JP3792450B2 - 機能性物質放出体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性物質を徐放する機能性物質放出体、その製法、及びトイレタリー用品等への配合成分として有用な該機能性物質放出体を含有する香料組成物、並びに抗菌、抗カビ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
調合香料は、揮発性の異なる、いわゆるトップノート、ミドルノート及びベースノートと呼ばれる多数の香気成分を調合し、求められる芳香を創造している。この調合香料は、使用中に、より揮発しやすい成分から優先的に揮散し、その結果、調合香料の香気は時間とともに変化していき、芳香を一定して長時間持続させることはできないという欠点が存在する。このような問題を解決するため、香料をマイクロカプセルに内蔵してゲル状基材中に分散させてなるゲル状芳香剤組成物が知られている(特開昭63−260567号)。しかしこの方法は、ゲル状製剤では有効であるが、粘度の低い液状製剤では、マイクロカプセルの浮化や沈降が生じ初期の効果を得ることができない。
【0003】
また、そのほかにも、香料と糖質やアミノ酸を付加させた香料前駆体、及びその香料前駆体に酵素を作用させることにより香料を徐放する技術も開示されている(特開平4−170961号)。しかしこの方法では、実使用系での分解酵素の有無により効果が異なること、また製品系で香料前駆体と分解酵素を同時に配合させた場合、製品中で分解が進行してしまう等の問題が存在する。また、揮発性の抗菌、抗カビ剤においても上記と同様の問題が存在し、その効果を持続させることが困難であった。
【0004】
本発明の課題は、製剤の形態や用途に関係なく安定に配合でき、実使用系で、長期に亘り一定した機能性物質を徐放できる機能性物質放出体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、空気中の酸素による自動酸化により酸化を受け、機能性物質を徐放する機能性物質放出体を見出した。
即ち、本発明は、式(1)
【0006】
【化3】
Figure 0003792450
【0007】
(式中、OR1、下記a群及びb群からなる群より選ばれる分子内に少なくとも1つの水酸基を有する機能性物質の水酸基の水素原子を1個除いた残基を示し、R2は、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、シンナミックアルデヒド、ナフチルアルデヒド、フルフラール又はニコチンアルデヒドからホルミル基を除いた残基を示す。式中の波線はE体又はZ体、あるいはそれらの混合物を意味する。)
で表される機能性物質放出体(以下機能性物質放出体(1)という)、その製造法、及び該機能性物質放出体を含有する香料組成物、並びに抗菌、抗カビ組成物である。
a群:ヘキセノール、オクテノール、デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ムゴール、ミルセノール、テルピネオール、メントール、ボルネオール、イソプレゴール、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、メチルフェニルペンタノール、イソプロピルシクロヘキシルメタノール、イソプロピルシクロヘキシルエタノール及びバニリンから選ばれるアルコール性香気性物質
b群:エタノール、クロロキシレノール、ジクロロフェノール、トリクロサン、ジクロロベンジルアルコール及びヒノキチオールから選ばれる抗菌・抗カビ剤
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の機能性物質放出体(1)は、例えば、下記反応式(A)に示すように、アルコキシアセトアルデヒド(2)と芳香族アルデヒド(3)とを、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、n−ブチルリチウム等の塩基性触媒存在下に縮合することによって製造できる。
【0009】
【化4】
Figure 0003792450
【0010】
(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有する。)
ここでアルコキシアセトアルデヒド(2)は、下記反応式(B)に示す方法で製造することができる。
【0011】
【化5】
Figure 0003792450
【0012】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R1は前記と同じ意味を有する)
即ち、丸善株式会社発行第4版実験化学講座20巻187ページに記載の方法により、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する機能性物質(4)を水酸化ナトリウムや水素化ナトリウム等の塩基性物質存在下、アルコラートとした後、ハロアセトアルデヒド(5)と反応させることにより製造できる。
【0013】
またアルコキシアセトアルデヒド(2)の収率が低い場合、下記反応式(C)に示すように、ホルミル基の保護脱保護により収率良く製造することができる。
【0014】
【化6】
Figure 0003792450
【0015】
(式中、R1及びXは前記と同じ意味を有する。)
即ち、機能性物質(4)を水酸化ナトリウムや水素化ナトリウム等の塩基性物質存在下、アルコラートとした後、例えばハロアセトアルデヒドジメチルアセタール(6)と反応させ、アルコキシアセトアルデヒドジメチルアセタール(7)を合成し、このアルコキシアセトアルデヒドジメチルアセタール(7)のアセタール基を硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、酢酸等の酸触媒下、脱保護することでアルコキシアセトアルデヒド(2)を得ることができる。
【0016】
機能性物質放出体(1)において、OR1は、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する機能性物質(4)の水酸基の水素原子を1個除いた残基であり、機能性物質(4)を徐放するものであれば何でも良い。機能性物質(4)としては、例えば、青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)、3−オクテノール、9−デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ムゴール、ミルセノール、テルピネオール、L−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、バニリン等のアルコール性香気性物質や、エタノール、メタ−クロロキシレノール、2,4−ジクロロフェノール、トリクロサン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、ヒノキチオール等の抗菌・抗カビ剤が挙げられる。
【0017】
機能性物質放出体(1)において、R2は置換又は無置換のアリール基、アリールアルキニル基、アリールアルケニル基もしくはヘテロアリール基より選択されるが、具体的には、例えば、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、シンナミックアルデヒド、1−ナフチルアルデヒド、2−ナフチルアルデヒド、フルフラール、ニコチンアルデヒド等からホルミル基を除いた残基が挙げられる。
【0018】
アルコキシアセトアルデヒド(2)と芳香族アルデヒド(3)との反応に用いられる塩基性触媒の量は、反応時間の短縮の観点からアルコキシアセトアルデヒド(2)に対して、0.01〜300モル%が好ましく、0.1〜100モル%がより好ましい。
【0019】
本発明におけるアルコキシアセトアルデヒド(2)と芳香族アルデヒド(3)の反応は、反応仕込みモル比、10:1から1:10で行われるのが好ましく、更に好ましくは3:1から1:3である。
【0020】
反応は、無溶媒で行うことができるが、原料の混合を助ける目的で有機溶媒を使用することもできる。かかる有機溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロホルム、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、アルコキシアセトアルデヒド(2)に対して、好ましくは0.1〜200倍量、更に好ましくは1〜50倍量用いられる。この溶媒は単一あるいは2種以上の混合物として用いても良い。また、反応は空気中で行うことができるが、副生成物の生成を抑える目的で不活性ガス中、窒素もしくはアルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。
【0021】
反応温度は、反応速度の観点から−100℃以上、反応時の着色の観点から250℃以下が好ましく、より好ましくは−20〜200℃、特に好ましくは0〜100℃である。また、反応時間は反応条件によって異なるが、通常10分〜100時間で反応は終了する。
【0022】
反応終了後、反応液から中和、濾過、蒸留、抽出等の方法により目的の機能性物質放出体(1)が得られる。必要に応じてさらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィ、蒸留、再結晶等の常法に従って精製を行う。
【0023】
本発明の香料組成物は、所望組成の調合香料に、機能性物質放出体(1)を配合して得られるものであり、本発明の抗菌、抗カビ組成物は、機能性物質として抗菌剤や抗カビ剤を放出する機能性物質放出体(1)を含有するものである。これら組成物中の機能性物質放出体(1)の含有量は、組成物の種類、目的とする機能性物質の種類等により異なるが、組成物中、0.01〜90重量%が好ましく、特に0.5〜50重量%が好ましい。またこれらの組成物には、必要に応じて他の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0024】
本発明の機能性物質放出体(1)は、長期間機能性物質を徐放できることから、単独で又は他の成分と組み合わせて、石鹸、シャンプー、リンス、洗剤、化粧品、スプレー製品、消臭剤、芳香剤、入浴剤、カラーリング剤、ヘアカラー、抗菌剤、抗カビ剤、除湿剤、寝具、タオル、衣類、ティッシュ、トイレ用ペット砂、チューインガム、パック用化粧料、工作用粘土組成物、吸収性物品、マッサージ用化粧料、塗料、農薬、医薬、インク等の成分として使用できる。
【0025】
【実施例】
例中の部及び%は特記しない限り重量基準である。
【0026】
実施例1:機能性物質放出体(1-1)の合成
【0027】
【化7】
Figure 0003792450
【0028】
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム44.0gとテトラヒドロフラン500mLを撹拌し、cis−3−ヘキセノール110.2gを1時間かけ室温で滴下した。1時間還流した後、60℃でブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール169.0gを加えた。1日還流後、水1000mLを加え反応を止めた。反応混合物にエーテルを加え抽出操作を行い、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過、溶媒を留去後、蒸留を行い、cis−3−ヘキセノキシアセトアルデヒドジメチルアセタール112.6gを得た。cis−3−ヘキセノキシアセトアルデヒドジメチルアセタール108.6gに酢酸800mLと水370mLを加え17時間60℃で撹拌した。酢酸を留去後、飽和炭酸水素ナトリウムを加えた。酢酸エチルを加え抽出操作を行い、水、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過、溶媒を留去後、蒸留を行い、cis−3−ヘキセノキシアセトアルデヒド53.8gを得た。
【0029】
窒素雰囲気下、水酸化カリウム4.0gとメタノール54mLを撹拌し溶解させ、アニスアルデヒド104.1gを加えた。この溶液にcis−3−ヘキセノキシアセトアルデヒド21.3gを30〜35℃で3時間かけ滴下した。1時間、30〜35℃で撹拌し、酢酸2.3mLを加えて反応を停止させ、溶媒を留去した。エーテルを加え抽出操作を行い、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過、溶媒未反応原料を留去した。カラムクロマトグラフ(ヘキサン/酢酸エチル=7/1)で精製し、標記化合物を23.9g(収率22%)得た。
【0030】
1H-NMR(CDCl3,d ppm);0.95(t,3H,Me), 2.08(t,2H,CH2), 2.52(q,2H,CH2), 3.83(s,3H,OMe), 4.19(t,2H,CH2O), 5.48(m,2H,CH=CH), 6.51(s,1H,C=CH), 6.93(d,2H,Ph), 7.82(d,2H,Ph), 9.30(s,1H,CHO)
IR(KBr, neat, cm-1);3008, 2962, 2933, 2873, 2838, 1682
実施例2:機能性物質放出体(1-2)の合成
【0031】
【化8】
Figure 0003792450
【0032】
香料アルコールとしてcis−3−ヘキセノールの代わりにシトロネロールを使った以外は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。収率28%。
【0033】
1H-NMR(CDCl3,d ppm);0.92(d,3H,Me), 1.1-2.1(m,13H), 3.89(s,3H,OMe), 4.22(t,2H,CH2O), 5.10(m,1H,C=CH), 6.51(s,1H,C=CH), 6.93(d,2H,Ph), 7.82(d,2H,Ph), 9.31(s,1H,CHO)
IR(KBr, neat, cm-1);2960, 2925, 2841, 2727, 1685
実施例3:機能性物質放出体(1-3)の合成
【0034】
【化9】
Figure 0003792450
【0035】
香料アルコールとしてcis−3−ヘキセノールの代わりにシトロネロール、芳香族アルデヒドとしてアニスアルデヒドの代わりにメチルバニリンを使った以外は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。収率33%。
【0036】
1H-NMR(CDCl3,d ppm);0.92(d,3H,Me), 1.1-2.1(m,13H), 3.90(s,3H,OMe), 3.91(s,3H,OMe), 4.23(t,2H,CH2O), 5.08(m,1H,C=CH), 6.50(s,1H,C=CH), 6.88(d,1H,Ph), 7.30(dd,1H,Ph), 7.62(d,1H,Ph), 9.30(s,1H,CHO)
IR(KBr, neat, cm-1);3093, 2997, 2958, 2915, 2840, 1682
実施例4:機能性物質放出体(1-4)の合成
【0037】
【化10】
Figure 0003792450
【0038】
香料アルコールとしてcis−3−ヘキセノールの代わりに1−メントールを使った以外は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。収率17%。
【0039】
1H-NMR(CDCl3,d ppm);0.7-2.4(m,18H), 3.83(s,3H,OMe), 4.71(dt,1H,CHO), 6.48(s,1H,C=CH), 6.89(d,2H,Ph), 7.84(d,2H,Ph), 9.30(s,1H,CHO)
IR(KBr, neat, cm-1);2960, 2925, 2869, 1675
実施例5:機能性物質放出体(1-5)の合成
【0040】
【化11】
Figure 0003792450
【0041】
香料アルコールとしてcis−3−ヘキセノールの代わりにフェニルエチルアルコールを使った以外は実施例1と同様の操作で標記化合物を合成した。収率38%。
【0042】
1H-NMR(CDCl3,d ppm);3.07(t,2H,PhCH2), 3.84(s,3H,OMe), 4.41(t,2H,CH2O), 6.50(s,1H,C=CH), 6.80(d,2H,Ph), 7.25(m,5H,Ph), 7.59(d,2H,Ph), 9.30(s,1H,CHO)
IR(KBr, neat, cm-1);3060, 3028, 2956, 2935, 2837, 1680
実施例6〜10:徐放性評価
匂い紙上に機能性物質放出体(1-1)〜(1-5)と香料アルコールをそれぞれ20mgつけ、経時でその香質と匂い強度を評価した。評価はパネラー2名により下記の評価基準に基づいて室温にて行った。結果を表1〜5に示す。
【0043】
<評価基準>
香質
5:良い、4:やや良い、3:どちらでもない、2:やや悪い、1:悪い、
−:評価不可
匂い強度
5:強い、4:やや強い、3:どちらでもない、2:やや弱い、1:弱い、
0:匂わない
【0044】
【表1】
Figure 0003792450
【0045】
【表2】
Figure 0003792450
【0046】
【表3】
Figure 0003792450
【0047】
【表4】
Figure 0003792450
【0048】
【表5】
Figure 0003792450
【0049】
Figure 0003792450
上記調合香料900部に機能性物質放出体(1-2)を100部加えることにより、持続性を有し、甘さ・柔らかさ・ボリュームのあるゼラニウムのトーンを持つ、フローラルタイプの調合香料が得られた。
【0050】
実施例12:香料組成物の処方例
実施例11と同じ調合香料900部に機能性物質放出体(1-3)を100部加えることにより、持続性を有し、甘さ・柔らかさ・ボリュームのあるゼラニウムのトーンを持つ、フローラルタイプの調合香料が得られた。
【0051】
実施例13:香料組成物の処方例
<フローラルタイプの調合香料>
フェニルエチルアルコール 200部
ヘキシルシンナミックアルデヒド 200部
フェノキサノール 150部
ヒドロキシシトロネラール 50部
シトロネロール 80部
ゲラニオール 50部
フェニルアセトアルデヒド 20部
ゼラニウム油 50部
計 800部
上記調合香料800部に機能性物質放出体(1-5)を200部加えることにより、持続性を有し、ボリュームのあるミューゲ・ゼラニウム様のフローラルタイプの調合香料が得られた。
【0052】
実施例14:抗菌作用の評価
カビが発生したレモン果実から、緑カビ病のPenicillium digitatum、青カビ病のPenicillium italicumの混在した胞子を得た。増殖培地は、ポテトデキストロース寒天(PDA)培地を用いた。
【0053】
これらカビ類に対する機能性物質放出体(1-2)の増殖阻害活性の測定は、機能性物質放出体(1-2)を表6に示す割合で添加した寒天培地5mLをシャーレ(直径4.5cm)に作成し、シャーレの中心に直径2mmの穴を開けた。そこに、105spores/mLのカビ胞子を等量(5μL)ずつ接種し、25℃、3〜7日培養した。生長したカビの菌糸の円の直径を測定し、増殖の度合いを観察した。また比較として、機能性物質放出体無添加のもの、機能性物質放出体(1-2)の代わりにシトロネロールを添加したものについても同様に観察した。結果を表6に示すが、機能性物質放出体(1-2)には優れたカビ成長抑制効果があることが観察された。
【0054】
【表6】
Figure 0003792450
【0055】
【発明の効果】
本発明の機能性物質放出体は、空気中の酸素による自動酸化により酸化を受け、長期に亘り一定した機能性物質を徐放できる。

Claims (6)

  1. 式(1)
    Figure 0003792450
    (式中、OR1、下記a群及びb群からなる群より選ばれる分子内に少なくとも1つの水酸基を有する機能性物質の水酸基の水素原子を1個除いた残基を示し、R2は、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、シンナミックアルデヒド、ナフチルアルデヒド、フルフラール又はニコチンアルデヒドからホルミル基を除いた残基を示す。式中の波線はE体又はZ体、あるいはそれらの混合物を意味する。)
    で表される機能性物質放出体。
    a群:ヘキセノール、オクテノール、デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ムゴール、ミルセノール、テルピネオール、メントール、ボルネオール、イソプレゴール、テトラヒドロムゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、メチルフェニルペンタノール、イソプロピルシクロヘキシルメタノール、イソプロピルシクロヘキシルエタノール及びバニリンから選ばれるアルコール性香気性物質
    b群:エタノール、クロロキシレノール、ジクロロフェノール、トリクロサン、ジクロロベンジルアルコール及びヒノキチオールから選ばれる抗菌・抗カビ剤
  2. 機能性物質が、請求項1記載のa群から選ばれる少なくとも1種の香気性物質である請求項1記載の機能性物質放出体。
  3. 機能性物質が、請求項1記載のb群から選ばれる少なくとも1種の抗菌・抗カビ剤である請求項1記載の機能性物質放出体。
  4. 式(2)で表されるアルコキシアセトアルデヒドと式(3)で表される芳香族アルデヒドとを塩基性触媒存在下に縮合する請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性物質放出体の製造法。
    Figure 0003792450
    (式中、R1及びR2請求項1と同じ意味を有する。)
  5. 請求項記載の機能性物質放出体を含有する香料組成物。
  6. 請求項記載の機能性物質放出体を含有する抗菌、抗カビ組成物。
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