JP2006134690A - 誘導加熱装置 - Google Patents

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秀樹 定方
Motonari Hirota
泉生 弘田
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篤志 藤田
Kenji Yasui
健治 安井
Hiroshi Tominaga
博 富永
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Abstract

【課題】インバータ回路と昇圧回路と力率改善回路の動作周波数差に基づく干渉音を抑制する、または聞こえなくすることを可能とした誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】力率改善回路3と昇圧回路8とインバータ回路16の動作周波数の差をゼロまたは可聴周波数以上に設定するものである。これによって、それぞれの回路3、8、16に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般家庭やオフィス、レストラン、工場などで使用される誘導加熱装置に関するものである。
従来、誘導加熱装置では、加熱コイルを介して負荷に高周波電力を供給する方法として昇圧回路を用いた制御技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、誘導加熱装置に力率改善回路を内蔵して、高調波電流抑制を行う技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−257609号公報 特開平1−246783号公報
しかしながら、前記従来の誘導加熱装置では、インバータ回路または昇圧回路による高周波電力制御と力率改善回路による高調波電流抑制を同時に行う際に、前記それぞれの回路に複数のインダクタが含まれ、前記複数のインダクタが近傍に位置し、前記複数のインダクタにそれぞれの回路の動作周波数に基づいた周波数の電流が流れると、前記複数のインダクタから生じる高周波磁界の干渉により生じる干渉音を抑制できないという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、インバータ回路と昇圧回路と力率改善回路の動作周波数差に基づいて発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることを可能とした誘導加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、力率改善回路と昇圧回路とインバータ回路の動作周波数の差をゼロまたは可聴周波数以上に設定するものである。
これによって、それぞれの回路に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることが可能である。
本発明の誘導加熱装置は、インバータ回路と昇圧回路と力率改善回路の各動作周波数差に起因して発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることが可能である。
第1の発明は、商用電源整流後に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって力率を改善する力率改善回路と、前記力率改善回路の出力に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって前記力率改善回路の出力以上の電圧に昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって高周波電流を発生させるインバータ回路とを有し、前記力率改善回路と前記昇圧回路と前記インバータ回路の動作周波数差をゼロまたは可聴周波数以上に設定した誘導加熱装置とすることにより、それぞれの回路に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることが可能である。
第2の発明は、特に、第1の発明において、昇圧回路の動作周波数はインバータ回路の動作周波数と同一とすることにより、つまり昇圧回路とインバータ回路の動作周波数差Δfをゼロに設定することにより、昇圧回路とインバータ回路に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音の周波数はゼロとなり、干渉音を聞こえなくすることが可能である。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、昇圧回路とインバータ回路の動作を1つのマイコンで制御することにより、誘導加熱装置の制御部の部品点数が削減可能となり、制御部の小型化・ローコスト化が可能である。
第4の発明は、特に、第1の発明において、力率改善回路は動作周波数を昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数より高く設定することにより、誘導加熱装置の高周波化に伴うスイッチング損失の増大を極力少なくすることができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、力率改善回路の動作周波数を昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数との差が少なくとも可聴周波数以上となるように昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数より高い周波数で動作することにより、力率改善回路の動作周波数と昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数差が可聴周波数以上となり、力率改善回路と昇圧回路およびインバータ回路に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音の周波数は可聴周波数以上となり、干渉音を聞こえなくすることが可能である。
第6の発明は、特に、第1の発明において、力率改善回路におけるスイッチング素子のコレクタ・エミッタ間の電圧を検知して、駆動時にスイッチング素子特性により決定されるオン電圧以上の電圧を検出または非駆動時に前記オン電圧と略同じ電圧を検出すると、昇圧回路およびインバータ回路の動作を停止することにより、力率改善回路のスイッチング素子破壊時、力率改善用のチョークコイルに発生する大電流が昇圧回路およびインバータ回路のスイッチング素子に流れることで、昇圧回路およびインバータ回路のスイッチング素子が破壊することを防止可能となり、誘導加熱装置の故障を抑制することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における誘導加熱装置を示すものである。
図に示すように、力率改善回路3は、商用電源1の整流後に接続され、第1のスイッチング素子6のオン・オフによって力率を改善し、昇圧回路8は、力率改善回路3の出力に接続され、第2のスイッチング素子12のオン・オフによって力率改善回路3の出力以上の電圧に昇圧し、インバータ回路16は、昇圧回路8の出力に接続され、第3のスイッチング素子17および第4のスイッチング素子18のオン・オフによって高周波電流を発生させるものであり、加熱コイル22と対向して配置される鍋24を加熱するものであり、これにより誘導加熱装置を構成している。
前記商用電源1は、低周波交流電源である200V商用電源であり、ブリッジダイオードである整流回路2の入力端に接続される。整流回路2のカソード側の出力端に力率改善用に用いられる第1のチョークコイル4が接続される。さらに、第1のチョークコイル4と整流回路2のアノード側の出力端間に、第1のダイオード5と第1のスイッチング素子6の並列接続体が接続される。また、第2のダイオード7は第1のスイッチング素子6の高電位側端子(コレクタ)に接続するよう配置される。第1のチョークコイル4、第1のダイオード5、第1のスイッチング素子6、第2のダイオード7は力率改善回路3を構成する。ただし、本実施の形態において、力率改善回路3を高周波動作させるためスイッチング速度の速いMOSFETを使用しているため、第1のダイオード5が付帯しているが第1のダイオード5がなくとも動作に何ら影響を与えない。
前記力率改善回路3の出力端、つまり第2のダイオード7のカソード側端子と第1のスイッチング素子6の低電位側端子(エミッタ)間に第1の平滑コンデンサ9が接続される。力率改善回路3は入力電圧を任意の電圧に昇圧した電圧を第1の平滑コンデンサ9に供給し、第1の平滑コンデンサ9は昇圧回路8にエネルギーを供給するものである。
第1の平滑コンデンサ9の高電位側出力端間には第2のチョークコイル10が接続される。第2のチョークコイル10の出力端と第1の平滑コンデンサ9の低電位側端子間に、第1のスナバコンデンサ11と、第3のダイオード13と第2のスイッチング素子12の並列接続体が接続される。また、第2のスイッチング素子12の高電位側端子(コレクタ)に第4のダイオード14が接続するように配置される。さらに、第4のダイオード14のカソード側端子と第2のスイッチング素子12の低電位側端子(エミッタ)間に第2の平滑コンデンサ15が接続される。第1の平滑コンデンサ9、第2のチョークコイル10、第1のスナバコンデンサ11、第2のスイッチング素子12、第3のダイオード13、第4のダイオード14、第2の平滑コンデンサ15は昇圧回路8を構成する。第2の平滑コンデンサ15は、第1の平滑コンデンサ9の電圧を昇圧した電圧をインバータ回路16に供給するものである。
インバータ回路16は昇圧回路8の出力端、つまり第2の平滑コンデンサ15の両端に接続される。第2の平滑コンデンサ15の両端には第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18を直列接続したものが接続される。第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18にはそれぞれ第5のダイオード(逆導通素子)19、第6のダイオード(逆導通素子)20が逆並列に(スイッチング素子の高電位側端子(コレクタ)とダイオードのカソードが接続されるように)接続される。また、第4のスイッチング素子18(第3のスイッチング素子17であってもよい)に並列に第2のスナバコンデンサ21が接続される。さらに、第4のスイッチング素子18(第3のスイッチング素子17であってもよい)に並列に加熱コイル22と共振コンデンサ23の直列接続体が接続される。加熱コイル22は負荷である鍋24と対向して配置されている。
インバータ回路16の入力電流を検知する第1の電流検知部27と、使用者による操作に基づいた入力設定に応じた電流参照値を出力する基準電流設定部26から出力された信号が第1の比較部28によって比較され、第1の比較部28からは所定の入力が得られるよう第1の可変導通比設定部30に信号が出力される。第1の可変導通比設定部30では、第1の発振部(マイコン)29による基準発振に基づいた駆動周波数で、第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18の導通比を設定し、第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18を排他的に導通制御する。第1の制御部25は、これらの基準電流設定部26、第1の電流検知部27、第1の比較部28、第1の発振部(マイコン)29、第1の可変導通比設定部30を内包する。
また、インバータ回路16の入力電圧となる第2の平滑コンデンサ15の電圧を検知する電圧検知部33から出力された信号は、基準電圧設定部32と第2の比較部34によって比較され、第2の比較部34からは所定のインバータ回路16の入力電圧が得られるよう第2の可変導通比設定部35に信号が出力される。第2の可変導通比設定部35では、発振部(マイコン)29による基準発振に基づいた駆動周波数で、第2のスイッチング素子12の導通比を設定し、第2のスイッチング素子12の導通制御を行う。第2の制御部31は、これらの基準電圧設定部32、電圧検知部33、第2の比較部34、第2の可変導通比設定部35を内包し、第1の発振部(マイコン)29を第1の制御部25と共有し、回路および制御の簡素化を可能にしている。
第1の制御部25および第2の制御部31は、第3のスイッチング素子17および第4のスイッチング素子18の駆動周波数と、第2のスイッチング素子12の駆動周波数が可聴周波数よりも小さく、または可聴周波数よりも大きくなるように駆動信号を出力するものである。本実施の形態では、第1の発振部(マイコン)29を第1の制御部25および第2の制御部31が共有しているため、駆動周波数が同一となり、可聴周波数よりも小さくなる。
また、第1のスイッチング素子6を導通制御する第3の制御部36は、参照正弦波発生回路37、商用電源1の電流を検出する第2の電流検知器38、第3の比較部39、第2の発振部(マイコン)40、第3の可変導通比設定部41を内包する。
また、保護回路42は、第1のスイッチング素子6のコレクタ・エミッタ間電圧を検知して、駆動時に第1のスイッチング素子6の特性により決定されるオン電圧以上の電圧を検出(つまり第1のスイッチング素子6の短絡状態を検出)または非駆動時に前記オン電圧と略同じ電圧を検出(つまり第1のスイッチング素子6の開放状態を検出)するものである。
以上のように構成された誘導加熱装置において、以下動作を説明する。
商用電源1は整流回路2により全波整流され、整流回路2の出力端に接続された力率改善回路3に供給され、力率改善回路3の出力端には第1の平滑コンデンサ9が接続されている。第1の平滑コンデンサ9は非常に大きな容量に設定されているため、第1の平滑コンデンサ9電圧のエンベロープ(包絡線)が平滑されて昇圧回路8に供給される。
力率改善回路3は、図2に示す動作波形のように、商用電源1が第1の平滑コンデンサ9の電圧よりも小さい場合に力率改善回路3に含まれる第2のダイオード7および整流回路2のブリッジダイオードがターンオンできずに入力電流波形が歪み、力率が著しく低くなる際に、第3の制御部36は、第2の電流検知器38の検出電流が参照正弦波発生回路37の出力と等しくなるように第3の可変導通比設定部41の出力を変化させ、第1のスイッチング素子6をターンオン・オフさせる。これにより、商用電源1から第1のチョークコイル4を介して入力電流が流れるようになり、商用電源1側に歪んだ入力電流を流さないようにするものである。また、第1のスイッチング素子6がターンオンしている状態では商用電源1から第1のチョークコイル4にエネルギーが蓄えられており、その後、第1の可変導通比設定部30で設定された導通時間が経過すると第1のスイッチング素子6がターンオフし、第1のチョークコイル4に蓄えられたエネルギーが第2のダイオード7を介して、第1の平滑コンデンサ9に供給される。このため、第1の平滑コンデンサ9の電圧は商用電源1より高い電圧となる。
本実施の形態では、第1のスイッチング素子6の動作周波数を40kHz、導通時間を12.5μsとして、第1の平滑コンデンサ9の電圧は300Vとなるようにしているが、これは第1のチョークコイル4や第1のスイッチング素子6の動作周波数および導通時間を調整することで可変可能であることは言うまでもない。
第1の平滑コンデンサ9の電圧は昇圧回路8により任意の電圧に昇圧され、第2の平滑コンデンサ15を介してインバータ回路16に供給される。
昇圧回路8は、図3に示す動作波形のように、第2のスイッチング素子12がターンオンしている期間中に第2のチョークコイル10にエネルギーを蓄え、第2のスイッチング素子12がターンオフすると、第2のチョークコイル10に蓄えられたエネルギーが第4のダイオード14を介して第2の平滑コンデンサ15を充電することで昇圧動作をするものである。
本実施の形態では、第2のスイッチング素子12の動作周波数を20kHz、導通時間を25μsとして、第2の平滑コンデンサ15の電圧を700Vとしているが、第2のスイッチング素子12の動作周波数または導通期間を調整することでより高いまたは低い電圧を出力することができる。また、第2のスイッチング素子12は第3のダイオード(逆導通素子)13と第1のスナバコンデンサ11が並列に接続されているため、第2のスイッチング素子12をオフする時、第1のスナバコンデンサ11が傾きをもって充電開始し、第2のスイッチング素子12はZVSターンオフ動作を実現する。第2のスイッチング素子12がオフしている期間中に第1のスナバコンデンサ11は第2の平滑コンデンサ15と同じ電圧になると、第2の平滑コンデンサ15の電圧と同等の電圧に固定され、その後、第2の平滑コンデンサ15の電圧が第1のスナバコンデンサ11より高い電圧になると、第1のスナバコンデンサ11は放電を開始し、第1のスナバコンデンサ11が放電完了すると、第3のダイオード(逆導通素子)13がオンする。
本実施の形態では、図3に示すように、第1のスナバコンデンサ11の放電完了と同時に第2のスイッチング素子12がターンオンするように駆動する連続モードとしているが、第1のスナバコンデンサ11が放電完了してから所定の時間が経過してから、第2のスイッチング素子12をターンオンしても問題ない。また、第1のスナバコンデンサ11が放電完了する前に第2のスイッチング素子12をターンオンしても動作可能であるが、その場合、第2のチョークコイル10に流れていた電流が急激に第2のスイッチング素子12に流れ込むため損失が増加してしまう。このため、本実施の形態では、第1のスナバコンデンサ11が放電完了すると同時に第2のスイッチング素子12をターンオンしている。
以上が図1に示した昇圧回路8の1周期の動作である。力率改善回路3の出力にあたる第1の平滑コンデンサ9が、昇圧回路8によって図3(d)に示すように昇圧され第2の平滑コンデンサ15に出力される。
昇圧回路8によって昇圧された第2の平滑コンデンサ15の電圧はインバータ回路16に供給される。インバータ回路16は図4に示すように、第3のスイッチング素子17および第4のスイッチング素子18のオン・オフによって加熱コイル22に所定の周波数の高周波電流を発生するように動作させる。第3のスイッチング素子17がオンしている状態から、オフすると第2のスナバコンデンサ21が傾きをもって放電するため、第3のスイッチング素子17はZVSターンオフ動作を実現する。第2のスナバコンデンサ21が放電しきると、第6のダイオード(逆導通素子)20がオンし、第6のダイオード(逆導通素子)20がオンしている期間中に第4のスイッチング素子18のゲートにオン信号を加えると、第6のダイオード(逆導通素子)20がターンオフして第4のスイッチング素子18に電流が転流し、第4のスイッチング素子18はZVS&ZCSターンオフ動作を実現する。第4のスイッチング素子18がオンしている状態からオフすると、第2のスナバコンデンサ21は傾きをもって充電するため、第4のスイッチング素子18はZVSターンオフ動作を実現する。前記第2のスナバコンデンサ21が、第2の平滑コンデンサ15と同じ電圧まで充電されると第5のダイオード(逆導通素子)19がオンし、第5のダイオード(逆導通素子)19がオンしている期間中に第3のスイッチング素子17のゲートにオン信号を加えると、第5のダイオード19がターンオフして第3のスイッチング素子17に電流が転流し、第3のスイッチング素子17はZVS&ZCSターンオン動作を実現する。
以上が図1に示したインバータ回路16の1周期の動作である。本実施の形態では、第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18は第2の平滑コンデンサ15を短絡しないためにもデッドタイム2μsの間隔を設けて、交互にオン・オフさせている。図4に示す波形では、第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18の導通時間は共にデッドタイムを含めて25μsで、インバータ回路16の動作周波数は50kHzとしているが、動作周波数および導通時間を調整することで、高周波電力の制御が可能である。ただし、本実施の形態では、図6に示すように、昇圧回路8とインバータ回路16の動作周波数は同一となるように制御されている。
以上のように、本実施の形態においては、昇圧回路8とインバータ回路16の動作周波数を同一に設定する、つまり昇圧回路8とインバータ回路16の動作周波数差Δfをゼロに設定することにより、昇圧回路8とインバータ回路16に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音の周波数はゼロとなり、干渉音を聞こえなくすることが可能となり、かつ力率改善回路3の動作周波数を昇圧回路8およびインバータ回路16の動作周波数より少なくとも可聴周波数以上高く設定することにより、力率改善回路3の動作周波数と昇圧回路8およびインバータ回路16の動作周波数差が可聴周波数以上となり、力率改善回路3と昇圧回路8およびインバータ回路16に含まれる複数のインダクタから生じる高周波磁界が干渉し合い、その周波数差に基づいて発生する干渉音の周波数は可聴周波数以上となり、前記干渉音を聞こえなくすることが可能となる。
従って、本実施の形態において力率改善回路3と昇圧回路8とインバータ回路16の動作周波数を、図6に示すように、可聴周波数以下もしくは可聴周波数以上となるように設定することで、干渉音を抑制または聞こえなくすると同時に、力率を改善して高調波を抑制しながら昇圧回路8およびインバータ回路16による高周波電力制御可能な誘導加熱装置となる。ただし、本実施の形態では、力率改善回路3の動作周波数を40kHz、昇圧回路8およびインバータ回路16の動作周波数を20kHzとしているが、力率改善回路3と昇圧回路8およびインバータ回路16の動作周波数差が可聴周波数以上(16〜20kHz)以上となるように設定される周波数であれば何ら問題ない。また、各回路のスイッチング素子の導通時間を周波数一定のままで可変させても干渉音の発生原因となることはなく、任意に設定可能である。
また、本実施の形態では、力率改善回路3と昇圧回路8とインバータ回路16のそれぞれの入力電圧は図5に示すようになり、力率改善回路3の入力電圧に相当する電圧実効値は昇圧回路8およびインバータ回路16の入力電圧の実効値より低くなるため、同じ性能のスイッチング素子を使用すると、力率改善回路3のスイッチング損失は昇圧回路8およびインバータ回路16のスイッチング損失より小さくなるため、力率改善回路3の動作周波数を昇圧回路8およびインバータ回路16より可聴周波数以上高く設定することにより高周波化に伴うスイッチング損失の増大を極力少なくすることができるし、力率改善回路3に含まれるチョークコイルの小型化・軽量化が可能である。
また、本実施の形態では、力率改善回路3に含まれる第1のスイッチング素子6が何らかの理由で故障し、コレクタ・エミッタ間が短絡状態になると、第1のチョークコイル4が飽和してしまい、入力電流が急激に増大し、第1の平滑コンデンサ9や第2のダイオード7など各部素子の急激な温度上昇または破壊を引き起こしてしまう。また第1のスイッチング素子6が何らかの理由で故障し、コレクタ・エミッタ間が開放状態になると、力率改善回路3で力率を改善できなくなる、つまり第1の平滑コンデンサ9が商用電源1より高くなるとダイオードブリッジである整流回路2のダイオードがオンできなくなり、入力電流が流れなくなる期間が発生するため、図1に示した誘導加熱装置の力率が著しく低下してしまう。そこで、保護回路42により第1のスイッチング素子6のコレクタ・エミッタ間電圧を検知して、駆動時に第1のスイッチング素子6の特性により決定されるオン電圧以上の電圧を検出(つまり第1のスイッチング素子6の短絡状態を検出)または非駆動時に前記オン電圧と略同じ電圧を検出(つまり第1のスイッチング素子6の開放状態を検出)することにより、第1のスイッチング素子6の故障を検出することが可能となり、第1のスイッチング素子6の故障を検出すると昇圧回路8およびインバータ回路16の動作を停止することで各部の素子を保護することが可能である。
また、図1に示した力率改善回路3、昇圧回路8、インバータ回路16に限定するものではなく、各回路と同様の機能を有する回路方式でも同様の効果が得られるものである。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、インバータ回路と昇圧回路と力率改善回路の各動作周波数差に起因して発生する干渉音を抑制する、または聞こえなくすることが可能であるので、誘導加熱調理器としてはもちろんのこと、誘導加熱式コピーローラー、誘導加熱式溶解炉、誘導加熱式ジャー炊飯、またはその他の誘導加熱式加熱装置としても有用である。
本発明の実施の形態における誘導加熱装置の回路図 同誘導加熱装置における力率改善回路の動作波形図 同誘導加熱装置における昇圧回路の動作波形図 同誘導加熱装置におけるインバータ回路の動作波形図 同誘導加熱装置における各部の電圧波形図 同誘導加熱装置における各回路の動作波形図
符号の説明
1 商用電源
3 力率改善回路
8 昇圧回路
16 インバータ回路
25 第1の制御部
31 第2の制御部
36 第3の制御部

Claims (6)

  1. 商用電源整流後に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって力率を改善する力率改善回路と、前記力率改善回路の出力に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって前記力率改善回路の出力以上の電圧に昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力に接続され、スイッチング素子のオン・オフによって高周波電流を発生させるインバータ回路とを有し、前記力率改善回路と前記昇圧回路と前記インバータ回路の動作周波数差をゼロまたは可聴周波数以上に設定した誘導加熱装置。
  2. 昇圧回路の動作周波数はインバータ回路の動作周波数と同一とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 昇圧回路とインバータ回路の動作を1つのマイコンで制御する請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
  4. 力率改善回路は動作周波数を昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数より高く設定する請求項1に記載の誘導加熱装置。
  5. 力率改善回路の動作周波数を昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数との差が少なくとも可聴周波数以上となるように昇圧回路およびインバータ回路の動作周波数より高い周波数で動作する請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  6. 力率改善回路におけるスイッチング素子のコレクタ・エミッタ間の電圧を検知して、駆動時にスイッチング素子特性により決定されるオン電圧以上の電圧を検出または非駆動時に前記オン電圧と略同じ電圧を検出すると、昇圧回路およびインバータ回路の動作を停止する請求項1に記載の誘導加熱装置。
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