JP2001064797A - 金属板電解処理装置 - Google Patents

金属板電解処理装置

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JP2001064797A
JP2001064797A JP24052699A JP24052699A JP2001064797A JP 2001064797 A JP2001064797 A JP 2001064797A JP 24052699 A JP24052699 A JP 24052699A JP 24052699 A JP24052699 A JP 24052699A JP 2001064797 A JP2001064797 A JP 2001064797A
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metal plate
electrolytic
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Takahiro Matsushita
高広 松下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速に、且つ被膜ムラや電解ヤケを生じさせ
ることなく金属板に電解処理を施すことが可能な金属板
電解処理装置を得る。 【解決手段】 酸化処理用電極28の表面側電極部30
の上部の略中央に形成された接続部34を介して、表面
側電極部30が電源の陰極にブスバー42で接続され、
表面側電極部30と裏面側電極部32とは、一端に形成
された接続部36によって一体的に接続されている。接
続部34、36は、絶縁性材料によって構成された被覆
部材38、40で被覆され、実質的に電極として作用し
ないようになっているので、アルミニウム板18に被膜
ムラや電解ヤケが生じない。また、材28の電流密度を
高めて酸化被膜処理を高速でうことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板を陽極酸化
処理等、電解処理するための金属板電解処理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図5には、従来の金属板電解処理装置の
一例として、帯状アルミニウム板の陽極酸化装置110
が部分的に示されている。
【0003】この陽極酸化装置110では、電解槽11
2中の電解液114に配置された電極116と電源の陰
極118とがブスバー120によって接続されている。
また、電極116と平行に配置された電極122とが、
導電性部材124によって結合されている。そして、電
極116、122の間をアルミニウム板126が連続走
行されると、このアルミニウム板126の表面及び裏面
に陽極酸化被膜が形成される。
【0004】ところが、この陽極酸化装置110ではブ
スバー120を電極116に結合するために電極116
に接続部128が形成されており、この接続部128も
実質的に電極として作用してしまう。このため、アルミ
ニウム板126のうち、接続部128の近傍を走行した
部分(図5における幅方向略中央)の陽極酸化被膜が厚
くなる等、陽極酸化被膜量分布が不均一になって、いわ
ゆる被膜ムラが生じることがあった。
【0005】また、電極116、122を接続する導電
性部材124も実質的に電極として作用するため、アル
ミニウム板126のうち、導電性部材124の近傍を走
行した部分(図5における幅方向左側)の陽極酸化被膜
が過大成長して、いわゆる電解ヤケが生じることもあっ
た。
【0006】特に、電解処理効率を高めるために、アル
ミニウム板126の走行速度を向上させると共に電極で
の電流密度を高める場合があるが、このような場合に
は、上記した被膜ムラや電解ヤケが顕著になることが多
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実を
考慮し、高速に、且つ被膜ムラや電解ヤケを生じさせる
ことなく金属板に電解処理を施すことが可能な金属板電
解処理装置を得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、電解液が収容された電解槽と、前記電解液中に配置
され、電解液に浸漬された金属板と対面する電極部によ
ってこの金属板を電解処理する電極部材と、絶縁性材料
で構成され、前記電極部材のうち前記電極部以外の非電
極部の少なくとも一部を被覆する被覆部材と、を有する
ことを特徴とする。
【0009】従って、金属板が電解液に浸漬されると、
この金属板と対面する電極部によって金属板に電解処理
が施される。
【0010】電極部材のうち、非電極部、すなわち金属
板を電解処理するための電極部以外の部分の少なくとも
一部は、絶縁性材料で構成された被覆部材によって被覆
されている。このため、非電極部が電極部として作用し
てしまうことが防止される。換言すれば、本来的に電極
として作用させたい部分である電極部のみが、実際に電
極として作用する。このため、非電極部が電極として作
用することによる被膜ムラや電解ヤケなどが発生せず、
金属板に均一に電解処理を施すことができる。しかも、
電極部の電流密度の高低に関わり無く均一に電解処理を
施すことができるので、電流密度を高めて電解処理を高
速で行うことが可能となる。
【0011】電極部材及び被覆部材の具体的構成は特に
限定されないが、例えば、請求項2に記載のように、前
記電極部材が、前記電極部と電源とを接続する第1接続
部を有し、前記被覆部材が、前記第1接続部の少なくと
も一部を被覆している構成とすることができる。
【0012】これにより、電極部と電源とを接続する第
1接続部(非電極部)の少なくとも一部を被覆部材が被
覆しているので、この第1接続部が電極として作用して
しまうことを防止できる。
【0013】また、請求項3に記載のように、前記電極
部材が、前記金属板の表面と対面する表面側電極部と、
前記金属板の裏面と対面する裏面側電極部と、前記表面
側電極部と前記裏面側電極部とを電気的に接続する第2
接続部と、を有し、前記被覆部材が、前記第2接続部の
少なくとも一部を被覆している構成とすることもでき
る。
【0014】このように、表面側電極部と裏面側電極部
とを設けることで、金属板の両面に電解処理を施すこと
が可能となる。また、表面側電極部と裏面側電極部とを
電気的に接続する第2接続部(非電極部)の少なくとも
一部を被覆部材が被覆するので、この第2接続部が電極
として作用してしまうことを防止できる。
【0015】被覆部材が非電極部を被覆するときの被覆
面積率は、非電極部を実質的に電極として作用させない
ことで、金属板に対して均一に電解処理を施すことが可
能であれば特に限定されないが、請求項2の第1接続部
を有する金属板電解処理装置の場合には、請求項4に記
載のように、前記被覆部材の前記第1接続部に対する被
覆面積率を5%以上100%以下とすることができ、好
ましくは、請求項5に記載のように、40%以上100
%以下とすることができる。これにより、第1接続部が
電極として作用してしまうことをより確実に防止でき
る。
【0016】また、請求項3の第2接続部を有する金属
板電解処理装置の場合には、請求項6に記載のように、
前記被覆部材の前記第2接続部に対する被覆面積率を5
%以上100%以下とすることができ、好ましくは、請
求項7に記載のように、40%以上100%以下とする
ことができる。これにより、第2接続部が電極として作
用してしまうことをより確実に防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の第1実施形態
の金属板電解処理装置10の概略構成が示されている。
また、図2には、金属板電解処理装置10の酸化処理用
電極28が断面図にて示されている。
【0018】図1に示すように、この金属板電解処理装
置10は、隣接して配置された給電槽12及び陽極酸化
処理槽14を有している。これらの給電槽12及び陽極
酸化処理槽14内を、必要な前処理が施された金属板
(本実施形態では一例として帯状のアルミニウム板1
8)が複数のローラ16に懸架されて搬送される。
【0019】給電槽12には給電用電解液20が収容さ
れており、アルミニウム板18はこの給電用電解液20
に浸漬された状態で搬送される。また、給電用電解液2
0内には、搬送されるアルミニウム板18の片面(図1
では上面)と平行に対面するように、電源24の陽極と
ブスバー42で接続された給電用電極22が設けられて
いる。アルミニウム板18は給電用電極22と対面した
状態で給電用電解液20内を搬送されることで、陰極と
して作用する。
【0020】一方、陽極酸化処理槽14には電解液26
が収容されており、給電槽12から送られてきたアルミ
ニウム板18は、電解液26に浸漬された状態で搬送さ
れる。図2に詳細に示すように、この陽極酸化処理槽1
4内には、酸化処理用電極28が設けられている。
【0021】酸化処理用電極28は、搬送されるアルミ
ニウム板18の表面(上面)と平行に対面する平板状の
表面側電極部30及び、アルミニウム板18の裏面(下
面)と平行に対面する平板状の裏面側電極部32を有し
ている。表面側電極部30の上部の略中央には、上方に
向かって突出し、上端が電解液26の液面よりも上方に
位置する接続部34が一体的に形成されており、この接
続部34を介して、表面側電極部30が電源24の陰極
にブスバー42で接続されている(図1参照)。
【0022】また、表面側電極部30と裏面側電極部3
2とは、一端に形成された接続部36によって一体的に
接続されている。従って、裏面側電極32は、接続部3
6、表面側電極30及び接続部34を介して、電源24
の陰極と接続されていることになる。なお、表面側電極
30、裏面側電極32、接続部34、36によって、本
発明の電極部材28が構成されている。
【0023】接続部34は、表面側電極部30との境界
部分から、電解液26の液面よりも上方の部分まで、絶
縁性材料によって構成された被覆部材38で被覆されて
いる。このように、接続部34を被覆部材38によって
被覆することで、接続部34が実質的に電極として作用
しないようになっている。
【0024】同様に、接続部36も、表面側電極部30
との境界部分から裏面側電極部32との境界部分に至る
まで、絶縁性材料によって構成された被覆部材40で被
覆されている。このように、接続部36を被覆部材40
によって被覆することで、接続部36が実質的に電極と
して作用しないようになっている。
【0025】なお、図1では給電槽12と陽極酸化処理
槽14とが別々の槽として構成されているものを示して
いるが、これらの各槽が、一体的な槽を隔壁によって分
離することにより構成されていてもよい。この場合に
は、隔壁に挿通孔を形成し、この挿通孔を通ってアルミ
ニウム板18が給電槽12から陽極酸化処理槽14へ搬
送されるようにすることができる。これに対し、図1に
示すように給電槽12と陽極酸化処理槽14とを別々の
槽とした場合には、各槽ごとに、給電用電解液20及び
電解液26の量や組成を微調整したり補充したりするこ
とが可能となる。
【0026】次に、本実施形態の金属板電解処理装置1
0の作用を説明する。
【0027】必要な前処理が施されたアルミニウム板1
8は、ローラ16に懸架されて、給電槽12内の給電用
電解液20に浸漬された状態で搬送される。このとき、
アルミニウム板18は、電源24の陽極と接続された給
電用電極22と対面して搬送され、陰極として作用す
る。
【0028】アルミニウム板18はさらにローラ16に
よって搬送され、陽極酸化処理槽14内の電解液26に
浸漬された状態で搬送される。このとき、アルミニウム
板18は、電源24の陰極と接続された表面側電極部3
0及び裏面側電極部32に表面及び裏面がそれぞれ対面
して搬送されるので、アルミニウム板18は陽極として
作用し、アルミニウム板18の両面が酸化されて酸化被
膜が形成される。
【0029】ここで、本実施形態の金属板電解処理装置
10では、接続部34が、絶縁性材料によって構成され
た被覆部材38で被覆され、電極として作用しないよう
になっている。このように接続部34を被覆しない場合
には、接続部34が実質的に電極として作用してしまう
ため、アルミニウム板18のうち接続部34に近い部分
(図2における幅方向略中央)において酸化被膜が厚く
なって、いわゆる被膜ムラが生じることがある。しか
し、上記したように接続部34を電極として作用させな
いことで、このような被膜ムラが生じなくなる。
【0030】同様に、接続部36も、絶縁性材料によっ
て構成された被覆部材40で被覆され、実質的に電極と
して作用しないようになっている。このように接続部3
6を被覆しない場合には、接続部36が電極として作用
してしまうため、アルミニウム板18のうち接続部36
に近い部分(図2における幅方向左側端部、いわゆるエ
ッジ部)において酸化被膜が厚くなって、いわゆる電解
ヤケが生じることがある。しかし、上記したように接続
部34を電極として作用させないことで、このような電
解ヤケが生じなくなる。
【0031】しかも、このように、表面側電極部30及
び裏面側電極部32以外の部分を被覆部材38、40に
よって被覆することで、電極部材28(表面側電極部3
0及び裏面側電極部32)の電流密度の高低に関わり無
く、被膜ムラや電解ヤケを防止して均一な酸化被膜を形
成することができる。このため、電極部材28の電流密
度を高めると共にアルミニウム板18の搬送速度を速く
して、酸化被膜処理(電解処理)を高速でうことが可能
となる。
【0032】図3には、本発明の第2実施形態に係る酸
化処理用電極48が示されている。第2実施形態では、
この酸化処理用電極48の構成のみが第1実施形態と異
なっており、他は全て同一とされているので、酸化処理
用電極48のみ説明し、他は説明を省略する。
【0033】第2実施形態の酸化処理用電極48は、第
1実施形態と同様の表面側電極部30及び接続部34を
有すると共に、接続部34は絶縁性材料によって構成さ
れた被膜部材38で被膜されているが、第1実施形態の
裏面側電極部32及び接続部36は有していない。
【0034】従って、第2実施形態では、アルミニウム
板18の表面(上面)のみが酸化されて酸化被膜が形成
される。
【0035】また、第1実施形態と同様、接続部34が
絶縁性材料によって構成された被覆部材38で被覆さ
れ、実質的に電極として作用しないので、アルミニウム
板18のうち接続部34に近い部分(図3における幅方
向略中央)において酸化被膜が厚くなっていわゆる被膜
ムラが生じることがない。
【0036】また、第2実施形態では第1実施形態の接
続部36は設けられていないので、接続部36が電極と
して作用することによる電解ヤケも生じない。
【0037】加えて、酸化処理用電極48の電流密度を
高くすると共に、アルミニウム板18の搬送速度を大き
くして、電解処理を高速に行うことが可能となる。
【0038】図4には、本発明の第3実施形態に係る酸
化処理用電極58が示されている。第3実施形態でも、
この酸化処理用電極58の構成のみが第1実施形態と異
なっており、他は全て同一されているので、酸化処理用
電極122のみ説明し、他は説明を省略する。
【0039】第3実施形態の酸化処理用電極58は、第
1実施形態及び第2実施形態と同様の表面側電極部30
及び接続部34を有すると共に、接続部34は絶縁性材
料によって構成された被膜部材38で被膜されている。
【0040】また、第1実施形態と同様の裏面側電極部
32を有しているが、この裏面側電極部32と表面側電
極部30とを接続する接続部36は設けられておらず、
裏面側電極部32は、接続部60によって電源24の陰
極(図1参照)と直接的に接続されている。接続部60
は、裏面側電極部32の一端から上方に向かって突出
し、その上端が電解液26よりも上方に位置している。
【0041】接続部60は、裏面側電極部32との境界
部分から、電解液26の液面よりも上方の部分まで、絶
縁性材料によって構成された被覆部材62で被覆されて
いる。
【0042】このような構成とされた第3実施形態で
は、第1実施形態と同様、アルミニウム板18の両面に
酸化被膜が形成される。
【0043】また、第1実施形態と同様、接続部34が
被覆部材38で被覆され、実質的に電極として作用しな
いので、アルミニウム板18のうち接続部34に近い部
分(図4における幅方向略中央)にいわゆる被膜ムラが
生じることがことがない。また、接続部60も被覆部材
62で被覆され、実質的に電極として作用しないので、
アルミニウム板18のうち接続部60に近い部分(図4
における幅方向右側端部)いわゆる電解ヤケが生じるこ
とがない。
【0044】加えて、酸化処理用電極58の電流密度を
高くすると共に、アルミニウム板18の搬送速度を大き
くして、電解処理を高速に行うことが可能となる。
【0045】以上説明したように、本発明の金属板電解
処理装置では、電極部材(酸化処理用電極28、48、
58)のうち、アルミニウム板18の電解処理を本来的
に行う部分である表面側電極部30及び裏面側電極部3
2以外の部分を被膜部材38、40、62で被膜して電
極として作用しないようにすることで、アルミニウム板
18に均一な酸化被膜が形成される。また、酸化処理用
電極28、48、58の電流密度を高くすると共に、ア
ルミニウム板18の搬送速度を大きくして、電解処理を
高速に行うことが可能となる。
【0046】なお、このように、表面側電極部30及び
裏面側電極部32以外の部分を電極として作用しないよ
うに絶縁性材料で被覆する構成であれば、本発明は上記
したものに限定されない。例えば、アルミニウム板18
に均一な酸化被膜を形成可能であれば、接続部34、3
6、60の全てが被覆されている必要はなく、部分的に
のみ被覆されていてもよい。接続部34、36、60に
対する被覆面積率(接続部34、36、60の全体的な
表面積に対する被覆面積の割合)としては、例えば5%
以上100%以下とすることができるが、より均一な酸
化被膜を形成する観点からは、被覆面積率は40%以上
100%以下とされていることが好ましい。
【0047】また、接続部34、60のように、被覆部
材によって被覆する部分の一部が電解液26よりも上方
に位置している場合には、電解液26の液面近傍におい
て接続部34、60を構成する金属が電解液26に溶解
しやすい。従って、電解液26よりも上方の部分まで被
覆部材で確実に被覆するように構成することで、接続部
34、60の溶解が阻止され、結果的に電極部材28、
48、58を長期間に渡って使用することが可能とな
る。
【0048】本発明の非電極部としても、上記した接続
部34、36、60に限られない。例えば、電極部材2
8、48、58が、接続部34、36、60以外にも、
電極部(表面側電極32及び裏面側電極32)として作
用してしまうことが好ましくない部分を有しているよう
な場合には、この部分を絶縁性材料で構成された被覆部
材によって被覆して、電極として作用しないようにする
ことで、均一な酸化被膜を形成することができる。
【0049】被覆部材の材質としても、絶縁性材料であ
れば特に限定されないが、電解液26に対する耐薬品性
を考慮すると、塩化ビニール、テフロン(デュポン社の
商品名)、ナイロン、FRPが好ましく、この中でも特
に塩化ビニールが好ましい。
【0050】本発明において、電解処理の対象物である
金属板も、上記したアルミニウム板18に限定されず、
あらゆる金属板に対して電解処理できる。また、電解処
理の種類としても、金属板に酸化被膜を形成する処理に
限られない。例えば、電解メッキを施すような処理に本
発明を適用してもよく、この場合には、例えば電源24
の接続方法を変更する等すればよい。
【0051】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないこ
とはもちろんである。
【0052】本実施例では、平版印刷版(PS版)の製
造工程の一部である電解粗面化工程に、本発明の金属板
電解処理装置を適用した。
【0053】平版印刷版の製造工程では、平版印刷版用
アルミニウムに所定の表面処理が施されるため、先ず、
この表面処理工程について説明する。
【0054】以下に述べる表面処理工程(1)〜(8)
は基本的な処理工程のみを示すものであり、実際にはこ
れら各工程の間に前工程からの持ち出し液を洗い流すた
めのスプレー等による水洗工程が実施されるが、これら
の中間的な処理工程についての記載は省略する。
【0055】先ず、未処理のアルミニウム板を機械的粗
面化工程(1)に付す。ここで、アルミニウム板の表面
にパミス、珪砂、アルミナなどの研磨材粉末のスラリー
水溶液をスプレーで供給し、かつナイロンブラシで表面
を擦ることにより粗面化した。この機械的粗面化処理に
より10〜20μmの波長の凹凸構造が形成される。
【0056】粗面化処理(1)で得られた凹凸構造の表
面を滑らかにし、印刷時のインクの引っかかりをなく
し、汚れにくくする目的で、引き続きエッチング工程
(2)を実施する。ここでは、NaOH溶液をスプレー
することにより表面に1〜20g/m2のエッチング処
理を行なった。
【0057】次に、酸洗工程(3)でエッチングの際に
発生し表面に付着したスマットと呼ばれる水酸化アルミ
を硝酸で酸洗することにより除去した。
【0058】次に、電解粗面化工程(4)では、本発明
の金属板電解処理装置を使用して、さらに小さな凹凸構
造、波長1〜10ミクロンを形成するため電解的に粗面
化を行なった。電源は周波数60ヘルツの矩形波交流を
用いた。
【0059】引き続きエッチング工程(5)を行ない、
表面を0.1〜3g/m2程度、僅かにエッチングを行
ない、電解粗面化工程(4)で発生したスマットを除去
すると同時に表面の凹凸形状を制御した。エッチング液
はNaOH溶液を用いた。
【0060】次に、酸洗工程(6)でエッチング工程
(5)で発生したスマットを硝酸で酸洗し、除去した。
以上の工程(1)〜(6)によりアルミニウム表面に精
度高く、凹凸を形成した。
【0061】次に、耐磨耗性を付与するため、アルマイ
ト工程(7)で、凹凸表面に酸化皮膜を形成するアルマ
イト処理を行なった。電源は直流を用い、電解液は硫酸
を用いた。酸化皮膜量としては、1〜4g/m2形成し
た。
【0062】最終的に、保水性、親水性を付与するた
め、親水性工程(8)を実施する。ここでは、珪酸ソー
ダーの水溶液の中に先に凹凸を形成したアルミニウム板
をディッピングし、アルマイト表面の上に1〜20mg
/m2のシリケート層を形成させ、親水性を付与した。
【0063】以上の表面処理工程を終了し、平版印刷版
用の支持体を得る。得られた支持体は、その上に目的に
応じた感光層を塗布、乾燥により形成し、さらに、定寸
にカットし、平版印刷版を作成するものである。
【0064】本実施例では、上記した電解粗面化工程
(4)において、表1に示すように、表面側電極部30
での電流密度を15A/dm2と30A/dm2としてア
ルミニウム板18に酸化被膜処理を施し、アルミニウム
板18の表面(及び裏面)の酸化被膜量分布と、エッジ
部の電解ヤケを調べた。
【0065】
【表1】
【0066】表1において、実施例1は本発明の第1実
施形態の金属板電解処理装置10を使用した場合であ
り、比較例1は、この金属板電解処理装置と略同一構成
とされているが、被覆部材38、40が設けられていな
い点のみが異なるものを使用した場合である。同様に、
実施例2は本発明の第2実施形態の金属板電解処理装置
を使用した場合であり、比較例2は、この金属板電解処
理装置と略同一構成とされているが、被覆部材38、4
0が設けられていない点のみが異なるものを使用した場
合である。
【0067】これらの金属板電解処理装置の電極として
は、脱脂したJIS 1100のアルミニウム板を使用
した。電解液26としては、15%硫酸を使用し、陽極
酸化処理槽14内の温度(浴温)は30℃に維持した。
また、電解液26中の単位面積当たりの電気量は300
C/dm2とした。被覆部材38、40としては、厚さ
2mmの塩化ビニールを使用した。
【0068】表1に示す「酸化被膜量分布」とは、アル
ミニウム板18を幅方向(図2及び図3において左右方
向)に見たときの全幅の平均酸化被膜量をA、幅方向の
中央部又は端部(エッジ部)での最大酸化被膜量をMと
したとき、(M/A)で示される値をいい、無次元であ
る。この定義から分かるように、酸化被膜量の分布ムラ
が全くない場合には、M=A、すなわち酸化被膜量分布
の数値は1となり、この数値が1より大きくなる程、酸
化被膜量の分布ムラも大きいことを示す。また、「エッ
ジ部の電解ヤケ」の評価において「○」は、電解ヤケが
全く発生していない状態、「×」は電解ヤケが発生して
いる状態をそれぞれ示す。なお、これらの各数値及び評
価は、酸化被膜処理後のアルミニウム板18を幅方向の
所定位置でカットしてサンプルを採り、計測及び観察し
た結果である。
【0069】この表1から分かるように、本発明の実施
例1及び実施例2では、電流密度が15A/dm2の場
合であっても30A/dm2の場合であっても、酸化被
膜量分布に分布ムラは発生していないか、発生していて
も極めて僅かである。また、いずれの場合でも、エッジ
部の電解ヤケは全く発生していない。
【0070】これに対し、比較例1及び比較例2では、
表面及び裏面の酸化被膜量分布の分布ムラが大きくなっ
ており、特に、電流密度が30A/dm2の場合には、
分布ムラが著しい。また、電流密度が30A/dm2
場合には、エッジ部の電解ヤケも発生していることが分
かる。
【0071】一般に、電流密度が15A/dm2の場合
よりも30A/dm2の場合の方が、アルミニウム板1
8の搬送速度を大きくして、より高速で酸化被膜処理を
行うことが可能である。しかし、比較例1及び比較例2
では、上記したように、電流密度が30A/dm2の場
合に特に酸化被膜量分布の分布ムラが大きくなってお
り、エッジ部の電解ヤケも発生しているため、高速且つ
均一に酸化被膜を形成することが困難である。これに対
し、実施例1及び実施例2では、電流密度が30A/d
2の場合であても酸化被膜量分布の分布ムラ全く発生
していないか、若しくは極めて僅かであり、エッジ部の
電解ヤケも発生していない。すなわち、本発明の実施例
1及び実施例2では、アルミニウム板18の酸化被膜処
理を、高速化と高品質化を両立させて行うことができる
と共に、酸化被膜処理の安定性を図ることが可能となっ
ている。
【0072】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、電解液が収
容された電解槽と、前記電解液中に配置され、電解液に
浸漬された金属板と対面する電極部によってこの金属板
を電解処理する電極部材と、絶縁性材料で構成され、前
記電極部材のうち前記電極部以外の非電極部の少なくと
も一部を被覆する被覆部材と、を有するので、金属板に
均一に電解処理を施すことができると共に、電解処理を
高速で行うことが可能となる。
【0073】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記電極部材が、前記電極部と電源
とを接続する第1接続部を有し、前記被覆部材が、前記
第1接続部の少なくとも一部を被覆しているので、第1
接続部が電極として作用してしまうことを防止できる。
【0074】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記電極部材が、前記
金属板の表面と対面する表面側電極部と、前記金属板の
裏面と対面する裏面側電極部と、前記表面側電極部と前
記裏面側電極部とを電気的に接続する第2接続部と、を
有し、前記被覆部材が、前記第2接続部の少なくとも一
部を被覆しているので、金属板の両面に電解処理を施す
ことができると共に、第2接続部が電極として作用して
しまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の金属板電解処理装置を
示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の金属板電解処理装置の
酸化処理用電極を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の金属板電解処理装置の
酸化処理用電極を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態の金属板電解処理装置の
酸化処理用電極を示す断面図である。
【図5】従来の金属板電解処理装置を部分的に示す断面
図である。
【符号の説明】
10 金属板電解処理装置 14 電解槽 18 アルミニウム板(金属板) 26 電解液 28 電極部材 30 表面側電極部(電極部) 32 裏面側電極部(電極部) 34 接続部(第1接続部、非電極部) 36 接続部(第2接続部、非電極部) 38 被覆部材 40 被覆部材 48 電極部材 58 電極部材 60 接続部(第1接続部、非電極部) 62 被覆部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液が収容された電解槽と、 前記電解液中に配置され、電解液に浸漬された金属板と
    対面する電極部によってこの金属板を電解処理する電極
    部材と、 絶縁性材料で構成され、前記電極部材のうち前記電極部
    以外の非電極部の少なくとも一部を被覆する被覆部材
    と、 を有することを特徴とする金属板電解処理装置。
  2. 【請求項2】 前記電極部材が、前記電極部と電源とを
    接続する第1接続部を有し、 前記被覆部材が、前記第1接続部の少なくとも一部を被
    覆していることを特徴とする請求項1に記載の金属板電
    解処理装置。
  3. 【請求項3】 前記電極部材が、 前記金属板の表面と対面する表面側電極部と、 前記金属板の裏面と対面する裏面側電極部と、 前記表面側電極部と前記裏面側電極部とを電気的に接続
    する第2接続部と、 を有し、 前記被覆部材が、前記第2接続部の少なくとも一部を被
    覆していることを特徴とする請求項1に記載の金属板電
    解処理装置。
  4. 【請求項4】 前記被覆部材の前記第1接続部に対する
    被覆面積率が5%以上100%以下であることを特徴と
    する請求項2又は請求項3に記載の金属板電解処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記被覆部材の前記第1接続部に対する
    被覆面積率が40%以上100%以下であることを特徴
    とする請求項4に記載の金属板電解処理装置。
  6. 【請求項6】 前記被覆部材の前記第2接続部に対する
    被覆面積率が5%以上100%以下であることを特徴と
    する請求項3に記載の金属板電解処理装置。
  7. 【請求項7】 前記被覆部材の前記第2接続部に対する
    被覆面積率が40%以上100%以下であることを特徴
    とする請求項6に記載の金属板電解処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113348273A (zh) * 2019-01-21 2021-09-03 杰富意钢铁株式会社 燃料电池的隔离件用的奥氏体系不锈钢板及其制造方法

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