JP2001070139A - 電気炊飯器 - Google Patents

電気炊飯器

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JP2001070139A
JP2001070139A JP24744499A JP24744499A JP2001070139A JP 2001070139 A JP2001070139 A JP 2001070139A JP 24744499 A JP24744499 A JP 24744499A JP 24744499 A JP24744499 A JP 24744499A JP 2001070139 A JP2001070139 A JP 2001070139A
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晃一 北川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却ファンを用いることなく、回路部品の放
熱性を十分に確保すると共に、炊飯行程や保温行程など
に要求される断熱性能をも確保できる電気炊飯器を提供
する。 【解決手段】 電気炊飯器の本体1内部において、炊飯
部8と放熱部14とが配置される空間を遮断部10によ
って分離することで、炊飯部8においては断熱性を高め
て炊飯釜5を効率良く加熱できるようにする。同時に、
炊飯部8で発生する熱の影響が放熱部14に及ぶことを
極力防止して、放熱部14においては回路基板13に搭
載されているIGBT11等の回路部品に発生する熱を
効率良く放熱できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筐体内部にセット
される炊飯釜を誘導加熱して炊飯及び保温を行う炊飯部
と、回路基板に搭載されている回路部品に発生する熱
を、ヒートシンクを介して放熱させる放熱部とを具備し
てなる電気炊飯器に関する。
【0002】
【従来の技術】このような電気炊飯器において高火力炊
飯を行う場合には、加熱コイルに高周波電流を供給する
IGBTなどのスイッチング素子における損失が大きく
なり発熱量が増大する。その発熱によるスイッチング素
子の破壊を防止するため、スイッチング素子にヒートシ
ンクを取付け、底板などに設けた開口から外部の空気を
導入するように冷却ファンを運転し、スイッチング素子
の温度が所定以下となるよう冷却するようにしている。
【0003】ところで、一般に、米を美味しく炊き上げ
るためには、炊飯行程の前半に高火力で炊飯を行い、後
半に低火力で炊飯を行うことが好ましい。従って、上記
電気炊飯器においては、炊飯行程の前半は炊飯釜を連続
的に加熱するようにし、後半は炊飯釜を断続的に加熱す
るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この時の、電気炊飯器
における筐体内部の温度変化の一例を図19に示す。筐
体内部の温度は、運転時間の経過に伴って炊飯釜或いは
加熱コイルからの放熱によって次第に上昇する。そのた
め、炊飯行程後期の断続加熱時には、電力消費が小さく
スイッチング素子に発生する損失が小さいにもかかわら
ず、ヒートシンクによって放熱が十分に行われなくなり
スイッチング素子の温度は徐々に上昇してしまう。従っ
て、冷却ファンの送風量やヒートシンクの大きさ(熱容
量)は、炊飯行程の後期やその後の蒸らし行程なども考
慮して大きめに設定する必要があった。
【0005】また、ヒートシンクにおいて熱交換が行わ
れ暖められた筐体内部の空気を、自然対流を利用するこ
とで筐体側面の上部に開口を設けて外部に排出すること
で冷却ファンを不要とする構成も考えられる。しかし、
この場合、炊飯釜からの放熱リーク量が増加するおそれ
があるため、上部に開口を設けることは困難である。更
に、炊き上がった御飯の保温は数十W程度の入力電力に
よって行われるためスイッチング素子などを冷却する必
要はなく、放熱性よりも断熱性を重視して冷却ファンは
停止するように制御される。
【0006】以上述べたように、基本的には、炊飯釜や
加熱コイルを含む構成部分には断熱性が要求され、その
一方で、スイッチング素子などの回路部品を含む構成部
分には放熱性が要求されている。そして、従来は、これ
らが筐体内部に混在した状態で冷却ファンの運転を制御
することで、炊飯行程や保温時などに夫々必要な熱的条
件を設定するようにしている。従って、全体のバランス
を取るために、設計に冗長となる部分を含まざるを得な
かった。また、冷却ファンを運転することによって、騒
音が発生するという問題もあった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、冷却ファンを用いることなく、回路
部品の放熱性を十分に確保すると共に、炊飯行程や保温
行程などに要求される断熱性能をも確保することができ
る電気炊飯器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の電気炊飯器は、本体内部にセットさ
れる炊飯釜を加熱コイルにより誘導加熱して炊飯及び保
温を行う炊飯部と、前記加熱コイルに供給する電力を制
御するための電力供給制御回路を構成する回路部品が搭
載されている回路基板と、前記回路部品に発生する熱
を、ヒートシンクを介して放熱させる放熱部と、前記本
体内部において、前記炊飯部と前記放熱部とが配置され
る空間を分離するための遮断部とを具備したことを特徴
とする。
【0009】即ち、炊飯部と放熱部とが配置される空間
を遮断部によって分離することで、炊飯部においては、
断熱性を高めて炊飯釜を効率良く加熱することができる
ようになる。同時に、炊飯部で発生する熱の影響が放熱
部に及ぶことを極力防止できるので、放熱部において
は、回路部品に発生する熱を効率良く放熱できるように
なる。
【0010】この場合、請求項2に記載したように、遮
断部を、本体の上部側に対応する部分の断熱性が、本体
の下部側に対応する部分の断熱性よりも良好となるよう
に構成するのが好適である。即ち、炊飯部において熱せ
られた空気は自然対流によって上昇し本体上部に溜まる
ので、炊飯部上部側の温度が比較的高くなる。従って、
遮断部上部側の断熱性を下部側の断熱性よりも良好とす
れば、炊飯部で発生する熱の影響が放熱部に及ぶことを
効率的に防止できる。
【0011】また、請求項3に記載したように、遮断部
の一部を、回路基板に電源を供給するための電源コード
を収納するコードリールによって構成することが好まし
い。即ち、炊飯または保温を行う場合、電源コードはコ
ードリールより引き出され、コードの先端に配置されて
いる電源プラグが商用交流電源のコンセントに接続され
た状態で使用される。そして、電源コードが引き出され
たコードリールの内部は空気で満たされることになるの
で、その状態にあるコードリールの断熱性は良好となっ
ている。従って、コードリールを遮断部の一部とするこ
とで、遮断部の断熱性を高めることができ、また、本体
内部に要するスペースを縮小することができる。
【0012】また、請求項4に記載したように、遮断部
の一部を、回路基板によって構成しても良く、斯様に構
成した場合も、本体内部に要するスペースを縮小するこ
とができる。
【0013】この場合、請求項5に記載したように、回
路基板を、本体下部側に配置することが好ましい。即
ち、上述したように、炊飯部上部側の温度が比較的高く
なることから、遮断部の一部を構成する回路基板を本体
下部側に配置することで、炊飯部で発生した熱の影響が
回路基板に搭載されている回路部品に及ぶことを極力防
止できる。
【0014】以上において、請求項6に記載したよう
に、炊飯部が配置される本体内部の空間を密閉状態にす
るのが好適であり、斯様に構成すれば、炊飯部と放熱部
との間の熱交換(干渉)作用を一層低減することができ
る。
【0015】また、請求項7に記載したように、放熱部
において、本体の底板或いは底板付近に空気取入口を設
けると共に、本体の背面或いは側面の上部に空気排出口
を設けるのが好ましい。即ち、自然対流の作用によっ
て、底板側に設けた空気取入口より外気を取り込み、放
熱部において熱せられた空気を上部側に設けた空気排出
口より排出することで、放熱部における放熱効率をより
向上させることが可能となる。
【0016】ところで、従来の構成では、炊飯部の放熱
リーク量が増加するおそれがあるため放熱用の空気排出
口を設けることはできなかったが、遮断部によって炊飯
部と放熱部とを分離することによって、炊飯部の放熱リ
ーク量を考慮することなく放熱部側に空気排出口を設け
ることが可能となっている。
【0017】この場合、請求項8に記載したように、空
気排出口に、外部からの水滴などの侵入を防止するため
の水滴侵入防止部を設けると良く、斯様に構成すれば、
本体外部と本体内部の放熱部とが空気排出口を介して直
接的に連通することがないので、放熱部に存在する回路
基板が水分によって侵されることを防止できる。
【0018】また、請求項9に記載したように、放熱部
のヒートシンクに、本体の上下方向に沿うようにフィン
を設けるのが好ましい。即ち、自然対流の作用によって
本体下部側から上部側にかけて空気が上昇するので、そ
の上昇経路に沿ってヒートシンクにフィンを設けること
で、放熱効率を高めることができる。
【0019】更に、請求項10に記載したように、回路
基板の上方に位置する部位において、ヒートシンクの上
端と本体の遮断部側とをシール部材を介して連結しても
良い。斯様に構成すれば、空気排出口を介して放熱部内
に水滴などが侵入した場合であっても、その水滴が回路
基板にまで達することをシール部材によって防止するこ
とができる。
【0020】また、請求項11に記載したように、回路
基板を本体の遮断部側に配置して、ヒートシンクの上端
と空気排出口の上端とをシール部材を介して連結しても
良い。斯様に構成すれば、請求項10と同様に、空気排
出口を介して放熱部内に水滴などが侵入した場合でも、
水滴が回路基板にまで達することを防止できる。
【0021】また、請求項12に記載したように、ヒー
トシンクを本体に密着させても良く、斯様に構成すれ
ば、ヒートシンクから本体を介して放熱を行うことがで
きるので、放熱効率を向上させることができる。
【0022】以上の場合において、請求項13に記載し
たように、電力供給制御回路を、複数個のスイッチング
素子を備えて構成し、炊飯部の加熱コイルを、前記複数
個のスイッチング素子によって高周波電流が供給されて
炊飯釜を誘導加熱するように構成しても良い。斯様に構
成すれば、複数個のスイッチング素子を所定の順序でス
イッチングすることにより、各スイッチング素子におけ
る損失の発生量が低減されるので、夫々の放熱を容易に
行うことができる。
【0023】また、この場合、請求項14に記載したよ
うに、電力供給制御回路を、複数個のスイッチング素子
により交流電源を直接スイッチングすることによって高
周波電流を生成するように構成するのが好ましい。斯様
に構成すれば、交流電源を整流するための整流回路が不
要となるので、その分だけトータルの発熱量を少なくす
ることができる。
【0024】加えて、請求項15に記載したように、放
熱部のヒートシンクを、複数個のスイッチング素子の放
熱用として夫々に対応して設けると良く、斯様に構成す
れば、各ヒートシンクにおける放熱効率が良好となって
各ヒートシンクのサイズを小さくすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例につい
て、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、電気炊
飯器の縦断側面図である。本体1は、外枠2と、その外
枠2の底部を覆うように取り付けられる底板3とを有し
ており、その底板3には、通気口4が設けられている。
【0026】また、本体1内部には、その中央部からや
や前面側(図1中左側)に位置する部位に炊飯釜5を収
容する収容部6が配設されている。炊飯釜5は、その一
部若しくは全部が磁性材料で構成されている。収容部6
の側面や底面を構成する壁を隔てた外側(本体1の内部
側)には、加熱コイル7が配置されている。この炊飯釜
5や加熱コイル7が配置されている部分を炊飯部8と称
する。
【0027】底板3の本体1内部側には、図示しない電
源コードを収容するためのコードリール9が配置されて
いる。また、本体1内部の背面側に位置する空間は、収
容部6が存在する炊飯部8と、壁状に形成された遮断部
10によって隔てられている。そして、前者の空間に
は、スイッチング動作により加熱コイル7に高周波電流
を供給するIGBT(回路部品,スイッチング素子)1
1,そのIGBT11の放熱を行うためのヒートシンク
12,前記IGBT11やマイクロコンピュータなどを
含む回路部品が搭載され、IGBT11のスイッチング
動作を制御するための制御回路等が構成されている回路
基板13などが配置されている。これらが配置されてい
る部分を放熱部14と称す。尚、遮断部10は、断熱性
が良好である例えばウレタンボードなどの材料によって
構成されている。
【0028】回路基板13は、放熱部14内において、
その裏面(はんだ面)が遮断部10の壁面と略平行にな
るようにして略垂直に配置されている。回路基板13の
下端側には、IGBT11がそのリードを略直角に折り
曲げられた状態で搭載されている。そして、IGBT1
1に取り付けられているヒートシンク12も、その長手
方向が垂直方向に添うようにして、外枠2の壁面と略平
行となるように配置されている。尚、ヒートシンク12
は、熱容量が比較的大であるブロック状のものを用いて
いる。
【0029】また、本体1の上部には、収容部6に収容
された炊飯釜5を覆うための蓋15が配置されている。
蓋15は、具体的には図示しないが、本体1の背面側に
設けられているヒンジ機構により、本体1に対して開閉
可能に構成されている。
【0030】図2は、電気炊飯器の電気的構成を概略的
に示すものである。商用交流電源16の両端子は、その
一端側にリアクタ(回路部品)17を介してダイオード
ブリッジで構成される整流回路(回路部品)18の交流
入力端子に接続されており、整流回路18の直流出力端
子は、電源母線19a,19bに接続されている。電源
母線19a,19b間には、平滑コンデンサ(回路部
品)20が接続されていると共に、加熱コイル7及びI
GBT11の直列回路が接続されている。
【0031】加熱コイル7には、共振コンデンサ21が
並列に接続されており、共振回路を構成している。ま
た、IGBT11のコレクタ−エミッタ間には、フリー
ホイールダイオード22が逆並列に接続されている。I
GBT11のコレクタは、帰還回路23の入力端子に接
続されており、帰還回路23の出力端子は、マイクロコ
ンピュータ(回路部品)などで構成される制御回路24
の入力端子に接続されている。そして、制御回路24の
出力端子は、フォトカプラ(回路部品)などで構成され
る駆動回路25を介してIGBT11のゲートに接続さ
れている。
【0032】制御回路24は、図示しない操作部によっ
てユーザが設定した入力電力量で誘導加熱が行われるよ
うにIGBT11のON時間を設定するようになってい
る。また、帰還回路23は、IGBT11のコレクタの
電位に基づいて、IGBT11のオフタイミングを設定
するようになっている。尚、以上の加熱コイル7及び共
振コンデンサ21の共振回路を除く電気的構成部分は、
電源供給制御回路26を構成している。
【0033】次に、本実施例の作用について図3をも参
照して説明する。加熱コイル7による炊飯釜5の誘導加
熱に関する作用は、従来と同様である。即ち、IGBT
11がONすると、電源母線19a,加熱コイル7,I
GBT11及び電源母線19bの経路で電流が流れ、I
GBT11がOFFすると、加熱コイル7に蓄えられた
磁気エネルギにより遅れ電流が流れ、共振コンデンサ2
1が充電される。
【0034】そして、共振コンデンサ21の充電が終了
すると、共振コンデンサ21から加熱コイル7に対する
放電が行われ、その放電が終了すると、加熱コイル7に
よる遅れ電流が、電源母線19a,平滑コンデンサ2
0,電源母線19b,フリーホイールダイオード22及
び加熱コイル7の経路で還流する。以上のようにして加
熱コイル7に周波数22kHz程度の高周波電流が流れ
る。すると、炊飯釜5には電磁誘導によって渦電流が発
生し、誘導加熱が行われる。
【0035】この場合、IGBT11もスイッチング動
作することで発熱し、その熱は、ヒートシンク12を介
して放熱部14内部の空気に放熱される。そして、炊飯
釜5及び加熱コイル7が配置されている炊飯部8と電源
供給制御回路26が配置されている放熱部14とは、遮
断部10により隔てられ熱的に分離されているため、炊
飯部8側の保温性,断熱性は確保され、炊飯行程や炊上
がり後の保温行程などを高い熱効率で行うことができ
る。
【0036】一方、炊飯部8において発生した熱は遮断
部10によって遮断されるので、発生した熱の影響が放
熱部14に及ぶことは極力防止される。そして、放熱部
14においては、IGBT11を含む電源供給制御回路
26の放熱を良好に行うことができる。
【0037】ここで、図3は、炊飯行程における入力電
力の供給パターン並びに炊飯部8及び放熱部14におけ
る雰囲気温度変化の一例を示すものである。炊飯行程の
前半である開始から11分位までは、入力電力1100
W程度で連続的にIGBT11によるスイッチング動作
が継続され高火力で炊飯が行われる。続いて、炊飯行程
の後半である開始後12分から20分位までは、スイッ
チング動作は断続的に行われる。
【0038】すると、行程の前半において炊飯部8の温
度は20℃から70℃程度まで上昇し、後半は70℃か
ら80℃まで上昇する。それに対して、放熱部14の温
度は、25℃から40℃弱まで緩慢に上昇する。
【0039】この図3を、炊飯部と放熱部とが遮断部に
より隔てられていない従来構造の電気炊飯器について同
様の測定を行った結果である図19と比較すると明らか
なように、同様の入力電力に対して、炊飯部8の温度上
昇パターンは従来を上回っている(従来:20分後の温
度は約75℃)。そして、放熱部14の温度上昇パター
ンは従来に比較して低いレベルにある(従来:20分後
の温度は50℃強)。
【0040】即ち、従来構造の電気炊飯器については、
炊飯行程の後半においてIGBTの放熱量が少なくなる
にもかかわらず、高温に加熱されている炊飯部からの熱
の影響を受けることで、放熱部の温度上昇度合いは高
い。これに対して、本実施例の電気炊飯器では、炊飯部
8からの熱の影響は遮断部10によって遮断されるの
で、炊飯行程の後半における放熱部14の温度上昇度合
いは低くなっている。下がて、炊飯部8の保温・断熱性
が向上すると共に放熱部14の放熱性が向上しているこ
とが分かる。
【0041】以上のように本実施例によれば、電気炊飯
器の本体1内部において、炊飯部8と放熱部14とが配
置される空間を遮断部10によって分離したので、炊飯
部8においては、断熱性を高めて炊飯釜5を効率良く加
熱することができるようになる。同時に、炊飯部8で発
生する熱の影響が放熱部14に及ぶことを極力防止でき
るので、放熱部14においては、回路基板13に搭載さ
れているIGBT11等の回路部品に発生する熱を効率
良く放熱できるようになる。
【0042】従って、従来とは異なり、冷却ファンを用
いずともヒートシンク12の熱容量や放熱面積を適性に
設計することによって放熱部14の放熱を良好に行うこ
とができ、本体1を小形に構成できると共に冷却ファン
の駆動音が騒音となることがない。また、炊飯部8の断
熱性が向上することにより本体1全体について断熱性を
高める必要がなく、本体1の厚さを薄くすることができ
ると共に、底板3に通気口4を設けて放熱部14の放熱
性をより高めることもできる。
【0043】図4は本発明の第2実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図4
は、電気炊飯器の底板3に外枠2を組み付ける前の状態
を示す分解図である。遮断部27は、外枠2側に予め取
付け固定されている外枠側部27aと、底板3側に予め
取付け固定されている底板側部27bとの2部材によっ
て構成されている。尚、底板2におけるコードリール9
の配置部位は、第1実施例よりも前面側になっている。
【0044】そして、底板側部27bの先端部は、断面
が略U字状となる溝部27cが形成されており、底板3
に外枠2を組み付ける際に、外枠側部27aの後端部を
27dを溝部27c内に嵌合させることによって、遮断
部27が一体となるように構成されている。
【0045】以上のように構成された第2実施例によれ
ば、底板3に外枠2を組み付けて遮断部27を一体とす
ることで、本体1内部において炊飯部8と放熱部14と
の空間を完全に分離することができるので、炊飯部8の
保温・断熱性及び放熱部14の放熱性をより高めること
ができる。
【0046】図5は本発明の第3実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第3実
施例における遮断部28は、遮断部10の構成部材であ
るウレタンボード10aの途中部位に、垂直方向に配置
されたコードリール9を組み込むことによって構成され
ている。
【0047】即ち、炊飯または保温を行う場合、電源コ
ード(図示せず)はコードリール9より引き出され、コ
ードの先端に配置されている電源プラグが商用交流電源
16のコンセントに接続された状態で使用される。そし
て、電源コードが引き出されたコードリール9の内部は
空気で満たされることになるので、その内側は、空気を
含む二層構造となり、コードリール9の断熱性は良好な
状態にある。
【0048】従って、以上のように構成された第3実施
例によれば、コードリール9を遮断部28の一部とする
ことで、遮断部28の断熱性を高めることができる。ま
た、本体1内部に要するスペースをより縮小して容積効
率を高めることもでき、更に、遮断部28に必要なウレ
タンボード10aなどの材料を少なくすることもでき
る。
【0049】図6は本発明の第4実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第4実
施例における遮断部29は、ウレタンボード10bの途
中部位に回路基板13を組み込むことによって構成され
ている。
【0050】即ち、炊飯部8において発生した熱により
暖められた空気は上昇するため、炊飯部8の底板3側の
温度は比較的低い。従って、遮断部29の底板3側に近
い部位を回路基板13で構成したとしても、回路基板1
3に搭載されている回路部品が、炊飯部8において発生
した熱の影響を受けることは殆どないものと考えられ
る。
【0051】以上のように構成された第4実施例によれ
ば、回路基板13を遮断部29の一部とすることで、第
3実施例と同様に本体1内部に要するスペースをより縮
小して容積効率を高めることもでき、遮断部29に必要
な材料を少なくすることもできる。
【0052】図7は本発明の第5実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第5実
施例における遮断部30は、その上端から炊飯釜5若し
くは収容部6の深さに対応する部位までは、例えば合成
樹脂で空気を内包して板状に形成されてなる断熱部材3
1によって構成され、残りの底板3に達する下端まで
は、薄手に形成されてなる単板32によって構成されて
いる。
【0053】即ち、上述したように、炊飯部8において
発生した熱により暖められた空気は上昇するため、遮断
部としては、本体1の上部側について断熱性能を高める
ことが好ましい。従って、第5実施例のように遮断部3
0の上部側を二層構造の断熱部材31によって構成する
ことで、炊飯部8の断熱性を高めると共に、炊飯部8で
発生した熱の影響が放熱部14に及ぶことを有効に抑止
することができる。
【0054】図8は、本発明の第6実施例を示すもので
ある。第6実施例における遮断部33は、第5実施例の
断熱材31に対応する部分を第1または第2実施例と同
様の部材であるウレタンボード34で構成したものであ
る。或いは、第2実施例における遮断部27について、
比較的断熱性が要求されない下端側を単板32に置き換
えた構成と見ることもできる。従って、斯様に構成した
場合も、第2実施例や第5実施例と略同様の効果が得ら
れる。
【0055】図9は、本発明の第7実施例を示すもので
ある。第7実施例では、第2実施例のように、本体1内
部において炊飯部8と放熱部14との空間を遮断部35
によって完全に分離すると共に、底板36の炊飯部8に
対応する部位には、通気口4が設けられていない。従っ
て、炊飯部8は完全に密閉状態となっている。以上のよ
うに構成された第7実施例によれば、炊飯部8の断熱性
を一層高めることができると共に、炊飯部8と放熱部1
4との間における熱交換を極力防止することができる。
【0056】図10は、本発明の第8実施例を示すもの
であり、第7実施例と同一部分には同一符号を付して説
明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第
8実施例の底板36Aは、底板36の放熱部14側に設
けられている通気口4を空気取入口4Aとしている。ま
た、外枠37の放熱部14A側における上部には、空気
排出口38が設けられている。尚、空気取入口4Aは、
底板36Aの底部のみならず、例えば底部付近の側部に
配置しても良い。
【0057】そして、IGBT11には、ブロック状の
ヒートシンク12に代えてフィン39aを有する形状の
ヒートシンク39が取り付けられている。フィン39a
は、空気の自然対流の方向(上下方向)に沿うように配
置されており、また、ヒートシンク39自体は、外枠3
7の内壁面との距離が極力小さくなるように配置されて
いる。尚、ヒートシンク39の形状を示すため、図10
においては、回路基板13及びヒートシンク39を中心
とする構成要素については斜視図的に示している。
【0058】次に、第8実施例の作用について説明す
る。放熱部14Aにおいて放熱が行われ暖められた空気
は、自然対流によって上昇する。すると、底板36Aの
空気取入口4Aからは外気が取入れられ、暖められて上
昇した空気は、放熱部14Aの天井部に達した後外枠3
7に設けられた空気排出口38より外部へ排出される。
そして、ヒートシンク39のフィン39aは空気の上昇
経路に沿うように配置されているので、自然対流を妨げ
ることがなく、また、空気とフィン39aとの接触面積
が大となり、両者の熱交換が良好に行われる。
【0059】以上のように第8実施例によれば、底板3
6Aに空気取入口4Aを設け、外枠37の上方に空気排
出口38を設けると共に、ヒートシンク39のフィン3
9aを空気の上昇経路に沿うように配置したので、ヒー
トシンク39と空気との間における熱交換が良好に行わ
れるようになり、放熱部14Aの放熱性をより高めるこ
とができる。また、ヒートシンク12よりも小形のヒー
トシンク39を用いることができる。
【0060】ところで、従来のように炊飯部8と放熱部
14Aとが遮断部35によって隔てられていない構造の
電気炊飯器においては、炊飯部の断熱性を確保する必要
から放熱部側に空気排出口を設けることができなかった
が、第8実施例においては、遮断部35を設けたことで
炊飯部8の断熱性を十分確保できることから、空気排出
口38を設けることが可能となっているのである。
【0061】図11は本発明の第9実施例を示すもので
あり、第8実施例と同一部分には同一符号を付して説明
を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第9
実施例では、空気排出口38の下縁部38a側には、放
熱部14Bの内部側に向けて90°折れ曲がる段差部4
0aが形成され、その段差部40aの先には、更に上方
に向けて90°折れ曲がる防止壁40bが立設されてい
る。そして、防止壁40bの先端は、空気排出口38の
上縁部38bよりも上方に位置するように延設されてお
り、段差部40a及び防止壁40cは、水滴侵入防止部
40を構成している。
【0062】次に、第9実施例の作用について説明す
る。放熱部14Bにおいて暖められ上昇した空気は放熱
部14Bの天井部に達した後、水滴侵入防止部40の上
方から空気排出口38に至って外部へ排出される。一
方、外部より空気排出口38に水滴が侵入しようとした
場合には、水滴侵入防止部40の防止壁40bに阻まれ
て段差部40aに止まるので、放熱部14Bの内部に侵
入することはない。
【0063】以上のように第9実施例によれば、空気排
出口38に水滴侵入防止部40を設けたので、外部より
空気排出口38を介して放熱部14Bの内部に水滴が侵
入することを防止でき、回路基板13を水滴から保護す
ることができる。
【0064】図12は本発明の第10実施例を示すもの
であり、第8実施例と同一部分には同一符号を付して説
明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第
10実施例では、空気排出口38に、二重構造となって
いる水滴侵入防止部41を設けている。即ち、空気排出
口38の上縁部38bには、第9実施例における水滴侵
入防止部41を上下反転した形状の第1防止部41aが
取り付けられている。また、空気排出口38の下縁部3
8aよりも若干下方に位置する内部側には、水滴侵入防
止部41と同じように形成された第2防止部41bが取
り付けられており、その先端は、第1防止部41aの先
端よりも内部側に位置している。
【0065】次に、第10実施例の作用について説明す
る。放熱部14Cにおいて暖められ上昇した空気は放熱
部14Cの天井部に達した後、第2防止部41bの上方
から空気排出口38に至って外部へ排出される。一方、
外部より空気排出口38に水滴が侵入しようとした場合
には、第1防止部41aに阻まれて第2防止部41b内
に溜まるので、放熱部14Cの内部に侵入することはな
い。以上のように構成された第10実施例によれば、第
9実施例と同様の効果が得られる。
【0066】図13は本発明の第11実施例を示すもの
であり、第8実施例と同一部分には同一符号を付して説
明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第
11実施例においては、回路基板13に代えて、上下方
向の長さがヒートシンク39とほぼ等しい回路基板13
Aが用いられている。そして、ヒートシンク39の上端
部と遮断部35との間は、例えばシリコン樹脂などから
なるシール部材42によって覆われており、その下方に
位置する回路基板13Aをシールするように構成されて
いる。
【0067】以上のように構成された第11実施例によ
れば、外部から空気排出口38を介して放熱部14Dに
水滴が侵入した場合でも、その水滴はシール部材42に
阻まれて回路基板13Aに到達することはない。そし
て、水滴はヒートシンク39へと至って、放熱している
ヒートシンク39において蒸発するか、或いは、底板3
へと至って外部に排出される。従って、第9,第10実
施例と同様に、回路基板13Aを水滴から保護すること
ができる。
【0068】図14は本発明の第12実施例を示すもの
であり、第11実施例と同一部分には同一符号を付して
説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
第12実施例においては、外枠37に代えて第1実施例
と同様の外枠2が用いられている。そして、底板36A
は、その側面部に空気排出口43が設けられている底板
36Bに置き換えられている。空気排出口43は、第1
1実施例の空気排出口38よりも下方側に位置してお
り、放熱部14E内のヒートシンク39のフィン39a
に対応する部位に設けられている。そして、シール部材
44は、ヒートシンク39の上端部と、外枠43の内壁
側における空気排出口43の上端部との間を覆うように
配置されている。
【0069】以上のように構成された第12実施例によ
れば、外部から空気排出口43を介して放熱部14Eに
水滴が侵入した場合でも、その水滴はシール部材44に
阻まれて回路基板13Aに到達することはなく、ヒート
シンク39において蒸発するか底板3へと至って外部に
排出されるので、第11実施例と同様に回路基板13A
を水滴から保護することができる。
【0070】図15は本発明の第13実施例を示すもの
である。第13実施例では、本体1Aに金属などで構成
されてなる外枠45及び底板46が用いられている。そ
の外枠45及び底板46には、外枠37,43とは異な
り、空気取入口及び空気排出口が設けられていない。ま
た、ヒートシンク39に代えて、フィンを有しない板状
のヒートシンク47が用いられており、そのヒートシン
ク47は、外枠45及び底板46の内壁にシリコン樹脂
などを用いて接着されている。
【0071】以上のように構成された第13実施例によ
れば、IGBT11において発生した熱は、ヒートシン
ク47を介して熱伝導率が良好であり且つ熱容量が大で
ある外枠45及び底板46へと伝わって放熱される。従
って、放熱部14Fの放熱性能を高めることができる。
【0072】図16は本発明の第14実施例を示すもの
である。第14実施例は、以上の第1乃至第13実施例
の何れかにおいて、電気的構成を、図2に示す準E級の
インバータから図17に示すハーフブリッジ型のインバ
ータに置き換えた構成となっている。即ち、図17に示
すように、電源母線19a,19b間には、加熱コイル
7及びIGBT11の直列回路に代わって2つのIGB
T(スイッチング素子)48,49の直列回路が接続さ
れており、各IGBT48,49のコレクタ−エミッタ
間には、フリーホイールダイオード50,51が逆並列
に接続されている。
【0073】IGBT48のエミッタ(IGBT49の
コレクタ)と電源母線19bとの間には、加熱コイル5
2及び共振コンデンサ53の直列回路が接続されてお
り、両者の共通接続点は、帰還回路23の入力端子に接
続されている。そして、駆動回路25aは、IGBT4
8,49のゲートにゲート信号を与えるようになってい
る。以上の加熱コイル52及び共振コンデンサ53の共
振回路を除く電気的構成部分は、電源供給制御回路54
を構成している。
【0074】次に、第14実施例の作用について説明す
る。加熱コイル52による炊飯釜5の誘導加熱に関する
作用は、ハーフブリッジ型のインバータを用いた従来構
成の電気炊飯器と同様である。即ち、IGBT48がO
Nすると、電源母線19a,IGBT48,加熱コイル
52,共振コンデンサ53,電源母線19bの経路で電
流が流れ、IGBT48がOFFすると、加熱コイル5
2に蓄えられた磁気エネルギにより遅れ電流が流れ、ダ
イオード51を介したループで共振コンデンサ53が充
電され続ける。
【0075】そして、共振コンデンサ53の充電が終了
して放電に転じる時にIGBT49がONすると加熱コ
イル52に逆方向の電流が流れ、IGBT49がOFF
すると、加熱コイル52の遅れ電流は、ダイオード50
を経由して電源側に回生される。以上のようにして加熱
コイル52に高周波電流が流れ、炊飯釜5が誘導加熱さ
れる。
【0076】ここで、図2に示す準E級のインバータで
は、例えば、定格入力1.2kWでIGBT11の損失
は35W程度と比較的大きな値となる。そして、バイポ
ーラトランジスタ,IGBTやFETなどのスイッチン
グ素子では、コレクタ(ドレイン)の温度が高くなると
スイッチング損失が増えるため、素子の冷却が不十分で
ある場合には、温度上昇→損失増大の正帰還がかかって
熱暴走となり、素子が破壊に至るおそれがある。
【0077】これに対して、第13実施例の電気的構成
では、IGBT48,49は交互にON,OFFするよ
うになっているため、同程度の入力電力に対して発生す
る損失は、単純計算で夫々半分づつの17.5Wとな
る。従って、第13実施例によれば、熱暴走の発生をよ
り確実に防止することができる。また、IGBT48,
49には熱容量が小さなヒートシンクを用いることがで
きるので、放熱部14のサイズを小形化することも可能
となる。
【0078】図17は本発明の第15実施例を示すもの
である。第15実施例は、以上の第1乃至第13実施例
の何れかにおいて、電気的構成を、図2に示す準E級の
インバータから、図17に示すように高周波電流を交流
電源から直接変換・生成するコンバータに置き換えた構
成となっている。
【0079】即ち、整流回路18は取り除かれており、
商用交流電源16の両端子は、一端側にリアクタ17を
介して電源母線55a,55bに直接接続されている。
電源母線55a,55b間には、平滑コンデンサ20に
代わる電源コンデンサ56が接続されている。また、電
源母線55a,55b間には、加熱コイル57及び共振
コンデンサ58の並列共振回路と、エミッタが共通に接
続され互いに逆方向となっているIGBT(スイッチン
グ素子)59,60の直列回路が接続されている。その
IGBT59,60のコレクタ−エミッタ間には、フリ
ーホイールダイオード61,62が夫々逆並列に接続さ
れている。
【0080】IGBT59のコレクタは、帰還回路63
の入力端子に接続されており、帰還回路63の出力端子
は、制御回路64の入力端子に接続されている。そし
て、制御回路64の出力端子は、駆動回路65を介して
IGBT59,60のゲートに共通に接続されている。
尚、これらの帰還回路63,制御回路64及び駆動回路
65の基本的機能は、第1実施例における帰還回路2
3,制御回路24及び駆動回路25と同様である。そし
て、以上の加熱コイル57及び共振コンデンサ58の共
振回路を除く電気的構成部分は、電源供給制御回路66
を構成している。
【0081】次に、第15実施例の作用について説明す
る。IGBT59,60は、共通のゲート信号によって
同時にON,OFFされるが、商用交流電源1の正半波
期間においては、IGBT59のONタイミングで電源
母線55a,加熱コイル57,IGBT59,フリーホ
イールダイオード62及び電源母線55bの経路で電流
が流れ、IGBT60は逆バイアスとなるため導通しな
い。そして、IGBT59のOFFタイミングで加熱コ
イル57から共振コンデンサ58に充電が行われ、その
後、共振コンデンサ58から加熱コイル57に放電が行
われる。
【0082】一方、商用交流電源16の負半波期間にお
いては、IGBT60のONタイミングで電源母線55
b,IGBT60,フリーホイールダイオード61,加
熱コイル57及び電源母線55aの経路で電流が流れ、
IGBT59は逆バイアスとなるため導通しない。そし
て、IGBT60のOFFタイミングで加熱コイル57
から共振コンデンサ58に充電が行われ、その後、共振
コンデンサ58から加熱コイル57に放電が行われる。
【0083】以上のように第15実施例によれば、第1
4実施例と同様に2つのIGBT59,60が交互に導
通するので、同程度の入力電力に対して発生するスイッ
チング損失が夫々15W程度となり、熱暴走の発生をよ
り確実に防止することができる。
【0084】また、第1乃至第14実施例では、整流回
路18においてもダイオードが導通することで15W程
度の損失が発生している。従って、実際には、その損失
によって発生する熱を放熱させるためのヒートシンクな
どが別途必要となる。これに対して、第15実施例によ
れば、整流回路18を用いないのでそのための放熱対策
が不要となり、全体を一層小形に構成することができ
る。
【0085】図18は本発明の第16実施例を示すもの
である。第16実施例は、例えば、第14実施例のよう
に2つのIGBT48,49を用いる場合において、各
IGBT48,49について夫々独立にヒートシンク6
7,68を配置したものである。
【0086】以上のように構成された第16実施例によ
れば、夫々独立にヒートシンク67,68を設けること
によって、各IGBT48,49夫々において発生した
熱が相互に影響を与える(干渉する)ことがないので、
ヒートシンク67,68のサイズをトータルでより小形
にすることができる。また、各IGBT48,49にヒ
ートシンク67,68を取り付ける際に、各コレクタと
ヒートシンク67,68との間を絶縁する必要がなくな
るので、ヒートシンクを独立にしたことによる行程の増
加を抑制することもできる。
【0087】本発明は上記し且つ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、次のような変形または
拡張が可能である。第3実施例と第4実施例とを組み合
わせて、コードリール9と回路基板13とを横方向に並
べて配置することで、何れも遮断部の一部として用いて
も良い。斯様に構成すれば、本体1内部の容積効率を一
層高めることができ、遮断部に必要な材料をより少なく
することもできる。第9及び第10実施例における水滴
侵入防止部の形状は、図示したものに限ることなく、外
部からの水滴の侵入を防止できる形状であればその他の
形状でも良い。第13実施例は、ヒートシンクを必ずし
もシリコン樹脂などで接着せずとも、外枠の内壁に密着
させるように配置すれば良い。第15実施例において、
IGBT59及び60にゲート信号を夫々独立に与える
ようにしても良い。第16実施例は、第15実施例に適
用しても良い。遮断部を構成する材質は、断熱性を有す
るものを適宜選択して使用すれば良い。スイッチング素
子は、IGBTに限ることなく、パワートランジスタや
パワーMOSFET等でも良い。シール部材はシリコン
樹脂に限ることなく、その他の樹脂や接着剤などでも良
い。
【0088】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであるので、
以下の効果を奏する。請求項1記載の電気炊飯器によれ
ば、炊飯部と放熱部とが配置される空間を遮断部によっ
て分離することで、炊飯部においては断熱性を高めて炊
飯釜を効率良く加熱することができるようになると同時
に、炊飯部で発生する熱の影響が放熱部に及ぶことを極
力防止できるので、放熱部においては回路部品に発生す
る熱を効率良く放熱できるようになる。
【0089】従って、従来とは異なり、冷却ファンを用
いずともヒートシンクの熱容量や放熱面積を適性に設計
することによって放熱部の放熱を良好に行うことがで
き、本体を小形に構成できると共に冷却ファンの駆動音
が騒音となることがない。また、炊飯部の断熱性が向上
することにより本体全体について断熱性を高める必要が
なく、本体の厚さを薄くすることができると共に、底板
に通気口を設けて放熱部の放熱性をより高めることもで
きる。
【0090】請求項2記載の電気炊飯器によれば、遮断
部を、本体の上部側に対応する部分の断熱性が本体の下
部側に対応する部分の断熱性よりも良好となるように構
成するので、炊飯部において熱せられた空気が本体上部
に滞留しても、その熱の影響が放熱部に及ぶことを効率
的に防止できる。
【0091】請求項3記載の電気炊飯器によれば、遮断
部の一部を、回路基板に電源を供給するための電源コー
ドを収納するコードリールによって構成するので、使用
時に電源コードが引き出され、内部が空気で満たされて
断熱性が良好となるコードリールによって遮断部の断熱
性を高めることができ、また、本体内部に要するスペー
スを縮小することができる。
【0092】請求項4記載の電気炊飯器によれば、遮断
部の一部を回路基板によって構成するので、本体内部に
要するスペースを縮小することができる。
【0093】請求項5記載の電気炊飯器によれば、回路
基板を本体下部側に配置するので、炊飯部で発生した熱
の影響が回路基板に搭載されている回路部品に及ぶこと
を極力防止できる。
【0094】請求項6記載の電気炊飯器によれば、炊飯
部が配置される本体内部の空間を密閉状態にするので、
炊飯部と放熱部との間の熱交換作用を一層低減すること
ができる。
【0095】請求項7記載の電気炊飯器によれば、放熱
部において、本体の底板或いは底板付近に空気取入口を
設けると共に、本体の背面或いは側面の上部に空気排出
口を設けるので、自然対流の作用によって底板側に設け
た空気取入口より外気を取り込み、放熱部において熱せ
られた空気を上部側に設けた空気排出口より排出するこ
とで、放熱部における放熱効率をより向上させることが
可能となる。
【0096】請求項8記載の電気炊飯器によれば、空気
排出口に、外部からの水滴などの侵入を防止するための
水滴侵入防止部を設けるので、本体外部と本体内部の放
熱部とが空気排出口を介して直接的に連通することがな
く、放熱部に存在する回路基板が水分によって侵される
ことを防止することができる。
【0097】請求項9記載の電気炊飯器によれば、放熱
部のヒートシンクに、本体の上下方向に沿うようにフィ
ンを設けるので、自然対流の作用によって本体下部側か
ら上部側にかけて空気が上昇する経路に沿ってヒートシ
ンクにフィンを設けることで放熱効率を高めることがで
きる。
【0098】請求項10記載の電気炊飯器によれば、回
路基板の上方に位置する部位において、ヒートシンクの
上端と本体の遮断部側とをシール部材を介して連結する
ので、空気排出口を介して放熱部内に水滴などが侵入し
た場合であっても、その水滴が回路基板にまで達するこ
とをシール部材によって防止することができる。
【0099】請求項11記載の電気炊飯器によれば、回
路基板を本体の遮断部側に配置して、ヒートシンクの上
端と空気排出口の上端とをシール部材を介して連結する
ので、請求項10と同様に、空気排出口を介して放熱部
内に水滴などが侵入した場合でも、水滴が回路基板にま
で達することを防止できる。
【0100】請求項12記載の電気炊飯器によれば、ヒ
ートシンクを本体に密着させるので、ヒートシンクから
本体を介して放熱を行うことができ、放熱効率を向上さ
せることができる。
【0101】請求項13記載の電気炊飯器によれば、炊
飯部の加熱コイルを、複数個のスイッチング素子によっ
て高周波電流が供給されて炊飯釜を誘導加熱するように
構成するので、複数個のスイッチング素子を所定の順序
でスイッチングすることにより、各スイッチング素子に
おける損失の発生量が低減されるので、夫々の放熱を容
易に行うことができる。
【0102】請求項14記載の電気炊飯器によれば、電
力供給制御回路を、複数個のスイッチング素子により交
流電源を直接スイッチングすることによって高周波電流
を生成するように構成するので、交流電源を整流するた
めの整流回路が不要となり、その分だけトータルの発熱
量を少なくすることができる。
【0103】請求項15記載の電気炊飯器によれば、放
熱部のヒートシンクを、複数個のスイッチング素子の放
熱用として夫々に対応して設けるので、各ヒートシンク
における放熱効率が良好となり夫々のサイズを小さくす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す電気炊飯器の縦断側
面図
【図2】電気的構成を概略的に示す図
【図3】炊飯行程における入力電力の供給パターン並び
に炊飯部及び放熱部における雰囲気温度変化の一例を示
す図
【図4】本発明の第2実施例であり、底板に外枠を組み
付ける前の状態を示す分解図
【図5】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図11】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図12】本発明の第10実施例を示す図1相当図
【図13】本発明の第11実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第12実施例を示す図1相当図
【図15】本発明の第13実施例を示す図1相当図
【図16】本発明の第14実施例を示す図2相当図
【図17】本発明の第15実施例を示す図2相当図
【図18】本発明の第16実施例を示す図1相当図
【図19】従来の電気炊飯器における図3相当図
【符号の説明】
1は本体、4Aは空気取入口、5は炊飯釜、7は加熱コ
イル、8は炊飯部、9はコードリール、10は遮断部、
11はIGBT(回路部品,スイッチング素子)、12
はヒートシンク、13及び13Aは回路基板、14,1
4A〜14Fは放熱部、17はリアクタ(回路部品)、
18は整流回路(回路部品)、26は電源供給制御回
路、27,28,29,30は遮断部、31は断熱部
材、35は遮断部、38は空気排出口、39はヒートシ
ンク、39aはフィン、40及び41は水滴侵入防止
部、42はシール部材、43は空気排出口l、44はシ
ール部材、47はヒートシンク、48及び49はIGB
T(スイッチング素子)、54は電源供給制御回路、5
2は加熱コイル、59及び60はIGBT(スイッチン
グ素子)、66は電源供給制御回路、67及び68はヒ
ートシンクを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 心 愛知県瀬戸市穴田町991番地 株式会社東 芝愛知工場内 Fターム(参考) 3K051 AA01 AA03 AA08 AB04 AB09 AC02 AC12 AC54 AC57 AD30 AD31 AD34 BD15 CD01 CD42 CD44 4B055 AA03 BA23 BA25 CA16 CA62 CA70 CA73 CB03 CB06 CB07 CB09 CB13 CB27 CC01 CC16 CC27 CC44 CC45 CD69 DA02 DA03 DB14 DB15 GD01 GD05 5E322 AA11 AB11 BA01 CA05 CA06 EA03 FA02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体内部にセットされる炊飯釜を加熱コ
    イルにより誘導加熱して炊飯及び保温を行う炊飯部と、 前記加熱コイルに供給する電力を制御するための電力供
    給制御回路を構成する回路部品が搭載されている回路基
    板と、 前記回路部品に発生する熱を、ヒートシンクを介して放
    熱させる放熱部と、 前記本体内部において、前記炊飯部と前記放熱部とが配
    置される空間を分離するための遮断部とを具備したこと
    を特徴とする電気炊飯器。
  2. 【請求項2】 遮断部は、本体の上部側に対応する部分
    の断熱性が、本体の下部側に対応する部分の断熱性より
    も良好となるように構成されていることを特徴とする請
    求項1記載の電気炊飯器。
  3. 【請求項3】 遮断部の一部を、回路基板に電源を供給
    するための電源コードを収納するコードリールによって
    構成することを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
  4. 【請求項4】 遮断部の一部を、回路基板によって構成
    することを特徴とする請求項1または3記載の電気炊飯
    器。
  5. 【請求項5】 回路基板を、本体下部側に配置すること
    を特徴とする請求項4記載の電気炊飯器。
  6. 【請求項6】 炊飯部が配置される本体内部の空間を、
    密閉状態とするように構成されていることを特徴とする
    請求項1乃至5の何れかに記載の電気炊飯器。
  7. 【請求項7】 放熱部において、本体の底板或いは底板
    付近に空気取入口を設けると共に、本体の背面或いは側
    面の上部に空気排出口を設けたことを特徴とする請求項
    1乃至6の何れかに記載の電気炊飯器。
  8. 【請求項8】 空気排出口に、外部からの水滴などの侵
    入を防止するための水滴侵入防止部を設けたことを特徴
    とする請求項7記載の電気炊飯器。
  9. 【請求項9】 放熱部のヒートシンクに、本体の上下方
    向に沿うようにフィンを設けたことを特徴とする請求項
    7または8記載の電気炊飯器。
  10. 【請求項10】 回路基板の上方に位置する部位におい
    て、ヒートシンクの上端と本体の遮断部側とをシール部
    材を介して連結したことを特徴とする請求項7乃至9の
    何れかに記載の電気炊飯器。
  11. 【請求項11】 回路基板を本体の遮断部側に配置し、 ヒートシンクの上端と空気排出口の上端とをシール部材
    を介して連結したことを特徴とする請求項7乃至9の何
    れかに記載の電気炊飯器。
  12. 【請求項12】 ヒートシンクを本体に密着させたこと
    を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電気炊飯
    器。
  13. 【請求項13】 電力供給制御回路は、複数個のスイッ
    チング素子を備えて構成され、 炊飯部の加熱コイルは、前記複数個のスイッチング素子
    によって高周波電流が供給され、炊飯釜を誘導加熱する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1乃至1
    2の何れかに記載の電気炊飯器。
  14. 【請求項14】 電力供給制御回路は、複数個のスイッ
    チング素子により交流電源を直接スイッチングすること
    によって高周波電流を生成するように構成されているこ
    とを特徴とする請求項13記載の電気炊飯器。
  15. 【請求項15】 放熱部のヒートシンクは、複数個のス
    イッチング素子の放熱用として夫々に対応して設けられ
    ていることを特徴とする請求項13または14記載の電
    気炊飯器。
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