powder, Si;70重
量%)28.5重量%とを混合して原料混合粉末を作製
し、この混合粉末100重量部にバインダーとしてポリ
ビニルアルコール3%水溶液10重量部を加えて充分に
混練した。この混練物をモールド成形して外径75mm、
厚さ16mmの円板状の成形体を作製した。この成形体を
乾燥したのち、加熱炉に入れ窒素雰囲気中で1400℃
の温度に6時間保持してフェロシリコン中のSiを完全
に窒化させ、窒化珪素結合炭化珪素焼結体を製造した。
粒α型SiC粉末Aを43重量%、粒径0.2〜2μm
の微粒β型SiC粉末Bを14.3重量%、粒径0.3
〜3μm のSi3 N4 粉末を14.2重量%、およびフ
ェロシリコン粉末(Fer-rosilicon #2 Powder, Si;70重
量%)28.5重量%とを混合して原料混合粉末を作製
し、この混合粉末100重量部にバインダーとしてポリ
ビニルアルコール3%水溶液10重量部を加えて充分に
混練した。この混練物をモールド成形して外径75mm、
厚さ16mmの円板状の成形体を作製した。この成形体を
乾燥したのち、加熱炉に入れ窒素雰囲気中で1400℃
の温度に6時間保持してフェロシリコン中のSiを完全
に窒化させ、窒化珪素結合炭化珪素焼結体を製造した。
【0030】このようにして製造した焼結体について、
相対密度および熱伝導率(レーザーフラッシュ法)を測
定し、また、上下両端面を平面研磨して厚さ15.0m
m、平行度±50μm 以内、最大面粗さ10.0μm 以
下に仕上げたのち、アルミニウムを溶射して電極を形成
して、比抵抗を測定した。次いで、温度を変えて電気抵
抗を測定して抵抗温度係数を求めた。得られた結果を表
1に示した。
相対密度および熱伝導率(レーザーフラッシュ法)を測
定し、また、上下両端面を平面研磨して厚さ15.0m
m、平行度±50μm 以内、最大面粗さ10.0μm 以
下に仕上げたのち、アルミニウムを溶射して電極を形成
して、比抵抗を測定した。次いで、温度を変えて電気抵
抗を測定して抵抗温度係数を求めた。得られた結果を表
1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、実施例のセラミック抵抗体は、
比抵抗値が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度
域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝
導率が40W/mK以上の物性を備え、比抵抗値のバラツ
キが小さく安定な物性を有していることが認められる。
比抵抗値が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度
域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝
導率が40W/mK以上の物性を備え、比抵抗値のバラツ
キが小さく安定な物性を有していることが認められる。
【0033】これに対して、比較例1、2は組成成分に
Cr2 O3 を含有しないものであるために比抵抗値のバ
ラツキが極めて大きく、再現性が悪いので実用上の問題
が生じる。比較例3はAlNの組成比が65 vol%と少
ないために熱伝導率が低く、TiNの組成比が7.5 v
ol%と少ない比較例4では比抵抗が極めて高くなり、抵
抗温度係数も負特性となっている。また、Cr2 O3 の
組成比が2.5 vol%と小さい比較例5は比抵抗値のバ
ラツキが増大し、一方17.5 vol%と組成比が高い比
較例6では熱伝導率が低下し、抵抗温度係数も小さくな
っている。
Cr2 O3 を含有しないものであるために比抵抗値のバ
ラツキが極めて大きく、再現性が悪いので実用上の問題
が生じる。比較例3はAlNの組成比が65 vol%と少
ないために熱伝導率が低く、TiNの組成比が7.5 v
ol%と少ない比較例4では比抵抗が極めて高くなり、抵
抗温度係数も負特性となっている。また、Cr2 O3 の
組成比が2.5 vol%と小さい比較例5は比抵抗値のバ
ラツキが増大し、一方17.5 vol%と組成比が高い比
較例6では熱伝導率が低下し、抵抗温度係数も小さくな
っている。
【0034】次に、実施例3と参考例のセラミック抵抗
体について下記の方法により負荷テストを実施し、その
結果を表2に示した。セラミック抵抗体各3枚を、黄銅
製水冷式端子に挟んで約1000kgf/cm2 の圧力にて加
圧固定し、冷却水量を6l/分と一定にして1kw間隔で段
階的に電力を印加して抵抗体の温度を測定した。測定は
抵抗体の温度が200℃に達する電力負荷を最大負荷電
力として、抵抗体の温度を測定した。
体について下記の方法により負荷テストを実施し、その
結果を表2に示した。セラミック抵抗体各3枚を、黄銅
製水冷式端子に挟んで約1000kgf/cm2 の圧力にて加
圧固定し、冷却水量を6l/分と一定にして1kw間隔で段
階的に電力を印加して抵抗体の温度を測定した。測定は
抵抗体の温度が200℃に達する電力負荷を最大負荷電
力として、抵抗体の温度を測定した。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果から、実施例3のセラミック抵
抗体は熱伝導率が高く、大きな放熱性を示すので、最大
負荷電力は1枚当たり15KWと増大し、参考例のセラ
ミック抵抗体に比べて約4倍となる。また、その時の抵
抗変化率は+9.2%と抵抗温度係数が正特性を示して
いることが判る。
抗体は熱伝導率が高く、大きな放熱性を示すので、最大
負荷電力は1枚当たり15KWと増大し、参考例のセラ
ミック抵抗体に比べて約4倍となる。また、その時の抵
抗変化率は+9.2%と抵抗温度係数が正特性を示して
いることが判る。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のセラミック抵抗
体によればAlN焼結体に形成される粒界相にCr2 O
3 を含有させることにより、TiN粒子の繋がりによる
接触とともに粒界相により導電路が形成され、比抵抗値
を低位に制御し、バラツキを少なくすることが可能とな
る。そして、AlN、焼結助剤、TiN、Cr2 O3 の
各成分を特定の組成比に設定することにより、比抵抗値
が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度域におけ
る抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝導率が4
0W/mK以上の物性を備えた、高電圧大容量電力回路用
として好適に用いられるセラミック抵抗体が提供され
る。また、その製造方法によれば成分組成比を特定した
原料粉末をスラリー化し、該スラリーを噴霧乾燥して得
られた顆粒を成形し、窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することにより製造される。
体によればAlN焼結体に形成される粒界相にCr2 O
3 を含有させることにより、TiN粒子の繋がりによる
接触とともに粒界相により導電路が形成され、比抵抗値
を低位に制御し、バラツキを少なくすることが可能とな
る。そして、AlN、焼結助剤、TiN、Cr2 O3 の
各成分を特定の組成比に設定することにより、比抵抗値
が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度域におけ
る抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝導率が4
0W/mK以上の物性を備えた、高電圧大容量電力回路用
として好適に用いられるセラミック抵抗体が提供され
る。また、その製造方法によれば成分組成比を特定した
原料粉末をスラリー化し、該スラリーを噴霧乾燥して得
られた顆粒を成形し、窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することにより製造される。
Claims (2)
- 【請求項1】 窒化アルミニウム70 vol%以上、焼結
助剤3〜5 vol%、窒化チタン10〜20 vol%、酸化
クロム5〜15 vol%の組成からなり、比抵抗値が10
-2〜102 Ωcmの範囲にあり、室温〜100℃の温度域
における抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝導
率が40W/mK以上の物性を備える窒化アルミニウム/
窒化チタン複合焼結体からなることを特徴とするセラミ
ック抵抗体。 - 【請求項2】 窒化アルミニウム粉末70 vol%以上、
焼結助剤粉末3〜5vol%、窒化チタン粉末10〜20
vol%、酸化クロム粉末5〜15 vol%の量比で混合し
た混合粉末に、分散媒およびバインダーを加え混練して
スラリーを調製し、調製したスラリーを噴霧乾燥して得
られた顆粒を成形し、次いで成形体を窒素雰囲気下で1
700〜1900℃の温度で焼結することを特徴とする
請求項1記載のセラミック抵抗体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29197199A JP2001114563A (ja) | 1999-10-14 | 1999-10-14 | セラミック抵抗体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29197199A JP2001114563A (ja) | 1999-10-14 | 1999-10-14 | セラミック抵抗体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001114563A true JP2001114563A (ja) | 2001-04-24 |
Family
ID=17775844
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29197199A Withdrawn JP2001114563A (ja) | 1999-10-14 | 1999-10-14 | セラミック抵抗体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001114563A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008127276A (ja) * | 2006-11-23 | 2008-06-05 | Komico Ltd | 静電チャック用窒化アルミニウム焼結体、及びその形成方法 |
JP6002038B2 (ja) * | 2010-08-10 | 2016-10-05 | 株式会社東芝 | GaNベース半導体結晶成長用多結晶窒化アルミニウム基材およびそれを用いたGaNベース半導体の製造方法 |
CN115321987A (zh) * | 2017-06-30 | 2022-11-11 | 美科陶瓷科技有限公司 | 氮化铝烧结体及包括其的半导体制造装置用构件 |
-
1999
- 1999-10-14 JP JP29197199A patent/JP2001114563A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008127276A (ja) * | 2006-11-23 | 2008-06-05 | Komico Ltd | 静電チャック用窒化アルミニウム焼結体、及びその形成方法 |
JP6002038B2 (ja) * | 2010-08-10 | 2016-10-05 | 株式会社東芝 | GaNベース半導体結晶成長用多結晶窒化アルミニウム基材およびそれを用いたGaNベース半導体の製造方法 |
CN115321987A (zh) * | 2017-06-30 | 2022-11-11 | 美科陶瓷科技有限公司 | 氮化铝烧结体及包括其的半导体制造装置用构件 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070109 |