JP2001100581A - 加圧用回転体、加熱定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

加圧用回転体、加熱定着装置及び画像形成装置

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JP2001100581A
JP2001100581A JP27361399A JP27361399A JP2001100581A JP 2001100581 A JP2001100581 A JP 2001100581A JP 27361399 A JP27361399 A JP 27361399A JP 27361399 A JP27361399 A JP 27361399A JP 2001100581 A JP2001100581 A JP 2001100581A
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pressure roller
heat
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fixing
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Hikari Osada
光 長田
Takeshi Nakagawa
健 中川
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Canon Inc
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  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱履歴による外径と硬度変化を防ぐことがで
きる加圧用回転体を提供すること。 【構成】 内部に弾性層(弾性体)5bを有し、加熱体
(加熱手段)1と対向して該加熱体1との間に記録紙
(被加熱材)Pを圧接させる加圧ローラ(加圧用回転
体)5において、前記弾性層5bに該弾性層5bの硬化
剤で覆われた合成樹脂により形成された壁膜内が中空の
充填剤5cを含有する。発明によれば、合成樹脂により
形成された中空の充填剤5cによる断熱性を維持しつ
つ、加圧ローラ5の熱履歴による外径と硬度変化を防ぐ
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真プロセス
を用いる複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の
画像形成装置とこれに備えられる加熱定着装置及び加圧
用回転体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、転写式電子写真プロセスを用い
たレーザープリンタは、一般的には回転ドラム型の電子
写真感光体を所定の周速度(プロセススピード)で回転
駆動し、この回転感光体面を帯電手段によって所定の極
性・電位に帯電させ、その帯電面をレーザースキャナ部
から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画
素信号に対応して変調されたレーザー光で走査露光する
ことによって、回転感光体面に目的の画像情報に対応し
た静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像手
段によってトナー画像として現像し、給紙部側から回転
感光体の転写部に所定のタイミングで給紙させた紙に対
して前記トナー画像を転写手段によって転写する。その
後、このトナー画像(未定着画像)の転写を受けた紙を
定着手段に導入し、定着手段においてトナー画像を紙に
永久固着画像として定着させ、トナー画像が定着された
紙を画像形成物として出力する。
【0003】ところで、定着手段としては図4に示すロ
ーラ加熱方式を採用したものが従来から多く用いられて
きた。
【0004】即ち、図4は従来の加熱定着装置要部の断
面図であり、同図において、20は定着ローラであり、
この定着ローラ20はアルミニウム等の中空筒体状の芯
金の表面にPFA等の耐熱離型層を形成して構成され、
その内面からハロゲンヒータ21で加熱される。そし
て、この定着ローラ20の温度は温度検知素子22によ
って検知され、検知された温度に基づいて不図示の制御
回路によってヒータ21がON/OFFされ、これによ
って定着ローラ20が所定温度に保たれる。
【0005】又、上記定着ローラ20には加圧ローラ2
3が当接されており、トナー像Tを載せた紙Pが定着ロ
ーラ20と加圧ローラ23とのニップ部を通過すること
によってトナー像Tが溶融して紙P上に定着される。
【0006】しかし、ローラ加熱方式を採用する上記加
熱定着装置においては、定着ローラ20の熱容量が大き
く、発熱源としてのハロゲンヒータ21に通電して定着
ローラ20を常温状態から所定の定着温度に立ち上げて
温調状態にするまでにはかなりの時間を要するため、プ
リント信号を受けてから最初の1枚が排紙されるまでに
要する時間であるファーストプリントタイム(以下、F
PTと称する)が長くなってしまう。
【0007】又、定着ローラ20を常温状態から所定の
定着温度に一旦立ち上げた後にいつでも直ちに定着動作
を実行できるようにするためには、プリンタの不使用時
にもハロゲンヒータ21に通電して定着ローラ20を余
熱状態に維持する必要があること、発熱源としてのハロ
ゲンヒータ21は電気エネルギーを一旦は光にエネルギ
ー変換しているためにエネルギー効率が悪いこと等から
消費電力が大きいという問題がある。又、プリンタの不
使用時にもハロゲンヒータ21に通電して定着ローラ2
0を余熱状態に維持することは、定着ローラ20からの
放熱で機内を不必要に昇温させることにもなる。
【0008】そこで、このローラ加熱方式の問題を解消
するものとして、熱容量の小さな耐熱性フィルムを介し
て加熱体から紙へ熱を付与して加熱するフィルム加熱方
式を採用した加熱定着装置が提案されている(特開昭6
3−313182号、特開平2−157878号公報参
照)。
【0009】上記フィルム加熱方式を採用する加熱定着
装置は、加熱体と、この加熱体を支持する加熱体支持体
と、加熱体に密着する耐熱性フィルムと、この耐熱性フ
ィルムを介して紙を加熱体側に圧接させる加圧ローラと
を有している。
【0010】このフィルム加熱方式によれば、定着装置
全体の熱容量が小さく、且つ、紙は耐熱性フィルムのみ
を挟んで発熱体と対峙しているため、紙に対する熱の付
与が効率良く行われ、少ない消費電力でトナーの定着を
行うことが可能となる。又、熱容量が小さいために迅速
に定着装置を立ち上げることができ、ローラ加熱方式の
ように余熱状態を維持する必要がないために非プリント
時の消費電力と機内昇温を低く抑えることができる。
【0011】ところで、フィルム加熱方式を採用する加
熱定着装置では、通常は加圧ローラ側に駆動源を設けて
加圧ローラを回転駆動することによって加熱部材側の移
動体としての耐熱性フィルムを従動移動させており、定
着ニップ部に導入された紙は加圧ローラの回転駆動力で
搬送力が与えられ、紙は定着ニップ部を耐熱性フィルム
と共に狭持搬送される(加圧ローラ駆動方式については
特開平4−44075号〜44083号、204980
号〜204984号公報等参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】而して、フィルム加熱
方式を採用する加熱定着装置において、更なる消費電力
の削減及びFPTの短縮を図るためには加圧ローラの熱
伝導率を下げることが有効であり、加圧ローラの弾性層
に合成樹脂にて形成した壁膜内が中空の充填剤を含有さ
せて熱伝導率を下げることが有効である。
【0013】しかしながら、上記充填剤を含有した加圧
ローラを用いて加圧ローラ駆動方式の定着装置を構成し
た場合には次のような問題がある。即ち、加圧ローラは
定着動作時(特に連続動作時)には200℃以上にも達
するため、該加圧ローラの弾性体内部に含有する合成樹
脂によって形成した充填剤が熱により変性し、加圧ロー
ラの弾性体を劣化させるような物質や合成樹脂に含まれ
ていた不純物が溶出する。
【0014】上記状態で定着動作を続けた場合、加圧ロ
ーラの弾性体の劣化が進行するために加圧ローラの熱履
歴によってその硬度や外径が変化してしまう。
【0015】加圧ローラ駆動方式を採用する定着装置の
場合は、加圧ローラの径により定着ニップ部における紙
搬送速度が支配されるため、熱履歴によって搬送速度が
変化する変動現象が生じる。このため、熱履歴を受けて
外径が縮小した加圧ローラを用いた場合、転写部におけ
る紙搬送速度(所定のプロセススピード)に対して定着
装置の定着ニップ部における紙搬送速度が遅くなり、両
紙搬送速度に差が生じ、紙が転写部を所定のプロセスス
ピードで搬送されてトナー画像の転写を受けつつ転写部
を通り、その紙先端が定着装置の定着ニップ部に到達し
て定着ニップ部に狭持されると紙は転写部と定着装置の
定着ニップ部との間で撓みを生ずることとなり、定着ニ
ップ部に適正な角度で紙が突入しないため、又、撓みを
生じた紙が搬送路上部に接触する等するために画像が乱
れることとなる。
【0016】又、ローラ加熱方式を採用する定着装置に
おいては、加圧ローラの硬度が低下することに伴って次
のような問題が発生する。即ち、図5に示す加熱定着装
置において、加圧ローラ23の弾性層と定着ローラ20
の弾性層の硬度がほぼ等しい場合には加圧ローラ23と
定着ローラ20の圧接部(定着ニップ部)はほぼフラッ
トな形状となり、該定着ニップ部を通過して定着動作を
行った紙Pは湾曲することなく排紙される。
【0017】しかし、加圧ローラ23の硬度が低下した
場合、図6に示すように、定着ローラ20の弾性層が加
圧ローラ23の弾性層に食い込んで加圧ローラ23の弾
性層を大きく押し潰すため、定着ニップ部がR形状に形
成される。このため、定着を行った紙Pは定着ニップ部
のR形状に沿って湾曲していまい、紙Pにカールが発生
してしまう。そして、加圧ローラ23の硬度が更に低下
して定着ニップ部のRがきつくなった場合には、定着ロ
ーラ20と紙Pの分離がうまく行われず定着ローラ20
に紙Pが巻き付いて使用不能になる可能性もある。
【0018】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、熱履歴による外径と硬度変化
を防ぐことができる加圧用回転体と立ち上げ時間の短縮
と消費電力の低減及び安定した定着性の確保を実現する
ことができる加熱定着装置及び立ち上げ時間の短縮と消
費電力の低減及びブレのない良好な画像出力を実現する
ことができる画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、内部に弾性体を有し、加熱
手段と対向して該加熱手段との間に被加熱材を圧接させ
る加圧用回転体において、前記弾性体に該弾性体の硬化
剤で覆われた合成樹脂により形成された壁膜内が中空の
充填剤を含有することを特徴とする。
【0020】請求項2記載の発明は、内部に弾性体を有
し、加熱手段と対向して該加熱手段との間に被加熱材を
圧接させる加圧用回転体において、前記弾性体に該弾性
体の分散助剤で覆われた合成樹脂により形成された壁膜
内が中空の充填剤を含有することを特徴とする。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記硬化剤として珪酸、珪酸塩、炭酸塩、
カーボンブラック、消石灰、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム、酸化チタンの何れかを用いることを特徴とす
る。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記分散助剤として珪酸、珪酸塩、炭酸
塩、カーボンブラック、消石灰、酸化カルシウム、酸化
マグネシウム、酸化チタンの何れかを使用することを特
徴とする。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、前記合成樹脂を熱可塑性樹脂で構成
したことを特徴とする。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記合成樹脂をアクリロニトリル又は塩化
ビニリデンで構成したことを特徴とする。
【0025】請求項7記載の発明は、請求項1〜6記載
の加圧用回転体を加圧部材として用いて加熱定着装置を
構成したことを特徴とする。
【0026】請求項8記載の発明は、請求項7記載の加
熱定着装置を画像定着装置として用いて画像形成装置を
構成したことを特徴とする。
【0027】従って、請求項1〜6記載の発明によれ
ば、合成樹脂により形成された中空の充填剤による断熱
性を維持しつつ、加圧用回転体の熱履歴による外径と硬
度変化を防ぐことができる。
【0028】請求項7記載の発明によれば、加熱定着装
置の定着ニップ部における紙搬送速度を常に一定に保つ
ことができ、立ち上げ時間の短縮と消費電力の低減及び
安定した定着性の確保を実現することができる。
【0029】請求項8記載の発明によれば、画像形成装
置の転写部と定着ニップ部における紙搬送速度を常に一
定にすることができ、立ち上げ時間の短縮と消費電力の
低減及びブレのない良好な画像出力を実現することがで
きる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0031】<実施の形態1>図1は本発明に係る加熱
定着装置要部の断面図であり、本実施の形態に係る加熱
定着装置は、加熱体1と、この加熱体1を支持する加熱
体支持体4と、加熱体1と加熱体支持体4に外嵌された
エンドレスの耐熱性フィルム3と、加熱体1との間で耐
熱性フィルム3を挟んで定着ニップ部を形成する加圧ロ
ーラ5を有している。尚、図1において、Pは記録紙で
あり、この記録紙P上にはトナーTが担持されている。
【0032】ここで、上記耐熱性フィルム3は内周長が
加熱体1及び加熱体支持体4の外周に対して余裕をもっ
て外嵌されており、従って、この耐熱性フィルム3は加
熱体1と加熱体支持体4とにガイドされて回転する。
尚、耐熱性フィルム3は、厚さ20〜100μmのポリ
イミド樹脂から成る基体とこの基体の上に設けられたP
TFE、PFA等のフッ素樹脂から成る離型層とで構成
されている。
【0033】又、加熱体1は、アルミナ等の良熱伝導性
の耐熱絶縁基板と、この基板の表面にスクリーン印刷等
により塗工された例えばAg/Pd(銀パラジウム)等
の電気抵抗材料から成る厚み約10μm、幅1〜3mm
の電気抵抗層と、この電気抵抗層の上にコートされたガ
ラスやフッ素樹脂等から成る保護層を有している。
【0034】そして、加熱体1の表面には温度検知手段
としてのサーミスタ2が配置されており、このサーミス
タ2は、図2のブロック図に示すように、A/D変換器
11を介して温度制御手段としてのCPU10に接続さ
れている。
【0035】上記CPU10はトライアック12を介し
て加熱体1への通電を制御するが、この通電制御は例え
ばAC電圧を位相制御又は波数制御することによって行
われる。即ち、CPU10は、サーミスタ2から出力さ
れてA/D変換器11でA/D変換された加圧ローラ5
及び加熱体1の温度情報信号に基づいてトライアック1
2により加熱体1への通電を制御する。
【0036】加圧ローラ5は、芯金5aとこの芯金5a
の周囲に設けられた耐熱性の高い弾性層5bとで構成さ
れており、弾性層5bには耐熱性を考慮して一般的には
シリコーンゴムが用いられる。
【0037】而して、本実施の形態に係る加熱定着装置
における加圧用回転体としての加圧ローラ5は、弾性層
5b中に内部が中空の充填剤(内部に空気(気体)を含
む充填剤)5cを含んでいる。この加圧ローラ5は、鉄
やアルミニウム等の芯金5aをブラスト等の表面粗し処
理を行った後に洗浄を行い、次いでその芯金5aを筒型
に挿入し、液状のシリコーンゴムと該シリコーンゴムの
補強剤をまぶした充填剤5cを型内に注入してこれを加
熱硬化させて弾性層5bを形成することによって得られ
る。
【0038】弾性層5bに充填した充填剤5cは、具体
的には外殻が塩化ビニリデン或はアクリロニトリル等の
熱可塑性の合成樹脂であって、本実施の形態では外殻材
質をアクリロニトリル樹脂とし、真密度が約35Kg/
3 、平均粒径約100μmの充填剤(松本油脂製薬株
式会社製マツモトマイクロスフェアーF−80S)をシ
リコーンゴムに対して3%Wt使用した。又、シリコー
ンゴムの補強剤としてはカーボンブラック、珪酸(シリ
カ)、珪酸塩、炭酸塩、消石灰、酸化カルシウム、酸化
マグネシウム又は酸化チタンを使用することができる
が、本実施の形態では珪酸(シリカ)を充填剤と同じく
シリコーンゴムに対して3%Wt用いた。
【0039】上記充填剤を予めシリコーンゴムの補強剤
であるシリカにまぶしてから液状シリコーンゴムに混合
することにより、充填剤外殻周囲のシリコーンゴムの補
強がなされる。
【0040】次に、加圧ローラ5の表面に離型層を設け
るためにPFAチューブを被せたり、フッ素ゴムラテッ
クス或はPTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂のコ
ーティングを通常行うが、本実施の形態ではフッ素ゴム
ラテックスのコーティングによって厚さ10μmの離型
層を形成した。このときの弾性層5bの熱伝導度は2.
3E−4cal/sec・cm・℃であった。
【0041】実際に、内部が中空になる充填剤とシリコ
ーンゴムの補強剤とを分散させた加圧ローラ、内部が中
空になる充填剤のみを分散させた加圧ローラ、従来のシ
リコーンゴムのみで形成した加圧ローラを用いて加熱定
着装置をそれぞれ構成し、熱履歴による外径と硬度変化
及び常温からの立ち上げ時間の比較を行った。尚、本実
施の形態に係る加熱定着装置は加圧ローラを回転駆動す
る構成となっている。
【0042】熱履歴による変化は、具体的には直径が約
20mmになるように形成したそれぞれの加圧ローラを
加熱体に9Kgfで圧接させ、加熱体が175℃一定に
なるように通電を行い、72mm/secの周速で10
0時間連続して回転させる耐久試験の前後の外径と硬度
を測定して求めた。又、立ち上げ時間は、常温において
ヒータ通電から定着可能温度(本実施の形態では195
℃)に昇温するまでの時間とした。
【0043】この結果を表1に示す。
【0044】
【表1】 上記結果より、比較例1のシリコーンゴムのみで形成さ
れた加圧ローラに比べ、比較例2のマイクロバルーンが
充填された加圧ローラでは立ち上げ時間が著しく短縮さ
れていることが分かる。
【0045】しかしながら、比較例2の加圧ローラでは
耐久前後での外径と硬度の変化が大きいため、本実施の
形態のような加圧ローラ駆動方式を用いた場合、定着ニ
ップ部における紙の搬送速度が耐久の前後において変動
してしまう。これに対して、予めマイクロバルーンを補
強剤であるシリカをまぶしてからシリコーンゴムと混合
して加圧ローラを形成した本実施の形態に係る加圧ロー
ラでは、比較例2の加圧ローラと同等に立ち上げ時間を
短縮する性能を維持しつつ、外径と硬度の耐久による変
動が抑えられていることが分かる。
【0046】これは、加圧ローラ形成時にマイクロバル
ーンを予めシリコーンゴムの補強剤であるシリカをまぶ
してから充填したことにより、マクロバルーンの外壁近
くのゴム層の補強がなされているためであり、熱を加え
られることによって溶出するゴムの劣化を促進する物
質、或は当初から微量含まれていた不純物による影響を
軽減し、シリコーンゴム外径及び硬度の変化を最小限に
抑止しているためである。
【0047】一方、一般に定着ローラを回転駆動するロ
ーラ加熱方式においては、加圧ローラの外径の変化に伴
う紙搬送速度の変化は生じないが、硬度の低下に伴う紙
のカールの発生が問題となる。
【0048】本実施の形態に係る加圧ローラを用いて熱
ローラ加熱方式の加熱定着装置を構成し、前記比較例1
と比較例2の加圧ローラとで前記耐久試験前後の硬度変
化とカール量及び立ち上げ時間について比較した結果を
表2に示す。
【0049】カール量は、A4サイズの75g/m2
紙を10枚通紙し、定着ニップ部から排出された直後に
紙を水平に置き、水平位置から紙の4角までの距離の平
均値とした。又、立ち上げ時間は、常温においてヒータ
通電から定着可能温度(本実施の形態では195℃)に
昇温するまでの時間とした。
【0050】
【表2】 上記結果より、比較例1のシリコーンゴムのみで形成さ
れた加圧ローラに比べ、比較例2のマイクロバルーンが
充填された加圧ローラでは、フィルム加熱方式の定着装
置と同様に立ち上げ時間が著しく短縮されていることが
分かる。
【0051】しかしながら、比較例2の加圧ローラでは
耐久後のカール量が非常に大きくなっていることが分か
る。これは、耐久試験によって加圧ローラの硬度が低下
したため、当初は図5に示すようなほぼフラットであっ
たニップ形状が図6に示すような曲率を有するニップ形
状になり、排紙された紙にカールを生じたものである。
【0052】これに対して本実施の形態に係る加圧ロー
ラでは、比較例2の加圧ローラと同等に立ち上げ時間を
短縮する性能を維持し、且つ、加圧ローラの硬度変化が
少なく、このために加圧ローラ耐久後での紙のカール量
も僅かであった。これは、前述のように充填剤にまぶし
て添加した補強剤によるマイクロバルーンの外壁近くの
ゴム層の補強効果によるものであり、シリコーンゴムの
硬度の変化を最小限に抑止しているためである。
【0053】以上述べたように、加圧ローラの熱伝導率
を低減させるためのマイクロバルーンを、予めゴムの劣
化を抑止する補強剤にまぶしてからシリコーンゴムに充
填して加圧ローラを形成することにより、立ち上げ時間
の短縮と加圧ローラ熱履歴に伴う外径及び硬度変化によ
り生じる弊害の抑止とを両立させることが可能となっ
た。
【0054】<実施の形態2>次に、本発明の実施の形
態2について説明する。
【0055】実施の形態1においては、シリコーンゴム
の補強剤を中空の充填剤にまぶして液状シリコーンゴム
に混合して外径変化と硬度変化の少ない加圧ローラの成
形を行ったが、本実施の形態においては、金属酸化物の
粉体を中空の充填剤にまぶして加圧ローラの形成を行っ
た。
【0056】本実施の形態に係る加圧ローラは、前記実
施の形態1と同様の手法にてシリコーンゴムと分散助剤
としての金属酸化物の粉体をまぶした中空の充填剤を型
内に注入し、加熱硬化させて弾性層を成形したものであ
る。尚、充填剤は実施の形態1と同じく外殻がアクリロ
ニトリル樹脂で形成された充填剤(松本油脂製薬株式会
社製マツモトマイクロスフェアーF−80S)を用い、
分散助剤としては酸化マグネシウムを用いた。使用した
重量はそれぞれシリコーンゴムに対して充填剤は3%W
t、分散助剤は2%Wtである。尚、分散助剤として
は、他に珪酸(シリカ)、珪酸塩、炭酸塩、カーボンブ
ラック、消石灰、酸化カルシウム又は酸化チタンを使用
することができる。
【0057】実際、上記加圧ローラについて実施の形態
1と同様に加熱定着装置を構成し、熱履歴による外径と
硬度変化及び常温からの立ち上げ時間の比較を行った。
その結果を表3に示す。
【0058】
【表3】 上記表3の結果より、本実施の形態に係る加圧ローラは
実施の形態1において補強剤を加えた加圧ローラと比較
して更に硬度変化と外径変化の少ない加圧ローラとなっ
ていることが分かる。これは、以下の2つの理由による
ものであると考えられる。
【0059】即ち、先ず第1に、加圧ローラ形成時にマ
イクロバルーンを予め分散助剤としてMgOをまぶして
から充填したことにより、マイクロバルーンの外壁近く
に構造物が形成されたため、ゴムの熱による劣化に伴う
硬度の低下と外径の変化が抑えられているためである。
【0060】第2は、マイクロバルーンに無機系の金属
粉体をまぶすことにより、マイクロバルーンがシリコー
ンゴム内で均一に分散されて以下のような加圧ローラの
劣化が起きにくいためであると考えられる。即ち、マイ
クロバルーンが均一にシリコーンゴム内で分散していな
い場合、マイクロバルーンの隔壁間のゴムの壁は厚い個
所や薄い箇所等が形成されている。このような構造の加
圧ローラに熱と圧力を連続して掛け続けるとゴムの壁の
薄い箇所が破壊され、加圧ローラの硬度が低下してしま
う。これに対して、マクロバルーンに金属粉体をまぶし
てより均一に分散されるように形成した本実施の形態に
係る加圧ローラの場合にはゴムの壁が薄く、破壊される
ような箇所は形成されにくい。
【0061】以上のように、実施の形態1においてマイ
クロバルーンの周囲の補強のみを実施した加圧ローラに
対して、補強の効果と同時に分散性をも高める金属無機
粉体をマイクロバルーンにまぶして加圧ローラを成形し
た本実施の形態においては、加圧ローラの硬度と外径変
化を更に抑えることが可能になった。
【0062】更に、上記加熱定着装置を用いて画像形成
装置を構成した。この画像形成装置を図3に示すが、本
画像形成装置においては以下の手順に従って画像の形成
が行われる。
【0063】即ち、図3は本発明に係る画像形成装置の
断面図であり、この画像形成装置は、給紙トレイ107
に積載された記録紙Pを1枚ずつ分離して搬送する給紙
部102、外部装置より提供された画像データに基づい
てレーザー光を変調して発光するレーザー光学系10
3、レーザー光照射によって画像を形成する画像形成部
104、熱及び圧力によってトナー像を記録紙Pに定着
する加熱定着装置105、前記各部及び各装置のシーケ
ンスを制御する制御装置106を有している。
【0064】上記給紙部102は、外部装置より画像情
報が転送されると給紙トレイ107から記録紙Pを1枚
ずつ分離してこれを画像形成部104に搬送する。
【0065】画像形成部104内に回動可能に軸支され
た感光ドラム110は、同じく回動可能に軸支された帯
電ローラ108により一様に帯電され、画像情報に基づ
いてレーザー光学系103より照射されたレーザー光に
より潜像が形成される。
【0066】そして、トナーを担持した現像スリーブ1
09に対峙する位置を感光ドラム110が通過する際に
該感光ドラム110と現像スリーブ109間に印加され
たバイアスによって感光ドラム110表面上の帯電域に
トナーが付与され、感光ドラム110上の潜像が現像さ
れてトナー像として顕像化される。
【0067】感光ドラム110上のトナー像は、感光ド
ラム110と転写ローラ111の当接部(転写ニップ
部)を通過する際に感光ドラム110と転写ローラ11
1の間に印加された転写バイアスにより記録紙Pへと転
写される。
【0068】而して、前記加熱定着装置105は、定着
器115と不図示の駆動源によって回転駆動される加圧
ローラ116で構成されており、両者は不図示の加圧部
材によって互いに圧接されている。この圧接部(定着ニ
ップ部)を記録紙Pが通過する際、定着器115内のヒ
ータ117による熱と圧力が記録紙Pに与えられること
によってトナー像が記録紙P上に定着される。
【0069】本実施の形態に係る画像形成装置において
は転写ニップ部と定着ニップ部の距離は100mmであ
るため、例えばA4サイズ(長さ297mm)の記録紙
Pを搬送した場合は、記録紙Pは転写ニップ部と定着ニ
ップ部の両者によって狭持搬送されることとなるため、
両者において記録紙Pの搬送速度に差が生じないように
しなければならない。
【0070】実際、本実施の形態に係る加圧ローラにつ
いて常温から立ち上げてプリントした際の通紙枚数に対
する画像のブレの有無、同等の定着性を得るためのファ
ーストプリントタイムを内部が中空になる充填剤のみを
分離させた加圧ローラ、従来のシリコーンゴムのみで形
成した加圧ローラに対して比較した。その結果を表4に
示す。
【0071】
【表4】 上記表4の結果より、比較例1のシリコーンゴムのみで
形成された加圧ローラを用いた画像形成装置では定着性
及び画像についても良好であり、ファーストプリントタ
イムは18秒であることが分かる。
【0072】これに対して比較例2のマイクロバルーン
のみを充填した加圧ローラを用いた画像形成装置におい
ては、ファーストプリンタタイムが10秒と比較例1に
対して半分近くに短縮されているものの、プリント枚数
が5000枚以上になると画像のブレが発生してしまっ
ていた。これは、マイクロバルーンを充填された加圧ロ
ーラの外径が熱と圧力により縮小し、定着ニップ部にお
ける紙搬送速度が転写部における紙搬送速度に比べて遅
くなったことによるものであった。即ち、転写部からこ
れまでと同じ速度で紙が搬送されてくるのに対して、定
着ニップ部での紙搬送速度が加圧ローラ径の縮小で低下
したため、紙先端が定着ニップ部に突入するとき或は紙
後端が転写ニップ部を出るときに等に紙の移動速度が一
時的に変化するために生じたものである。
【0073】一方、本実施の形態にて使用した加圧ロー
ラにおいては、ファーストプリントタイムは比較例2の
加圧ローラと同等の10秒を達成しつつ、酸化マグネシ
ウムによる補強効果と分散性向上効果により、外径及び
硬度変化が生じなかったため、前述のような画像ブレは
全く発生しなかった。即ち、マイクロバルーンを予めゴ
ムの補強剤と分散助剤にまぶしてからシリコーンゴムに
充填した加圧ローラを用いて画像形成装置を構成するこ
とによって、ファーストプリントタイムの短縮と加圧ロ
ーラ径の耐久変動に起因する画像不良の発生が防がれ
た。
【0074】尚、ここでは分散助剤として酸化マグネシ
ウムを用いたが、酸化カルシウム、酸化チタン等の他の
金属酸化物の粉体でも同様の効果が得られた。又、実施
の形態1で述べた珪酸、珪酸塩、炭酸塩、カーボンブラ
ック、消石灰、酸化カルシウム、酸化チタン等を用いて
も若干分散性向上の効果があったが、金属酸化物の粉体
の方が好ましい。更に、加圧ローラの硬度と外径の変化
を抑止する効果を高めるためには上述の複数の補強剤や
分散助剤を混合して用いることも可能である。
【0075】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
〜6記載の発明によれば、合成樹脂により形成された中
空の充填剤による断熱性を維持しつつ、加圧用回転体の
熱履歴による外径と硬度変化を防ぐことができるという
効果が得られる。
【0076】請求項7記載の発明によれば、加熱定着装
置の定着ニップ部における紙搬送速度を常に一定に保つ
ことができ、立ち上げ時間の短縮と消費電力の低減及び
安定した定着性の確保を実現することができるという効
果が得られる。
【0077】請求項8記載の発明によれば、画像形成装
置の転写部と定着ニップ部における紙搬送速度を常に一
定にすることができ、立ち上げ時間の短縮と消費電力の
低減及びブレのない良好な画像出力を実現することがで
きるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加熱定着装置要部の断面図であ
る。
【図2】本発明に係る加熱定着装置の温度制御系の構成
を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の断面図である。
【図4】ローラ加熱方式を採用する従来の加熱定着装置
要部の断面図である。
【図5】ローラ加熱方式を採用する通常の加熱定着装置
の定着ニップ部を示す概略断面図である。
【図6】ローラ加熱方式を採用する加熱定着装置の加圧
ローラの硬度が低下した場合の定着ニップ部を示す概略
断面図である。
【符号の説明】 1 加熱体(加熱手段) 5 加圧ローラ(加圧回転体) 5a 芯金 5b 弾性層(弾性体) 5c 充填剤 105 加熱定着装置 116 加圧ローラ(加圧回転体) P 記録紙(被加熱材)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/22 C08K 7/22 C08L 27/08 C08L 27/08 33/20 33/20 83/04 83/04 F16C 13/00 F16C 13/00 A B Fターム(参考) 2H033 AA23 BB01 BB29 BB30 BE03 3J103 AA02 AA14 AA24 AA33 AA51 BA19 BA41 EA02 FA01 FA03 FA05 FA14 FA18 GA02 GA57 GA58 GA60 GA66 GA68 HA03 HA04 HA05 HA12 HA13 HA22 HA32 HA37 HA41 HA53 HA54 HA60 4J002 BD102 BG102 CP031 DA036 DA037 DE076 DE077 DE086 DE087 DE136 DE137 DJ006 DJ007 DJ016 DJ017 FA102 FB072 FD146 FD207 GT00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に弾性体を有し、加熱手段と対向し
    て該加熱手段との間に被加熱材を圧接させる加圧用回転
    体において、 前記弾性体に該弾性体の硬化剤で覆われた合成樹脂によ
    り形成された壁膜内が中空の充填剤を含有することを特
    徴とする加圧用回転体。
  2. 【請求項2】 内部に弾性体を有し、加熱手段と対向し
    て該加熱手段との間に被加熱材を圧接させる加圧用回転
    体において、 前記弾性体に該弾性体の分散助剤で覆われた合成樹脂に
    より形成された壁膜内が中空の充填剤を含有することを
    特徴とする加圧用回転体。
  3. 【請求項3】 前記硬化剤として珪酸、珪酸塩、炭酸
    塩、カーボンブラック、消石灰、酸化カルシウム、酸化
    マグネシウム、酸化チタンの何れかを用いることを特徴
    とする請求項1記載の加圧用回転体。
  4. 【請求項4】 前記分散助剤として珪酸、珪酸塩、炭酸
    塩、カーボンブラック、消石灰、酸化カルシウム、酸化
    マグネシウム、酸化チタンの何れかを使用することを特
    徴とする請求項2記載の加圧用回転体。
  5. 【請求項5】 前記合成樹脂を熱可塑性樹脂で構成した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の加圧用回転体。
  6. 【請求項6】 前記合成樹脂をアクリロニトリル又は塩
    化ビニリデンで構成したことを特徴とする請求項5記載
    の加圧用回転体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の加圧用回転体を加圧
    部材として用いることを特徴とする加熱定着装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の加熱定着装置を画像定着
    装置として用いることを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008191557A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
WO2009044822A1 (ja) 2007-10-03 2009-04-09 The Furukawa Electric Co., Ltd. 電気・電子部品用銅合金板材
JP2017090895A (ja) * 2016-09-08 2017-05-25 信越ポリマー株式会社 スポンジローラ、スポンジローラの製造方法及び画像形成装置

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