JP2001098832A - ヒンジ - Google Patents

ヒンジ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転体を抜け止めするねじ部材がヒンジ本体
に対して緩むのを防止する。 【解決手段】 ヒンジ本体2とこれに螺合されるねじ部
材3との角部に超音波振動するホーン10を押し付け
て、ヒンジ本体2とねじ部材3との接触面およびその近
傍を溶融する。そして、溶融した樹脂を固化させること
により、ヒンジ本体2とねじ部材3とを接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、便蓋等の扉を便
座等の躯体に回動可能に連結するためのヒンジに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のヒンジは、筒状をなす
ヒンジ本体と、このヒンジ本体に回動可能に挿入された
回転体と、ヒンジ本体の一端部に螺合され、回転体がヒ
ンジ本体から抜け出るのを防止するねじ部材とを備えて
おり、ヒンジ本体と回転体とのいずれか一方が躯体に連
結され、他方が扉に連結される。これにより、扉が躯体
にヒンジを介して回動自在に支持されている。
【0003】ねじ部材が緩むとヒンジ本体と回転体との
間にガタが発生し、最悪の場合は回転体がヒンジ本体か
ら脱落してしまう。そこで、ねじ部材が緩むのを防止す
るための、従来のヒンジにおいてヒンジ本体とねじ部材
との互いに螺合するねじ部どうしを接着固定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ヒンジにおいては、ねじ部材が緩むのを確実に防止する
ことが困難であるという問題があった。すなわち、例え
ばヒンジが便器と便蓋との間に設けられた場合には、便
蓋の閉回動時に便座に突き当たって衝撃が発生する。そ
の衝撃は、便座または便蓋を介してヒンジ本体および回
転体に伝達し、それらを振動させる。ヒンジ本体および
回転体が振動すると、両者の接着面が徐々に剥離してし
まう。このため、ねじ部材が次第に緩んでしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の問題
を解決するために、嵌合孔を有するヒンジ本体と、上記
嵌合孔に回転自在に挿入された軸部を有する回転体と、
上記ヒンジ本体の一端部に螺合固定され、上記回転体が
上記嵌合孔から抜けるのを阻止するねじ部材とを備え、
上記ヒンジ本体および上記ねじ部材が樹脂で形成された
ヒンジにおいて、上記ヒンジ本体と上記ねじ部材とを互
いに溶着したことを特徴としている。この場合、上記ヒ
ンジ本体および上記上記ねじ部材との互いに隣接する角
部を、そこに斜めに延びる凹部が形成されるように溶融
することにより、上記ヒンジ本体と上記ねじ部材との角
部どうしを互いに溶着するのが望ましい。上記ヒンジ本
体と上記ねじ部材とを、それらのうちの一方の外周面か
ら他方の外周面に至る孔が形成されるように溶融するこ
とにより、上記ヒンジ本体と上記ねじ部材との内周面と
外周面とを互いに溶着するのが望ましい。上記ヒンジ本
体の外周面が上記ねじ部材の外周面より外側に配置され
ており、上記ヒンジ本体の外周面には、その一部を他の
外周部分と区分する仕切り部が形成され、この仕切り部
によって区分される範囲内に上記孔が開口されているこ
とが望ましい。上記ヒンジ本体と上記ねじ部材とを、少
なくとも互いに螺合するねじ部において溶着するのが望
ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図1〜図3を参照して説明する。図1はこの発明に
係るヒンジ1を示すものであり、このヒンジ1は、ヒン
ジ本体2を備えている。ヒンジ本体2は、ポリエステル
等の樹脂からなるものであり、両端が開口した円筒状に
形成されている。ヒンジ本体2の内周面の一端部には大
径孔部21およびねじ孔部22が形成され、他端部には
支持孔部23が形成されている。
【0007】ヒンジ本体2のねじ孔部22には、ねじ部
材3が螺合されている。このねじ部材3は、樹脂で形成
されている。ねじ部材3を形成する樹脂としては、種々
のものを採用することが可能であるが、後述する理由に
より、ヒンジ本体2を形成する樹脂と同一のものを採用
するのが望ましい。ねじ部材3は、ねじ孔部22に螺合
する雄ねじ部31と、この雄ねじ部31の基端部に一体
に形成されたフランジ部32とを有している。フランジ
部32の外径は、ダンパ本体2の大径孔部21の内径と
同等か若干小径に形成されている。そして、ねじ部材3
は、雄ねじ部31をねじ孔部22に螺合させて締め付
け、フランジ部32を大径孔部21の底面に押し付ける
ることにより、ねじ部材3がダンパ本体2に固定されて
いる。フランジ部32の厚さは、大径孔部21の深さと
ほぼ同一になっている。したがって、ねじ部材3をヒン
ジ本体2に固定した状態においては、ねじ部材3の外側
の端面がヒンジ本体2の一端面(図1(A)において右
端面)と面一になっている。
【0008】ヒンジ本体2の中間部には、中間部材4が
回転不能に嵌合されている。この中間部材4は、ヒンジ
本体2の内周面に形成された段部24に突き当たること
により、位置決めされるとともに、ねじ孔部22側から
支持孔部23側へ向う方向へのヒンジ本体2から抜け出
ることが阻止されている。その一方、ねじ部材3に突き
当たることにより、支持孔部23側から大径孔部21側
へ向う方向へのヒンジ本体2からの抜け止めがなされて
いる。
【0009】また、ヒンジ本体2には、回転体5が回転
自在に連結されている。回転体5は、軸部51と連結部
52とからなるものであり、連結部52がヒンジ本体2
から突出し、軸部51がヒンジ本体2内に挿入されてい
る。軸部51の連結部52側の端部は支持孔部23に回
転自在に嵌合し、逆側の端部は中間部材4に回転自在に
嵌合している。また、軸部51は、その中間部外周面に
形成された環状突出部53がヒンジ本体2の内周面に形
成された段部25に突き当たることにより、大径孔部2
1側から支持孔部23側へ向う方向への抜け止めがなさ
れ、中間部材4に突き当たることにより、逆方向への抜
け止めがなされている。これにより、回転体5がヒンジ
本体2に回転自在に連結されている。なお、ヒンジ本体
2と回転体5とは、いずれか一方が躯体に連結され、他
方が扉に連結される。これにより、扉が躯体に回転自在
に支持される。
【0010】上記中間部材4と回転体5との間には、回
動付勢部材としてのコイルばね6が設けられている。こ
のコイルばね6は、その一端部61が中間部材4に連結
され、他端部62が回転体5に連結されている。そし
て、回転体5を図1(C)の矢印Y方向(扉を開く方
向)へ回動付勢している。
【0011】また、ヒンジ本体2と回転部材5との間に
は、ダンパ機構7が設けられている。このダンパ機構7
は、周知のものと同様に構成されているので、簡単に説
明すると、ヒンジ本体2の内周面と軸部51の外周面と
の間には、環状の収容室71が形成されており、この収
容室71内には粘性流体等の流体が充填されている。収
容室71は、ヒンジ本体2に形成された仕切り壁部72
と、軸部51に形成された羽根部73とにより、第1の
室74と第2の室75とに二分されている。仕切り壁部
72を軸部51に形成し、羽根部73をヒンジ本体2に
形成してもよい。仕切り壁部72および羽根部73を二
つ宛て形成してもよい。
【0012】仕切り壁部73には、一方向弁76が設け
られている。この一方向弁76は、第1の室74内の流
体が軸部51の外周面と仕切り壁部72との間の隙間7
7を通って第2の室75へ流れるのを阻止する一方、第
2の室75内の流体が隙間77を通って第1の室に流れ
るのを許容する。したがって、回転体5が図1(C)の
矢印X方向へ回転するときにはその回転速度が低速に抑
えられ、矢印Y方向へ回転するときには、高速で回転す
ることができる。
【0013】上記ヒンジ本体2とねじ部材3とは、溶着
することによって固定されている。この場合、各種の溶
着法を採用することができるが、ここでは超音波溶着法
が採用されている。超音波溶着法は、ホーンを超音波振
動させながら溶着すべき部材に接触させて溶融し、その
溶融した部分を固化させることによって両部材を接合す
るものであり、この実施の形態では、図1に示すよう
に、先端面が平坦である断面四角形のホーン10が用い
られている。
【0014】ホーン10は、その先端面と直交する方向
に超音波振動させられるとともに、先端面がヒンジ1の
軸線に対して傾斜した状態でヒンジ1の角部に押し付け
られる。すると、ホーン10が押し付けられたヒンジ1
の角部、すなわちヒンジ本体2の角部およびねじ部材5
の角部が溶融される。溶融された樹脂は、ホーン10が
押し付けられるにしたがってホーン10と角部との間か
らはみ出す。この場合、ホーン10の先端面が、図1の
右方へ向うにしたがってヒンジ1の軸線に接近するよう
に傾斜し、かつホーン10の先端面とねじ部材5の外側
の端面とのなす角が、ホーン10の先端面とヒンジ本体
2の外周面とのなす角より大きいので、溶融樹脂は、ね
じ部材5の外側の端面に向ってはみ出す。したがって、
ヒンジ本体2の外周面に溶融樹脂によるバリが発生する
ことがない。これは、ヒンジ本体2が躯体に形成される
孔部に挿入される場合、特に回転自在に挿入される場合
に有利である。はみ出した溶融樹脂は、溶着作業の完了
後除去される。
【0015】ホーン10は、ヒンジ本体2とねじ部材5
との接触面と対向するまで角部に押し付けられる。ここ
で、ヒンジ本体2とねじ部材5との接触面は、前者の大
径孔部21の内周面および底面並びに雌ねじ面であり、
後者のフランジ部52の外周面および内側の端面並びに
雄ねじ面である。これらの接触面およびその近傍部分
(以下、接触面部という。)もホーン10によって溶融
される。そして、ヒンジ本体2とねじ部材5との溶融さ
れた樹脂は、互いに混合し、ホーン10が角部から離さ
れた後固化する。これにより、ヒンジ本体2とねじ部材
5とが接触面部において接合される。この場合、ヒンジ
本体2とねじ部材5とが同一の樹脂で形成されている
と、両者はより均一に一体化され、接合強度が向上す
る。
【0016】ホーン10が押し付けられた角部には、ホ
ーン10に対応した形状を有し、角部に対して斜めに延
びる凹部11が形成される。この凹部11を区画する側
面には、図1において破線で示すように、接触面を示す
線が現われるはずであるが、ヒンジ本体2とねじ部材5
との各接触面部の溶融した樹脂が混合して一体化するの
で、実際には接触面を示す線が凹部11の側面に現われ
ることはない。
【0017】ヒンジ本体2とねじ部材5とを溶着する
と、両者をそれぞれ形成する樹脂が溶融して混合した後
固化することによって、両者が接合されるので、振動等
によって接合部分が剥離することがない。したがって、
ねじ部材5が緩むのを確実に防止することができる。特
に、ダンパ本体2とねじ部材5との螺合部分を溶融した
場合には、溶融された樹脂がねじ面間に入り込んで接着
効果を発揮するので、より一層強固に接合することがで
きる。
【0018】次に、この発明の他の実施の形態について
説明する。なお、以下の実施の形態は、ヒンジ本体2の
外部形状および溶着形態が上記の実施の形態と異なるだ
けであり、ヒンジ本体2と回転体5との間に設けられる
コイルばね6およびダンパ機構7等は上記の実施の形態
と同様である。そこで、以下の実施の形態ついては、上
記の実施の形態と異なる構造についてのみ説明すること
とする。
【0019】図2に示すヒンジ1′は、ヒンジ本体2の
外周面に取付部26が4箇所形成されており、各取付部
26に挿通されたビス(図示せず)を躯体に螺合させる
ことにより、ヒンジ1′が躯体に固定されるようになっ
ている。これから明らかなように、このヒンジ1′で
は、ヒンジ本体2が躯体の収容孔等に挿入されることが
なく、躯体に対して回転することもない。したがって、
ヒンジ本体2とねじ部材5とを溶着するに際しては、溶
融した樹脂がヒンジ本体2の外周面に流れでてバリを形
成してもほとんど問題にならない。そこで、この実施の
形態では、図2(C),(D)に示すように、先端部が
角錐状をなす断面四角形のホーン(図示せず)を、その
先端部がヒンジ本体2を貫通してねじ部材5の雄ねじ部
51の外周面からその内部に若干入り込むまで押し込
む。それにより、ヒンジ本体2およびねじ部材5にホー
ンに対応した形状の孔12が形成される。この孔12に
臨むヒンジ本体2およびねじ部材5のねじ面(接触面)
およびその近傍部分がホーンによって溶融される。溶融
された樹脂が固化することによって、ヒンジ本体2とね
じ部材とが接合される。したがって、このヒンジ1′に
おいても、ねじ部材5が緩むのを防止することができ
る。
【0020】また、図3に示すヒンジ1″において、ヒ
ンジ本体2の外周面に回り止め用の断面三角形の突出部
が27が形成されている。この突出部27は、全体を中
実にすると、ヒンジ本体2が成形後に変形するおそれが
ある。そこで、突出部27は、三角形状の複数の板部
(仕切り部)27aをヒンジ本体2の軸線と直交する方
向に向けた状態で互いに平行に並べ、各板部27aの一
側面を他の板部(仕切り部)27bで一体に連結したも
のである。
【0021】このような突出部27が形成されているも
のでは、ヒンジ1″を躯体に設置したり、あるいは使用
する際に、板部27a,27aによって区分される外周
面が躯体等に接触したり、何らかの用に供されることが
ない。そこで、このヒンジ1″においては、板部27
a,27aによって区分されるヒンジ本体2の外周面に
上記孔12を形成することにより、ヒンジ本体2とねじ
部材3とを溶着している。このようにすれば、孔12か
らはみ出た溶融樹脂によってバリ形成されたとしても、
そのバリを除去しなくとも済むことが多いからである。
【0022】なお、この発明は上記の実施の形態に限定
されるものでなく、適宜変更可能である。例えば、上記
の実施の形態においては、回転体5をねじ部材3との間
に中間部材4を介在させているが、回転部材5をねじ部
材3により直接に抜け止めしてもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、ヒンジ本体とねじ部材とを溶着しているので、扉の
開閉時の衝撃によってヒンジ本体とねじ部材とが剥離す
るのを防止することができ、したがってねじ部材が緩む
のを確実に、かつ長期にわたって防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す図であって、図
1(A)はその縦断面図、第1(B)は図1(A)のB
矢視図、図1(C)は図1(A)のC−C線に沿う断面
図である。
【図2】この発明の他の実施の形態を示す図であって、
図2(A)、(B)、(C)はそれぞれ正面図、側面
図、平面図であり、図2(D)は図2(C)のD−D線
に沿う拡大断面図である。
【図3】この発明のさらに他の実施の形態を示す図であ
って、図3(A)はその側面図、図3(B)は図3
(A)のB矢視図、図3(C)、(D)はそれぞれ図3
(A)のC−C線、D−D線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ヒンジ 1′ヒンジ 1″ ヒンジ 2 ヒンジ本体 3 ねじ部材 5 回転体 27a 板部(仕切り部) 27b 板部(仕切り部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 義郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 坂東 亮輔 東京都千代田区東神田1丁目8番11号 ス ガツネ工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 玄一 東京都千代田区東神田1丁目8番11号 ス ガツネ工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嵌合孔を有するヒンジ本体と、上記嵌合
    孔に回転自在に挿入された軸部を有する回転体と、上記
    ヒンジ本体の一端部に螺合固定され、上記回転体が上記
    嵌合孔から抜けるのを阻止するねじ部材とを備え、上記
    ヒンジ本体および上記ねじ部材が樹脂で形成されたヒン
    ジにおいて、上記ヒンジ本体と上記ねじ部材とを互いに
    溶着したことを特徴とするヒンジ。
  2. 【請求項2】 上記ヒンジ本体および上記上記ねじ部材
    との互いに隣接する角部を、そこに斜めに延びる凹部が
    形成されるように溶融することにより、上記ヒンジ本体
    と上記ねじ部材との角部どうしを互いに溶着したことを
    特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
  3. 【請求項3】 上記ヒンジ本体と上記ねじ部材とを、そ
    れらのうちの一方の外周面から他方の外周面に至る孔が
    形成されるように溶融することにより、上記ヒンジ本体
    と上記ねじ部材との内周面と外周面とを互いに溶着した
    ことを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
  4. 【請求項4】 上記ヒンジ本体の外周面が上記ねじ部材
    の外周面より外側に配置され、上記ヒンジ本体の外周面
    には、その一部を他の外周部分と区分する仕切り部が形
    成され、この仕切り部によって区分される範囲内に上記
    孔が開口されていることを特徴とする請求項3に記載の
    ヒンジ。
  5. 【請求項5】 上記ヒンジ本体と上記ねじ部材とを、少
    なくとも互いに螺合するねじ部において溶着したことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒンジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016153687A (ja) * 2015-02-13 2016-08-25 日本電産サンキョー株式会社 流体ダンパ装置、ダンパ付き機器、および流体ダンパ装置の製造方法
CN106175559A (zh) * 2015-05-29 2016-12-07 日本电产三协株式会社 流体缓冲装置以及带缓冲设备

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