JP2001080994A - 酸化物超電導積層基板とその製造方法 - Google Patents
酸化物超電導積層基板とその製造方法Info
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Landscapes
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- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 絶縁膜や、回路用の導電膜が形成される電子
デバイス用基板として用いられる高平坦性と高結晶性を
有する酸化物超電導結晶基板を備えており、絶縁膜や導
電膜を成膜する際の熱処理に起因して上記酸化物超電導
結晶基板にクラックが発生するのを防止できる高い強度
を有する酸化物超電導積層基板の提供。 【解決手段】 高い平坦性と高結晶性を有する酸化物超
電導結晶基板3と、高強度の補強用結晶基板5とが、酸
化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶ま
たは酸化物超電導多結晶の融点よりも低融点の材料から
なる低融点層を最外層に有する中間層7を介して接着さ
れた酸化物超電導積層基板1。
デバイス用基板として用いられる高平坦性と高結晶性を
有する酸化物超電導結晶基板を備えており、絶縁膜や導
電膜を成膜する際の熱処理に起因して上記酸化物超電導
結晶基板にクラックが発生するのを防止できる高い強度
を有する酸化物超電導積層基板の提供。 【解決手段】 高い平坦性と高結晶性を有する酸化物超
電導結晶基板3と、高強度の補強用結晶基板5とが、酸
化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶ま
たは酸化物超電導多結晶の融点よりも低融点の材料から
なる低融点層を最外層に有する中間層7を介して接着さ
れた酸化物超電導積層基板1。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導デバイス等
の電子デバイス用基板材料に利用できる酸化物超電導積
層基板とその製造方法に関する。
の電子デバイス用基板材料に利用できる酸化物超電導積
層基板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、超電導体を用いると、高周波表
面抵抗が低くでき、また、超電導のトンネル効果素子を
使うと低消費電力で高速の機能動作ができることから、
このような特性を有する超電導体を高周波の回路を備え
た電子デバイスへの適用が試みられている。超電導体を
用いた超電導デバイスの例としては、超電導集積回路が
ある。この超電導集積回路は、概略、Y−Ba−Cu−
O系の酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶か
らなる超電導結晶基板上に絶縁層を介して超電導体薄膜
からなる配線が形成されてなるものである。
面抵抗が低くでき、また、超電導のトンネル効果素子を
使うと低消費電力で高速の機能動作ができることから、
このような特性を有する超電導体を高周波の回路を備え
た電子デバイスへの適用が試みられている。超電導体を
用いた超電導デバイスの例としては、超電導集積回路が
ある。この超電導集積回路は、概略、Y−Ba−Cu−
O系の酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶か
らなる超電導結晶基板上に絶縁層を介して超電導体薄膜
からなる配線が形成されてなるものである。
【0003】ところでこのような構成の超電導集積回路
の従来の製造方法は、引き上げ法によりY−Ba−Cu
−O系の酸化物超電導単結晶あるいは酸化物超電導多結
晶からなるロッドを形成し、ついでこのロッドを切断、
研磨して高い平坦性を有する板状酸化物超電導結晶基板
を作製し、ついでこの酸化物超電導結晶基板上に化学気
相成長法(CVD法)により絶縁膜と超電導薄膜を成膜
し、フォトリソグラフィーにより超電導回路パターンを
形成することにより、目的とする超電導集積回路を得て
いた。また、必要に応じて超電導回路を構成する超電導
薄膜の臨界電流密度等の超電導特性を向上するために基
板を加熱していた。
の従来の製造方法は、引き上げ法によりY−Ba−Cu
−O系の酸化物超電導単結晶あるいは酸化物超電導多結
晶からなるロッドを形成し、ついでこのロッドを切断、
研磨して高い平坦性を有する板状酸化物超電導結晶基板
を作製し、ついでこの酸化物超電導結晶基板上に化学気
相成長法(CVD法)により絶縁膜と超電導薄膜を成膜
し、フォトリソグラフィーにより超電導回路パターンを
形成することにより、目的とする超電導集積回路を得て
いた。また、必要に応じて超電導回路を構成する超電導
薄膜の臨界電流密度等の超電導特性を向上するために基
板を加熱していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の超
電導集積回路の製造方法においては、酸化物超電導結晶
基板上に絶縁膜や回路用の超電導薄膜を成膜する際に基
板を加熱する熱処理や、あるいは、超電導特性を向上さ
せるために基板を加熱する熱処理を施しているため、こ
れら熱処理による熱応力により超電導基板にクラック等
が発生し、歩留まりが悪くなるという問題があった。ま
た、大型の超電導集積回路を作製する場合には、上記の
問題はより顕著であった。
電導集積回路の製造方法においては、酸化物超電導結晶
基板上に絶縁膜や回路用の超電導薄膜を成膜する際に基
板を加熱する熱処理や、あるいは、超電導特性を向上さ
せるために基板を加熱する熱処理を施しているため、こ
れら熱処理による熱応力により超電導基板にクラック等
が発生し、歩留まりが悪くなるという問題があった。ま
た、大型の超電導集積回路を作製する場合には、上記の
問題はより顕著であった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、絶縁膜や、回路用の導電膜が形成される電子デバイ
ス用基板として用いられる高平坦性と高結晶性を有する
酸化物超電導結晶基板を備えており、絶縁膜や導電膜を
成膜する際の熱処理に起因して上記酸化物超電導結晶基
板にクラックが発生するのを防止できる高い強度を有す
る酸化物超電導積層基板を提供することを目的とする。
で、絶縁膜や、回路用の導電膜が形成される電子デバイ
ス用基板として用いられる高平坦性と高結晶性を有する
酸化物超電導結晶基板を備えており、絶縁膜や導電膜を
成膜する際の熱処理に起因して上記酸化物超電導結晶基
板にクラックが発生するのを防止できる高い強度を有す
る酸化物超電導積層基板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板とが、1
層以上の層からなる中間層を介して接着され、上記中間
層の少なくとも最外層は上記酸化物超電導結晶基板を構
成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の
分解温度よりも低融点の材料からなる低融点層から構成
されてなることを特徴とする酸化物超電導積層基板が採
用される。上記構成の酸化物超電導積層基板において、
上記低融点層をなす低融点の材料としては、上記酸化物
超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温度が低い酸化
物超電導材料粉末が採用されることが好ましい。
に、酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板とが、1
層以上の層からなる中間層を介して接着され、上記中間
層の少なくとも最外層は上記酸化物超電導結晶基板を構
成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の
分解温度よりも低融点の材料からなる低融点層から構成
されてなることを特徴とする酸化物超電導積層基板が採
用される。上記構成の酸化物超電導積層基板において、
上記低融点層をなす低融点の材料としては、上記酸化物
超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温度が低い酸化
物超電導材料粉末が採用されることが好ましい。
【0007】また、上記のいずれかの構成の酸化物超電
導積層基板の製造手段としては、引き上げ法により作製
した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板との間
に、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも低融
点の材料からなる低融点層を少なくとも最外層に有する
中間層を配置した後、熱処理を施して上記中間層の低融
点層を溶融凝固し、上記酸化物超電導結晶基板と上記補
強用結晶基板とを接着することを特徴とする酸化物超電
導積層基板の製造方法が採用される。
導積層基板の製造手段としては、引き上げ法により作製
した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板との間
に、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも低融
点の材料からなる低融点層を少なくとも最外層に有する
中間層を配置した後、熱処理を施して上記中間層の低融
点層を溶融凝固し、上記酸化物超電導結晶基板と上記補
強用結晶基板とを接着することを特徴とする酸化物超電
導積層基板の製造方法が採用される。
【0008】また、上記のいずれかの構成の酸化物超電
導積層基板の製造方法としては、引き上げ法により作製
した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板の対向面
のうち少なくとも一方の対向面に上記酸化物超電導結晶
基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電導
多結晶の分解温度よりも低融点の材料を主成分とするペ
ーストを塗布し、該ペーストを介して上記補強用結晶基
板上に上記酸化物超電導結晶基板を積層した後、熱処理
を施し、上記酸化物超電導結晶基板と上記補強用結晶基
板とを接着することを特徴とする酸化物超電導積層基板
の製造方法を採用してもよい。かかる構成の酸化物超電
導基板の製造方法において、上記ペースト中の低融点の
材料としては、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸
化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度
よりも分解温度が低い酸化物超電導材料粉末が採用され
ることが好ましい。
導積層基板の製造方法としては、引き上げ法により作製
した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶から
なる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基板の対向面
のうち少なくとも一方の対向面に上記酸化物超電導結晶
基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電導
多結晶の分解温度よりも低融点の材料を主成分とするペ
ーストを塗布し、該ペーストを介して上記補強用結晶基
板上に上記酸化物超電導結晶基板を積層した後、熱処理
を施し、上記酸化物超電導結晶基板と上記補強用結晶基
板とを接着することを特徴とする酸化物超電導積層基板
の製造方法を採用してもよい。かかる構成の酸化物超電
導基板の製造方法において、上記ペースト中の低融点の
材料としては、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸
化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度
よりも分解温度が低い酸化物超電導材料粉末が採用され
ることが好ましい。
【0009】さらにまた、上記のいずれかの構成の酸化
物超電導積層基板の製造方法としては、引き上げ法によ
り作製した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結
晶からなる酸化物超電導結晶基板の両面に、上記酸化物
超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料を主成
分とするペーストを塗布し、上記酸化物超電導結晶基板
の両面を上記ペーストを介して補強用結晶基板で挟んだ
後、荷重下で熱処理を施し、上記酸化物超電導結晶基板
の両面に上記補強用結晶基板を接着し、酸化物超電導結
晶基板を面方向に沿って切断することを特徴とする酸化
物超電導積層基板の製造方法を採用してもよい。
物超電導積層基板の製造方法としては、引き上げ法によ
り作製した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結
晶からなる酸化物超電導結晶基板の両面に、上記酸化物
超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料を主成
分とするペーストを塗布し、上記酸化物超電導結晶基板
の両面を上記ペーストを介して補強用結晶基板で挟んだ
後、荷重下で熱処理を施し、上記酸化物超電導結晶基板
の両面に上記補強用結晶基板を接着し、酸化物超電導結
晶基板を面方向に沿って切断することを特徴とする酸化
物超電導積層基板の製造方法を採用してもよい。
【0010】また、上記のいずれかの構成の酸化物超電
導積層基板の製造方法において、上記熱処理を施す際の
熱処理温度は、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸
化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度
より低く、上記低融点の材料の融点又は分解温度より高
い温度が採用されることが好ましい。また、上記のいず
れかの構成の酸化物超電導積層基板の製造方法におい
て、上記熱処理を施す際の昇降温速度は、10乃至50
0K/時間の範囲内とする手段が採用されることが好ま
しい。さらにまた、上記のいずれかの構成の酸化物超電
導積層基板の製造方法において、上記熱処理時間は、1
乃至300時間の範囲内とする手段が採用されることが
好ましい。
導積層基板の製造方法において、上記熱処理を施す際の
熱処理温度は、上記酸化物超電導結晶基板を構成する酸
化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度
より低く、上記低融点の材料の融点又は分解温度より高
い温度が採用されることが好ましい。また、上記のいず
れかの構成の酸化物超電導積層基板の製造方法におい
て、上記熱処理を施す際の昇降温速度は、10乃至50
0K/時間の範囲内とする手段が採用されることが好ま
しい。さらにまた、上記のいずれかの構成の酸化物超電
導積層基板の製造方法において、上記熱処理時間は、1
乃至300時間の範囲内とする手段が採用されることが
好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸化物超電導積層
基板とその製造方法の一実施形態について説明する。図
1は、本発明の酸化物超電導積層基板の実施形態例を示
す断面図である。この酸化物超電導積層基板1は、酸化
物超電導結晶基板3と、補強用結晶基板5とが、1層以
上の層からなる中間層7を介して接着されてなるもので
ある。
基板とその製造方法の一実施形態について説明する。図
1は、本発明の酸化物超電導積層基板の実施形態例を示
す断面図である。この酸化物超電導積層基板1は、酸化
物超電導結晶基板3と、補強用結晶基板5とが、1層以
上の層からなる中間層7を介して接着されてなるもので
ある。
【0012】酸化物超電導結晶基板3は、酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶から構成されており、
これらの結晶は下記化学式(1)で表される酸化物超電
導化合物の結晶である。 R1+XBa2-xCu3Oy ・・・(1) (式中、Rは、Y,Nd,Sm,Gd,Eu,Yb,P
rのうちから選択される1種または2種以上の元素であ
り、yは6〜7、xは0〜1である。)
単結晶または酸化物超電導多結晶から構成されており、
これらの結晶は下記化学式(1)で表される酸化物超電
導化合物の結晶である。 R1+XBa2-xCu3Oy ・・・(1) (式中、Rは、Y,Nd,Sm,Gd,Eu,Yb,P
rのうちから選択される1種または2種以上の元素であ
り、yは6〜7、xは0〜1である。)
【0013】補強用結晶基板5をなす材料は、酸化物超
電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;
Tp)より融点が高く、酸化物超電導結晶基板3より高
強度の材料が好ましく、例えば、MgO、SrTi
O2、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などが
用いられる。また、これらの中でも酸化物超電導結晶基
板3に比べて熱膨張係数の大きいMgO単結晶を用いる
のが好ましい。
電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;
Tp)より融点が高く、酸化物超電導結晶基板3より高
強度の材料が好ましく、例えば、MgO、SrTi
O2、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などが
用いられる。また、これらの中でも酸化物超電導結晶基
板3に比べて熱膨張係数の大きいMgO単結晶を用いる
のが好ましい。
【0014】中間層7は、少なくとも最外層に酸化物超
電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;
Tp)よりも低融点の材料からなる低融点層を有してい
る。上記低融点層をなす低融点の材料としては、酸化物
超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または
酸化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;T
p)よりも分解温度が低い酸化物超電導材料粉末が好適
に用いられる。この低融点の材料の具体例としては、酸
化物超電導結晶基板3が分解温度1010゜CのYBa
2Cu3Oyから構成されている場合、分解温度が875
゜CのYbBa2Cu3Oyが用いられ、酸化物超電導結
晶基板3が分解温度1060゜CのSmBa2Cu3Oy
から構成されている場合、分解温度が十分低いYBa2
Cu3Oy(Y123)やYbBa2Cu3Oy(Yb12
3)が用いられ、 酸化物超電導結晶基板3が分解温度
1090゜CのNdBa2Cu3Oyから構成されている
場合、分解温度が十分低いYBa2Cu3Oy(Y12
3)やYbBa2Cu3Oy(Yb123)やSmBa2C
u3Oy(Sm123)が用いられる。
電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸
化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;
Tp)よりも低融点の材料からなる低融点層を有してい
る。上記低融点層をなす低融点の材料としては、酸化物
超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または
酸化物超電導多結晶の分解温度又は融点(包晶温度;T
p)よりも分解温度が低い酸化物超電導材料粉末が好適
に用いられる。この低融点の材料の具体例としては、酸
化物超電導結晶基板3が分解温度1010゜CのYBa
2Cu3Oyから構成されている場合、分解温度が875
゜CのYbBa2Cu3Oyが用いられ、酸化物超電導結
晶基板3が分解温度1060゜CのSmBa2Cu3Oy
から構成されている場合、分解温度が十分低いYBa2
Cu3Oy(Y123)やYbBa2Cu3Oy(Yb12
3)が用いられ、 酸化物超電導結晶基板3が分解温度
1090゜CのNdBa2Cu3Oyから構成されている
場合、分解温度が十分低いYBa2Cu3Oy(Y12
3)やYbBa2Cu3Oy(Yb123)やSmBa2C
u3Oy(Sm123)が用いられる。
【0015】次に、実施形態の酸化物超電導積層基板1
の第一の製造方法を図2乃至図3を用いて説明する。ま
ず、引き上げ法により酸化物超電導単結晶または酸化物
超電導多結晶からなるロッドを作製した後、このロッド
を切断し、また、必要によりラッピングフィルム等で研
磨して板状の酸化物超電導結晶基板3を作製する。ここ
でロッドを切断する際には、酸化物超電導単結晶または
酸化物超電導多結晶の劈開面が基板3の表面となるよう
に切断することが好ましい。ついで、酸化物超電導結晶
基板3と補強用結晶基板5との間に、酸化物超電導結晶
基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電
導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低融点
層を少なくとも最外層に有する中間層7を配置して積層
体を作製する。ついで、この積層体を熱処理を施す。こ
こでの熱処理は、図2に示すような加熱炉20が用いら
れる。この加熱炉20は、アルミナからなる処理容器2
1と、この処理容器を外側から加熱するヒータ22と、
処理容器21内の温度を測定するための熱電対23から
概略構成されている。
の第一の製造方法を図2乃至図3を用いて説明する。ま
ず、引き上げ法により酸化物超電導単結晶または酸化物
超電導多結晶からなるロッドを作製した後、このロッド
を切断し、また、必要によりラッピングフィルム等で研
磨して板状の酸化物超電導結晶基板3を作製する。ここ
でロッドを切断する際には、酸化物超電導単結晶または
酸化物超電導多結晶の劈開面が基板3の表面となるよう
に切断することが好ましい。ついで、酸化物超電導結晶
基板3と補強用結晶基板5との間に、酸化物超電導結晶
基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電
導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低融点
層を少なくとも最外層に有する中間層7を配置して積層
体を作製する。ついで、この積層体を熱処理を施す。こ
こでの熱処理は、図2に示すような加熱炉20が用いら
れる。この加熱炉20は、アルミナからなる処理容器2
1と、この処理容器を外側から加熱するヒータ22と、
処理容器21内の温度を測定するための熱電対23から
概略構成されている。
【0016】上記のような構成の加熱炉20を用いて上
記積層体を熱処理するには、上記のようにして作製した
積層体25を処理容器21内に入れた後、ヒータ22に
より室温から熱処理温度まで昇温した後、この熱処理温
度で所定時間(熱処理時間)保持した後、室温まで降温
する。図3は、上記積層体に熱処理を施す際のヒートパ
ターンを示す図であり、横軸は時間、縦軸は温度であ
る。図3中、実線は処理容器21内の温度である。こ
の温度は、熱電対23により測定できる。また、破線
は中間層7の低融点層を構成する低融点の材料の融点又
は分解温度、破線は酸化物超電導結晶基板3を構成す
る酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解
温度、破線は補強用結晶基板を構成する材料の融点で
ある。
記積層体を熱処理するには、上記のようにして作製した
積層体25を処理容器21内に入れた後、ヒータ22に
より室温から熱処理温度まで昇温した後、この熱処理温
度で所定時間(熱処理時間)保持した後、室温まで降温
する。図3は、上記積層体に熱処理を施す際のヒートパ
ターンを示す図であり、横軸は時間、縦軸は温度であ
る。図3中、実線は処理容器21内の温度である。こ
の温度は、熱電対23により測定できる。また、破線
は中間層7の低融点層を構成する低融点の材料の融点又
は分解温度、破線は酸化物超電導結晶基板3を構成す
る酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解
温度、破線は補強用結晶基板を構成する材料の融点で
ある。
【0017】ここでの熱処理温度は、酸化物超電導結晶
基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電
導多結晶の分解温度より低く、中間層7の低融点層を構
成する低融点の材料の融点または分解温度より高い温度
である。上記熱処理を施す際の熱処理温度までの昇温速
度は、10乃至500K/時間の範囲内であることが好
ましく、より好ましくは20乃至150K/時間の範囲
内である。熱処理温度までの昇温速度が10K/時間未
満であると、酸素雰囲気中ではツイン生成が顕著とな
り、また、処理時間も長くなりすぎるため好ましくな
く、昇温速度が500K/時間を超えると熱応力の為ク
ラックが多発するため好ましくない。
基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超電
導多結晶の分解温度より低く、中間層7の低融点層を構
成する低融点の材料の融点または分解温度より高い温度
である。上記熱処理を施す際の熱処理温度までの昇温速
度は、10乃至500K/時間の範囲内であることが好
ましく、より好ましくは20乃至150K/時間の範囲
内である。熱処理温度までの昇温速度が10K/時間未
満であると、酸素雰囲気中ではツイン生成が顕著とな
り、また、処理時間も長くなりすぎるため好ましくな
く、昇温速度が500K/時間を超えると熱応力の為ク
ラックが多発するため好ましくない。
【0018】上記熱処理時間は、1乃至300時間の範
囲内であることが好ましく、より好ましくは10乃至1
50時間の範囲内である。熱処理時間が1時間未満であ
ると、溶着が不十分となるため好ましくなく、300時
間を超えると処理時間が長くなり過ぎるため好ましくな
い。
囲内であることが好ましく、より好ましくは10乃至1
50時間の範囲内である。熱処理時間が1時間未満であ
ると、溶着が不十分となるため好ましくなく、300時
間を超えると処理時間が長くなり過ぎるため好ましくな
い。
【0019】上記熱処理温度から降温する際の降温速度
は、1乃至500K/時間の範囲内であることが好まし
く、より好ましくは10乃至50K/時間の範囲内であ
る。降温速度が1K/時間未満であると、処理時間が長
くなりすぎ、また、ツイン生成が増大するため好ましく
なく、降温速度が500K/時間を超えると熱応力が膨
張率の差による応力等の為、クラックが多発するため好
ましくない。上記のような熱処理を施す際の雰囲気は、
大気中で行うことができるが、低酸素雰囲気で行うと、
上記低融点層をなす低融点の材料の融点あるいは分解温
度を下げることができ、熱処理温度を下げることができ
る点で好ましい。
は、1乃至500K/時間の範囲内であることが好まし
く、より好ましくは10乃至50K/時間の範囲内であ
る。降温速度が1K/時間未満であると、処理時間が長
くなりすぎ、また、ツイン生成が増大するため好ましく
なく、降温速度が500K/時間を超えると熱応力が膨
張率の差による応力等の為、クラックが多発するため好
ましくない。上記のような熱処理を施す際の雰囲気は、
大気中で行うことができるが、低酸素雰囲気で行うと、
上記低融点層をなす低融点の材料の融点あるいは分解温
度を下げることができ、熱処理温度を下げることができ
る点で好ましい。
【0020】積層体25に上述のような熱処理を施す
と、酸化物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5の間の
中間層7の低融点層が溶融凝固し、酸化物超電導結晶基
板3と補強用結晶基板5とを接着すると、図1に示すよ
うな酸化物超電導積層基板1が得られる。なお、このよ
うにして得られた酸化物超電導積層基板1の酸化物超電
導結晶基板3の超電導特性が不十分である場合には、酸
素雰囲気中で基板1を500゜C〜600゜Cに加熱す
るアニール処理が施される。このアニール処理は、酸化
物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5とを接着するた
めの熱処理の降温工程中に行ってもよい。
と、酸化物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5の間の
中間層7の低融点層が溶融凝固し、酸化物超電導結晶基
板3と補強用結晶基板5とを接着すると、図1に示すよ
うな酸化物超電導積層基板1が得られる。なお、このよ
うにして得られた酸化物超電導積層基板1の酸化物超電
導結晶基板3の超電導特性が不十分である場合には、酸
素雰囲気中で基板1を500゜C〜600゜Cに加熱す
るアニール処理が施される。このアニール処理は、酸化
物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5とを接着するた
めの熱処理の降温工程中に行ってもよい。
【0021】次に、実施形態の酸化物超電導積層基板1
の第二の製造方法を説明する。先に述べた第一の製造方
法と同様にして作製した酸化物超電導結晶基板3と、補
強用結晶基板5の対向面のうち少なくとも一方の対向面
に酸化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結
晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも低融点の
材料を主成分とするペーストをスプレー法などの塗布法
により塗布する。ここでのペースト中の低融点の材料
は、酸化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単
結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温
度が低い酸化物超電導材料粉末が用いられる。また、上
記ペースト中には、上記低融点の酸化物超電導材料粉末
以外に酢酸エチルなどが含まれている。また、上記ペー
ストの塗布量は、0.1乃至1g/cm2程度とするこ
とが好ましい。
の第二の製造方法を説明する。先に述べた第一の製造方
法と同様にして作製した酸化物超電導結晶基板3と、補
強用結晶基板5の対向面のうち少なくとも一方の対向面
に酸化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単結
晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも低融点の
材料を主成分とするペーストをスプレー法などの塗布法
により塗布する。ここでのペースト中の低融点の材料
は、酸化物超電導結晶基板3を構成する酸化物超電導単
結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温
度が低い酸化物超電導材料粉末が用いられる。また、上
記ペースト中には、上記低融点の酸化物超電導材料粉末
以外に酢酸エチルなどが含まれている。また、上記ペー
ストの塗布量は、0.1乃至1g/cm2程度とするこ
とが好ましい。
【0022】ついで、補強用結晶基板5上に上記ペース
トを介して酸化物超電導結晶基板3を積層した後、上記
第一の製造方法と同様の熱処理を施すことにより、酸化
物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5とを接着するこ
とができ、図1に示すような酸化物超電導積層基板1が
得られる。
トを介して酸化物超電導結晶基板3を積層した後、上記
第一の製造方法と同様の熱処理を施すことにより、酸化
物超電導結晶基板3と補強用結晶基板5とを接着するこ
とができ、図1に示すような酸化物超電導積層基板1が
得られる。
【0023】実施形態の酸化物超電導積層基板にあって
は、高い平坦性と高結晶性を有する酸化物超電導結晶基
板3と、高強度の補強用結晶基板5とが、酸化物超電導
結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物
超電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低
融点層を最外層に有する中間層7を介して接着されたも
のであるので、酸化物超電導結晶基板3の強度を向上で
きるので、この積層基板上に絶縁膜や導電膜を成膜する
際に熱処理を施しても、酸化物超電導結晶基板3に発生
するクラックを大幅に低減でき、電子デバイスプロセス
における歩留まりを著しく向上できる。
は、高い平坦性と高結晶性を有する酸化物超電導結晶基
板3と、高強度の補強用結晶基板5とが、酸化物超電導
結晶基板3を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物
超電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低
融点層を最外層に有する中間層7を介して接着されたも
のであるので、酸化物超電導結晶基板3の強度を向上で
きるので、この積層基板上に絶縁膜や導電膜を成膜する
際に熱処理を施しても、酸化物超電導結晶基板3に発生
するクラックを大幅に低減でき、電子デバイスプロセス
における歩留まりを著しく向上できる。
【0024】なお、上記実施形態においては、上記酸化
物超電導多結晶からなる基板3を引上げ法により作製し
た場合について説明したが、ある程度の厚みを有する基
板を作製できれば他の方法で製造したものであってもよ
い。また、上記実施形態においては、酸化物超電導結晶
基板3の片面に補強用結晶基板5が接着されている場合
について説明したが、酸化物超電導結晶基板3の両面に
補強用結晶基板5,5が接着されたものでもよい。この
ような酸化物超電導積層基板の製造方法は、以下に述べ
るような方法でも製造できる。まず、引き上げ法により
作製した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶
からなる酸化物超電導結晶基板3の両面に、上記第二の
製造方法で用いたものと同様のペーストを塗布する。な
お、ここでの酸化物超電導結晶基板3としては、第一及
び第二の製造方法で用いるものよりも厚みの厚いものを
用いることが好ましい。ついで、酸化物超電導結晶基板
3の両面を上記ペーストを介して二枚の補強用結晶基板
5で挟んだ後、荷重下で上記第一の製造方法と同様にし
て熱処理を施すと、酸化物超電導結晶基板3の両面に補
強用結晶基板5を接着することができる。この後、酸化
物超電導結晶基板3を面方向に沿って切断すると、一度
に二枚の酸化物超電導積層基板が得られる。ここで酸化
物超電導結晶基板3を切断する際には、酸化物超電導単
結晶または酸化物超電導多結晶の劈開面が基板3の表面
となるように切断することが好ましい。また、このよう
にして得られた酸化物超電導積層基板の酸化物超電導結
晶基板の表面には、必要に応じて研磨が施される。
物超電導多結晶からなる基板3を引上げ法により作製し
た場合について説明したが、ある程度の厚みを有する基
板を作製できれば他の方法で製造したものであってもよ
い。また、上記実施形態においては、酸化物超電導結晶
基板3の片面に補強用結晶基板5が接着されている場合
について説明したが、酸化物超電導結晶基板3の両面に
補強用結晶基板5,5が接着されたものでもよい。この
ような酸化物超電導積層基板の製造方法は、以下に述べ
るような方法でも製造できる。まず、引き上げ法により
作製した酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶
からなる酸化物超電導結晶基板3の両面に、上記第二の
製造方法で用いたものと同様のペーストを塗布する。な
お、ここでの酸化物超電導結晶基板3としては、第一及
び第二の製造方法で用いるものよりも厚みの厚いものを
用いることが好ましい。ついで、酸化物超電導結晶基板
3の両面を上記ペーストを介して二枚の補強用結晶基板
5で挟んだ後、荷重下で上記第一の製造方法と同様にし
て熱処理を施すと、酸化物超電導結晶基板3の両面に補
強用結晶基板5を接着することができる。この後、酸化
物超電導結晶基板3を面方向に沿って切断すると、一度
に二枚の酸化物超電導積層基板が得られる。ここで酸化
物超電導結晶基板3を切断する際には、酸化物超電導単
結晶または酸化物超電導多結晶の劈開面が基板3の表面
となるように切断することが好ましい。また、このよう
にして得られた酸化物超電導積層基板の酸化物超電導結
晶基板の表面には、必要に応じて研磨が施される。
【0025】また、上記実施形態においては、酸化物超
電導結晶基板3がR−Ba−Cu−O(但し、Rは、
Y,Nd,Sm,Gd,Eu,Yb,Prのうちから選
択される1種または2種以上の元素)系の酸化物超電導
単結晶または多結晶から構成されている場合について説
明したが、本発明は、基板3がA−B−Cu−O(但
し、AはLa,Ce,Y,Sc,Ybなどの周期律表II
Ia族元素の1種以上を示し、BはSr,Brなどの周
期律表IIa族元素の1種以上を示す)系の酸化物超電導
単結晶または多結晶から構成されている場合にも適用で
きる。
電導結晶基板3がR−Ba−Cu−O(但し、Rは、
Y,Nd,Sm,Gd,Eu,Yb,Prのうちから選
択される1種または2種以上の元素)系の酸化物超電導
単結晶または多結晶から構成されている場合について説
明したが、本発明は、基板3がA−B−Cu−O(但
し、AはLa,Ce,Y,Sc,Ybなどの周期律表II
Ia族元素の1種以上を示し、BはSr,Brなどの周
期律表IIa族元素の1種以上を示す)系の酸化物超電導
単結晶または多結晶から構成されている場合にも適用で
きる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により、具体的に説明
するが、本発明は以下に述べる実施例のみに限定される
ものではない。引き上げ法によりYBa2Cu3Oy単結
晶(分解温度1010゜C)からなるロッドを作製した
後、このロッドを切断後、研磨し、縦8mm、横8m
m、厚さ1mmの板状のYBa2Cu3Oy結晶基板を作
製した。ついで、板状のMgO結晶基板(融点2830
゜C)の表面にYbBa2Cu3Oy(分解温度875゜
C)を主成分とするペーストを塗布した後、この上にY
Ba2Cu3Oy結晶基板を積層して積層体とした。
するが、本発明は以下に述べる実施例のみに限定される
ものではない。引き上げ法によりYBa2Cu3Oy単結
晶(分解温度1010゜C)からなるロッドを作製した
後、このロッドを切断後、研磨し、縦8mm、横8m
m、厚さ1mmの板状のYBa2Cu3Oy結晶基板を作
製した。ついで、板状のMgO結晶基板(融点2830
゜C)の表面にYbBa2Cu3Oy(分解温度875゜
C)を主成分とするペーストを塗布した後、この上にY
Ba2Cu3Oy結晶基板を積層して積層体とした。
【0027】ついで、この積層体を図2に示したような
処理容器21内に入れた後、ヒータ22により昇温速度
100゜C/時間で室温から950゜Cまで昇温した
後、この温度で20時間保持した後、降温速度100゜
C/時間で950゜Cから室温まで降温することによ
り、YBa2Cu3Oy結晶基板とMgO結晶基板とを接
着し、積層基板(実施例)を得た。次に、得られた実施
例の積層基板と、比較例としてMgO結晶基板を接着し
ていないYBa2Cu3Oy結晶基板(縦8mm、横8m
m、厚さ1mm)を、絶縁膜や回路用の導電膜を形成す
る際にかかる熱履歴と同様の熱履歴として750K/h
で昇温し、750゜Cで3時間加熱後、750K/hで
降温し、発生したクラックの密度を調べた。その結果、
実施例の積層基板に発生したクラックの密度は、MgO
結晶基板で補強していない比較例の基板の1/10と低
いことが分かった。従って、実施例の積層基板は、絶縁
膜や導電膜を成膜する際の熱処理に起因するクラックの
発生の防止効果が優れており、著しく強度が向上してい
ることが明らかとなった。
処理容器21内に入れた後、ヒータ22により昇温速度
100゜C/時間で室温から950゜Cまで昇温した
後、この温度で20時間保持した後、降温速度100゜
C/時間で950゜Cから室温まで降温することによ
り、YBa2Cu3Oy結晶基板とMgO結晶基板とを接
着し、積層基板(実施例)を得た。次に、得られた実施
例の積層基板と、比較例としてMgO結晶基板を接着し
ていないYBa2Cu3Oy結晶基板(縦8mm、横8m
m、厚さ1mm)を、絶縁膜や回路用の導電膜を形成す
る際にかかる熱履歴と同様の熱履歴として750K/h
で昇温し、750゜Cで3時間加熱後、750K/hで
降温し、発生したクラックの密度を調べた。その結果、
実施例の積層基板に発生したクラックの密度は、MgO
結晶基板で補強していない比較例の基板の1/10と低
いことが分かった。従って、実施例の積層基板は、絶縁
膜や導電膜を成膜する際の熱処理に起因するクラックの
発生の防止効果が優れており、著しく強度が向上してい
ることが明らかとなった。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の酸化物超電
導積層基板によれば、上記の構成としたことにより、高
い平坦性と高結晶性を有する酸化物超電導結晶基板の強
度を向上できるので、この積層基板上に絶縁膜や導電膜
を成膜する際に熱処理を施しても、上記酸化物超電導結
晶基板に発生するクラックを大幅に低減でき、電子デバ
イスプロセスにおける歩留まりを著しく向上できる。ま
た、本発明の酸化物超電導積層基板の製造方法によれ
ば、上記の構成としたことにより、本発明の酸化物超電
導積層基板を好適に得ることができる。
導積層基板によれば、上記の構成としたことにより、高
い平坦性と高結晶性を有する酸化物超電導結晶基板の強
度を向上できるので、この積層基板上に絶縁膜や導電膜
を成膜する際に熱処理を施しても、上記酸化物超電導結
晶基板に発生するクラックを大幅に低減でき、電子デバ
イスプロセスにおける歩留まりを著しく向上できる。ま
た、本発明の酸化物超電導積層基板の製造方法によれ
ば、上記の構成としたことにより、本発明の酸化物超電
導積層基板を好適に得ることができる。
【図1】 本発明の酸化物超電導積層基板の実施形態例
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図2】 本発明の酸化物超電導積層基板の製造方法の
実施に好適に用いられる加熱炉の概略構成を示す図であ
る。
実施に好適に用いられる加熱炉の概略構成を示す図であ
る。
【図3】 本発明の実施形態の酸化物超電導積層基板の
製造方法において、熱処理を施す際のヒートパターンの
例を示す図である。
製造方法において、熱処理を施す際のヒートパターンの
例を示す図である。
1・・・酸化物超電導積層基板、3・・・酸化物超電導結晶基
板、5・・・補強用結晶基板、7・・・中間層、20・・・加熱
炉、21・・・処理容器、22・・・ヒータ、23・・・熱電
対、25・・・積層体。
板、5・・・補強用結晶基板、7・・・中間層、20・・・加熱
炉、21・・・処理容器、22・・・ヒータ、23・・・熱電
対、25・・・積層体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 敏 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 塩原 融 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 田中 昭二 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 江上 雅裕 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BC53 CF10 FF01 4M113 AD35 AD36 AD37 AD39 BA01 BA21 BA23 BA29 CA34 4M114 AA20 AA29 BB05 CC09
Claims (9)
- 【請求項1】 酸化物超電導単結晶または酸化物超電導
多結晶からなる酸化物超電導結晶基板と、補強用結晶基
板とが、1層以上の層からなる中間層を介して接着さ
れ、前記中間層の少なくとも最外層は前記酸化物超電導
結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物超
電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低融
点層から構成されてなることを特徴とする酸化物超電導
積層基板。 - 【請求項2】 前記低融点層をなす低融点の材料は、前
記酸化物超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶
または酸化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温度が
低い酸化物超電導材料粉末であることを特徴とする請求
項1に記載の酸化物超電導積層基板。 - 【請求項3】 引き上げ法により作製した酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶からなる酸化物超電導
結晶基板と、補強用結晶基板との間に、前記酸化物超電
導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶または酸化物
超電導多結晶の分解温度よりも低融点の材料からなる低
融点層を少なくとも最外層に有する中間層を配置した
後、熱処理を施して前記中間層の低融点層を溶融凝固
し、前記酸化物超電導結晶基板と前記補強用結晶基板と
を接着することを特徴とする酸化物超電導積層基板の製
造方法。 - 【請求項4】 引き上げ法により作製した酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶からなる酸化物超電導
結晶基板と、補強用結晶基板の対向面のうち少なくとも
一方の対向面に前記酸化物超電導結晶基板を構成する酸
化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解温度
よりも低融点の材料を主成分とするペーストを塗布し、
該ペーストを介して前記補強用結晶基板上に前記酸化物
超電導結晶基板を積層した後、熱処理を施し、前記酸化
物超電導結晶基板と前記補強用結晶基板とを接着するこ
とを特徴とする酸化物超電導積層基板の製造方法。 - 【請求項5】 前記ペースト中の低融点の材料は、前記
酸化物超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶ま
たは酸化物超電導多結晶の分解温度よりも分解温度が低
い酸化物超電導材料粉末であることを特徴とする請求項
4記載の酸化物超電導積層基板の製造方法。 - 【請求項6】 引き上げ法により作製した酸化物超電導
単結晶または酸化物超電導多結晶からなる酸化物超電導
結晶基板の両面に、前記酸化物超電導結晶基板を構成す
る酸化物超電導単結晶または酸化物超電導多結晶の分解
温度よりも低融点の材料を主成分とするペーストを塗布
し、前記酸化物超電導結晶基板の両面を前記ペーストを
介して補強用結晶基板で挟んだ後、荷重下で熱処理を施
し、前記酸化物超電導結晶基板の両面に前記補強用結晶
基板を接着し、酸化物超電導結晶基板を面方向に沿って
切断することを特徴とする酸化物超電導積層基板の製造
方法。 - 【請求項7】 前記熱処理を施す際の熱処理温度は、前
記酸化物超電導結晶基板を構成する酸化物超電導単結晶
または酸化物超電導多結晶の分解温度より低く、前記低
融点の材料の融点または分解温度より高いことを特徴と
する請求項3乃至6のいずれかに記載の酸化物超電導積
層基板の製造方法。 - 【請求項8】 前記熱処理を施す際の昇降温速度は、1
0乃至500K/時間の範囲内であることを特徴とする
請求項3乃至7のいずれかに記載の酸化物超電導積層基
板の製造方法。 - 【請求項9】 前記熱処理時間は、1乃至300時間の
範囲内であることを特徴とする請求項3乃至8のいずれ
かに記載の酸化物超電導積層基板の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25230999A JP2001080994A (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 酸化物超電導積層基板とその製造方法 |
US09/653,404 US6613463B1 (en) | 1999-09-06 | 2000-09-01 | Superconducting laminated oxide substrate and superconducting integrated circuit |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25230999A JP2001080994A (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 酸化物超電導積層基板とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001080994A true JP2001080994A (ja) | 2001-03-27 |
Family
ID=17235470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25230999A Pending JP2001080994A (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 酸化物超電導積層基板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001080994A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003028120A1 (fr) * | 2001-09-21 | 2003-04-03 | International Superconductivity Technology Center, The Juridical Foundation | Materiau pour commutateur de courant permanent et procede de production de ce dernier |
US7995952B2 (en) | 2008-03-05 | 2011-08-09 | Xerox Corporation | High performance materials and processes for manufacture of nanostructures for use in electron emitter ion and direct charging devices |
-
1999
- 1999-09-06 JP JP25230999A patent/JP2001080994A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2003028120A1 (fr) * | 2001-09-21 | 2003-04-03 | International Superconductivity Technology Center, The Juridical Foundation | Materiau pour commutateur de courant permanent et procede de production de ce dernier |
US7995952B2 (en) | 2008-03-05 | 2011-08-09 | Xerox Corporation | High performance materials and processes for manufacture of nanostructures for use in electron emitter ion and direct charging devices |
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