JP2001084841A - 異方導電性シートおよびその製造方法 - Google Patents

異方導電性シートおよびその製造方法

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JP2001084841A
JP2001084841A JP26047999A JP26047999A JP2001084841A JP 2001084841 A JP2001084841 A JP 2001084841A JP 26047999 A JP26047999 A JP 26047999A JP 26047999 A JP26047999 A JP 26047999A JP 2001084841 A JP2001084841 A JP 2001084841A
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anisotropic conductive
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conductive path
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Terukazu Kokubo
輝一 小久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に酸化膜が形成された接続対象電極に対
しても所要の電気的接続が確実に達成され、接続対象電
極の表面を汚染することを防止することができ、長い使
用寿命が得られる異方導電性シートおよびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 本発明の異方導電性シートは、各々厚み
方向に伸び、弾性を有する複数の導電路形成部が、絶縁
部によって相互に絶縁された状態で配設されてなる異方
導電性シート本体と、この異方導電性シート本体におけ
る導電路形成部の表面に一体的に設けられた接点部材と
を有する。本発明の異方導電性シートの製造方法は、異
方導電性シート本体における複数の導電路形成部の表面
に、接点部材を熱圧着させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子部品な
どの回路装置相互間の電気接続や、プリント回路基板、
半導体集積回路などの回路装置の検査装置におけるコネ
クターとして好ましく用いられる異方導電性シートおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】異方導電性エラストマーシートは、厚み
方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧さ
れたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電
部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合
などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成す
ることが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収
してソフトな接続が可能であることなどの特長を有する
ため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、
電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキー
ボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント
回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルな
どとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクタ
ーとして広く用いられている。
【0003】また、プリント回路基板や半導体集積回路
などの回路装置の電気的検査においては、検査対象であ
る回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回
路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続
を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用
回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性シートを
介在させることが行われている。
【0004】従来、このような異方導電性エラストマー
シートとしては、種々の構造のものが知られており、例
えば特開昭51−93393号公報などには、金属粒子
をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性
エラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性
エラストマーシート」という。)が開示され、また、特
開昭53−147772号公報などには、導電性磁性体
粒子をエラストマー中に不均一に分布させることによ
り、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを
相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性エ
ラストマーシート(以下、これを「偏在型異方導電性エ
ラストマーシート」という。)が開示され、更に、特開
昭61−250906号公報などには、導電路形成部の
表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電
性シートが開示されている。
【0005】そして、偏在型異方導電性エラストマーシ
ートは、回路基板などにおける接続対象電極パターンと
対掌のパターンに従って導電路形成部が形成されている
ため、分散型異方導電性シートに比較して、接続対象電
極が小さいピッチで配置されている回路装置などに対し
ても電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することが
できる点で有利であり、特に、導電路形成部が絶縁部か
ら突出する状態に形成されてなるものは、被検査電極に
対する接触が確実に行われるため、より好ましい。
【0006】しかしながら、このような偏在型異方導電
性エラストマーシートを、例えば半導体集積回路の電気
的検査におけるコネクターとして用いる場合には、次の
ような問題がある。すなわち、半導体集積回路の電極は
一般にアルミウニムにより形成されており、その表面に
はアルミニウムの酸化膜が形成されているのが通常であ
るが、一方、異方導電性シートの導電路形成部は、当然
のことながらエラストマーにより構成されているために
柔軟なものであることから、酸化膜が形成された電極に
接触される際に当該導電路形成部によって酸化膜を突き
破ることが相当に困難であり、その結果、所要の電気的
接続を達成することができない、という問題がある。
【0007】また、異方導電性エラストマーシートを構
成する弾性高分子物質としては、一般にシリコーンゴム
が用いられているが、このシリコーンゴム中には、オイ
ル状の低分子量のシリコーンが含有されている。そし
て、このような異方導電性エラストマーシートを例えば
回路装置の検査に長時間使用すると、異方導電性エラス
トマーシートの表面に低分子量のシリコーンがブリード
アウトし、これにより、検査対象である回路装置の被検
査電極の表面が汚染される。その結果、当該回路装置を
実装する際に、ボンディングを行うことができなかった
り、所要の電気的接続を達成することができない、とい
う問題もある。
【0008】このような問題を解決するために、導電路
形成部の表面に例えば金属よりなる接点部材が設けられ
た異方導電性シートが提案されている。この異方導電性
シートを製造する方法としては、例えば、予め適宜の方
法によって作製された異方導電性シート本体の表面に接
点部材を形成するための例えば金属よりなる導電材料層
を一体的に積層し、この導電材料層に対して、フォトリ
ソグラフィーおよびエッチング処理を施して不要部分を
除去することにより、異方導電性シート本体の表面に導
電材料層による例えば金属シートまたは金属膜よりなる
接点部材を残存させる方法がある。また、得られる異方
導電性シートにおいて、導電路形成部に対する接点部材
の接着性を向上させるために、異方導電性シート本体の
表面に、導電性接着層を介して導電材料層を積層する方
法も考えられる。
【0009】しかしながら、このような方法によって得
られる異方導電性シートは、その製造工程において、フ
ォトリソグラフィーおよびエッチング処理が必要であっ
て、導電材料層が積層された異方導電性シート本体を現
像液などの溶液中に浸すウエット工程において、異方導
電性シート本体に対する接着状態が損なわれて接点部材
が剥離しやすい、という問題がある。
【0010】また、導電路形成部と接点部材との間に導
電性接着層が介在する場合には、上記と同様に接点部材
の接着状態が損なわれる問題に加え、この導電性接着層
によって接点部材を含めた厚み方向の電気抵抗が大きく
なる、という問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであり、その目的は、表
面に酸化膜が形成された接続対象電極に対しても所要の
電気的接続が確実に達成され、接続対象電極の表面を汚
染することを防止することができ、長い使用寿命が得ら
れる異方導電性シートを提供することにある。本発明の
他の目的は、接点部材が異方導電性シート本体における
導電路形成部に対して高い接着性で固着されてなる異方
導電性シートを製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の異方導電性シー
トは、各々厚み方向に伸び、弾性を有する複数の導電路
形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状態で配設
されてなる異方導電性シート本体と、この異方導電性シ
ート本体における導電路形成部の表面に一体的に設けら
れた接点部材とを有することを特徴とする。
【0013】また、接点部材が、異方導電性シート本体
における導電路形成部の表面に熱圧着されていることが
好ましい。
【0014】この異方導電性シートにおいては、接点部
材が、その一面側が導電路形成部に埋め込まれた状態で
あることが好ましい。また、導電路形成部は、その表面
が絶縁部の表面から突出した状態であることが好まし
い。
【0015】本発明の異方導電性シートの製造方法は、
異方導電性シート本体における複数の導電路形成部の表
面に、複数の接点部材が互いに連結用部分によって一体
に連結されてなる接点形成材料の当該接点部材を熱圧着
させ、この接点形成材料における連結用部分に対して後
処理を行うことによって、接点部材間の絶縁化処理を行
うことを特徴とする。
【0016】この異方導電性シートの製造方法において
は、接点形成材料における連結用部分が、接点部材より
小さい厚みを有することが好ましい。また、接点形成材
料は、導電体シートをエッチング処理することによって
得られるものを用いることができる。
【0017】また、本発明の異方導電性シートを製造方
法は、異方導電性シート本体における複数の導電路形成
部の表面に、複数の接点部材が互いに絶縁性の連結用部
分によって一体に連結されてなる接点形成材料の当該接
点部材を熱圧着させることができる。
【0018】そして、異方導電性シート本体における導
電路形成部の表面には、予め接点部材が埋め込まれる凹
所が形成されていてもよい。
【0019】
【作用】本発明の異方導電性シートによれば、異方導電
性シート本体における導電路形成部の表面に接点部材が
設けられているため、接続対象電極の表面に酸化膜が形
成されている場合にも、接点部材よって当該酸化膜が突
き破られるために、接続対象電極と異方導電性シート本
体の導電路との間の電気的接続が確実に達成される。ま
た、接続対象電極に対し、異方導電性シート本体におけ
る導電路形成部が直接接触する表面部分が少ないため、
当該導電路形成部を構成する弾性高分子物質中に含有さ
れる低分子量成分による接続対象電極の表面の汚染が抑
制される。
【0020】更に、接点部材が異方導電性シート本体に
おける導電路形成部の表面に熱圧着されているため、導
電路形成部に対して接点部材が高い接着性で固着され、
その結果、当該電路形成部と接点部材と間に接着層が必
要とされず、しかも長い使用寿命が得られる。
【0021】また、本発明の異方導電性シートの製造方
法によれば、複数の接点部材が互いに連結用部分によっ
て一体に連結されてなる接点形成材料を用いるため、極
めて簡単な方法で上記の異方導電性シートを製造するこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〈第1の実施の形態〉図1は、本発明の異方導電性シー
トに係る第1の実施の形態における要部の構成を示す説
明用断面図である。この異方導電性シートは、それぞれ
厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、これらの
導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とよりな
る異方導電性シート本体10を有する。この異方導電性
シート本体10における導電路形成部11の各々は、弾
性を有する導電性材料により構成され、当該異方導電性
シート本体10の面方向に沿って、接続対象電極のパタ
ーンに対応するパターンに従って配置されている。そし
て、各々の導電路形成部11の表面には、熱圧着された
接点部材30が一体的に設けられている。
【0023】この第1の実施の形態において、導電路形
成部11の各々は、絶縁部12より大きな厚みを有し、
その両表面が絶縁部12の両表面から突出した状態であ
る。また、接点部材30の各々は、その外径rが導電路
形成部11の外径Rより小さいものであり、しかもその
一面側部分が異方導電性シート本体10における導電路
形成部11に埋め込まれた状態であると共に、その他面
側部分が当該導電路形成部11の表面から突出した状態
である。ここで、接点部材30の導電路形成部11に対
する埋め込み深さd1は、接点部材30が導電路形成部
11に対して高い接着性を得るために、例えば接点部材
30の厚みの10%以上であることが好ましい。
【0024】異方導電性シート本体10における導電路
形成部11は、絶縁性の弾性高分子物質中に導電性粒子
が含有されて構成され、好ましくは弾性高分子物質中に
導電性粒子が厚み方向に並んだ状態で配向されており、
この導電性粒子により、当該導電路形成部の厚み方向に
導電路が形成される。この導電路形成部11は、厚み方
向に加圧されて圧縮されたときに抵抗値が減少して導電
路が形成される、加圧導電路形成部とすることもでき
る。
【0025】導電路形成部11に用いられる絶縁性の弾
性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が
好ましい。架橋高分子物質を得るために用いることので
きる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のもの
を用いることができ、その具体例としては、ポリブタジ
エンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの
水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共
重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体な
どのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、
クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エ
ピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プ
ロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体ゴムなどが挙げられる。以上において、得られ
る異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共
役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特
に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーン
ゴムを用いることが好ましい。
【0026】シリコーンゴムとしては、液状シリコーン
ゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコ
ーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105
アズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のも
の、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのい
ずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン
生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニ
ルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0027】これらの中で、ビニル基を含有する液状シ
リコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)
は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジア
ルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたは
ジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加
水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の
繰り返しによる分別を行うことにより得られる。また、
ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オ
クタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキ
サンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止
剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、そ
の他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重
合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。こ
こで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチ
ルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムな
どのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用
いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃で
ある。このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサン
は、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分
子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000の
ものであることが好ましい。また、得られる導電路素子
の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレ
ン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平
均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同
じ。)が2.0以下のものが好ましい。
【0028】一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリ
コーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサ
ン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチル
ジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランま
たはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下におい
て、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−
沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン
重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロ
ロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチル
ヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件
(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)
を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニ
オン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニ
ウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカ
リまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることが
でき、反応温度は、例えば80〜130℃である。この
ようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、
その分子量Mwが10000〜40000のものである
ことが好ましい。また、優れた耐熱性が得られることか
ら、分子量分布指数が2.0以下のものが好ましい。本
発明に係る異方導電性シート本体10おいては、上記の
ビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシ
ル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用い
ることもでき、両者を併用することもできる。
【0029】導電路形成部11に用いられる導電性粒子
としては、磁力を作用させる方法により当該粒子を異方
導電性シート本体10の厚み方向に容易に配向させるこ
とができる観点から、導電性磁性体粒子を用いることが
好ましい。この導電性磁性体粒子の具体例としては、ニ
ッケル、鉄、コバルトなどの磁性を示す金属の粒子若し
くはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する
粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の
表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良
好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒
子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリ
マー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケ
ル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを施したも
の、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および導電性の良
好な金属の両方を被覆したものなどが挙げられる。これ
らの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金
や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを
用いることが好ましい。芯粒子の表面に導電性金属を被
覆する手段としては、特に限定されるものではないが、
例えば化学メッキまたは無電解メッキを利用することが
できる。
【0030】導電性粒子として、芯粒子の表面に導電性
金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導
電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属
の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面
積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに
好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%で
ある。また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜
50重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜
30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%、特に好
ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属
が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の2.5〜
30重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜
20重量%、さらに好ましくは3.5〜15重量%、特
に好ましくは4〜10重量%である。また、被覆される
導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子
の3〜50重量%であることが好ましく、より好ましく
は4〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、
特に好ましくは6〜20重量%である。
【0031】また、導電性粒子の粒子径は、1〜100
0μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50
0μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好まし
くは10〜200μmである。また、導電性粒子の粒子
径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好まし
く、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは
1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。この
ような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、
得られる導電路形成部11は、加圧変形が容易なものと
なり、また、当該導電路形成部11において導電性粒子
間に十分な電気的接触が得られる。また、導電性粒子の
形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質用
材料中に容易に分散させることができる点で、球状のも
の、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子に
よる塊状のものであることが好ましい。
【0032】また、導電性粒子の含水率は、5%以下で
あることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに
好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下であ
る。このような条件を満足する導電性粒子を用いること
により、高分子物質用材料層を硬化処理する際に、当該
高分子物質用材料層内に気泡が生ずることが防止または
抑制される。
【0033】また、導電性粒子として、その表面がシラ
ンカップリング剤などのカップリング剤で処理されたも
のを適宜用いることができる。導電性粒子の表面がカッ
プリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子と
弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得ら
れる導電路形成部11は、繰り返しの使用における耐久
性が高いものとなる。カップリング剤の使用量は、導電
性粒子の導電性に影響を与えない範囲で適宜選択される
が、導電性粒子表面におけるカップリング剤の被覆率
(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆
面積の割合)が5%以上となる量であることが好まし
く、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに
好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜10
0%となる量である。
【0034】このような導電性粒子は、導電路形成部1
1中に体積分率で20〜60%、好ましくは25〜40
%となる割合で含有されていることが好ましい。この割
合が20%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい
導電路形成部11が得られないことがある。一方、この
割合が60%を超える場合には、得られる導電路形成部
11は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部11とし
て必要な弾性が得られないことがある。
【0035】異方導電性シート本体10における絶縁部
12は、絶縁性を有する弾性高分子物質により構成され
ている。かかる弾性高分子物質を得るために用いること
のできる硬化性の高分子物質形成材料としては、ポリブ
タジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレ
ン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれ
らの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロッ
ク共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合
体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加
物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴ
ム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレ
ン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−
ジエン共重合体ゴムなどが挙げられ、得られる異方導電
性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系
ゴム以外のものを用いることが好ましい。
【0036】絶縁部12を構成する弾性高分子物質とし
ては、導電路形成部11を構成する弾性高分子物質と同
一の種類のものあるいは異なる種類のものを用いること
ができる。また、絶縁部12は、導電路形成部11と一
体であってもよく、また、別体のものであってもよい。
【0037】異方導電性シート本体10の厚みは、例え
ば0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmで
ある。また、導電路形成部11の外径Rは、例えば0.
02〜1mmであり、好ましくは0.05〜0.5mm
である。
【0038】接点部材30としては、導電性ポリマーな
どの有機物よりなるものや、これに金属が混合された組
成物よりなるもの、金属シートまたは金属膜等の金属よ
りなるものなどの導電性材料を用いることができる。こ
れらの中でも、接続対象電極の表面に形成された酸化膜
を確実に突き破ることができる点で、金属シートまたは
金属膜等の金属よりなるものを用いることが好ましく、
かかる金属の具体例としては、銅、金、ロジウム、白
金、パラジウム、ニッケルまたはそれらのメッキあるい
はそれらの合金などを用いることができる。このような
接点部材30は、例えばニッケル層/銅層/金層などの
積層体により構成されていてもよい。また、接点部材3
0の厚みは、例えば0.01〜0.5mmであり、好ま
しくは0.025〜0.1mmである。
【0039】以上の異方導電性シートは、以下の方法に
よって製造することができる。先ず、異方導電性シート
本体10は、例えば異方導電性シート本体成形金型を用
いることによって、形成することができる。
【0040】上記の異方導電性シート本体成形用金型
は、それぞれ全体の形状が略平板状であって互いに対応
する上型と下型とよりなり、上型および下型が電磁石に
装着可能に構成されるか、若しくは電磁石と一体的に構
成され、成形空間内に充填された材料層に磁場を作用さ
せながら当該材料層を加熱硬化することができる構造の
ものである。また、材料層に磁場を作用させて適正な位
置に導電性を有する部分を形成するために、異方導電性
シート本体成形金型における上型、あるいは上型および
下型の両方は、鉄、ニッケル等の強磁性体からなる基板
上に、金型内の磁場に強度分布を生じさせるための鉄、
ニッケル等よりなる強磁性体部分と、銅等の非磁性金属
若しくは樹脂よりなる非磁性体部分とをモザイク状に配
列した層(以下、「モザイク層」という。)を有する構
成のものであり、上型および下型の成形面は、平坦であ
るか若しくは形成すべき異方導電性シート本体10の導
電部に対応してわずかな凹凸を有するものである。
【0041】以上の構成の異方導電性シート本体成形金
型によれば、材料層に対して電磁石によって強度分布を
有する磁場を形成することができる。そして、このよう
な異方導電性シート本体成形金型において、モザイク層
における強磁性体部分と非磁性体部分との配置、形状等
は、成形すべき異方導電性シートに基づいて決定され
る。すなわち、得られる異方導電性シート本体10の導
電路形成部11に相当する箇所に強磁性体部分が配置さ
れ、その強磁性体部分の形状が導電路形成部11の断面
形状に適合したものである。
【0042】上記のような異方導電性シート本体成形金
型を用いて、図2に示すような導電路形成部11の両表
面が絶縁部12の両表面から突出した状態の異方導電性
シート本体10を製造する方法としては、例えば形成す
る異方導電性シート本体10に適合した成形空間を有す
る異方導電性シート本体成形金型の当該成形空間内に、
硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質材料中に磁
性を示す導電性粒子が含有されてなる成形材料を注入し
て成形材料層を形成し、この成形材料層に対してその厚
み方向に強度分布を有する磁場を作用させ、その磁力の
作用によって導電性粒子を移動させて、得られる異方導
電性シート本体10における導電路形成部11となる部
分に集合させ、更には導電性粒子を厚み方向に並ぶよう
配向させ、その状態で当該異方導電性シート成形材料層
を硬化し、これを当該異方導電性シート本体成形金型か
ら離型させることにより、異方導電性シート本体10を
形成する方法が挙げられる。
【0043】異方導電性シート本体成形材料中には、高
分子物質形成材料を硬化させるための硬化触媒を含有さ
せることができる。このような硬化触媒としては、有機
過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒など
を用いることができる。硬化触媒として用いられる有機
過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化
ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジタ
ーシャリーブチルなどが挙げられる。硬化触媒として用
いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビス
イソブチロニトリルなどが挙げられる。ヒドロシリル化
反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩
化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサン
コンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレ
ックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキ
サンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンある
いはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチル
アセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプ
レックスなどの公知のものが挙げられる。硬化触媒の使
用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、
その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通
常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15
重量部である。
【0044】また、異方導電性シート本体成形材料中に
は、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリ
カ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含
有させることができる。このような無機充填材を含有さ
せることにより、当該異方導性シート本体成形材料のチ
クソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しか
も、導電性粒子の分散安定性が向上すると共に、得られ
る異方導電性シート本体10の強度が高いものとなる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるもの
ではないが、多量に使用すると、磁場による導電性磁性
体粒子の配向を十分に達成することができなくなるた
め、好ましくない。また、異方導電性シート本体成形材
料の粘度は、温度25℃において100000〜100
0000cpの範囲内であることが好ましい。
【0045】異方導電性シート本体成形材料層の硬化処
理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともで
きるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともで
きる。異方導電性シート本体材形成材料層に作用される
平行磁場の強度は、平均で200〜10000ガウスと
なる大きさが好ましい。また、平行磁場を作用させる手
段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用いることも
できる。このような永久磁石としては、上記の範囲の平
行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−
Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものが好
ましい。このようにして得られる導電路形成部11は、
導電性粒子が異方導電性シート本体10の厚み方向に並
ぶよう配向しているため、導電性粒子の割合が小さくて
も良好な導電性が得られる。
【0046】異方導電性シート本体成形材料層の硬化処
理の方法は、使用される材料の種類によって適宜選定さ
れるが、通常、加熱処理によって行われる。加熱により
異方導電性シート本体成形材料層の硬化処理を行う場合
には、例えば電磁石にヒーターを設ければよい。具体的
な加熱温度および加熱時間は、異方導電性シート本体成
形材料層を構成する高分子物質用材料などの種類、導電
性磁性体粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜選
定される。
【0047】次いで、異方導電性シート本体10表面に
は、図3に示すように、複数の接点部材30が連結用部
分32によって連結されてなる、例えば銅とニッケルの
合金よりなる全体がシート状の接点形成材料31が重ね
られた状態に配置される。
【0048】接点形成材料31の一例においては、図4
および図5に示すように、例えば矩形の枠部分33に、
異方導電性シート本体10における導電路形成部11の
配列パターンと対掌のパターンに従って、例えば縦横に
配列された各々円板状の接点部材30が相互に、あるい
は枠部分33に対して、細長い帯板状の連結用部分32
によって連結されている。この接点形成材料31におい
ては、図5に示すように、接点部材30は、必要とされ
る適宜の厚みを有するが、連結用部分32は、接点部材
30より小さい厚みを有している。
【0049】そして、異方導電性シート本体10におけ
る導電路形成部11に埋め込まれる接点部材30の一面
Mから連結用部分32と連結される部分までの高さt
は、埋め込み深さd1以上であることが好ましく、これ
によって熱圧着を確実に行うことができる。また、接点
形成材料31は、導電性を大きくすると共に、酸化を防
止するため、接点部材30の両表面に金メッキ層を有す
ることが好ましい。
【0050】このような接点形成材料31を製造する方
法としては、例えば平板状の導電性材料よりなる導電体
シートを用意し、この導電体シートの表面に、目的とす
る接点形成材料31の形状に対応するレジスト層を形成
し、この導電体シートに対してエッチング処理を施し、
その後、導電体シートの表面に形成されたレジスト層を
除去することにより、一様な厚みの枠部分33、接点部
材30および連結予備部が形成されたものを得、更にこ
の導電体シートにおける連結予備部に対して選択的にエ
ッチング処理を施して厚みを減少させることにより、接
点部材30より小さい厚みを有する連結用部分32を形
成する方法が挙げられる。
【0051】このような接点形成材料31を、異方導電
性シート本体10に対し、その導電路形成部11上に接
点形成材料31における接点部材30の各々が位置する
よう位置合わせをした状態で、例えば図3に示すよう
に、100〜200℃の加熱雰囲気中において板状の圧
着治具43を用いて、あるいは100〜200℃に加熱
した板状の圧着治具43を用いて、接点部材30の表面
に対して最高20kg/cm2 程度のプレス圧力を加え
ることにより、それそれの導電路形成部11に接点部材
30を熱圧着させ、これにより、図6に示すように、当
該導電路形成部11の各々の表面に接点部材30の下側
部分が埋没した状態で一体的に熱圧着により固着された
複合体40が形成される。
【0052】次いで、図6に示すように、導電路形成部
11に対応した位置に凹所44Aを有する切断治具44
を接点形成材料31に挿入することにより、複合体40
の非被固着分である連結用部分32および枠部分33を
接点部材30から切り離して除去する後処理を行うこと
により、接点部材30間の絶縁化処理がなされて個々の
接点部材30が分離されて電気的に絶縁された状態とな
り、これにより、図1に示す構成の異方導電性シートが
得られる。
【0053】接点部材30間の絶縁化処理は、上記の手
段の他に、レーザーを利用して連結用部分32を除去す
る手法、または、連結用部分32を酸化させることによ
り非導電化する手法を利用することもできる。
【0054】本発明の異方導電性シートは、これを、例
えば回路基板などに重ねて配置して接点部材30の各々
を接続対象電極に接触させ、更に押圧することにより、
各接点部材30および異方導電性シート10における導
電路形成部11を介して、接続対象電極に対する所要の
電気的接続が達成される。
【0055】而して、このような異方導電性シートによ
れば、異方導電性シート本体10における導電路形成部
11の表面には、接点部材30が設けられているため、
接続対象電極の表面に酸化膜が形成されている場合に
も、当該接点部材30よって当該酸化膜を突き破ること
ができるため、接続対象電極と異方導電性シート本体1
0の導電路との電気的接続が確実に達成される。また、
接続対象電極に対し、異方導電性シート本体10におけ
る導電路形成部11が直接接触する表面部分が少ないた
め、当該導電路形成部11を構成する弾性高分子物質中
に含有される低分子量成分による接続対象電極の表面の
汚染が抑制される。
【0056】更に、接点部材30が異方導電性シート本
体10における導電路形成部11の表面に熱圧着されて
いるため、導電路形成部11に対して接点部材30が高
い接着性で固着され、その結果、当該電路形成部11と
接点部材30と間に接着層が必要とされず、しかも長い
使用寿命が得られる。
【0057】また、本発明の異方導電性シートの製造方
法によれば、複数の接点部材が互いに連結用部分32に
よって一体に連結されてなる接点形成材料を用いるた
め、極めて簡単な方法で上記の異方導電性シートを製造
することができる。更に、接点形成材料31において、
連結用部分32が接点部材30よりも小さい厚みを有し
ていることにより、接点部材間の絶縁化処理を容易に行
うことができる。
【0058】〈第2の実施の形態〉図7は、本発明の異
方導電性シートに係る第2の実施の形態における要部の
構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シート
は、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11
と、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部
12とよりなる異方導電性シート本体10を有する。こ
の異方導電性シート本体10における導電路形成部11
の各々は、弾性を有する導電性材料により構成され、当
該異方導電性シート本体10の面方向に沿って、接続対
象電極のパターンに対応するパターンに従って配置され
ている。そして、導電路形成部11の表面においては、
熱圧着された接点部材30が一体的に設けられている。
【0059】この第2の実施の形態において、導電路形
成部11の各々は、その一表面(図中、上面)が絶縁部
12の表面より下方に没した状態であり、その他表面
(図中、下面)が絶縁部12の表面から上方に突出した
状態である。また、接点部材30の各々は、その外径r
が導電路形成部11の外径Rより小さいものであり、し
かもその一面側部分が異方導電性シート本体10におけ
る導電路形成部11に埋め込まれた状態であると共に、
その他面部分が当該導電路形成部11の表面から突出し
た状態である。以上の点を除き、異方導電性シート本体
10および接点部材30の各々の具体的構成は、前述の
第1の実施の形態に係る異方導電性シートと同様であ
る。
【0060】上記の異方導電性シートは、例えば前述の
第1の実施の形態に係る異方導電性シートの製造方法と
同様にして、図8に示すような導電路形成部11の一面
が絶縁部12の上面と同一平面上に位置する異方導電性
シート本体10を形成し、図9に示すように、この異方
導電性シート本体10の表面に、接点部材30と連結用
部分32を有するシート状の適宜の接点形成材料31を
重ねた状態に配置する。この接点形成材料31は、異方
導電性シート本体10における導電路形成部11の配列
パターンに適合した接点部材30の配列パターンを有す
るものである。次いで、異方導電性シート本体10に対
し、その導電路形成部11上に接点形成材料31におけ
る接点部材30の各々が位置するよう位置合わせをした
状態で、例えば図9に示すように、100〜200℃の
加熱雰囲気中において、あるいは100〜200℃に加
熱した、例えば異方導電性シート本体10における導電
路形成部11の配列パターンに対応する凸所43Aを有
する圧着治具43を用いて、接点部材30の表面に対し
て最高20kg/cm2 程度のプレス圧力を加えること
により、それぞれの導電路形成部11に接点部材30を
熱圧着させ、これにより、図10に示すように、当該導
電路形成部11の各々の表面に接点形成材料31が一体
的に熱圧着により固着された複合体40を形成する。こ
こで、圧着治具43の凸所43Aの外径は、熱圧着する
接点部材30の外径rと同一であることが好ましい。
【0061】次いで、例えばレーザー加工法を利用し
て、複合体40の非固着部分である連結用部分32およ
び枠部分33を除去する後処理を行って各々の接点部材
30間を絶縁化処理することにより、図7に示す構成の
異方導電性シートが得られる。以上において、接点形成
材料31および異方導電性シート本体成形材料の具体的
構成は、前述の第1の実施の形態に係る異方導電性シー
トの製造方法と同様である。
【0062】このように、導電路形成部11の各々は、
その表面が絶縁部12の表面より下方に没した状態に形
成することができ、この場合にも、得られる異方導電性
シートにおいては、上記と同様の作用効果が得られる。
【0063】以上、本発明に係る実施の形態を説明した
が、本発明においては、上記の実施の形態に限定され
ず、以下のような種々の変更を加えることができる。本
発明においては、図11に示すように、各接点部材30
が隣接する接点部材30および導電路形成部11と絶縁
状態にあるならば、異方導電性シート本体10における
導電路形成部11の表面に接点形成材料31の連結用部
分32の一部が残存した状態であってもよい。また、本
発明においては、図12に示すように、各接点部材30
が、隣接する接点部材30および導電路形成部11と絶
縁状態にあるならば、その外径rが導電路形成部11の
外径Rと同一であってもよく、更に、図13に示すよう
に、その外径rが導電路形成部11の外径Rよりも大き
いものであってもよい。このような異方導電性シートに
よれば、接続対象電極に導電路形成部11が直接接触し
ないため、導電路形成部を構成する弾性高分子物質中に
含有される低分子量成分により、接続対象電極の表面が
汚染されることがない。
【0064】更に、本発明においては、図14に示すよ
うに、接点部材30が、導電路形成部11に埋め込まれ
て、その表面が導電路形成部11の表面と同一平面状と
なる状態であってもよい。なお、接点部材30は、その
形状が制限されるものではなく、例えば角板状、楕円板
状などであってもよく、また切り込み部分あるいは溝部
分などを有するものであってもよい。
【0065】本発明において、異方導電性シートの製造
方法に用いる異方導電性シート本体10としては、適宜
の異方導電性シート本体成形用金型によって形成され
た、図15および図16に示すような導電路形成部11
の表面に接点部材30に適合する大きさの凹所11Aを
有するものを用いることもできる。このような異方導電
性シート本体10を用いることによれば、熱圧着を行う
際に必要とされる接点形成材料31の位置合わせが確実
で容易となる。ここで、形成された凹所11Aの寸法
は、その内径が接点部材30の外径rと同等であること
が好ましく、また、その深さは、接点部材30の厚みよ
り小さいものであっても、あるいは接点部材30の厚み
以上のものであってもよい。
【0066】本発明において、異方導電性シートの製造
方法に用いる接点形成材料31としては、異方導電性シ
ート本体10における導電路形成部11の配列パターン
と対掌のパターンに従って配列された複数の接点部材3
0が、絶縁性材料よりなる連結用部分32によって一体
に連結されてなる接点形成材料31を用いることができ
る。この場合には、連結用部分32に対して後処理によ
って行う接点部材30間の絶縁化処理が不要となる。か
かる絶縁性材料としては、エラストマーや樹脂などの各
種の高分子のシート、フィルム、または、繊維、織布な
どを用いることができる。
【0067】
【発明の効果】本発明の異方導電性シートによれば、異
方導電性シート本体10における導電路形成部11の表
面には、接点部材30が設けられているため、接続対象
電極の表面に酸化膜が形成されている場合にも、接点部
材30よって当該酸化膜が突き破られるため、接続対象
電極と異方導電性シート本体10の導電路との間の電気
的接続が確実に達成される。また、接続対象電極に対
し、異方導電性シート本体10における導電路形成部1
1が直接接触する表面部分が少ないため、当該導電路形
成部11を構成する弾性高分子物質中に含有される低分
子量成分による接続対象電極の表面の汚染が抑制され
る。更に、接点部材30が異方導電性シート本体10に
おける導電路形成部11の表面に熱圧着されているた
め、導電路形成部11に対して接点部材30が高い接着
性で固着され、その結果、当該電路形成部11と接点部
材30と間に接着層が必要とされず、しかも長い使用寿
命が得られる。
【0068】また、本発明の異方導電性シートの製造方
法によれば、複数の接点部材30が互いに連結用部分3
2によって一体に連結されてなる接点形成材料31を用
いるため、極めて簡単な方法で上記の異方導電性シート
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る異方導電性シートの要部の
構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示した異方導電性シートの異方導電性シ
ート本体の構成を示す説明用断面図である。
【図3】熱圧着を行う工程を示す説明図である。
【図4】接点形成材料の説明用平面図である。
【図5】接点形成材料の説明用断面図である
【図6】後処理を行う工程を示す説明図である。
【図7】第2の実施例に係る異方導電性シートの要部の
構成を示す説明用断面図である。
【図8】図7に示した異方導電性シートの異方導電性シ
ート本体の構成を示す説明用断面図である。
【図9】熱圧着を行う工程を示す説明図である。
【図10】複合体の構成を示す説明用断面図である。
【図11】本発明に係る異方導電性シートの一例を示す
説明用断面図である。
【図12】本発明に係る異方導電性シートの一例を示す
説明用断面図である。
【図13】本発明に係る異方導電性シートの一例を示す
説明用断面図である。
【図14】本発明に係る異方導電性シートの一例を示す
説明用断面図である。
【図15】本発明の異方導電性シートに係る異方導電性
シート本体の一例を示す説明用断面図である。
【図16】本発明の異方導電性シートに係る異方導電性
シート本体の一例を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
10 異方導電性シート 11 導電路形成部 11A 凹所 12 絶縁部 30 接点部材 31 接点形成材料 32 連結用部分 33 枠部分 40 複合体 43 圧着治具 43A 凸所 44 切断治具 44A 凹所

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々厚み方向に伸び、弾性を有する複数
    の導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁された状
    態で配設されてなる異方導電性シート本体と、 この異方導電性シート本体における導電路形成部の表面
    に一体的に設けられた接点部材とを有することを特徴と
    する異方導電性シート。
  2. 【請求項2】 接点部材が、異方導電性シート本体にお
    ける導電路形成部の表面に熱圧着されていることを特徴
    とする請求項1に記載の異方導電性シート。
  3. 【請求項3】 接点部材が、その一面側が導電路形成部
    に埋め込まれた状態であることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載の異方導電性シート。
  4. 【請求項4】 導電路形成部が、その表面が絶縁部の表
    面から突出した状態であることを特徴とする請求項1〜
    請求項3の何れかに記載の異方導電性シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4の何れかに記載の異
    方導電性シートを製造する方法であって、 異方導電性シート本体における複数の導電路形成部の表
    面に、複数の接点部材が互いに連結用部分によって一体
    に連結されてなる接点形成材料の当該接点部材を熱圧着
    させ、この接点形成材料における連結用部分に対して後
    処理を行うことによって接点部材間の絶縁化処理を行う
    ことを特徴とする異方導電性シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 接点形成材料における連結用部分が、接
    点部材より小さい厚みを有することを特徴とする請求項
    5に記載の異方導電性シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 接点形成材料が、導電体シートをエッチ
    ング処理することによって得られるものであることを特
    徴とする請求項5または請求項6に記載の異方導電性シ
    ートの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項4の何れかに記載の異
    方導電性シートを製造する方法であって、 異方導電性シート本体における複数の導電路形成部の表
    面に、複数の接点部材が互いに絶縁性の連結用部分によ
    って一体に連結されてなる接点形成材料の当該接点部材
    を熱圧着させることを特徴とする異方導電性シートの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 異方導電性シート本体における導電路形
    成部の表面に、予め接点部材が埋め込まれる凹所が形成
    されていることを特徴とする請求項5〜請求項8の何れ
    かに記載の異方導電性シートの製造方法。
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