JP2001095515A - 塊状麺類及びその製造方法 - Google Patents

塊状麺類及びその製造方法

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JP2001095515A JP27940099A JP27940099A JP2001095515A JP 2001095515 A JP2001095515 A JP 2001095515A JP 27940099 A JP27940099 A JP 27940099A JP 27940099 A JP27940099 A JP 27940099A JP 2001095515 A JP2001095515 A JP 2001095515A
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敏広 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水あるいは湯で戻した後、あるいは炊いて調
理した後の喫食時においても、麺塊の塊状の形状を維持
できる麺を提供する。 【解決手段】 麺類の製造方法において、(a)麺線表
面に結着剤として加熱凝固性を有する蛋白素材を被覆す
る工程と、(b)該被覆工程(a)の実施と同時に又は
相前後して、該麺線表面に凝固剤としてアルカリ金属塩
及び又はアルカリ土類金属塩を被覆する工程と、(c)
前記結着剤と前記凝固剤を被覆した麺線を加熱処理する
工程を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塊状の麺類及びそ
の製造方法に関するものである。更に詳細には、水ある
いは湯戻し後、もしくは炊いて調理した後も喫食時にそ
の形状を維持できることを特徴とする塊状の麺類および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、麺類は小麦粉等穀粉を主材と
し、これにかん水、増粘類、色素等の添加物と水とを加
えて混練し、板状に圧延してから線状に切り出すか、混
練したものを押し出して麺線とする。これが一般的にい
われる生麺であり、乾麺はこれを乾燥させたものであ
る。これらを茹で又は蒸してα化したものが茹麺又は蒸
し麺であり、さらにこれらα化した麺をフライ(油揚
げ)や熱風乾燥したものが即席麺である。
【0003】これらの麺類において、麺生地の中に卵白
等各種蛋白素材やキサンタンガム等各種ガム類、あるい
は増粘多糖類やリン酸塩等各種塩類を麺質改良のために
練り込むことは、一般的に用いられている方法である。
しかしながら、麺塊の形状を維持させることを目的に、
これらの物質を麺線表面に被覆することについては報告
がない。また、一部食物繊維や増粘類を麺線表面に被覆
した麺類の技術も公知であるが、これらの技術は麺線同
士の結着の防止や麺線表面の酸化や乾燥の防止を目的と
するもので、麺塊の形状を喫食時においても維持しよう
というものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】麺類は通常線状である
ために、喫食するには箸の使用が一般的であり、箸の使
用が困難な幼児や老人には喫食しづらく、喫食時に汁が
はねることによってテーブルが汚れたり、はねた汁によ
って服が汚れる等の欠点がある。また、麺をすすりこむ
能力のない人、箸の文化を持たない国々の人、ズルズル
とした音をたてることが、食事上のマナーに反すると考
える人々などには喫食しづらい等、線状の麺は喫食にお
いて問題点があった。
【0005】そこで、線状の麺を塊状にした麺塊を創製
し、水あるいは湯戻しした時にもその形状を維持できる
麺を提供できれば、スプーン等での喫食も可能となり、
箸の使用が困難な幼児や老人でも喫食でき、喫食時に汁
がはねることによってテーブルが汚れることがなく、は
ねた汁によって服が汚れるといったこともなくなる。ま
た、麺をすすりこむ能力のない人や箸の文化を持たない
国々の人、ズルズルとした音をたてることが食事上のマ
ナーに反すると考える人々などでも喫食可能であり、身
体に障害のある人や健康を損ね仰臥姿勢での食事を余儀
なくされている人など幅広い人々に容易に喫食させうる
こととなる。本発明は、喫食時においても、このような
麺塊を塊状の形態のまま維持でき、かつ十分に湯戻りし
て喫食に耐える麺類を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行ったところ、麺線の表面に
結着剤及び凝固剤を被覆後、加熱することにより、水あ
るいは湯戻しした後、あるいは炊いて調理が完了した
後、喫食時においてもその形状を維持することができる
麺類が製造できることを知見し、その製造法を確立する
ことに成功した。
【0007】すなわち、本発明は、(a)麺線表面に結
着剤として加熱凝固性を有する蛋白素材を被覆する工程
と、(b)該被覆工程(a)の実施と同時に又は相前後
して、該麺線表面に凝固剤としてアルカリ金属塩及び又
はアルカリ土類金属塩を被覆する工程と、(c)前記結
着剤と前記凝固剤を被覆した麺線を加熱処理する工程、
を含む塊状麺類の製造方法である。
【0008】また、本発明は、(a)生麺線又は茹で及
びもしくは蒸した麺線の表面に結着剤として加熱凝固性
を有する蛋白素材を被覆する工程と、(b)該被覆工程
(a)の実施と同時に又は相前後して、該麺線の表面に
凝固剤としてアルカリ金属塩及び又はアルカリ土類金属
塩を被覆する工程と、(c)前記結着剤と前記凝固剤を
被覆した麺線を、空気雰囲気下における加熱及び又はフ
ライによって加熱処理する工程、を含み、該加熱処理工
程(c)の実施に先駆けた時点で麺線を型枠に入れてお
いて該加熱処理工程(c)を実施することにより、該型
枠形状の麺塊とする塊状麺類の製造方法である。ここ
で、型枠に麺線を入れる時期は、結着剤、凝固剤を麺線
に被覆する前でも、被覆した後でも、あるいは一方のみ
を被覆した後に行っても良い。
【0009】また、本発明は、(a)生麺線又は茹で及
びもしくは蒸した麺線を型枠に入れて乾燥処理を施すこ
とによって型枠形状の麺塊とする工程と、(b)該乾燥
処理工程(a)の実施前又は実施後に、該麺線表面に結
着剤として加熱凝固性を有する蛋白素材を被覆する工程
と、(c)該乾燥処理工程(a)の実施前又は実施後
に、該被覆工程(b)の実施と同時に又は相前後して、
該麺線表面に凝固剤としてアルカリ金属塩及び又はアル
カリ土類金属塩を被覆する工程と、(d)前記結着剤と
前記凝固剤を被覆し、かつ乾燥処理を施した型枠形状の
麺塊を、空気雰囲気下における加熱及び又はフライによ
って加熱処理して前記型枠形状の麺塊とする工程、を含
む塊状麺類の製造方法である。ここで、空気雰囲気下に
おける加熱及び又はフライ(d)の時点では、麺線は既
に型枠形状の麺塊を形成しているので、麺線を型枠に入
れたままで当該処理を行っても、また型枠から出した後
に行っても構わない。
【0010】これら、本発明の方法によると、商品形態
として所定の形状の麺塊を得ることができ、その麺塊
は、喫食時に水あるいは湯で戻した時、あるいは炊いて
調理した後も、その型枠形状が維持され、かつ、麺塊内
部まで十分に湯戻り可能な麺とすることができる。特
に、α化後の麺線に当該処理を行う場合は、その効果の
高い麺を得ることができる。
【0011】なお、結着剤としては実験の結果から好ま
しい結着度が付与されるという点で、卵蛋白(卵白、全
卵)および又は乳蛋白(カゼイン、乳清蛋白)を含み、
凝固剤としては、塩化物が良く、塩化ナトリウム、塩化
カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムのい
ずれか一つ以上を含むものがよい。
【0012】また、本発明は前記結着剤と凝固剤の麺線
への被覆方法が、麺線をこれらの溶液に浸漬するか及び
又は麺線にこれらの溶液を散布する方法が好ましい。こ
の方法を採ることで、麺線表面にまんべんなく、しかも
簡単に結着剤と凝固剤の被膜を作ることができる。
【0013】また、前記結着剤の麺線への被覆量として
は、麺線100g当たり0.3〜4.5gさらに好まし
くは1.5g〜3.0gであり、凝固剤の麺線への被覆
量としては麺線100g当たり0.9g〜7.5gさら
に好ましくは1.5〜7.5gであることで、高い効果
が得られる。なお、ここでいう麺線重量とは、結着剤、
凝固剤を被覆前の麺線重量をいう。
【0014】さらに本発明は、これら製法によって製造
された塊状麺であり、麺線表面に結着剤として加熱凝固
性を有する蛋白素材と、さらに凝固剤としてアルカリ金
属塩及び又はアルカリ土類金属塩が被覆されてなる塊状
麺類であって、喫食時もその形状をほぼ維持できること
を特徴とする塊状麺類である。
【0015】特に前記塊状麺が即席麺の場合には、調理
時、喫食時において塊状形状の保形性が良く、簡便性が
高く、保存ができ、販売時や喫食時にも見た目に楽しい
麺とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、フライ麺、ノンフライ
麺等の即席麺類、及び乾麺等の乾燥タイプの麺類、さら
にはウェットタイプの茹麺、蒸し麺、冷凍麺等各種麺類
に応用できる。また麺の種類を問わず、ラ−メン、うど
ん、パスタ、焼きそば、マカロニ等何れの麺類にも、ま
たスープの浮き身に用いるヌードル等にも適用可能であ
る。
【0017】本発明は、スープに麺を入れたいわゆるラ
ーメンを始めとする汁物の麺類の形態だけなく、水ある
いは熱湯を加えた後、水切りあるいは湯切りして麺塊を
そのままあるいはスープ、着味液等につけて食するいわ
ゆるつけ麺や冷麺等の形態も可能である。
【0018】以下、本発明の製造方法を、例として即席
麺の製造方法に従って説明する。
【0019】本発明に用いられる麺線は、製麺の常法に
よって製造できる。すなわち、小麦粉、そば粉等の穀粉
に必要に応じて澱粉等を添加した主原料に、さらに必要
に応じてかんすい、食塩、増粘類、色素等を添加し、水
を加えて混練して麺生地を作り、これを圧延して麺帯と
した後に切り出して麺線とする方法や、麺生地を押し出
して麺線とする方法が使用できる。
【0020】このようにしてできた麺線を、即席麺の場
合、茹で及び又は蒸しによってα化し、次いでα化した
麺線表面を結着剤、凝固剤の溶液で被覆する。なお、即
席麺の場合、α化した麺であればウェットな状態でなく
とも、例えばα化後(型枠に入れて)フライや熱風乾
燥、あるいは凍結乾燥等によって乾燥させたものに被覆
しても良い。
【0021】被覆の方法としては、これらの水溶液に浸
漬する方法、もしくはこれらの水溶液を麺線に散布する
方法が、最も簡単で、かつ満遍なく被覆することができ
る。ここで、結着剤の水溶液は0.3〜15%(重量/
容量)、凝固剤の水溶液は1〜25%(重量/容量)の
濃度に調整したものが好適に使用できる。
【0022】また、被覆に用いる溶液は結着剤と凝固剤
を混合した溶液を使用しても、これらの溶液を別々に作
って別工程で処理しても良い。さらに、一旦結着剤だけ
被覆した後に乾燥若しくは加熱し、その後新たに凝固剤
の溶液を処理する方法、あるいは凝固剤を先に被覆して
同様に行っても構わない。しかし、いずれの場合におい
ても、結着剤と凝固剤が被覆された後に、少なくとも1
回の加熱処理が行われる必要がある。
【0023】本発明における結着剤としては、加熱する
ことにより凝固する性質を持つ食品用蛋白素材が適宣使
用される。該蛋白素材のタンパク質の由来としては、卵
由来、肉由来、乳由来、大豆由来、小麦由来等のものが
ある。蛋白素材は、これらの由来物より調製もしくは単
離精製されたもの、又は化学合成法もしくは遺伝子組換
えによる合成法によって製造されたものでもよく、また
加熱により凝固性を発揮する限りにおいて、これら蛋白
素材を部分分解して得られるペプチドも使用可能であ
る。
【0024】卵由来タンパク質としては、オボアルブミ
ン、コンアルブミン等で構成され、卵白、卵黄、全卵等
あるいはこれらを用いた食品素材が用いられる。肉由来
タンパク質としては、アクチン、ミオシン等で構成さ
れ、血漿タンパク質を結晶化したプラズマパウダ−等あ
るいはこれらを用いた食品素材が用いられる。乳由来タ
ンパク質としては、α−ラクトアルブミン、β−ラクト
グロブリン、カゼイン等で構成され、ホエ−タンパク質
(WPI)、レンネットカゼインあるいはこれらを用い
た食品素材等が用いられる。大豆由来タンパク質として
はグリシニン、コングリシニン等で構成され、大豆タン
パク質等が用いることができる。小麦由来タンパク質等
としてはグルテニン、グリアジン等で構成され、グルテ
ン等の食品素材を用いることができる。
【0025】これらの熱凝固性の蛋白素材は混合で使用
しても、単独で使用しても、あるいは蛋白素材以外の他
の物質、例えば着味料、香辛料などとの混合の状態で使
用しても良い。要は、これら熱凝固性を有する蛋白素材
を含む物であれば、結着剤として使用可能である。
【0026】例えば、上記ような蛋白素材を含む食品素
材としては以下のようなもの(商品名)が市販されてお
り、本発明の結着剤として使用可能である。具体的に
は、サンプロHT−101、サンプロLRM−121、
メンフィットA、サンキララP、卵白粉末N、BPP、
BPP−10、プロファインP、サンラクトN−5、サ
ンラクトN−12、サンラクトI−1、サンレシチンP
−1、(以上、太陽化学(株)製)、卵白ペプタイド、
卵白プロテイン(以上、キューピー(株)製)、卵白粉
末S、卵白粉末、卵白粉末HG、ジェネシス、ウィニン
グα、プロスリー、プロツー、プロツーAR、プロブミ
ン、WPH、プログレスC−N(以上、第一化成(株)
製)などを用いることができる。なお、結着剤として動
物由来の蛋白素材が好ましく、特に卵蛋白(卵白、全
卵)あるいは乳蛋白(カゼイン、乳清蛋白)を主剤とし
て含有する物が好ましい。
【0027】結着剤を麺線表面に被覆する場合の、麺線
への被覆量としては、麺線重量100g当たり0.3〜
4.5gが好ましく、特に好ましくは1.5〜3.0g
である。被覆量が少なすぎると結着性が充分に付与され
ないため得られる塊状麺類の保形性に劣り、多すぎても
同様に保形成が充分でないことがある。また、用いる結
着剤の種類によっては、被覆量が多すぎることによって
食感が悪くなってしまうという不都合が生じる場合もあ
る。
【0028】次に凝固剤としては、アルカリ金属塩ある
いはアルカリ土類金属塩の1種以上が使用され、例え
ば、塩化物、硫化物、炭酸水素塩、炭酸塩などの無機塩
類あるいは酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩
などの有機塩類を使用することが望ましい。塩化物とし
ては塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウ
ム、塩化アンモニウム等が、硫化物としては硫酸ナトリ
ウム、硫酸マグネシウム等が、炭酸水素塩としては炭酸
水素ナトリウム、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸
カリウムなどが適宣使用され、これらを単独または混合
して用いられる。特に好ましい物としては塩化カリウ
ム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニ
ウムのいずれか1つ以上で、これらを主剤として含有す
るものが好ましい。
【0029】凝固剤を麺線表面に被覆する場合の、麺線
への被覆量としては、麺重量100g当たり、0.9〜
7.5gが好ましく、特に好ましくは1.5〜7.5g
である。被覆量が少なすぎると、やはり結着性が充分に
付与されないため得られる塊状麺類の保形性に劣り、多
すぎると味や色調の点で不都合が生じる場合がある。例
えば、凝固剤として塩化ナトリウムなどの呈味物質を用
いる場合は、最終製品の食味に及ぼす影響も考慮して被
覆量を調節すべきである。
【0030】また、本発明の結着剤あるいは凝固剤の溶
液の示適pHは4〜11、より好ましくは5〜10であ
る。なお、結着剤もしくは凝固剤の一方のみを麺線に被
覆しただけでは、本発明の効果を得ることができない。
【0031】結着剤、凝固剤を被覆した麺線は最終的に
加熱処理されるが、その場合、所定の形状とするための
型枠に入れられて加熱処理するか、もしくは、すでに麺
塊が乾燥処理によって型枠形状に固定されている場合に
は、必要に応じて型枠から出して加熱処理される。
【0032】型枠への麺線の充填は、最終的な加熱処理
の直前にウェットな状態の麺を型枠に充填して加熱処理
する順序で行うのが、工程の簡略化や麺線の型枠への結
着等を起こしにくい点で好ましいが、切り出し、押し出
しによる麺線の製造工程以降、加熱処理工程以前であれ
ば、いずれの工程においても可能である。例えば、切り
出した麺線を先に型枠に入れて、型枠に入れたまま蒸煮
し、結着剤、凝固剤の溶液に浸漬して型枠に入れたまま
加熱処理しても良い。また、切り出した麺線を蒸煮した
後に、型枠に入れて一旦フライ処理等の乾燥処理をした
後、結着剤、凝固剤の溶液に浸漬して型枠から出して加
熱処理しても良い。
【0033】型枠は、いずれの形態や大きさの物も採用
できるが、型枠内に麺線を詰めすぎると喫食時に内部ま
で湯戻りしにくくなり、即席麺の場合には内部まで乾燥
が困難になるので、鳥の巣状に空間があるように充填す
るのがよい。そのためには、例えば即席フライ麺製造の
場合、型枠内体積の4分の1から4分の3の量となるよ
うに麺を充填するとよい。一般的には1口サイズとして
スプーンで食する形状のものがその機能性の点から好ま
しいので、直径1〜3cm程度の球状の型枠を用いるの
がよい。また、型枠の形態によっては、動物等キャラク
ターの形状の麺塊も可能で、子供のおやつ用のラーメン
や、スープの浮き身等として、見た目にも楽しい麺とす
ることもできる。なお、型枠に入れた状態で乾燥処理、
被覆処理、加熱処理などが実施される場合があることに
鑑み、型枠の壁材としては多数の貫通孔を有するものや
網目状のものがよく、ステンレスなどの耐熱性素材を用
いることが好ましい。
【0034】最後に、加熱処理が行われるが、即席麺の
場合は当該加熱処理を麺線の乾燥工程と同一の工程で行
うこともできる。加熱処理方法としてはオーブンによる
熱風乾燥や高温気流乾燥、マイクロウェーブ乾燥等空気
雰囲気下で加熱乾燥させるいわゆるノンフライ麺の製
法、高温の油で揚げるフライの方法など、前記被覆処理
後の麺線から結着剤及び凝固剤が遊離し難い加熱処理方
法を採るとよい。加熱温度としては空気下での加熱、フ
ライのいずれの場合でも60℃以上であれば麺塊を塊状
に固定することは可能であるが、特に90〜180℃が
好ましい。なお、当然のことながら、上記加熱処理は即
席麺の製造工程における通常の乾燥工程と別工程で行う
こともできる。あるいは、加熱処理を複数回行うことも
できる。例えば、蒸煮した麺線に凝固剤を被覆した後
に、型枠に入れて一旦短時間加熱処理し、続いて結着剤
を被覆した後さらに短時間加熱処理し、続いてフライ処
理して本発明の即席麺とすることもできる。
【0035】また、製造した麺塊を満遍なく湯戻りでき
るよう、麺の偏在を防止するために当該加熱処理あるい
は乾燥処理に当たって麺線を入れた型枠を回転させた
り、揺動させたりすることもできる。
【0036】上述のような本発明の製法によって製造し
た即席麺は、お湯を入れて食するだけのワンタッチタイ
プのカップ麺の場合であれば、お湯を入れて20分以上
もその形状を崩れることなく維持することができ、炊い
て調理する袋麺の場合でも、炊いた後喫食時にその形態
が維持される麺塊とすることができる。このような製造
方法に従って球状の麺塊となるように製造した即席麺の
外観を図1に示す。
【0037】以上、即席麺の製造工程に沿って説明した
が、本発明は即席麺以外の麺においても有効である。た
だし、生麺や乾麺の場合で太い麺の場合には、茹で調理
する時間が長いので麺塊の形状が崩れ気味になる。従っ
て、本発明は、α化後の工程で結着剤と凝固剤を被覆す
る調理時間の短い即席麺の場合に特に有効である。ま
た、茹麺や、蒸し麺、冷凍麺等の場合にも、麺塊形状を
十分に維持することができる。
【0038】生麺の場合、本発明の結着剤と凝固剤は切
り出し又は押し出して製造した生麺線にこれらの溶液を
被覆し、型枠に入れた状態で、オーブン等で表面が乾燥
する程度に加熱する。乾麺の場合は前記の処理をした生
麺線を、そのままの条件でさらに乾燥工程に処しても良
く、あるいは乾燥方法を変えて、例えば加熱処理後室温
下で乾燥しても良い。
【0039】茹麺、蒸し麺、冷凍麺等の場合は、茹で又
は蒸しによって麺線をα化し、この麺線に結着剤と凝固
剤を被覆して、型枠に入れた状態で、オーブン等で、表
面がべと付かない程度に加熱乾燥する。冷凍麺の場合は
さらにこれを急速冷凍すればよい。
【0040】
【実施例】以下、実験例及び実施例を示して詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例によって限定的に解釈さ
れるものではない。
【0041】なお、実験例1〜9に使用される麺は、以
下の製造方法で製造した麺を使用した。また、実験例の
評価における結着度(塊状形状の非崩壊性)の評価方法
は以下に従った。
【0042】(実験例に用いる麺の製造方法)小麦粉9
00gと澱粉100gに、かんすい2gと食塩15gを
溶解した水330mlを加えてミキサーで15分間混練
して麺生地を作成した。該麺生地をロール圧延機で厚さ
0.8mmに圧延して麺帯とした後、切り刃20番で麺
線に切り出した。これを蒸し器で2分間蒸してα化した
後、1食分100gずつにカットした。
【0043】(結着度評価方法)直径7.5cmの深型
シャ−レに作製した麺塊を入れ、熱湯100mlを注
ぎ、蓋をして3分間放置した。1個を取り出し麺塊の中
央部に直径3mmの竹製串を突き刺し、麺塊を宙吊り状
態にした時の麺塊の形状状態を下記の5段階スコア(1
〜5)で表記し、麺塊の結着度の評価とした(3回実
施)。
【0044】スコア5:形状を維持したまま、完全に結
着している。
【0045】スコア4:形状を維持したまま、ほぼ結着
している。
【0046】スコア3:形状はやや崩れかけているが、
結着は見られる。
【0047】スコア2:形状は不完全であるが、弱い結
着は見られる。
【0048】スコア1:形状は不完全であり、全く結着
性なし。
【0049】(実験例1)結着剤の効果を見るために、
種々の増粘剤や蛋白素材、あるいはこれら素材を含む食
品素材を用いて実験を行った。麺塊の作製方法は、次の
通りである。
【0050】水30mlに凝固剤として塩化ナトリウム
3gを加え、下記蛋白素材や増粘剤もしくはこれらを主
成分とする食品素材1.5gを加えて、振とう機で30
分間振とうさせ溶解させた。この液30mlを40℃に
加温して、前記で作成した麺線1食分100gに浸漬
し、良く絡めて全量を麺線表面に被覆した後、該麺線約
6gずつをカットして小分けにし、直径3cmの球状を
有する、メッシュのステンレス網で形成された金型(型
枠)に、小分けにした6gの麺線を入れて約150℃の
パ−ム油(植田精油(株)製)で2分間揚げた。
【0051】結着度の評価は前記結着度評価方法に従っ
て行い、結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】表1中の商品名で記載されている蛋白素材
の製造会社名と蛋白の由来は以下の通りである。
【0054】 サンキララP(全卵粉末:太陽化学(株)製) 卵白粉末N(卵白粉末:太陽化学(株)製) 卵白粉末S(卵白粉末:第一化成(株)製) プロファインP(血漿蛋白:太陽化学(株)製) サンラクトN−12(乳清蛋白:太陽化学(株)製) ウィニングα(乳清蛋白濃縮物:第一化成(株)製) プロツー(乳清蛋白、卵蛋白、動物蛋白加水分解物混
合:第一化成(株)製) 実験例1の結果、食品用の加熱凝固性を有する蛋白素材
は、これを使用しないものはもちろん、ガム類、増粘類
等に比較して高い効果を示し、特に全卵、卵白蛋白等の
卵蛋白を含むもの、カゼイン、乳清蛋白等の乳蛋白を含
むものは高い効果を有し、本発明の結着剤として好まし
いものであった。
【0055】(実験例2)凝固剤の効果を検討するた
め、種々のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を用い
て検討を行った。麺塊の作製方法は、以下の通りであ
る。
【0056】水30mlに結着剤として卵白粉末S(商
品名:第一化成(株)製)1.5gと、凝固剤として各
種アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を3g加えて、
振とう機で30分間振とうさせ溶解させた。この液30
mlを40℃に加温して、前記で作成した麺線1食分1
00gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表面に被覆した
後、該麺線約6gずつをカットして小分けにし、実験例
1で用いたと同様の直径3cmの球状金型(型枠)に、
小分けにした6gの麺線を入れて約150℃のパ−ム油
(植田精油(株)製)で2分間揚げた。
【0057】結着度の評価は前記結着度評価方法に従っ
て行い、結果を表2に示した。
【0058】
【表2】
【0059】実験例2の結果、凝固剤を加えた場合に
は、加えなかった場合と比較して明らかに湯戻し後も麺
塊の形状の維持に効果が見られた。また、凝固剤(塩)
の種類を問わず結着性を有していたが、特にナトリウ
ム、カリウム、アンモニウム等の1価の塩、とりわけこ
れらの塩化物では強い結着性を示した。
【0060】(実験例3)結着剤の有効濃度を検討する
ため、結着剤の添加量を変えて麺塊の結着性の評価を行
った。
【0061】麺塊の作製方法は、実験例2の製法におい
て、結着剤を各量の卵白粉末S(商品名:第一化成
(株)製)とし、凝固剤を塩化ナトリウム3gとして、
同様に行ない試料とした。
【0062】結着度の評価は前記結着度評価方法に従っ
て行い、結果を表3に示した。
【0063】
【表3】
【0064】実験例3の結果、各濃度においていずれも
結着性は見られたが、被覆量が多いほど結着性は上昇
し、麺線100gに対して1.5〜3.0gを被覆した
場合においては特に高い結着性を示した。
【0065】(実験例4)凝固剤の有効濃度を検討する
ため、凝固剤の添加量を変えて麺塊の結着性の評価を行
った。
【0066】麺塊の作製方法は、実験例2の製法におい
て、結着剤は卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)
を0.9gまたは1.5g添加し、凝固剤は下記各量の
塩化ナトリウムとして作製し、試料とした。
【0067】結着度の評価は結着度評価方法に従って行
い、結果を表4に示した。
【0068】
【表4】
【0069】実験例4の結果、凝固剤の添加によって明
らかに麺塊の形状維持において効果が認められた。特
に、凝固剤濃度が麺塊重量100g当たり1.5g以
上、さらに好ましくは3g以上において強い形状維持効
果が認められた。
【0070】(実験例5)麺塊を作製する際に用いる結
着剤や凝固剤の水溶液のpHの影響を検討するため、p
Hが2〜11における麺塊の結着性の評価を行った。
【0071】麺塊の作製方法は、実験例2の製法におい
て結着剤は卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)
1.5g、凝固剤は塩化ナトリウム3gとして、麺線を
被覆する水溶液を酸性側は100%濃縮還元のレモン水
(ポッカコ−ポレ−ション(株)製)でpHを2から6
に調製し、アルカリ側は、30%炭酸ナトリウムでpH
を7から11に調製し、試料とした。
【0072】結着度の評価は前記結着度評価方法に従っ
て行い、結果を表5に示した。
【0073】
【表5】
【0074】実験例5の結果、麺塊の結着性は比較的広
いpH域において効果を有することが判明したが、pH
が4から11、特に好ましくは5〜10の間にあること
が好ましいことが理解された。
【0075】(実験例6)麺塊を作製する際の加熱処理
の温度が結着度に及ぼす影響を検討するため、油揚げ処
理において60〜180℃において麺塊の結着性の評価
を行った。
【0076】麺塊の作製方法は、実験例2の製法におい
て、結着剤を卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)
1.5g、凝固剤を塩化ナトリウム3gとし、油揚げ処
理の温度を以下の各温度に変更して、それぞれ所定時間
油揚げ処理をして試料とした。
【0077】結着度の評価は前記結着度評価方法に従っ
て行い、結果を表6に示した。
【0078】
【表6】
【0079】表6の結果より、いずれの温度において
も、結着性がもたらされる効果が認められた。
【0080】(実験例7)麺塊の結着度の持続性を検討
するため、結着度評価方法に記載した3分後だけではな
く、6〜20分後の麺塊のスコアを評価した。
【0081】麺塊の作製方法は、実験例2の製法におい
て、結着剤として卵白粉末S(商品名:第一化成(株)
製)を0.9gまたは1.5gとし、凝固剤として塩化
ナトリウム3gとして同様に行ない、試料とした。
【0082】熱湯注加後3〜20分後に、結着度評価方
法は前述のものと同様の方法で評価し、3〜20分後の
麺塊の様子を観察しスコアとし、結果を表7に示した。
【0083】
【表7】
【0084】表7の結果より、結着剤添加量0.9g/
麺100gでは、3〜20分後まで麺塊はその形状を維
持していた。特に結着剤添加量1.5g/麺100gで
は、20分後にもその形状は完全に維持していた。
【0085】(実験例8)麺塊の作製方法について、即
席麺においてどのような実施態様をとることができるか
を、以下の実施例1〜9に示した方法で麺塊を作製し
て、その結着度を評価した。
【0086】[実施例1]水30mlに結着剤として卵
白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gと凝固
剤として塩化ナトリウム3gを加え、振とう機で30分
間振とうさせ、溶解させた。この液を、前記で作成した
麺1食分100gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表面
に被覆した後、該麺線を6gずつカットして、直径3c
mの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、約150℃のパ
−ム油(植田精油(株)製)で2分間揚げて、塊状麺を
作成した。
【0087】[実施例2]水30mlに結着剤として卵
白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gと凝固
剤として塩化ナトリウム3gを加え、振とう機で30分
間振とうさせ、溶解させた。この液を、前記で作成した
麺1食分100gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表面
に被覆した後、該麺線を6gずつカットして、直径3c
mの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、約90℃のオー
ブン(東京理科器械(株)製:DP32)で30分間加
熱し、塊状麺を作成した。
【0088】[実施例3]水30mlに結着剤として卵
白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gと凝固
剤として塩化ナトリウム3gを加え、振とう機で30分
間振とうさせ、溶解させた。この液を、前記で作成した
麺1食分100gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表面
に被覆した後、該麺線を6gずつカットして、直径3c
mの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、約90℃のオー
ブン(東京理科器械(株)製:DP32)で30分間加
熱した後、約150℃のパーム油(植田精油(株)製)
で1分間揚げて塊状麺を作成した。
【0089】[実施例4]前記で作成した1食分100
gのα化麺を6gずつ小分けにして、直径3cmの球状
金型に入れ、約150℃のパ−ム油(植田精油(株)
製)で1分間揚げた。この麺塊全て(1食分)を、水3
0mlに結着剤として卵白粉末S(第一化成(株)製)
1.5gと凝固剤として塩化ナトリウム3gを加えて振
とう機で30分間振とうさせ溶解させた水溶液に浸漬し
て、麺塊と良くからめて全量を麺線表面に被覆した後
に、約90℃のオ−ブン(東京理化器械(株)製:DP
32)で30分間加熱し、塊状麺を作成した。
【0090】[実施例5]前記で作成した1食分100
gのα化麺を6gずつ小分けにして、直径3cmの球状
金型に入れ、約150℃のパ−ム油(植田精油(株)
製)で1分間揚げた。この麺塊全て(1食分)を、水3
0mlに結着剤として卵白粉末S(第一化成(株)製)
1.5gと凝固剤として塩化ナトリウム3gを加えて振
とう機で30分間振とうさせ溶解させた水溶液に浸漬し
て、麺塊と良くからめて全量を麺線表面に被覆した後
に、さらに約150℃のパ−ム油(植田精油(株)製)
で1分間揚げて、試料とした。
【0091】[実施例6]水15mlに凝固剤として塩
化ナトリウム3gを加え溶解させた液を、前記で作成し
た麺1食分100gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表
面に被覆した後、該麺線を6gずつカットして、直径3
cmの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、約150℃の
パーム油(植田精油(株)製)で1分間揚げた。一方、
卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gに1
5mlの水を加え、振とう機で30分間振とうさせ溶解
したものに、当該揚げた麺塊全部(1食分)を浸漬し、
麺塊と良くからめたのち、さらに約150℃のパ−ム油
(植田精油(株)製)で1分間揚げて、塊状麺を作成し
た。
【0092】[実施例7]水15mlに凝固剤として塩
化ナトリウム3gを加え溶解させた液を、前記で作成し
た麺1食分100gに浸漬し、良く絡めて全量を麺線表
面に被覆した後、該麺線を6gずつカットして、直径3
cmの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、約150℃の
パーム油(植田精油(株)製)で1分間揚げた。一方、
卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gに1
5mlの水を加え、振とう機で30分間振とうさせ溶解
したものに、当該揚げた麺塊全部(1食分)を浸漬し、
麺塊と良くからめたのち、約90℃のオ−ブン(東京理
化器械(株)製:DP32)で30分間加熱し、塊状麺
を作成した。
【0093】[実施例8]卵白粉末S(商品名:第一化
成(株)製)1.5gを鶏骨等の動植物スープを基体と
した濃縮スープに動植物質調味料と食塩および豚脚と醤
油ならびにビタミンB2を添加した調味液30ml(食
塩濃度10%)に加え、振とう機で30分間振とう溶解
させ濃縮スープ作成した。前記で作成した麺1食分10
0gに当該濃縮スープを40℃に温めたものを加え、麺
と良くからめて全量を麺線表面に被覆した後、直径3c
mの球状金型に6gずつ入れ、約150℃のパ−ム油
(植田精油(株)製)で2分間揚げて、塊状麺を作成し
た。
【0094】[実施例9]卵白粉末S(商品名:第一化
成(株)製)1.5gを鶏骨等の動植物スープを基体と
した濃縮スープに動植物質調味料と食塩および豚脚と醤
油ならびにビタミンB2を添加した調味液30ml(塩
分濃度10%)に加え、振とう機で30分間振とう溶解
させ、濃縮スープを作成したとした。前記で作成した麺
1食分100gに当該濃縮スープを加えて麺と良くから
めたのち、直径3cmの球状金型に6gずつ入れ約90
℃のオ−ブン(東京理化器械(株)製・DP32)で3
0分間加熱し、塊状麺を作成した。
【0095】本実験例8の実施例1〜実施例9で作製し
た塊状麺を用い、結着度の評価を結着度評価方法に従っ
て行い、その結果を表8に示した。また、それぞれの麺
を復元させた後、喫食した結果では、いずれの塊状麺も
即席麺として違和感のないものであった。
【0096】
【表8】
【0097】実験例8(実施例1〜9)の結果、いずれ
の作製方法においても、高い結着性が認められた。特
に、実施例1,3,7,8,9については、強力な結着
性を示した。
【0098】(実験例9)フライ処理でなくオーブンで
の加熱処理(空気雰囲気下での加熱処理)によって作成
したノンフライ麺(実験例8の実施例2)についても、
加熱処理温度に対する結着性の検討を以下の方法で検討
した。
【0099】水30mlに結着剤として卵白粉末S(商
品名:第一化成(株)製)1.5gと凝固剤として塩化
ナトリウム3gを加え、振とう機で30分間振とうさ
せ、溶解させた。この液を、前記で作成した麺1食分1
00gに加え良く絡めて全量を麺線表面に被覆した後、
該麺線を6gずつカットして、直径3cmの球状金型
(型枠)に該麺線を入れ、60℃、90℃、120℃の
オーブン(東京理科器械(株)製:DP32)で20〜
60分間加熱し、塊状麺を作成した。結着度の評価は前
記の結着度評価方法に従って行い、結果を表9に示し
た。
【0100】
【表9】
【0101】実験例9の結果より、加熱方法がフライ処
理でなく空気雰囲気下での加熱処理であっても結着の効
果が認められ、特に90℃以上で高い結着性が認められ
た。
【0102】(実験例10)以下の実施例10〜12の
方法によって、炊いて喫食するタイプの即席麺と、即席
麺以外の麺において本発明の塊状麺を製造し、検討した [実施例10]実験例8の実施例1で得た塊状麺を、炊
いて調理する麺の試料とした。
【0103】[実施例11]水30mlに結着剤として
卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gと凝
固剤として塩化ナトリウム3gを加え、振とう機で30
分間振とうさせ、溶解させた。この液を40℃に加温し
て、市販の茹麺(茹で中華麺)100gに良く絡めて全
量を麺線表面に被覆した後、該麺線を6gずつカットし
て、直径3cmの球状金型(型枠)に該麺線を入れ、9
0℃のオーブン(東京理科器械(株)製:DP32)で
30分間加熱し、塊状麺を作成した。
【0104】[実施例12]水30mlに結着剤として
卵白粉末S(商品名:第一化成(株)製)1.5gと凝
固剤として塩化ナトリウム3gを加え、振とう機で30
分間振とうさせ、溶解させた。この液を40℃に加温し
て、市販の乾麺(商品名:マルタイ棒ラーメン・マルタ
イ(株)製)100gに良く絡めて全量を麺線表面に被
覆した後、該麺線を直径3cmの円筒形の型枠に6gに
なるようにカットして入れ、90℃、のオーブン(東京
理科器械(株)製:DP32)で30分間加熱し、塊状
麺を作成した。
【0105】実施例10〜12で作成した各麺塊を沸騰
したお湯に入れて2分間炊いて調理した。この麺塊を取
り出して、麺塊中央部に竹串を突き刺し、麺塊の結着程
度を前記結着度評価方法と同様に1〜5段階のスコアで
評価した。結果を表10に示した。
【0106】
【表10】
【0107】実験例10の結果より炊いて調理する場合
でも、また、茹麺や乾麺でも塊状の形状が維持できるこ
とがわかった。
【0108】
【発明の効果】本発明の塊状麺類の製造方法、すなわ
ち、麺線表面に結着剤として加熱凝固性を有する蛋白素
材を被覆する工程と、麺線表面に凝固剤としてアルカリ
金属塩及び又はアルカリ土類金属塩を被覆する工程と、
前記結着剤と凝固剤を被覆した該麺線を加熱処理する工
程が適宜の順序で実施される麺類の製造方法を用いるこ
とによって、水又は湯で戻した後、あるいは炊いて調理
した場合でも、塊状の形状を維持できる麺類を提供する
ことが可能になった。本発明におけるこのような作用
は、結着剤だけ、あるいは凝固剤だけの使用では極めて
不十分なもので、これらの結着剤と凝固剤の併用が必要
である。
【0109】本発明によって、喫食時でも型枠の形状が
崩れない麺塊とすることができ、かつ、麺塊中心部まで
湯戻りすることが可能な麺とすることができるので、ス
プーンやフォークで喫食可能な1口サイズの麺や、見た
目にも楽しいキャラクター形状の麺等の提供が可能にな
る。
【0110】また、箸の使用が困難な幼児や老人でも喫
食でき、喫食時に汁がはねることによってテーブルが汚
れることがなく、はねた汁によって服が汚れるといった
こともない。さらに、麺をすすりこむ能力のない人や箸
の文化を持たない国々の人、ズルズルとした音をたてる
ことが食事上のマナーに反すると考える人々などでも喫
食可能であり、身体に障害のある人や健康を損ね仰臥姿
勢での食事を余儀なくされている人など幅広い人々に喫
食させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様に係る塊状の即席麺を示す概
略図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)麺線表面に結着剤として加熱凝固性
    を有する蛋白素材を被覆する工程と、 (b)該被覆工程(a)の実施と同時に又は相前後し
    て、該麺線表面に凝固剤としてアルカリ金属塩及び又は
    アルカリ土類金属塩を被覆する工程と、 (c)前記結着剤と前記凝固剤を被覆した麺線を加熱処
    理する工程、を含む塊状麺類の製造方法。
  2. 【請求項2】(a)生麺線又は茹で及びもしくは蒸した
    麺線の表面に結着剤として加熱凝固性を有する蛋白素材
    を被覆する工程と、 (b)該被覆工程(a)の実施と同時に又は相前後し
    て、該麺線の表面に凝固剤としてアルカリ金属塩及び又
    はアルカリ土類金属塩を被覆する工程と、 (c)前記結着剤と前記凝固剤を被覆した麺線を、空気
    雰囲気下における加熱及び又はフライによって加熱処理
    する工程、を含み、 該加熱処理工程(c)の実施に先駆けた時点で麺線を型
    枠に入れておいて該加熱処理工程(c)を実施すること
    により、該型枠形状の麺塊とする塊状麺類の製造方法。
  3. 【請求項3】(a)生麺線又は茹で及びもしくは蒸した
    麺線を型枠に入れて乾燥処理を施すことによって型枠形
    状の麺塊とする工程と、 (b)該乾燥処理工程(a)の実施前又は実施後に、該
    麺線表面に結着剤として加熱凝固性を有する蛋白素材を
    被覆する工程と、 (c)該乾燥処理工程(a)の実施前又は実施後に、該
    被覆工程(b)の実施と同時に又は相前後して、該麺線
    表面に凝固剤としてアルカリ金属塩及び又はアルカリ土
    類金属塩を被覆する工程と、 (d)前記結着剤と前記凝固剤を被覆し、かつ乾燥処理
    を施した型枠形状の麺塊を、空気雰囲気下における加熱
    及び又はフライによって加熱処理して前記型枠形状の麺
    塊とする工程、を含む塊状麺類の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記結着剤が卵蛋白及び又は乳蛋白を含
    み、かつ前記凝固剤が塩化カリウム、塩化ナトリウム、
    塩化マグネシウム、塩化アンモニウムの何れか一つ以上
    を含む、請求項1から3のいずれかに記載の塊状麺類の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記結着剤と前記凝固剤の被覆方法が、
    麺線をこれらの溶液に浸漬するか、及びまたは麺線にこ
    れらの溶液を散布する方法である、請求項1から4のい
    ずれかに記載の塊状麺類の製造方法。
  6. 【請求項6】 麺線に被覆した前記結着剤が、麺重量1
    00g当たり0.3〜4.5gであり、前記凝固剤が、
    麺線100g当たり0.9〜7.5gである請求項1か
    ら5のいずれかに記載の塊状麺類の製造方法。
  7. 【請求項7】 麺線表面に結着剤として加熱凝固性を有
    する蛋白素材と、さらに凝固剤としてアルカリ金属塩及
    び又はアルカリ土類金属塩が被覆されてなる塊状麺類で
    あって、喫食時もその形状をほぼ維持できることを特徴
    とする塊状麺類。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100912687B1 (ko) * 2002-06-11 2009-08-19 니혼 쇼쿠힌 가코 가부시키가이샤 면류의 제조방법
JP2019103453A (ja) * 2017-12-13 2019-06-27 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺製造用の麺線及び即席麺の製造方法
JP2022016574A (ja) * 2017-12-13 2022-01-21 日清食品ホールディングス株式会社 塩化マグネシウムを含む即席麺の製造方法
US11910817B2 (en) 2017-12-13 2024-02-27 Nissin Foods Holdings Co., Ltd. Method for producing instant noodles

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