JP2001064436A - ポリエステルチップの再利用方法 - Google Patents
ポリエステルチップの再利用方法Info
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Abstract
塗料等のバインダーとして適用可能な改質ポリエステル
樹脂を得る再利用方法。 【解決手段】 (1)脂肪酸10〜90重量部とポリオ
ール90〜10重量部を反応させるステップ (2)前記第1ステップの反応物20〜95重量部にテ
レフタル酸を主成分とするポリエステルチップ80〜5
重量部を反応させるステップ (3)前記第2ステップの反応物40〜95重量部に多
塩基酸60〜5重量部を反応させる第3ステップからな
り、これにより得られる改質ポリエステル樹脂が、数平
均分子量1000〜3000、酸価3〜100、OH価
30〜200であるポリエステルチップの再利用方法。
Description
目的として回収された容器あるいは産業廃棄物のポリエ
ステルチップの利用方法並びにこの方法から得られる改
質ポリエステル樹脂組成物に関する。
フタル酸とジオールとを共重合したポリエステル樹脂
は、繊維、フィルム、その他の成型用品用途として広範
にかつ多量に用いられている。通常、ポリエステル樹脂
の繊維、フィルム、その他の成型品等の物品を製造する
ための種々の工程では、不良品あるいは屑が多かれ少な
かれ発生する。資源の有効利用の見地から、そのような
不良品および屑並びに上記ポリエステル物品そのものを
再利用することが極めて重要となってきている。また、
近年、リサイクル運動が活発になるにつれて、家庭のゴ
ミから回収されるポリエチレンテレフタレート(PE
T)製品の量も大幅に増加してきていることから、それ
らの回収・再利用も現在取り組まなければならない重要
な課題の一つである。
収されたポリエステル物品(以下、これらをまとめて
「回収ポリエステル」と呼ぶ。)の再利用方法は、既に
いくつか報告されており、例えば、特開平6−1667
47号公報には、PET解重合を利用した再生PETの
製造方法について開示されている。この方法によって再
生されたPETは、解重合時に高粘度状態で加熱するこ
とから着色し易く、得られたPETは通常の繊維やフィ
ルム用にしか利用することができない。
は、医療用繊維として用いられるポリエチレンテレフタ
レートの難染性の欠点を改良するために、ポリエチレン
テレフタレートからなる繰り返し単位20モル以下を含
有する改質原料を用いて染色性を改良した改質ポリエス
テル樹脂繊維の製造方法が記載されている。しかしなが
ら、この改質ポリエステル樹脂は、繊維用であって、分
子量が大きく、溶剤溶解性がほとんどな無く、また室温
から少なくとも190℃まで流動性が無いため、薄膜
(20〜60μm)形成が不可能である。
エステルを改質して得られた樹脂の用途は繊維やフィル
ムに限られており、塗料、接着剤やインクのバインダー
として利用できるものはほとんどなかった。従って、本
発明の目的は、回収ポリエステルを再利用することによ
って、塗料、接着剤やインク等のバインダーとしても適
用可能な改質ポリエステル樹脂を得る再利用方法を提供
することにある。
を解決するために鋭意検討した結果、良好な薄膜形成性
を有し、かつ室温〜140℃において優れた流動性を示
し、更に架橋剤と反応し得るに十分な官能基量を有する
改質ポリエステル樹脂を得る方法を見いだした。本発明
は、テレフタル酸を多塩基酸の主成分とするポリエステ
ルチップの再利用方法であって、 (1)脂肪酸10〜90重量部とポリオール90〜10
重量部を反応させるステップ (2)上記第1ステップの反応物20〜95重量部にテ
レフタル酸を主成分とするポリエステルチップ80〜5
重量部を反応させるステップ (3)上記第2ステップの反応物40〜95重量部に多
塩基酸60〜5重量部を反応させる第3ステップからな
り、これにより得られる改質ポリエステル樹脂が、数平
均分子量1000〜3000、酸価3〜100、OH価
30〜200である、ポリエステルチップの再利用方法
を提供する。
プの再利用方法により得られる改質ポリエステル樹脂を
も提供する。
プ」、「回収ポリエチレンテレフタレート(回収PE
T)」及び「回収ポリブチレンテレフタレート」とは、
資源リサイクルを目的として回収された容器ポリエチレ
ン(ブチレン)テレフタレートあるいは産業廃棄物ポリ
エチレン(ブチレン)テレフタレートを意味し、ポリエ
ステル製品(例えば、繊維、フィルム、及びその他の成
型品等の物品)を製造するための種々の工程で発生する
不良品あるいは屑の粉砕物をも含むものとする。
とは、上記「ポリエステルチップ」を再利用して合成さ
れたポリエステル樹脂を意味する。
ルを目的とした、テレフタル酸を多塩基酸の主成分とす
るポリエステルチップの再利用方法であって、 (1)脂肪酸10〜90重量部とポリオール90〜10
重量部を反応させるステップ (2)上記第1ステップの反応物20〜95重量部にテ
レフタル酸を主成分とするポリエステルチップ80〜5
重量部を反応させるステップ (3)上記第2ステップの反応物40〜95重量部に多
塩基酸60〜5重量部を反応させる第3ステップからな
り、これにより得られる改質ポリエステル樹脂が、数平
均分子量1000〜3000、酸価3〜100、OH価
30〜200である、ポリエステルチップの再利用方法
である。
は、テレフタル酸を多塩基酸の主成分とするポリエステ
ルチップである。ポリエステルは一般的に多塩基酸とジ
オールとによって得られるが、上記ポリエステルチップ
は、例えばポリエチレンテレフタレートおよび/または
ポリブチレンテレフタレートからなる。
維、フィルムおよびその他の成型品等の物品、並びにそ
れらの製造工程で発生する不良品や屑から得られるもの
であり、その大きさが20mm角以下のペレット、チップ
または粉砕物の形態であることが望ましい。上記ポリエ
ステルのチップの大きさが20mm以下であれば、工程中
における溶解時間を短縮することができ、また、上記の
ようなペレット等とすることで、見掛けの比重を大きく
することができる。
法における第1のステップは、脂肪酸10〜90重量部
とポリオール90〜10重量部を反応させるステップで
ある。上記反応においては、脂肪酸とポリオールの合計
量は常に100重量部である。脂肪酸の量が10重量部
より少なければ得られる改質ポリエステル樹脂の溶解性
が低下する傾向にあり好ましくない。他方90重量部を
越えると均一な改質ポリエステル樹脂が得られ難くなる
ため好ましくない。
のを用いることができる。これらは直鎖でも分枝でもよ
く、飽和でも不飽和であってもよい。好ましくは炭素数
12〜18のものが用いられる。これらの脂肪酸の例
は、ヒマシ油、アマニ油、桐油、サフラワー油、大豆
油、トール油、ヤシ油、パーム核油、ぬか油の脂肪酸を
挙げることができる。
グリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ
ール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,
6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3,-プロパンジオ
ール、ネオペンチルオグリコール、1,9-ノナンジオー
ル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシピバ
リン酸ネオペンチルグリコールエステル、2-ブチル-2-
エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタン
ジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、水素化
ビスフェノールA等のジオール類、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリ
スリトール等の3価以上のポリオール類を使用してもよ
い。さらに、ヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジ
オール類を使用してもよく、それは、例えば、1,4-ポリ
イソプレンジオール1,4-および1,2-ポリブタジエンジオ
ール並びにそれらの水素添加物であり得る。
ンジオールの市販品の例としては、エポール(水素化ポ
リイソプレンジオール、分子量1,860、平均重合度26、
出光石油化学社製)、PIP(ポリイソプレンジオー
ル、分子量2,200、平均重合度34、出光石油化学社
製)、ポリテールHA(水素化ポリブタジエンジオー
ル、分子量2,200、平均重合度39、三菱化学社製)、R
−45HT(ポリブタンジオール、分子量2,270、平均
重合度42、出光石油化学社製)等が挙げられる。なお、
上記脂肪酸およびポリオールは、それぞれ2種以上を混
合して用いることができる。
エステル化反応としてよく知られているように、脂肪酸
とポリオールを混合し、これを加熱することにより脱水
し、縮重合させる。このステップではエステル化触媒を
添加したり、キシレン等の水と共沸する溶剤を数%加え
たりし、脱水を促進することができる。このステップの
終点は、理論脱水量の60〜100%が流出した時点と
することができる。このステップの所要時間は、例え
ば、加熱温度が230℃の場合、20分程度である。
ブチルスズオキサイド、モノブチルスズ-2-エチルヘキ
サノエート、モノブチルスズオキサイド等の有機スズ化
合物および三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガ
ン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブ
チルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の公
知の触媒を使用することができる。
における第2のステップは、先に得られた反応物20〜
95重量部にテレフタル酸を主成分とするポリエステル
チップ80〜5重量部反応させるステップである。上記
反応において、第1ステップの反応物とポリエステルチ
ップの合計量は常に100重量部である。
は再利用されるポリエステルの改質効果が期待できず、
また本発明の目的である資源リサイクルに効を奏しな
い。反対に80重量部を越えると、溶解性が極めて悪く
なるとともに140℃以下の温度における流動性が著し
く低下するために塗料用等のバインダーとして適さな
い。
得られた反応物を冷却し、200℃以下になった時点
で、上記ポリエステルチップを所定量添加する。第1の
ステップにおいて、エステル交換触媒を使用していない
ときには、この段階で触媒を加えることができ、更に触
媒量を増加したい場合にもここで所定量を添加すること
ができる。このようにして得られた混合物を撹拌しなが
ら220〜250℃に加熱する。加えたポリエステルチ
ップの塊が目視で認められなくなり、反応物が均一にな
った時をこのステップの反応終点とする。このステップ
の所要時間は、例えば、加熱温度が235℃の場合、2
0〜40分程度である。
における第3のステップは、先のステップで得られた反
応物40〜95重量部に多塩基酸60〜5重量部を反応
させるものである。上記反応における第2ステップの反
応物と多塩基酸の合計量は常に100重量部である。
る改質ポリエステの分子量が低くなり好ましくない。6
0重量部を越えると分子量が高くなり好ましくない。
テルの製造に用いられるカルボン酸および/または酸無
水物を用いることができる。これら多塩基酸の例とし
は、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テト
ラブロム無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、等
の芳香族多価カルボン酸および酸無水物;ヘキサヒドロ
無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,4-および
1,3-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸
および酸無水物;無水マレイン酸、フマル酸、無水コハ
ク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪
族多価カルボン酸および酸無水物が挙げられる。また、
少量であれば、無水トリメリット酸や無水ピロメリット
酸等の3官能以上のカルボン酸を使用してもよい。
ドロキシ安息香酸、ヒドロキシピバリン酸、1,2-ヒドロ
キシステアリン酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,
2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロールペンタン
酸、2,2-ジメチロールヘキサン酸、2,2-ジメチロールオ
クタン酸等の水酸基とカルボキシル基とを有する化合
物、あるいは、安息香酸、t-ブチル安息香酸等のモノカ
ルボン酸が少量含まれていてもよい。なお、上記多塩基
酸およびその他の成分は、それぞれ2種以上を混合して
用いることができる。
応生成物を冷却し、200℃以下になった時点で所定量
の多塩基酸を加え、220〜240℃で所望の酸価、粘
度になるまで反応させることにより、改質ポリエステル
を得ることができる。
においては、先に述べた成分以外に、例えば、カージュ
ラーE(商品名:シェル化学社製)等のモノエポキサイ
ド化合物、およびラクトン類をポリオールの一部に代え
て用いることができる。ラクトン類は、多価カルボン酸
およびポリオールのポリエステル類へ開環付加してグラ
フト鎖を形成し得るものであり、例えば、β-プロピオ
ラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクト
ン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-カプ
ロラクトン、γ-カプリラクトン、クロトラクトン、δ-
バレロラクトン、δ-カプロラクトン等が挙げられる
が、中でもε-カプロラクトンがもっとも好ましい。こ
れらの成分を用いる場合には、最終樹脂中に5〜30重
量%となるように用いることが好ましい。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
反応容器に、大豆油脂肪酸37.92重量部、ペンタエリス
リトール15.29重量部、ネオペンチルグリコール8.84重
量部、エステル交換触媒としてジブチルスズオキサイド
0.012重量部、更に、反応で生成する水を除くために仕
込み量の3重量%のキシレンを加え乾燥窒素下で230℃
で反応させた。理論脱水量の90%に該当する2.2重量
部の水が反応系外に流出した時点で第1ステップを終了
し、ついで200℃以下に冷却し、5mm角に粉砕した回
収PET11.39重量部を加え230℃で反応させた。反応を
開始してから20分で回収PETの塊が無くなり、反応
物が透明になったため、第2ステップの反応を終了し、
ついで200℃以下に冷却し、無水フタル酸26.57部を加え
た。これを220℃で反応させ、樹脂酸価15となったと
ころで反応を終了し、冷却した。得られた樹脂にキシレ
ン/n-ブタノール=8/2(容積比)の混合溶剤を加え、樹
脂の不揮発分が60%となるように調整した。 結果、粘
度Y、酸価14.6、OH価80、GPCでの重量平均分子
量55000、数平均分子量1900の改質ポリエステル樹脂溶
液を得た。
明でガードナー色数3のほとんど無色の流動性液体であ
り、溶剤型塗料用ポリエステル樹脂としての用途に適し
ていた。
酸26.57重量部、大豆油脂肪酸37.92重量部、ペンタエリ
スリトール15.29重量部、ネオペンチルグリコール8.84
重量部、更に、反応で生成する水を除くために仕込み量
の3重量%のキシレンを加え、230℃で反応させ、酸価1
5になるまで反応を行った後、冷却した。得られた樹脂
にキシレン/n-ブタノール=8/2(容積比)の混合溶剤を
加え、樹脂の不揮発分が60%となるように調整した。
結果、粘度X、酸価14.0、GPCでの重量平均分子量52
000,数平均分子量1950のポリエステル樹脂溶液を得た。
得られたポリエステル樹脂溶液は、透明でガードナー色
数3のほとんど無色の流動性液体であり、実施例1で得
られた、本発明の改質ポリエステル樹脂の特性と同等の
特性を有することが分かった。
うことができる方法であって、容器や産業廃棄物として
のテレフタル酸を多塩基酸の主成分とするポリエステル
チップを、特殊な設備を必要とせずに改質ポリエステル
樹脂を得ることができるものである。これにより、これ
まで用途が限られていた改質ポリエステル樹脂を塗料等
のバインダーに利用することができる。本発明では、小
さな寸法のポリエステルチップを使用するため、解重合
前のポリエステル溶解時間を著しく短縮することがで
き、かつ生産効率も高い。また、上記溶解時のオーバー
ヒートによる原料の焦げ付きおよび黄変等の不都合も生
じない。また、本発明で得られる改質ポリエステル樹脂
は、特定の樹脂特数を有しており、塗料等のバインダー
に適している。
Claims (3)
- 【請求項1】 テレフタル酸を多塩基酸の主成分とする
ポリエステルチップの再利用方法であって、 (1)脂肪酸10〜90重量部とポリオール90〜10
重量部を反応させるステップ (2)前記第1ステップの反応物20〜95重量部にテ
レフタル酸を主成分とするポリエステルチップ80〜5
重量部を反応させるステップ (3)前記第2ステップの反応物40〜95重量部に多
塩基酸60〜5重量部を反応させる第3ステップからな
り、これにより得られる改質ポリエステル樹脂が、数平
均分子量1000〜3000、酸価3〜100、OH価
30〜200である、ポリエステルチップの再利用方
法。 - 【請求項2】 前記テレフタル酸を多塩基酸の主成分と
するポリエステルチップが、ポリエチレンテレフタレー
トおよび/またはポリブチレンテレフタレートからなる
ものである請求項1記載のポリエステルチップの再利用
方法。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリエステル
チップの再利用方法により得られる改質ポリエステル樹
脂。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23930799A JP3263048B2 (ja) | 1999-08-26 | 1999-08-26 | ポリエステルチップの再利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001312313A Division JP2002179782A (ja) | 2001-10-10 | 2001-10-10 | 改質ポリエステル樹脂 |
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JP3263048B2 JP3263048B2 (ja) | 2002-03-04 |
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