JP2001106700A - 新規なペンタペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents

新規なペンタペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤

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Kunio Suetsuna
邦男 末綱
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アサリ貝肉質の蛋白質分解酵素の分解液から、
アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する新規なペン
タペプチドを提供する。 【構成】アサリ貝肉質を蛋白質分解酵素等で処理し、新
規なアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペンタ
ペプチドAla−Leu−Ala−Pro−Gluであ
り、生体内での血圧降下作用を有し、毒性も極めて低
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品として有用性を
有する下記アミノ酸の配列のペプチド構造を有するペン
タペプチドならびにそのペンタペプチドを有効成分とす
るアンジオテンシン変換酵素阻害剤に関する。 Ala−Leu−Ala−Pro−Glu (式中、アミノ酸残基を表す各記号は、アミノ酸化学に
おいて慣用の表示法によるものである。)
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】レニン
−アンジオテンシン系が生体の水・電解質及び血液の調
節に重要な役割を果たしていることはよく知られてい
る。このレニン−アンジオテンシン系にはアンジオテン
シン変換酵素(以下ACEと略記する。)が存在し、ア
ンジオテンシンIはACEによってアンジオテンシンI
Iに変換される。アンジオテンシンIIは強力な昇圧物
質で、血管、副腎皮質のみならず中枢神経系ならびに末
梢神経系に働いて血圧上昇を促す。又、ACEは、生体
内降圧物質であるブラジキニンを分解し、不活性化する
作用を有し、昇圧系に関与している。従って、ACEの
活性を阻害することによって血圧を降下させることが可
能であり、又、そのことは臨床的に高血圧の予防、治療
に有効であると考えられている。この目的のためプロリ
ン誘導体であるカプトリルが合成され、その降圧作用が
確認されて以来、カプトリルの構造研究に基づく種々の
ACE阻害物質の合成研究が盛んに行われ、最近ではマ
レイン酸エナラブリルやアラセブリル等の物質が、次々
と臨床の場に供されている。現在、ACE阻害剤は、高
血圧は、本態性高血圧症、病候性高血圧症を問わず、
又、軽症、重症を問わず、幅広く用いられ、高血圧症の
第一次選択の治療薬中に加えられ、多く優れた点を有す
ることが見出されている。一方、ACE阻害物質の作用
機序としては、アンジオテンシンIIの産生抑制による
アルドステロンやバソプレッシンの分泌抑制、又、腎動
脈収縮の解除によるナトリウムや水の排泄促進が考えら
れている。更に、ACE阻害物質については、それがカ
リクレン−キニン系の不活性化を抑制し、プロスタグラ
ンジン系を賦活させることにより末梢血管拡張やナトリ
ウム及び水の排泄を更に促進させると考えられており、
心不全の悪循環を断つ上で合目的な治療薬として期待さ
れている。ところで、ACE阻害物質としては、上記の
合成品の他に天然物又は天然物由来の物質として蛇毒由
来のブラデイキニン増強因子(C末端がPro)[S.
H,Ferreia et al:Biochemis
try,9,3583(1970)]、ゼラチンのコラ
ゲナーゼ消化物由来の6種類のペプチド(いずれもC末
端がAla−Hyp)[G.Oshima et a
l:Biochim.Biophs.Acta,56
6,128(1979)]、牛カゼインのトリプシン消
化物由来のペプチド(C末端がGly−Lys)[S.
Maruyama et al.:Agric.Bio
l.Chcm.,46,1393(1983)]等に始
まり本発明者等のイワシ筋肉由来の5種のヘクサペウチ
ド(いずれもC末端から2番目又は3番目がPro、N
末端がLeu)[特許第2046483号]、海苔由来
のテトラペプチド(N末端がPro)[特許第2678
180号]並びにペンタペプチド[特開平10−363
91]、朝鮮人参由来のペンタペプチド[特許2920
829号]、クロレラ由来のペンタペプチド[特願平1
0−185530号]が挙げられ、いずれもACE阻害
剤となり得ることが開示されている。更に、合成法によ
り得た鎖長の短いジ、トリペプチド[特開平6−878
86号][特開平6−16568号]についての提案は
行われているが、規則性を持ったアミノ酸配列を有する
鎖長の長いペプチドのACE阻害作用並びに経口投与に
よる降圧効果(薬理効果)は不明であり、発見されてか
ら長時間経過しているが、未だ医薬品としての開発が進
んでいるとの報告はない。食品の場合には鈴木らが大
豆、茶類、貝類、果実類などでACE阻害活性を認めて
いる[鈴木健夫、石川宣子ら;農化,57,1143
(1983)]が、これまでに食品素材として広く利用
されているアサリ貝にACE阻害物質があることは知ら
れていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決するために鋭意研究した結果、貝類の一種である
アサリ貝から得られた、本発明の新規なペンタペプチド
が血圧降下作用を有することを見出し、本発明を完成す
るに至った。即ち、アサリ貝肉質の蛋白質分解酵素の分
解液から薬理作用を有する物質を検索し、新規なペンタ
ペプチドが強いアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有
することを見い出した。そして、このペンタペプチドを
医薬として実用化するための研究を鋭意行い、その結
果、このペンタペプチドが血圧降下作用を有し、天然物
由来のアンジオテンシン変換酵素阻害剤としての有用性
を見い出した。本発明は係る知見に基づくものである。
本発明に係る新規なペプチドは、次式 Ala−Leu−Ala−Pro−Glu で示されるL体のアミノ酸配列で表される新規なペンタ
ペプチドであり、常温における性状は白色の粉末であ
る。
【0004】前記の新規なペンタペプチドは、化学的に
合成する方法またはアサリ貝肉質の蛋白質分解酵素の分
解液から分離精製する方法をあげることができる。本発
明に係る新規なペンタペプチドを化学的に合成する場合
には、液相法または固相法等の通常の合成方法によって
行うことができるが、好ましくは、固相法によってポリ
マー性の固相支持体へ前記ペンタペプチドのC末端側
(カルボキシル末端側)からそのアミノ酸残基に対応し
たL体のアミノ酸を順次ペプチド結合によって結合して
行くのが良い。そして、そのようにして得られた合成ペ
ンタペプチドは、トリフルオロメタンスルホン酸、フッ
化水素などを用いてポロマー性の固相支持体から切断し
た後、アミノ酸側鎖の保護基を除去し、逆相系のカラム
を用いた高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC
と略記する)などを用いた通常の方法で精製することが
できる。
【0005】上記したように、本発明に係る新規なペン
タペプチドは、アサリ貝の肉質の蛋白質分解酵素の分解
液から分離精製することができるが、その場合には、例
えば以下のようにして行うことができる。上記の新規な
ペンタペプチドを含有しているアサリ貝の肉質を用いて
加水分解する。加水分解は常法に従って行う。例えば、
ペプシン等のタンパク質分解酵素で加水分解する場合
は、アサリ貝の肉質ホモジネートを必要とあれば更に加
水分解した後、酵素の至適温度まで加温しpHを至適値
に調整し酵素を加えてインキュベートする。次いで必要
に応じ中和した後、酵素を失活させて加水分解液を得
る。その加水分解物を濾紙および/またはセライト等を
用いて濾過することによって不溶性成分を除去し、その
得られた濾液をセロファンなどの半透膜を用いて適当な
溶媒(例えば、水、トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液
の中性の緩衝液等)中で十分に透析し、その濾液中の成
分で半透膜を通過した成分を含む溶液を強酸性陽イオン
交換樹脂(例えば、ダウケミカル社製のDowex 5
0W等)にかけ、その吸着溶出分画からアンジオテンシ
ン変換酵素(以下、ACEと略記する)阻害活性を有す
る成分を含有する分画を得、その得られたACE阻害活
性分画をゲル濾過(例えば、ファルマシア社製のSep
hadex G−25など)によって分画し、その得ら
れたACE阻害活性分画を陽イオン交換ゲル濾過(例え
ば、ファルマシア社製のSP−Sephadex C−
25など)によって分画し、その得られたACE阻害活
性分画を更に逆相HPLCによって分画することによっ
て行うことができる。
【0006】本発明に係る新規なペンタペプチドの製法
において用いる貝類としては、本発明の目的を達成でき
る限りいかなる貝類を用いても良いが、好ましくはアサ
リ貝の肉質を用いるのが良い。以上のようにして得られ
た本発明の新規なペンタペプチドは、静脈内へ繰り返し
投与を行った場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキ
シーショックを起こさせない。又、本発明の新規なペン
タペプチドはL−アミノ酸のみの配列構造からなり、投
与後、生体内のプロテアーゼにより徐々に分解される
為、毒性は極めて低く、安全性は極めて高い(L
50〉5000mg/kg;ラット経口投与)。本発
明に係る新規なペンタペプチドは、通常用いられる賦形
剤等の添加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤等に調整することができる。投与方法として
は、通常は、ACEを有している哺乳類(例えば、ヒ
ト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは経口投
与することがあげられる。投与量は、例えば、動物体重
当たりこのペンタペプチドを0.01〜10mgの量で
ある。投与回数は、通常1日1〜4回程度であるが、投
与経路によって、適宜、調整することができる。
【0007】上記の各種製剤において用いられる賦形
剤、結合剤、潤沢剤の種類は、とくに限定されず、通常
の注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用
いられるものを使用することができる。錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤に用いる添加物としては、下記のもの
をあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロー
ス等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、デンプ
ン類、無水リン酸カルシウム等;結合剤としてはでんぷ
ん類、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ等;崩壊剤
としてはカルボキシメチルセルロースおよびそのカリウ
ム塩類;潤滑剤としてはステアリン酸およびその塩類、
タルク、ワックス類を挙げることができる。又、製剤の
調整にあたっては必要に応じメントール、クエン酸およ
びその塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注
射用の無菌組成物は、常法により、本発明の新規なペン
タペプチドを、注射用水、生理食塩水およびキシリトー
ルやマンニトールなどの糖アルコール注射液、プロピレ
ングリコールやポリエチレングリコール等のグリコール
に溶解または懸濁させて注射剤とすることができる。こ
の際、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添
加することができる。本発明の新規なペンタペプチドを
含有する製剤は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用
時、通常の溶解剤、例えば水または生理食塩液に溶解し
て用いることもできる。
【0008】本発明に係る新規なペンタペプチドは優れ
たアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有し、血圧降下
作用、ブラジキニン不活化抑制作用を示す。従って、本
態性高血圧、腎性高血圧、副腎性高血圧等の高血圧症の
予防、治療剤、これらうっ血性心不全に対する臓器循環
の正常化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心
不全の治療剤として有用である。
【0009】
【実施例】以下に実施例として、製造例および試験例を
記載し、本発明を更に詳細に説明する。製造例1 アサリ貝の肉質100gに脱イオン水200mlを加
え、ホモジナイズしたアサリ貝の肉質懸濁液を得た。透
析チューブ(36 inch,和光純薬工業製)に詰
め、流水に対して3日間透析を行い透析内液を得た。こ
の内液を1N塩酸にてpHを2.0に調整し、ペプシン
(メルク社製、酵素番号EC3.4.23.1)0.8
gを添加し、37℃、20時間撹拌しながら加水分解を
行った。分解反応液を直ちに限外濾過膜(アミコン社
製、YM10型、φ76mm)に通過させ、通過液をD
owex50W×4[H]カラム(φ4.5×20c
m)に加えた。そのカラムを脱イオン水で十分洗滌した
後、2N水酸化アンモニウム液500mlを用いて溶出
した。減圧濃縮によりアンモニアを除去し、濃縮液40
mlを得た。この濃縮液4mlを予め脱イオン水で緩衝
化したSephadexG−25(φ2.3×140c
m)に負荷し、流速30ml/hr)各分画量8.6m
lでゲル濾過を行った。その結果は図1のとおりであ
る。ゲル濾過を繰り返して大量分取したACE阻害活性
の高い分画を集め凍結乾燥してペプチド粉末とした。こ
のペプチド粉末3gを20mlの脱イオン水に溶解後、
予め、脱イオン水で緩衝化したSP−Sephadex
C−25[H]カラム(φ1.5×47.2cm)に
負荷し、脱イオン水500mlから1.5%塩化ナトリ
ウム500mlの濃度勾配法を行い、流速90ml/h
r、各分画量10mlでクロマトグラフィーを行った。
その結果は図2のとおりである。上記クロマトグラフ
中、分画番号18〜31のACE阻害活性分画を集めて
凍結乾燥して精製ペプチド粉末(SP−1画分)を得
た。この精製ペプチド粉末20mgを60μlの脱イオ
ン水に溶解した後、高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)を行った。カラムとしては野村化学社製Deve
losil ODS−5(4.5mmID×25cm
L)を使用し、移動相としては0.05%トリフルオロ
酢酸(以下、TFAと略記する)から25%アセトニト
リル/0.05%TFAの濃度勾配法を行い、流速1.
0ml/min検出波長220nmでクロマトグラフィ
ーを行い、ACE阻害作用を有するペプチドフラグメン
トを得た。その結果は図3に示すとおりであり、HPL
Cでの溶出時間は48.4分である。このようにして得
られたACE阻害作用を有するペプチドフラグメントの
アミノ酸配列は、アプライドバイオシステム(ABI)
社製のプロテインシークエンサー477A型を用いて決
定された。その結果、本発明に係る新規なペプチドは、
次式 Ala−Leu−Ala−Pro−Glu で示されるL体のアミノ酸配列で表される新規なペンタ
ペプチドであることが確認された。常温における性状は
白色の粉末である。尚、本発明に係る新規なペンタペプ
チドをACE阻害剤として、例えば錠剤に製剤する場合
には、常法に従って、例えば次のように処理すればよ
い:ペプチド12g、乳糖86g、コーンスター
チ28g、ステアリン酸マグネシウム1gを原料と
し、先ず、及び16gのコーンスターチを混和し、
6gのコーンスターチから作ったペーストとともに顆粒
化し、この顆粒に4gのコーンスターチととを加え、
得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤1000個
を製造する。
【0010】製造例2 本例は、合成法による製造例である。 Ala−Leu−Ala−Pro−Gluの合成法 アプライドバイオシステム社製のペプチド自動合成装置
430A型を用いた固相法によって当該ペプチドを合成
した。固相担体としては、スチレンジビニルベンゼン共
重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂
を使用した。まず、当該ペンタペプチドのアミノ酸配列
に従って、常法どおり、そのC末端側のグルタミン酸か
らクロロメチル樹脂に反応させペプチド結合樹脂を得
た。この時のアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以
下、t−Bocと略記する)基で保護されたt−Boc
アミノ酸を使用した。次にこのペプチド結合樹脂をエタ
ンジチオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁
し、室温で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸
を加え、更に10分間撹拌した。この混合液にトリフル
オロメタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌し
た後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分
離し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減
圧下で乾燥した。このようにして得られた未精製の合成
ペプチドは蒸留水に溶解した後、逆相系のカラムC18
(5μm)を用いたHPLCにより精製した。移動相と
して(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.1%
TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液が7
0分間で98%→48%の濃度勾配法により流速1.5
ml/minでクロマトグラフィーを行った。紫外部波
長216nmで検出し、最大の吸収を示した溶出画分を
分取し、これを凍結乾燥することによって目的とする合
成ペプチドを得た。
【0011】この合成ペプチドをマススペクトルにより
分析した結果、次式 Ala−Leu−Ala−Pro−Glu なるアミノ酸配列構造を有するペンタペプチドであるこ
とが確認された。このマススペクトルの結果は図4に示
すとおりである。合成によって得られた本発明のペンタ
ペプチドは、以下に示す試験によって薬理効果が確認さ
れた。
【0012】試験例1(アンジオテンシン変換酵素阻害
活性測定法)ACE(シグマ社製、酵素番号EC3.
4.15.1)2.5mU、合成基質Hippuryl
−L−histidyl−L−leucine(ペプチ
ド研究所製)12.5mMを用いLiebennanの
測定法を改良した山本等の方法[日胸疾会誌,18,2
97−302(1989)]に準じて測定した。すなわ
ち、生成した馬尿酸を酢酸エチルにて抽出し225nm
の吸光度で測定した。被検液での吸光度をEs、被検液
の代わりに緩衝液を加えた時の値をEc、予め反応停止
液を加えて反応させた時の値をEbとして次式から阻害
率を求めた。 阻害率(%)=(Ec−Es)/(Ec−Eb)×10
0 ACE阻害剤の阻害活性IC50値は、ACEの酵素活
性を50%(阻害率)阻害するために必要な試料の濃度
(M)で示した。本発明に係る新規なペンタペプチドの
牛肺血清のアンジオテンシン変換酵素に対する阻害活性
(IC50値)は167.5μMである。
【0013】試験例2 (高血圧自然発症ラットへ投与時の降圧効果)実験動物
は日本チャールズ・リバー社より15週令雄性高血圧自
然発症ラット(以下、SHRと略記する。)を購入し、
1週間の予備飼育後、収縮期血圧が160mmHg以上
(体重280−330g)の動物6匹1群として用い
た。ラットは、室温23±2℃、湿度55±10%およ
び12時間明暗(午前6時〜午後6時点灯)に調整され
た飼育室でステンレスワイヤー製ラット用個別ゲージに
1匹ずつ収容し飼育した。飼料はオリエンタル酵母社製
MF粉末飼料を、飲水は自家揚水(水道水質基準適合)
をそれぞれ自由に摂取させた。血圧は非観血的尾動脈血
圧測定装置(理研開発社製、PS−100型)を用いt
ail−cuff法により、投与前、投与後1時間、2
時間、3時間、4時間および6時間のSHRの尾動脈の
収縮期血圧値(mmHg)の測定を測定時間毎に5回行
い、得られた測定値の最高値と最低値を棄却し、3回の
平均値をもって各時間の測定値とした。合成ペンタペプ
チド200mg/kgをSHRに経口投与した時の収縮
期血圧値(mmHg)への作用についての結果は、図5
に示すとおりである。以上の試験の結果、本発明に係る
ペンタペプチドは、アンジオテンシン変換酵素阻害活性
を有し、in vivo(生体内)においても有意な血
圧降下作用を示すことが確認された。従って、本発明に
係るペンタペプチドは高血圧症の治療又は予防薬として
有用である。尚、本発明に係るペンタペプチドは、構造
的にそのアミノ酸配列を部分構造とするペプチドにおい
て、構造中に採用することもできる。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアサリ貝肉質のペプシン分解液
の、製造例1におけるSephadexG−25カラム
クロマトグラフィーによるACE阻害ペプチドの分離精
製の結果を示す図である。尚、図中、ボイドボリウム
(Vo)として分子量200万のブルーデキストラン及
び分子量1,355のビタミンB12をマーカーとして
用いた。
【図2】本発明に係るアサリ貝の肉質ペプシン分解液
の、製造例1におけるSP−SephadexC−25
(H+)カラムクロマトグラフィーによるACE阻害ペ
プチドの分離精製の結果を示す図である。
【図3】本発明に係るペンタペプチドの、製造例1にお
ける逆相HPLCによるACE阻害ペプチドの分離精製
の結果を示す図である。
【図4】本発明に係るペンタペプチドの、製造例2で得
られた合成ペンタペプチドのマススペクトルを示す図で
ある。
【図5】製造例2で得られた合成ペンタペプチド200
mg/kgを、SHRに経口投与した場合の収縮期血圧
値(mmHg)の経時的変化を示す図である。尚、図
中、対照降圧剤としてカプトプリル(10mg/kg
SHR)を、又、コントロールとして0.9%生理食塩
水3mlを用いた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式;Ala−Leu−Ala−Pr
    o−Glu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なペンタペプチド。
  2. 【請求項2】 次式;Ala−Leu−Ala−Pr
    o−Glu で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を
    有する新規なペンタペプチドを有効成分として含有する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
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