JP2001072637A - 機能性物質放出体 - Google Patents
機能性物質放出体Info
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Abstract
き、実使用系で、長期に亘り一定した機能性物質を徐放
できる機能性物質放出体の提供。 【解決手段】 式(1)で表される機能性物質放出体、
その製造法、及び該機能性物質放出体を含有する香料組
成物、並びに抗菌、抗カビ組成物。 【化1】 (式中、OR1は分子内に少なくとも1つの水酸基を有
する機能性物質の水酸基の水素原子を1個除いた残基を
示し、R2は置換又は無置換のアリール基、アリールア
ルキニル基、アリールアルケニル基もしくはヘテロアリ
ール基を示す。式中の波線はE体又はZ体、あるいはそ
れらの混合物を意味する。)
Description
する機能性物質放出体、その製法、及びトイレタリー用
品等への配合成分として有用な該機能性物質放出体を含
有する香料組成物、並びに抗菌、抗カビ組成物に関す
る。
料は、揮発性の異なる、いわゆるトップノート、ミドル
ノート及びベースノートと呼ばれる多数の香気成分を調
合し、求められる芳香を創造している。この調合香料
は、使用中に、より揮発しやすい成分から優先的に揮散
し、その結果、調合香料の香気は時間とともに変化して
いき、芳香を一定して長時間持続させることはできない
という欠点が存在する。このような問題を解決するた
め、香料をマイクロカプセルに内蔵してゲル状基材中に
分散させてなるゲル状芳香剤組成物が知られている(特
開昭63−260567号)。しかしこの方法は、ゲル
状製剤では有効であるが、粘度の低い液状製剤では、マ
イクロカプセルの浮化や沈降が生じ初期の効果を得るこ
とができない。
酸を付加させた香料前駆体、及びその香料前駆体に酵素
を作用させることにより香料を徐放する技術も開示され
ている(特開平4−170961号)。しかしこの方法
では、実使用系での分解酵素の有無により効果が異なる
こと、また製品系で香料前駆体と分解酵素を同時に配合
させた場合、製品中で分解が進行してしまう等の問題が
存在する。また、揮発性の抗菌、抗カビ剤においても上
記と同様の問題が存在し、その効果を持続させることが
困難であった。
なく安定に配合でき、実使用系で、長期に亘り一定した
機能性物質を徐放できる機能性物質放出体を提供するこ
とにある。
酸素による自動酸化により酸化を受け、機能性物質を徐
放する機能性物質放出体を見出した。即ち、本発明は、
式(1)
の水酸基を有する機能性物質の水酸基の水素原子を1個
除いた残基を示し、R2は置換又は無置換のアリール
基、アリールアルキニル基、アリールアルケニル基もし
くはヘテロアリール基を示す。式中の波線はE体又はZ
体、あるいはそれらの混合物を意味する。)で表される
機能性物質放出体(以下機能性物質放出体(1)とい
う)、その製造法、及び該機能性物質放出体を含有する
香料組成物、並びに抗菌、抗カビ組成物である。
は、例えば、下記反応式(A)に示すように、アルコキ
シアセトアルデヒド(2)と芳香族アルデヒド(3)と
を、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム−
t−ブトキシド、n−ブチルリチウム等の塩基性触媒存
在下に縮合することによって製造できる。
する。)ここでアルコキシアセトアルデヒド(2)は、
下記反応式(B)に示す方法で製造することができる。
前記と同じ意味を有する) 即ち、丸善株式会社発行第4版実験化学講座20巻187ペ
ージに記載の方法により、分子内に少なくとも1つの水
酸基を有する機能性物質(4)を水酸化ナトリウムや水
素化ナトリウム等の塩基性物質存在下、アルコラートと
した後、ハロアセトアルデヒド(5)と反応させること
により製造できる。
収率が低い場合、下記反応式(C)に示すように、ホル
ミル基の保護脱保護により収率良く製造することができ
る。
する。) 即ち、機能性物質(4)を水酸化ナトリウムや水素化ナ
トリウム等の塩基性物質存在下、アルコラートとした
後、例えばハロアセトアルデヒドジメチルアセタール
(6)と反応させ、アルコキシアセトアルデヒドジメチ
ルアセタール(7)を合成し、このアルコキシアセトア
ルデヒドジメチルアセタール(7)のアセタール基を硫
酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、酢酸等の
酸触媒下、脱保護することでアルコキシアセトアルデヒ
ド(2)を得ることができる。
は、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する機能性物
質(4)の水酸基の水素原子を1個除いた残基であり、
機能性物質(4)を徐放するものであれば何でも良い。
機能性物質(4)としては、例えば、青葉アルコール
(cis−3−ヘキセノール)、3−オクテノール、9−
デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シ
トロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒ
ドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラ
バンジュロール、ムゴール、ミルセノール、テルピネオ
ール、L−メントール、ボルネオール、イソプレゴー
ル、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソー
ル、ネロリドール、サンダロール、セドロール、ベチベ
ロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β
−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルア
ルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコー
ル、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカ
ルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、3−メチ
ル−5−フェニルペンタノール、4−イソプロピルシク
ロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロ
ヘキシル)エタノール、バニリン等のアルコール性香気
性物質や、エタノール、メタ−クロロキシレノール、
2,4−ジクロロフェノール、トリクロサン、2,4−
ジクロロベンジルアルコール、ヒノキチオール等の抗菌
・抗カビ剤が挙げられる。
置換又は無置換のアリール基、アリールアルキニル基、
アリールアルケニル基もしくはヘテロアリール基より選
択されるが、具体的には、例えば、ベンズアルデヒド、
アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、サリチルアルデ
ヒド、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、メ
チルバニリン、シンナミックアルデヒド、1−ナフチル
アルデヒド、2−ナフチルアルデヒド、フルフラール、
ニコチンアルデヒド等からホルミル基を除いた残基が挙
げられる。
族アルデヒド(3)との反応に用いられる塩基性触媒の
量は、反応時間の短縮の観点からアルコキシアセトアル
デヒド(2)に対して、0.01〜300モル%が好ましく、
0.1〜100モル%がより好ましい。
ド(2)と芳香族アルデヒド(3)の反応は、反応仕込
みモル比、10:1から1:10で行われるのが好ましく、
更に好ましくは3:1から1:3である。
料の混合を助ける目的で有機溶媒を使用することもでき
る。かかる有機溶媒として、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、ヘキサン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニト
リル、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
アニソール、クロロホルム、シクロヘキサン、ジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等が挙げられ、アルコキシアセトアルデヒド
(2)に対して、好ましくは0.1〜200倍量、更に好まし
くは1〜50倍量用いられる。この溶媒は単一あるいは2
種以上の混合物として用いても良い。また、反応は空気
中で行うことができるが、副生成物の生成を抑える目的
で不活性ガス中、窒素もしくはアルゴン雰囲気下で行う
ことが好ましい。
以上、反応時の着色の観点から250℃以下が好ましく、
より好ましくは−20〜200℃、特に好ましくは0〜100℃
である。また、反応時間は反応条件によって異なるが、
通常10分〜100時間で反応は終了する。
留、抽出等の方法により目的の機能性物質放出体(1)
が得られる。必要に応じてさらに、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィ、蒸留、再結晶等の常法に従って精製を
行う。
料に、機能性物質放出体(1)を配合して得られるもの
であり、本発明の抗菌、抗カビ組成物は、機能性物質と
して抗菌剤や抗カビ剤を放出する機能性物質放出体
(1)を含有するものである。これら組成物中の機能性
物質放出体(1)の含有量は、組成物の種類、目的とす
る機能性物質の種類等により異なるが、組成物中、0.01
〜90重量%が好ましく、特に0.5〜50重量%が好まし
い。またこれらの組成物には、必要に応じて他の添加剤
を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合すること
ができる。
間機能性物質を徐放できることから、単独で又は他の成
分と組み合わせて、石鹸、シャンプー、リンス、洗剤、
化粧品、スプレー製品、消臭剤、芳香剤、入浴剤、カラ
ーリング剤、ヘアカラー、抗菌剤、抗カビ剤、除湿剤、
寝具、タオル、衣類、ティッシュ、トイレ用ペット砂、
チューインガム、パック用化粧料、工作用粘土組成物、
吸収性物品、マッサージ用化粧料、塗料、農薬、医薬、
インク等の成分として使用できる。
ある。
テトラヒドロフラン500mLを撹拌し、cis−3−ヘキセノ
ール110.2gを1時間かけ室温で滴下した。1時間還流
した後、60℃でブロモアセトアルデヒドジメチルアセタ
ール169.0gを加えた。1日還流後、水1000mLを加え反
応を止めた。反応混合物にエーテルを加え抽出操作を行
い、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。濾過、溶媒を留去後、蒸留を行い、cis−3−ヘ
キセノキシアセトアルデヒドジメチルアセタール112.6
gを得た。cis−3−ヘキセノキシアセトアルデヒドジ
メチルアセタール108.6gに酢酸800mLと水370mLを加え1
7時間60℃で撹拌した。酢酸を留去後、飽和炭酸水素ナ
トリウムを加えた。酢酸エチルを加え抽出操作を行い、
水、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。濾過、溶媒を留去後、蒸留を行い、cis−3−ヘキ
セノキシアセトアルデヒド53.8gを得た。
タノール54mLを撹拌し溶解させ、アニスアルデヒド104.
1gを加えた。この溶液にcis−3−ヘキセノキシアセト
アルデヒド21.3gを30〜35℃で3時間かけ滴下した。1
時間、30〜35℃で撹拌し、酢酸2.3mLを加えて反応を停
止させ、溶媒を留去した。エーテルを加え抽出操作を行
い、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。濾過、溶媒未反応原料を留去した。カラムク
ロマトグラフ(ヘキサン/酢酸エチル=7/1)で精製
し、標記化合物を23.9g(収率22%)得た。
2.08(t,2H,CH2), 2.52(q,2H,CH2), 3.83(s,3H,OMe), 4.
19(t,2H,CH2O), 5.48(m,2H,CH=CH), 6.51(s,1H,C=CH),
6.93(d,2H,Ph), 7.82(d,2H,Ph), 9.30(s,1H,CHO) IR(KBr, neat, cm-1);3008, 2962, 2933, 2873, 28
38, 1682 実施例2:機能性物質放出体(1-2)の合成
ールの代わりにシトロネロールを使った以外は実施例1
と同様の操作で標記化合物を合成した。収率28%。
1.1-2.1(m,13H), 3.89(s,3H,OMe), 4.22(t,2H,CH2O),
5.10(m,1H,C=CH), 6.51(s,1H,C=CH), 6.93(d,2H,Ph),
7.82(d,2H,Ph), 9.31(s,1H,CHO) IR(KBr, neat, cm-1);2960, 2925, 2841, 2727, 16
85 実施例3:機能性物質放出体(1-3)の合成
ールの代わりにシトロネロール、芳香族アルデヒドとし
てアニスアルデヒドの代わりにメチルバニリンを使った
以外は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。
収率33%。
1.1-2.1(m,13H), 3.90(s,3H,OMe), 3.91(s,3H,OMe), 4.
23(t,2H,CH2O), 5.08(m,1H,C=CH), 6.50(s,1H,C=CH),
6.88(d,1H,Ph), 7.30(dd,1H,Ph), 7.62(d,1H,Ph), 9.30
(s,1H,CHO) IR(KBr, neat, cm-1);3093, 2997, 2958, 2915, 28
40, 1682 実施例4:機能性物質放出体(1-4)の合成
ールの代わりに1−メントールを使った以外は実施例1
と同様の操作で標記化合物を合成した。収率17%。
3.83(s,3H,OMe), 4.71(dt,1H,CHO),6.48(s,1H,C=CH),
6.89(d,2H,Ph), 7.84(d,2H,Ph), 9.30(s,1H,CHO) IR(KBr, neat, cm-1);2960, 2925, 2869, 1675 実施例5:機能性物質放出体(1-5)の合成
ールの代わりにフェニルエチルアルコールを使った以外
は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。収率
38%。
H2), 3.84(s,3H,OMe), 4.41(t,2H,CH2O), 6.50(s,1H,C=
CH), 6.80(d,2H,Ph), 7.25(m,5H,Ph), 7.59(d,2H,Ph),
9.30(s,1H,CHO) IR(KBr, neat, cm-1);3060, 3028, 2956, 2935, 28
37, 1680 実施例6〜10:徐放性評価 匂い紙上に機能性物質放出体(1-1)〜(1-5)と香料アルコ
ールをそれぞれ20mgつけ、経時でその香質と匂い強度を
評価した。評価はパネラー2名により下記の評価基準に
基づいて室温にて行った。結果を表1〜5に示す。
や悪い、1:悪い、−:評価不可 匂い強度 5:強い、4:やや強い、3:どちらでもない、2:や
や弱い、1:弱い、0:匂わない
えることにより、持続性を有し、甘さ・柔らかさ・ボリ
ュームのあるゼラニウムのトーンを持つ、フローラルタ
イプの調合香料が得られた。
3)を100部加えることにより、持続性を有し、甘さ・柔
らかさ・ボリュームのあるゼラニウムのトーンを持つ、
フローラルタイプの調合香料が得られた。
えることにより、持続性を有し、ボリュームのあるミュ
ーゲ・ゼラニウム様のフローラルタイプの調合香料が得
られた。
m digitatum、青カビ病のPenicillium italicumの混在
した胞子を得た。増殖培地は、ポテトデキストロース寒
天(PDA)培地を用いた。
-2)の増殖阻害活性の測定は、機能性物質放出体(1-2)を
表6に示す割合で添加した寒天培地5mLをシャーレ(直
径4.5cm)に作成し、シャーレの中心に直径2mmの穴を
開けた。そこに、105spores/mLのカビ胞子を等量(5μ
L)ずつ接種し、25℃、3〜7日培養した。生長したカ
ビの菌糸の円の直径を測定し、増殖の度合いを観察し
た。また比較として、機能性物質放出体無添加のもの、
機能性物質放出体(1-2)の代わりにシトロネロールを添
加したものについても同様に観察した。結果を表6に示
すが、機能性物質放出体(1-2)には優れたカビ成長抑制
効果があることが観察された。
酸素による自動酸化により酸化を受け、長期に亘り一定
した機能性物質を徐放できる。
7)
Claims (6)
- 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、OR1は分子内に少なくとも1つの水酸基を有
する機能性物質の水酸基の水素原子を1個除いた残基を
示し、R2は置換又は無置換のアリール基、アリールア
ルキニル基、アリールアルケニル基もしくはヘテロアリ
ール基を示す。式中の波線はE体又はZ体、あるいはそ
れらの混合物を意味する。)で表される機能性物質放出
体。 - 【請求項2】 機能性物質が香気性物質である請求項1
記載の機能性物質放出体。 - 【請求項3】 機能性物質が抗菌・抗カビ剤である請求
項1記載の機能性物質放出体。 - 【請求項4】 式(2)で表されるアルコキシアセトア
ルデヒドと式(3)で表される芳香族アルデヒドとを塩
基性触媒存在下に縮合する請求項1〜3のいずれか一項
に記載の機能性物質放出体の製造法。 【化2】 (式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有する。) - 【請求項5】 請求項1記載の機能性物質放出体を含有
する香料組成物。 - 【請求項6】 請求項1記載の機能性物質放出体を含有
する抗菌、抗カビ組成物。
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-
1999
- 1999-09-03 JP JP25047799A patent/JP3792450B2/ja not_active Expired - Fee Related
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