JP2001073224A - 均一性に優れた高強度ポリエチレン繊維 - Google Patents
均一性に優れた高強度ポリエチレン繊維Info
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Abstract
護衣料などの高性能テキスタイル、さらに言えばロープ
・釣り糸・ネット、等に有用な高強度ポリエチレン繊維
を提供すること。 【解決手段】 極限粘度[η]が5以上、その繰り返し単
位がエチレンを主体とした高分子量ポリエチレン繊維で
あり、前記繊維の平均強度が17.7cN/dtex以
上で、その繊維の長さ方向の太細むらを示すウースタノ
ーマルU%が3%以下である均一性に優れた高強度ポリ
エチレン繊維。
Description
や防弾・防護衣料などの高性能テキスタイル、さらに言
えばロープ・釣り糸・ネットなど産業上広く応用可能な
新規な均一性に優れた高強度ポリエチレン繊維に関す
る。
ば、特公昭60―47922号公報に開示されるごと
く、超高分子量のポリエチレン溶液を、いわゆる「ゲル
紡糸法」により従来にない高強度・高弾性率繊維が得ら
れることが知られており、既に産業上広く利用されてい
る。
方法の欠点は、ノズル孔より紡出後の状態が、通常の乾
式紡糸などによって得られる繊維に比べて不安定である
ことである。その為、紡糸工程でドローレゾナンスの発
生による繊維むらの増大、繊維断面形態の扁平化などの
問題が顕著であった。そして、繊維断面に太細むらが存
在し平均的な単糸直径よりも細かい部分があると、この
部分に応力集中が生じ破断が発生し易くなる。特に、釣
り糸・ロープ・防弾・防護衣料などに本繊維を用いる場
合、太細むらが存在すると細い部分で応力が集中し破断
が生じる。また、製造工程に於いても単糸切れなどによ
る工程トラブルの原因となり生産性に悪い影響を与え
る。本発明はこれらの問題が改善された太細むらの少な
い均一性に優れる高強度ポリエチレン繊維を提供するも
のである。
法のような手法では得ることが困難であった太細むらの
少ない均一性に優れる高強度ポリエチレン繊維を得るこ
とに成功し本発明に到達した。
[η]が5以上、その繰り返し単位がエチレンを主体とし
た高分子量ポリエチレン繊維であり、前記繊維の平均強
度が17.7cN/dtex以上で、その繊維の長さ方
向の太細むらを示すウースタノーマルU%が3%以下で
あることを特徴とする均一性に優れた高強度ポリエチレ
ン繊維である。そして具体的には、U%が1.5%以下
であることを特徴とする上記記載の均一性に優れた高強
度ポリエチレン繊維、示差走査熱量計(DSC)で求め
た融解時の吸熱ピークが140〜145度に1つ以上存
在し、かつ145度以上に少なくとも1つ以上のピーク
を有することを特徴とする上記記載の均一性に優れた高
強度ポリエチレン繊維、エチレン以外の共重合成分が
0.2mol%以下であることを特徴とする上記記載の均
一性に優れた高強度ポリエチレン繊維、及び極限粘度
[η]が10以上であることを特徴とする上記記載の均一
性に優れた高強度ポリエチレン繊維である。
は、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを
特徴とし、少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,
アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導
体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であ
っても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレ
ン単独ポリマーとの共重合体、さらには他のα−オレフ
ィン等のホモポリマーとのブレンド体であってもよい。
特にプロピレン,ブテンー1などのαオレフィンと共重
合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度
含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延
伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好
ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎ
ると反って延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性
率繊維を得るという観点からはモノマー単位で0.2m
ol%以下、好ましくは0.1mol%以下であること
が望ましい。もちろんエチレン単独のホモポリマーであ
っても良い。
らを示すウースタノーマルU%が3%以下好ましくは
1.5%以下さらに好ましくは1%以下であることを特
徴とする。かかる特徴を有する高強度ポリエチレン繊維
は、長手方向に極めて均一であり製造・後加工工程での
毛羽立ち・糸切れが少なく、加工工程でのトラブルが少
ない。さらにロープ・釣り糸・ネット・織物とした場合
に原糸の強力利用率が極めて高い。ウースタノーマル値
U%が3%を越えると工程通過性が悪くなる。また、釣
り糸やロープ・ネットや織物としたとき原糸の強力利用
率が低下するなどの問題が発生する。
ネステスタによるウースタノーマルU%の値で確実に定
義できる。すなわちウースタノーマルU%の値が大きく
なればなる程繊維が太細むらを有している事を示す。
が必要であり、例えば以下のような方法が推奨される
が、それに限定されるものでは無い。すなわち本発明に
係る繊維の製造に当たっては、その原料となる高分子量
のポリエチレンの極限粘度[η]は5以上であることが必
要であり、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以
上であることが望ましい。極限粘度が5未満であると、
本来所望とする例えば17.7cN/dtexを超える
ような高強度繊維が得られない。
度が5未満となると紡糸の段階での分子鎖どおしのすり
抜けが起こり、紡糸時に張力をうまく分子鎖間に伝達で
きずに高強度繊維を得ることができないと推定してい
る。又、本発明においてはポリマーの主成分は実質的に
ポリエチレンのホモポリマーであることが重要である。
重合の副反応や重合速度を向上せしめる等の目的で少量
添加されるあるいは形成される分岐や末端以外にはエチ
レンを100%の原料とすることが推奨される。αオレ
フィン等の共重合成分が増えるほど、原因は不明である
が紡糸での溶液の強度(破断に至る紡糸応力)が低下し
同じ極限粘度でも低い応力で紡糸での破断が起こる。
のような高分子量のポリエチレンをデカリン・テトラリ
ン等の揮発性の溶剤やパラフィン、固形パラフィン等の
不揮発性の溶剤を用いて均一な溶解を行い紡糸用のドー
プを得ることができる。この際、濃度は50wt%以
下、好ましくは30wt%以下が好ましい。さらに言及
すれば溶液は揮発性の溶媒であることが好ましい、常温
固体または非揮発性の溶剤では、紡糸での生産性が非常
に悪くなる。この理由は、揮発溶媒を用いることで、紡
糸の段階において吐出溶液の表面に存在する溶媒がより
積極的に蒸発する。つまり急激な溶媒の蒸発に伴う蒸発
潜熱による急冷効果によりドローレゾナンスと呼ばれる
周期的変動を減少させる事ができ高いドラフト比での紡
糸が可能となると推定しているが、定かではない。さら
に紡糸の段階において紡糸口金温度をポリエチレンの溶
解に用いた溶媒の沸点に近いにする事が好ましい。具体
的には、沸点以下15度以内、好ましくは沸点以下13
度以内、さらに好ましくは沸点以下9度以内が良い。
下でオリフィスから吐出された吐出溶液に対して強制的
に高温の不活性ガスを供給し、糸条の表面の溶剤を積極
的に蒸発させることである。その後さらに糸状に乾燥の
為の不活性ガスを供給し、延伸する前に糸状の溶媒濃度
を40wt%以下に落とすことが重要である。この際含
まれるポリマー以外の溶媒成分とはポリマーの溶解で用
いた溶剤及び固形溶剤の場合は、それらを抽出するのに
用いた、いわゆる第2溶剤を指す。延伸時の溶媒濃度が
40wt%以上あると延伸工程時に単糸表面が溶融し糸
状が融着を起こしてしまう。この際糸状に吹き付けるガ
スは、経済的な理由、取り扱いの簡便さなどから窒素ガ
スを使用する事が推奨されるが、限定されるものではな
い。これにより、表面に薄いスキン層を形成させるとと
もに、紡糸での抗張力に耐えるとともにドローレゾナン
スと呼ばれる周期的な変動を減少させる事が可能とな
り、均一性に優れる中間糸を得ることが可能となる。
除去し数倍に延伸、場合によっては多断延伸することに
より前述の均一性に優れた特性を有する高強度ポリエチ
レン繊維を製造することが可能となる。
法および測定条件を説明する。
性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、
試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100
%/分の条件で歪ー応力曲線を雰囲気温度20度、相対
湿度65%条件下で測定し、曲線の破断点での応力を強
度(cN/dtex)、曲線の原点付近の最大勾配を与
える接線より弾性率(cN/dtex)を計算して求め
た。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
ローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を
測定し、その粘度の濃度にたいするプロットの最小2乗
近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決
定した。測定に際し、サンプルを約5mm長の長さにサ
ンプルを分割または切断し、ポリマーに対して1wt%
の酸化防止剤(商標名「ヨシノックスBHT」吉富製薬
製)を添加し、135度で4時間攪拌溶解して測定溶液
を調整した。
定はパーキンエルマー社製「DSCII型」を用いた、予め
5mm以下に裁断したサンプルをアルミパンに約5mg
充填封入し、同様の空のアルミパンをリファレンスにし
て5度/分の昇温速度で室温から200度まで上昇さ
せ、その吸熱ピークを求めた。得られた曲線より、融解
ピークの数とその最も高温にあるピークの温度を求め
た。
器工業株式会社製「Evenness Tester Model KET-80C」
を用いた。サンプルの測定速度25m/min、ツイス
タSより、ツイスタ回転数は55×試料速度として5分
間測定を行った。その測定信号をインテグレイタ・ユニ
ットに導きウースタノーマルU%を求めた。
8本/インチ、緯糸打ち込み本数46本/インチとして
レピア織機にて平織物を織った。織られた布帛を傷つけ
ずに慎重に15×3cmのサンプルを切り出し、引っ張
り試験機でチャックで滑らないよう十分注意をして歪ー
応力曲線をもとめ、布帛の破断点での応力から布帛の強
力を求めた。布帛強力をサンプル中の原糸本数で割った
値と原糸の強度との比を強力利用率として算出した。
の主成分ポリマー(C)を10wt%およびデカヒドロ
ナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しな
がら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機
で溶解し、177度に設定した直径0.6mmを400
ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.6g
/分供給した。ノズル直下に設置したスリット状の気体
供給オリフィスにて1.2m/分の高速度で100度に
調整した窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ糸条に
均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的
に蒸発させ、さらに115度に設定された窒素流にて繊
維に残るデカリンを蒸発させ、ノズル下流に設置された
ネルソン状のローラーにて80m/分の速度で引き取ら
せた。この際に糸状に含有される溶剤は元の重量の約3
5%まで低下していた。引き続き、得られた繊維を12
5度の加熱オーブン下で4.0倍に延伸した、引き続き
この繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて4.
1倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得
る事ができた。得られた繊維の物性値を表1に示す。非
常に均一性に優れ、高い強度を有していることが判明し
た。尚、DSCの測定結果を図1に示す。また、本繊維
を上記に示した平織物としたときの経糸、緯糸の原糸の
強力利用率を表2に示した。
吐出量を1.2g/minとして、ノズル下流に設置さ
れたネルソン状のローラに65m/minの速度で引き
取らせた。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オ
ーブン下で4.0倍に延伸した。さらにこの繊維を14
9度に設置した加熱オーブン中にて4.1倍に延伸し
た。途中破断することなく均一な繊維が得られた。
マーとして極限粘度が14.2のポリマーを用い、溶液
の粘度を28%にした他は、同様の操作で紡糸を実施し
た。1段延伸は2.2倍の延伸が可能であった、2段目
の延伸では4.0倍が限度であった。表2にその結果を
示す。延伸糸の単繊維度は6.3dtex、全体の繊維
度は2544dtexであった。繊維度は多く、強度は
若干低下した。
出した吐出液をエアギャップ30mmとして精製水を満
たした水浴に浸析した。さらに、エアギャップ内でノズ
ル直下に設置したスリット状の気体供給オリフィスにて
1.2m/分の高速度で100度に調整した窒素ガスを
整流に気をつけ、できるだけ糸条に均等に当たるように
して繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発させた。得ら
れた繊維をネルソン状ローラーにて50m/分の速度で
引き取り、加熱オーブン中で繊維中に含まれる溶媒を4
0%以下とした後、さらに溶媒を蒸発させながら加熱オ
ーブン中で4.0倍に延伸した。引き続きこの繊維を
3.5倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維
を得ることができた。得られた繊維の物性値を表1に示
す。
ズル直下での気体スリットでの熱風の付与を止め、直ち
に90度の窒素ガスにて冷却を実施した。得られた繊維
の物性値を表1に示す。尚、DSCの測定結果を図2に
示す。また、本繊維を平織物としたときの経糸、緯糸の
原糸の強力利用率を表2に示した。
度20.1でかつプロピレンモノマーを1mol%共重
合させた超高分子量ポリエチレンを用いて同様の操作を
実施した。同条件では紡糸での糸切れが多発し、満足ゆ
く紡出糸を得ることができなかた。
媒をパラフィンワックスとしNz直下での熱風の付与を
止め、エアギャップを30mmとしてn-ヘキサンを満た
した紡糸浴に浸析した。浸析した繊維をネルソン状のロ
ーラーで50m/分の速度で引き取った。引き続き、得
られた繊維を125度の加熱オーブン下で2.0倍に延
伸した、さらにこの繊維を149度に設置した加熱オー
ブン中にて2.2倍で延伸した後、もう一度1.33倍
で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事
ができた。得られた繊維の物性値を表1に示す。尚、D
SCの測定結果を図3に示す。
ーツ衣料や防弾・防護衣料などの高性能テキスタイル、
さらに言えばロープ・釣り糸・ネット、等に有用な高強
度ポリエチレン繊維を提供することを可能とした。
Claims (5)
- 【請求項1】極限粘度[η]が5以上、その繰り返し単位
がエチレンを主体とした高分子量ポリエチレン繊維であ
り、前記繊維の平均強度が17.7cN/dtex以上
で、その繊維の長さ方向の太細むらを示すウースタノー
マルU%が3%以下であることを特徴とする均一性に優
れた高強度ポリエチレン繊維。 - 【請求項2】U%が1.5%以下であることを特徴とす
る請求項1記載の均一性に優れた高強度ポリエチレン繊
維。 - 【請求項3】示差走査熱量計(DSC)で求めた融解時
の吸熱ピークが140〜145度に1つ以上存在し、か
つ145度以上に少なくとも1つ以上のピークを有する
ことを特徴とする請求項1記載の均一性に優れた高強度
ポリエチレン繊維。 - 【請求項4】エチレン以外の共重合成分が0.2mol%
以下であることを特徴とする請求項1記載の均一性に優
れた高強度ポリエチレン繊維。 - 【請求項5】極限粘度[η]が10以上であることを特徴
とする請求項1記載の均一性に優れた高強度ポリエチレ
ン繊維。
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