JP2001095603A - マリンスポーツ用靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水性の向上を図ると共に、充分な強度を付
与したマリンスポーツ用靴を提供する。 【解決手段】 ゴム製の底板部材１と、この底板部材１
に一体的に取り付けた足包み部材２と、この足包み部材
２に取り付けた締付部材７とを備え、足包み部材２の内
側に防水性布地から成るインナー部材１４を設ける。足
包み部材２は、足のつま先を覆う上面部２ａと、側方か
ら後方を覆う側面部２ｂ、２ｃと、甲及び脛を被覆する
前面部２ｄとから構成する。インナー部材１４は、上部
を略筒状に形成し、その前部に切り欠き部１４ａを形成
して拡開可能とし、内側に舌片１４ｂを取り付けて切り
欠き部１４ａを被覆可能とし、上端後部は二枚重ねとす
る。締付部材７により足包み部材２を締め付けた際に、
インナー部材１４が足に密着し、脛回りからの水の浸入
を完全に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、マリンスポーツ用
靴に関する。

【０００２】

【従来の技術】マリンスポーツ例えば競艇においては、
選手はレース時にヘルメットを被り、救命胴衣を身に着
け、手袋を嵌め、リストバンドやアームカバー等で腕を
保護し、足には競艇用靴を着用する。競艇用靴として
は、従来例えば図４、図５に示すようにゴム製の底板部
材Ａに一体的に取り付けた足包み部材Ｂと、この足包み
部材Ｂに締付部材Ｃを取り付けたものが知られている
（登録実用新案公報第３００７３２５号）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の競艇用靴で
は、足包み部材Ｂの外側に撥水布を配して水の染み込み
を防止し、足包み部材Ｂの甲から脛に当てがう前上壁Ｂ
１と、足の両側から後ろを包む側壁Ｂ２との間には略水
かき状の防水布Ｄが両側に取り付けられ、図５のように
前記締付部材ＣのバンドＣ１を締付用金具Ｃ２に通して
締め付けた際に、防水布Ｄが内側に折り込まれて前上壁
Ｂ１と側壁Ｂ２との間に隙間が生じないようにしてあ
る。しかしながら、レース中は波やしぶきが掛かって脛
回りから水が靴内に浸入し濡れてしまう場合が多かっ
た。叉、足包み部材Ｂの下端部外周には補強用のゴムシ
ートＥが貼られ、つま先部及び踵部にも補強用のゴムシ
ートＦ、Ｇがそれぞれ貼られて強度アップを図ってい
る。しかしながら、選手は操縦席の船底に両膝を付き、
つま先で身体を支えた中腰の状態で操縦するため、競艇
用靴のつま先部の両側には強い屈曲力が加わり、しかも
コーナーカーブを曲がる時には左回りの関係で特に右足
の親指に強い力を加えるため、つま先部の側部が破損し
易いという問題があった。

【０００４】本発明は、このような従来の難点を解消す
るためになされ、防水性の向上を図ると共に、充分な強
度を付与したマリンスポーツ用靴特に競艇用に適したも
のを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段として、本発明は、底板部材と、この底板部材に
一体的に取り付けた足包み部材と、この足包み部材に取
り付けられた締付部材とを備え、前記足包み部材の内側
に防水性布地から成るインナー部材を設けたマリンスポ
ーツ用靴を要旨とする。このマリンスポーツ用靴におい
て、前記インナー部材は、上部を略筒状に形成すると共
にその前部に切り欠き部を形成して拡開可能とし、内側
に舌片を取り付けて前記切り欠き部を被覆可能とし、上
端後部は二枚重ねとし、前記締付部材により足包み部材
を締め付けた際に脹脛の周囲に密着するようにしたこ
と、前記足包み部材は、足のつま先を覆う上面部と、側
方から後方を覆う両側面部と、甲及び脛を被覆する前面
部とから構成され、両側面部は後部の中央で一体化さ
れ、一方の側面部には締付部材のバンドが取り付けられ
ると共に、他方の側面部にはそのバンドを係止する係止
具が取り付けられ、前面部は一方の側端部が前記一方の
側面部に縫着されて反転可能とし、他方の側端部には面
接合材が取り付けられ、この面接合材を前記他方の側面
部に取りけられた面接合材に着脱可能に止着して仮固定
し、前面部の前側に前記バンドを渡して前記係止具に係
止することで、前面部と両側面部とを同時に締め付ける
ようにしたこと、前記足包み部材の内面側に、アラミド
繊維等の高強度繊維から成る裏地を二枚重ねで取り付け
たこと、前記足包み部材の下端部の外周に沿って、高寸
にして帯状の第１の補強材が取り付けられ、前記上面部
の下端部の外周は、第２の補強材が前記第１の補強材の
上に取り付けられて二層構造としたこと、を要旨とする
ものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に、本発明を競艇用靴に適用し
た実施形態を添付図面に基づいて詳説する。図１におい
て、１はゴム製の底板部材であり、この底板部材１に足
包み部材２を一体的に取り付けることにより靴本体が形
成される。底板部材１の先端部１ａはつま先部の前端面
まで、後端部１ｂは踵部の後端面までそれぞれ略半円状
に延設され、下面には滑り止めのトレッド１ｃが設けら
れている。このトレッド１ｃは、底板部材１の先端部１
ａにも形成されているが、後端部１ｂには形成されてお
らず、ズボンの裾が引っ掛かったり擦れたりしないよう
に平坦面になっている。

【０００７】前記足包み部材２は、足のつま先を覆う上
面部２ａと、側方から後方を覆う側面部２ｂ、２ｃと、
甲及び脛を被覆する前面部２ｄとから構成されている。
この足包み部材２の下端部の外周には、補強材である帯
状の第１のゴムシート３が従来よりも高寸でつまり広幅
で取り付けられ、上面部２ａの先方にも第１のゴムシー
ト４が取り付けられ、更に上面部２ａの下端部外周と踵
部の外周に沿って第２のゴムシート５、６が前記第１の
ゴムシート３の上にほぼ同じ高さでそれぞれ取り付けら
れている。従って、つま先部と踵部の外周は、第１のゴ
ムシート３と第２のゴムシート５、６とによりそれぞれ
二層構造となっている。そして、これら二層構造のゴム
シートの上に、前記底板部材１の先端部１ａと後端部１
ｂとが貼着されている。

【０００８】前記側面部２ｂ、２ｃは後部の中央で一体
化され、一方の側面部２ｂには締付部材７のバンド７ａ
が上下に２本取り付けられると共に、それらの先端には
環状の金具８がそれぞれ嵌められている。他方の側面部
２ｃには、バンド７ａに対応させて帯状の係止具７ｂが
上下に２本取り付けられ、その係止具７ｂのほぼ中間部
から先の部分には面接合材９が、後ろの部分には相手の
面接合材９ａがそれぞれ取り付けられている。この面接
合材９、９ａとして面接合テープを使用することができ
る。叉、側面部２ｃの前方要所には、前面部２ｄの面接
合材１０に対応する面接合材１０ａが並設されている。

【０００９】前記前面部２ｄは、内方の側端部が側面部
２ｂの前方縁部に縫着されて反転可能に形成され、且つ
前方に屈曲し易いように外方の側端部が二股状に分岐し
ており、その間は補助シート１１、１２により補強さ
れ、二股部の内面側（裏側）には前記面接合材１０がそ
れぞれ取り付けられている。

【００１０】このように形成された足包み部材２は、上
面部２ａ、側面部２ｂ、２ｃ及び前面部２ｄの外側（表
側）がいずれもしなやかな皮革で形成され、内側にはア
ラミド繊維等の高強度繊維から成る裏地１３が二枚重ね
でそれぞれ取り付けられている。

【００１１】１４は足包み部材２の内側に設けられたイ
ンナー部材であり、防水性布地例えばダイバー用ウエッ
トスーツ素材で形成され、甲部から上の部分は略筒状を
呈しており、その前部中央に切り欠き部１４ａを形成し
て左右に拡開可能とし、内側に舌片１４ｂを取り付けて
切り欠き部１４ａを被覆できるようにしてある。舌片１
４ｂは、二枚重ねとなるように袋状に形成し、その下端
部を前記上面部２ａの後端部の裏側に縫着して固定し、
縫着部より上の部分は自由に動く構造にしてある。

【００１２】このインナー部材１４は、上端後部を二枚
重ねにしてあり、即ち図３（イ）のように左右の上端後
部に略四半円状の延長部１４ｃ、１４ｄをそれぞれ形成
し、図３（ロ）、（ハ）のように延長部１４ｃ、１４ｄ
の上縁部のみを縫着一体化することで袋状に二枚重ねと
したものである。この延長部１４ｃ、１４ｄの下から踵
部に至るまでの部分は、左右の端部を重ね合わせて縫着
一体化し、更にこの縫着部１４ｅを前記足包み部材２の
後部の縫着部に縫着することで、インナー部材１４の略
筒状の上部が倒れないように保持してある。１４ｆは上
部における他の縫着部である。

【００１３】本発明に係る競艇用靴は上記のように構成
され、これを着用するには前記足包み部材２の側面部２
ｂ、２ｃ及び前面部２ｄを開放状態にして、先ずインナ
ー部材１４の中に足を挿入する。この時、インナー部材
１４の舌片１４ｂを片方の手で持って図１のように切り
欠き部１４ａから前方に出すと共に、他方の手で上端後
部（二枚重ね部分）を持ちながら足を挿入すると、略筒
状の上部が大きく口を開き且つ足の挿入に伴う引き込み
が防止され、インナー部材１４への足の挿入を極めて容
易に行うことができる。

【００１４】次いで、足包み部材２の前面部２ｄを反転
させて、図２のように前記面接合材１０を側面部２ｂの
面接合材１０ａに止着して仮固定する。これにより甲部
が被覆される。

【００１５】この後、足包み部材２の側面部２ｂ、２ｃ
の前端部を互いに接近させ、前面部２ｄの上部を当てが
うと共にその前側に締付部材７のバンド７ａを渡して係
止具７ｂの先端部を金具８に通して反転させ、その係止
具７ｂを後方に充分引っ張り面接合材９を面接合材９ａ
に止着することで締め付け固定する。

【００１６】このようにして、２つの締付部材７で締め
付けると、足包み部材２の側面部２ｂ、２ｃと前面部２
ｄとが同時に窄まって固定され、インナー部材１４はそ
の内側で円筒状に窄まって固定される。この時、インナ
ー部材１４は、図２のように上部の切り欠き部１４ａは
舌片１４ｂにより完全に閉塞され、且つ上部が足に密着
する。前記二枚重ねの上端後部は足の脹脛に密着し、同
じく二枚重ねの舌片１４ｂは脛に密着するため、インナ
ー部材１４の上部の密着性を向上させることができる。
従って、インナー部材１４により足のつま先から脹脛ま
で完全に被覆され、感触も良いことからフィット感が向
上する。

【００１７】この競艇用靴を着用してレースに臨むと、
波やしぶきが掛かっても脛回りからインナー部材１４中
へ水が浸入することはなく、従って足が濡れることはな
い。叉、コーナーカーブを曲がる際に、特に右足の親指
に強い力を掛けても競艇用靴のつま先側部が破損するこ
とはない。前記のように第１のゴムシート３と第２のゴ
ムシート５とで二重の補強構造となっているためであ
る。これらは従来の補強用ゴムシートよりも高寸に形成
されているため、操縦時につま先側部に強い屈曲力が加
わっても充分耐え得る強度を有している。

【００１８】足包み部材２の前面部２ｄは甲部を締め付
けているため、足の甲が内部で安定し、競艇用靴と足と
の一体感が高まって違和感が全くない。このため、選手
は安定した中腰姿勢を保持することができ、操縦がし易
くなると共にフィット感を著しく向上させることができ
る。

【００１９】従来はレース中、事故等により選手が操縦
席から外に放り出され、スクリューに接触して靴が切断
し足を大怪我することがあったが、本発明の競艇用靴に
よれば、足包み部材２の内側にはアラミド繊維等の高強
度繊維から成る裏地１３が取り付けられ、しかも二枚重
ねで取り付けられているため、スクリューによる切断を
阻止し足の怪我を未然に防止することができる。更に、
インナー部材１４がクッション作用をなすので足の保護
に寄与することになる。

【００２０】レース後、競艇用靴を脱ぐ時は、締付部材
７の係止具７ｂの面接合材９を相手の面接合材９ａから
剥がすと共に金具８から抜いて締め付けを解除し、次い
で前面部２ｄの面接合材１０を側面部２ｃの面接合材１
０ａから剥がして反転させ、インナー部材１４から足を
引き抜けば容易になし得る。

【００２１】インナー部材１４と足包み部材２との間に
は水が浸入して濡れる場合があるが、脱いだ後は前記の
ように前面部２ｄが反転して内側が露出し、側面部２
ｂ、２ｃも左右に開いて内側が露出し、且つインナー部
材１４の略筒状上部の外側も露出することから乾燥し易
くなっている。

【００２２】尚、前記インナー部材１４にチタンをコー
トする場合があり、その場合にはインナー素材の防水性
を一層向上させると共に、耐久性及び保温性を向上させ
ることが可能となる。本発明は、実施形態で説明した競
艇用靴に限定される事無く、ヨットやボート等の他のマ
リンスポーツ用靴にも適用することが可能である。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るマリ
ンスポーツ用靴によれば次ぎのような優れた効果が得ら
れる。 （１）足包み部材の内側に防水性布地から成るインナー
部材を設け、着用時にそのインナー部材が足に密着する
ように構成したので、防水性能を著しく高めることがで
きる。 （２）インナー部材は上端後部を二枚重ねとし、締付部
材により足包み部材を締め付けた際に脹脛の周囲に密着
するようにしたので、脛回りから水が浸入するのを阻止
することができる。 （３）足包み部材は、足のつま先を覆う上面部と、側方
から後方を覆う両側面部と、甲及び脛を被覆する前面部
とから構成し、締付部材によって両側面部と前面部とを
同時に締め付け固定できるようにし、且つ前面部は反転
可能に形成したのでマリンスポーツ用靴の着脱が容易に
できる。 （４）足包み部材の内面側に、アラミド繊維等の高強度
繊維から成る裏地を二枚重ねで取り付けたので、マリン
スポーツ用靴全体の強度アップが図れ、叉競艇の場合に
は事故等により選手が操縦席から放り出された際に、ス
クリューによる切断を阻止して足の怪我を未然に防止す
ることができる。 （５）前面部の下端部外周に二層の補強材（ゴムシー
ト）を取り付けたので、競艇レース中に足指特に右の親
指に強い力を加えても、つま先側部の破損を防止するこ
とができ、更につま先側部に強い屈曲力が加わっても充
分耐え得る強度を付与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を競艇用靴に適用した実施形態を示す斜
視図

【図２】その競艇用靴を着用した時の状態を示す斜視図

【図３】インナー部材の略筒状の上部を示すもので、
（イ）は二枚重ねの上端後部を分解した正面図、（ロ）
は縫着状態での正面図、（ハ）は側面図

【図４】従来の競艇用靴の斜視図

【図５】その競艇用靴を着用した時の状態を示す斜視図

【符号の説明】

１…底板部材 ２…足包み部材 ２ａ…上面部 ２ｂ、２ｃ…側面部 ２ｄ…前面部 ３、４…第１のゴムシート ５、６…第２のゴムシート ７…締付部材 ７ａ…バンド ７ｂ…係止具 ８…金具 ９、１０…面接合材 ９ａ、１０ａ…面接合材 １１、１２…補助シート １３…裏地 １４…インナー部材 １４ａ…切り欠き部 １４ｂ…舌片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 皓 神奈川県川崎市川崎区追分町16−１−1203 (72)発明者 社本 博之 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎東１−１−２ −1204 Ｆターム(参考） 4F050 AA06 BA03 BA09 BC03 BC07 BC10 BC22 BC43 CA08 CA10 HA20 HA61 HA80

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】底板部材と、この底板部材に一体的に取り
   付けた足包み部材と、この足包み部材に取り付けた締付
   部材とを備え、前記足包み部材の内側に防水性布地から
   成るインナー部材を設けたことを特徴とするマリンスポ
   ーツ用靴。
2. 【請求項２】前記インナー部材は、上部を略筒状に形成
   すると共にその前部に切り欠き部を形成して拡開可能と
   し、内側に舌片を取り付けて前記切り欠き部を被覆可能
   とし、上端後部は二枚重ねとし、前記締付部材により足
   包み部材を締め付けた際に脹脛の周囲に密着するように
   した請求項１記載のマリンスポーツ用靴。
3. 【請求項３】前記足包み部材は、足のつま先を覆う上面
   部と、側方から後方を覆う両側面部と、甲及び脛を被覆
   する前面部とから構成され、両側面部は後部の中央で一
   体化され、一方の側面部には締付部材のバンドが取り付
   けられると共に、他方の側面部にはそのバンドを係止す
   る係止具が取り付けられ、前面部は一方の側端部が前記
   一方の側面部に縫着されて反転可能とし、他方の側端部
   には面接合材が取り付けられ、この面接合材を前記他方
   の側面部に取りけられた面接合材に着脱可能に止着して
   仮固定し、前面部の前側に前記バンドを渡して前記係止
   具に係止することで、前面部と両側面部とを同時に締め
   付けるようにした請求項１叉は２記載のマリンスポーツ
   用靴。
4. 【請求項４】前記足包み部材の内面側に、アラミド繊維
   等の高強度繊維から成る裏地を二枚重ねで取り付けた請
   求項１、２叉は３記載のマリンスポーツ用靴。
5. 【請求項５】前記足包み部材の下端部の外周に沿って、
   高寸にして帯状の第１の補強材が取り付けられ、前記上
   面部の下端部の外周は、第２の補強材が前記第１の補強
   材の上に取り付けられて二層構造とした請求項１、２、
   ３叉は４記載のマリンスポーツ用靴。