JP2001206870A - アルカンを酸化反応させる方法 - Google Patents

アルカンを酸化反応させる方法

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JP2001206870A JP2000018256A JP2000018256A JP2001206870A JP 2001206870 A JP2001206870 A JP 2001206870A JP 2000018256 A JP2000018256 A JP 2000018256A JP 2000018256 A JP2000018256 A JP 2000018256A JP 2001206870 A JP2001206870 A JP 2001206870A
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oxygen
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Naoki Sugiyama
直樹 杉山
Hideo Midorikawa
英雄 緑川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 担体に担持されたモリブデン、バナジウム、
ニオブ、アンチモンを含む酸化物触媒を用いて、アルカ
ンと分子状態の酸素を反応させるに際して、経時的な触
媒の劣化を抑制し、高い選択率で安定に運転を継続する
ことができる方法を提供すること。 【解決手段】 担体に担持され、モリブデン、バナジウ
ム、ニオブ及びアンチモンを含む酸化物触媒を用いて、
流動床反応器において、炭素数3〜6のアルカンと分子
状態の酸素を反応させるに際して、アルカンを含むガス
と酸素を含むガスの供給は、アルカンを含むガスを供給
するノズルからのガス流が、酸素を含むガスを供給する
ノズルからのガス流と衝突するよう配置したそれぞれの
ノズルを用いて行い、且つ、反応器出口ガス中の酸素濃
度が0.1容積%以上となるように制御して、反応させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、担体に担持された
酸化物触媒を用いて、流動床反応器において、アルカン
と分子状態の酸素を反応させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プロピレン、イソブテン等のアル
ケンを、酸化物触媒の存在下、アンモニア及び分子状態
の酸素を反応させ、対応する不飽和ニトリルを製造する
方法は、よく知られている。具体的には、プロピレンや
イソブテンを原料として、アクリロニトリルやメタクリ
ロニトリルを製造すること等が行われている。一方、ア
ルケンと比較して、より安価で入手の容易なアルカンを
原料として、担体に担持された酸化物触媒を用いて、ア
ンモニア及び分子状態の酸素と反応させ、不飽和ニトリ
ル、不飽和カルボン酸等の有用な化合物を製造する方法
が注目されており、これらの反応に用いる触媒も多数提
案されている。
【0003】例えば、特開平10−45664号公報に
は、C3〜C8のアルカンから、α,β−不飽和カルボン
酸を製造する方法として、モリブデン、バナジウム、ニ
オブ、アンチモンを含む酸化物触媒の存在下、気相接触
酸化する方法が開示されている。また特開平10−23
0164号公報、特開平11−285636号公報、特
開平11−285637号公報には、プロパンを気相接
触酸化し、アクリル酸を製造する触媒として、モリブデ
ン、バナジウム、ニオブ、アンチモンを含む酸化物触媒
が開示されている。さらに、特開平10−330343
号公報には、アンモニアの共存下、気相接触酸化してア
クリロニトリルを製造する触媒として、モリブデン、バ
ナジウム、ニオブ、アンチモンを含む酸化物触媒が開示
されている。
【0004】これらの触媒は、アルカンを原料とする気
相接触反応の継続的な実施により、触媒の劣化、すなわ
ち不飽和カルボン酸及び不飽和ニトリルの選択率が低下
することがわかったが、これら公報においては、初期の
触媒性能について開示されているのみであって、工業的
に実施するにおいて重要となる、触媒の劣化を抑制し、
安定に運転を継続させる方法については、開示されてい
ない。一方、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アンチ
モンを含む酸化物触媒の、経時的な触媒の劣化を抑制す
る方法として、特開平11−263745号公報は、反
応器内の酸化物触媒の、少なくとも一部を特定の気体と
接触させることを開示している。しかしながら、この方
法は、反応ガスの切り替えなどの余分な工程、あるいは
隔壁などの余分な反応器内構造物が必要であり、より簡
便な方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、担体に担持
されたモリブデン、バナジウム、ニオブ、アンチモンを
含む酸化物触媒を用いて、アルカンと分子状態の酸素を
反応させるに際して、経時的な触媒の劣化を抑制し、目
的生成物の選択率を高く維持し、安定に運転を継続する
ことができる方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、担体に担持さ
れ、モリブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモンを
含む酸化物触媒を用いて、流動床反応器において、炭素
数3〜6のアルカンと分子状態の酸素を反応させるに際
して、アルカンを含むガスと酸素を含むガスの供給は、
アルカンを含むガスを供給するノズルからのガス流が、
酸素を含むガスを供給するノズルからのガス流と衝突す
るよう配置したそれぞれのノズルを用いて行い、且つ、
反応器出口ガス中の酸素濃度が0.1容積%以上となる
ように制御して反応させることにより、経時的な触媒の
劣化を抑制し、目的生成物の選択率を高く維持し、安定
に運転を継続させることができることを見いだし、本発
明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、担体に担持され、モ
リブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモンを含む酸
化物触媒を用いて、流動床反応器において、炭素数3〜
6のアルカンと分子状態の酸素を反応させるに際して、
アルカンを含むガスと酸素を含むガスの供給は、アルカ
ンを含むガスを供給するノズルからのガス流が、酸素を
含むガスを供給するノズルからのガス流と衝突するよう
配置したそれぞれのノズルを用いて行い、且つ、反応器
出口ガス中の酸素濃度が0.1容積%以上となるように
制御して反応させることを特徴とする、アルカンを酸化
反応させる方法に関する。好ましくは、炭素数3〜6の
アルカンと分子状態の酸素に加え、アンモニアを共存さ
せて反応を行う。
【0008】アルカンを含むガスの供給は、アルカンを
含むガスを供給するノズルからのガス流が、酸素を含む
ガスを供給するノズルからのガス流と衝突するように設
置されたノズルを用いて行う。これにより、触媒の劣化
を抑制し、安定に運転を継続することができる。これに
対して、アルカンを含むガスを供給するノズルからのガ
ス流が、酸素を含むガスを供給するノズルからのガス流
と衝突しない場合には、触媒の劣化により安定に運転を
継続することができない。
【0009】ガス流を衝突させるためのノズルの設置に
ついては、双方のノズルが対向するように設置すること
で実施できる。また、それぞれのノズルからガス吹き出
し方向へ延長した線同士が、互いに交差するような位置
関係に設置することで実施することもできる。1つのノ
ズルからのガス流に対して、複数のノズルからのガス流
を衝突させてもよい。すなわち、アルカンを含むガスを
供給する1つのノズルからのガス流に対して、酸素を含
むガスを供給する2つ以上のノズルからのガス流を衝突
させてもよいし、酸素を含むガスを供給する1つのノズ
ルからのガス流に対して、アルカンを含むガスを供給す
る2つ以上のノズルからのガス流を衝突させてもよい。
好ましくは、アルカンを含むガスを供給するノズル1つ
に対して、酸素を含むガスを供給するノズルを対向させ
ることで実施する。
【0010】アルカンを含むガスを供給するノズルと、
酸素を含むガスを供給するノズルの、空間的な位置関係
には特に制限はなく、アルカンを含むガスを供給するノ
ズルが上側、酸素を含むガスを供給するノズルが下側で
もよいし、その逆でも良い。また、水平方向に対向して
いてもよい。アルカンを供給するノズルと、酸素を供給
するノズルとの距離には、特に制限はないが、好ましく
は2〜100cmの範囲が、より好ましくは5〜70c
mの範囲が、最も好ましくは、10〜50cmの範囲が
よい。
【0011】ノズルの数と配置は、反応器内のガス分布
を考慮して決定する。例えば、アルカンを供給するノズ
ルと、酸素を供給するノズルを、1:1で向かい合うよ
うに配置する場合、それぞれのノズルの個数は、反応器
の断面積(m2)に対して、好ましくは1〜100個/
2、より好ましくは5〜50個/m2、最も好ましくは
10〜30個/m2で配置するのがよい。好ましくは、
対称に、均等に配置するのがよい。
【0012】ガスの吹き出し速度は、好ましくは10〜
200m/秒、最も好ましくは20〜100m/秒であ
る。ノズルの内径には、特に制限はなく、供給するガス
量と、吹き出し速度、ノズルの数を考慮して、決定する
ことができる。さらに、目的生成物の選択率を良好なも
のとするためには、反応器出口ガス中の酸素濃度が、
0.1容積%以上、好ましくは0.5容積%以上、さら
に好ましくは1.0容積%以上となるように制御して反
応させる。反応器出口ガス中の酸素濃度が低下すると、
触媒の見かけの活性が低下するため、アルカンの反応転
化率を維持するために、触媒と反応ガスとの接触時間を
長くする必要が生じる。反応器出口ガス中の酸素濃度が
0.1容量%未満になると、この見かけの活性の低下が
顕著となり、転化率を維持するために触媒と反応ガスと
の接触時間を長くすると、製造された目的生成物の分解
反応が進行するため、結果として目的生成物の選択率が
低下する。
【0013】出口ガス中の酸素濃度の制御は、アルカン
を含むガスを供給する量、あるいはガス中のアルカン濃
度を適切に調整することで実施できる。また、酸素を含
むガスを供給する量、あるいはガス中の酸素濃度を変化
させることでも実施できる。さらに、触媒量、反応温
度、反応圧力等の調整により実施することができる。こ
れら2つの要件を同時に満たすことで、経時的な触媒の
劣化を抑制し、目的生成物の選択率を高く維持し、安定
に運転を継続することができる。
【0014】本発明に用いる炭素数3〜6のアルカンと
しては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロヘ
キサンなどが挙げられるが、プロパン及びイソブタンが
好ましく、プロパンが最も好ましい。例えばプロパンか
ら、アクリロニトリル、アクリル酸を、イソブタンか
ら、メタクリロニトリル、メタクリル酸を製造すること
ができる。なお、アルカン中に含まれるアルケンも本発
明の触媒により気相接触反応を行うことができるので、
アルケンとしてプロピレン、イソブテン等がアルカン中
に含まれていても、特に問題はない。
【0015】アルカンを含むガスとは、反応器にアルカ
ンを主として供給するガスである。アンモニアを含んで
いてもよいし、爆鳴気を形成しない範囲で酸素を含んで
いてもよい。酸素を含むガスとは、反応器に酸素を主と
して供給するガスである。また、爆鳴気を形成しない範
囲で、アルカン、アンモニア、一酸化炭素等を含むこと
ができる。酸素源としては、通常空気を用いることが好
ましいが、酸素と空気を混合する、あるいは空気から窒
素等を分離除去するなどして、酸素濃度を高めたガスを
用いることもできる。また、ヘリウム、アルゴン、窒
素、二酸化炭素等の不活性ガスや水蒸気で原料ガスを希
釈して反応に供することもできる。酸素のモル比はアル
カンに対して0.5〜6倍、好ましくは1〜4倍量であ
る。
【0016】アンモニアを共存させる場合に、使用する
アンモニアは、必ずしも高純度である必要はなく、工業
グレ−ドのものを使用することができる。反応に供給さ
れるアンモニアのモル比はアルカンに対して0〜4倍、
好ましくは0〜2倍量、より好ましくは0〜1.5倍量
である。アンモニアの供給方法には、特に制限はなく、
アルカンと混合したのち供給する、酸素と混合したのち
供給する、単独で供給する等の方法で実施して良いが、
好ましくはアルカンと混合したのち供給する、または単
独で供給することが、さらに好ましくは、アルカンと混
合したのち供給するのがよい。
【0017】反応は、流動床反応器を用いて実施する。
本発明の触媒を用いたアルカンの気相接触酸化反応は3
00〜500℃、好ましくは320〜480℃の温度範
囲で実施する。反応圧力は、50〜400kPa、好ま
しくは80〜250kPaの範囲で実施する。原料ガス
と触媒との接触時間は0.1〜20(sec・g/c
c)、好ましくは0.5〜10(sec・g/cc)で
ある。
【0018】本発明の方法は、種々の反応形式に適用す
ることができる。例えば、未反応のアルカンを分離回収
しリサイクルする方法、分離せずリサイクルする方法、
リサイクルをせず単流で反応させる方法、多段の反応器
で反応させる方法及びそれらを適宜組み合わせた方法な
どが挙げられる。本発明の触媒は、一般式(1)で表さ
れる、モリブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモン
を含む酸化物触媒からなる。 Mo1aNbbSbcdx・・・・・(1) (但し上式中、Aは、B、Al、Ga、W、Cr、T
a、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、C
o、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、In、P、
Bi、Ge、Sn、Pb、希土類元素及びアルカリ土類
金属の中から選ばれる1つ以上の元素である。a、b、
c、d及びxはそれぞれモリブデン1原子に対するバナ
ジウム、ニオブ、アンチモン、A及び酸素の原子比を表
し、0.01≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、
0.01≦c≦1.0である。またdは、Aとして加え
るすべての元素について原子比を和したもので、0≦d
≦0.3である。xは各元素の酸化状態により決定され
る値である。)
【0019】本発明の酸化物触媒は担体に担持して用い
る。担体に担持することで、酸化物触媒に耐磨耗性を付
与することができる。担体としては、シリカ、アルミ
ナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコ
ニア、酸化ニオブ等が挙げられる。これらは単独、また
は、複合化して用いることができる。好ましい担体はシ
リカである。担体は、酸化物触媒と担体の合計に対して
10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、さら
に好ましくは25〜55重量%の範囲で用いることがで
きる。
【0020】本発明で使用する各元素の代表的な元素源
としては、モリブデン源としてパラモリブデン酸アンモ
ニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕、バナジウム
源としてメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、
ニオブ源としてニオブ酸〔Nb25・nH2O〕、アン
チモン源として三酸化二アンチモン(Sb23)が挙げ
られるが、目的の元素を含んでいれば特に制限はない。
例えば、モリブデン源としては三酸化モリブデン(Mo
3)、五塩化モリブデン(MoCl5)、リンモリブデ
ン酸〔H3PMo1240〕、ケイモリブデン酸〔H4Si
Mo1240〕などが、バナジウム源として五酸化バナジ
ウム(V25)、塩化バナジウム(VCl4、VCl3
などが挙げられる。また、モリブデンとバナジウムとの
混合配位型であるモリブドバナドリン酸等も用いること
ができる。ニオブ源としては五酸化ニオブ(Nb
25)、五塩化ニオブ(NbCl5)などが、アンチモ
ン源としては三酸化二アンチモン(Sb23)、五酸化
二アンチモン(Sb25)、金属Sbなどが挙げられ
る。
【0021】また、上記以外の元素の元素源としては、
酸化物、アンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有
機酸塩等を挙げることができる。本発明に用いる担体の
担体源にも、特に原料の制限はなく、目的の元素を含む
酸化物、水酸化物、無機塩、有機酸塩等が使用できる。
また、ゾルやゲルの形態のものを用いることもできる。
原料スラリ−は、モリブデン、バナジウム、アンチモン
などの元素源を水または硝酸水溶液に溶解させた液に、
担体源の原料液を添加し、さらに、ニオブ源を溶解させ
た液を加えることで調製することができる。担体を含め
た原料の添加順序は変えることもできる。
【0022】得られた原料スラリ−の乾燥は、噴霧乾燥
法、蒸発乾固法、真空乾燥法、凍結乾燥法等の方法で行
うことができる。特に、流動床反応に用いるための球状
粒子を得るためには噴霧乾燥法を用いることが好まし
い。得られた乾燥物は、実質的に酸素不存在下、450
〜800℃、好ましくは500〜700℃、さらに好ま
しくは550〜680℃の温度範囲で1〜20時間の焼
成を行う。必要に応じて空気中、100〜450℃で、
前焼成を行ってもよい。焼成及び前焼成は回転炉、トン
ネル炉、マッフル炉、流動焼成炉等で実施することがで
きる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、実施例及び参考例によって
本発明を詳細に説明する。なお、反応成績を表すために
用いた、アルカン転化率および不飽和ニトリル選択率
は、次式で定義される。 アルカン転化率(%)=(反応したアルカンのモル数)
÷(供給したアルカンのモル数)×100 不飽和ニトリル選択率(%)=(生成した不飽和ニトリ
ルのモル数)÷(反応したアルカンのモル数)×100
【0024】(触媒調製例)50.0重量%のシリカに
担持された、仕込み組成式がMo10.33Nb0.07Sb
0.22xで表される酸化物触媒を、次のようにして調製
した。水181kgに、ヘプタモリブデン酸アンモニウ
ム41.3kg、メタバナジン酸アンモニウム9.05
kg、三酸化二アンチモン7.45kgを順次加え、3
時間30分加熱還流した後、約70℃まで冷却して、混
合水溶液を得た。この混合液に、シリカとして30重量
%を含有するシリカゾル167kgを添加した。液温は
約50℃となった。更に、H22として15wt%を含
有する過酸化水素水11.6kgを添加し、50℃で1
時間撹拌を続けた。その間、液の色は濃紺から赤茶色に
変化した。次にニオブ濃度0.657(mol−Nb/
kg)、シュウ酸濃度1.54(mol−シュウ酸/k
g)のニオブ酸−シュウ酸混合水溶液24.7kgを添
加して混合し、触媒原料スラリーを得た。このスラリー
を210℃で噴霧乾燥して、粉体を得た。この粉体を回
転炉で窒素雰囲気下、640℃で2時間焼成した。窒素
中の酸素濃度は、3ppm以下であった。
【0025】
【実施例1】調製例の方法で調製した触媒600kg
を、内径600mmのSUS製流動床反応器に充填し
た。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置
に、アルカンを含むガスを供給するノズルを鉛直下向き
に設置した。設置位置は、反応器の中心、および反応器
の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計
5カ所)とした。反応器の触媒充填部底面に、酸素を含
むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置
位置は、アルカンを含むガスを供給するノズルと鉛直方
向に重なる位置(5カ所)とした。
【0026】触媒層の温度を440℃に保ち、上側のノ
ズルからプロパン39.4Nm3/Hおよびアンモニア
33.5Nm3/Hを、下側のノズルから空気339N
3/Hを供給した。反応器出口圧力を、50kPa
(ゲージ圧力)に制御して、運転を行った。定常反応開
始24時間後の転化率は50.8%、アクリロニトリル
選択率は55.3%、出口の酸素濃度は1.9%であっ
た。運転は安定に継続することができ、定常反応開始か
ら700時間後の転化率は49.7%、アクリロニトリ
ル選択率は56.4%、出口の酸素濃度は2.1%であ
った。
【0027】
【比較例1】酸素を供給するノズルのうち、中心にある
一つを封止した他は、実施例1と同じ反応器を用いて、
実施例1と同一の条件で反応を行った。定常反応開始2
4時間後の転化率は50.5%、アクリロニトリル選択
率は55.1%、出口の酸素濃度は2.0%であった。
運転を継続するに従い、徐々にアクリロニトリル選択率
の低下がみられ、定常反応開始から330時間後の転化
率は50.2%、アクリロニトリル選択率は53.2
%、出口の酸素濃度は1.8%であった。これ以上の運
転継続は困難と判断し、運転を停止した。
【0028】
【比較例2】調製例の方法で調製した触媒1000kg
を、実施例1と同じ反応器に充填した。触媒層の温度を
440℃に保ち、上側のノズルからプロパン44.3N
3/Hおよびアンモニア35.4Nm3/Hを、下側の
ノズルから空気332Nm3/Hを供給した。反応器出
口圧力を、50kPa(ゲージ圧力)に制御して、運転
を行った。定常反応開始24時間後の転化率は49.5
%、アクリロニトリル選択率は50.1%、出口の酸素
濃度は0.08%であった。
【0029】
【実施例2】調製例の方法で調製した触媒1000kg
を、実施例1と同じ反応器に充填した。触媒層の温度を
440℃に保ち、上側のノズルから25.8Nm3/H
およびアンモニア29.7Nm3/Hを、下側のノズル
から空気356Nm3/Hを供給した。反応器出口圧力
を、50kPa(ゲージ圧力)に制御して、運転を行っ
た。定常反応開始24時間後の転化率は76.5%、ア
クリロニトリル選択率は47.8%、出口の酸素濃度は
1.3%であった。運転は、安定に継続することがで
き、定常反応開始から700時間後の転化率は76.8
%、アクリロニトリル選択率は47.5%、出口の酸素
濃度は1.2%であった。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により、担体に担持された
酸化物触媒を用いて、流動床反応器において、アルカン
と分子状態の酸素を反応させるに際して、触媒の劣化を
抑制し、高い選択率で安定に運転を継続することができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BC08A BC16A BC17A BC18A BC21A BC22A BC23A BC25A BC26A BC26B BC35A BC38A BC50A BC51A BC52A BC54A BC54B BC55A BC55B BC56A BC58A BC59A BC59B BC60A BC62A BC64A BC66A BC67A BC68A BC70A BC71A BC72A BC75A BD03A BD07A CB07 CB53 DA08 EA01X EA01Y FA01 4H006 AA02 AC54 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 BA16 BA19 BA20 BA21 BA23 BA24 BA25 BA26 BA30 BA31 BA35 BC32 BC37 BD20 BD21 BD81 BE14 BE30 QN24 4H039 CA70 CL50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体に担持され、一般式(1)で表され
    るモリブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモンを含
    む酸化物触媒を用いて、流動床反応器において、炭素数
    3〜6のアルカンと分子状態の酸素を反応させるに際し
    て、アルカンを含むガスと酸素を含むガスの供給は、ア
    ルカンを含むガスを供給するノズルからのガス流が、酸
    素を含むガスを供給するノズルからのガス流と、衝突す
    るよう配置したそれぞれのノズルを用いて行い、且つ、
    反応器出口ガス中の酸素濃度が0.1容積%以上となる
    ように制御して反応させることを特徴とする、アルカン
    を酸化反応させる方法。 Mo1aNbbSbcdx・・・・・(1) (但し上式中、Aは、B、Al、Ga、W、Cr、T
    a、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、C
    o、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、In、P、
    Bi、Ge、Sn、Pb、希土類元素及びアルカリ土類
    金属の中から選ばれる1つ以上の元素である。a、b、
    c、d及びxはそれぞれモリブデン1原子に対するバナ
    ジウム、ニオブ、アンチモン、A及び酸素の原子比を表
    し、0.01≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、
    0.01≦c≦1.0である。またdは、Aとして加え
    るすべての元素について原子比を和したもので、0≦d
    ≦0.3である。xは各元素の酸化状態により決定され
    る値である。)
  2. 【請求項2】 炭素数3〜6のアルカンと分子状態の酸
    素に加え、アンモニアを共存させて反応を行うことを特
    徴とする請求項1に記載の方法。
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