JP2001114563A - セラミック抵抗体及びその製造方法 - Google Patents

セラミック抵抗体及びその製造方法

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JP2001114563A JP29197199A JP29197199A JP2001114563A JP 2001114563 A JP2001114563 A JP 2001114563A JP 29197199 A JP29197199 A JP 29197199A JP 29197199 A JP29197199 A JP 29197199A JP 2001114563 A JP2001114563 A JP 2001114563A
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aln
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resistor
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Shigeru Kudo
工藤  茂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷変動を嫌う高電圧大容量電力回路用とし
て好適に使用される窒化アルミニウム/窒化チタン複合
焼結体からなるセラミック抵抗体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 AlN 70 vol%以上、焼結助剤 3〜5 vol
%、TiN 10〜20 vol%、Cr2O3 5 〜15 vol%の組成から
なり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、室温〜
100 ℃の温度域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以
上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備える AlN/ TiN複
合焼結からなるセラミック抵抗体。製造方法はAlN 70 v
ol%以上、焼結助剤 3〜5 vol %、TiN 10〜20 vol%、
Cr2O3 5〜15 vol%の量比で混合した原料粉末に、分散
媒及びバインダーを加え混練してスラリーを調製し、調
製したスラリーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、
次いで成形体を窒素雰囲気下1700〜1900℃の温度で焼結
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
/窒化チタン複合焼結体からなり、電力制御用のインバ
ーター保護用や核融合炉の超伝導コイル保護用などの抵
抗器として高電圧で電力負荷容量の大きな回路に使用さ
れる、特に水冷式の高熱伝導性のセラミック抵抗体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インバーター保護回路などの装置
は容量の増大により大電力化が進むとともに装置のコン
パクト化が図られ、それに組み込まれる抵抗器について
も大電力による高負荷を吸収し得る高容量化が必要とな
っている。これらの高電圧大容量用の抵抗器に用いられ
る抵抗体としては、一般的に金属材料からなる抵抗体が
使用されてきたが、金属抵抗体は誘導電流が生じ易い、
残留インダクタンスが大きい、電流容量が小さい、体積
抵抗率が低い、などの欠点があり、高電圧大容量用の抵
抗体として用いるには難点がある。
【0003】上記欠点を克服する抵抗材料としては、カ
ーボン−アルミナ系、酸化亜鉛系、Si(またはFeS
i)−アルミノ珪酸系、窒化珪素結合炭化珪素系、など
のセラミック抵抗体が使用されている。しかしながら、
カーボン−アルミナ系や酸化亜鉛系セラミック抵抗体
は、長時間、大電流を負荷していると抵抗値が上昇する
特徴があり、高電圧大容量用の抵抗器に用いるには適し
ておらず、主に遮断機などの開閉サージ吸収用として使
用されている。
【0004】一方、Si(またはFeSi)−アルミノ
珪酸系抵抗体は無誘導性で電流容量が大きく、耐熱温度
も高いのでジュール熱による抵抗値上昇を招くこともな
く大容量抵抗体として好適なものである。しかしなが
ら、その熱伝導率は5W/mK程度と低いために放熱性が
悪く、通電負荷中に熱膨張差による割れが発生する場合
があり、負荷率を制限して使用せざるを得ない難点があ
る。この難点を解消するために本出願人は、アルミノ珪
酸塩を主とする構造材料中に導電材としてのSiまたは
FeSiを5〜60重量%含有させた抵抗体において、
SiC粉末を5〜50重量%含有させたことを特徴とす
るセラミック抵抗体(特開平5−234704号公報)を提案
した。このセラミック抵抗体によれば熱伝導率が向上す
るために1枚当たりの負荷率を2倍程度向上させること
が可能となるが、負荷率の増大や装置のコンパクト化が
更に進む中で、このセラミック抵抗体でも対応が困難と
なってきている。
【0005】また、窒化珪素結合炭化珪素系抵抗体は、
熱伝導率が10〜20W/mK程度と放熱性が比較的に高
いので抵抗体1枚当たりの負荷率を上げることができ
る。しかしながら、抵抗温度係数は炭化珪素の影響によ
り−0.2%/℃程度と負特性を示すために通電負荷時
の負荷変動が大きく、所望の抵抗値に安定して制御する
ことが難しく、更に熱暴走する危険があり、作業上およ
び安全面で使用が制約される難点がある。
【0006】このように、インバーター装置など電力設
備のコンパクト化や高電力化が進む中で、それに対応し
た熱伝導率が高く放熱性に富み、抵抗温度係数が正特性
の抵抗体のニーズが高まりつつある。こうしたニーズに
対応するセラミック抵抗材料として、高熱伝導性を示す
窒化アルミニウム(AlN)を主成分とし、窒化チタン
(TiN)などの耐熱性導電性材料を分散させた複合セ
ラミックス焼結体からなるセラミック抵抗体が開発され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窒化ア
ルミニウム複合焼結体は、窒化チタンなどの導電性材料
を単に分散させただけでは抵抗値を再現性よく制御、調
整することが難しい。特に、高電圧で大電力が負荷され
る回路に使用する用途分野で用いるセラミック抵抗体に
は、比抵抗値が10-2〜102 Ωcm程度であることが必
要であり、この範囲での抵抗値の調整は一層難しいもの
となっている。
【0008】その理由は、窒化アルミニウム(AlN)
/窒化チタン(TiN)複合焼結体の導電機構から次の
ように考えられる。絶縁性粒子AlNと導電性粒子Ti
Nとの混合系において、電流は導電性粒子であるTiN
が繋がったところを選択的に流れることになる。この場
合、TiN粒子が格子を形成しているとすると、TiN
粒子に隣り合う格子点がやはりTiN粒子で占められて
いれば、その間には導電路が形成され、それが端から端
まで繋がっていれば全体に亘って導電路が形成されるこ
とになる。
【0009】しかしながら、TiN粒子で占められてい
る格子点の体積比率がある臨界値を超えない限り、全体
を貫く導電路が形成されることはない。したがって、A
lN/TiN焼結体の抵抗値はTiN粒子の体積比率に
よって変化することとなり、導電路が形成される体積比
率を境に急激に変化することになる。実際にAlNの比
抵抗値は1014Ωcm以上であり、TiNの比抵抗値は2
×10-5Ωcm程度であるから、体積比率が臨界値付近で
は体積比率の僅かな変化によって比抵抗値は急激に変化
することとなる。
【0010】こうした問題を解決するために、抵抗値の
バラツキが少なく、抵抗温度係数の小さな半絶縁性を有
する窒化アルミニウム焼結体として、例えば特開平10
−279358号公報には第1相として窒化アルミニウ
ム粒子を主体とし、これら窒化アルミニウム粒子間に体
積固有抵抗値が102 Ωcm以下の導電性粒子である第2
相を分散させ、第3相として上記第1相と第2相の中間
的な体積固有抵抗値を有するSi及び/又はTi、C
e、Ni、Taの1種以上を含む酸化物からなる粒界相
を形成したことを特徴とする半絶縁性窒化アルミニウム
焼結体が提案されている。
【0011】しかしながら、この発明は搬送アームや真
空チャックなどに用いられる104〜1011Ωcm程度の
抵抗値を有する半絶縁性の窒化アルミニウム焼結体を対
象とするものであるから、高電圧で大電力が負荷される
回路に使用される本発明のセラミック抵抗体に要求され
る10-2〜102 Ωcm程度の比抵抗値とは著しく異なる
ものである。
【0012】このように、AlNを主成分としたセラミ
ック抵抗体においては、比抵抗値を10-2〜102 Ωcm
程度に安定して調整することは極めて困難であり、電力
容量の大きな回路用の抵抗体として使用することができ
ない問題点がある。そこで、本発明はこのような問題点
を解消し、AlN−TiN系焼結体を対象として、負荷
変動を嫌う高電圧大容量電力回路用に好適に使用される
セラミック抵抗体及びその製造方法を提供することを目
的として開発されたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるセラミック抵抗体は、窒化アルミニウ
ム70 vol%以上、焼結助剤3〜5 vol%、窒化チタン
10〜20 vol%、酸化クロム5〜15 vol%の組成か
らなり、比抵抗値が10-2〜102 Ωcmの範囲にあり、
室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が+0.
01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物性を備
える窒化アルミニウム/窒化チタン複合焼結体からなる
ことを構成上の特徴とする。
【0014】また、その製造方法は窒化アルミニウム粉
末70 vol%以上、焼結助剤粉末3〜5 vol%、窒化チ
タン粉末10〜20 vol%、酸化クロム粉末5〜15 v
ol%の量比で混合した混合粉末に、分散媒およびバイン
ダーを加え混練してスラリーを調製し、調製したスラリ
ーを噴霧乾燥して得られた顆粒を成形し、次いで成形体
を窒素雰囲気下で1700〜1900℃の温度で焼結す
ることを構成上の特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック抵抗体は、比
抵抗値が1014Ωcm以上である窒化アルミニウム(以
下、AlNとも記す)をマトリックスとして、導電性粒
子である比抵抗値2×10-5Ωcm程度の窒化チタン(以
下、TiNとも記す)を分散させた複合焼結体で、窒化
アルミニウム/窒化チタン複合焼結体の比抵抗値を10
-2〜102Ωcmの範囲に調整したものである。
【0016】AlNとTiNは比抵抗値の差が大きいた
めに、単に両者を混合してTiNをAlN中に分散させ
ただけでは、比抵抗値をその中間である10-2〜102
Ωcmの範囲に調整することは困難である。
【0017】通常、AlN焼結体はY2 3 やCaOな
どの焼結助剤を添加し、焼結することにより得られる
が、これらの焼結助剤成分はAlN粒子の表面が酸化さ
れて生成したAl2 3 と反応して1500〜1700
℃の温度で液相を生成し、この液相がAlN粒子の再配
列と溶解析出を促進する、いわゆる液相焼結機構によっ
て緻密化が達成される。焼結の促進に機能した液相は冷
却時には固化、結晶化して粒界相が形成される。粒界相
の組成に関しては、Y2 3 助剤についてはY4Al2
9 、YAlO3 、Y3 Al5 12などの化合物が、C
aO助剤についてはCa3 Al2 6 、Ca12Al19
33、CaAl2 4 などの化合物が、粒界相に析出する
ことが知られており、この粒界相は比抵抗が比較的に高
く、結果的にAlN焼結体全体の抵抗値を高くしてい
る。
【0018】本発明は、このAlN焼結体の粒界相に酸
化クロム(以下、Cr2 3 とも記す)を含有させるこ
とにより、TiN粒子の繋がりによる接触だけで導電路
を形成させるのではなく、粒界相とともに導電路を形成
することにより、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲
に調整することを可能とするものである。
【0019】本発明のセラミック抵抗体を構成するAl
N/TiN複合焼結体の組成は、AlNが70 vol%以
上であることが必要である。AlNの組成比が70 vol
%未満であると熱伝導率が低下して40W/mKを下回
り、本発明のセラミック抵抗体に必要な充分な放熱性を
確保することができなくなる。なお、AlNは焼結性を
考慮して粒径範囲が0.1〜10μm 、平均粒径が2.
0μm 以下の粉末を用いることが好ましい。
【0020】焼結助剤にはY2 3 やCaOの粉末、あ
るいはこれらの混合物が用いられ、特にCr2 3 との
共相酸化物が生成し難いY2 3 が好適に用いられる。
焼結助剤は、AlN/TiN複合焼結体中に3〜5 vol
%の組成範囲になるように添加する。なお、焼結助剤の
分散性を良くするために、粒径範囲0.1〜10μmの
粉末を使用することが望ましい。
【0021】本発明のセラミック抵抗体に導電性を付与
する導電性粒子としては、AlNと反応せず、またAl
Nの焼結を阻害しないTiNが用いられる。TiNの添
加量は、比抵抗値を10-2〜102 Ωcmの範囲に制御す
るためにAlN/TiN複合焼結体中に10〜20 vol
%の組成比となるように設定する。なお、TiNは粒径
範囲が0.1〜10μm の粉末が好ましく用いられる。
【0022】Cr2 3 は粒界相を導電路として機能さ
せるために添加するものであり、その添加量はAlN/
TiN複合焼結体中の組成比が5〜15 vol%の範囲に
なるように設定される。Cr2 3 の組成比が5 vol%
未満では導電路の形成が充分でないために比抵抗値を1
-2〜102 Ωcmの範囲に制御することができず、また
比抵抗値のバラツキが大きくなり、歩留りよくセラミッ
ク抵抗体を製造することができなくなる。一方、Cr2
3 の組成比が15 vol%を超えると熱伝導率が40W
/mKを下回り、充分な放熱性が得られなくなる。
【0023】このように本発明のセラミック抵抗体は、
AlN焼結体に形成される粒界相にCr2 3 を含有さ
せることにより、TiN粒子の繋がりによる接触ととも
に粒界相により導電路が形成されることとなり、比抵抗
値を低位に制御することが可能となる。そして、Al
N、焼結助剤、TiN、Cr2 3 の各成分を特定の組
成比に設定することにより、比抵抗値が10-2〜102
Ωcm、室温〜100℃の温度域における抵抗温度係数が
+0.01%/℃以上、熱伝導率が40W/mK以上の物
性を備えた、高電圧大容量電力回路用として好適に用い
られるセラミック抵抗体が提供される。
【0024】このセラミック抵抗体は次の方法により製
造される。まず、原料としてAlN粉末を70 vol%以
上、焼結助剤粉末を3〜5 vol%、TiN粉末を10〜
20vol%、Cr2 3 粉末を5〜15 vol%、の量比
で混合して原料の混合粉末を作製する。この混合粉末に
エタノールや水などの分散媒およびポリビニルアルコー
ルやアクリル樹脂などのバインダーを加え、混練してス
ラリーを調製する。なお、スラリーを調製する際にはマ
レイン酸エステル型ポリマーなどの分散剤を添加するこ
ともできる。また、混練は例えばボールミルなどにより
強力に混合して均一なスラリーを調製することが望まし
い。
【0025】調製したスラリーは、噴霧乾燥により顆粒
化される。噴霧乾燥は、例えばクローズドタイプのスプ
レードライヤーを用いて窒素あるいは減圧雰囲気中でス
ラリーを噴霧して乾燥し、顆粒化する。なお、顆粒の平
均粒径は約50μm 程度であることが好ましい。得られ
た顆粒を成形型に入れて加圧成形し、所望形状の成形体
を作製する。成形体は充分に乾燥したのち、窒素雰囲気
中で加熱し、約500℃の温度で脱バインダー処理す
る。次いで、成形体を窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することによりセラミック抵抗体が製
造される。なお、焼結は窒化ほう素(BN)製トレー、
あるいは黒鉛製トレーの内側をBNコートしたトレー、
の中に脱バインダー処理した成形体をセットし、黒鉛加
熱炉を用いて窒素雰囲気中で1700〜1900℃の温
度に1〜3時間保持することにより焼結される。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0027】実施例1〜7、比較例1〜6 平均粒径0.6μm のAlN粉末、平均粒径1.4μm
のTiN粉末、平均粒径0.7μm のY2 3 粉末、お
よび平均粒径0.5μm のCr2 3 粉末を量比を変え
て混合し、原料混合粉末を作製した。この混合粉末にバ
インダーとしてポリビニルブチルアルコールを5重量%
の割合で添加し、分散媒としてエタノールを加えてボー
ルミルにより充分に混練してスラリーを調製した。得ら
れたスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し
て、平均粒径が約50μm の顆粒を作製し、この顆粒を
モールド成形用金型に入れて1トン/cm2 の圧力で加圧
成形して、外径88.2mm、厚さ18.2mmの円板状成
形体を得た。
【0028】この成形体を乾燥し、窒素雰囲気中で50
0℃の温度に加熱して脱バインダー処理したのち、BN
製トレーに入れ黒鉛加熱炉を用いて窒素雰囲気中で18
00℃の温度に2時間保持して焼成し、外径75mm、厚
さ16mmの円板状のAlN/TiN複合焼結体を製造し
た。
【0029】参考例 粒径150〜350μm 、Al含有量0.106%の粗
粒α型SiC粉末Aを43重量%、粒径0.2〜2μm
の微粒β型SiC粉末Bを14.3重量%、粒径0.3
〜3μm のSi3 4 粉末を14.2重量%、およびフ
ェロシリコン粉末(Fer-rosilicon #2 Powder, Si;70重
量%)28.5重量%とを混合して原料混合粉末を作製
し、この混合粉末100重量部にバインダーとしてポリ
ビニルアルコール3%水溶液10重量部を加えて充分に
混練した。この混練物をモールド成形して外径75mm、
厚さ16mmの円板状の成形体を作製した。この成形体を
乾燥したのち、加熱炉に入れ窒素雰囲気中で1400℃
の温度に6時間保持してフェロシリコン中のSiを完全
に窒化させ、窒化珪素結合炭化珪素焼結体を製造した。
【0030】このようにして製造した焼結体について、
相対密度および熱伝導率(レーザーフラッシュ法)を測
定し、また、上下両端面を平面研磨して厚さ15.0m
m、平行度±50μm 以内、最大面粗さ10.0μm 以
下に仕上げたのち、アルミニウムを溶射して電極を形成
して、比抵抗を測定した。次いで、温度を変えて電気抵
抗を測定して抵抗温度係数を求めた。得られた結果を表
1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、実施例のセラミック抵抗体は、
比抵抗値が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度
域における抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝
導率が40W/mK以上の物性を備え、比抵抗値のバラツ
キが小さく安定な物性を有していることが認められる。
【0033】これに対して、比較例1、2は組成成分に
Cr2 3 を含有しないものであるために比抵抗値のバ
ラツキが極めて大きく、再現性が悪いので実用上の問題
が生じる。比較例3はAlNの組成比が65 vol%と少
ないために熱伝導率が低く、TiNの組成比が7.5 v
ol%と少ない比較例4では比抵抗が極めて高くなり、抵
抗温度係数も負特性となっている。また、Cr2 3
組成比が2.5 vol%と小さい比較例5は比抵抗値のバ
ラツキが増大し、一方17.5 vol%と組成比が高い比
較例6では熱伝導率が低下し、抵抗温度係数も小さくな
っている。
【0034】次に、実施例3と参考例のセラミック抵抗
体について下記の方法により負荷テストを実施し、その
結果を表2に示した。セラミック抵抗体各3枚を、黄銅
製水冷式端子に挟んで約1000kgf/cm2 の圧力にて加
圧固定し、冷却水量を6l/分と一定にして1kw間隔で段
階的に電力を印加して抵抗体の温度を測定した。測定は
抵抗体の温度が200℃に達する電力負荷を最大負荷電
力として、抵抗体の温度を測定した。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果から、実施例3のセラミック抵
抗体は熱伝導率が高く、大きな放熱性を示すので、最大
負荷電力は1枚当たり15KWと増大し、参考例のセラ
ミック抵抗体に比べて約4倍となる。また、その時の抵
抗変化率は+9.2%と抵抗温度係数が正特性を示して
いることが判る。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のセラミック抵抗
体によればAlN焼結体に形成される粒界相にCr2
3 を含有させることにより、TiN粒子の繋がりによる
接触とともに粒界相により導電路が形成され、比抵抗値
を低位に制御し、バラツキを少なくすることが可能とな
る。そして、AlN、焼結助剤、TiN、Cr2 3
各成分を特定の組成比に設定することにより、比抵抗値
が10-2〜102 Ωcm、室温〜100℃の温度域におけ
る抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝導率が4
0W/mK以上の物性を備えた、高電圧大容量電力回路用
として好適に用いられるセラミック抵抗体が提供され
る。また、その製造方法によれば成分組成比を特定した
原料粉末をスラリー化し、該スラリーを噴霧乾燥して得
られた顆粒を成形し、窒素雰囲気下で1700〜190
0℃の温度で焼結することにより製造される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム70 vol%以上、焼結
    助剤3〜5 vol%、窒化チタン10〜20 vol%、酸化
    クロム5〜15 vol%の組成からなり、比抵抗値が10
    -2〜102 Ωcmの範囲にあり、室温〜100℃の温度域
    における抵抗温度係数が+0.01%/℃以上、熱伝導
    率が40W/mK以上の物性を備える窒化アルミニウム/
    窒化チタン複合焼結体からなることを特徴とするセラミ
    ック抵抗体。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム粉末70 vol%以上、
    焼結助剤粉末3〜5vol%、窒化チタン粉末10〜20
    vol%、酸化クロム粉末5〜15 vol%の量比で混合し
    た混合粉末に、分散媒およびバインダーを加え混練して
    スラリーを調製し、調製したスラリーを噴霧乾燥して得
    られた顆粒を成形し、次いで成形体を窒素雰囲気下で1
    700〜1900℃の温度で焼結することを特徴とする
    請求項1記載のセラミック抵抗体の製造方法。
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