JP2001066063A - 遠心薄膜乾燥機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷運転時に、可動ブレードのブレード先端
部と伝熱胴との間に最適な隙間を作る。 【解決手段】 遠心薄膜乾燥機３のブレード３３を、主
軸側に取付けられた固定ブレード３７と、固定ブレード
３７とヒンジピン４９によって回転自在に結合され、ブ
レード先端部が伝熱胴５と対向し合う可動ブレード３５
とで形成し、ブレード回転制御手段５３によって、無負
荷運転時には、前記可動ブレード３５をブレード遠心軸
線Ｙから回転方向へ先行させると共に、負荷運転時に
は、前記可動ブレード３５をブレード遠心軸線Ｙ上に臨
ませてブレード先端部と伝熱胴５との間に最適な隙間ｄ
を作る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、遠心薄膜乾燥機
に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、遠心薄膜乾燥機の概要は、内壁
面に加熱された本体胴内に、回転可能な主軸が配置さ
れ、その主軸に長手方向に沿ってブレードが取付けられ
ている。本体胴の上方は、汚泥等を取入れる取入部、下
方は前記本体胴内において水分が蒸発し乾燥した汚泥を
乾燥粉体として取出す取出部となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ブレードは、図５に示
すように板状に形成された可動ブレード１０１と固定ブ
レード１０３とで構成され、固定ブレード１０３は、回
転可能な主軸１０５の取付座１０７に取付けられてい
る。可動ブレード１０１は、ヒンジピン１０９によって
前記固定ブレード１０３に取付けられると共に、ヒンジ
ピン１０９のヒンジ軸心Ｘを中心として回転可能となっ
ている。

【０００４】これにより、可動ブレード１０１は主軸１
０５が回転することで、その遠心力の作用を受けて本体
胴１１１の伝熱胴となる内壁面１１３と接近し、ブレー
ド先端部との間に隙間ｄを作る。隙間ｄは、処理物が通
過する時に、伝熱胴となる内壁面１１３から熱が与えら
れる重要な要素となっている。

【０００５】このために、可動ブレード１０１を、図６
に示すように、主軸１０５の回転軸心Ｐから放射方向に
延長されたブレード遠心軸線Ｙ上に沿って配置し、その
ブレード先端部と内壁面１１３との隙間ｄが最適条件と
なるよう設定されている。

【０００６】隙間ｄの設定は無負荷時となる静止状態の
時に行なわれるため、運転時に風圧プラス掻取り抵抗の
合成力が可動ブレード１０１に働くと、可動ブレード１
０１は、最適条件に設定されたブレード遠心軸線Ｙから
後退し、隙間ｄに狂いが起こる。この可動ブレード１０
１の後退により、隙間ｄは大きく拡大する結果、伝熱効
率が悪化し、乾燥性能を低下させていた。

【０００７】そこで、この発明は、負荷運転時に、ブレ
ード先端部と内壁面との隙間が適正に保持される遠心薄
膜乾燥機のブレードを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明の請求項１にあっては、円筒状の伝熱胴
と、伝熱胴内に回転自在に配置された主軸と、主軸に取
り付けられた固定ブレードと、固定ブレードを介して伝
熱胴内面を回転する可動ブレードと、可動ブレードと固
定ブレードを接続する固定ブレードのブレードヒンジ部
と可動ブレードのブレードヒンジ部とを有する遠心薄膜
乾燥機において、無負荷運転時に、前記可動ブレードを
ブレード遠心軸線から回転方向へ先行させると共に、負
荷運転時に、前記可動ブレードをブレード遠心軸線上に
の臨ませてブレード先端部と内壁面との間に最適な隙間
を作るブレード回転制御手段を備える。

【０００９】これにより、負荷運転時の可動ブレード
は、ブレード遠心軸線上に臨み、ブレード先端部と内壁
面との間に最適な隙間を作り、良好な伝熱効率が確保さ
れるようになる。

【００１０】また、この発明の請求項２によれば、ブレ
ード回転制御手段を、可動ブレードから延長され、ブレ
ード遠心軸線から外れた位置に臨む回転駆動重りとす
る。

【００１１】これにより、例えば、負荷運転時におい
て、回転駆動重りは遠心力の作用を受けて、可動ブレー
ドをブレード遠心軸線上に臨ませる。この結果、ブレー
ド先端部と内壁面との間に最適な隙間を確保する。ま
た、構造も簡単なものとなる。

【００１２】また、この発明の請求項３によれば、ブレ
ード回転制御手段を、無負荷運転時及び負荷運転時にば
ね圧によって可動ブレードをブレード遠心軸線から回転
方向へ先行させる状態とブレード遠心軸線上に臨ませる
状態とに付勢制御する付勢ばねとする。

【００１３】これにより、付勢ばねのばね圧によって、
負荷運転時の可動ブレードをブレード遠心軸線上に臨ま
せる。この結果、ブレード先端部と内壁面との間に最適
な隙間を確保する。また、構造も簡単なものとなる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図１乃至図３の図面を参照
しながらこの発明の第１の実施形態について具体的に説
明する。

【００１５】図３において、１は遠心薄膜乾燥機３の本
体胴を示している。本体胴１は２重構造となっていて、
その２重構造となる内壁面５と外壁面７の間には加熱蒸
気が送り込まれることで、内壁面５は加熱された伝熱胴
となっている。

【００１６】本体胴１の上部は、蒸気排出口９と汚泥取
入口１１が設けられた上部胴１３を有し、上部胴１３の
内側には、回転により汚泥取入口１１からの汚泥を均一
に分散させると共に、下方へ向けて汚泥に圧力を加える
分散環１５を有している。本体胴１の下部は、乾燥した
粉体を取出す粉体取出部１７となっている。

【００１７】本体胴１の内部には、上下に長い主軸１９
が配置され、主軸１９の上端は、前記上部胴１３に設け
られた上部軸受部２１によって、下端は、本体胴１の下
端部に設けられた下部軸受部２３によってそれぞれ回転
自在に両端支持されている。

【００１８】主軸１９は、前記上部胴１３より上方へ延
長され、その延長軸１９ａに設けられたＶプーリ２５と
電動機２７のＶプーリ２９とに掛回された伝導ベルト３
１によって電動機２７の回転動力が与えられるようにな
っている。

【００１９】また、前記主軸１９には、長手方向に沿っ
てブレード３３が取付けられ、このように取付けられた
ブレード３３がこの実施形態では４列に配置された構造
となっている。

【００２０】ブレード３３は、図１，図２に示すよう
に、上下に長い板状の可動ブレード３５と固定ブレード
３７とで構成され、固定ブレード３７は、前記主軸１９
に設けられた取付座３９に固定ボルト４１によって固定
支持されている。

【００２１】固定ブレード３７と可動ブレード３５に
は、上下にブレードヒンジ部４３，４４がそれぞれ設け
られている。固定ブレード３７のブレードヒンジ部４３
は、可動ブレード３５のブレードヒンジ部４４を上下か
ら挾みつけるように上下一対の形状となっていて、可動
ブレード３５と固定ブレード３７との間は、後述する回
転駆動重り４５の回動時に自由に通過できる通過スペー
スとなっている。

【００２２】可動ブレード３５と固定ブレード３７の各
ブレードヒンジ部４３，４４には、上下に貫通するヒン
ジ孔４５，４６がそれぞれ設けられ、各ヒンジ孔４５，
４６には、可動ブレード３５のヒンジ軸心Ｘとなるヒン
ジピン４９が挿通している。

【００２３】可動ブレード３５のブレード先端部は、前
記本体胴の内壁面５と対向し合うと共に、主軸１９の回
転軸心Ｐから放射方向に延長されたブレード遠心軸線Ｙ
上において、内壁面５との間に形成される隙間ｄが最適
となるよう設定されている。また、ブレード先端部のほ
ぼ中央部位には、Ｕ字状に切欠かれた切欠部５１が設け
られ、掻取り面３５ａの先端側において、上下に分けら
れた形状となっている。

【００２４】一方、可動ブレード３５のブレード後端部
には、ブレード回転制御手段５３となる回転駆動重り４
５が設けられている。

【００２５】回転駆動重り４５は、可動ブレード３５か
らブレード遠心軸線Ｙより所定角度偏位した位置へアー
ム５５が延長され、その延長端に回転駆動重り４５が設
けられた構造となっている。

【００２６】回転駆動重り４５の位置及び質量は、無負
荷運転時において、図１実線で示すように、遠心力の作
用を受けてブレード遠心軸線Ｙより回転方向へ可動ブレ
ード３５を先行させるよう設定されている。さらに、負
荷運転時には、例えば、風圧プラス掻取り抵抗等の合成
力に抗して、回転駆動重り４５に作用する遠心力の作用
で可動ブレード３５を図１鎖線で示すようにブレード遠
心軸線Ｙ上に臨ませるよう設定されている。

【００２７】このように構成された遠心薄膜乾燥機３に
よれば、主軸１９の回転で、回転駆動重り４５は遠心力
の作用を受け、無負荷時の可動ブレード３５を、ブレー
ド遠心軸線Ｙから回転方向へ先行させる（図１実線）。
同時に、分散環１５は、汚泥取入口１１から送り込まれ
た排水汚泥を、遠心力により内壁面５へ向けて均一に分
散させる。と共に、排水汚泥に下方へ向けて圧力を加え
る。分散環５によって分散された排水汚泥は、さらに、
可動ブレード３５により薄い均一な液膜にされる。この
時、可動ブレード３５は、遠心力の作用を受ける回転駆
動重り４５によってブレード遠心軸線Ｙ上に後退し、最
適な隙間ｄにより、上からの圧力で処理物は前記内壁面
５に沿って円滑に下降する。下降時の処理物は、伝熱胴
となる内壁面５から与えられる熱で水分が蒸発し、スラ
リー化する。スラリー化し、一定以上成長した一部の薄
膜層は可動ブレード３５によって効率良く掻取られ、掻
取られた処理物は、可動ブレード３５による遠心力の作
用を受けて隙間ｄから内壁面５に沿って円滑に下降移動
する。その下降移動時に、蒸発が進行して水分を失い固
形化する。固形化した汚泥は、含水率がさらに下がり、
回転する可動ブレード３５の作用を受けて粉体にされ、
粉体取出口１７から乾燥粉体として外へ排出される。

【００２８】これら、一連の動作時において、蒸発した
蒸気は、蒸気排出口９から外へ排出された後、例えば、
図外の復水器等よって凝縮され回収処分される。

【００２９】一方、可動ブレード３５のブレード先端部
と内壁面５との間に確保される最適な隙間ｄによって、
処理物は円滑に降下し、安定した水分蒸発の処理プロセ
スが得られるようになる。

【００３０】図４はブレード回転制御手段５３の第２の
実施形態を示したものである。

【００３１】即ち、上下に分割された上位側のヒンジス
リーブ５７は、固定ブレード３７の一方のブレードヒン
ジ部４４内に、下位側のヒンジスリーブ５９は可動ブレ
ード３５のブレードヒンジ部４３内にそれぞれ一体に固
着され、中央部位をヒンジピン４９が挿通している。上
位側及び下位側の各ヒンジスリーブ５７，５９には、コ
イル状の付勢ばね６１が介装され、一方のばね端末は上
位側のヒンジスリーブ５７に、他方のばね端末は下位側
のヒンジスリーブ５９にそれぞれ係止している。付勢ば
ね６１は、可動ブレード３５の無負荷時において、ブレ
ード遠心軸線Ｙから回転方向へ先行させると共に、負荷
時において、風圧プラス掻取り抵抗に抗して可動ブレー
ド３５をブレード遠心軸線Ｙ上に臨ませるばね圧に設定
されている。

【００３２】なお、他の構成要素は第１の実施形態と同
一のため、同一符号を符して詳細な説明を省略する。

【００３３】したがって、この第２の実施形態によれ
ば、負荷運転時において、付勢ばね６１のばね圧によ
り、ブレード先端部と伝熱胴となる内壁面５との間に確
保される最適な隙間ｄによって、処理物は円滑に降下す
るため、安定した水分蒸発の処理プロセスが得られるよ
うになる。

【００３４】

【発明の効果】以上、説明したように、この発明によれ
ば、負荷運転時にブレード先端部と内壁面との間に最適
な隙間を作ることができるため、処理物は円滑に通過し
降下するようになり、安定した水分蒸発の処理プロセス
が得られる。また、構造も簡単なものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる遠心薄膜乾燥機のブレードの
一部分を示した概要平面図。

【図２】図１の概要側面図。

【図３】遠心薄膜乾燥機の一部分を切欠した全体の概要
斜視図。

【図４】ブレード回転制御手段の第２の実施形態を示し
た一部分の切断断面図。

【図５】従来例を示した図２と同様の概要側面図。

【図６】従来例のブレードの説明図。

【符号の説明】

３ 遠心薄膜乾燥機 ５ 内壁面（伝熱胴） ３３ ブレード ３５ 可動ブレード ３７ 固定ブレード ４９ ヒンジピン ５３ ブレード回転制御手段 ｄ 隙間 Ｙ ブレード遠心軸線

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状の伝熱胴と、伝熱胴内に回転自在
   に配置された主軸と、主軸に取り付けられた固定ブレー
   ドと、固定ブレードを介して伝熱胴内面を回転する可動
   ブレードと、可動ブレードと固定ブレードを接続する固
   定ブレードのブレードヒンジ部と可動ブレードのブレー
   ドヒンジ部とを有する遠心薄膜乾燥機において、無負荷
   運転時に、前記可動ブレードをブレード遠心軸線から回
   転方向へ先行させると共に、負荷運転時に、前記可動ブ
   レードをブレード遠心軸線上に臨ませてブレード先端部
   と伝熱胴との間に最適な隙間を作るブレード回転制御手
   段を備えていることを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
2. 【請求項２】 ブレード回転制御手段は、可動ブレード
   から延長され、ブレード遠心軸線から外れた位置に臨む
   回転駆動重りであることを特徴とする請求項１記載の遠
   心薄膜乾燥機。
3. 【請求項３】 ブレード回転制御手段は、無負荷運転時
   及び負荷運転時にばね圧によって可動ブレードをブレー
   ド遠心軸線から回転方向へ先行させる状態とブレード遠
   心軸線上に臨ませる状態とに付勢制御する付勢ばねであ
   ることを特徴とする請求項１記載の遠心薄膜乾燥機。