JP2001103932A - 甘草油性抽出物の可溶化製剤 - Google Patents

甘草油性抽出物の可溶化製剤

Info

Publication number
JP2001103932A
JP2001103932A JP28927899A JP28927899A JP2001103932A JP 2001103932 A JP2001103932 A JP 2001103932A JP 28927899 A JP28927899 A JP 28927899A JP 28927899 A JP28927899 A JP 28927899A JP 2001103932 A JP2001103932 A JP 2001103932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
licorice
preparation
oil extract
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28927899A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryoichi Tsukiyama
良一 築山
Shigeru Taniguchi
茂 谷口
Yoshio Takimoto
芳男 滝本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Higashimaru Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higashimaru Shoyu Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Higashimaru Shoyu Co Ltd filed Critical Higashimaru Shoyu Co Ltd
Priority to JP28927899A priority Critical patent/JP2001103932A/ja
Publication of JP2001103932A publication Critical patent/JP2001103932A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の甘草油性抽出物製剤に比べ、きわめて
使用しやすく、またその効力が安定して持続する甘草油
性抽出物の可溶化製剤を提供する。すなわち、水に澄明
な状態で溶解し、食品や化粧品等に使用しても溶解状態
を安定に維持することができ、その効力を長期にわたっ
て持続させることができる甘草油性抽出物の可溶化製剤
を提供する。 【解決手段】 甘草油性抽出物と、ショ糖脂肪酸エステ
ル又はキラヤ抽出物のいずれか一方又はその両方及びゼ
ラチンとを、水溶性アルコール溶液(好ましくはエタノ
ール溶液)に溶解させてなる甘草油性抽出物の可溶化製
剤。好ましくは上記の原料の他に、塩類又は尿素のいず
れか一方又はその両方を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘草油性抽出物の
可溶化製剤に関する。本発明の甘草油性抽出物の可溶化
製剤は、水に澄明な状態で溶解するので、従来の甘草抽
出物製剤に比べてきわめて使用しやすい。また本発明の
甘草油性抽出物の可溶化製剤は、その効力が安定して持
続するので、各種の工業製品に安心して使用できる。
【0002】
【従来の技術】甘草油性抽出物は、抗酸化力、酵素阻害
力、抗菌力等を有するので、従来から食品や化粧品等の
工業製品に多用されているが、水に溶解しない性質のた
めに、その応用範囲には制限がある。その解決手段とし
て、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エス
テルを用いる一般的な乳化技術を応用して甘草油性抽出
物を乳化製剤として添加することが可能である。また甘
草抽出物にHLB5以上のショ糖脂肪酸エステルを配合
して水に分散しやすい製剤として使用する方法が特公平
4−6688に開示されている。
【0003】しかしながら、これらの方法によって得ら
れる製剤は、いずれも水の中に分散させるものであり、
完全に溶解させるものではないため、澄明な製品に使用
することができない。また乳化状態のものは、添加した
製品の保存中に凝集し、その効果が低減する危険が大き
い。また甘草油性抽出物を完全に溶解させたときは、特
に抗菌成分が有効に利用され、効力の向上が期待できる
などの解決すべき課題が残されている。
【0004】水難溶性の物質を可溶化する技術として
は、香料については特公昭57−28258に、また色
素やビタミン等については特公昭58−51743に、
それぞれ開示されている。これらの技術は、水難溶性物
質に対してショ糖脂肪酸エステル及びエタノール等の水
溶性有機溶媒を添加する方法である。また、甘草油性抽
出物の利用形態として、特公平5−51561には、エ
タノール、ショ糖脂肪酸エステル及びキラヤ抽出物を用
いて食品用抗菌剤を作製する事例が開示されている。し
かしながら、上記のように甘草油性抽出物にエタノール
や乳化剤を添加するだけでは、その甘草油性抽出物製剤
を使用した食品や化粧品等の製品のpHや塩類或いは加
熱等の影響によって、比較的短時間のうちに凝集が生じ
やすく、抗菌効力の低下等製品の品質への悪影響が現れ
やすい。さらに、エタノールはその比重が軽いため、添
加したときに比重の高い原料と混合されにくい。このた
め、エタノールを添加した甘草油性抽出物を製品に添加
した場合、エタノールが飛散して、製品の表面に甘草油
性抽出物や乳化剤が凝集し、製品中に十分に溶解できな
いことがある。このように、従来の甘草油性抽出物製剤
は、その効力において満足できるものではなく、また使
用しにくい状態のものであった。このような背景から、
実際的にに使用しやすく、また添加した製品中で長期間
溶解した状態を保ち、その効力を安定して持続できる甘
草油性抽出物の可溶化技術の開発が望まれていた。
【0005】本発明者は、上記の事情に鑑み鋭意研究を
行なった結果、甘草油性抽出物を特定の乳化剤及びゼラ
チンと共にアルコール水溶液として食品や化粧品等の工
業製品に添加することによって、甘草油性抽出物を工業
製品中に溶解させることができると共に、溶解状態を長
期間安定に維持できることを見いだした。さらにゼラチ
ンは、添加する量によっては常温下でゲル化し、取り扱
いに不便を来すことがあるため、これを解消する方法を
検討し、食塩や酢酸ナトリウム等の塩類を併用すること
によって、この問題を解決できることを見いだした。ま
た塩類を添加すると比重が高くなり、甘草油性抽出物製
剤を製品中に添加したときに混合されやすくなることを
見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の甘草
油性抽出物製剤に比べ、きわめて使用しやすく、またそ
の効力が安定して持続する甘草油性抽出物製剤を提供す
ることを課題とする。すなわち、本発明は、水に澄明な
状態で溶解し、食品や化粧品等に使用しても溶解状態を
安定に維持し、その効力を長期にわたって持続させるこ
とができる甘草油性抽出物の可溶化製剤を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに、本発明のうち請求項1に記載の発明は、甘草油性
抽出物と、ショ糖脂肪酸エステル又はキラヤ抽出物のい
ずれか一方又はその両方及びゼラチンとを、水溶性アル
コール溶液に溶解させてなる甘草油性抽出物の可溶化製
剤である。
【0008】また本発明のうち請求項2に記載する発明
は、甘草油性抽出物と、ショ糖脂肪酸エステル又はキラ
ヤ抽出物のいずれか一方又はその両方及びゼラチン、並
びに塩類又は尿素のいずれか一方又はその両方を、水溶
性アルコール溶液に溶解させてなる甘草油性抽出物の可
溶化製剤である。
【0009】また本発明のうち請求項3に記載する発明
は、請求項1又は2に記載の可溶化製剤において、水溶
性アルコール溶液として、エタノール溶液を使用する甘
草抽出物の可溶化製剤である。
【0010】さらに本発明のうち請求項4に記載する発
明は、請求項2又は3に記載の可溶化製剤において、塩
類として、食塩、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム
の1種以上を使用する甘草油性抽出物の可溶化製剤であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の甘草油性抽出物の
可溶化製剤について詳細に説明する。尚、本発明の全説
明において、「%」の表示は、アルコール濃度を示す場
合は「容量/容量%」を表し、その他の場合は「重量/
容量%」を表す。
【0012】本発明において、甘草油性抽出物とは、甘
草又は甘草根もしくはこれらから甘味成分を抽出した残
渣を有機溶媒でさらに抽出したものである。甘草油性抽
出物を食品添加物や化粧品原料として使用する際には、
有機溶媒としてエタノールを使用することが好ましい。
また、陰イオン交換樹脂や合成吸着剤等の樹脂や活性炭
によって精製したものを使用しても差し支えない。甘草
油性抽出物は、バチルス・ズブチルス(Bacillus subti
lis )等の細菌に対して強い抗菌力を有する他、抗酸化
力、酵素阻害力等にも富む。
【0013】本発明に係る甘草油性抽出物の可溶化製剤
は、水又は液状の製品に1%程度添加すると、濁りを発
生せず、完全に溶解する。本発明に係る甘草油性抽出物
の可溶化製剤は、甘草油性抽出物と、ショ糖脂肪酸エス
テル又はキラヤ抽出物のいずれか一方もしくはその両方
とを、ゼラチンと共にエタノール等の水溶性アルコール
溶液に溶解させて製する。すなわち、本発明に係る甘草
油性抽出物の可溶化製剤の代表的な製法について説明す
ると、まず甘草油性抽出物をエタノールやプロピレング
リコール等の水溶性アルコール溶液に溶解させ、次い
で、その溶液中へショ糖脂肪酸エステル又はキラヤ抽出
物のいずれか一方又はその両方を添加しさらにゼラチン
を添加する。また使用の目的に応じて、無機塩又は有機
塩からなる塩類、さらには尿素を添加してもよい。しか
しながら、本発明に係る甘草油性抽出物の可溶化製剤
は、上記の製法に限定されるものではない。
【0014】本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルと
しては、エタノール又はその溶液に溶解できるものを選
択する必要がある。このため、モノエステル含量の高い
ショ糖脂肪酸エステルの使用が好ましいが、モノエステ
ル含量の低いショ糖脂肪酸エステルでも、エタノール又
はその溶液で処理した後のろ液を利用することができ
る。作業性や経済性等の面から、モノエステル含量が7
0%以上のものをエタノール溶液に溶解し、不溶物を除
去した後で使用するのがよい。ショ糖脂肪酸エステルの
使用量は、単独で使用するときは甘草油性抽出物重量の
ほぼ等量以上あればよく、好ましくは2倍量以上を使用
する。キラヤ抽出物と併用するときは、両者を併せて甘
草油性抽出物重量の2倍量以上とするのが好ましい。
【0015】本発明で使用するキラヤ抽出物は、食品添
加物既存リストにも掲載されているサポニンを主体とし
た抽出物であり、市販品を使用することが可能である。
キラヤ抽出物の添加量は、単独で使用する場合、キラヤ
抽出物として甘草油性抽出物重量のほぼ等量以上であれ
ばよく、好ましくは2倍量以上を使用する。例えばキラ
ヤ抽出物25%を含有する市販品を使用するときは、甘
草油性抽出物の重量のほぼ8倍量程度使用するのが好ま
しい。
【0016】また本発明で使用するゼラチンは、特に限
定はなく、市販品の、食品用ゲル化剤等として使用され
るものであればよい。ゼラチンの添加量は、甘草油性抽
出物重量のほぼ2倍量以上とするのが好ましい。
【0017】これらの原料を、水溶性アルコール溶液に
溶解させる。水溶性アルコール溶液としては、エタノー
ル溶液を使用するのが好ましい。水溶性アルコール溶液
のアルコール濃度は、特に限定されるものではないが、
製剤中の最終的な濃度としておよそ20%以上となるよ
うにするのがよく、製剤中に溶解することができる甘草
油性抽出物の濃度や安全性等の面から、40〜60%程
度に調整したものが使用しやすい。尚、この程度の濃度
のエタノール溶液に溶解しない甘草油性抽出物の成分
は、ろ過や遠心分離によって除去するか、又はプロピレ
ングリコール等の多価アルコールをエタノールと併用す
ることによって溶解させることができる。このときのプ
ロピレングリコール等の多価アルコールとエタノールを
併せた濃度は、やはり安全性等の面から40〜60%程
度とするのが好ましい。また有機酸塩特に酢酸ナトリウ
ム等は、抗菌作用を有するため、甘草油性抽出物の抗菌
性を利用して食品や化粧品用の保存性向上製剤とする場
合には、好適な材料である。
【0018】本発明においては、ゼラチンがその添加量
によっては常温でゲル化し、得られた甘草油性抽出物の
可溶化製剤が容器から取り出しにくくなる場合があるの
で、ゼラチンと共に、塩類又は尿素のいずれか又はその
両方を添加することが好ましい。塩類及び/又は尿素を
使用することによって、可溶化製剤のゲル化温度を低下
させ、常温でゲル化するのを防止できる。本発明で使用
する塩類としては、無機塩、有機塩のいずれでもよく、
両者を併用してもよい。無機塩としては食塩、有機塩と
しては酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の使用が
好ましい。例えば、50%エタノールに5%のゼラチン
を溶解したとき、15℃程度までゲル化しないようにす
るためには、食塩の場合はおよそ2%以上、酢酸ナトリ
ウムの場合はおよそ10%以上の添加量を目安とすれば
よい。
【0019】
【作用】本発明の甘草油性抽出物の可溶化製剤において
は、甘草油性抽出物にショ糖脂肪酸エステル又はキラヤ
抽出物のいずれか一方又はその両方を添加しさらにゼラ
チンを添加して、これらを水溶性アルコール溶液に溶解
させているので、甘草油性抽出物の溶解性が向上し、水
に澄明な状態で溶解させることができると共に、可溶化
製剤中の有効成分が加熱や保存によって凝集するのを防
止でき、可溶化製剤の効力を長期間にわたって持続させ
ることができる。さらに本発明の甘草油性抽出物の可溶
化製剤に塩類や尿素のいずれか又はその両方を併用した
場合には、常温下でのゼラチンのゲル化を防止できると
共に、製剤の比重が高くなって、製品中に混合しやすい
性状となる。このように本発明の甘草油性抽出物の可溶
化製剤は、きわめて使用しやすいと共に、水に澄明な状
態で溶解し、長期間にわたり効力を安定に持続させるの
で、化粧品や食品への利用範囲が大きく拡大する。
【0020】
【試験例1】《甘草抽出物の調製》新彊産の甘草をその
10倍量の水で一晩抽出した後固液分離し、残った残渣
を60℃の送風乾燥機で乾燥した。この乾燥物20kg
を85%エタノール10Lによって室温で20時間抽出
して、固形分を除去して抽出液を得た。この抽出液を減
圧下60℃以下で約1Lまで濃縮し、エタノール濃度8
5%になるように調整すると共に、液量を6Lにした。
この固形分濃度は2.0%であった。この液を甘草油性
抽出物溶液として用いて、以下の試験を行なった。
【0021】《甘草抽出物の可溶化製剤の調製》上記で
調製した甘草油性抽出物溶液100mLに乳化剤を0.
5〜8gを添加溶解した後それぞれ2等分した。その一
方は、10%エタノールで100mLに調整し、ゼラチ
ン無添加区の可溶化製剤を得た(固形分濃度約1%)。
他方には10%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製ニュー
シルバー)を添加して加温溶解した10%エタノール溶
液を加えて100mLに調整し、ゼラチン添加区の可溶
化製剤を得た。この甘草抽出物の可溶化製剤のエタノー
ル濃度は約50%、甘草油性抽出物濃度は約1%、乳化
剤濃度は0.25〜4%であり、またゼラチン添加区は
ゼラチン約5%を含有する。
【0022】《効果の判定》この可溶化製剤2mLを1
00mLの3%食塩を含んだpH5の0.1M酢酸緩衝
液中に注入し、攪拌後肉眼観察した。その後、90℃で
10分間加温し冷却後24時間放置して同様に観察し
た。尚、判定は、以下の基準で行なった。 判定基準 ○:澄明に溶解、 △:曇りが見える、うすく濁っている ×:沈殿がある、強く濁っている その結果、表1に示したように、ゼラチンを添加しない
区は、製剤を添加した直後は澄明に溶解しているもので
も、加熱冷却後24時間後には濁りを生じていることが
確認された。尚、この試験(表1)において使用したシ
ョ糖脂肪酸エステルのモノエステル含有量は、DKエス
テルSS(第一工業製薬(株)製)とモノスターP(三
菱化学フーズ(株)製)は、ともに95%以上であり、
DKエステルF160(第一工業製薬(株)製)は、約
70%以上である。またキラヤニンC100(丸善製薬
(株)製)は、キラヤ抽出物を25%含有する。
【0023】
【表1】 使用した乳化剤の種類(商品名)/ 乳化剤の濃度 /ゼラチン無添加区 ゼラチン添加区 透明性 透明性 添加直後 加温冷却後 添加直後 加温冷却後 24時間後 24時間後 a.ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルSS) 0.25% △ × △ ○ 1.0 ○ × ○ ○ 4.0 ○ △ ○ ○ b.ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF160) 0.25% △ × △ ○ 1.0 △ × △ △ 4.0 △ × △ △ c.ショ糖脂肪酸エステル(モノスターP) 0.25% △ × △ △ 1.0 △ × △ △ 4.0 ○ △ ○ ○ d.キラヤ抽出物(キラヤニンC100) 0.25% △ × △ △ 1.0 △ × △ △ 4.0 ○ △ ○ ○ e.DKエステルSSを1、キラヤニンC100を3の場合 4.0% ○ × ○ ○ f.乳化剤無添加 0% △ × △ △
【0024】
【試験例2】《甘草油性抽出物溶液の調製》新彊産の甘
草5kgと東北産の甘草5kgを混合して、これに95
%エタノール50Lを加え常温で抽出し、得られた抽出
液を約15Lまで濃縮し、その後エタノール濃度を70
%、液量を32Lに調整した。これをろ過して透明なろ
液を得た。このろ液は固形分2%を含有しており、これ
を甘草油性抽出物溶液として用いて、以下の製剤を作成
した。
【0025】《甘草油性抽出物製剤の調製》上記の甘草
油性抽出物溶液250mLに、ショ糖脂肪酸エステル1
0gを加えて混合溶解した。これに、別途ゼラチン50
gを63%エタノール400mLに加温溶解したもの
と、キラヤ抽出物20g及び食塩30gを加えてよく混
合し、さらに63%エタノールを加えて最終容量を1L
に調整して、これを製剤1とした。上記の製剤1の製法
を基本として、甘草油性抽出物溶液、ショ糖脂肪酸エス
テル、エタノール、ゼラチン、食塩、酢酸ナトリウムの
添加量を変えて、製剤2から製剤8を作製した。同様の
手法により、ゼラチン、食塩、酢酸ナトリウムを添加し
ないで、比較例1から比較例6を作製した。これらの配
合をまとめて表2に示す。尚、表2において、エタノー
ルは試料(製剤又は比較例)100mL中の容量(m
L)を表し、その他の原料は試料100mL中の重量
(g)を表す。
【0026】
【表2】 エタノー 甘草油性 ショ糖脂 キラヤ抽 ゼラチン 食塩 酢酸ナト ル 抽出物固 肪酸エス 出物 リウム 形分 テル 製剤1 約62.5 0.5 1 2 5 3 0 製剤2 約50 0.5 1 2 5 3 0 製剤3 約40 0.5 1 2 5 3 0 製剤4 約50 0.5 2.0 0 5 3 0 製剤5 約50 0.5 0 4 5 3 0 製剤6 約50 1 1.5 1.5 5 5 10 製剤7 約50 1 1.5 1.5 5 2.5 10 製剤8 約50 1 1.5 1.5 10 5 0 比較例1 約62.5 0.5 1 1 0 0 0 比較例2 約50 0.5 1 1 0 0 0 比較例3 約40 0.5 1 1 0 0 0 比較例4 約50 0.5 2.0 0 0 0 0 比較例5 約50 0.5 0 4 0 0 0 比較例6 約50 1 1.5 1.5 0 0 0
【0027】《効果の判定》表2の各試料を用いて、溶
解性試験及び溶解した溶液の保存試験を行なった。醤
油、みりん及びカツオ白だし等からなるストレートのそ
ばつゆ(食塩3.2%、Brix16、pH5.1 )に、製剤1から製
剤5及び比較例1から比較例5までは1%、製剤6から
製剤8及び比較例6は0.5%を添加し、いずれも、9
0℃で20分間保持し、その後ナイロンとポリプロピレ
ンからなるパウチに充填して密封後、水中にて冷却し
た。それぞれの試料について、冷却後の濁度と25℃で
6カ月保存後の濁度と沈殿の有無を測定し、表3の結果
を得た。尚、表3において、無添加対照品は、25℃に
保存していたものは1週間以内に腐敗したため、参考例
として、0℃で6カ月保存した無添加対照品の濁度及び
沈殿を記した。製剤1から製剤8まで及び比較例1から
比較例6までは、いずれも腐敗せずに甘草油性抽出物の
抗菌性の効果が確認できた。
【0028】
【表3】 濁度(加熱冷却後) 濁度(2カ月保存後) 沈殿の有無(2カ月 (ppm) (ppm) 保存後) 製剤1 1 2 ± 製剤2 1 3 ± 製剤3 1 3 ± 製剤4 1 3 ± 製剤5 1 2 ± 製剤6 1 3 ± 製剤7 1 2 ± 製剤8 1 4 ± 比較例1 5 15 +++ 比較例2 6 17 ++ 比較例3 6 14 +++ 比較例4 7 18 ++ 比較例5 6 20 ++ 比較例6 8 18 ++ 無添加対照 1 3 ± 沈澱の有無は、±;沈澱が僅かに見られる〜+++;多くの沈澱が認められる の意味である。
【0029】《保存後の抗菌効力の試験》製剤1と比較
例1の試料を用いて、上記2カ月保存後の試料の抗菌力
を、そばつゆによる希釈法によって試験した。すなわ
ち、それぞれの試料を攪拌混合後滅菌試験管に1mLか
ら9mLを分取し、新たに調製した製剤を添加していな
いそばつゆを9mLから1mLまで加えて、最終量を1
0mLにした。その後、バチルス・ズブチリス(Bacill
us subtilis )の芽胞液を3×103 /mLになるよう
に添加し、滅菌アルミキャップを施して90℃で10分
処理後さらに30℃で5日間保存した後、バチルス・ズ
ブチリスの増殖をみた。その結果、製剤1を添加した区
は、1/10に希釈したものでも腐敗しなかったが、比
較例1を添加した区では、4/10の希釈によって腐敗
が発生した。このことから、保存中に抗菌成分が凝集
し、試料中の抗菌力が大きく低下していることが伺われ
た。
【0030】
【実施例1】《甘草油性抽出物の可溶化製剤の調製例
1》新彊産の甘草根1.2kgに95%エタノール10
Lを添加し、常温下で20時間抽出し、ろ過して抽出液
を得た。これを濃縮して、50%のエタノール5Lに5
0℃で溶解し、活性炭(武田薬品工業(株)製の特製白
鷺)20gを加えて攪拌後ろ過した。この液を、あらか
じめ50%のエタノールで平衡化した合成吸着剤(三菱
化成(株)製HP−2MG)1Lを充填したカラムに通
液し、さらに50%エタノール2Lで洗浄した。その
後、75%のエタノール3Lを流すことによって吸着さ
れた成分を溶出し、濃縮することによって約50gの甘
草油性抽出物を得た。これを65%のエタノールに溶解
後わずかに溶解しない不溶物をろ過して除いた。このろ
液に、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業(株)製DKエ
ステルSS)60gを加え、加温して溶解した。一方、
65%エタノール500mLにゼラチン(新田ゼラチン
(株)製ニューシルバー顆粒)、キラヤ抽出物(丸善製
薬(株)製キラヤニンC100)60gを加えて加温溶
解した。両者を混合して約1Lの甘草油性抽出物の可溶
化製剤を得た。この製剤は、甘草油性抽出物約3%を含
有し、常温で柔らかいゲル状になるが、そのまま水に添
加して攪拌することによって、澄明に熔解し、化粧品や
食品の添加剤として使用できる。
【0031】
【実施例2】《甘草油性抽出物の可溶化製剤の調製例
2》実施例1と同様にして得られた甘草油性抽出物の固
形分40gをプロピレングリコール約80gに溶解し、
水蒸気蒸留によって脱臭した。その後、減圧下で濃縮
し、80gの甘草油性抽出物ペーストを得た。この甘草
油性抽出物ペーストに、65%エタノールを加えて1L
に調整し、わずかな不溶物をろ過して除去した。一方シ
ョ糖脂肪酸エステル(第一工業(株)製DKエステルF
160)150gを50%のエタノール2.5Lに添加
して攪拌しながら加温して懸濁液とし、冷却後遠心分離
して澄明な溶液2Lを得た。この液に、ゼラチン(新田
ゼラチン(株)製S4ゼラチン)200gを加えて約1
時間放置後、加温溶解し、次いでキラヤ抽出物(丸善製
薬(株)製キラヤニンC100)120g、食塩80
g、酢酸ナトリウム100g及びクエン酸ナトリウム5
0gを加えて溶解した。両方の液を混合し、35%エタ
ノールを用いて最終容量を4Lに調整して甘草油性抽出
物の可溶化製剤を作製した。この可溶化製剤は、甘草油
性抽出物1%を含有し、5℃程度までゲル化しないの
で、食品添加物として有用である。
【0032】
【実施例3】《甘草油性抽出物の可溶化製剤の調製例
3》試験例2で得られた甘草油性抽出物溶液2L(固形
分約40g)にブチレングリコール60gを加えて濃縮
し、次いで水蒸気蒸留によって脱臭した。その後、減圧
下で濃縮し、ブチレングリコールで重量を調整して、1
00gの甘草油性抽出物ペーストを得た。この甘草油性
抽出物ペーストに、65%エタノールを加えて1Lに
し、わずかな不溶物をろ過して除去した。この液にショ
糖脂肪酸エステル(第一工業(株)製DKエステルS
S)100gを加えて加温溶解した。一方、35%エタ
ノール1Lに、ゼラチン(新田ゼラチン(株)製ニュー
シルバー顆粒)100gと尿素100gを加えて加温溶
解した。両方の液を混合して、約2Lの甘草油性抽出物
の可溶化製剤を得た。この製剤は、甘草油性抽出物約2
%を含有しており、10℃程度までゲル化しないので、
化粧品用途に有用である。
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明は、
甘草油性抽出物にショ糖脂肪酸エステル又はキラヤ抽出
物のいずれか一方又はその両方と共に、ゼラチンを水溶
性アルコール溶液に溶解することによって得られる製剤
であって、甘草油性抽出物を食品や化粧品等の工業製品
中に可溶化できると共に、加熱や保存によって生じやす
い成分の凝集を防止することができる。また塩類や尿素
を添加すると、常温下でのゼラチンのゲル化を防止でき
ると共に、比重が高くなって、製品中にさらに溶解しや
すい甘草油性抽出物の可溶化製剤を得ることができる。
このように、本発明の甘草油性抽出物の可溶化製剤は、
きわめて使用しやすいと共に水に澄明な状態で溶解し、
その可溶化状態を長期間にわたって維持できるため、化
粧品や食品等の工業製品へ広く応用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝本 芳男 兵庫県龍野市龍野町富永100−3 ヒガシ マル醤油株式会社内 Fターム(参考) 4B016 LC07 LE05 LG16 LK01 LK03 LK05 LK08 LK10 LP02 4B018 MD01 MD08 MD09 MD18 MD20 MD30 MD48 MD63 ME09 MF01 MF02 4C083 AA111 AA112 AB271 AB331 AB332 AC061 AC101 AC102 AC122 AC241 AC242 AC301 AC681 AD221 AD222 AD431 AD432 CC01 DD23 DD31 DD38 DD41 EE03 EE07 EE12 4C088 AB51 AB60 AC06 AC11 BA09 BA13 CA06 MA08 MA70 NA02 ZA89 ZB35 ZC20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 甘草油性抽出物と、ショ糖脂肪酸エステ
    ル又はキラヤ抽出物のいずれか一方又はその両方及びゼ
    ラチンとを、水溶性アルコール溶液に溶解させてなる甘
    草油性抽出物の可溶化製剤
  2. 【請求項2】 甘草油性抽出物と、ショ糖脂肪酸エステ
    ル又はキラヤ抽出物のいずれか一方又はその両方及びゼ
    ラチン、並びに塩類又は尿素のいずれか一方又はその両
    方を、水溶性アルコール溶液に溶解させてなる甘草油性
    抽出物の可溶化製剤。
  3. 【請求項3】 水溶性アルコール溶液として、エタノー
    ル溶液を使用する請求項1又は2に記載の甘草油性抽出
    物の可溶化製剤。
  4. 【請求項4】 塩類として、食塩、酢酸ナトリウム、ク
    エン酸ナトリウムの1種以上を使用する請求項2又は3
    に記載の甘草油性抽出物の可溶化製剤。
JP28927899A 1999-10-12 1999-10-12 甘草油性抽出物の可溶化製剤 Pending JP2001103932A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28927899A JP2001103932A (ja) 1999-10-12 1999-10-12 甘草油性抽出物の可溶化製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28927899A JP2001103932A (ja) 1999-10-12 1999-10-12 甘草油性抽出物の可溶化製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001103932A true JP2001103932A (ja) 2001-04-17

Family

ID=17741110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28927899A Pending JP2001103932A (ja) 1999-10-12 1999-10-12 甘草油性抽出物の可溶化製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001103932A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7166311B2 (en) 2002-04-04 2007-01-23 Kaneka Corporation Process for producing fat composition containing hydrophobic components of glycyrrhiza
WO2013019049A1 (ko) * 2011-07-29 2013-02-07 한국생명공학연구원 스테비올 배당체 또는 감초, 및 난용성 물질을 포함하는 복합체

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7166311B2 (en) 2002-04-04 2007-01-23 Kaneka Corporation Process for producing fat composition containing hydrophobic components of glycyrrhiza
WO2013019049A1 (ko) * 2011-07-29 2013-02-07 한국생명공학연구원 스테비올 배당체 또는 감초, 및 난용성 물질을 포함하는 복합체

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101433962B1 (ko) 물질의 용해, 분산 및 안정을 위한 방법, 상기 방법에 따라제조된 제품 및 상기 제품의 이용
JPH05506458A (ja) ビタミンe含有栄養補給剤
US20100034956A1 (en) Highly Water Dispersible Powder and Production Method Thereof
NO328336B1 (no) Flytende vitamin C-konsentratblanding og anvendelse derav
JPH09510106A (ja) 安定かつ光学的に透明な組成物
CN107410295A (zh) 一种粒径小于100纳米的嘧菌酯水悬浮剂及其制备方法
JPH10291928A (ja) ソフトカプセル
JP4336979B2 (ja) アラビアガムの改質方法
JP2003113393A (ja) セラミド分散液、製造方法及び用途
JPH0741422A (ja) γ−オリザノールの水への可溶化方法
JP2006257010A (ja) α−リポ酸水溶性組成物、それを含む飲食品、化粧料及びその製造方法
JP2000312572A (ja) 蛋白飲料の沈殿防止剤
JP2001103932A (ja) 甘草油性抽出物の可溶化製剤
JPH06247853A (ja) 安定なビタミンa類及びビタミンe類可溶化点眼剤
JPS61212322A (ja) 脂溶性物質の水溶化製剤
JP2002003330A (ja) 化粧料
JP3653884B2 (ja) 油溶性物質可溶化組成物、その製法及び飲食品
JPH0132207B2 (ja)
JP6287123B2 (ja) ユビキノール含有液状組成物
JPS623748A (ja) 乳化液組成物
JP6971871B2 (ja) カプセル及びその製造方法、並びにカプセル入り化粧料及びその製造方法
JPH10327827A (ja) プロポリスエキス含有飲料及びその製造方法
JPH0316169B2 (ja)
WO2007046333A1 (ja) 乳化剤およびそれを用いて調製される乳化組成物
JPH0698729A (ja) 朝鮮人参エキス含有飲料とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070126

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070301