JP2001072650A - 5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法 - Google Patents

5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフ
ェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法を提
供する。 【解決手段】5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−
ニトロ−4−置換オキシベンゼン化合物を還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀感光
材料に使用されるカラー拡散転写方式の色素供与性化合
物の合成中間体およびフェノール型シアンカプラー等の
合成中間体として有用な、5−アルキル−2−アミノ−
4−置換オキシフェノール化合物およびそのプロトン酸
塩の製造方法、その合成中間体である5−アルキル−1
−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシベンゼ
ン化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩基性条件下での現像の結果として色素
供与性化合物自身とは異なる拡散性を有するアゾ色素を
与えるアゾ色素供与性化合物を用いたカラー拡散転写写
真方式は従来から知られている。シアン色素を放出する
色素供与性化合物として堅牢性の高い化合物が開発さ
れ、例えば特開平9−292684号、同11−449
38号、同11−125888号、同11−12588
9号などに記載されている。これらに記載されている色
素供与性化合物の合成中間体の1つとして、例えば2−
アミノ−4−ヘキサデシルオキシ−5−t−オクチルフ
ェノールおよび2−アミノ−5−t−ブチル−4−ヘキ
サデシルオキシフェノール等が使用されている。2−ア
ミノ−4−ヘキサデシルオキシ−5−t−オクチルフェ
ノールの合成法としては、その中間体である2−アルキ
ル−1−ヘキサデシル−4−ピバロイルハイドロキノン
化合物を合成する方法が、特開平11−158114号
に記載されている。次に、ピバロイル基を脱保護した後
アゾカップリング反応によりアゾ化合物とし、さらに還
元反応を行うことにより2−アミノ−4−ヘキサデシル
オキシ−5−t−オクチルフェノールおよびそのプロト
ン酸塩が合成されている。しかしながら、この方法は収
率が低く、ジアゾ化工程、アゾカップリング工程および
還元工程と反応工程数が多く操作も煩雑であるため生産
性が低い。またジアゾ化工程で大量の酸を使用すること
および還元工程で不要なアニリン化合物が生成するた
め、廃棄物の処理が必要なことなどが問題であった。一
方、3−アルキル−4−置換オキシフェノールのニトロ
化により、目的の5−アルキル−2−アミノ−4−置換
オキシフェノールの前駆体である5−アルキル−2−ニ
トロ−4−置換オキシフェノールを合成する方法は、ニ
トロ化の反応収率が低いことが問題であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反応
工程が簡略で、収率が高くかつ不要な廃棄物を出さない
5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール
化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、反応工程
が簡便で、収率が高く、しかも不要な廃棄物を出さない
5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール
化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法を提供するこ
とを目的に鋭意研究を行った。その結果、これまで知ら
れていなかった新規の化合物である5−アルキル−1−
ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシベンゼン
化合物を合成中間体として経由することにより、前記の
問題点を解決できる5−アルキル−2−アミノ−4−置
換オキシフェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製
造方法を見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発
明は、 (1)一般式(II)で表わされる5−アルキル−1−
ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシベンゼン
化合物を還元することを特徴とする、一般式(I)で表
わされる5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフ
ェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製造方法。 一般式(I)
【0005】
【化4】
【0006】一般式(II)
【0007】
【化5】
【0008】(式中、R1は置換もしくは無置換のアル
キル基を表わし、R2は置換もしくは無置換のアルキ
ル、アリールまたは複素環基を表わす。HXはプロトン
酸を表わし、mは0ないし1の数を表わす。) (2)一般式(III)で表わされる5−アルキル−1
−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化合物をニ
トロ化することを特徴とする、一般式(II)で表わさ
れる5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−
4−置換オキシベンゼン化合物の製造方法。 一般式(III)
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R1は置換もしくは無置換のアル
キル基を表わし、R2は置換もしくは無置換のアルキ
ル、アリールまたは複素環基を表わす。) (3)一般式(II)で表わされる2−アルキル−4−
ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシベンゼン
化合物。(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル
基を表わし、R2は置換もしくは無置換のアルキル、ア
リールまたは複素環基を表わす。)を提供するものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、前記一般式
(I)、(II)および(III)で表される化合物中
1、R2、mおよびHXの好ましい具体例について詳し
く述べる。
【0012】一般式(I)、(II)および(III)
で表される化合物中、R1は置換もしくは無置換のアル
キル基を表わし、具体的には炭素数1ないし30の直鎖
または分岐鎖のアルキル基(例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、1−メ
チルプロピル、1,1,−ジメチルエチル、ペンチル、
イソペンチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチル
プロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチ
ル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、デシル、ド
デシル、ヘキサデシル、オクタデシル)、および炭素数
3ないし8のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル)が含まれる。
【0013】R1で表わされる基はさらに置換基を有し
ていてもよく、2個以上の置換基を有する場合には同じ
であっても異なっていてもよい。好ましいい置換基とし
てはハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素)、アル
キル基(R1で定義したアルキル基と同義の基を表わ
す)、アリール基(炭素数6ないし20のアリール基
で、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、
アルコキシ基(炭素数1ないし10のアルコキシ基で、
例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプ
ロピルオキシ、1−ブトキシ、1−ヘキシルオキシ)、
シクロアルキルオキシ基(炭素数3ないし8のシクロア
ルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シ
クロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(炭素数6な
いし20のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、
2−メトキシフェノキシ、1−ナフトキシ)、カルボン
アミド基(炭素数2ないし16のカルボンアミド基で、
例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、オクタノイ
ルアミド)、スルホンアミド基(炭素数1ないし15の
スルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、
プロパンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベン
ゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(炭素
数2ないし10のアルコキシカルボニル基で、例えば、
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリール
オキシカルボニル基(炭素数7ないし11のアリールオ
キシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、
1−ナフチルオキシカルボニル)、カルボキシル基、ヒ
ドロキシル基などが挙げられる。
【0014】R1で表わされる好ましいアルキル基は、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イ
ソブチル基、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチル
エチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,3,
3−テトラメチルブチル基、シクロヘキシル基を表わ
し、最も好ましいアルキル基は、1,1−ジメチルエチ
ル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基を表わ
す。
【0015】一般式(I)、(II)および(III)
で表される化合物中、R2はアルキル基(R1で定義した
アルキル基と同義の基を表わす)、アリール基(炭素数
6ないし20のアリール基で、例えばフェニル、1−ナ
フチル、2−ナフチル)、複素環基(炭素数1ないし1
0の、5ないし8員環の芳香族複素環基を表わし、例え
ば、1−ピリジル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピ
リミジル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、2−ベ
ンゾチアゾリル)等が挙げられる。R2で表わされる基
はさらに置換基を有していてもよく、2個以上の置換基
を有する場合には同じであっても異なっていてもよく、
好ましいい置換基としてはR1で挙げた置換基と同義の
基を表わす。一般式(I)、(II)および(III)
で表される化合物中、R2中で表わされる好ましい置換
基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、より好ましいのはヘキサデシル基、オ
クタデシル基である。
【0016】一般式(I)で表わされる化合物中、mは
0ないし1の数を表わす。一般式(I)で表わされる化
合物中、HXはプロトン酸を表わし、好ましい具体例
は、HCl、HBr、HI、HOOCCOOH、HOO
CCC64COOH、HOOCCH=CHCOOH、H
2SO4、CH3COOH、C65SO3H、p−CH36
4SO3H、CH3COOH、ClCH2COOH、Cl
3COOH、CF3COOH、HO3SC106SO3H等
が挙げられ、最も好ましいのは、HCl、HBr、H2
SO4、p−CH364SO3Hである。
【0017】前記一般式(I)で表わされる5−アルキ
ル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合物およ
びそのプロトン酸塩の代表的具体例を以下に示すが、本
発明はこれらによって限定されるものではない。
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】前記一般式(II)で表わされる5−アルキ
ル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシ
ベンゼン化合物の代表的具体例を以下に示すが、本発明
はこれらによって限定されるものではない。
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】前記一般式(III)で表わされる5−アル
キル−1−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化
合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】本発明の方法は、下記の反応工程式で表わ
すことができる。反応工程式
【0031】
【化17】
【0032】(式中、R1、R2、mおよびHXは前記と
同じ意味をもつ) 上記反応工程式に従い、本発明を詳細に説明する。
【0033】一般式(III)で表わされる2−アルキル
−4−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化合物
は、2−アルキルハイドロキノン化合物を出発原料とし
て、2工程で合成することができる。フェノール類のO
−アルキル化は一般的に知られる方法(「新実験化学講
座」第14巻、566ページ、1977、丸善)により
合成することができる。2−アルキルハイドロキノン化
合物に対して同じ当量数の塩基の存在下、ハロゲン化ベ
ンジル等との反応により2−アルキル−4−ベンジルオ
キシフェノール化合物を合成した後、もう一方のヒドロ
キシル基に置換基を導入する方法により、一般式(II
I)で表わされる2−アルキル−4−ベンジルオキシ−
4−置換オキシベンゼン化合物を合成することができ
る。2−アルキルハイドロキノン化合物の2位のアルキ
ル基が3級アルキル基のように嵩高い置換基を有する場
合の方が、立体的に小さいアルキル基を有するの場合に
比べて、4位のヒドロキシル基をより選択的にベンジル
化することができるため有利である。
【0034】一般式(III)で表わされる2−アルキル
−4−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化合物
をニトロ化することにより、一般式(II)で表わされる
5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−
置換オキシベンゼン化合物を合成する方法において、ニ
トロ化剤として硝酸、テトラフルオロホウ酸ニトロニウ
ム、硝酸アセチル等を用いることができるが、硝酸を用
いるのがより好ましい。一般式(III)で表わされる2
−アルキル−4−ベンジルオキシ−4−置換オキシベン
ゼン化合物に対するニトロ化剤の好ましいモル比は、
1.0〜1.5、より好ましいのは1.0〜1.3の範
囲である。また、好ましい反応溶媒としては酢酸、硫
酸、メタンスルホン酸、酢酸メチル、酢酸エチル、塩化
メチレン、クロロホルム等が挙げられ、これらの溶媒を
混合して用いることもできる。より好ましい反応溶媒と
しては酢酸、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム
が挙げられ、最も好ましいのは酢酸および酢酸エチルで
ある。
【0035】一般式(III)で表わされる5−アルキル
−1−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化合物
をニトロ化することにより、一般式(II)で表わされる
5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−
置換オキシベンゼン化合物を合成する方法において、好
ましい反応温度は−10〜100℃の範囲であり、より
好ましい反応温度は−10〜70℃の範囲であり、反応
物により選択される。また、好ましい反応時間は、5分
〜10時間の範囲であり、より好ましくは10分ないし
5時間の範囲であり、反応物により選択される。
【0036】一般式(II)で表わされる5−アルキル−
1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシベン
ゼン化合物を還元することにより、一般式(I)で表わ
される5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェ
ノール化合物およびそのプロトン酸塩を合成する方法に
おいて、ニトロ基の還元および水素化分解による脱ベン
ジル化を同時に行うことが可能である。その方法の1つ
の方法として、一般的によく知られているようにPd−
Cもしくはラネーニッケル触媒の存在下、接触還元によ
る方法が適用できる。使用する触媒は反応の進行の速い
Pd−Cを用いるのがより好ましい。またもう1つの方
法として、Synthesis,1988年,91頁に
記載されている方法、すなわちPd−C触媒の存在下
で、ぎ酸アンモニウムを用いて還元する方法を適用する
ことができる。また段階的に行うことも可能であるが、
反応工程が簡略である点で前者の方が有利である。使用
される好ましい反応溶媒としては、酢酸エステル類(酢
酸メチル、酢酸エチル等)、低級アルコール類(メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール
等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルホアセトアミド等)が挙げられる
が、より好ましい溶媒は酢酸エチル、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等であ
り、反応物により選択される。好ましい反応温度は、1
0〜130℃、より好ましくは20〜100℃であり、
反応物により選択される。また、好ましい反応時間は5
分〜10時間であり、より好ましいのは10分〜5時間
の範囲であり、反応物により選択される。一般式(II)
で表わされる5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−
ニトロ−4−置換オキシベンゼン化合物を還元すること
により、一般式(I)で表わされる5−アルキル−2−
アミノ−4−置換オキシフェノール化合物およびそのプ
ロトン酸塩を製造する方法において、還元により生成す
る一般式(I)で表わされる5−アルキル−2−アミノ
−4−置換オキシフェノール化合物は、空気中の酸素に
より極めて酸化され易いため、反応、後処理および取り
出しを不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。ま
た、生成した5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキ
シフェノール化合物を単離することなしに次工程の反応
に供することも好ましい方法の1つである。
【0037】一方、酸化に対して不安定な5−アルキル
−2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合物を、そ
のプロトン酸塩とすることにより、安定な化合物として
単離することができる。その際、反応溶媒は先に述べた
好ましい溶媒を使用するが、プロトン酸塩の結晶をより
析出させ易くするため、5−アルキル−2−アミノ−4
−置換オキシフェノール化合物を合成する際に使用した
種類と異なる溶媒を加えるか、あるいは反応に使用した
溶媒を異なる溶媒に置き換えることによる等の方法が効
果的である。
【0038】一般式(I)で表わされる5−アルキル−
2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合物のプロト
ン酸塩を合成する反応において、用いることのできるプ
ロトン酸としては塩化水素、臭化水素、よう化水素、硫
酸、炭酸等の無機酸、酢酸クロロ酢酸、トリクロロ酢
酸、蓚酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸等の有機カ
ルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸等が挙げられ
る。好ましいプロトン酸としては塩化水素、臭化水素、
硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸であ
り反応物により選択される。
【0039】上記プロトン酸の使用量のモル比は、5−
アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール化合
物に対して、好ましくは0.35〜1.5の範囲であ
り、より好ましくは0.5〜1.3の範囲である。
【0040】
【実施例】次に、本発明の具体例を示すが、本発明はこ
れらによって限定されるものではない。 実施例1(例示化合物P−1の合成) 1)2−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−ハ
イドロキノン6.67g(0.03モル)にN,N−ジ
メチルアセトアミド30mlを加え溶解させた。窒素雰
囲気下、氷冷下で攪拌しながら水素化ナトリウム1.2
g(0.036モル)を分割添加した。反応温度を5〜
10℃に保ちながら臭化ベンジル5.13g(0.03
モル)を5分で滴下した。同温度で4時間攪拌した後、
希塩酸水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、水洗し
た。有機溶媒層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧下で留去し、カラム精製した後n−ヘキサンに加熱
溶解した。氷冷して析出した結晶を濾過することによ
り、4−ベンジルオキシ−2−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)−フェノール5.4g(収率57.6
%)を得た。融点は89〜90℃であった。生成物の構
造は 1H−NMR、マススペクトルにより確認した。 1
H−NMR(CDCl3)σ(ppm)(多重度、積分
値)7.50〜7.22(m,5H)、6.91(d,
1H)、6.65(dd,1H)、6.50(d,1
H)、5.00(s,2H)、4.50(s,1H)、
1.92(s,2H)、1.40(s,6H)、0.7
4(s,9H) 2)得られた4−ベンジルオキシ−2−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)−フェノール5.4g(0.
0173モル)をN,N−ジメチルホルムアミド27m
lに溶解した。室温で攪拌下、水酸化ナトリウム1.4
g(0.035モル)および水1.4mlを添加した。
45〜50℃に加熱し、セチルブロマイド6.1g
(0.02モル)を滴下した。50℃で4時間攪拌を行
った後、室温まで冷却し希塩酸水溶液を添加した。酢酸
エチルで抽出し、水洗した。有機溶媒層を乾燥した後、
溶媒を減圧下で留去した。メタノール35mlを加え加
熱した。室温まで冷却して析出した結晶を濾過して4−
ベンジルオキシ−1−ヘキサデシルオキシ−2−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)−ベンゼン8.73
g(収率94%)を得た。融点は39〜40℃であっ
た。生成物の構造はマススペクトルで確認した。
【0041】実施例2(例示化合物N−1の合成) 4−ベンジルオキシ−1−ヘキサデシルオキシ−2−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−ベンゼン7
g(0.013モル)に酢酸30mlを加え、室温で攪
拌した。60%硝酸1ml(0.013モル)を5分か
けて滴下した。発熱により30℃まで温度が上昇し、原
料の結晶が溶解した。反応温度を30〜35℃に保ちな
がら3時間反応を行った。反応時間の経過とともに結晶
が析出した。温度を室温まで冷却した後、析出した結晶
を濾過して4−ベンジルオキシ−1−ヘキサデシルオキ
シ−5−ニトロ−2−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)−ベンゼン6.7g(収率88%)を得た。融
点は57〜58℃であった。生成物の構造は 1H−NM
R、マススペクトルにより確認した。 1H−NMR(C
DCl3)σ(ppm)(多重度、積分値)7.53〜
7.22(m,6H)、7.00(s,1H)、5.2
1(s,2H)、3.95(t,2H)、1.95
(s,2H)、1.90〜1.77(m,2H)、1.
62〜1.45(m,2H)、1.33(s,6H)、
1.40〜1.18(m,24H)、0.90(t,3
H)、0.61(s,9H)
【0042】実施例3(例示化合物M−1の合成) 4−ベンジルオキシ−1−ヘキサデシルオキシ−5−ニ
トロ−2−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−
ベンゼン8.7g(0.015モル)を酢酸エチル80
mlに溶解し、200mlオートクレーブに仕込んだ。
10%Pd−C0.45gを添加した。水素のガス圧を
15kg/cm2に導入し、30〜35℃で3時間攪拌
を行った。理論量の水素圧が消費されたのを確認し、室
温まで冷却した後触媒を除去した。溶媒を減圧留去して
1−アミノ−4−ヘキサデシルオキシ−2−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−フェノールの結晶6.
9g(収率100%)を得た。融点は84〜85℃であ
った。生成物の構造は 1H−NMR、マススペクトルに
より確認した。 1H−NMR(DMSO−d6)σ(p
pm)(多重度、積分値)8.10(s,1H)、6.
55(br,1H)、6.20(br,1H)、4.2
9(br,2H)、3.77(br,2H)、2.00
〜1.60(m,4H)、1.59〜1.08(m,3
2H)、0.86(t,3H)、0.67(br,9
H)
【0043】実施例4(例示化合物M−2の合成) 実施例3で、溶媒を留去して得られた1−アミノ−4−
ヘキサデシルオキシ−2−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−フェノールの結晶にイソプロパノール1
5mlとアセトニトリル50mlを加え加熱溶解した。
この溶液にパラトルエンスルホン酸1水和物2.85g
(0.015モル)を添加すると結晶が析出した。室温
で15分間攪拌した後、アセトニトリルを更に25ml
添加した。析出した結晶を濾過して目的の1−アミノ−
4−ヘキサデシルオキシ−2−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)−フェノールの1パラトルエンスルホ
ン酸塩8.0g(収率84.5%)を得た。融点は17
8〜181℃であり、従来から知られている方法で合成
したサンプルの融点と一致した。
【0044】
【発明の効果】本発明により、ハロゲン化銀感光材料の
カラー拡散転写方式に用いられらる色素供与性化合物お
よびフェノール型シアンカプラーの重要な中間体である
5−アルキル−2−アミノ−4−置換オキシフェノール
化合物およびそのプロトン酸塩を製造するにあたり、新
規な化合物である5−アルキル−1−ベンジルオキシ−
2−ニトロ−4−置換オキシベンゼン化合物を中間体と
して経るという全く新しい合成法を提供することができ
た。これまでに知られていた5−アルキル−2−アミノ
−4−置換オキシフェノール化合物およびそのプロトン
酸塩の合成法に比べて工程が簡略で、不要な廃棄物を出
すことなく、しかも高収率で目的物を合成することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 一義 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 佐藤 忠久 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4C055 AA01 BA01 CA01 DA42 DB04 DB07 DB08 DB10 FA01 FA32 FA37 4H006 AA01 AA02 AB84 AC51 AC52 BD70

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(II)で表わされる5−アルキ
    ル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシ
    ベンゼン化合物を還元することを特徴とする、一般式
    (I)で表わされる5−アルキル−2−アミノ−4−置
    換オキシフェノール化合物およびそのプロトン酸塩の製
    造方法。 一般式(I) 【化1】 一般式(II) 【化2】 (式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基を表わ
    し、R2は置換もしくは無置換のアルキル、アリールま
    たは複素環基を表わす。HXはプロトン酸を表わし、m
    は0ないし1の数を表わす。)
  2. 【請求項2】 一般式(III)で表わされる2−アル
    キル−4−ベンジルオキシ−4−置換オキシベンゼン化
    合物をニトロ化することを特徴とする、一般式(II)
    で表わされる5−アルキル−1−ベンジルオキシ−2−
    ニトロ−4−置換オキシベンゼン化合物の製造方法。 一般式(III) 【化3】 (式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基を表わ
    し、R2は置換もしくは無置換のアルキル、アリールま
    たは複素環基を表わす。)
  3. 【請求項3】 一般式(II)で表わされる5−アルキ
    ル−1−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−置換オキシ
    ベンゼン化合物。(式中、R1は置換もしくは無置換の
    アルキル基を表わし、R2は置換もしくは無置換のアル
    キル、アリールまたは複素環基を表わす。)
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