JP2001096694A - 透明なポリエステル系成形体 - Google Patents

透明なポリエステル系成形体

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JP2001096694A
JP2001096694A JP28022499A JP28022499A JP2001096694A JP 2001096694 A JP2001096694 A JP 2001096694A JP 28022499 A JP28022499 A JP 28022499A JP 28022499 A JP28022499 A JP 28022499A JP 2001096694 A JP2001096694 A JP 2001096694A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、透明性が良好であり、冷間
曲げ加工も可能なポリエステル系成形体を提供する。 【解決手段】 成形基体1の表面に耐候性付与層2を形
成した成形体であって、成形基体1は、ポリシクロヘキ
サンジメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタ
レートとが略4:略6〜略9:略1の重量比で共重合し
たテレフタレート系共重合体に、この共重合体との相溶
性が良く且つこの共重合体よりも耐熱性に優れる高耐熱
性ポリエステル系樹脂を均一に混合した透明な混合樹脂
から成り、耐候性付与層2は、紫外線吸収剤を含有し
た、上記成形基体1との密着性が良い透明なポリエステ
ル系樹脂から成る構成とする。成形基体1に混合された
高耐熱性ポリエステル系樹脂によって耐熱性が向上し、
該樹脂はテレフタレート系共重合体との相溶性が良好で
透明性の低下や白濁を生じることがないので成形体は良
好な透明性(透視性)を有し、且つ、耐候性付与層2によ
って耐候性も向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動販売機
の面板や商品陳列棚の仕切り板などの用途に適した、耐
熱性、耐候性、透明性の良好なポリエステル系成形体に
関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)は強度的に優れた樹脂であるが、その厚
みの大きい板状の成形体は透明性(透視性)に劣り、冷
間曲げ加工性も悪いという欠点がある。
【0003】そこで、この欠点を改良するために開発さ
れたものが、ポリエチレンテレフタレートとポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体であ
り、これには、重合成分の重量比が異なるいくつかの種
類がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のポリエチレンテ
レフタレートとポリシクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートとの共重合体は無毒性で、良好な透明性を有し、
冷間曲げ加工の可能な成形体を得ることができる樹脂で
ある。けれども、その成形体は耐熱性や耐候性が悪いた
め、例えば、屋外に設置されることが多い自動販売機の
面板のように、耐熱性や耐候性が要求される用途には採
用し難いという問題があった。
【0005】本発明は上記の問題に鑑みてなされたもの
で、耐熱性、耐候性、透明性が良好であり、冷間曲げ加
工も可能なポリエステル系成形体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の透明なポリエステル系成形体は、成形基体
の表面に耐候性付与層が形成された成形体であって、上
記成形基体は、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートとポリエチレンテレフタレートとが略4:略6〜
略9:略1の重量比で共重合したテレフタレート系共重
合体に、この共重合体との相溶性が良く且つこの共重合
体よりも耐熱性に優れる高耐熱性ポリエステル系樹脂を
均一に混合した透明な混合樹脂から成り、上記耐候性付
与層は、紫外線吸収剤を含有した、上記混合樹脂との相
溶性が良い透明なポリエステル系樹脂から成る、ことを
特徴とするものである。
【0007】本発明のポリエステル系成形体は、成形基
体の混合樹脂中に、その主成分の上記テレフタレート系
共重合体よりも耐熱性に優れる高耐熱性ポリエステル系
樹脂が均一に混合されているため、この成形基体の耐熱
性はテレフタレート系共重合体単独のものよりも向上し
ている。この成形基体は本発明のポリエステル系成形体
の大部分を占めているので、上記のように成形基体の耐
熱性が向上すると、それに伴ってポリエステル系成形体
の耐熱性も当然向上する。
【0008】高耐熱性ポリエステル系樹脂は、テレフタ
レート系共重合体との相溶性が良いため耐熱性の向上効
果が顕著であり、このような相溶性の良い高耐熱性ポリ
エステル系樹脂を混合しても、成形基体に白濁が生じた
り、透明性(透視性)の実質的な低下を招くことがない
ため、本発明のポリエステル系成形体は、テレフタレー
ト系共重合体単独の成形体と殆ど変わらない良好な透明
性(透視性)を有する。
【0009】なお、テレフタレート系共重合体との相溶
性に劣る高耐熱性ポリエステル系樹脂は、これをテレフ
タレート系共重合体に混合しても、耐熱性の向上効果が
少なく、むしろ成形基体が白濁して透明な成形体を得る
ことが難しくなるので、使用することはできない。
【0010】また、本発明のポリエステル系成形体は、
成形基体の混合樹脂が上記のテレフタレート系共重合体
を主成分とするものであるから、高耐熱性ポリエステル
系樹脂をよほど多量に混合しない限り、冷間曲げ加工が
可能であり、釘打ちしても割れることはない。
【0011】更に、本発明のポリエステル系成形体は、
紫外線吸収剤を含有したポリエステル系樹脂から成る耐
候性付与層が成形基体の表面に形成されているので、紫
外線が耐候性付与層中の紫外線吸収剤に吸収されて紫外
線劣化を生じ難く、良好な耐候性を有しており、しか
も、この耐候性付与層のポリエステル系樹脂は成形基体
との密着性が良いため、成形基体から耐候性付与層が剥
離する心配もない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の具
体的な実施形態を詳述する。
【0013】図1は本発明のポリエステル系成形体の一
実施形態を示す断面図である。
【0014】このポリエステル系成形体は、板状の成形
基体1の上側表面に耐候性付与層2を形成した積層板状
の成形体であり、成形基体1は、ポリシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート
が略4:略6〜略9:略1の重量比で共重合したテレフ
タレート系共重合体(以下、テレフタレート系共重合体
Aと記す)に、高耐熱性ポリエステル系樹脂を均一に混
合した透明な混合樹脂から成るものである。
【0015】より好ましく使用されるテレフタレート系
共重合体Aは、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートとポリエチレンテレフタレートが略5:略5〜略
8:略2の重量比で共重合したものであり、この実施形
態においてはポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ートとポリエチレンテレフタレートが略7:略3の重量
比で共重合したテレフタレート系共重合体Aが使用され
ている。
【0016】後述するように、ポリシクロヘキサンジメ
チレンテレフタレートの占める重量比率が小さくて略4
を下回り、ポリエチレンテレフタレートの占める重量比
率が大きくて略6を越える共重合体となると、高耐熱性
ポリエステル系樹脂との相溶性が悪いので、耐熱性向上
が少なく、白濁して透明性が損なわれる。また、逆にポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの占める重
量比率が大きくて略9を越え、ポリエチレンテレフタレ
ートの占める重量比率が小さくて略1を下回る共重合体
になると、結晶性が高くなり、透明性の低下、冷間曲げ
加工による白化等が生じると共に、コストアップにもつ
ながる。
【0017】高耐熱性ポリエステル系樹脂は、上記テレ
フタレート系共重合体Aとの相溶性が良く、且つ、テレ
フタレート系共重合体Aよりも耐熱性が良いものである
ことが必要であり、例えば、ポリカーボネートやポリア
リレートが好ましく使用される。これらは単独で使用し
てもよく、混合して使用してもよい。上記テレフタレー
ト系共重合体Aよりも耐熱性が悪いポリエステル系樹脂
は、テレフタレート系共重合体Aに混合しても耐熱性が
低下するだけであるから使用不可能であり、また、テレ
フタレート系共重合体Aとの相溶性が悪い高耐熱性ポリ
エステル系樹脂も、前述したように耐熱性の向上効果が
少なく、むしろ成形基体が白濁して透明な成形体を得る
ことが難しくなるので、使用することはできない。
【0018】上記テレフタレート系共重合体Aよりもポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの占める比
率が小さく、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ートとポリエチレンテレフタレートが略4未満:略6以
上(但し略6は含まない)の重量比で共重合したテレフ
タレート系共重合体(以下、テレフタレート系重合体B
と記す)は、これと相溶性の良い高耐熱性ポリエステル
系樹脂が見当たらず、例えば上記のポリカーボネート等
の高耐熱性ポリエステル系樹脂を配合しても耐熱性の向
上が僅かであり、強く白濁して透明性が損なわれるの
で、成形基体1の主成分樹脂として使用不可能である。
【0019】成形基体1の混合樹脂は、90〜40重量
%のテレフタレート系共重合体Aに10〜60重量%の
高耐熱性ポリエステル系樹脂を混合したものが好ましく
使用される。テレフタレート系共重合体Aが90重量%
を越え、高耐熱性ポリエステル系樹脂が10重量%を下
回ると、耐熱性の向上が不充分になり、高耐熱性ポリエ
ステル系樹脂が60重量%を越え、テレフタレート系共
重合体Aが40重量%を下回ると、成形体(成形基体
1)の冷間曲げ加工や釘打ちが困難になる。テレフタレ
ート系共重合体Aと高耐熱性ポリエステル系樹脂とのよ
り好ましい混合割合は、テレフタレート系共重合体Aが
70〜50重量%、高耐熱性ポリエステル系樹脂が30
〜50重量%である。
【0020】一方、耐候性付与層2は、紫外線吸収剤を
含有した透明なポリエステル系樹脂から成るもので、ポ
リエステル系樹脂としては、上記成形基体1との密着性
が良い、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレートと
ポリエチレンテレフタレートとの共重合体(テレフタレ
ート系共重合体Aやテレフタレート系共重合体B)、ポ
リカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリア
リレート等が単独で又は二種以上混合して使用される。
このような密着性の良いポリエステル系樹脂で耐候性付
与層2を形成すると、成形基体1から耐候性付与層2が
剥離する心配が解消される。
【0021】この耐候性付与層2の紫外線吸収剤の含有
量は、ポリエステル系樹脂100重量部に対し0.1〜
20重量部の範囲とすることが好ましい。紫外線吸収剤
が0.1重量部未満では、紫外線吸収能が不足するため
充分な耐候性を付与することが難しくなり、一方、20
重量部より多く含有させても、それに見合うだけの耐候
性向上効果が得られず、むしろシーティングが困難にな
る等の不都合が生ずるようになる。
【0022】紫外線吸収剤は、ポリエステル系樹脂と反
応するものも、一般的な添加型のものも使用可能である
が、ポリエステル系樹脂と反応する紫外線吸収剤は、該
樹脂のポリマー分子と結合して固定化され、経時的にブ
リードアウトや揮散することなく紫外線吸収能を持続で
きる利点があるので有利である。
【0023】反応型の紫外線吸収剤としては、官能性の
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エステル結合のい
ずれか一種又は二種以上を持つベンゾトリアゾール系又
はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、例えば、2,2′
−メチレンビス−[4−(ヒドロキシエチル)−6−
(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]フェノー
ル、2,2′−メチレンビス−[3−(カルボキシ)−
6−(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]フェノ
ール、2−ヒドロキシ−4−(2′−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン−
4−オキシ酢酸などが使用される。このような反応型の
紫外線吸収剤は、官能性の水酸基を持つものではアルコ
リシス反応、カルボキシル基を持つものではアシドリシ
ス反応、アミノ基を持つものではアミノリシス反応、エ
ステル結合を持つものではエステル交換反応をおこし、
アルコリシス反応、アシドリシス反応、エステル交換反
応の場合は紫外線吸収剤がポリマー分子とエステル結合
して固定化され、アミノリシス反応の場合は紫外線吸収
剤がポリマー分子とアミド結合して固定化される。
【0024】また、一般的な添加型の紫外線吸収剤とし
ては、上記の官能基やエステル結合を持たない市販のト
リアジン系又はトリアゾール系の紫外線吸収剤、例え
ば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジ
ン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール
などのトリアジン系紫外線吸収剤や、2−(5−メチル
−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどの
トリアゾール系紫外線吸収剤などが使用される。
【0025】尚、上記の反応型又は添加型の紫外線吸収
剤は成形基体1に少量含有させてもよく、その場合には
成形体の耐候性が更に向上する利点がある。
【0026】成形基体1の厚さや耐候性付与層2の厚さ
は特に限定されないが、実用性等を考慮すると、成形基
体1の厚さを1〜20mm程度、耐候性付与層2の厚さ
を5〜200μm程度にするのが良い。成形基体1や耐
候性付与層2を上記の厚さにすると、充分な実用強度と
良好な耐候性を有する成形体が得られる。尚、成形基体
1の更に好ましい厚さは2〜5mm程度であり、耐候性
付与層2の更に好ましい厚さは20〜50μm程度であ
る。
【0027】このように、本発明のポリエステル系成形
体は、成形基体1が大部分を占め、耐候性付与層2は成
形基体1の略1/100程度の厚さに過ぎないものであ
るから、成形体の耐熱性や透明性の良否は成形基体1に
大きく依存し、成形体の耐熱性や透明性に与える耐候性
付与層2の影響は実質的に無視できるものである。
【0028】このような積層板状のポリエステル系成形
体は、例えば、二層共押出成形法により混合樹脂を板
状に押出して成形基体1を成形すると同時に、その上面
に紫外線吸収剤を含有したポリエステル系樹脂を薄層状
に押出して耐候性付与層2を形成するか、混合樹脂で
押出成形した成形基体1の表面に、紫外線吸収剤を含有
したポリエステル系樹脂フィルムをラミネートして耐候
性付与層2を形成するか、混合樹脂で押出成形した成
形基体1の表面に、紫外線吸収剤を含有したポリエステ
ル系樹脂塗料を塗装(吹付け、ロールコーティング、デ
ィッピング等)して耐候性付与層2を形成する、などの
方法によって製造される。勿論、これらの方法以外にも
射出成形法やその他本発明に適用可能な方法であれば、
いずれの方法を使用してもよい。
【0029】以上のような構成のポリエステル系成形体
は、成形基体1の混合樹脂中に、その主成分のテレフタ
レート系共重合体Aよりも耐熱性に優れるポリカーボネ
ート等の高耐熱性ポリエステル系樹脂が均一に混合され
ているため、成形基体1の耐熱性はテレフタレート系共
重合体A単独のものよりも向上する。このようにポリエ
ステル系成形体の大部分を占める成形基体1の耐熱性が
向上すると、ポリエステル系成形体の耐熱性は当然向上
する。
【0030】しかも、混合するポリカーボネート等の高
耐熱性ポリエステル系樹脂はテレフタレート系共重合体
Aとの相溶性が良いため、耐熱性の向上効果が顕著であ
り、後述する実験のデータに示されるように、テレフタ
レート系共重合体A単独のものに比べて荷重撓み温度が
略26℃(ポリカーボネートを50重量%混合した場
合)も上昇する。そして、このように相溶性の良い高耐
熱性ポリエステル系樹脂は、テレフタレート系共重合体
Aに混合しても白濁が生じたり透明性(透視性)の実質
的な低下を招くことがないので、このポリエステル系成
形体はテレフタレート系重合体A単独の成形体と殆ど変
わらない良好な透明性(透視性)を有する。
【0031】また、このポリエステル系成形体は、成形
基体1の混合樹脂がテレフタレート系共重合体Aを主成
分とするものであるから、高耐熱性ポリエステル系樹脂
をよほど多量に混合しない限り、冷間曲げ加工が可能で
あり、釘打ちしても割れることはない。
【0032】そして、この成形基体1の表面には、紫外
線吸収剤を含有したポリエステル系樹脂から成る耐候性
付与層2が形成されているので、成形基体1が紫外線劣
化し難く、また、この耐候性付与層2のポリエステル系
樹脂は成形基体1との密着性が良いため、成形基体1か
ら耐候性付与層2が剥離する心配もない。
【0033】上述した実施形態のポリエステル系成形体
は、成形基体1の上側表面にのみ耐候性付与層2を形成
しているが、上下両表面に耐候性付与層2を形成しても
勿論よい。また、上述した実施形態では、成形基体1を
板状に成形して積層板状のポリエステル系成形体として
いるが、成形基体1をシート状、管状、棒状、線状、異
形状など種々の形状に成形して、用途に応じた積層形状
のポリエステル成形体を得るようにすればよい。
【0034】次に、本発明のポリエステル系成形体の効
果を裏付けるために行った実験について説明する。
【0035】[実験1]テレフタレート系共重合体A単
独の試験片a、テレフタレート系共重合体Aにポリカー
ボネート(以下、PCと記す)をそれぞれ10重量%、
20重量%、30重量%、50重量%の含有率となるよ
うに混合した混合樹脂の試験片b,c,d,e、テレフ
タレート系共重合体B単独の試験片f、テレフタレート
系共重合体BにPCをそれぞれ10重量%、20重量
%、30重量%、50重量%の含有率となるように混合
した混合樹脂の試験片g,h,i,j、PC単独の試験
片kを作製し、切削により各試験片を12.7×125
×3mmのサイズにそろえた。そして、これらの試験片
a〜kについて、荷重18.5kgf/cm2 、温度上
昇速度120℃/時間の条件下に、荷重撓み温度を測定
する実験を行った。
【0036】その結果、荷重撓み温度は、試験片aが6
6.3℃、試験片bが70.3℃、試験片cが75.2
℃、試験片dが80.5℃、試験片eが92.2℃、試
験片fが65.3℃、試験片gが67.4℃、試験片h
が69.8℃、試験片iが71.9℃、試験片jが7
8.7℃、試験片kが134.4℃であった。
【0037】この測定結果に基づき、テレフタレート系
共重合体Aとテレフタレート系共重合体BについてのP
C含有率(重量%)と荷重撓み温度(℃)との関係を示
したものが、図2のグラフである。
【0038】このグラフを見ると、テレフタレート系共
重合体A単独の試験片aとテレフタレート系共重合体B
単独の試験片fの荷重撓み温度は殆ど変わらず、1℃の
温度差しかないが、テレフタレート系共重合体BにPC
を混合した試験片g,h,i,jは、PC含有率が高く
なっても荷重撓み温度の上昇が顕著でなく、PCを50
重量%含有する試験片jでも荷重撓み温度は78.7℃
であり、テレフタレート系共重合体B単独の試験片fに
比べて略13℃上昇するに過ぎない。
【0039】これに対し、テレフタレート系共重合体A
にPCを混合した試験片b,c,d,eは、PC含有率
が高くなるにつれて荷重撓み温度の上昇が顕著であり、
PCを50重量%含有する試験片eは荷重撓み温度が9
2.2℃まで上昇し、テレフタレート系共重合体A単独
の試験片aに比べると荷重撓み温度が略26℃も高くな
り、テレフタレート系共重合体BにPCを50重量%含
有する試験片jに比べても荷重撓み温度が略14℃高く
なっている。
【0040】このことから、テレフタレート系共重合体
AにPC等の高耐熱性ポリエステル系樹脂を混合した混
合樹脂で成形基体1を成形した本発明のポリエステル系
形成体は、荷重撓み温度の上昇が顕著で大幅に耐熱性が
向上し、テレフタレート系共重合体BにPC等を混合し
た混合樹脂で成形基体を成形したものよりも、耐熱性が
遥かに良好であることが分かる。
【0041】[実験2]実験1で作製した試験片a〜k
を切削により40×40×3mmのサイズにそろえ、各
試験片について全光線透過率(Tt)、拡散光線透過率
(Td)、平行光線透過率(Tp)、ヘーズ(曇り度)
を測定した。その結果を下記の表1及び表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】これらの表1、表2を対比すれば、テレフ
タレート系共重合体A単独の試験片aとテレフタレート
系共重合体B単独の試験片fは、全光線透過率、拡散光
線透過率、平行光線透過率、ヘーズが同程度で、大差の
ない透明性(透視性)を有しているが、テレフタレート
系共重合体BにPCを混合した試験片g,h,i,j
は、テレフタレート系共重合体BとPCとの相溶性が悪
いため、PCの割合が多くなるにつれて全光線透過率が
低下するだけでなく、PCの混合によって顕著に白濁
し、ヘーズが極端に増加して透明性(透視性)が損なわ
れる。
【0045】これに対し、テレフタレート系共重合体A
にPCを混合した試験片b,c,d,eは、テレフタレ
ート系共重合体AとPCとの相溶性が良いため、PCの
割合が増大しても、全光線透過率、拡散光線透過率、平
行光線透過率、ヘーズが殆ど変化せず、テレフタレート
系共重合体A単独の試験片aと略同程度の良好な透明性
(透視性)を有している。
【0046】このことから、テレフタレート系共重合体
AにPC等の高耐熱性ポリエステル系樹脂を混合した混
合樹脂で成形基体1を成形した本発明のポリエステル系
形成体は、良好な透明性(透視性)を有することが分か
る。
【0047】[実験3]70重量%のテレフタレート系
共重合体Aと30重量%のPCとの混合樹脂で成形した
厚さ3mmの板片の上面に、紫外線吸収剤として前述の
2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−
2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールをP
C100重量部に対し4重量部の割合で含んだ厚さ40
μmの耐候性付与層を形成して、試験片mを作製した。
【0048】また、70重量%のテレフタレート系共重
合体Aと30重量%のPCとの混合樹脂で成形した厚さ
3mmの板片のみから成る試験片nと、テレフタレート
系共重合体A単独の厚さ3mmの板片のみから成る試験
片oを作製した。
【0049】そして、これらの試験片m,n,oについ
て、メタルウエザオメーターを用いて促進曝露試験を行
い、0時間、96時間、192時間を経過した時点での
黄変度を測定することによって、黄変度の経時変化(Δ
YI)を調べた。
【0050】その結果、試験片mは、96時間後のΔY
Iが1.09、192時間後のΔYIが1.51であ
り、試験片nは、96時間後のΔYIが26.4、19
2時間後のΔYIが31.52であり、試験片oは、9
6時間後のΔYIが59.48、192時間後のΔYI
が67.81であった。図3は、これらの試験片m,
n,oの測定結果に基づいて作成した、促進曝露時間と
ΔYIとの関係を示すグラフである。
【0051】この図3のグラフを見れば、耐候性付与層
を形成していない試験片n,oは、その黄変度の増加が
著しいのに対し、耐候性付与層を形成した試験片mは、
黄変度の増加が極く僅かであり、耐候性に優れている。
【0052】このことから、耐候性付与層2を成形基体
1の表面に形成した本発明のポリエステル系形成体は、
良好な耐候性を有することが分かる。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のポリエステル系成形体は、テレフタレート系共重合体
A単独の成形体やテレフタレート系共重合体B単独の成
形体よりも耐熱性、耐候性が遥かに良く、テレフタレー
ト系共重合体A単独の成形体と同程度の良好な透明性
(透視性)を有し、冷間曲げ加工や釘打ちもできるとい
った効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル系成形体の一実施形態を
示す断面図である。
【図2】テレフタレート系共重合体Aとテレフタレート
系共重合体BについてのPC含有率と荷重撓み温度との
関係を示すグラフである。
【図3】三種類の試験片について促進曝露時間とΔYI
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 成形基体 2 耐候性付与層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK41A AK41B AK41J AK41K AK42A AK42B AK43B AK45B AL01A AL01B AL05A AL05B BA02 BA10A BA10B BA16 CA07B GB90 JJ03A JJ03B JL09 JN01A JN01B YY00A YY00B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形基体の表面に耐候性付与層が形成され
    た成形体であって、 上記成形基体は、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフ
    タレートとポリエチレンテレフタレートとが略4:略6
    〜略9:略1の重量比で共重合したテレフタレート系共
    重合体に、この共重合体との相溶性が良く且つこの共重
    合体よりも耐熱性に優れる高耐熱性ポリエステル系樹脂
    を均一に混合した透明な混合樹脂から成り、 上記耐候性付与層は、紫外線吸収剤を含有した、上記成
    形基体との密着性が良い透明なポリエステル系樹脂から
    成る、 ことを特徴とする透明なポリエステル系成形体。
  2. 【請求項2】上記成形基体の混合樹脂が、90〜40重
    量%のテレフタレート系共重合体に10〜60重量%の
    高耐熱性ポリエステル系樹脂を混合したものである請求
    項1に記載のポリエステル系成形体。
  3. 【請求項3】上記成形基体の混合樹脂に含まれる高耐熱
    性ポリエステル系樹脂が、ポリカーボネート、ポリアリ
    レートのいずれか単独又は混合物である請求項1又は請
    求項2に記載のポリエステル系成形体。
  4. 【請求項4】上記耐候性付与層の紫外線吸収剤が、ポリ
    エステル系樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部
    の割合で含有されている請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載のポリエステル成形体。
  5. 【請求項5】上記耐候性付与層の紫外線吸収剤がポリエ
    ステル系樹脂のポリマー分子と反応して結合している請
    求項1ないし請求項4のいずれかに記載のポリエステル
    系成形体。
  6. 【請求項6】上記耐候性付与層のポリエステル系樹脂
    が、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとポ
    リエチレンテレフタレートとの共重合体、ポリエチレン
    テレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートの
    いずれか単独又は二種以上の混合物である請求項1ない
    し請求項5のいずれかに記載のポリエステル系成形体。
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