JP2001064245A - α,β−不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和ニトリルの製造方法

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JP2001064245A
JP2001064245A JP24085999A JP24085999A JP2001064245A JP 2001064245 A JP2001064245 A JP 2001064245A JP 24085999 A JP24085999 A JP 24085999A JP 24085999 A JP24085999 A JP 24085999A JP 2001064245 A JP2001064245 A JP 2001064245A
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reactor
reaction
alkane
gas
oxygen
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Hidekazu Munemura
英一 宗村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカンの気相接触アンモ酸化反応により不
飽和ニトリルを製造するに当たり、従来技術に対しリサ
イクル時の設備を簡素化し、操作や設備の保守管理を容
易にし、急激な酸化反応を防止してプロセスの操作性を
容易にし、反応アルカン量を増やして高い生産性を確保
した上で触媒の性質を有効に利用できる反応条件を見い
出し、炭化水素の損失を減らし、従来の欠点を克服して
高いニトリル収率が得られる、かつ、工業実施に有利な
製造プロセスを提供することを目的とする。 【解決手段】 バナジウムを含む複合金属酸化物触媒の
存在下、アルカンとアンモニアを気相接触酸化反応させ
るα,β−不飽和ニトリルの製造方法において、主とし
て反応ガス各成分供給装置、気相接触酸化反応器および
反応生成ニトリルの回収装置により順次構成される反応
系で、α,β−不飽和ニトリルを製造し、反応後のガス
状流出物の大部分を循環し、残りのガス状流出物を反応
系外に排出する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α,β−不飽和ニ
トリル(以下、目的ニトリルと略する)の製造方法に関
するものである。さらに詳しくは、アルカンを原料と
し、製造プロセスがシンプルであり、かつ、高生産性と
高選択率をあわせ持つことにより、高収率で目的ニトリ
ルを製造する改良された製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル、メタクリロニトリル
などの不飽和ニトリル類は、従来プロピレン、イソブチ
レンなどのオレフィン類を触媒の存在下、アンモニアお
よび酸素と気相接触酸化反応を行なって得る方法が、最
も一般的な製法として工業的に実施されている。近年、
プロパンとプロピレン間等の対応するアルカンとアルケ
ン間の価格差などの理由により、アルカンを出発原料と
し、気相接触アンモ酸化反応を行ない、対応する不飽和
ニトリルを取得する方法が着目されており、この反応に
用いる触媒やプロセスに関する種々の報告がなされてい
る。
【0003】製造プロセスに関しては、循環法を中心に
多くの報告がなされている。特開平4−368351号
には、適当な触媒の存在下、炭化水素を実質的に純粋な
酸素と気相反応させることにより炭化水素誘導体を製造
し、反応器流出ガスをスクラバー(通常は吸収装置)に
導入することにより、炭化水素誘導体を分離・回収し、
この分離・回収工程の後のガス状流出物またはこの工程
の前の反応器流出物の全てまたは一部を一酸化炭素転化
器で処理し、上記流出物中の一酸化炭素の一部または全
てを二酸化炭素に転化させ、次いで、ガス流から二酸化
炭素の一部を除去し、残りのガス流を反応器に再循環さ
せる方法を開示しており、その具体例の一つとして、炭
化水素がプロパンであり、炭化水素誘導体がアクリロニ
トリルである例を挙げている。
【0004】この公報では、ガス流中の二酸化炭素の濃
度が高まることにより熱容量が増加し、反応器からの熱
除去が容易になり反応器の生産能力が増大する点や、広
い濃度範囲に渡って急激な酸化反応を起こす性質を持つ
一酸化炭素の系内濃度増加が抑制できることから、シス
テム全体を通じての急激な酸化反応を起こす性質をもつ
混合物の生成を防止でき、プロセスの操作性を確保でき
る点を利点として挙げている。しかし、上記プロセスは
いくつかの欠点を有する。反応器流出物また炭化水素誘
導体分離・回収工程の後のガス状流出物の全てまたは一
部を一酸化炭素転化器で処理し、上記流出物中の一酸化
炭素の一部または全てを二酸化炭素に転化させるシステ
ムは、ガス流の振り分けや一酸化炭素の選択的酸化にか
かわる操作が煩雑であり、また、上記ガス流が大きな容
量を持つために、これらの操作に係わる設備を大がかり
なものにせざるを得ない。
【0005】また、一酸化炭素転化器では触媒を用いて
選択的な酸化反応を実施するものの、未反応炭化水素の
酸化を完全に防止することは極めて難しく、実施例より
明らかなように炭化水素の損失が生ずる。炭化水素誘導
体の分離・回収工程の後のガス状流出物を一酸化炭素転
化器で処理する前に加熱しなければならないが、ガス中
に存在する酸素との反応で系の温度コントロールが複雑
になることがあり、このような場合には難しい対応を迫
られる。さらに、二酸化炭素の系内蓄積防止のために、
ガス流の一部の系外パージ操作や二酸化炭素の一部の量
を吸収または吸着操作により分離除去する操作を必要と
するが、ガス流の一部を系外パージする場合には、二酸
化炭素とともにガス流中に含まれる未反炭化水素の一部
が失われる。また、吸着操作によって二酸化炭素を分離
除去する場合においても、二酸化炭素とガス流中に含ま
れる未反応炭化水素の完全な分離は極めて難しく、未反
応炭化水素の一部が失われる。したがって、このような
操作は、結局アルカンから目的ニトリルへの収量を低下
させることになる。
【0006】一方、ニトリル選択率の高い低アルカン転
化率でアンモ酸化を行ない、未反応アルカンを分離し反
応器にリサイクルする方法が提案されている。特開平3
−27350号には、高ニトリル選択率が得られる比較
的低いアルカン転化率の条件下でアルカンまたはアルケ
ンをアンモ酸化し、得られた反応ガスを急冷してニトリ
ルを回収し、この時の目的ニトリル分離・回収後のガス
状流出物を加圧下選択的分離器(好ましくは圧力スイン
グ吸着ユニット)に導き、未反応アルカンまたはアルケ
ンを分離するにあたって、分離器導入ガスが規定範囲の
不活性ガス(窒素、二酸化炭素、不活性炭化水素)を含
有するようにして、急激な酸化反応を防止し、プロセス
の操作性を確保した上で、分離取得したアルカンまたは
アルケンを加圧下反応器にリサイクルする方法が開示さ
れている。
【0007】また、特開平10−81660号には、反
応ガス組成モル比および供給ガス中のアルカン濃度範囲
を規定し、供給したアルカンの転化率を70%以下とし
ながら反応させ、反応生成ニトリルを分離・回収し、そ
の時得られる反応生成ニトリル分離・回収後のガス状流
出物から未反応アルカンを主体に選択分離し、得られた
アルカンを再度反応器に供給する方法が開示されてい
る。また、同時に選択分離して得たアルカンを下流の反
応器に供給する方法も開示されている。
【0008】上記の未反応アルカンを分離回収してリサ
イクルする方法は、いくつかの欠点を有する。すなわ
ち、上記方法では低アルカン転化率で反応を実施するた
め、未反応アルカン量が多く、大規模な選択分離器およ
びリサイクルシステムを必要とし、プロセスが複雑化す
る。選択分離器の好ましい態様である圧力スイング吸着
ユニット(PSA)の場合、分離するアルカンに見合う大
量の吸着剤を必要とし、大きな設備が必要である。この
システムの吸着剤は、繰り返し使用により劣化すること
が知られており、取り替えの操作を必要とする。PSA
等の選択分離器では、目的とする炭化水素を100%回
収できず、損失が発生する。特開平3−27350号に
は、選択分離器(好ましくはPSA)で未反応炭化水素
の実質的な部分を有効に取り出し、アンモ酸化反応器に
再循環する場合について述べており、この実質的な部分
とは、アンモ酸化反応器への供給物中の酸素含有ガスが
空気である場合は少なくとも約80容量%を、高純度酸
素と空気の等重量部混合物の場合は少なくとも約90容
量%を、そして、高純度酸素の場合は少なくとも約95
容量%を意味すると説明している。
【0009】このようにアンモ酸化反応に使用する酸素
含有ガスの種類により、目的とする炭化水素の回収率が
大きく変化することを示している。選択分離器でのアル
カンの損失は、アルカンから目的とするニトリルの収率
低下に直結する。空気の代わりに酸素等を使用すること
で、系のアルカン濃度を高めた場合、アンモ酸化反応器
内のアルカン分圧が上昇し、ニトリル選択率の低下が生
じる。PSAを使用する場合、吸着効率を上げるために
加圧操作を必要とするが、この操作は、分離器供給ガス
中の酸素と可燃性ガスを原因物質として、加圧による爆
発範囲の拡大による異常酸化反応進行の誘因となるた
め、不活性ガスの濃度コントロール等を必要とする。ま
た、選択分離を行なっても、目的物質のみを分離するこ
とは実用上は難しく、不要成分が一部混入する。このた
めリサイクル方式では、不要成分の蓄積が問題になるこ
とがある。この場合、これに対する対応を必要とする。
このように、従来の製造プロセスや製造方法では、リサ
イクル方式を採用すると、不要成分の蓄積を防止するた
めに設備が複雑となり、運転操作の煩雑化、設備の保守
管理の複雑化をまねくという問題があった。
【0010】触媒に関しては、例えば、Sb−U−Ni
−V系触媒(特公昭47−14371号、USP3,8
16,506号)、Sb−U−W系触媒(USP3,6
70,006号)、Sb−U系触媒(USP4,00
0,178号)、Bi−Fe系触媒(USP3,67
0,008号)、Mo−B−Sn系触媒(USP3,6
70,009号)、Sb−In系触媒(USP3,67
8,090号)、Ga−Sb系触媒(ソ連特許5474
44号、ソ連特許698646号)、Sb−Sn系触
媒、Sb−U系触媒、As−Sn系触媒、As−U系触
媒、Sn−Ti系触媒、Mo−Sn系触媒、V−Cr系
触媒、V−Mo系触媒、Ti−Mo系触媒(以上、特公
昭50−28940号)、V−P系触媒(特開昭52−
148022号、特公昭58−5188号)、V−Sb
系触媒(特開昭47−33783号)、V−Sb−Ti
系触媒(特開昭54−95439号)、V−Sb−W系
触媒(特開平1−268668号、特開平2−9543
9号、特開平2−261544号)、V−Sb−Sn系
触媒(USP5,008,427号)、V−Sb−Bi
系触媒(特開平6−80620号)、V−Sb−Fe系
触媒(特開平6−135922号)、Mo−Bi−Al
−Mg系触媒(ソ連特許193484号)、Mo−Bi
−Fe−P系触媒(ソ連特許220982号)、Mo−
P−Bi系触媒(特開昭47−13312号、特開昭4
8−16887号)、Ga−Bi−Mo系触媒(特開平
3−58962号)、Bi−Fe−Mo−Al系触媒
(特開平3−157356号)、Mo−Cr−Bi系触
媒(特開平7−215925号)、Ca−Ni−P−M
o−Bi系触媒(特開昭50−69018号)、Nb−
Cr−Mo−Bi系触媒(特開平6−116225
号)、Bi−V系触媒(特開昭63−295545
号)、V−Sn−Sb−Cu系触媒(特開平4−275
266号)、V−P−W系触媒(USP4,918,2
14号)、Mo−V−Te−Nb系触媒(特開平2−2
57号、特開平2−279313号)、W−V−Te−
Nb系触媒(特開平6−228073号)、Mo−Te
系触媒(特開平7−215926号)、Mo−Cr−T
e系触媒(USP5,171,876号)、Ag−Bi
−V−Mo系触媒(特開平3−58961号)、Mo−
V−Mn系触媒(特開平6−135921号)、Mo−
Mg系触媒(特開平5−194347号)、Sn−V−
Bi−P系触媒(特開平4−247060号)、Ta−
Mo系触媒(特開平5−213848号)、P−Mo系
触媒(特開平6−199767号)、Cr−Sb−W系
触媒(特開平7−157461号)、Mo−Sb−W系
触媒(特開平7−157462号)、Te−Sb系触媒
(Applied Catalysis A:Gene
ral 136(1996)205−229)等が知ら
れている。しかし、これらの触媒を用いた方法では、従
来のアルケンのアンモ酸化反応において、アルカン転化
率を高めると、逐次分解反応の進行による目的ニトリル
の選択率低下が起こり、目的ニトリル選択率を高めよう
とすると、逆にアルカン転化率低下が起こり、未だこの
触媒の相反する性質を生かした方法が見い出されていな
かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
カンの気相接触アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを
製造するに当たり、従来技術に対しリサイクル時の設備
を簡素化し、操作や設備の保守管理を容易にし、急激な
酸化反応を防止してプロセスの操作性を容易にし、反応
アルカン量を増やして高い生産性を確保した上で、触媒
の性質を有効に利用できる反応条件を見い出し、炭化水
素の損失を減らし、従来の欠点を克服して高いニトリル
収率が得られる、かつ、工業実施に有利な製造プロセス
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、本反応の特性を詳細に研究し、本反応
の特性を最大限に生かすプロセスの開発を進めた結果、
反応器流出物から、反応生成ニトリルを分離・回収した
後のガス状流出物を反応器にリサイクルする時に、アル
カンを主体とするガス状成分を分離・回収せずに、ま
た、一酸化炭素を二酸化炭素に転化せずにそのまま用い
るという簡素な方法のもとで、急激な酸化反応を起こす
性質をもつ混合物の生成を防止でき、かつ、反応器供給
ガス中のプロパン濃度を高めた状態で高い目的ニトリル
選択率を発現させることにより、高い生産性を確保した
上で、二酸化炭素、一酸化炭素や窒素等の不要成分の蓄
積を防止可能な運転条件を見い出し、本発明に至った。
【0013】すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)
のとおりである。 (1)バナジウムを含む複合金属酸化物触媒の存在下、
アルカンとアンモニアを気相接触酸化反応させるα,β
−不飽和ニトリルの製造方法において、主として反応ガ
ス各成分供給装置、気相接触酸化反応器および反応生成
物の回収装置により順次構成される反応系で、下記
(a)ないし(b)の工程によりα,β−不飽和ニトリ
ルを製造し、下記の工程(c)により工程(a)にガス
状流出物の大部分を循環し、残りのガス状流出物を反応
系外に排出することを特徴とするα,β−不飽和ニトリ
ルの製造方法。 (a)バナジウムを含む複合金属酸化物触媒を有する反
応器に、炭素数3〜8個のアルカンを6〜30vol%
含有し、下記の組成モル分率からなる反応ガスを供給
し、アンモニアと気相接触酸化反応させる工程;アルカ
ン:アンモニア:酸素:希釈ガス=1:0.2〜1.
5:0.5〜3.5:0〜20 (b)該反応器から流出する反応器流出物から、反応生
成ニトリルを分離・回収する工程; (c)反応生成ニトリルを分離・回収後のガス状流出物
を、内在する未反応アルカンを主体とするガス状成分の
分離・回収操作や一酸化炭素の二酸化炭素への転化操作
を行わずに、該ガス状流出物の85〜97vol%を工
程(a)に循環し、残りの該ガス状流出物を反応系外に
排出する工程;
【0014】(2)上記(1)記載の工程(a)の反応
器におけるアルカン転化率が20〜60%であることを
特徴とする上記(1)に記載のα,β−不飽和ニトリル
の製造方法。 (3)上記(1)記載の工程(a)の反応器への反応ガ
スおよびその供給方法が、反応器に新たに供給する酸素
源が酸素を主体とするガスであり、また、該酸素を主体
とするガスを他の反応器供給ガスと反応器内触媒層で混
合することを特徴とする上記(1)または(2)に記載
のα,β−不飽和ニトリルの製造方法。 (4)該反応に用いられる触媒が、モリブデン、バナジ
ウム、ニオブ、X、Zおよび酸素からなる複合酸化物で
あって、その成分・組成が下記の一般式(1)で表され
る化合物であることを特徴とする上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載のα,β−不飽和ニトリルの製
造方法。 Mo1 a Nbb c d n (1) (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくて
も1種類以上の元素、成分ZはW、Cr、Ta、Ti、
Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、N
i、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、
In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、La、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびアルカリ土類金
属から選ばれる少なくても1種類以上の元素であり、
a、b、c、d、nはMo1原子当たりの原子比を表
し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c
≦1、0≦d≦0.1、そして、nは構成金属の酸化状
態で決まる数である。)
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
アルカンとは、ニトリル製造方法の原料として使用され
るアルカンであり、プロパン、ブタン、イソブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられるが、工業的
有用性の観点からはプロパンまたはイソブタンが好まし
い。アルカンおよびアンモニアの供給原料は必ずしも高
純度である必要はなく、工業グレードのものを使用でき
る。本発明の複合金属酸化物触媒とは、バナジウムおよ
び酸素を含む複合酸化物であって、好ましい例は次の2
例である。
【0016】例1 モリブデン、バナジウム、ニオブ、X、Zおよび酸素か
らなる複合金属酸化物触媒であって、成分・組成が下記
の一般組成式(1)を満たすものが好ましい。 Mo1 a Nbb c d n (1) (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくと
も1種類以上の元素、成分ZはW、Cr、Ta、Ti、
Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、N
i、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、
In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、La、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびアルカリ土類金
属から選ばれる少なくとも1種類以上の元素であり、
a、b、c、d、nはMo1原子当たりの原子比を表
し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c
≦1、0≦d≦0.1、そして、nは構成金属の酸化状
態で決まる数である。)
【0017】本触媒に用いる担体シリカの含有量は、触
媒成分とシリカからなるシリカ担体触媒の全重量比25
〜70重量%、好ましくは30〜50重量%である。M
oの原料は、モリブデン酸化物またはヘプタモリブデン
酸アンモニウムを好適に用いることができる。Vの原料
は、メタバナジン酸アンモニウムを好適に用いることが
できる。Nbの原料は、ニオブ酸、ニオブ水酸化物、ニ
オブ酸塩を好適に用いることができる。TeとSbの原
料は、それぞれ、テルル酸とアンチモン酸化物を好適に
用いることができる。成分Zの原料は、それぞれの金属
の有機酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、アンモニウム
塩、炭酸塩または酸化物などを用いることができる。シ
リカの原料は、シリカゾルを好適に用いることができ
る。
【0018】触媒調製は、例えば、下記の原料調合、乾
燥および焼成の3つの工程を経て行なうことができる。 (原料調合工程)ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メ
タバナジン酸アンモニウムおよびテルル酸の混合水溶液
を調製する。アンチモンを用いる場合には、メタバナジ
ン酸アンモニウム水溶液と酸化アンチモン(III)か
らなるスラリーをリフラックス条件下に加熱した後、ヘ
プタモリブデン酸アンモニウムを添加し、引き続いて空
気等、酸化性ガスを含む雰囲気下で加熱するか、または
/および過酸化水素水等の酸化性液体を添加する。場合
に応じてテルル酸を添加して混合水溶液を調製する。こ
の混合水溶液に、攪拌下、ニオブ酸とジカルボン酸を含
む液と、式(1)の成分Zを含む水溶液、例えば、酢酸
イッテルビウム水溶液およびシリカゾルを順次添加して
原料調合液を得ることができる。ニオブ酸およびジカル
ボン酸を含む水溶液のジカルボン酸/ニオブのモル比は
2〜4、好ましくは2〜3.5である。ジカルボン酸は
シュウ酸が好ましい。
【0019】(乾燥工程)原料調合工程で得られた調合
液を噴霧乾燥法によって乾燥させ、乾燥粉体を得ること
ができる。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二
流体ノズル方式または高圧ノズル方式によって行なうこ
とができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなど
によって加熱された空気を用いることができる。熱風の
乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。 (焼成工程)乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成するこ
とによって酸化物触媒を得ることができる。焼成は窒素
などの実質的に酸素を含まないガス雰囲気下、500〜
700℃、好ましくは550〜650℃で実施すること
ができる。焼成時間は0.5〜20時間、好ましくは1
〜8時間である。焼成は回転炉、トンネル炉、管状炉、
流動焼成炉などを用いて、酸素を実質的に含まないガス
を流通させながら行なうことができる。この焼成の前に
大気雰囲気下または大気流通下、200〜400℃、1
〜5時間、前焼成することができる。このようにして調
製された触媒の存在下、アルカンをアンモニアおよび酸
素と気相接触反応させて、対応する不飽和ニトリルを製
造することができる。
【0020】例2 バナジュウム、アンチモン、α、βおよび酸素からなる
化合物であって、その成分・組成が下記の一般式(6)
を満たすものが好ましい。 Va Sbb αc βd Ox (2) (式中、a=0.01〜2、b=0.5〜4、c=0.
01〜3、d=0〜1、α=Sn、Ti、Fe、Cu、
Mn、Gaまたはそれらの混合物、β=Li、Mg、S
r、Ca、Ba、Co、Ni、Zn、Ge、Nb、Z
r、Mo、W、Cr、Te、Ta、Se、Bi、Ce、
In、Ar、Bまたはそれらの混合物、xは存在元素の
原子価により決定される値である。) バナジウムはメタバナジン酸アンモニウムを好適に使用
できる。アンチモンは酸化アンチモンを好適に使用でき
る。式(2)中の成分αおよびβの原料は、それぞれの
金属の有機酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、水酸化物ま
たは酸化物などを用いることができる。担体を用いる場
合は、シリカゾルおよびアルミナゾルが好ましい。この
ような複合酸化物触媒の調整方法は、以下の例に限定さ
れるものではないが、例えば、次のような手順で実施さ
れる。
【0021】(原料調合工程)メタバナジン酸アンモニ
ウム水溶液と酸化アンチモンからなるスラリーをリフラ
ックス条件下に加熱した後、必要に応じて成分αを含む
水溶液,スラリー,ゾルを、さらに、必要に応じて成分
βを含む水溶液,スラリー,ゾルを添加、混合して、触
媒原料液を得る。 (乾燥工程)原料調合工程で得られた触媒原料液を、噴
霧乾燥法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴霧乾燥
法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式また
は高圧ノズル方式によって行なうことができる。乾燥熱
源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された
空気を用いることができる。熱風の乾燥機入口温度は1
50〜300℃が好ましい。 (焼成工程)乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成するこ
とによって酸化物触媒を得ることができる。焼成は、大
気雰囲気下、500〜650℃で実施することができ
る。焼成時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜8時
間である。焼成は回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼
成炉、マッフル炉などを使用することができる。このよ
うにして調製された触媒の存在下、アルカンをアンモニ
アおよび酸素と気相接触反応させて、対応する不飽和ニ
トリルを製造することができる。
【0022】本発明のα,β−不飽和ニトリルとは、ア
クリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類
のことをいう。本発明の反応ガスとは、アルカン、アン
モニア、酸素、希釈ガスのことをいう。ここでいう希釈
ガスとは、気相接触酸化反応の目的ニトリル生成に実質
的に関与しないガスを意味しており、窒素、二酸化炭
素、一酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気等があげ
られる。本発明の反応生成ニトリルとは、α,β−不飽
和ニトリルを主とし、青酸、アセトニトリルのことをい
う。本発明のガス状流出物とは、工程(a)で生成した
α,β−不飽和ニトリルを工程(b)で分離・回収した
後に残ったガス状流出物であり、アルカン、アルケン、
二酸化炭素、一酸化炭素、窒素等の混合物のことであ
る。
【0023】本発明の未反応アルカンを主体とするガス
状成分を分離・回収しないとは、従来の技術では工程
(a)(b)の後にガス状流出物を(a)工程に循環す
る前に、圧力スイング吸着ユニット(PSA)等の選択
分離器に通してガス状流出物中のアルカン濃度を上げ、
不活性ガス濃度を下げていた操作をしないで、工程
(a)(b)の後にガス状流出物を未処理のままという
意味である。本発明の一酸化炭素を二酸化炭素に転化し
ないとは、従来の技術では工程(a)または(b)の後
のガス流中に含まれる一酸化炭素を二酸化炭素に転化し
ていた操作をしないで、工程(a)(b)の後にガス流
を未処理のままという意味である。本発明のガス流と
は、本システム中のガス状の流体の流れのことであり、
例えば、反応器出口で言えば、反応器流出物の流れをさ
し、反応生成ニトリルを分離・回収する工程で言えば、
反応生成ニトリルを分離・回収後のガス状流出物の流れ
のことである。
【0024】本発明のアルカン反応量とは、各反応器で
消費したアルカンの絶対量のことを言う。本発明の目的
ニトリル収量とは、本発明の反応系で得られる目的ニト
リルの絶対量のことを言う。本発明の単流反応とは、現
行のアルケンをアンモ酸化して対応するα,β−不飽和
ニトリルを得る製法と同様に、アルカンのアンモ酸化に
より1段でアルカン転化率を高めてα,β−不飽和ニト
リルを得る反応のことを言う。本発明の供給酸素源とし
ては、純酸素または酸素濃度の高い酸素富化空気または
純酸素と不活性ガス、例えば、窒素、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気などの混合物を用いる
ことができる。
【0025】本発明は、例えば、酸化物触媒の存在下、
反応器と反応生成ニトリルの回収装置からなる装置を軸
に、ニトリルの回収装置から流出する未反応アルカンを
含有するガスの大半を反応器にリサイクルし、残りを反
応系外に排出する装置を設置した反応設備を用いて実施
する。その際、反応器に新たに供給するアルカンに、未
反応アルカンを含むリサイクルガスを加えてアルカン濃
度を高め、反応に必要なアンモニアおよび分子状酸素を
加えて、触媒の存在下、接触酸化反応を行い、目的ニト
リルを製造する。次いで、反応器流出物中の反応生成ニ
トリルを回収した後、回収装置から流出するガス中に含
まれる未反応アルカンを分離・回収せずに、また、一酸
化炭素を二酸化炭素に転化せずに、ガス状流出物の大部
分の量を反応器にリサイクルし、残りを反応系外に排出
する。
【0026】この時、上記反応に用いる触媒は、高いア
クリロニトリル選択率と低い二酸化炭素および一酸化炭
素選択率を発現するバナジウムを含む複合金属酸化物触
媒を用いることが重要であり、これにより、二酸化炭素
および一酸化炭素の副生量そのものを少なくすることが
できる。また、反応器に新たに供給される酸素は、酸素
または酸素濃度の高い酸素富化空気、酸素と不活性ガス
を用いることが、反応に関与しない窒素や炭酸ガス等を
必要以上に増大させることを防止し、各反応器のアルカ
ン濃度を必要以上に低下させないために重要である。上
記酸素含有ガスは酸素濃度が90vol%以上のものが
好ましく、さらには95vol%以上のものが特に好ま
しい。
【0027】このような条件下、反応器にリサイクルす
るガス状流出物の割合を85〜97vol%にし、残り
の3〜15vol%の割合を反応系外に排出すること
で、従来の技術で問題となっていた不要成分の蓄積を防
止することができる。このリサイクルするガス状流出物
のより好ましい割合は、88〜95vol%である。ま
た、反応生成ニトリル回収後の回収装置からのガス流出
物を、そのままの状態で反応器にリサイクルして使用す
る場合の2番目の課題は、該ガス状流出物中に含まれる
二酸化炭素や一酸化炭素等の成分の目的ニトリル生成反
応に対する悪影響を無くすことであるが、本発明条件下
で反応条件を適正化すれば、目的ニトリル生成反応は正
常に進行することを掴んだ。
【0028】また、反応生成ニトリル回収後の回収装置
からのガス流出物を、そのままの状態で反応器にリサイ
クルして使用する場合の3番目の課題は、急激な酸化反
応を起こす混合物の生成を防止することであるが、本発
明では、反応器に新たに供給する酸素を主体とするガス
を、他の反応器供給ガスと反応器内触媒層で混合するこ
とにより、従来技術では一酸化炭素やアルカン等の可燃
性成分濃度が高い場合には、反応器に新たに供給する酸
素の混合により避け得なかった急激な酸化反応を起こす
混合物の生成を防止をすることに成功した。次に、高い
アルカン反応量と高選択率を合わせ持つことにより、高
い生産性で目的ニトリルを製造する条件を記載する。本
アルカンのアンモ酸化用の複合金属酸化物触媒は、高い
アルカン転化率の時は低いニトリル選択率しか得られ
ず、高いニトリル選択率を得ようとすると、低いアルカ
ン転化率の条件となってしまう性質を持つ。
【0029】そこで、新たに系に供給するアルカンに加
えて、未反応アルカンをリサイクルすることにより、反
応器供給ガス中のアルカン濃度を高めて、低アルカン転
化率であっても単流反応を上回るアルカン反応量を確保
し、かつ、低アルカン転化率下で発現する高い目的ニト
リル選択率を活用することにより、これらの積である目
的ニトリルの収量を高め得ることを見出した。具体的条
件としては、本発明の反応器のアルカン転化率は20〜
60%であり、好ましくは40〜60%である。本条件
下での目的ニトリル選択率は、用いる触媒によってその
水準は変わるが、例えば、Mo−V−Nb−Te系触媒
では、アルカン転化率20〜60%の条件下で55〜7
0%の選択率が望め、好ましいアルカン転化率40〜6
0%の条件下では60〜70%の選択率が望める。
【0030】一方、単流反応の反応器のアルカン転化率
は、目的ニトリル収率を最大にする意味から70〜95
%であり、好ましくは80〜90%である。本条件下で
の目的ニトリル選択率は、Mo−V−Nb−Te系触媒
では、アルカン転化率70〜95%の条件下で35〜6
5%の選択率であり、また,好ましいアルカン転化率8
0〜90%の条件下では45〜65%の選択率であり、
いずれも低いアルカン転化率で反応を実施する本発明の
反応器の目的ニトリル選択率に比べ、これらの値は低
い。この際、反応系に新たに供給するアルカンを基準と
した目的ニトリルの収率と工業的実施の観点から、目的
ニトリルの収量を高める意味で、高い目的ニトリル選択
率が得られる本発明反応器のアルカン反応量を、目的ニ
トリル選択率が低い単流反応器の場合より高くすること
が必須要件である。
【0031】この要件を満足させる具体的な方法とし
て、上記反応に用いる触媒は,高いアクリロニトリル選
択率と低い二酸化炭素および一酸化炭素選択率を発現す
るバナジウムを含む複合金属酸化物触媒を用いることが
重要であり、これにより二酸化炭素および一酸化炭素の
副生量そのものを少なくすることができる。また、反応
器に新たに供給される酸素は、酸素または酸素濃度の高
い酸素富化空気、酸素と不活性ガスを用いることが、反
応に関与しない窒素や炭酸ガス等を必要以上に増大させ
ることを防止し、各反応器のアルカン濃度を必要以上に
低下させないために重要である。上記酸素含有ガスは酸
素濃度が90vol%以上のものが好ましく、さらには
95vol%以上のものが特に好ましい。
【0032】このような条件下、反応器にリサイクルす
るガス状流出物の割合を85〜97vol%にし、残り
の3〜15vol%の割合を反応系外に排出すること
で、従来の技術で問題となっていた不要成分の蓄積を防
止することができる。これらにより、本発明の反応器供
給ガス中のアルカン濃度を、従来の単流反応器の場合に
対して高め、低アルカン転化率であっても、単流反応器
の場合よりも多くのアルカン反応量を確保することが可
能となる。また、反応器供給ガス中のアルカン濃度が、
本発明反応器においては、従来の単流反応器より高く6
〜30vol%であることが好ましい。また、本発明反
応器への反応器供給ガスのアルカン:アンモニア:酸
素:希釈ガスモル比は、1:0.2〜1.5:0.5〜
3.5:0〜20が好ましい。
【0033】本反応圧力は1〜3atm、好ましくは
1.5〜2atmである。反応温度は350〜500
℃、好ましくは380〜450℃である。接触時間は
0.5〜10(sec・g/cc)、好ましくは1.0
〜5(sec・g/cc)である。反応方式は、流動
床、移動床などを採用できるが、触媒粒子への物理的負
荷が少なく運転操作が容易であるなどの理由から、流動
床反応が好ましい。本発明におけるプロセスの概略をブ
ロックフローで示したものが図1であるが、本発明は、
この実施態様例に限定されるものではない。図1は反応
器への各ガス成分供給装置、気相酸化反応器、反応器か
ら流出する反応器流出物から反応生成ニトリルを分離・
回収する回収装置よりなる反応系ユニットを軸にし、反
応生成ニトリルを分離・回収後のガス状流出物を反応器
に循環する装置が設置されていること示すプロセスの概
念図である。
【0034】本発明では、反応器に新たに供給するアル
カンに加えて、反応により生成したニトリルを分離・回
収後の未反応アルカンを含むガス状流出物の85〜97
vol%を反応器にリサイクルすることにより、単流で
アルカン、アンモニアおよび酸素含有ガスを用いて高ア
ルカン転化率で反応を行う場合の反応器供給ガス中のア
ルカン濃度に対して、アルカン濃度を高めることができ
る。例えば、アルカン濃度を約2倍に高めた場合、上記
単流で反応する場合の反応量が、通常アルカン供給量の
80〜90%であるのに対し、アルカン転化率が約50
%で、それ以上のアルカン反応量、約100%の量(対
単流反応の同一アルカン供給量)を確保できる。さら
に、本発明反応器へのアルカン供給量を増やし、アルカ
ン反応量を単流反応器に対し、より増やすことも可能で
ある。以上述べた本発明反応器のアルカン反応量を単流
反応器より多くすることが、本発明の必須要件である。
【0035】また、目的ニトリルの選択率に関しては、
このような低いアルカン転化率下では、2次分解が少な
いために高い目的ニトリル選択率を得ることができる。
加えて、本発明反応器で生成したアルケンがリサイクル
によって、その85〜97%が反応器に戻り、反応によ
り目的ニトリルに変わるため、目的ニトリル選択率を押
し上げることができる。この結果、本発明反応器で高い
目的ニトリル収量が得られる。反応器から流出する反応
流出物から反応生成ニトリルを分離・回収した後、未反
応アルカンを含むガス状流出物の85〜97vol%を
反応器にリサイクルするとともに、残りのガス状流出物
を反応系外(例えば、排ガス焼却炉)に抜き出す。
【0036】一方、反応器供給ガス中のアルカン濃度に
関連する酸素含有ガスは、本発明反応器ではリサイクル
により、二酸化炭素や一酸化炭素を主体としたガスが持
ち込まれるため、アルカン濃度を必要以上に下げない意
味で酸素が好ましいが、酸素濃度の高い酸素富化空気や
酸素と不活性ガスの混合ガスの使用も、目的を満たす範
囲内で可能である。反応により副生する二酸化炭素、一
酸化炭素およびアンモニア燃焼により生成する窒素、お
よび酸素含有ガス中の酸素以外の成分は、各反応器のガ
スの容量増加およびアルカン濃度を必要以上に低下させ
る要因となるが、本発明反応器は、系外へのガス相抜き
出し操作を有しており、この条件を調整することによ
り、これら不要成分の蓄積を防止できる。
【0037】この本発明の方法を従来技術と比較した場
合、下記のことが言える。まず、従来、困難視されてい
た目的ニトリル分離・回収後の流出ガスを、含有成分の
分離や転化操作をせずに、未処理のまま反応器でリサイ
クル使用するという極めて簡素な方法である点が特徴と
して挙げられる。反応器から流出する反応流出物から反
応生成ニトリルを、分離・回収する工程の前後の未反応
アルカンを含むガス状流出物に含まれる一酸化炭素を二
酸化炭素に転化し、余剰な二酸化炭素を分離除去して循
環使用するリサイクル法に対して、煩雑な一酸化炭素を
二酸化炭素に転化する操作や、余剰な二酸化炭素を分離
除去する操作を必要としない点、一酸化炭素を二酸化炭
素に転化する操作時にアルカンの損失がない点で優れて
いる。
【0038】また、アルカンを選択分離・回収して循環
使用するリサイクル法に対しても、煩雑なアルカンの分
離・回収操作を必要としない点、アルカンやアルケンの
選択分離・回収時の損失がない点、および異常な酸化反
応防止のための不活性ガスの濃度コントロール等の煩雑
な操作を必要としない点で優れている。また、ニトリル
製造に関連する、アルカンの吸着剤による選択分離技術
は、現状では開発途上の技術であり工業化されていな
い。この点でも、本発明の方法は既存の技術の応用で実
施可能であり、優れている。反応器を単独で使用し、高
アルカン転化率で反応させる単流法に比し、ニトリル収
率は際だって高い。また、アルカンの利用率も、損失は
反応系外への抜き出しで生じるのみであり、この抜き出
し量を少なくする工夫を取り入れているため高い。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に本発明に関し、プロパンを
用い気相接触アンモ酸化反応を行なってアクリロニトリ
ルを製造した場合の実施例を用いて説明するが、本発明
は、その要旨を越えない限り、これら実施例に限定され
るものではない。なお、以下の実施例におけるプロパン
の転化率、プロパンの損失率、アクリロニトリル選択
率、アクリロニトリル収率、接触時間は、それぞれ次式
で計算される。
【0040】単流反応器およびリサイクル反応器供給P
n基準の場合 プロパン転化率(%)=(該反応器で反応したプロパン
のモル数)/(該反応器に供給したプロパンのモル数)
×100 プロパン損失率(%)=(反応系外に排出されたプロパ
ンのモル数)/(該反応器に供給したプロパンのモル
数)×100 アクリロニトリル選択率(%)=(該反応器で生成した
アクリロニトリルのモル数)/(該反応器で反応したプ
ロパンのモル数)×100 アクリロニトリル収率(%)=(該反応器で生成したア
クリロニトリルのモル数) /
(該反応器に供給したプロパンのモル数)×100 接触時間(sec)=(W/F)×273/(273+
T) 〔ここで、W=充填触媒量(ml)、F=原料混合ガス
流量(Ncc/sec)、T=反応温度(℃)であ
る。〕
【0041】本発明リサイクル反応系全体の場合 プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)
/(系に新たに供給したプロパンのモル数)×100 プロパン損失率(%)=(系外に排出したプロパンのモ
ル数)/(系に新たに供給したプロパンのモル数)×1
00 アクリロニトリル選択率(%)=(生成したアクリロニ
トリルのモル数)/(反応したプロパンのモル数)×1
00 アクリロニトリル収率(%)=(生成したアクリロニト
リルのモル数)/(系に新たに供給したプロパンのモル
数)×100
【0042】
【実施例1】(触媒の調製)触媒成分の組成式がMo1
0.32Nb0.12Te0.22n であって、SiO2 含有量
30重量%のシリカ担持触媒を、次のようにして調製し
た。水6900gにヘプタモリブデン酸アンモニウム
〔(NH4 6 MoO24・4H2 O〕1630g、メタ
バナジン酸アンモニウム〔NH4 VO3 〕345.6g
およびテルル酸〔TeO6 〕468.3gを順次加え、
攪拌下、60℃に加熱して溶解した後、30℃まで冷却
して混合水溶液を得た。次に、この混合水溶液に、攪拌
下、水1590gにNb2 5 として76.6重量%を
含有するニオブ酸192.0gおよびシュウ酸二水和物
〔H2 2 4 ・2H2 O〕418.5gを加え、60
℃に加熱溶解させた後、30℃まで冷却した液と、Si
2 として30重量%を含有するシリカゾル3000g
を順次添加して混合し、触媒原料調合液を得た。この原
料混合液を遠心噴霧乾燥機にて入口温度が240℃、出
口温度が145℃で乾燥し、微小粒状の乾燥粉体を得
た。得られた大気雰囲気下、275℃で2時間前焼成し
て酸化物を得た。この酸化物255gを直径2インチの
SUS製管に充填し、450Ncc/minの窒素ガス
流通下、600℃で2時間焼成して触媒を得た。
【0043】(プロパンのアンモ酸化反応)内径55m
mのSUS製流動床型反応器を用い、次いで、反応器流
出物中の未反応アンモニアを中和し、アクリロニトリル
や青酸等のニトリルを水で吸収して分離・回収する設備
を設置し、さらに、上記のニトリル分離・回収後のガス
状流出物の一部を反応器にリサイクルし、かつ、残りの
ガス状流出物を系外に排出するためのガス圧縮機を設置
した装置を用いて反応を行なった。反応は、内径55m
mのSUS製流動床反応器に、上記の方法で得られた触
媒135gを装填し、反応温度425℃、反応圧力0.
3kg/cm2 G下に、後述のリサイクルガスに新たに
プロパン、アンモニアを加え、新たに加える酸素と少量
の窒素は触媒層に別途加えるようにし、反応器供給ガス
全体の組成を、プロパン濃度が12.0%でプロパン:
アンモニア:酸素:窒素、二酸化炭素他=1:0.7:
1.6:バランスのモル比に調整し、これらのガスを接
触時間1.4(sec・g/cc)で通過させた。その
結果、プロパン転化率は50.1%、アクリロニトリル
収率33.5%であり、プロピレンが2.5%の収率で
生成した。アクリロニトリルの選択率は66.9%であ
り、プロピレンの選択率は5.0%であった。
【0044】反応器から流出した反応器流出物中の未反
応アンモニアを硫酸で中和し、アクリロニトリルおよび
青酸などのニトリルを水に吸収させて分離・回収した
後、排出されたガス状流出物(プロパン、窒素それに少
量の二酸化炭素、一酸化炭素、微量の酸素等を含む)の
90vol%量を反応器にリサイクル供給した。また、
上記ガス状流出物の残りの10vol%量を反応系外に
排出した。以上、各反応器の供給プロパン基準の反応結
果を述べたが、本反応系への供給プロパン基準の反応結
果を評価した場合、表1の全体という項で示すように、
プロパン転化率は90.9%と高く、アクリロニトリル
収率も60.8%と従来の単流反応に比べ格段に高い値
が得られた。また、プロパンの損出量も9.1%と少な
い。
【0045】供給プロパンを100としたときのモル数
を基準に、主要項目の数値を表した結果を図2に示す。
なお、プロパンの選択分離操作および一酸化炭素の転化
操作を実施しなかったために、操作は極めてシンプルで
あった。また、目的ニトリルを分離・回収した後のガス
状流出物を加圧し、新たなプロパンおよびアンモニアを
加えて反応器に供給し、同時に新たな酸素と少量の窒素
を別途反応器に供給したが、異常な現象は認められなか
った。また、反応を継続する間、反応器供給ガス中のプ
ロパン濃度は必要とする濃度を保つことができた。
【0046】
【実施例2】実施例1と同一の触媒と同一の装置を用い
て、反応器へのリサイクル率を95%に高めて反応を行
なった。反応器に上記触媒を135gを装填し、反応温
度425℃、反応圧力0.3kg/cm2G下に、後述
のリサイクルガスに新たにプロパン、アンモニアを加
え、新たに加える酸素は触媒層に別途加えるようにし、
反応器供給ガス全体の組成を、プロパン濃度が11.0
%でプロパン:アンモニア:酸素:窒素、二酸化炭素他
=1:0.7:1.6:バランスのモル比に調整し、こ
れらのガスを、接触時間1.4(sec・g/cc)で
通過させた。その結果、プロパン転化率は50.2%、
アクリロニトリル収率33.6%であり、プロピレンが
2.5%の収率で生成した。アクリロニトリルの選択率
は67.0%であり、プロピレンの選択率は5.0%で
あった。
【0047】反応器から流出した反応器流出物中の未反
応アンモニアを硫酸で中和し、アクリロニトリルおよび
青酸などのニトリルを水に吸収させて分離・回収した
後、排出されたガス状流出物の95vol%量を反応器
にリサイクル供給し、また、上記ガス状流出物の残りの
5vol%量を反応系外に排出した。以上、各反応器の
供給プロパン基準の反応結果を述べたが、本反応系への
供給プロパン基準の反応結果を評価した場合、表2の全
体という項で示すように、プロパン転化率は95.3%
と高く、アクリロニトリル収率も63.8%と従来の単
流反応に比べ格段に高い値が得られた。また、プロパン
の損出量も4.7%と少ない。
【0048】供給プロパンを100としたときのモル数
を基準に、主要項目の数値を表した結果を図3に示す。
なお、プロパンの選択分離操作および一酸化炭素の転化
操作を実施しなかったために、操作は極めてシンプルで
あった。また、目的ニトリルを分離・回収した後のガス
状流出物を加圧し、新たなプロパンおよびアンモニアを
加えて反応器に供給し、同時に新たな酸素を別途反応器
に供給したが、異常な現象は認められなかった。また、
反応を継続する間、反応器供給ガス中のプロパン濃度
は、必要とする濃度を保つことができた。
【0049】
【実施例3】実施例1と同一の触媒と同一の装置を用い
て、反応器へのリサイクル率を85%にして反応を行な
った。反応器に上記触媒135gを装填し、反応温度4
25℃、反応圧力0.3kg/cm2 G下に、後述のリ
サイクルガスに新たにプロパン、アンモニアを加え、新
たに加える酸素と窒素は触媒層に別途加えるようにし、
反応器供給ガス全体の組成を、プロパン濃度12.0%
であり、プロパン:アンモニア:酸素:窒素、二酸化炭
素他=1:0.7:1.6:バランスのモル比に調整
し、これらのガスを、接触時間1.4(sec・g/c
c)で反応器を通過させた。その結果、プロパン転化率
は50.0%、アクリロニトリル収率33.4%であ
り、プロピレンが2.5%の収率で生成した。アクリロ
ニトリルの選択率は66.7%であり、プロピレンの選
択率は5.0%であった。
【0050】反応器から流出した反応器流出物中の未反
応アンモニアを硫酸で中和し、アクリロニトリルおよび
青酸などのニトリルを水に吸収させて分離・回収した
後、排出されたガス状流出物の85vol%量を反応器
にリサイクル供給し、また、上記ガス状流出物の残りの
15vol%量を反応系外に排出した。以上、各反応器
の供給プロパン基準の反応結果を述べたが、本反応系へ
の供給プロパン基準の反応結果を評価した場合、表3の
全体という項で示すように、プロパン転化率は87.0
%と高く、アクリロニトリル収率も58.0%と従来の
単流反応に比べ格段に高い値が得られた。また、プロパ
ンの損出量も13.0%と少ない。
【0051】供給プロパンを100としたときのモル数
を基準に、主要項目の数値を表した結果を図4に示す。
なお、プロパンの選択分離操作および一酸化炭素の転化
操作を実施しなかったために、操作は極めてシンプルで
あった。また、目的ニトリルを分離・回収した後のガス
状流出物を加圧し、新たなプロパンおよびアンモニアを
加えて反応器に供給し、同時に新たな酸素と窒素を別途
反応器に供給したが、異常な現象は認められなかった。
また、反応を継続する間、反応器供給ガス中のプロパン
濃度は、必要とする濃度を保つことができた。
【0052】
【比較例1】実施例1の反応器と同一の触媒および反応
器を用いて単流反応を行なった。プロパン濃度が6.2
%であり、かつ、プロパン:アンモニア:酸素:窒素=
1:1.1:2.9:バランスのモル比に調整したガス
を、150gの上記触媒を装填した反応器に導入し、反
応温度430℃、反応圧力0.3kg/cm2 G下で接
触時間1.8(sec・g/cc)、2.6、3.6お
よび4.3と変えて各々を評価した。その結果を表4に
示す。このように単流反応では、プロパン転化率を必要
以上に高めた場合、アクリロニトリルの選択率の低下が
大きく、また、プロパン転化率が低い場合には選択率は
高いものの、転化率との積であるアクリロニトリル収率
は、高い値が得られないという結果を得た。供給プロパ
ンを100としたときのモル数を基準に、主要項目の数
値を表した結果の代表例として、比較例1−3を図5に
示す。
【0053】
【比較例2】実施例1と同一の触媒および同一の大きさ
の反応器を2基用い、リサイクルをせずに反応を行なっ
た。上記の第一段反応器に、前記の方法で得られた触媒
135gを装填し、反応温度425℃、反応圧力0.3
kg/cm2G下に、反応器供給ガス中のプロパン濃度
が14.1%であり、プロパン:アンモニア:酸素:窒
素=1:0.8:1.6:5.0 のモル比である混合
ガスを、接触時間1.4(sec・g/cc)で通過さ
せた。その結果、プロパン転化率が50.2%、アクリ
ロニトリル収率が31.4%、プロピレンが2.4%の
収率で生成した。アクリロニトリルの選択率は62.5
%であり、プロピレンの選択率は4.7%であった。
【0054】第1段反応器から流出した反応器流出物中
の未反応アンモニアを中和した後、アクリロニトリルお
よび青酸などを水に吸収させて分離し、排出されたガス
状流出物(プロパン、窒素それに少量の二酸化炭素、一
酸化炭素、微量の酸素等を含む)に、アンモニアおよび
酸素を加え、反応器供給ガス中のプロパン濃度が8.0
%であり、かつ、プロパン:アンモニア:酸素窒素、二
酸化炭素他=1:0.8:1.8:バランスのモル比に
調整したガスを、150gの上記触媒を装填した第2段
反応器に導入し、反応温度425℃、反応圧力0.3k
g/cm2G下で接触時間1.7(sec・g/cc)
で反応させた。その結果、プロパン転化率が60.3
%、アクリロニトリル収率が39.4%、プロピレンが
2.1%の収率で生成した。結果を表5に示す。2段の
反応器全体をひとつの系として見た場合の系全体のアル
カン損失率は、供給アルカンの19.8%と多い。ま
た、アルカン転化率は80.2%と低く、アクリロニト
リル収率も51.0%と低い値であった。供給プロパン
を100としたときのモル数を基準に、主要項目の数値
を表した結果を図6に示す。
【0055】
【比較例3】実施例1の第1段反応器と同一の触媒およ
び反応器を用いて、大略同一の条件で単流反応を行なっ
た。AN収率は実施例1と比較し1.6%低い。この理
由は、実施例1の反応器への供給ガス中には、反応器で
生成するプロピレンがリサイクル操作によって導入され
る分が含まれており、これがANに転換しているためで
あると思われる。また、この単流反応は1段で完了する
ため、約50%残存する未反応プロパンは有効利用され
ず、損失となった。結果を表6に示す。供給プロパンを
100としたときのモル数を基準に、主要項目の数値を
表した結果を図7に示す。
【0056】
【比較例4】実施例1と同一の触媒と同一の装置を用い
て、反応器へのリサイクル率を80%にして反応を行な
った。反応器に上記触媒を135gを装填し、反応温度
425℃、反応圧力0.3kg/cm2 G下に、後述の
リサイクルガスに新たにプロパン、アンモニアを加え、
新たに加える酸素と窒素は触媒層に別途加えるように
し、反応器供給ガス全体の組成を、プロパン濃度12.
0%であり、プロパン:アンモニア:酸素:窒素、二酸
化炭素他=1:0.7:1.6:バランスのモル比に調
整し、これらのガスを、接触時間1.4(sec・g/
cc)で反応器を通過させた。その結果、プロパン転化
率は49.9%、アクリロニトリル収率33.2%であ
り、プロピレンが2.5%の収率で生成した。アクリロ
ニトリルの選択率は66.6%であり、プロピレンの選
択率は5.0%であった。
【0057】反応器から流出した反応器流出物中の未反
応アンモニアを硫酸で中和し、アクリロニトリルおよび
青酸などのニトリルを水に吸収させて分離・回収した
後、排出されたガス状流出物の80vol%量を反応器
にリサイクル供給し、また、上記ガス状流出物の残りの
20vol%量を反応系外に排出した。以上、各反応器
の供給プロパン基準の反応結果を述べたが、本反応系へ
の供給プロパン基準の反応結果を評価した場合、表7の
全体という項で示すように、プロパン転化率は83.3
%と実施例に比し低く、アクリロニトリル収率も55.
5%と実施例に比べ低かった。また、プロパンの損出量
も16.7%と多かった。供給プロパンを100とした
ときのモル数を基準に、主要項目の数値を表した結果を
図8に示す。
【0058】
【比較例5】実施例1と同一の触媒と同一の装置を用い
て、反応器に上記触媒135gを装填し、反応温度42
5℃、反応圧力0.3kg/cm2 G下に、後述のリサ
イクルガスに新たにプロパン、アンモニアを加え、新た
に加える酸素は触媒層に別途加えるようにし、反応器供
給ガス全体の組成を、プロパン濃度が8.0%でプロパ
ン:アンモニア:酸素:窒素、二酸化炭素他=1:0.
7:1.6:バランスのモル比に調整し、これらのガス
を接触時間1.4(sec・g/cc)で通過させ、反
応を開始した。反応器流出物からアクリロニトリル等を
分離・回収した後のガス状流出物の98vol%量を反
応器にリサイクル供給し、残りの2vol%量を反応系
外に排出したが、反応器供給ガス中の二酸化炭素および
一酸化炭素濃度の径時的な上昇が認められ、所定のプロ
パン濃度8vol%を保てなくなったため、反応を停止
した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【発明の効果】本発明により、アルカンの気相接触アン
モ酸化反応により不飽和ニトリルを製造するに当たり、
従来技術に対しリサイクル時の設備を簡素化し、操作や
設備の保守管理を容易にし、急激な酸化反応を防止して
プロセスの操作性を容易にし、反応アルカン量を増やし
て高い生産性を確保した上で触媒の性質を有効に利用で
きる反応条件を見い出し、炭化水素の損失を減らし、従
来の欠点を克服して高いニトリル収率が得られる、か
つ、工業実施に有利な製造プロセスを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の概略をブロックフローで示した
説明図である。
【図2】本発明の実施例1の概略をブロックフローで示
した説明図である。
【図3】本発明の実施例2の概略をブロックフローで示
した説明図である。
【図4】本発明の実施例3の概略をブロックフローで示
した説明図である。
【図5】本発明とは別の比較例1の方法の概略をブロッ
クフローで示した説明図である。
【図6】本発明とは別の比較例2の方法の概略をブロッ
クフローで示した説明図である。
【図7】本発明とは別の比較例3の方法の概略をブロッ
クフローで示した説明図である。
【図8】本発明とは別の比較例4の方法の概略をブロッ
クフローで示した説明図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA02 AA03 AA08 BA02B BA27A BA27B BB06A BB06B BC08A BC16A BC17A BC18A BC21A BC22A BC23A BC25A BC26A BC31A BC32A BC35A BC39A BC40A BC41A BC42A BC43A BC44A BC50A BC51A BC52A BC54A BC54B BC55A BC55B BC56A BC58A BC59A BC59B BC60A BC62A BC64A BC66A BC67A BC68A BC70A BC71A BC72A BC75A BD03A BD07A BD10A BD10B CB61 CB77 DA08 4H006 AA02 AC12 AC54 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 BA16 BA19 BA20 BA21 BA23 BA24 BA25 BA26 BA27 BA30 BA31 BA35 BC13 BC37 BC40 BD21 BD32 BD52 BE14 BE30 4H039 CA20 CA70 CC10 CL50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バナジウムを含む複合金属酸化物触媒の
    存在下、アルカンとアンモニアを気相接触酸化反応させ
    るα,β−不飽和ニトリルの製造方法において、主とし
    て反応ガス各成分供給装置、気相接触酸化反応器および
    反応生成ニトリルの回収装置により順次構成される反応
    系で、下記(a)ないし(b)の工程によりα,β−不
    飽和ニトリルを製造し、下記の工程(c)により工程
    (a)にガス状流出物の大部分を循環し、残りのガス状
    流出物を反応系外に排出することを特徴とするα,β−
    不飽和ニトリルの製造方法。 (a)バナジウムを含む複合金属酸化物触媒を有する反
    応器に、炭素数3〜8個のアルカンを6〜30vol%
    含有し、下記の組成モル分率からなる反応ガスを供給
    し、アンモニアと気相接触酸化反応させる工程; アルカン:アンモニア:酸素:希釈ガス=1:0.2〜
    1.5:0.5〜3.5:0〜20 (b)該反応器から流出する反応器流出物から、反応生
    成ニトリルを分離・回収する工程; (c)反応生成ニトリルを分離・回収後のガス状流出物
    を、内在する未反応アルカンを主体とするガス状成分の
    分離・回収操作や一酸化炭素の二酸化炭素への転化操作
    を行なわずに、該ガス状流出物の85〜97vol%を
    工程(a)に循環し、残りの該ガス状流出物を反応系外
    に排出する工程;
  2. 【請求項2】 請求項1記載の工程(a)の反応器にお
    けるアルカン転化率が20〜60%であることを特徴と
    する請求項1に記載のα,β−不飽和ニトリルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の工程(a)の反応器への
    反応ガスおよびその供給方法が、反応器に新たに供給す
    る酸素源が酸素を主体とするガスであり、また、該酸素
    を主体とするガスを他の反応器供給ガスと反応器内触媒
    層で混合することを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のα,β−不飽和ニトリルの製造方法。
  4. 【請求項4】 該反応に用いられる触媒が、モリブデ
    ン、バナジウム、ニオブ、X、Zおよび酸素からなる複
    合酸化物であって、その成分・組成が下記の一般式
    (1)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    1ないし請求項3のいずれかに記載のα,β−不飽和ニ
    トリルの製造方法。 Mo1a Nbb c d n (1) (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくて
    も1種類以上の元素、成分ZはW、Cr、Ta、Ti、
    Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、N
    i、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、
    In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、La、Ce、P
    r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
    r、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびアルカリ土類金
    属から選ばれる少なくても1種類以上の元素であり、
    a、b、c、d、nはMo1原子当たりの原子比を表
    し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c
    ≦1、0≦d≦0.1、そして、nは構成金属の酸化状
    態で決まる数である。)
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