JP2001110737A - 光照射式急速加熱処理装置の制御装置 - Google Patents

光照射式急速加熱処理装置の制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 力率を改善するとともに高調波歪みの影響を
除去することができ、制御遅れなく被加熱物を急速昇温
させることができる光照射式急速加熱処理装置の制御装
置を提供すること。 【解決手段】 ランプ1は、光照射式急速加熱処理装置
のランプ室内に配置され、処理室4内には加熱処理され
るワークが配置されている。ランプ1を配置した領域
は、該領域の中心からの距離に応じた複数のゾーンに分
割され、各ゾーンに少なくとも1以上のランプが設置さ
れ、電力制御ユニット12は各ゾーンに対応して設けら
れている。制御部11は、予め記憶された制御パターン
に基づきPWM信号を生成し各電力制御ユニット12に
送出する。電力制御ユニット12はスイッチング素子を
備え、上記PWM信号によりスイッチング素子をオン/
オフし各ゾーンに属するランプ1に供給するパワーをそ
れぞれ制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成膜、拡散、アニ
ール等の処理を行うため、半導体ウエハ等の被処理物に
赤外線を含む光を照射して被処理物を急速加熱する光照
射式急速加熱処理装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の高集積化・微細
化がますます要求され、例えばイオン注入により半導体
ウエハのSi結晶に不純物を打ち込んで拡散させる工程
において、不純物の拡散層を薄くし、浅い接合面を形成
する必要性が大きくなってきている。イオン注入法によ
る不純物拡散では、イオン化した不純物を電界で加速し
てSi結晶に打ち込む注入工程と、注入により結晶が受
けたダメージを回復しつつ結晶内に拡散させるアニール
工程が行われるが、浅い拡散層を形成するためには、急
速熱処理(RTP)が必要であり、半導体ウエハの表面
温度を均一に保ちながら高速で昇温させる必要がある。
拡散層の膜厚の要求が例えば0.13〜0.15μmで
あれば、150〜200°C/秒の昇温速度が必要とな
る。
【0003】フィラメントランプから放射される赤外線
を含む光を照射して半導体ウエハ等の被加熱物を加熱す
る光照射式急速加熱処理装置は上記急速加熱処理(RT
P)に好適であり、被加熱物を例えば数秒で1000°
C以上の温度まで昇温させることが可能である。図17
は上記した光照射式急速加熱処理装置(以下加熱処理装
置と略記する)の断面構成を示す図である。ランプ室2
に複数本のフィラメントランプ1(以下ランプと略記す
る)が配置され、ランプ1の背面にはミラー3が設けら
れている。処理室4内にはワーク保持台5が設けられ、
加熱処理される半導体ウエハ等の被加熱物(以下ワーク
Wという)がワーク保持台5の上に載置される。また、
ランプ室2と処理室4の間は例えば石英窓6等により区
画される。
【0004】図18に上記ランプ1の構成の一例を示
す。ランプ1は同図に示すように円環状の発光管1aと
発光管1aの端部に直角に形成された一対の導入管1b
からなり、発光管1a内にコイル状のフィラメント1c
が配置されている。導入管1bの端部にはシール部1d
が形成され、フィラメント1cの端部にリード線1eが
モリブデン箔1fを介して接続されている。図17にお
いては、上記図18に示す円環状のランプ1を例えば同
心円状に配置しており、上記複数本のランプ1を点灯さ
せることにより、ランプ1から放射される赤外線を含む
光が石英窓6を介して処理室内に配置されたワークWに
照射される。これにより、ワークWは急速加熱され、ま
たランプ1を消灯させることによりワークWは急速に冷
却する。図示しない制御装置は、ワークW全体が均一に
加熱されるように各ランプ1に供給される電力量を制御
し、例えばワークWを数秒で1000°C以上の温度ま
で昇温させる。
【0005】図19〜図20は上記したランプの点灯の
制御を行う制御装置の従来の構成例を示す図である。図
19は全体構成を示し、図20は各ランプを制御するラ
ンプ点灯制御装置のさらに詳細な構成を示している。図
19〜図20において、100はCPU等から構成され
る制御部、101は温度調節器(以下温調器という)、
102はサイリスタユニット、1はランプ、103は温
度検出器であり、同図に示すように温調器101、サイ
リスタユニット102、温度検出器103がランプ1に
対応して(もしくは複数本のランプに対応して)それぞ
れ設けられ、温度検出器103は、各ランプ1から放射
される光により加熱されるワークWの温度を検出する。
温度検出器103により検出された温度は温調器101
にフィードバックされ、温調器101は制御部100か
ら送られてくる温度設定値(アナログ信号もしくはデジ
タル信号)と、温度検出器103により検出された温度
の偏差に応じた制御信号(アナログ信号)をサイリスタ
ユニット102に送出する。
【0006】ランプ1に供給される電圧、電流はそれぞ
れサイリスタユニット102にフィードバックされ、サ
イリスタユニット102は、上記制御信号に基づき、ラ
ンプ1に供給される電力量を制御する。サイリスタユニ
ット102は、例えば図21に示すような構成を備え、
サイリスタSCR1,SCR2のゲート電流を流すタイ
ミングを変化させることにより、ランプ1に入力する電
力を制御する。
【0007】サイリスタによる電力制御には以下の2つ
の方式、導通角制御とゼロクロス制御があげられる。 (a) 導通角制御 図21において、サイリスタユニット102に交流商用
電源21から交流を入力する。サイリスタユニット10
2には第1のサイリスタSCR1と、第2のサイリスタ
SCR2とからなるランプ点灯制御回路200を設け
る。ランプ点灯制御回路200のサイリスタSCR1,
SCR2のゲートG1,G2にゲート電流を流すと、サ
イリスタSCR1,SCR2が導通し、サイリスタSC
R1,SCR2に供給される電流が0になるまで、サイ
リスタユニット102からランプ1に電流が出力され
る。
【0008】図22(a)はサイリスタユニット102
の入力電圧波形である。図22(b)はサイリスタSC
R1,SCR2のゲートG1,G2にゲート電流を流す
タイミングの例を示す図であり、は第1のサイリスタ
SCR1のゲート電流を、は第2のサイリスタSCR
2のゲート電流を示す。図22(c)は同図(a)のタ
イミングでゲート電流を流したときの出力電流の波形を
示す。サイリスタユニット102からの出力電力は、図
22(c)の斜線部で示される出力電圧波形と出力電流
波形とを掛け合わせたものとなり、サイリスタSCR
1,SCR2に与えるゲート電流のタイミングを変化さ
せることにより、出力電流波形及び出力電圧波形を変え
ることができ、サイリスタユニットの出力電力すなわち
ランプ入力電力を変えることができる。
【0009】(b) ゼロクロス制御 制御回路構成は、図21と同じであり、サイリスタSC
R1,SCR2のゲート電流を流すタイミングを図23
(b)のようにする。ここで、は第1のサイリスタS
CR1のゲート電流を、は第2のサイリスタSCR2
のゲート電流を示す。図23(b)のタイミングでゲー
ト電流を流したときの出力電流及び出力電圧は同図
(c)のようになる。すなわち、同図(c)に示すよう
に、波形が間引かれた電流・電圧を出力することによ
り、ランプ入力電力を変化させることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の制御方式には次のような問題点がある。 (1)制御遅れの問題 光照射式急速加熱処理装置により急速熱処理(RTP)
を行うには、前記したように半導体ウエハを、その表面
温度を均一に保ちながら例えば数秒で1000°C以上
の温度まで昇温させることが要求される。特に、半導体
ウエハの周辺部分と中心部部分では放熱特性が異なるの
で、半導体ウエハの温度が均一になるように、周辺部分
の加熱量を中心部分の加熱量よりやや大きく保ちながら
急速に昇温させる必要がある。このため、ランプ電力を
制御する制御装置は、各ランプ電力の配分を適切に保ち
ながらランプに供給する電力を高速に制御することが必
要となる。
【0011】図19〜図20に示した制御方式を用いた
場合、上記のような制御を行うには次のような問題があ
った。 温度検出器103により検出した温度を温調器10
1にフィードバックして温度制御を行っているため、温
度検出器103による検出遅れなどにより制御遅れが生
じ高速な制御が困難である。 サイリスタユニット102の応答が遅いため、ラン
プ電力を高速に制御することができない。また、前記し
た導通角制御を行う場合には、サイリスタ導通時に、立
ち上がりノイズと呼ばれるノイズが発生し、装置の制御
系が誤動作する原因となる場合がある。また、ランプフ
ィラメントに突入電流が流れるので、フィラメントは過
負荷な状態になり、フィラメント切れが発生しやすくな
る。 制御部100から温調器101にデジタルもしくは
アナログの制御信号を送出しているが、デジタル信号を
送出する場合には温調器101でアナログ信号に変換す
る必要があり変換遅れが発生する。また、アナログ信号
を送出する場合には、制御部100でデジタル信号をア
ナログ信号に変換する必要があり同様に変換遅れが生ず
る。
【0012】(2)高調波歪みの発生 図22に示した導通角制御を行なう場合を例に取ると、
前記したように、出力側の電力制御を行なう場合、出力
電圧と出力電流は、それぞれ図24(a)(b)のよう
になる。一方、サイリスタユニット102の入力電圧の
波形は、図24(c)のように商用交流電源21の電圧
波形である。また、入力電流の波形は、図24(d)の
ように出力電流の波形と同じになる。入力電流がこのよ
うに波形になると次の問題が生じる。図24(d)の丸
印の波形部分が非線型な部分であり、これにより入力電
流に高調波歪みが発生する。このような高調波歪みは規
制の対象になりつつある。同様の問題は前記図23に示
したゼロクロス制御においても生じる。図24(e)の
丸印の部分は波形が非線型であり、高調波歪みが発生す
る。
【0013】(3)無効電力の発生 図22において、入力電圧をV、入力電流をIとし、W
を実効電力、V×Iを皮相電力とすると、入力電圧の波
形と入力電流の波形とが、ともに正弦波で位相差がなけ
れば、次の関係が成り立つ。 V×I=W ここで、Wは出力電力(ランプ入力電力)と考えること
ができる。しかしながら、図24(d)のように、歪ん
だ波形の場合、無効電力(=V×I−W)が必ず発生す
る。したがって、図24(d)のような歪んだ波形にお
いて、ある実効電力Wを出力しようとすると、波形が正
弦波のものに比べると、より大きな皮相電力V×Iが必
要になる。同様に、ゼロクロス制御の場合には、図24
(e)矢印部分が1周期と考えられるので無効電力が生
じる。
【0014】上記、無効電力に関して言うと、出力電力
を制御したとたん無効電力が発生することになる。この
ことは、実用の装置を製作する場合において大きな問題
になる。即ち、以下の理由により、サイリスタユニット
102の出力電力は常に制御されることになるから必ず
無効電力が発生することになり力率が低下する。 実用上、光照射式急速加熱処理装置のような装置に
おいては、例えばランプ点灯装置に商用の200Vを入
力する場合、10%の電圧変動を考慮し、使用するラン
プは入力電圧よりも約10%小さい定格の例えば180
V定格のものを用い、装置に余裕を持たせるのが常識で
ある。したがって、ランプを定格で点灯する場合におい
ても、ランプ点灯装置の出力は制御されることになる。 さらに、光照射式加熱処理装置では、複数本のラン
プに供給する電力を制御するが、使用するランプによっ
て、定格が異なる(フィラメントの長さが異なる)場合
がある。この場合も、常に出力電力を制御することにな
る。
【0015】特に、光照射式急速加熱処理装置を前記し
た急速加熱処理(RTP)に適用する場合には、ワーク
の温度を数秒で約1000°Cまで急速昇温させる必要
があり、ランプ1に供給する電力量は全体で数十kW〜
200kWという極めて大きな値となり、入力電流も非
常に大きな値となる。このため無効電力の発生を極力小
さくして効率を向上させ、入力電流を減少させて省エネ
ルギー化を図る必要がある。本発明は上記した事情に鑑
みなされたものであって、本発明の目的は、表面温度を
均一に保ちながら制御遅れなく被加熱物を急速昇温させ
ることができ、また、力率を低下させることなく、さら
に高調波歪みが発生することない光照射式急速加熱処理
装置の制御装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明においては上記課
題を次のようにして解決する。 (1)複数のフィラメントランプを有し、該フィラメン
トランプから放射される赤外線を含む光を被処理物に照
射することにより、被処理物を急速加熱する光照射式急
速加熱処理装置の制御装置において、上記複数のフィラ
メントランプを配置した領域を、該領域の中心からの距
離に応じた複数のゾーンに分割し、各ゾーンに少なくと
も1以上のフィラメントランプを設置する。そして、上
記制御装置を、上記ゾーンに対応してそれぞれ設けられ
交流電源から供給される交流正弦波もしくはその全波整
流波をスイッチングするスイッチング素子を具備した複
数のランプ電力制御ユニットと、制御部とから構成す
る。該制御部は、上記複数のランプ電力制御ユニットの
それぞれのスイッチング素子のオン/オフ信号のデュー
ティを変化させ、上記各ゾーンに属するフィラメントラ
ンプに供給される電力をそれぞれ制御する。 (2)上記(1)において、被処理物の放熱特性と各ゾ
ーンに属するフィラメントランプの相互干渉を考慮し
て、各ゾーンのスイッチング素子のオン/オフ信号のデ
ューティ比の時間的変化パターンを求めて、該時間的変
化パターンを上記制御部に予め記憶させておき、制御部
は該時間的変化パターンを読み出して、各ゾーンに属す
るフィラメントランプに供給される電力をそれぞれ制御
する。 (3)上記(1)(2)において、交流電源の位相を検
出する位相検出手段を設け、上記制御部が、上記位相検
出手段により検出された交流電源のゼロクロス点で、各
ゾーンのスイッチング素子のオン/オフ信号のデューテ
ィ比を変更する。 (4)上記(1)(2)において、前記交流電源の位相
を検出する位相検出手段を設け、上記ランプ電力制御ユ
ニットが、上記位相検出手段により検出された交流電源
の位相信号に同期して、交流電源から供給される交流正
弦波をスイッチングする。
【0017】本発明の請求項1の発明においては、上記
(1)のように構成したので、制御遅れなく被処理物の
温度を制御することができる。また、電力制御ユニット
のそれぞれのスイッチング素子のオン/オフ信号のデュ
ーティを変化させ、各ゾーンに属するフィラメントラン
プに供給される電力をそれぞれ制御しているので、高調
波を減少させ力率の改善を図ることができ、効率を向上
させることができる。本発明の請求項2の発明において
は、上記(2)のように構成したので、高速な制御が可
能になるとともに、被処理物の温度を均一に制御するこ
とが可能となる。本発明の請求項3,4の発明において
は、上記(3)(4)のように構成したので、高調波を
一層低減化し、力率を改善することができ、効率を向上
させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例の光照射式
急速加熱処理装置用制御装置の概略構成を示す図であ
る。同図において、11はCPU等から構成される制御
部、12はランプ1に供給する電力を制御するランプ電
力制御ユニット(以下電力制御ユニットと略記する)で
あり、制御部11から出力されるPWM信号が各電力制
御ユニット12に与えられる。電力制御ユニット12に
はスイッチング素子が設けられており、上記制御部11
が出力するPWM信号によりスイッチング素子のオン時
間とオフ時間の比率(以下デューティという)を変化さ
せ、ランプ1に供給する電力を制御する。
【0019】ランプ1は、前記図17に示したようにラ
ンプ室2内に配置され、処理室4内にはワーク保持台5
が設けられ、加熱処理されるワークWがワーク保持台5
の上に載置される。また、ランプ1を配置した領域は、
該領域の中心からの距離に応じた複数のゾーンに分割さ
れ、各ゾーンに少なくとも1以上のランプが設置されて
いる。電力制御ユニット12は各ゾーンに対応して設け
られており、各電力制御ユニット12により各ゾーンに
属するランプ1に供給するパワーをそれぞれ制御する。
【0020】図2,図4,図5はランプの配置例を示す
図である。図2は、図3に示すように半円状のランプ
1,1’を2本合わせて円環状に形成し、これらを同心
円に配置した場合を示している。ランプ1,1’は図3
に示すように、発光管1aと発光管1aの端部に直角に
形成された一対の導入管1bからなる半円状のランプ
1,1’を2本合わせて、円環状としたものであり、発
光管1a内にコイル状のフィラメント1cが配置され、
導入管1bの端部にはシール部1dが形成され、フィラ
メント1cの端部にリード線1eがモリブデン箔1fを
介して接続されている。これらのランプを配置した領域
は、図2に示すように同心円状のゾーン1〜4に分けら
れており、前記電力制御ユニット12は、上記ゾーン毎
に設けられ、各ゾーンに属する1ないし複数本のランプ
に供給される電力を制御する。なお、図2、図3では半
円状のランプ1,1’を2本合わせて円環状に形成した
場合について示しているが、前記図18に示した円環状
のランプを同心円状に配置したものを使用することもで
きる。
【0021】図4は、加熱処理を行うワークの形状が例
えば4角形である場合に対応して、直線状のランプ1、
直角状に曲げられたランプ1’を組み合わせて、ランプ
を矩形状に配置した場合を示しており、この場合もラン
プ1,1’を配置した領域は、同図に示すように領域の
中心からの距離に応じた複数のゾーン1〜5に分けら
れ、電力制御ユニット12は、上記ゾーン毎に設けら
れ、各ゾーンに属する1ないし複数本のランプに供給さ
れる電力を制御する。図5(a)は、シール部が1ケ所
のシングルエンドと呼ばれる図5(b)に示すランプ1
を用いた場合を示しており、各ランプ1には例えば図5
(b)に示すように碗状のミラー3が取り付けられ、各
ランプが図5(a)に示すように同心円状に配置され
る。この場合もランプ1,1’を配置した領域は、同図
に示すように領域の中心からの距離に応じた複数のゾー
ン1〜nに分割されている。
【0022】図6は、図1に示した制御部11の具体的
構成例を示す図である。同図において、11は制御部で
あり、制御部11はCPU13とPWM制御回路14か
ら構成されており、CPU13とPWM制御回路14は
バス15を介して接続されている。PWM制御回路14
には各電力制御ユニット12に対応したチャンネルCH
1〜CH4のPWMカウンタ14cが設けられており、
各PWMカウンタ14cから出力されるPWM信号によ
り各電力制御ユニット12は各ゾーンに属するランプの
パワーを制御する(この例ではゾーンが4の場合を示し
ている)。また、位相検出回路16が設けられており、
位相検出回路16により電源21の電圧位相を検出す
る。
【0023】図7は位相検出回路16の構成例を示す図
であり、位相検出回路16は同図に示すように例えばフ
ォトカプラPh1,Ph2と抵抗R1〜R3、シュミッ
トトリガインバータINVから構成される。そして、電
源17の電圧が正位相になるとフォトカプラPh1が導
通し、また負位相になるとフォトカプラPh2が導通す
る。このため、シュミットトリガインバータINVの入
力は電源電圧が正位相のときハイレベル、負位相のとき
ローレベルとなり、シュミットトリガインバータINV
の出力には電源位相に応じてハイレベル、ローレベルの
出力が発生する。すなわち、電源電圧のゼロクロス点で
位相検出回路16の出力はハイレベル→ローレベルもし
くはローレベル→ハイレベルに変化する。
【0024】図6に戻り、制御部11のCPU13に
は、後述するように予め各ゾーンに属するランプ1に供
給するパワーの時間的変化パターン等が記憶されてお
り、加熱処理が開始されるとCPU13は各ゾーンの属
するランプに供給するパワーに対応したデジタルデータ
をアドレス信号と共に出力する。上記アドレス信号はア
ドレスデコーダ14bによりデコードされ、そのデコー
ド結果に応じて、CPU13が出力するデジタルデータ
は、PWM制御回路14に設けられたレジスタ14aの
上記アドレス信号に対応した領域にセットされる。
【0025】一方、位相検出回路16の出力はエッジ検
出同期回路14fに入力され、エッジ検出同期回路14
fは位相検出回路16が出力する位相信号の立ち上が
り、立ち下がりエッジ(電源電圧のゼロクロス点)を検
出する。そして、電源電圧のゼロクロス点で、エッジ検
出同期回路14fはPWMデータセット信号を出力す
る。上記PWMデータセット信号が出力されると、前記
レジスタ14aの各領域にセットされていたデジタルデ
ータが各PWMカウンタ14cに転送されプリセットさ
れる。なお、デジタルデータを高速に転送するため、レ
ジスタ14aとPWMカウンタ14c間は例えば12ビ
ットの並列転送ラインで接続されている。また、発振器
14dが出力するクロックパルスが分周器14eにより
分周され、PWMカウンタスタート信号としてPWMカ
ウンタ14cに与えられる。PWMカウンタ14cに上
記PWMカウンタスタート信号が入力されると、PWM
カウンタ14cは図示しないクロック信号のカウントを
開始し、カウント値が前記プリセット値に達するとゼロ
リセットされる。そして、次のPWMカウンタスタート
信号が入力されると再びカウントを開始し、以下同様の
動作を繰り返す。
【0026】PWMカウンタ14cがカウントをしてい
る期間、PWMカウンタ14cはハイレベルの出力を発
生する。このため、PWMカウンタ14cから、前記P
WMデータセット信号によりセットされたプリセット値
に応じた時間幅のパルス信号が、分周器14eが出力す
るPWMカウンタスタート信号の周期で繰り返し出力さ
れ、この信号は各電力制御ユニット12に与えられる。
図8はPWM制御回路14の出力信号を示す図であり、
同図に示すように、PWM制御回路14は、例えば20
kHzの繰り返し周期(PWMカウンタスタート信号の
周期)で前記レジスタ14aにセットされたデジタルデ
ータに応じたデューティのパルス信号を出力する。ここ
で、前記したようにPWMデータセット信号は電源電圧
のゼロクロス点で出力されるので、電源電圧の半周期の
間はPWMカウンタ14cが出力するPWM信号のデュ
ーティは変化しない。このため、各電力制御ユニット1
2に流入する電流値は各半周期において略正弦波状に変
化する。これにより、高調波歪みを低減化させることが
でき、力率の低下を防ぐことができる。
【0027】図9は、ワークWを急速加熱する際の昇温
パターンと電力制御ユニット12に与えられるデューテ
ィ信号の一例を示す図である。ワークWを急速加熱する
際には、同図(a)に示すように、まずワークWを同図
A点まで上昇させた後、所定時間その温度に保つ。この
ためPWM制御回路14は同図(b)に示すようにA点
までは比較的デューティの大きなPWM信号を出力し、
A点に達するとPWM信号のデューティを小さくする。
同図(a)のB点に達すると再びワークWの温度を上昇
させる。このためPWM制御回路14が出力するPWM
信号のデューティは同図(c)に示すように大きくな
る。ワークWの温度が再び上昇しC点に達すると所定時
間その温度に保つ。このためPWM制御回路14が出力
するPWM信号のデューティは、C点で同図(d)に示
すように小さくなる。ワークWの温度を所定時間一定に
保ったのち、D点に達するとワークWの温度を低下させ
る。PWM制御回路14が出力するPWM信号のデュー
ティは、同図(e)に示すようにD点で0となりランプ
は消灯する。
【0028】図9では、電力制御ユニット12に供給す
るPWM信号の典型例を示したが、ワークWは端面から
放熱し、またランプ1からの光は相互に干渉する。した
がって、これらを考慮して各ゾーンに属するランプに供
給するパワーを配分する必要がある。すなわち、複数の
ランプ1からワークWに光が照射されるため図10
(a)に示すように光が相互に干渉する(同図のハッチ
ング部分)。このため、各ランプから放出される光量を
等しくしたのではワークWの表面を必ずしも一定の温度
にすることはできない。また、ワークWは端面から放熱
するため、ワークWの放熱特性は同図(b)に示すよう
になる。したがって、ワークWの温度を一定にするには
その分だけ周辺部のランプのパワーを大きくする必要が
ある。しかし、周辺部のランプパワーを大きくするとそ
の内側のワーク表面の温度が上昇するので、その部分の
ランプパワーはやや低下させる必要がある。
【0029】以上のことから、ランプ1に供給する電力
比を、例えば図10(c)のようにすることにより、ワ
ークWの表面温度を図10(d)に示すように略一定の
温度とすることができる。上記した各ランプに供給する
パワーの時間的変化パターン、各ゾーンのランプのパワ
ー配分等は、実験あるいは理論式等により求めることが
でき、予め実験、理論式等によりワークWの加熱処理量
に応じた各ゾーンに属するランプに供給する電力量を定
める。そして、CPU13の図示しない記憶部に対応す
る制御信号を記憶させておき、設定電力が入力されると
CPU13はそれに対応した制御信号を読み出して、前
記したPWM制御回路14に出力する。
【0030】本実施例においては、以上のようにCPU
13に予め記憶されたデジタルデータをバス15を介し
てPWM制御回路14に送出し、PWM制御回路14に
おいてPWM信号を生成して各電力制御ユニットに送出
しているので、前記した従来例のようにフィードバック
遅れによる制御遅れが発生することがなく、また、デジ
タルデータをアナログ信号に変換する際の変換遅れ等が
発生することがない。このため、高速な制御が可能とな
る。
【0031】次に上記電力制御ユニットについて説明す
る。図11は図1、図6に示したランプ電力制御ユニッ
ト12の構成例を示す図である。同図において、21は
交流電源、22はランプ点灯制御回路(以下点灯制御回
路と略記する)である。点灯制御回路22のスイッチン
グ素子はゲート信号発生回路22aから与えられるゲー
ト信号により制御され、交流電源21から供給される交
流入力を制御して、ランプ1に電力を供給する。ゲート
信号発生回路22aは、前記したPWM制御回路14の
出力に基づき、スイッチング信号を発生し、各点灯制御
回路22のスイッチング素子をON/OFFさせる。
【0032】すなわち、図12(a)に示す入力電圧
(電流)を同図(b)に示すスイッチング信号でON/
0FFし、同図(c)に示す出力電流を得る。なお、同
図は、デューテイが略50%の場合を示しており、負荷
に並列に転流用のスイッチング回路を設けるとともに、
ランプ1に直列にインダクタンスを設け、入力側に直列
に接続されたスイッチング回路がオフになったとき、上
記転流用のスイッチング回路をオンにして、出力電流を
上記転流回路を介して継続的に流すように構成した場合
を示している。同図(c)に示す波形でもスイッチング
信号の周波数を高くすれば、正弦波に近い波形を得るこ
とができるが、同図(c)に示す出力電流を更にフィル
タリングすることにより、同図(d)に示す正弦波出力
を得ることができる。また、入力電流もローパスフィル
タを通すことにより正弦波とすることができる。
【0033】次に、図11に示した点灯制御回路の動作
について説明する。図13は図11に示した本実施例の
点灯制御回路の構成を示す図であり、同図は、図11に
示した点灯制御回路22の一つを抜き出して示したもの
である。同図において、22は点灯制御回路、21は交
流電源、Tr1〜Tr4はスイッチング素子、D1〜D
4はダイオード、C1はコンデンサ、L1はインダクタ
ンス、1はランプである。スイッチング素子Tr1〜T
r4は図11に示したゲート信号発生回路22aが発生
するゲート信号により前記図12に示したように所定の
駆動周波数でON/OFFする。この駆動周波数は所定
の高周波、例えば前記したように20kHz程度に選定
される。この周波数は低くしすぎると出力側に設けたコ
ンデンサC1の容量が大きくなり、また音を発するよう
になる。一方、高くしすぎるとスイッチング素子におけ
る効率が悪化するので、両者の間の領域で適宜設定すれ
ば良い。
【0034】図13において、点灯制御回路22は次の
ように動作する。点灯制御回路22に交流電源21から
商用交流電源を供給する。入力電流は図13のA方向に
流れる場合と、B方向に流れる場合とがある。それぞれ
の場合に図14に示すように各スイッチング素子を制御
する。 (1)入力電流がA方向に流れる場合 第1および第3のスイッチング素子Tr1,Tr3
をON、スイッチング素子Tr2,Tr4はOFFとす
る。出力電流は、第1のスイッチング素子Tr1→イン
ダクタンスL1→ランプ4→第4のダイオードD4と流
れる。 第3のスイッチング素子をONにしたまま、第1の
スイッチング素子Tr1をOFFとし、ほかのスイッチ
ング素子Tr2,Tr4はOFFのままとする。インダ
クタンスL1に残留する電流が、インダクタンスL1→
ランプ4→第3のスイッチング素子Tr3→第2のダイ
オードD2→インダクタンスL1と流れる。 上記
の組み合わせのスイッチングを繰り返す。
【0035】(2)入力電流がB方向に流れる場合 第2および第4のスイッチング素子Tr2,Tr4
をON、スイッチング素子Tr1,Tr3はOFFとす
る。出力電流は、第4のスイッチング素子Tr4→ラン
プ4→インダクタンスL1→第1のダイオードD1と流
れる。 第2のスイッチング素子Tr2をONにしたまま、
第4のスイッチング素子Tr4をOFFとし、スイッチ
ング素子Tr1,TR3はOFFのままとする。インダ
クタンスL1に残留する電流が、インダクタンスL1→
第2のスイッチング素子Tr2→第3のダイオードD3
→ランプ4ーインダクタンスL1と流れる。 上記の組み合わせのスイッチングを繰り返す。
【0036】上記のように制御することにより、点灯制
御回路22の各部の波形は前記図12に示したようにな
る。なお、ここでは、点灯制御回路22には、50Hz
の商用交流電源が入力され、スイッチング素子Tr1〜
Tr4のスイッチング周波数は20kHzであるとす
る。入力電圧の波形は、前記図12(a)に示した波形
であり、スイッチングを約50%のデューティで行なっ
た場合、スイッチング信号は前記図12(b)に示した
ようになる。ここで、同図中は回路が上記(1)の
動作をしているとき、は(1)の動作をしていると
きを示す。も同様に、回路が(2)の動作をし
ているときである。上記スイッチングを行うことによ
り、点灯制御回路22の出力電流波形は、前記図12
(c)のようになる。
【0037】すなわち、図12(b)の時は、交流商
用電源からの電流がそのまま出力され、ランプの電流値
は徐々に増加する。また、図12(b)に移ると出力
側は交流商用電源から切り離されることになるが、イン
ダクタンスL1に電流が残っているためにランプ4に流
れる電流が徐々に小さくなる。残留する電流が0になる
前に再び上記となるようにすれば、出力電流は再び増
加する。これはについても同様である。なお、図1
2(c)では説明のため凹凸を極端に示しているが、実
際には例えば20kHzでスイッチングを行なうと、凹
凸はきわめて小さくなり、出力波形は出力側にフィルタ
回路を設けなくとも略正弦波となる。必要であれば、例
えば出力側に設けたコンデンサC1により平坦化すれ
ば、図12(d)に示すようによりきれいな正弦波とな
る。
【0038】ここで、デューティーが1のときは、の
みでありランプヘの入力波形はランプ点灯装置に入力さ
れる波形と同じになり、一方、デューティーが0のとき
は、のみでランプヘの入力0となる。したがって、ス
イッチングのデューティを0から1の間で変えることに
より、0≦〔出力電流のピーク値Ip’〕≦〔入力電流
のピーク値Ip〕の範囲でピーク値が可変の正弦波であ
る波形の出力電流を得ることができる。すなわち、ラン
プ4に対し連続的に変化可能な電流を与えることができ
る。一方、点灯制御回路22への入力電流の波形は、ス
イッチング素子のデューティによってON/OFFが繰
り返されているので、前記図12(a)のようになり
(同図中の斜線部分参照)、入力電流は高調波歪みの大
きな波形となる。そこで、点灯制御回路22の入力側に
図11に示すようにインダクタンスL2とコンデンサC
2を設ける。これにより、入力電流を平滑化し高調波歪
みを低減化することができる。ここで、インダクタンス
L2については、特定の素子を設けず配線のインダクタ
ンスを利用することもできる。なお、本出願人が先に提
案したように(特願平10−273342号参照)、各
点灯制御回路22のスイッチング素子を時間差を設けて
順番に動作させても、同様に入力電流の高調波歪みを低
減化し力率を改善することができる。
【0039】以上のように、入力電圧(電流)をスイッ
チング回路によりチョッピングし、出力電圧(電流)を
制御することにより、出力電流・出力電圧・入力電流の
波形を略正弦波にすることができ、高調波歪みを低減化
することができる。また、無効電力を発生させることな
く、入力の力率を改善してランプに大きな突入電流を流
さず、かつ、応答速度が迅速で連続的に制御を行うこと
ができる。すなわち、前記したように位相検出手段を設
けて、電源位相を検出し、電源位相に同期したPWM信
号を発生させ、電源位相に同期させてスイッチング素子
を動作させているので無効電力を発生させることなく入
力の力率を改善し、高調波歪みを低減することができ
る。すなわち、交流電源から供給される交流正弦波が正
位相の半周期であるか負位相の半周期であるかを検出す
ることで、電力制御ユニットはそれに応じて所定のスイ
ッチング素子を駆動することができる。さらに、PWM
信号のデューティを変更させるときは、点灯制御回路の
スイッチング素子を駆動するPWM信号のデューティ比
を、交流電源のゼロクロス点で変更するようにしている
ので、入力電流波形が略正弦波状になり高調波歪みの発
生を防止することができる。このため、無効電力の発生
を抑えることができ、入力電流を減少させることができ
るとともに、高調波歪みを減少させることが可能とな
る。
【0040】図15はランプ電力制御ユニットの他の構
成例を示す図である。図15において、22はランプ点
灯制御回路(以下点灯制御回路と略記する)、21は交
流電源、23は全波整流回路、Tr10はスイッチング
素子、D10はダイオード、L1はインダクタンス、C
1はコンデンサ、1はランプ、22aはゲート信号発生
回路である。同図に示すスイッチング素子Tr10はゲ
ート信号発生回路22aが発生するゲート信号により所
定の駆動周波数でON/OFFする。この駆動周波数
は、前記した図11と同様、所定の高周波、例えば20
kHz程度に選定される。
【0041】図15において、点灯制御回路は次のよう
に動作する。図16は図15に示す点灯制御回路22の
各部の波形を示す図であり、同図により本実施例の点灯
制御回路の動作を説明する。点灯制御回路22に交流電
源21から商用交流電源を供給する。入力電圧は全波整
流回路23により全波整流され、スイッチング素子Tr
10には図16(a)に示す全波整流電圧が供給され
る。 ゲート信号発生回路22aからスイッチング素子T
r10にオン信号が供給され、スイッチング素子Tr1
0がオンになると、出力電流は、全波整流回路23→ス
イッチング素子Tr10→インダクタンスL1→ランプ
1→全波整流回路23と流れる。 次いで、スイッチング素子Tr10がオフになる
と、インダクタンスL1に残留する電流が、インダクタ
ンスL1→ランプ1→ダイオードD10→インダクタン
スL1と流れる。 上記の組み合わせのスイッチングを繰り返す。
【0042】上記のように制御することにより、点灯制
御回路22の各部の波形は図16に示したようになる。
なお、ここでは、点灯制御回路には、50Hzの商用交
流電源が入力され、スイッチング素子Tr10のスイッ
チング周波数は20kHzであるとする。入力電圧の波
形は、図16(a)に示した波形であり、スイッチング
を約50%のデューティで行なった場合、点灯制御回路
の出力電流波形は、前記図16(b)のようになる。す
なわち、スイッチング素子Tr10がオンになったとき
は、交流商用電源からの電流がそのまま出力され、ラン
プ1の電流値は徐々に増加する。また、スイッチング素
子Tr10がオフになると、出力側は全波整流回路23
から切り離されることになるが、インダクタンスL1に
電流が残っているためにランプ1に流れる電流が徐々に
小さくなる。残留する電流が0になる前に再びスイッチ
ング素子Tr10をオンにすれば、出力電流は再び増加
する。
【0043】なお、図16(b)では説明のため凹凸を
極端に示しているが、実際には例えば20kHzでスイ
ッチングを行なうと、第1の実施例と同様凹凸はきわめ
て小さくなり、出力波形は出力側にフィルタ回路を設け
なくとも略正弦波となる。必要であれば、例えば出力側
に設けたコンデンサC1により平坦化すれば、図16
(d)に示すようによりきれいな正弦波となる。したが
って、スイッチング素子Tr10のスイッチングのデュ
ーティを0から1の間で変えることにより、前記したよ
うにピーク値が可変の全波整流波形の出力電流を得るこ
とができる。すなわち、ランプ1に対し連続的に変化可
能な電流を与えることができる。
【0044】一方、点灯制御回路22への入力電流の波
形は、スイッチング素子Tr10のデューティによって
ON/OFFが繰り返されているので、前記図16
(c)のようになり、点灯制御回路の入力電流は、高調
波歪みの大きな波形となる。そこで、この場合にも、前
記したように点灯制御回路22の入力側に図15に示す
ようにインダクタンスL2とコンデンサC2を設ける。
これにより、入力電流を平滑化し高調波歪みを低減化す
ることができる。ここで、インダクタンスL2について
は、特定の素子を設けず配線のインダクタンスを利用す
ることもできる。なお、前記したように各点灯制御回路
22のスイッチング素子を時間差を設けて順番に動作さ
せ、入力側の高調波歪みを小さくすることもできる。
【0045】図15に示す点灯制御回路を用いることに
より、前記図11に示したものと同様な効果を得ること
ができる。また、1個のスイッチング素子で点灯制御装
置を構成することができ、回路構成を簡単にすることが
でき、さらに、交流入力の半サイクル毎にランプへの出
力電流が略0に近い値まで低下するので、交流点灯の場
合と同様に、ランプのフィラメント切れが発生したとし
ても直流で点灯させた場合のように切れたフィラメント
間でアークが持続することもない。PWM信号のデュー
ティを変化させるときは、交流電源のゼロクロス点にお
いて、電力制御ユニットのスイッチング素子を駆動する
PWM信号のデューティ比を変更しているので、電力制
御ユニット12の入力電流波形が略全波整流波形とな
り、交流電源の入力電流は略交流正弦波であり、高調波
歪みの発生を防止できる。また、無効電力の発生を抑え
て入力の力率を改善することもできる。なお、本実施例
においては、常に同一位相である全波整流波形に対し
て、電力制御ユニットのスイッチング素子がオン/オフ
駆動するので、交流電源からの交流正弦波が正位相であ
るか負位相であるかを検知する必要はない。なお、以上
の説明では、ワークWの温度を検出する温度検出素子を
設けず、CPU13に予め記憶された制御信号(PWM
信号の時間的変化パターン)のみに基づきランプに供給
するパワーを制御する場合について説明したが、ワーク
Wの温度を検出する温度検出素子を設け、該温度検出素
子で検出されたワークWの温度をCPU13に取り込ん
で、ワークWが所定の温度まで上昇したか等の確認を行
うようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては
以下の効果を得ることができる。 (1)複数のフィラメントランプを配置した領域を、該
領域の中心からの距離に応じた複数のゾーンに分割し、
各ゾーンに少なくとも1以上のフィラメントランプを設
置し、該フィラメントランプに供給する電力を制御する
制御装置を、上記ゾーンに対応してそれぞれ設けられ交
流電源から供給される交流正弦波もしくはその全波整流
波をスイッチングするスイッチング素子を具備した複数
のランプ電力制御ユニットと、上記複数のランプ電力制
御ユニットのそれぞれのスイッチング素子のオン/オフ
信号のデューティを変化させ、上記各ゾーンに属するフ
ィラメントランプに供給される電力をそれぞれ制御する
制御部とから構成したので、制御遅れなく被処理物の温
度を制御することができる。また、高調波を減少させ力
率の改善を図ることができ、効率を向上させることがで
きる。 (2)被処理物の放熱特性と各ゾーンに属するフィラメ
ントランプの相互干渉を考慮して、各ゾーンのスイッチ
ング素子のオン/オフ信号のデューティ比の時間的変化
パターンを求めて、該時間的変化パターンを上記制御部
に予め記憶させておき、制御部が該時間的変化パターン
を読み出して、各ゾーンに属するフィラメントランプに
供給される電力をそれぞれ制御するようにしたので、高
速な制御が可能になるとともに、被処理物の温度を均一
に制御することができる。 (3)交流電源の位相を検出する位相検出手段を設け、
上記制御部が、上記位相検出手段により検出された交流
電源のゼロクロス点で、各ゾーンのスイッチング素子の
オン/オフ信号のデューティ比を変更するようにしたの
で、高調波を一層低減化し、力率を改善することができ
る。 (4)交流電源の位相を検出する位相検出手段を設け、
上記ランプ電力制御ユニットが、上記位相検出手段によ
り検出された交流電源の位相信号に同期して、交流電源
から供給される交流正弦波をスイッチングするようにし
たので、高調波を低減化し力率を改善することができ、
入力電流を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概略構成を示す図である。
【図2】ランプの配置例(1)を示す図である。
【図3】半円状のランプを2本合わせて円環状としたラ
ンプの構成例を示す図である。
【図4】ランプの配置例(2)を示す図である。
【図5】ランプの配置例(3)を示す図である。
【図6】制御部の具体的構成例を示す図である。
【図7】位相検出回路の構成例を示す図である。
【図8】PWM制御回路から出力されるPWM信号を示
す図である。
【図9】昇温パターンとデューティ信号の一例を示す図
である。
【図10】ランプから放出される光の相互干渉、ワーク
の放熱特性、ランプに供給する電力比を説明する図であ
る。
【図11】ランプ電力制御ユニットの構成例を示す図で
ある。
【図12】図11に示すランプ電力制御ユニットの各部
の波形を示す図である。
【図13】図11におけるランプ点灯制御回路の構成を
示す図である。
【図14】各スイッチング素子を駆動するゲート信号を
説明する図である。
【図15】ランプ電力制御ユニットの他の構成例を示す
図である。
【図16】図15に示すランプ電力制御ユニットの各部
の波形を示す図である。
【図17】光照射式急速加熱処理装置の断面構成を示す
図である。
【図18】円環状に形成されたランプの一例を示す図で
ある。
【図19】ランプの点灯の制御を行う制御装置の従来の
構成例を示す図である。
【図20】図19におけるランプ点灯制御装置の詳細構
成を示す図である。
【図21】図19、図20に示すサイリスタユニットの
構成を示す図である。
【図22】サイリスタの導通角制御を行った場合の各部
の波形を示す図である。
【図23】サイリスタのゼロクロス制御を行った場合の
各部の波形を示す図である。
【図24】導通角制御、ゼロクロス制御を行った場合の
入力、出力電流、電圧波形を示す図である。
【符号の説明】
1 フィラメントランプ 2 ランプ室 3 ミラー 4 処理室 5 ワーク保持台 11 制御部 12 ランプ電力制御ユニット 13 CPU 14 PWM制御回路 14a レジスタ 14b アドレスデコーダ 14c PWMカウンタ 14d 発振器 14e 分周器 14f エッジ検出同期回路 15 バス 16 位相検出回路 21 交流電源 22 ランプ点灯制御回路 22a ゲート信号発生回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のフィラメントランプを有し、該フ
    ィラメントランプから放射される赤外線を含む光を被処
    理物に照射することにより、被処理物を急速加熱する光
    照射式急速加熱処理装置の制御装置であって、 上記複数のフィラメントランプを配置した領域を、該領
    域の中心からの距離に応じた複数のゾーンに分割し、各
    ゾーンには少なくとも1以上のフィラメントランプを設
    置し、 上記制御装置を、 上記ゾーンに対応してそれぞれ設けられ交流電源から供
    給される交流正弦波もしくはその全波整流波をスイッチ
    ングするスイッチング素子を具備した複数のランプ電力
    制御ユニットと、 上記複数のランプ電力制御ユニットのそれぞれのスイッ
    チング素子のオン/オフ信号のデューティを変化させ、
    上記各ゾーンに属するフィラメントランプに供給される
    電力をそれぞれ制御する制御部とから構成したことを特
    徴とする光照射式急速加熱処理装置の制御装置。
  2. 【請求項2】 上記制御部には、被処理物の放熱特性と
    各ゾーンに属するフィラメントランプの相互干渉を考慮
    して定めた、各ゾーンのスイッチング素子のオン/オフ
    信号のデューティ比の時間的変化パターンが予め記憶さ
    れており、 制御部は上記デューティ比の時間的変化パターンを読み
    出して、上記各ゾーンに属するフィラメントランプに供
    給される電力をそれぞれ制御することを特徴とする請求
    項1の光照射式急速加熱処理装置の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記交流電源の位相を検出する位相検出
    手段を備え、 上記制御部は、上記位相検出手段により検出された交流
    電源のゼロクロス点で、各ゾーンのスイッチング素子の
    オン/オフ信号のデューティ比を変更することを特徴と
    する請求項1または請求項2の光照射式急速加熱処理装
    置の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記交流電源の位相を検出する位相検出
    手段を備え、上記ランプ電力制御ユニットは、上記位相
    検出手段により検出された交流電源の位相信号に同期し
    て、交流電源から供給される交流正弦波をスイッチング
    することを特徴とする請求項1または請求項2の光照射
    式急速加熱処理装置の制御装置。
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