JP2001070768A - 微細で含水可能な空隙を有するイオン性膜、その製造方法、該イオン性膜の使用方法及び該イオン性膜を備えた装置 - Google Patents

微細で含水可能な空隙を有するイオン性膜、その製造方法、該イオン性膜の使用方法及び該イオン性膜を備えた装置

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JP2001070768A JP24840699A JP24840699A JP2001070768A JP 2001070768 A JP2001070768 A JP 2001070768A JP 24840699 A JP24840699 A JP 24840699A JP 24840699 A JP24840699 A JP 24840699A JP 2001070768 A JP2001070768 A JP 2001070768A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解質の透析速度が大きく、優れた選択透過
性を有し、更に、十分な強度を有するイオン性重合体微
粒子を用いたイオン性膜及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 カチオン性重合体成分及び/又はアニオ
ン性重合体成分とマトリックス成分とからなるイオン性
膜において、上記各イオン性重合体成分は平均粒子径が
0.01〜10μmの範囲の粒状重合体であり、且つ、
イオン性膜が微細で含水可能な空隙を有し、該空隙の大
きさが透析させたくない物質の大きさより実質的に小さ
いことを特徴とする微細で含水可能な空隙を有するイオ
ン性膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対イオンを透過す
る微細で含水可能な空隙を有するイオン性膜、その製造
方法、該イオン性膜の使用方法及び該イオン性膜を備え
た装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン性重合体成分又はアニオン性重
合体成分を有するカチオン性膜又はアニオン性膜(以下
単独イオン性膜と称することがある)、カチオン性膜及
びアニオン性膜を張り合わせた構造を有するバイポーラ
膜、及びカチオン性重合体成分とアニオン性重合体成分
とが膜の厚さ方向に対して実質的に交互に配列し貫通し
ている荷電モザイク膜は従来より公知である。単独イオ
ン性膜は、対イオンは吸着或いは透過できるが、副イオ
ンは反発するという機能を有し、バイポーラ膜は電流の
方向によっては電流を流さない整流作用、加水分解作
用、1価イオンの選択的透過性を有し、荷電モザイク膜
は低分子量の電解質は透析することができるが、非電解
質は透析することができないか、或いは透析速度が非常
に遅いという機能を有している。
【0003】上記の単独イオン性膜、バイポーラ膜及び
荷電モザイク膜の製造方法としては、例えば以下のよう
な方法がある。 (1)単独イオン性膜については、イオン交換樹脂の
微粉末とマトリックスを形成するポリエチレン、ポリ塩
化ビニル等の熱可塑性樹脂とを均一に混練、加熱成形す
る方法、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のフィルム
をトリエチルアミン、クロロスルホン酸等を直接反応さ
せてイオン性基を導入する方法、或いは、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のフィルムに(メタ)アクリル酸
をグラフト重合するか、又は、スチレン、ビニルピリジ
ンをグラフト重合した膜をそれぞれスルホン化或いは第
四級化してイオン性基を導入する方法が提案されてい
る。
【0004】(2)バイポーラ膜については、メタケ
イ酸ナトリウムのような無機塩溶液をバインダーとして
カチオン性膜及びアニオン性膜を結合させる方法、ポ
リスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共
重合体等のフィルムの片面を被覆し、被覆していない面
の表面をスルホン化してアニオン性基を導入した後、被
覆物を剥離し、剥離した表面をビニルピリジン等でグラ
フト重合してカチオン性基を導入する方法が提案されて
いる。 (3)荷電モザイク膜についてはブロック共重合体を使
用する方法が提案されている。
【0005】上記の(1)についてのの粒子径が粗い
イオン交換樹脂を使用する方法は、製造方法は容易では
あるが粒子の比表面積が小さいため固定イオン濃度を大
きくすることが困難であり、又、の化学反応処理によ
りイオン性基を導入する方法は製造方法が煩雑である。
(2)についてはイオン性基を導入する方法が煩雑であ
り、(3)のブロック共重合体を使用する方法では、そ
の製造方法自体が非常に難しい方法である。
【0006】これらの方法に対して、カチオン性及び/
又はアニオン性成分を重合体微粒子の形で使用する方法
も提案されており、単独イオン性膜、バイポーラ膜及び
荷電モザイク膜(以下ではこれらの膜をイオン性膜と称
する。)の製造が非常に容易であるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の重合体微粒子を
用いる方法において、重合体微粒子として微小球体を使
用してイオン性膜を製造すると、微小球体の持っている
集積性及び等方性から比較的容易にイオン性膜を製造す
ることができる。しかしながら、この方法では膜の構成
成分がイオン性重合体であるために、形成される膜が製
膜乾燥時に収縮したり、脆弱な膜になり易く、大面積の
膜の製造には問題があった。
【0008】上記の問題を改良する方法として、本発明
者らは特願平10−232732号及び特願平11−4
3722号出願において、イオン性重合体成分を、マト
リックス成分のポリスルホン系、ポリアリレート系、ポ
リウレタン系等の樹脂の有機溶剤溶液に分散させてなる
組成物を用いて製膜する方法及び網目構造を有する織布
状支持体を使用して製膜する方法を提案した。この方法
により、製膜時間が短縮され、膜厚が均一で且つ薄膜で
ハンドリングが容易なイオン性膜が得られるようになっ
た。しかし、製膜方法は簡便になったが、電解質の透析
速度の向上という点についてはまだ長時間を要し、その
解決が必要である。従って、本発明の目的は、電解質の
透析速度が大きく、優れた選択透過性を有し、更に、十
分な強度を有するイオン性膜及びその製造方法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の方法に
よって達成される。即ち、本発明は、カチオン性重合体
成分及び/又はアニオン性重合体成分とマトリックス成
分からなるイオン性膜において、上記各イオン性重合体
成分は平均粒子径が0.01〜10μmの範囲の粒状重
合体であり、且つ、イオン性膜が微細で含水可能な空隙
を有し、該空隙の大きさが透析させたくない物質の大き
さより実質的に小さいことを特徴とする微細で含水可能
な空隙を有するイオン性膜、及び上記のイオン性膜を製
造するに際し、微細空隙形成成分をマトリックス成分の
溶液又は分散液に溶解又は分散混合させ、これに更にイ
オン性重合体成分を分散混合させてなる組成物を用いて
製膜し、得られた膜をマトリックス成分を溶解しない
が、微細空隙形成成分を溶解する溶剤に浸漬し、微細空
隙形成成分だけを溶解除去して微細で含水可能な空隙を
形成させることを特徴とする微細で含水可能な空隙を有
するイオン性膜の製造方法、該イオン性膜の使用方法及
び該イオン性膜を備えた装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳しく説明する。本発明の微細で含水可
能な空隙を有するイオン性膜は、ドメインを形成する粒
状重合体であるカチオン性重合体成分及び/又はアニオ
ン性重合体成分とマトリックス成分から構成され、該イ
オン性膜には微細で含水可能な、透析させたくない物質
の大きさ(分子径、イオン径等)より実質的に小さい空
隙が形成されていることが特徴である。従って、本発明
のイオン性膜は、水中では、その微細な空隙が水で満た
されることでミクロのイオン性膜の厚みが実質的に微小
になってミクロのイオン性膜の多層構造が形成され、そ
の結果として対イオンの透過速度が大きくなったものと
想われる。
【0011】本発明のイオン性膜は、以下に説明するイ
オン性重合体成分、マトリックス成分及び微細空隙形成
成分を用いて製造される。本発明のイオン性膜は、先
ず、微細空隙形成成分をマトリックス成分の溶液又は分
散液に溶解又は分散混合させ、この溶液又は分散液にイ
オン性重合体成分を混合分散させて調製したイオン性膜
形成組成物を用いて製膜し、次いで、得られたイオン性
膜をマトリックス成分を溶解しないが、微細空隙形成成
分を溶解する溶剤に浸漬し、微細空隙形成成分だけを溶
解除去して微細で含水可能な空隙を形成することによっ
て製造される。
【0012】本発明において使用されるイオン性重合体
成分は、平均粒子径が、0.01〜10μm、好ましく
は0.02〜1μmの範囲の粒状重合体である。イオン
性重合体成分は、カチオン性重合体成分としては、例え
ば、第一級〜第三級のアミノ基、第四級アンモニウム
基、ピリジニウム基等のカチオン性基及びそれらの塩の
基を有する重合体が挙げられ、アニオン性重合体成分と
しては、例えば、スルホン酸、カルボン酸、硫酸エステ
ル、燐酸エステル等のアニオン性基及びそれらの塩の基
を有する重合体が挙げられる。イオン性基をその塩の基
とするに際しては、カチオン性基に対しては、例えば、
塩酸、硫酸、燐酸、有機酸等の酸類が使用され、アニオ
ン性基に対しては、例えば、アルカリ金属、アンモニ
ア、アミン、アルカノールアミン等のアルカリ又は塩基
類が使用される。
【0013】又、イオン性重合体成分は、非イオン性の
粒状重合体を調製後、例えば、アミノ化及び第四級アン
モニウム化、加水分解、スルホン化、硫酸エステル化等
の化学修飾処理によって調製することができる。尚、本
発明においては、イオン性重合体成分の調製には、イミ
ノジ酢酸、ポリアミン基等の金属とのキレート形成基成
分を導入する等の化学的処理により、非イオン性重合体
がカチオン性化或いはアニオン性化される処理方法であ
れば、例示以外の化学修飾処理法も使用することができ
る。
【0014】イオン性基及びそれらの塩の基を有するイ
オン性重合体成分を調製するために使用される代表的な
モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボ
ン酸基含有モノマー及びそれらの塩;スチレンスルホン
酸、(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、
(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、2−(メタ)
アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2−プロパン
スルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基含有モ
ノマー及びそれらの塩等のアニオン性モノマーが、又、
カチオン性モノマーとしては、例えば、4−ビニルピリ
ジン、2−ビニルピリジン等のビニルピリジン及びその
第四級化物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、4−ビ
ニルベンジルジメチルアミン、2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリロキシプロピルジメチルアミン等のアミ
ノ基含有モノマー及びそれらの塩等が挙げられる。
【0015】イオン性重合体は、上記の如きアニオン性
又はカチオン性モノマーを重合することにより得られる
が、その際、必要に応じて公知の非イオン性モノマーを
イオン性モノマーと共重合させることができる。非イオ
ン性モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸ラウ
リル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
非イオン性モノマーの使用割合は、全モノマー中0〜8
0重量%程度である。
【0016】又、化学修飾処理によってイオン性重合体
成分に変換される非イオン性重合体を調製するために使
用される代表的なモノマーとしては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒド
ロキシメチルスチレン等のスチレン系誘導体;(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコ
ール等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;(メタ)
アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルア
ミド誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の化学的
修飾処理可能なモノマーが挙げられる。上記のモノマー
を重合する際、必要に応じて化学修飾処理反応を実質的
に受けない公知の非イオン性モノマーを共重合させるこ
とも可能であり、かかるモノマーとしては、例えば(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル等が挙げられる。
【0017】上記イオン性モノマー等を用いて調製され
るイオン性及び非イオン性の粒状重合体は、必ずしも架
橋されている必要はないが、製膜に際して有機溶剤を使
用することもあるため、該粒状重合体は架橋しているこ
とが好ましい。粒状重合体の架橋は、通常、上記のイオ
ン性モノマー等を重合する際に、これらと架橋性モノマ
ーを共重合させることによって行われる。架橋性モノマ
−としては、例えば、ジビニルベンゼン、メチレンビス
(メタ)アクリルアミド、ジメタクリル酸エチレングリ
コール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール
等の2官能性モノマー、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート等の3官能モノマーやその他の4官能性
(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらの架橋
性モノマーは重合体を構成する前記モノマー100重量
部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、更に好ま
しくは0.5〜10重量部の範囲で使用される。
【0018】以上の如きモノマー及び架橋性モノマーを
用いて粒状重合体を調製する代表的な方法としては、水
系或いは非水系におけるラジカル重合が挙げられる。重
合の形態としては、例えば、エマルジョン重合、ソープ
フリー重合、懸濁重合、分散重合、逆相乳化重合等の重
合方法が挙げられるが、重合の形態は特にこれらを限定
されない。重合開始剤としては、ラジカル重合で使用さ
れる従来公知の開始剤はいずれも使用可能であり、例え
ば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′
−アゾビス(メチルイソブチレート)、2,2′−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイド
ロクロリド、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)ジアセテート、2,2′−アゾビス(N,N′−ジ
メチレンイソブチルアミジン)ジハイドロクロリド等の
アゾ系化合物;クメンハイドロパーオキシド、ジクミル
パーオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の
有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等
の過硫酸塩等の重合開始剤が挙げられる。
【0019】本発明におけるイオン性膜を構成するマト
リックス成分としては、イオン性膜を形成する際、加熱
乾燥等によって皮膜を形成することができる性質を有
し、耐薬品性、耐溶剤性、耐水性等の物性に優れ、化学
的にも安定で加水分解や酸化分解に対する耐久性に優れ
た重合体樹脂が、本発明の目的に最も好ましいマトリッ
クス成分である。
【0020】マトリックス成分としては、例えば、ポリ
エチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の
アイオノマー、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル
樹脂及びその加水分解物等のポリオレフィン系樹脂;ポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重
合体、スチレン−アクリル酸共重合体やスチレン−無水
マレイン酸共重合体及びその加水分解物等のビニル系モ
ノマーの単独重合体又は共重合体樹脂;ブタジエン−ス
チレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体等のポ
リ共役ジエン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリ
エチルアクリレート、メチルメタクリレート−スチレン
共重合体等のポリ(メタ)アクリレート系樹脂;アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物等の水素化共
役ジエン系樹脂;下記の式(1)〜(3)等のポリスル
ホン系樹脂;下記の式(4)〜(6)等のポリアリレー
ト系樹脂;下記の式(7)等のポリアミド系樹脂;下記
の式(8)及び(9)等のポリアミドイミド系樹脂;下
記の式(10)及び(11)等のポリイミド系樹脂;下
記の式(12)及び(13)等のポリウレタン系樹脂;
ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素系
樹脂、及び下記の式(14)等のシリコーン系樹脂等の
重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合
わせて使用することができる。
【0021】
【0022】 上記式中のm及びnは夫々の樹脂の分子量が約1,00
0〜50万になる値である。
【0023】本発明において使用される微細空隙形成成
分は、製膜時にはマトリックス成分の溶液又は分散液に
溶解又は微分散混合すること、且つ、微細空隙形成処理
時にはマトリックス成分を溶解しない、例えば、水、ア
ルカリ溶液、酸溶液、塩溶液、有機溶剤水溶液又は有機
溶剤に溶解する成分であり、具体的には、例えば、尿
素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素等の尿
素誘導体類;ナフタレン、アントラセン、フェナントレ
ン、ナフタセン等の多環式炭化水素類;β−ナフトー
ル、キシリレンジグリコール、シクロヘキサンジグリコ
ール、ジメチロールプロピオン酸及びシリカゾル、アル
ミナゾル等の水酸化物ゾル;塩化ナトリウム、塩化カル
シウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類等が挙げられる。
上記の微細空隙形成成分は、イオン性膜を透析させたく
ない物質の分子径、イオン径に応じて選択することが望
ましい。
【0024】即ち、本発明においてイオン性膜の微細で
含水可能な空隙の大きさは、透析させたくない物質の大
きさより実質的に小さく、通常、5〜500オングスト
ローム(A)の範囲が好ましく、更に好ましくは10〜
300Aの範囲である。微細で含水可能な空隙の大きさ
が5A未満の場合、微細で含水可能な空隙がない場合と
実質上変わらず、微細で含水可能な空隙の大きさが50
0Aを超える場合には透析させたくない物質が透析し易
くなり、結果として分離性能が低下してしまうので好ま
しくない。
【0025】上記の各成分を用いた本発明の微細で含水
可能な空隙を有するイオン性膜の製造方法について以下
に説明する。先ず、微細空隙形成成分をマトリックス成
分の溶液又は分散液に溶解又は分散混合させ、この溶液
又は分散液に更にイオン性重合体成分を分散混合させて
塗布液を調製する。その際、イオン性重合体成分は微粉
末状態のままで、又は予め水、有機溶剤水溶液又は有機
溶剤に分散させた状態で使用される。微細空隙形成成分
をマトリックス成分の溶液或いは分散液に溶解又は分散
混合させる方法は、特に制限されないが、例えば、超音
波分散処理;ディゾルバー、ホモミキサー、スターラー
等による撹拌等が挙げられる。又、上記で得られた溶液
又は分散液にイオン性重合体成分を分散させる方法は上
記と同じ方法等が挙げられる。
【0026】イオン性膜のドメインを構成するイオン性
重合体成分とマトリックス成分との使用割合は、両成分
の合計に対してマトリックス成分が、2〜95重量%の
範囲が好ましく、更に好ましくは、10〜80重量%の
範囲である。本発明で使用される微細空隙形成成分の使
用割合は、イオン性重合体成分とマトリックス成分の合
計に対して1〜300重量%の範囲が好ましく、更に好
ましくは10〜200重量%の範囲である。
【0027】本発明においてマトリックス成分を溶解或
いは微分散させるために使用する溶剤としては、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピ
ロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等の2−ピロリ
ドン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジエチルアセトアミド等の含窒素系溶剤;ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系
溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール等
のアルコール類;キシレン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素類;
ジクロルエチレン、クロロホルム等の含ハロゲン溶剤;
水等が挙げられる。又、水及び有機溶剤の併用、及び系
を不安定にしない限りにおいて他の有機溶剤を併用する
ことも可能である。
【0028】次に、上記で得られる塗布液を用いて微細
で含水可能な空隙を有するイオン性膜を製膜する。塗布
液を適当な塗工基盤上に公知の塗布方法を用いて塗布又
はキャスト(流延)し、必要に応じてその塗布面に塗膜
支持体を密着させ、その後に溶剤を乾燥、除去すること
により、或いは塗布液を塗膜支持体に塗布、又はキャス
トし、或いは塗布液に塗膜支持体を含浸し、その後、塗
布液を乾燥させて溶剤を除去する。乾燥後製膜された膜
を、マトリックス成分を溶解しない水;水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ剤の水溶
液;アルカリ剤のメチルアルコール等の有機溶剤溶液;
塩酸、酢酸等の酸の水溶液、有機溶剤の溶液;炭酸ナト
リウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム等の塩の水
溶液、有機溶剤水溶液又は有機溶剤に浸漬させ、微細空
隙形成成分を溶解除去する。乾燥後、製膜された膜は加
熱融着処理、加熱加圧プレス処理、第四級化処理等の処
理を施し本発明の微細で含水可能な空隙を有するイオン
性膜が得られる。
【0029】本発明で使用される塗工基盤としては、例
えば、ガラス板、アルミニウム板やポリテトラフルオロ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチ
ックシート、フィルム或いは成形板、シリコーン樹脂又
はポリプロピレン樹脂コート離型紙等が挙げられる。
又、膜の機械的強度及びハンドリング時の強度面より塗
膜支持体を使用することが望ましい。本発明で使用され
る塗膜支持体としては、例えば、織布、不織布、メッシ
ュ状物、紙、濾紙状物、中空糸、多孔質体等が挙げられ
る。これらの塗膜支持体の素材としては、例えば、ステ
ンレス、アルミニウム、セラミック、ポリエステル、ナ
イロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、セルロース、キチン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリフ
ッ化ビニリデン、アラミド、カーボン等が挙げられる。
【0030】上記塗工基盤及び塗膜支持体に塗布液を塗
工する方法としては、例えば、ロールコーティング、ブ
レードコーティング、ナイフコーティング、スクイズコ
ーティング、エアドクターコーティング、グラビアコー
ティング、ロッドコーティング、スプレーコーティン
グ、含浸、内添等の従来公知の塗工方法が挙げられる。
上記の方法で塗工基盤上に塗布され、その塗布面に塗膜
支持体が密着された塗布液又は塗膜支持体に塗布された
塗布液は、例えば、ドラム乾燥、送風乾燥、赤外線ラン
プ乾燥等の方法で乾燥される。本発明の微細で含水可能
な空隙を有するイオン性膜の厚みは、塗膜支持体の厚み
にもよるが、通常1〜5000μmの範囲、更に好まし
くは10〜2000μmの範囲である。尚、上記の如く
して製造される本発明の微細で含水可能な空隙を有する
イオン性膜は、有効な膜面積を増加させて電解質の透析
効率を向上させ、且つ、耐圧性を向上させるために、平
膜状の多層構成、スパイラル状、ひだ折り状、円筒状、
中空細管状等に加工して使用することができる。
【0031】本発明の微細で含水可能な空隙を有するイ
オン性膜が、(1)単独イオン性膜の場合には、該膜は
イオン性重合体成分としてカチオン性重合体成分、又は
アニオン性重合体成分を有し、対イオンは透過できる
が、副イオンは反発するという機能を有し、(2)バイ
ポーラ膜の場合にはカチオン性膜及びアニオン性膜を張
り合わせた構造を有し、電流の方向によっては電流を流
さない整流作用、加水分解作用、1価イオンの選択的透
過性機能を有し、(3)荷電モザイク膜の場合には、カ
チオン性重合体成分とアニオン性重合体成分とが膜の厚
さ方向に対して実質的に交互に配列し貫通しており、該
膜は低分子量の電解質は透析できるが、非電解質は透析
できないか或いは透析速度が非常に遅いという機能を有
している。
【0032】従って、(1)単独イオン性膜は、拡散透
析用、電気透析用、電解透析用、電池用等のイオン交換
膜、金属イオンのキレート化材、電着塗装液に副生する
酸又はアミン等の除去、精製に有用である。特に本発明
の内の単独イオン性膜は、海水濃縮製塩、塩水淡水化、
医薬、食品工業におけるイオン成分の分離精製、金属精
錬、表面処理工程での酸の分離、廃酸回収、電解酸化、
還元用隔膜等のイオン交換膜として有用であり、又、廃
水中の有害金属イオンの除去及び海水中に含まれている
有用金属を採取する吸着分離材としても有用である。 (2)バイポーラ膜は、水の分解、カチオン性膜及び/
又はアニオン性膜との組み合わせによる電気透析用に有
用である。その具体的な例としては、例えば、水を低エ
ネルギーで水素イオンと水酸化イオンへの解離が可能と
なり、又、ボウ硝、食塩、硝酸ソーダ等の塩の酸及びア
ルカリへの変換に有用である。 (3)荷電モザイク膜は、電解質の選択透析に使用する
ことができる。
【0033】本発明のイオン性膜は、具体的には、例え
ば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、
リン酸ナトリウム、塩化カルシウム等の低分子量の電解
質の脱塩用、更には、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム等
の脱イオン用等として有用であり、例えば、飲料用、工
業用水、純水、超純水等の水処理工業における脱塩、化
学工業、金属工業等の工業排水の脱塩、色素製造工業に
おける染料及び顔料の脱塩、発酵工業及び食品工業等の
生化学関連製品の脱塩、医薬品の脱塩等に有用である。
特に本発明のイオン性膜の内、荷電モザイク膜は、タン
パク質、ポリペプチド、ジペプチド、アミノ酸等の脱
塩、染料、顔料、界面活性剤等の脱塩等、従来、電気透
析においては発熱による目的物質の変質、イオン的吸着
による膜汚染等により適用できなかった分野に有効であ
る。又、本発明の荷電モザイク膜は、上記の如き膜構造
を有することから、膜の導電性、イオンの通過性等の性
質を利用した電気透析、拡散透析、電気分解、電池等の
隔膜等にも有用である。
【0034】
【実施例】次に合成例、実施例を挙げて本発明を更に具
体的に説明する。尚、文中の部及び%は特に断りのない
限り重量基準である。
【0035】 合成例1(ポリマーA:カチオン性粒状重合体) 4−ビニルピリジン 20.0部 ジビニルベンゼン 2.0部 2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロリド 0.4部 水 1000部 上記成分をフラスコに仕込み、窒素気流下、80℃で8
時間重合した。重合生成物を凍結乾燥して、内部が架橋
した粒状重合体を得た。該粒状重合体の平均粒子径は走
査型電子顕微鏡で測定した(以下の例においても同様)
ところ約350nmであった。
【0036】 合成例2(ポリマーB:カチオン性粒状重合体) クロロメチルスチレン 200.0部 ジビニルベンゼン 10.0部 過硫酸カリウム 4.0部 チオ硫酸ナトリウム 4.0部 ラウリル硫酸ナトリウム 40.0部 水 1000部 上記成分をフラスコに仕込み、窒素気流下、50℃で1
2時間重合した。分離した粒状重合体を温水及びメチル
アルコールで十分に洗浄し、粒状重合体表面の界面活性
剤を取り除いた。続いて、粒状重合体を水に分散させて
分散液を調製し、これにトリエチルアミンを添加し、1
2時間撹拌して20%の粒状重合体の第四級アンモニウ
ム塩分散液を得た。該粒状重合体の平均粒子径は約15
0nmであった。
【0037】 合成例3(ポリマーC:アニオン性粒状重合体) スチレン 41.6部 アクリロニトリル 7.1部 ヒドロキシエチルメタクリレート 8.1部 ジビニルベンゼン 8.7部 過硫酸カリウム 0.5部 水 1,000部 上記成分をフラスコに仕込み、窒素気流下、80℃で8
時間重合した。得られた重合体の平均粒子径は約180
nmであった。上記粒状重合体を濾過により分離し、乾
燥後粉砕して粒状重合体を得た。この粒状重合体100
部を、650部の98%濃硫酸に徐々に添加し、50℃
で24時間、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、
冷却し、反応混合液を大量の氷水に投入した。炭酸ナト
リウムで中和した後、濾過して粒状重合体を分離し、十
分水洗した。得られた粒状重合体は、赤外線吸収スペク
トル及びイオンクロマトグラフィー等の分析によって、
芳香環にほぼ1個のスルホン酸基が導入されていること
が確認できた。この粒状重合体の平均粒子径は約240
nmであった。
【0038】 合成例4(ポリマーD:アニオン性粒状重合体) スチレンスルホン酸ナトリウム 25.0部 スチレン 10.0部 ブチルアクリレート 5.0部 アクリルアミド 2.8部 ジビニルベンゼン 1.8部 2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロリド 1.0部 水 1,000部 上記成分をフラスコに仕込み、窒素気流下、75℃で1
0時間重合した。得られた重合体をアセトン−水による
再沈法で精製した。この粒状重合体の平均粒子径は約1
00nmであった。
【0039】実施例1 4.3部のポリマーAをN,N−ジメチルホルムアミド
24.2部に分散させた。この分散液とポリエーテルポ
リウレタン樹脂の29%N,N−ジメチルホルムアミド
溶液35.3部にナフタレン6.2部を溶解した溶液と
を1時間混合し、更に、この分散液と、6.0部のポリ
マーCとN,N−ジメチルホルムアミド24.0部とか
らなる分散液を混合して塗布液を調製した。上記塗布液
をポリプロピレン樹脂コート離型紙上にナイフコーター
で塗布し、更に、塗布面上にポリエステル織布を密着さ
せ、熱風乾燥した。この膜をエチルアルコール中に浸漬
しナフタレンを溶解除去し、熱風乾燥した。次いで、ヨ
ウ化メチル雰囲気中に室温で12時間放置後、水洗及び
風乾して本発明の微細で含水可能な空隙を有する荷電モ
ザイク膜を得た。原子間力顕微鏡で測定した空隙の大き
さは5〜10オングストロームであった。上記の方法で
製膜された微細で含水可能な空隙を有する荷電モザイク
膜は、約200μmの膜厚で、且つ、均一な厚みを有
し、使用時の耐久性及びハンドリングは良好であった。
【0040】(膜の評価)電解質として0.1mol/
lの塩化ナトリウム水溶液100mlと、非電解質とし
て0.1%のウシ血清アルブミン100mlを図1の容
器Aに入れ、容器Bに200mlの脱イオン水を入れ、
25℃、常圧下で透析を行ったところ図2に示すように
十分な透析分離性能を示した。ウシ血清アルブミンの分
子径は約50オングストロームである。
【0041】比較例1 実施例1におけるナフタレンを使用しない以外は実施例
1と同様にして荷電モザイク膜を得た。上記のようにし
て得られた荷電モザイク膜の電解質の透析分離性能を実
施例1と同様にして評価し、図3に示す結果を得た。図
2と図3に示した結果を比較したところ、実施例1の微
細で含水可能な空隙を有する荷電モザイク膜の塩化ナト
リウムの透析速度は比較例の膜に比し約1.4倍大きか
った。
【0042】実施例2 22.5部のポリマーBを樹脂分45%のスチレン−ブ
タジエン共重合体樹脂ラテックス33.3部に分散及び
混合した。この分散液にアントラセン9.1部を溶解混
合し、更に、この分散液と10.5部のポリマーDと水
24.6部とからなる分散液を混合して塗布液を調製し
た。上記塗布液をポリプロピレン樹脂コート離型紙上に
ナイフコーターで塗布し、更に、塗布面上にポリプロピ
レン不織布を密着させ、熱風乾燥した。この膜を水中に
浸漬し尿素を溶解除去し、熱風乾燥して本発明の微細で
含水可能な空隙を有する荷電モザイク膜(膜厚約150
nm)を得た。原子間力顕微鏡で測定した空隙の大きさ
は5〜15オングストロームであった。電解質の透析分
離性能を実施例1と同様にして評価したが、実施例1と
ほぼ同等の結果であった。
【0043】実施例3 8.0部のポリマーAをN−メチル−2−ピロリドン1
8.7部に分散させた。この分散液と、ポリスルホン樹
脂(化学式(1))の20%N−メチル−2−ピロリド
ン溶液66.8部にアントラセン6.5部を溶解した溶
液とを1時間混合して塗布液を調製した。上記塗布液を
ポリプロピレン樹脂コート離型紙上にナイフコーターで
塗布し、更に、塗布面上にポリエステル織布を密着さ
せ、熱風乾燥した。この膜をエチルアルコール中に浸漬
しアントラセンを溶解除去し、熱風乾燥した。次いで、
ヨウ化メチル雰囲気中に室温で12時間放置後、水洗及
び風乾して本発明の微細で含水可能な空隙を有するカチ
オン性膜を得た。上記の方法で製膜された微細で含水可
能な空隙を有するカチオン性膜は、約200μmの膜厚
で、且つ、均一な厚みを有し、使用時の耐久性及びハン
ドリングは良好であった。原子間力顕微鏡で測定した空
隙の大きさは5〜15オングストロームであった。上記
のカチオン性膜を拡散透析用のイオン交換膜として使用
して硫酸アルミニウムの硫酸水溶液から硫酸の回収に応
用したところ良好な透析性能を有することが確認され
た。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、微細空隙形成成分をマ
トリックス成分がエチレン系、ビニル系、ジエン系及び
/又は(メタ)アクリレート系モノマーを主成分とする
樹脂、ポリスルホン系、ポリアリレート系、ポリアミド
系、ポリイミド系、ポリアミドイミド系、ポリウレタン
系、フッ素系及びシリコーン系樹脂から選ばれる少なく
とも一種の重合体であるマトリックス成分の溶液又は分
散液に溶解又は分散混合させ、粒状重合体であるイオン
性重合体成分を分散混合させてなる組成物を用いて製膜
し、その後、マトリックス成分を溶解しない水、アルカ
リ溶液、酸溶液、塩溶液、有機溶剤水溶液又は有機溶剤
に該膜を浸漬させ、微細空隙形成成分だけを溶解除去さ
せることによって、膜厚が均一で、薄膜で、且つ十分な
強度を具備した微細で含水可能な空隙を有するイオン性
膜を製造することができる。本発明によれば、電解質の
透析速度が大きく、優れた選択透過性を具備する微細で
含水可能な空隙を有するイオン性膜が提供される。従っ
て、本発明の微細で含水可能な空隙を有するイオン膜
は、大きな粒子径、分子径を有する溶質から電解質の透
析に有用であり、又、電解質の透析、分離、濃縮等に使
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用する透析装置を説明する図。
【図2】 実施例1における透析結果を示す図。
【図3】 比較例1における透析結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小熊 尚実 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内 (72)発明者 土居 誠司 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内 (72)発明者 中村 道衛 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大 日精化工業株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA13 GA17 HA80 MA01 MA02 MA03 MA06 MA09 MA13 MA14 MA15 MA22 MA31 MA40 MB11 MB13 MB16 MC07X MC22 MC23 MC24X MC27 MC28 MC29 MC32 MC33 MC37 MC39 MC40X MC44 MC48 MC53 MC54 MC58 MC62X MC65 MC68 MC71 MC74X MC75 MC77X MC78 MC88 NA05 NA10 NA12 NA44 NA46 NA54 PA05 PB12 PB25 PB52 PC11 PC41

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン性重合体成分及び/又はアニオ
    ン性重合体成分とマトリックス成分とからなるイオン性
    膜において、上記各イオン性重合体成分は平均粒子径が
    0.01〜10μmの範囲の粒状重合体であり、且つ、
    イオン性膜が微細で含水可能な空隙を有し、該空隙の大
    きさが透析させたくない物質の大きさより実質的に小さ
    いことを特徴とする微細で含水可能な空隙を有するイオ
    ン性膜。
  2. 【請求項2】 上記のイオン性膜が、カチオン性膜、ア
    ニオン性膜、バイポーラ膜又は荷電モザイク膜である請
    求項1に記載の微細で含水可能な空隙を有するイオン性
    膜。
  3. 【請求項3】 上記のマトリックス成分が、皮膜形成性
    の重合体樹脂である請求項1に記載の微細で含水可能な
    空隙を有するイオン性膜。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の微細で含水可能な空隙
    を有するイオン性膜を製造するに際し、微細空隙形成成
    分をマトリックス成分の溶液又は分散液に溶解又は分散
    混合させ、これに更にイオン性重合体成分を分散混合さ
    せてなる組成物を用いて製膜し、得られた膜をマトリッ
    クス成分を溶解しないが、微細空隙形成成分を溶解する
    溶剤に浸漬し、微細空隙形成成分だけを溶解除去させて
    微細で含水可能な空隙を形成させることを特徴とする微
    細で含水可能な空隙を有するイオン性膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の微細で含水可能な空隙
    を有するイオン性膜を、対イオンの透過に使用すること
    を特徴とする微細で含水可能な空隙を有するイオン性膜
    の使用方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の微細で含水可能な空隙
    を有するイオン性膜を備えたことを特徴とする装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の微細で含水可能な空隙
    を有するイオン性膜を平膜状の多層構成、スパイラル
    状、ひだ折り状、円筒状又は中空細管状に加工して使用
    することを特徴とする請求項6に記載の装置。
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