JP2001089938A - 溶融紡糸用ポリエステル組成物、ポリエステル部分配向未延伸糸およびその製造方法 - Google Patents

溶融紡糸用ポリエステル組成物、ポリエステル部分配向未延伸糸およびその製造方法

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JP2001089938A
JP2001089938A JP26291599A JP26291599A JP2001089938A JP 2001089938 A JP2001089938 A JP 2001089938A JP 26291599 A JP26291599 A JP 26291599A JP 26291599 A JP26291599 A JP 26291599A JP 2001089938 A JP2001089938 A JP 2001089938A
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oriented undrawn
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JP26291599A
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Yoshiji Funatsu
義嗣 船津
Daisuke Kawakami
大輔 川上
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紡糸における配向を抑制し、かつ製糸性に優れ
るポリエステル部分配向未延伸糸の生産性向上に適した
ポリエステル組成物を提供すること、および該ポリエス
テル部分配向未延伸糸を工程上の問題なく安定してかつ
効率的に生産する方法を提供すること、さらには延伸
性、延伸仮撚加工性に優れるポリエステル部分配向未延
伸糸を提供すること。 【解決手段】Mw≧200000、Mw/Mn≧3.0、Mz/
Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体が0.5〜5.0重量
%含有されていることを特徴とする溶融紡糸用ポリエス
テル組成物および該ポリエステル組成物より形成された
ことを特徴とするポリエステル部分配向未延伸糸さらに
は該ポリエステル組成物を3000〜8000m/分の引取速度
で溶融紡糸することを特徴とするポリエステル部分配向
未延伸糸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融紡糸用ポリエス
テル組成物、およびポリエステル部分配向未延伸糸およ
びその製造方法に関する。さらに詳しくは、製糸性かつ
生産性に優れた溶融紡糸用ポリエステル組成物およびポ
リエステル部分配向未延伸糸の製造方法と、延伸性、加
工性、工程通過性に優れたポリエステル部分配向未延伸
糸に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートをはじめと
するポリエステル繊維は種々の特性に優れることから多
量にかつ広い分野にわたって用いられている。なかでも
引取速度を2000〜4000m/分とした部分配向未延伸糸
は、延伸に用いうることは勿論のこと、そのまま延伸仮
撚加工にも供しうる利点を有しているため、工業的に重
要な位置を占めている。一方、仮撚加工糸に関しては、
この部分配向未延伸糸を用いて延伸と仮撚を同時に行う
延伸仮撚加工を採用することにより、旧来の延伸糸を仮
撚する加工方法に比べて大幅な生産性の向上が達成され
た。
【0003】近年、さらなる生産性の向上に対する要求
が高まると共に、未延伸糸の紡糸速度を速くすることに
よって、単位時間当たりの生産性を向上させようという
試みが行われるようになったが、ポリエステル繊維の場
合には、紡糸速度の増大と共に配向結晶化が進み、繊維
の機械的性質が変わってしまうという問題がある。この
問題を解決し、紡糸速度を速くした場合にも同等の特性
の繊維を得るという目的で、紡糸速度が速くなるに伴っ
て増大するポリエステルの分子配向を抑制する手段が数
多く検討されてきた。その中でポリエステルに別のポリ
マーを含有させる方法などが知られている。
【0004】例えば特開平11-61568号公報には平均分子
量が500以上で、無水マレイン酸の平均共重合量がポリ
マー1モル当たり2〜20モルであるビニル系ポリマー
(スチレン・無水マレイン酸系共重合体等)を、ポリエ
ステルに対して0.01〜10重量%配合することにより分子
配向を抑制させる技術が開示されている。この技術では
無水マレイン酸とポリエステルとの反応により配向抑制
効果が発現するものと考えられるため、無水マレイン酸
の共重合量が多いほど配向抑制効果は大きいものの、ポ
リエステル中にゲル化が起こるためか紡糸糸切れが多
く、さらにパック圧の経時的な上昇も大きいため、安定
した生産が困難となり、生産性の向上は望めない。
【0005】またポリエステルにスチレン系重合体を含
有させる方法も知られている。
【0006】特開昭56-91013号公報では、スチレン系重
合体を含むポリエステルを用いることにより残留伸度を
向上させる方法が開示されている。この技術では残留伸
度向上、すなわち紡糸時の配向を抑制する効果は認めら
れるものの、スチレン系重合体とポリエステルの流動特
性の違いからか単糸切れ、紡糸糸切れが多く製糸性が悪
い。このため安定した生産が困難となり、生産性の向上
は望めない。
【0007】この様に、ポリエステルにポリスチレン系
重合体を含有させる従来技術では、配向抑制効果は認め
られるものの製糸性が悪く、このため安定した生産が困
難となり、生産性の向上が望めないという課題があっ
た。また得られる部分配向未延伸糸も加工時の毛羽の発
生など延伸性、加工性、工程通過性に欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解消し、紡糸における配向を抑制
し、かつ製糸性に優れるポリエステル部分配向未延伸糸
の生産性向上に適したポリエステル組成物を提供するこ
と、および該ポリエステル部分配向未延伸糸を工程上の
問題なく安定してかつ効率的に生産する方法を提供する
こと、さらには延伸性、延伸仮撚加工性に優れるポリエ
ステル部分配向未延伸糸を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、紡糸速度
の上昇と共に増大する分子配向を抑制し、かつ製糸性、
延伸性および延伸仮撚加工性の良好なポリエステル部分
配向未延伸糸を得るため鋭意検討を重ねてきた。その中
で、分子量分布に特徴を持つポリスチレン系重合体をポ
リエステルに含有させることによって従来技術の欠点を
解消できることを見いだし、本発明に到達したものであ
る。
【0010】すなわち、本発明は重量平均分子量(Mw)
≧200000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/
Mn)≧3.0、z平均分子量と重量平均分子量の比(Mz
/Mw)≧2.0であるポリスチレン系重合体を0.5〜5.0重
量%含有する溶融紡糸用ポリエステル組成物を提供する
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルとは、
ジカルボン酸化合物とジオール化合物のエステル結合か
ら形成される重合体であり、好ましくはポリエチレンテ
レフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートであり、より好ましくはポリエチ
レンテレフタレートである。
【0012】また本発明で用いるポリエステルは、発明
の主旨を損ねない範囲で他の成分が共重合されていても
良い。さらに、本発明のポリエステルは艶消剤、難燃
剤、滑剤等の添加剤を少量含有しても良い。共重合成分
としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウ
ムイソフタル酸等の芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン
酸およびそれらの誘導体、またプロピレングリコール、
ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香
族、脂肪族、脂環族のジオール化合物を挙げることがで
きる。
【0013】本発明でいうポリスチレン系重合体とは、
スチレン系単量体から構成されていれば特に制限はな
く、スチレン系単量体として、スチレンの他α−メチル
スチレン、α−エチルスチレンのような側鎖アルキル置
換スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、o−t
−ブチルスチレン、p−メチルスチレンのような核アル
キル置換スチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン
のようなハロゲン化スチレン等があげられる。好ましく
はスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン
である。スチレン単量体はこれらのうち1種または2種
以上を混合して用いることができる。
【0014】さらに本発明ではスチレン系重合体として
の特性を損ねない範囲でスチレン系単量体と共重合可能
な単量体を共重合しても良い。スチレン系単量体と共重
合可能な単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、α−クロロアクリルニトリル、メチルメタク
リレートのようなアクリル酸エステル系単量体、マレイ
ミド、N−フェニルマレイミドのようなマレイミド系単
量体、およびマレイン酸エステルなどがあげられる。
【0015】本発明における溶融紡糸用ポリエステル組
成物には、重量平均分子量(Mw)≧200000、重量平均分
子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)≧3.0、z平均分
子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)≧2.0であるポ
リスチレン系重合体が0.5〜5.0重量%含有されているこ
とが必要である。なおMn、Mw、Mzの測定方法とし
ては、特に限定されるものではないが、例えばゲル浸透
型クロマトグラフィーなどがあげられる。
【0016】このようなポリスチレン系重合体を含有さ
せることにより、通常のポリスチレン系重合体を含有す
るよりも製糸性に優れ、かつ得られる繊維の配向度がよ
り抑制されるのである。その機構については、十分明ら
かになっていないが次のように考えられる。
【0017】ポリエステル溶融紡糸における分子配向は
紡糸張力に影響されるため、製糸過程において紡糸速度
を増大させても分子配向が抑制された繊維を得るには、
含有させるポリスチレン系重合体の溶融紡糸における変
形時の伸長粘度が高いことが有効であると考えられる。
粘度を高めるには分子量を大きくすることなどが一般に
知られているが、この場合は伸長粘度は高くなるものの
同時に剪断粘度や低ひずみ域での伸長粘度(線形領域)
も高くなってしまう。その結果ベースとなるポリエステ
ルとの粘度差が大きくなり、混合・分散の均一性を保つ
ことが困難となり、製糸性の悪化、延伸・加工性の悪化
および毛羽の発生を招くと考えられる。
【0018】一方、本発明で用いるMw/Mn≧3.0、
Mz/Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体は剪断粘
度や低ひずみ域での伸長粘度(線形領域)はMwが同程
度のポリスチレン系重合体とほぼ等しい挙動を示すが、
溶融紡糸時の伸長粘度は著しく高くなると考えられる。
これについては、高分子刊行会編「講座・レオロジー」
p.221には大変形時の伸長粘度を大きくする要因として
緩和時間が長い成分の存在が挙げられており、Mw/M
n≧3.0、Mz/Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体
に含まれる超高分子量成分が長時間緩和成分として作用
しているためと考えられ、結果として溶融紡糸のような
高温での高速変形においても伸長粘度は著しく高くなる
ものと推測される。
【0019】したがって、本発明で用いるMw/Mn≧
3.0、Mz/Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体で
は、通常のポリスチレン系重合体に比べ溶融重合体配管
内や口金などの剪断変形時には流動性に優れるため、配
管および孔への分配性、管内での均一流動安定性、吐出
直後の流線の安定性などに優れ、製糸性が改良され、加
えて溶融紡糸には伸長粘度が著しく高くなるため、得ら
れる繊維の配向度が通常のポリスチレン系重合体を含有
させた場合よりも抑制されると推定される。
【0020】本発明において用いるポリスチレン系重合
体のMwは200000以上である。Mwが200000に満たない
場合では十分な配向抑制効果が得られない。Mwの上限
は特に限定されるものではないが、過度に大きいもので
は流動性が悪化するため800000以下が好ましい。
【0021】また本発明において用いるポリスチレン系
重合体はMw/Mn≧3.0、Mz/Mw≧2.0である。こ
の条件を満たさないポリスチレン系重合体では前述した
粘度挙動の変化が小さく、通常のポリスチレン系重合体
と同様に製糸性、延伸・加工性の悪化を招く。
【0022】本発明におけるポリスチレン系重合体の含
有量は0.5〜5.0重量%である。0.5重量%未満では配向
抑制効果はほとんど見られない。ポリスチレン系重合体
の含有量が増えるほど配向抑制効果も大きくなるが、5.
0重量%より多く含有させた場合には繊維が高伸度、低
強度となり、紡糸時の毛羽や単糸切れ等、部分配向未延
伸糸の製糸性の悪化を招いてしまう。
【0023】本発明においては、ポリエステル組成物中
に含有されているポリスチレン系重合体全体の平均とし
てMw≧200000、Mw/Mn≧3.0、Mz/Mw≧2.0で
あれば良い。Mw/Mn≧3.0、Mz/Mw≧2.0である
ポリスチレン系重合体は任意の手法で調整でき、例えば
分岐成分の導入や連続溶液重合法などによる分子量分布
の広幅化などにより得られ、また分子量の異なるポリス
チレン系重合体同士をドライブレンドするなどの手法で
も得られる。
【0024】本発明のポリエステル組成物より形成され
る部分配向未延伸糸は、Mwが同程度の通常のポリスチ
レン系重合体を含有するポリエステルより形成される部
分配向未延伸糸に比べて同じ紡糸条件で溶融紡糸を行っ
たときに、より低い配向度を示す。したがって同一の紡
糸速度で引き取った場合には延伸および延伸仮撚時の延
伸倍率をより大きくすることができるため、所望繊度の
ポリエステル延伸糸および加工糸を得るために必要な部
分配向未延伸糸の繊度をより大きくすることが可能とな
り、単位時間当たりの紡糸生産量を向上することができ
る。
【0025】またMwが同程度の通常のポリスチレン系
重合体を含有するポリエステルより形成される部分配向
未延伸糸と同様の配向度を本発明のポリエステル組成物
から得るには、部分配向未延伸糸の紡糸速度をより大き
くすることにより実現できる。この場合、所望繊度のポ
リエステル延伸糸および加工糸を得るために必要な部分
配向未延伸糸の繊度は、本発明のポリエステル組成物か
らなる部分配向未延伸糸と通常のポリスチレン系重合体
を含有するポリエステルからなる部分配向未延伸糸では
ほぼ同等になるが、本発明の部分配向未延伸糸はより大
きい紡糸速度で得られるため、単位時間当たりの紡糸生
産性はより向上できる。
【0026】本発明のポリエステル組成物より形成され
る部分配向未延伸糸は配向抑制効果を有しているため延
伸或いは延伸仮撚加工を行う際に種々の良好な特性を持
ち、単位時間当たりの部分配向未延伸糸生産量がより大
きくできるという利点の他にも、延伸および延伸仮撚加
工時の工程通過性の向上といった好ましい特性を有して
いる。
【0027】本発明のポリエステル部分配向未延伸糸
は、分子配向度を示す指標である複屈折率が0.015〜0.0
7である。複屈折率が0.015〜0.07であることにより延伸
仮撚加工で適正な加熱温度および延伸倍率を取ることが
でき、安定した加工が可能となる。
【0028】本発明のポリエステル部分配向未延伸糸
は、Mw≧200000、Mw/Mn≧3.0、Mz/Mw≧2.0
であるポリスチレン系重合体が0.5〜5.0重量%含有され
ている溶融紡糸用ポリエステル組成物を3000〜8000m/
分の引取速度で溶融紡糸することによって製造できる。
【0029】ポリスチレン系重合体をポリエステル中に
含有させるにはポリエステルの重縮合反応中あるいは反
応後の任意の段階において行うことができる。またチッ
プ化したポリエステル樹脂とポリスチレン系重合体を紡
糸前に溶融混練あるいはドライブレンドしてもかまわな
い。さらには高濃度でポリスチレン系重合体を含有する
マスターチップを別途作成しておき、溶融紡糸に当たっ
てこれを含有させても良い。
【0030】本発明のポリエステル組成物を用いること
で、大きい配向抑制効果を持ち、かつ製糸性に優れた溶
融紡糸、特に部分配向未延伸糸の溶融紡糸が可能となり
生産性の向上が達成できる。また本発明のポリエステル
組成物はポリエステルにMw≧200000、Mw/Mn≧3.
0、Mz/Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体を含有
させるという簡便な手法で得られ、この組成物より形成
される部分配向未延伸糸は延伸および延伸仮撚加工時の
工程通過性の向上といった好ましい特性を有しており、
工業的観点から見て非常に有意義であると考えられる。
【0031】以下実施例により、本発明を具体的かつよ
り詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に制
限されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下
の方法によって測定した。
【0032】
【実施例】A.重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量
と数平均分子量の比(Mw/Mn)、z平均分子量と重量
平均分子量の比(Mz/Mw) ゲル浸透型クロマトグラフィー(GPC)を用い、オリゴ
マーの影響を除くため分子量約2000以上についてMn、
Mw、Mzを求め、さらにその値を用い比を計算した。 B.伸度 オリエンテック社製テンシロン引張試験機を用い、初期
試料長50mm、引張速度400mm/分で測定し求めた。 C.複屈折率(△n) OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡コンペンセータ
ーを用い、通常の干渉縞法によって、レターデーション
と繊維径より求めた。 D.繊度斑(U%) チェルベガーウスター社製ウスター斑試験機を用いて、
糸速100m/分、測定タイプノーマルで測定し、U%値
を求めた。 E.毛羽 東レ(株)製フライカウンターを用いて、給糸速度200
m/分、測定感度0.1の条件で、50分の測定を10回行
い、カウントされた毛羽の個数の平均値を104mあたり
の毛羽数とした。 F.紡糸生産性(W75) 実施例で得られた加工糸の繊度と、その際の紡糸吐出量
から75Dの加工糸を得るために必要な紡糸吐出量を以下
の式より算出し、紡糸生産性の指標とした。
【0033】
【数1】 G.加工糸の捲縮特性(CR) 繊維を10回巻のカセ状にし、無荷重下、90℃、20分間の
温水処理を行う。一晩風乾した後、20℃の水中にて、繊
維のデニールの0.04倍の初荷重と繊維のデニールの2.0
倍の実荷重をカセに掛け、2分後にカセの長さを測定す
る(L1)。すぐに実荷重を取り外し2分後に再度長さ
を測定する(L2)。このようにして求めたL1とL2
をもとに、{(L1−L2)/L1}×100をもってC
R値とした。 実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールを用い通常の重縮合
反応により得られたポリエチレンテレフタレートに対
し、Mw=35×104 、Mw/Mn=3.8、Mz/Mw=
2.9であるポリスチレンを3.0wt%含有させてポリエス
テル組成物を得た。
【0034】これを1軸エクストルーダーを用い紡糸温
度295℃で孔径0.23mmφ、孔数36の紡糸口金より吐出量9
0g/分、5000m/分の紡糸速度で引き取ってポリエス
テル部分配向未延伸糸を得た。紡糸中に糸切れは発生せ
ず、製糸性は優れていた。この部分配向未延伸糸の繊
度、伸度、△nを表1に示す。△nは18×10-3と同一の
紡糸速度で得られた部分配向未延伸糸(比較例2)より
も小さくなっており、ポリスチレンをポリエステルに含
有させることで紡糸時の配向が抑制されていることが分
かる。
【0035】この部分配向未延伸糸をフリクションディ
スクタイプの延伸仮撚機を用い加工速度800m/分、撚
数3400T/m、加工温度210℃で延伸仮撚加工(以下D
TY加工と記す)を行った。加工中に糸切れは発生せ
ず、加工性は優れており、毛羽も0.8コ/104 mと非常
に少なく、得られた加工糸の捲縮特性であるCRは48%
と実用性に富むものであった。また紡糸生産性は90.0g
/分となり、同一の紡糸速度で得られた部分配向未延伸
糸(比較例2)の場合よりも大きくなることが分かる。
【0036】表1から分かるように、Mw=35×104
Mw/Mn=3.8、Mz/Mw=2.9であるポリスチレン
を含有させたポリエステル組成物を用いることで、部分
配向未延伸糸の紡糸速度を大きくしても製糸性が良好で
あり、かつ配向が抑制されるためDTY加工倍率を大き
くすることができ、紡糸生産性を大きく向上(紡糸吐出
量の増加)できることに加え、得られる部分配向未延伸
糸は加工性に優れるという特性を持つことがわかる。
【0037】
【表1】 比較例1 ポリスチレン系重合体を含有させない以外は実施例1と
同様の方法でポリエステルを得た。これを紡糸吐出量50
g/分、紡糸速度3000m/分とした以外は実施例1と同
様の方法で紡糸を行いポリエステル部分配向未延伸糸を
得た。紡糸中に糸切れは発生せず、製糸性は優れてい
た。この部分配向未延伸糸の繊度、伸度、△nを表1に
示す。
【0038】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行った。加工中に糸切れは発生せず
加工性は優れており、毛羽は1.0コ/104 m、CRは46
%であった。しかしながら紡糸生産性は46.9g/分と実
施例に比べ低いものであった。
【0039】すなわち、ポリスチレン系重合体を含有し
ないポリエステルを用いると、得られる部分配向未延伸
糸の製糸性、加工性は十分であるが、実施例1に比べ紡
糸生産性は低下(紡糸吐出量の減少)していることがわ
かる。 比較例2 比較例1で得たポリエステルを用い、紡糸吐出量を50g
/分とした以外は実施例1と同様の方法で紡糸を行いポ
リエステル部分配向未延伸糸を得た。紡糸開始時に単糸
切れが発生したものの、製糸性は概ね良好であった。こ
の部分配向未延伸糸の繊度、伸度、△nを表1に示す。
紡糸速度の上昇に伴い△nは90×10-3と大きくなってい
る。
【0040】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行った。加工中に糸切れが数回発生
し、加工性は実施例1よりも劣っていた。また毛羽は1.
9コ/104 mと多くなっており、CRも38%と低いもの
であった。紡糸生産性は50.7g/分に相当する。
【0041】すなわち部分配向未延伸糸の紡糸速度を大
きくすると、部分配向未延伸糸伸度が減少し、加工倍率
が小さくなるため紡糸生産性(紡糸吐出量)はほとんど
向上せず、また得られる加工糸の品質、品位も劣ること
がわかる。 比較例3 実施例1で得たポリエチレンテレフタレートに対し、M
w=35×104 、Mw/Mn=2.7、Mz/Mw=1.8であ
るポリスチレンを3.0wt%含有させ、ポリエステル組
成物を得た。
【0042】これを紡糸吐出量を80g/分とした以外は
実施例1と同様の方法で紡糸を行いポリエステル部分配
向未延伸糸を得た。紡糸中に糸切れが数回発生し、製糸
性は劣っていた。この部分配向未延伸糸の繊度、伸度、
△nを表1に示す。また△nは31×10-3と実施例1より
も大きくなっている。
【0043】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行ったところ、加工中に糸切れが多
発し加工性は不良であり、毛羽が2.4コ/104 mと多
く、品位に劣るものであった。また紡糸生産性は81.1g
/分となり、Mw=35×104 、Mw/Mn=2.7、Mz
/Mw=1.8であるポリスチレンを含有させたポリエス
テル組成物によっても紡糸時に配向が抑制され、紡糸生
産性を向上(紡糸吐出量の増加)できるが、紡糸および
加工性が悪化し、満足な加工糸が得られなかった。 実施例2 実施例1で得たポリエチレンテレフタレートに対し、ジ
ビニルベンゼンを導入し、Mw=50×104 、Mw/Mn
=4.5、Mz/Mw=3.2とした分岐ポリスチレンを0.5
wt%含有させ、ポリエステル組成物を得た。
【0044】これを紡糸吐出量50g/分、紡糸速度を30
00m/分とした以外は実施例1と同様の方法で紡糸を行
いポリエステル部分配向未延伸糸を得た。紡糸中に糸切
れは発生せず、製糸性は優れていた。この部分配向未延
伸糸の繊度、伸度、△nを表1に示す。△nは18×10-3
と同一の紡糸速度で得られた部分配向未延伸糸(比較例
1)よりも小さくなっており、0.5wt%でも紡糸時の
配向が抑制されていることが分かる。
【0045】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行った。加工中に糸切れは発生せ
ず、加工性は優れており、毛羽は0.8コ/104 mと少な
く、CRは47%であった。紡糸生産性は53.6g/分に相
当する。
【0046】すなわちポリスチレン系重合体の含有量が
0.5wt%でも、部分配向未延伸糸の紡糸速度が同一の
場合に配向が抑制されるためDTY加工倍率をより大き
くすることができ、紡糸生産性を向上(紡糸吐出量の増
加)することが可能となることに加え、得られる部分配
向未延伸糸は加工性に優れるという特性を持つことがわ
かる。 実施例3 実施例1で得たポリエチレンテレフタレートに対し、M
w=20×104 、Mw/Mn=5.6、Mz/Mw=3.5であ
るポリスチレンを5.0wt%含有させ、ポリエステル組
成物を得た。
【0047】これを紡糸吐出量100g/分、紡糸速度800
0m/分とした以外は実施例1と同様の方法で紡糸を行
いポリエステル部分配向未延伸糸を得た。紡糸中に糸切
れが1回発生したものの、製糸性は概ね良好であった。
この部分配向未延伸糸の繊度、伸度、△nを表1に示
す。△nは58×10-3であり、紡糸速度8000m/分でも紡
糸時の配向が抑制され、DTY加工に供し得る部分配向
未延伸糸が得られることが分かる。
【0048】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行った。加工中に糸切れが1度発生
したものの、加工性は概ね良好であり、毛羽は1.0コ/1
04mと少なく、CRは47%であった。紡糸生産性は105.
6g/分に相当する。
【0049】すなわちMw=20×104 、Mw/Mn=5.
6、Mz/Mw=3.5であるポリスチレンの含有量を5.0
wt%としたポリエステル組成物を用いることで、紡糸
速度8000m/分でもDTY加工に供し得る部分配向未延
伸糸が得られ、紡糸生産性を大きく向上(紡糸吐出量の
増加)できることがわかる。 実施例4 実施例1で得たポリエチレンテレフタレートに対し、通
常のポリスチレンと超高分子量ポリスチレンをドライブ
レンドし、Mw=35×104 、Mw/Mn=3.0、Mz/
Mw=2.0としたポリスチレン系重合体を3.0wt%含有
させてポリエステル組成物を得た。
【0050】これを紡糸吐出量80g/分とした以外は実
施例1と同様の方法で紡糸を行いポリエステル部分配向
未延伸糸を得た。紡糸中に糸切れが1回発生したもの
の、製糸性は概ね良好であった。この部分配向未延伸糸
の繊度、伸度、△nを表1に示す。△nは21×10-3であ
り、通常のポリスチレンのみの場合(比較例3)よりも
配向が抑制されることが分かる。
【0051】この部分配向未延伸糸を実施例1と同様の
方法でDTY加工を行った。加工中に糸切れが1度発生
したものの、加工性は概ね良好であり、毛羽は0.9コ/1
04mと少なく、CRは47%であった。紡糸生産性は83.3
g/分に相当する。
【0052】すなわち通常のポリスチレンを含有してい
ても、ポリスチレン系重合体全体としてMw=35×10
4 、Mw/Mn=3.0、Mz/Mw=2.0であれば製糸性
および加工性は良好であり、加えて配向抑制の程度も通
常のポリスチレンのみの場合よりも大きく、紡糸生産性
をより向上(紡糸吐出量の増加)することが可能とな
る。
【0053】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物を用いるこ
とで大きい配向抑制効果を持ち、かつ製糸性に優れた溶
融紡糸、特に部分配向未延伸糸の溶融紡糸が可能となり
生産性の向上が達成できる。また本発明のポリエステル
組成物はポリエステルにMw≧200000、Mw/Mn≧3.
0、Mz/Mw≧2.0であるポリスチレン系重合体を含有
させるという簡便な手法で得られる。さらに、本発明の
ポリエステル組成物より形成される部分配向未延伸糸
は、延伸および延伸仮撚加工時の工程通過性の向上とい
った好ましい特性を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC032 BC062 BC072 BC082 BC092 BC112 CF061 CF071 GK01 4L035 BB33 BB34 DD20 FF08 HH01 HH10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量平均分子量(Mw)≧200000、重量平均
    分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)≧3.0、z平均
    分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)≧2.0である
    ポリスチレン系重合体を0.5〜5.0重量%含有することを
    特徴とする溶融紡糸用ポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ
    ートであることを特徴とする請求項1記載の溶融紡糸用
    ポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のポリエステル組成
    物より形成され、複屈折率が0.015〜0.07であることを
    特徴とするポリエステル部分配向未延伸糸。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載のポリエステル組成
    物を、3000〜8000m/分の引取速度で溶融紡糸すること
    を特徴とする複屈折率が0.015〜0.07であるポリエステ
    ル部分配向未延伸糸の製造方法。
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