JP2001065621A - 油圧緩衝器のバルブ構造 - Google Patents

油圧緩衝器のバルブ構造

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JP2001065621A
JP2001065621A JP24439199A JP24439199A JP2001065621A JP 2001065621 A JP2001065621 A JP 2001065621A JP 24439199 A JP24439199 A JP 24439199A JP 24439199 A JP24439199 A JP 24439199A JP 2001065621 A JP2001065621 A JP 2001065621A
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valve
orifice
piston
outer peripheral
opening
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JP24439199A
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Naoyuki Yoshimura
直行 吉村
Teruyuki Yamada
輝幸 山田
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KYB Corp
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Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビテーションの発生を抑制することがで
き、スウィッシュ音の発生しにくい緩衝器を提供するこ
と。 【解決手段】 ピストン112の第1の外周ポート11
2Aの出口側とバルブケースの第2の外周ポートの出口
側に、それぞれ環状の内周シート部112Aと環状の外
周シート部112Cとで区画された環状の開口窓112
Fを設け、各外周シート部の上端には上記環状の開口窓
をそれぞれ上部室と下部室とに連通するオリフィス11
2Jを形成し、更に逆止弁110,111と吸い込み弁
とを相対向する内側開口部110A,111Bを形成し
た上下2枚のリーフバルブ110,111でそれぞれ構
成し、下側のリーフバルブ111には上記外周シート部
の半径方向の巾Wより狭い巾Lの外側開口部111Aを
形成し、当該外側開口部をオリフィスに対向させなが
ら、2枚のリーフバルブを内周シート部と外周シート部
上に開閉自在に配設したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の懸架装置な
ど車体の振動を抑制する油圧緩衝器のバルブ構造に関
し、特に、スウィッシュ音の発生を抑制する減衰力発生
構造の改良に関するものである。
【0001】
【従来の技術】この種の油圧緩衝器としては、例えば、
図5に示すようなものが知られているが、まず、この油
圧緩衝器の構造の概要を図面に基づいて説明する。
【0002】車体と車輪との間に結合部材を介して取付
けられる油圧緩衝器は、ピストンロッド1にピストン1
2とピストンバルブPVを組み付け、それを摺動自在に
収容するとともに、下端部にベースバルブBVを装着し
たシリンダ2を外筒3に収容し、外気を遮断するシール
4とロッドガイド5とを収容したパッキンケース6を外
筒3の上部から嵌挿した後、外筒3の上端部を全周溶接
等により密封して形成されている。
【0003】そして、シリンダ2と外筒3の間にはタン
ク室Dが形成される。
【0004】作動油の充満したシリンダ2内をピストン
ロッド1が上昇する際には、密閉された上部室Aの作動
油は、ピストンバルブPVを介して、下部室Bに流出
し、この際の通路抵抗が伸長側減衰力となる。
【0005】ピストンロッド1の上昇によって不足する
ピストンロッド退出体積分の作動油は、前記シリンダ2
の下端部に配設されたベースバルブBVを介してタンク
室Dに連なる底部室Cより吸入される。
【0006】次に、この油圧緩衝器のピストンバルブP
Vについて説明する。
【0007】ピストンロッド1の下端部には上部よりも
小径のインロー部1Aが設けられ、ここに、シリンダ内
を摺接するピストンバンド13を外面に装着したピスト
ン12,当該ピストン12の背面に外環部に切欠き11
Aを備えた切欠きリーフバルブ11及びこれに重畳した
穴あきリーフバルブ10からなる逆止弁,外周が当該逆
止弁の撓みの支持径となる環座9,前記逆止弁を背面か
ら付勢するリーフスプリング8,前記逆止弁の最大撓み
を規制するバルブストッパ7を重畳して嵌挿する。
【0008】次に、内周側が固定される座金状のリーフ
バルブ14,外周が当該リーフバルブ14の撓みの支持
径となる環座15を嵌挿し、更に、当該リーフバルブ1
4の外周側に当接するスプリングシート16及び当該ス
プリングシート16を背面から付勢するスプリング17
を上下動自在に案内するピストンナット18を螺着す
る。
【0009】最後に、ピストンナット18を規定の締め
付けトルクでインロー部1Aに締結することにより、ピ
ストンバルブPVが構成される。
【0010】シリンダ2内を上部室Aと下部室Bに区画
するピストン12には、下部室Bに連通する外周ポート
12A及び上部室Aに連通する内周ポート12Bが穿設
されている。
【0011】外周ポート12Aの上端部には、外側シー
ト面12C及び中間シート面12Dにより形成される環
状開口窓12Fが設けられ、内周ポート12Bの上端部
には、中間シート面12D及び内側円筒部12Eにより
形成される環状開口窓12Gが設けられている。
【0012】当該開口窓12F及び12Gには、切欠き
11Aを備えた切欠きリーフバルブ11及びこれに重畳
した穴あきリーフバルブ10からなる逆止弁が着座し
て、上部室Aと下部室Bとを連通する切欠きからなるオ
リフィス通路11Aが形成される。
【0013】ピストン速度が小さく上部室Aと下部室B
間の圧力差が小さい所謂微低速〜低速域においては、ス
プリング17に付勢されているリーフバルブ14の外周
は、ピストン下面の開口窓12Hを覆窓している。
【0014】このため、上部室Aの圧油は、前記オリフ
ィス通路11Aを介して下部室Bに開放され、この際の
通路抵抗により微低速〜低速域の減衰力を発生する。
【0015】ピストン速度が増大するに伴いオリフィス
通路11Aを通過する流量も増え、オリフィス通路前後
の圧力差も増大する。
【0016】ピストン速度が中速域に近づくにつれ、上
部室Aと下部室Bの圧力差が大きくなるので、スプリン
グ17に付勢されているリーフバルブ14の外周が、ス
プリング17の付勢力とリーフバルブ14からなる伸側
減衰弁の合成された撓み剛性に打ち勝って、ピストン下
面の開口窓12Hから押し開かれ、作動油が下部室Bに
流出し、この際の通路抵抗により中速域以降の減衰力を
発生する。
【0017】以上の説明は、作動油の充満したシリンダ
2内をピストンロッド1が上昇する伸長側についてであ
るが、逆にピストンロッド1が下降する際には、密閉さ
れた下部室Bの作動油は、ピストン12の外周ポート1
2Aを通り、リーフスプリング8によって付勢された逆
止弁10,11を押し開き、負圧となる上部室Aに補充
される。
【0018】この分を除いた下部室Bの作動油は、下部
室Bよりシリンダ2の下端部に装着されたベースバルブ
BVを介して、タンク室Dに連なる底部室Cに流出し、
この際の通路抵抗が圧縮側減衰力となる。
【0019】油圧緩衝器の液圧室を形成するシリンダ2
の下端部には、バルブケース27が嵌着されている。
【0020】このバルブケースには、底部室Cに連通す
る外周ポート27A及び下部室Bに連通する内周ポート
27Bが形成されている。
【0021】当該外周ポート27Aの上端部には外側シ
ート面27C及び中間シート面27Dにより形成される
環状開口窓27Fが設けられ、内周ポート27Bの上端
部には、中間シート面27D及び内側円筒部27Eによ
り形成される環状開口窓27Gが設けられている。
【0022】当該開口窓27F及び27Gには、切欠き
26Aを備えた切欠きリーフバルブ26及びこれに重な
る穴あきリーフバルブ25からなる吸い込み弁が着座し
て、下部室Bと底部室Cを連通する切欠きからなるオリ
フィス通路26Aが形成される。
【0023】つぎに、ベースバルブBVの構成を説明す
ると、まず、ガイド21の軸部21Aに、シリンダ2の
下端部に嵌着されるバルブケース27,当該バルブケー
ス27の背面に外環部に切欠き26Aを備えた切欠きリ
ーフバルブ26及びこれに重畳した穴あきリーフバルブ
25からなる吸い込み弁,外周が当該吸い込み弁の撓み
の支持径となる環座24,前記吸い込み弁を背面から付
勢するリーフスプリング23,前記吸い込み弁の最大撓
みを規制するバルブストッパ22を重畳して嵌挿する。
【0024】続いて、バルブケース27の下面開口窓2
7Hに対向する座金状のリーフバルブ28,当該リーフ
バルブ28の下面に重畳され外周部がリーフバルブ28
の撓みの支持径となる環座29,リーフバルブ28の最
大撓み量を規制するバルブストッパ30を順次嵌挿し、
ナット31を螺着する。
【0025】最後に、ナット31を規定の締め付けトル
クでガイド21の下端部に締結することにより、ベース
バルブBVが構成される。
【0026】ピストンロッド1が下降するピストン速度
の低速域においては、前記開口窓27Fに対向する切欠
きリーフバルブの切欠きからなるオリフィス通路26A
を通り、またピストン速度の増大する中速域以上におい
ては、ベースバルブケースの内周ポート27Bを通り下
面開口窓27Hに流入した作動油が、内周側が固定され
たリーフバルブ28からなる圧側減衰弁の外周側を押し
開いて、ピストンロッド1の進入体積分の作動油を下部
室Bからタンク室Dに連なる底部室Cに排出し、その際
の通路抵抗により圧縮側減衰力を発生させる。
【0027】逆に、ピストンロッド1の上昇時には、ベ
ースバルブケースの外周ポート27Aを通り、ノンリタ
ンスプリング23に付勢された吸い込み弁25,26を
押し開いて、ピストンロッド1の退出体積分の作動油を
底部室Cから下部室Bに吸入する。
【0028】以上、詳述したように、ピストンバルブP
Vがピストンロッド下端部に、ベースバルブBVがシリ
ンダ下端部に装着され、装着部の軸径が前者がピストン
ロッドインロー部,後者がガイドの軸部で太さが異なる
くらいで、オリフィス通路,逆止弁(圧側:吸い込み
弁)及び減衰弁の作用・効果は、ピストンバルブPV,
ベースバルブBVとも同じである。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に、本発明が
解決しようとするオリフィス通路の作用・効果は、ピス
トンバルブPV側の11A,ベースバルブBV側の26
Aとも同一であるので、主にピストンバルブPVについ
て従来技術の問題点を説明する。
【0030】ピストンロッド1が低速で伸長するピスト
ン速度の低速域において、圧力がP 1である上室Aの作
動油は、ピストン上面の開口窓12Fに対向する切欠き
リーフバルブにより形成されるオリフィス通路11Aを
通り、圧力がP2である下室Bへ流れる。
【0031】従来構造においては、ピストン速度が速く
なり流量Qが多くなると、オリフィス通路の流れは乱流
になる。
【0032】特に、減衰力が高い場合にはオリフィス通
路前後の差圧(P1−P2)が大きくなるため、乱流にキ
ャビテーションが加わり、スウィッシュ音と呼ばれる異
音が発生して車両の乗員に不快感を与える。
【0033】キャビテーションの発生を抑制する第1の
方法は、K=P2/(P1−P2)で定義されるキャビテ
ーション係数Kを規定値以上にすることである。
【0034】キャビテーション係数を規定値以上にする
には、P2を大きくするか、または、オリフィス通路前
後の差圧(P1−P2)を小さくする。P2を大きくする
には、タンク室Dに所定のガス圧の不活性ガスを封入す
ることで達成できるが、シール部で発生するフリクショ
ンが増大し、乗り心地を悪化させてしまう。
【0035】また、差圧(P1−P2)を小さくする方法
は、(P1−P2)が車両の要求する減衰力により決まる
値であることから、独自に採用することはできない。
【0036】キャビテーションの発生を抑制する第2の
方法は、オリフィス通路面積を替えずに切欠きの数nを
増加させ切欠きの巾bを狭くし、切欠きリーフバルブの
厚さをhとした切欠き1個当たりの通路面積b×hを小
さくする一方、作動油の接する浸潤長2(b+h)を長
くして乱流を発生しにくくすることである。
【0037】しかし、切欠きの数n及び巾bには設計及
び製作上の制約があり、所定の速度以上ではキャビテー
ションの発生を完全に防止することができない。
【0038】また、切欠きの数nを増加させ切欠きの巾
bを狭くすると、差圧(P1−P2)は、作動油の粘度の
影響を受け易くなる。
【0039】作動油の粘度は油温によって変化するた
め、差圧(P1−P2)に比例する減衰力が変化してしま
うという弊害も生じる。
【0040】従って、キャビテーション係数を小さくし
たりレイノルズ数Reを小さくすることでキャビテーシ
ョンの発生を抑制することは、一般に困難である。
【0041】本発明は、以上のような実情に鑑みてなさ
れたれたものであり、その目的とするところは、キャビ
テーションの発生を抑制することができ、スウィッシュ
音の発生しにくい緩衝器を提供することである。
【0042】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピストンロッ
ドに装着されたピストンにより、シリンダ内に上部室と
下部室とを区画し、ピストンには上部室と下部室とを連
通する第1の外周ポートと第1の内周ポートとを設け、
第1の外周ポートの出口側にピストン速度の低速域の減
衰力を制御するオリフィスを備えた逆止弁を開閉自在に
設け、第1の内周ポートの出口側には伸側減衰弁を開閉
自在に設け、ピストンロッドの伸縮に応じて逆止弁と伸
側減衰弁を開閉することにより、伸側減衰力を制御する
とともに、シリンダの下端部に装着されたバルブケース
により、上記下部室とタンク室に連なる底部室とを区画
し、バルブケースには下部室と底部室とを連通する第2
の外周ポートと第2の内周ポートとを設け、第2の外周
ポートの出口側にピストン速度の低速域の減衰力を制御
するオリフィスを備えた吸い込み弁を開閉自在に設け、
第2の内周ポートの出口側には圧側減衰弁を開閉自在に
設け、ピストンロッドの伸縮に応じて吸い込み弁と圧側
減衰弁を開閉することにより、圧側減衰力を制御する油
圧緩衝器を前提とするものである。
【0043】上記の目的を達成するための本発明の第1
の手段は、上記ピストンの第1の外周ポートの出口側と
バルブケースの第2の外周ポートの出口側に、それぞれ
環状の内周シート部と環状の外周シート部とで区画され
た環状の開口窓を設け、各外周シート部の上端には上記
環状の開口窓をそれぞれ上部室と下部室とに連通するオ
リフィスを形成し、更に逆止弁と吸い込み弁とを相対向
する内側開口部を形成した上下2枚のリーフバルブでそ
れぞれ構成し、下側のリーフバルブには上記外周シート
部の半径方向の巾より狭い外側開口部を形成し、当該外
側開口部をオリフィスに対向させながら、2枚のリーフ
バルブを内周シート部と外周シート部上に開閉自在に配
設したことである。
【0044】上記外側オリフィス及び内側オリフィスは
巾が一定でもよいが、外側オリフィスの巾よりも内側オ
リフィスの巾を広くして通路面積を大きくすることによ
り、スウィッシュ音の発生をより抑制することができ
る。
【0045】また、第2の手段は、上記ピストンの第1
の外周ポートの出口側とバルブケースの第2の外周ポー
トの出口側に、それぞれ環状の内周シート部と環状の外
周シート部とで区画された環状の開口窓を設け、更に逆
止弁と吸い込み弁とを相対向する内側開口部を形成した
上下2枚のリーフバルブでそれぞれ構成し、下側のリー
フバルブには上記外周シート部の半径方向の巾より狭い
外側開口部とこの外側開口部に連通する外側オリフィス
及び内側オリフィスを形成し、各外側オリフィスをそれ
ぞれ上部室と下部室とに開口させ且つ各内側オリフィス
をそれぞれ上記外側開口部に開口させながら、2枚のリ
ーフバルブを内周シート部と外周シート部上に開閉自在
に配設したことである。
【0046】上記外側オリフィス及び内側オリフィスは
通路面積が同一でもよいが、外側オリフィスよりも内側
オリフィスの通路面積を大きくすることにより、スウィ
ッシュ音の発生をより抑制することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明に係わる油圧緩衝器は、従
来技術と同じ基本構造を備え、シリンダ内にピストンバ
ルブPVを介してピストンロッドが移動自在に挿入さ
れ、またシリンダの下端部にはベースバルブBVが設け
られている。
【0048】ピストンバルブPVは、シリンダ内に上部
室Aと下部室Bを区画し、ベースバルブBVは、同じく
下部室Bと底部室Cを区画している。
【0049】前記従来技術で詳述したように、本発明が
解決しようとするオリフィス通路の作用・効果は、ピス
トンバルブPV側の逆止弁,ベースバルブBV側の吸い
込み弁とも同一であるので、ピストンバルブPV側の逆
止弁に本発明を適用する場合について、従来技術と異な
る部分にのみ異なる符号を付して説明する。
【0050】図1〜図2に示す本発明の第1実施形態の
ピストンバルブPVと、従来技術で説明したピストンバ
ルブPVとの相違点は、図1に示す外周シート部112
Cのようにシート部の巾Wを拡げ、当該外周シート部1
12Cに例えば打刻により形成したオリフィス112J
を形成するとともに、開口部111Aを設けたリーフバ
ルブ111を対向させたことである。
【0051】この開口部111Aは、図2(B)に示す
ように、環状の外環部111C,内環部111Dと、当
該外環部111C,内環部111Dを連結する少なくと
も1個の結合部111Kとで包囲して形成される。
【0052】また、開口部111Aの内側には、内環部
111Dと基環部111E,当該内環部111Dと基環
部111Eを連結する少なくとも1個の結合部111J
とに包囲された開口部111Bが形成され、ピストンの
内側開口窓112Gに連通している。
【0053】リーフバルブの開口部111Aの半径方向
の巾Lは、巾を拡げたピストン112側の外周シート部
112Cの半径方向の巾Wよりも狭く設定され、開口部
111Aは、図2(C)に示すように、ピストンの外周
シート部112Cと図2(A)に示す穴あきリーフバル
ブ110によって覆われている。
【0054】従って、上部室Aの作動油は、打刻オリフ
ィス112Jの外側オリフィスF1,開口部111A,
内側オリフィスF2を通ってピストン112の環状の開
口窓112Fに開放され、外周ポート112Aを介して
下部室Bに流出する。
【0055】この結果、下部室Bに連なるピストンの環
状の開口窓112Fは、外側オリフィスF1及び内側オ
リフィスF2を介して、上部室Aに連通するので、上部
室Aと下部室B間の差圧は、外側オリフィスF1を介し
ての上部室Aと切欠きリーフバルブの開口部111A間
の差圧,内側オリフィスF2を介してのリーフバルブの
開口部111Aと下部室B間の差圧に2分割される。
【0056】オリフィス112Jの巾Bが一定の場合に
は、外側オリフィスF1と内側オリフィスF2の通路面積
は同じになるので、2分割された各々のオリフィス前後
の差圧は、分割しない場合に比べてほぼ半減する。
【0057】この結果、高い減衰力を要求される場合で
もキャビテーションの発生が抑制され、スウィッシュ音
の発生を防止することができる。
【0058】ここで、上部室Aの圧力をP1,リーフバ
ルブの開口部111Aの圧力をP2,下部室Bの圧力を
3とおくと、外側オリフィスF1,内側オリフィスF2
における各キャビテーション係数K1,K2は、以下の式
で与えられる。
【0059】外側オリフィスF1に対するキャビテーシ
ョン係数K1=P2/(P1−P2) 内側オリフィスF2に対するキャビテーション係数K2
3/(P2−P3) 次に、各オリフィスの開口面積の設定について説明す
る。
【0060】まず、外側オリフィスF1を介した上部室
Aからリーフバルブの開口部111Aへの圧力降下(P
1−P2)と、内側オリフィスF2を介したリーフバルブ
の開口部111Aから下部室Bへの圧力降下(P2
3)とが、同一(P1−P2=P 2−P3)となるよう各
オリフィスF1,F2の開口面積を設定することが考えら
れる。
【0061】しかし、伸長行程では下部室Bの圧力P3
はリーフバルブの開口部111Aの圧力P2よりも常に
低い(P3<P2)ことを考慮にいれると、上記の条件で
は、内側オリフィスF2に対するキャビテーション係数
2が、外側オリフィスF1に対するキャビテーション係
数K1より小さくなり、内側オリフィスF2側で外側オリ
フィスF1側より先にキャビテーションが発生する惧れ
がある。
【0062】当該現象は、キャビテーションの発生を抑
制する上で必ずしも適切なことではない。
【0063】これを防止するためには、内側オリフィス
2に対するキャビテーション係数K2を、外側オリフィ
スF1に対するキャビテーション係数K1に近づけること
(K2≒K1)が必要である。
【0064】ここで、P2−P3は内側オリフィスF2
介した圧力降下であり、P1−P2は外側オリフィスF1
を介した圧力降下であるから、下流側のキャビテーショ
ン係数K2を大きくするには、内側オリフィスF2の通路
面積を外側オリフィスF1の通路面積より大きく設定し
て、P2−P3をP1−P2より小さくすればよい。
【0065】キャビテーションの発生を最も少なく抑え
るには、外側オリフィスF1に対するキャビテーション
係数K1(=P2/(P1−P2))と、内側オリフィスF
2に対するキャビテーション係数K2(=P3/(P2−P
3))を同じにすればよいので、K1=K2と置いて整理
すると、次式を得る。
【0066】P2=√(P1・P3) (1) ここで、減衰力をFd、ピストンの受圧面積をApとす
ると、打刻オリフィス前後の圧力差は次式で求められ
る。
【0067】P1−P3=Fd/Ap (2) P3は、油圧緩衝器の封入ガス圧であるから、(2)式
からP1、(1)式からP2が求められる。
【0068】そして、オリフィスを通る流量をQ、作動
油の密度をρ、外側オリフィスF1の合計通路面積を
1、内側オリフィスF2の通路面積をA2とすると、圧
力P1,P2,P3の間には以下の関係が成立する。
【0069】 A1=√{ρQ2/2C2(P1−P2)} (3) A2=√{ρQ2/2C2(P2−P3)} (4) 上記2つの式より、所用のオリフィス通路面積を求める
ことができる。
【0070】本発明の第1実施形態は、図2(C)に示
すように、オリフィス112Jの外側の巾B1に対して
内側の巾をB2を広くし、外側オリフィスF1の通路面積
の合計A1に対して内側オリフィスF2の通路面積の合計
2を大きくして上記の関係を満たすようにしたもので
ある。
【0071】オリフィスの通路面積をこのように設定す
ることにより、キャビテーションの発生を最小限に抑え
ることができるので、キャビテーションに起因するスウ
ィッシュ音の発生を効果的に抑制することができる。
【0072】図3に示す第2実施形態は、第1実施形態
の打刻オリフィス通路を無くす替わりに、図4(B)に
示すようにリーフバルブ211の開口部211Aを外側
から包囲する外環部211Cに外側オリフィスF1,内
環部211Dに内側オリフィスF2を、それぞれ開口部
211Aに連通させて設けたものである。
【0073】リーフバルブの開口部211Aの半径方向
の巾Lは、図4(C)に示すように、巾を拡げたピスト
ン112の外周シート部112Cの半径方向の巾Wより
も狭く設定され、開口部211Aはピストンの外周シー
ト部112Cと図4(A)に示す穴あきリーフバルブ1
10によって覆われている。
【0074】従って、上部室Aの作動油は、リーフバル
ブの外側オリフィスF1,開口部211A,内側オリフ
ィスF2を通ってピストン112の環状の開口窓112
Fに解放され、外周ポート112Aを介して下部室Bに
流出する。
【0075】この結果、下部室Bに連なるピストンの環
状の開口窓112Fは、外側オリフィスF1,内側オリ
フィスF2を介して、上部室Aに連通するので、上部室
Aとピストンの環状の開口窓112F間の差圧は、外側
オリフィスF1を介しての上部室Aとリーフバルブの開
口部211A間の差圧,内側オリフィスF2を介しての
開口部211Aと下部室B間の差圧に2分割される。
【0076】外側オリフィスF1の巾B1及び数と内側オ
リフィスF2の巾B2及び数が同じ場合は、双方の通路面
積は同じになるので、2分割された各々のオリフィス前
後の差圧は、分割しない場合に比べてほぼ半減する。
【0077】この結果、高い減衰力を要求される場合で
もキャビテーションの発生が抑制され、スウィッシュ音
の発生を防止することができる。
【0078】第1実施形態と同様に切欠きの数が同じ場
合は、外側オリフィスF1の巾B1に対して内側オリフィ
スF2の巾をB2を広くし、或いは切欠きの巾が同じ場合
は、外側オリフィスF1に対して内側オリフィスF2の数
を増やすことにより、外側オリフィスF1の通路面積の
合計A1に対して内側オリフィスF2の通路面積の合計A
2を大きくし、双方のキャビテーション係数を同じにす
れば、キャビテーションの発生を最小限に抑えることが
できるため、キャビテーションに起因するスウィッシュ
音の発生を効果的に抑制することができる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明の第1,第2実
施形態によれば、オリフィス通路のオリフィスを2段に
分割することにより、上部室と下部室間の差圧をオリフ
ィスを介して2段に分割することができる。
【0080】分割された各々のオリフィス前後の差圧
は、分割しない場合に比べてほぼ半減することができる
ので、高い減衰力を要求される場合でも、キャビテーシ
ョンの発生が抑制され、スウィッシュ音の発生を防止す
ることができる。
【0081】特に、外側オリフィスの通路面積に対して
内側オリフィスの通路面積を大きくして双方のキャビテ
ーション係数を同じにすれば、キャビテーションの発生
を最小限に抑えることができるため、キャビテーション
に起因するスウィッシュ音の発生を効果的に抑制するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係わる逆止弁及び吸い込み弁近
傍の要部断面図である。
【図2】(A) 穴あきリーフバルブの平面図である。 (B) 下側リーフバルブの平面図である。 (C) 下側リーフバルブをピストン上に配置した状態
の平面図である。
【図3】第2実施形態に係わる逆止弁及び吸い込み弁近
傍の要部断面図である。
【図4】(A) 穴あきリーフバルブの平面図である。 (B) 下側リーフバルブの平面図である。 (C) 下側リーフバルブをピストン上に配置した状態
の平面図である。
【図5】(A) 従来技術に係る油圧緩衝器の縦断面図
である。 (B) 従来技術に係る穴あきリーフバルブの平面図で
ある。 (C) 従来技術に係る切欠きリーフバルブの平面図で
ある。
【符号の説明】
A 上部室 B 下部室 C 底部室 D タンク室 F1 外側オリフィス F2 内側オリフィス 1 ピストンロッド 2 シリンダ 14 伸側減衰弁(リーフバルブ) 25,26 吸い込み弁 27 バルブケース 27A 第2の外周ポート 27B 第2の内周ポート 27F 第2の開口窓 28 圧側減衰弁(リーフバルブ) 110,111 2枚のリーフバルブ(逆止弁:第1実
施形態) 110,211 2枚のリーフバルブ(逆止弁:第2実
施形態) 111,211 下側のリーフバルブ 111A,211A 外側開口部 111B,211B 内側開口部 112 ピストン 112A 第1の外周ポート 112B 第1の内周ポート 112F 環状の開口窓 112C 外周シート部 112D 内周シート部 112J オリフィス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンロッドに装着されたピストンに
    より、シリンダ内に上部室と下部室とを区画し、ピスト
    ンには上部室と下部室とを連通する第1の外周ポートと
    第1の内周ポートとを設け、第1の外周ポートの出口側
    にピストン速度の低速域の減衰力を制御するオリフィス
    を備えた逆止弁を開閉自在に設け、第1の内周ポートの
    出口側には伸側減衰弁を開閉自在に設け、ピストンロッ
    ドの伸縮に応じて逆止弁と伸側減衰弁を開閉することに
    より、伸側減衰力を制御するとともに、シリンダの下端
    部に装着されたバルブケースにより、上記下部室とタン
    ク室に連なる底部室とを区画し、バルブケースには下部
    室と底部室とを連通する第2の外周ポートと第2の内周
    ポートとを設け、第2の外周ポートの出口側にピストン
    速度の低速域の減衰力を制御するオリフィスを備えた吸
    い込み弁を開閉自在に設け、第2の内周ポートの出口側
    には圧側減衰弁を開閉自在に設け、ピストンロッドの伸
    縮に応じて吸い込み弁と圧側減衰弁を開閉することによ
    り、圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピ
    ストンの第1の外周ポートの出口側とバルブケースの第
    2の外周ポートの出口側に、それぞれ環状の内周シート
    部と環状の外周シート部とで区画された環状の開口窓を
    設け、各外周シート部の上端には上記環状の開口窓をそ
    れぞれ上部室と下部室とに連通するオリフィスを形成
    し、更に逆止弁と吸い込み弁とを相対向する内側開口部
    を形成した上下2枚のリーフバルブでそれぞれ構成し、
    下側のリーフバルブには上記外周シート部の半径方向の
    巾より狭い外側開口部を形成し、当該外側開口部をオリ
    フィスに対向させながら、2枚のリーフバルブを内周シ
    ート部と外周シート部上に開閉自在に配設したことを特
    徴とする油圧緩衝器のバルブ構造。
  2. 【請求項2】 上記外周シート部に形成したオリフィス
    は、巾が一定であることを特徴とする請求項1に記載の
    油圧緩衝器のバルブ構造。
  3. 【請求項3】 上記外周シート部に形成したオリフィス
    は、外側の巾よりも内側の巾を広くして通路面積を大き
    くしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器の
    バルブ構造。
  4. 【請求項4】 ピストンロッドに装着されたピストンに
    より、シリンダ内に上部室と下部室とを区画し、ピスト
    ンには上部室と下部室とを連通する第1の外周ポートと
    第1の内周ポートとを設け、第1の外周ポートの出口側
    にピストン速度の低速域の減衰力を制御するオリフィス
    を備えた逆止弁を開閉自在に設け、第1の内周ポートの
    出口側には伸側減衰弁を開閉自在に設け、ピストンロッ
    ドの伸縮に応じて逆止弁と伸側減衰弁を開閉することに
    より、伸側減衰力を制御するとともに、シリンダの下端
    部に装着されたバルブケースにより、上記下部室とタン
    ク室に連なる底部室とを区画し、バルブケースには下部
    室と底部室とを連通する第2の外周ポートと第2の内周
    ポートとを設け、第2の外周ポートの出口側にピストン
    速度の低速域の減衰力を制御するオリフィスを備えた吸
    い込み弁を開閉自在に設け、第2の内周ポートの出口側
    には圧側減衰弁を開閉自在に設け、ピストンロッドの伸
    縮に応じて吸い込み弁と圧側減衰弁を開閉することによ
    り、圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、上記ピ
    ストンの第1の外周ポートの出口側とバルブケースの第
    2の外周ポートの出口側に、それぞれ環状の内周シート
    部と環状の外周シート部とで区画された環状の開口窓を
    設け、更に逆止弁と吸い込み弁とを相対向する内側開口
    部を形成した上下2枚のリーフバルブでそれぞれ構成
    し、下側のリーフバルブには上記外周シート部の半径方
    向の巾より狭い外側開口部とこの外側開口部に連通する
    外側オリフィス及び内側オリフィスを形成し、各外側オ
    リフィスをそれぞれ上部室と下部室とに開口させ且つ各
    内側オリフィスをそれぞれ上記外側開口部に開口させな
    がら、2枚のリーフバルブを内周シート部と外周シート
    部上に開閉自在に配設したことを特徴とする油圧緩衝器
    のバルブ構造。
  5. 【請求項5】 上記外側オリフィス及び内側オリフィス
    は、通路面積が同一であることを特徴とする請求項4に
    記載の油圧緩衝器のバルブ構造。
  6. 【請求項6】 上記外側オリフィス及び内側オリフィス
    は、外側オリフィスよりも内側オリフィスの通路面積を
    大きくしたことを特徴とする請求項4に記載の油圧緩衝
    器のバルブ構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202713A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Kayaba Ind Co Ltd 緩衝器のバルブ構造
DE112004001829B4 (de) * 2003-09-29 2010-09-09 Tenneco Automotive Operating Company Inc., Lake Forest Extratragbereich für Ventilteller
JP2013139830A (ja) * 2011-12-28 2013-07-18 Showa Corp バルブ装置

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