JP2001057160A - 負イオン源 - Google Patents

負イオン源

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JP2001057160A
JP2001057160A JP11230859A JP23085999A JP2001057160A JP 2001057160 A JP2001057160 A JP 2001057160A JP 11230859 A JP11230859 A JP 11230859A JP 23085999 A JP23085999 A JP 23085999A JP 2001057160 A JP2001057160 A JP 2001057160A
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electrode
magnetic field
ion source
discharge vessel
negative ion
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Shiro Asano
史朗 浅野
Toshihisa Okuyama
利久 奥山
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負イオンとともに引き出される電子のうち、加
速される電子の量を抑制することが可能とする。 【解決手段】放電プラズマから負イオンを引き出して加
速するビーム引き出し孔が複数穿設され、かつビームの
進行方向に対して複数段設置された電極を有し、この複
数段設置された電極のうち、ビームBの進行方向に対し
て第2の電極7のビームの入口部分に設けられ、かつ引
き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁場を形
成する第1の磁場形成手段21と、第2の電極7のビー
ムBの出口部分に設けられ、かつビームB軸と直交する
方向に磁場を形成する第2の磁場形成手段26とを備え
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核融合炉の中性粒
子ビーム入射装置において負イオンビームを発生する負
イオン源に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、負イオン源は、100keVを
超える高エネルギー領域において負イオンの中性ビーム
への変換効率が良好である点から、プラズマ加熱に高エ
ネルギーを必要とする核融合炉において、中性粒子ビー
ム入射装置(NBI:Neutral Beam In
jector)のイオン源として注目されている。
【0003】このような負イオン源の従来技術について
図12を参照して説明する。図12は従来の負イオン源
を示す断面図である。図12において、放電プラズマを
内部に形成する放電容器1は、上板2と、この上板2に
それぞれ固定される4面の側壁3とを有し、かつ底面に
開口部を有する方形の箱状容器であって、その底面開口
は側板3に絶縁材4を介して取り付けられ、かつ放電プ
ラズマから負イオンを引き出す第1の電極5で閉塞され
ており、この第1の電極5には負イオンの引き出し孔で
ある多数の貫通孔6が設けられている。
【0004】また、第1の電極5の外側には、第2,第
3の電極7,8がそれぞれ絶縁材4を介し離隔して配置
され、第2,第3の電極7,8にも多数の貫通孔9,1
0がそれぞれ第1の電極5の貫通孔6に対応するように
形成されている。
【0005】さらに、放電容器1の上板2および側壁3
の内面近傍には、陽極を上板2および側壁3とするよう
にして陰極を形成するフィラメント11が配設されてい
る。そして、上板2には、放電容器1内に一端が開口す
るガス導入口12と、同じく放電容器1内に一端が開口
するアルカリ金属蒸気導入口13とが取り付けられ、上
板2の外面には角棒状の複数の磁石14が互いに平行と
なるように配設されている。
【0006】なお、磁石14は、上板2の外面に直交す
る方向に着磁され、かつ隣接するもの同士が異なる極性
となるように配列されている。さらに、側壁3の外面に
も角棒状の複数の磁石15が水平方向にそれぞれ平行と
なるように、また同様に側壁3の外面に直交する方向に
着磁され、かつ隣接するもの同士が異なる極性となるよ
うに配列されている。
【0007】さらにまた、側壁3の下部の外面には、こ
の外面に直交する方向でかつ隣接する磁石15と同じ方
向に着磁されるとともに、磁石15よりも残留磁束密度
の大きいフィルタ磁石16が対向して設けられ、これら
のフィルタ磁石16は対向する側壁3において互いに異
なる磁極が対向して形成されている。
【0008】なお、17は放電プラズマ閉じ込め磁界を
形成する磁石14,15およびフィルタ磁石16の磁力
線であり、また磁石15とフィルタ磁石16とによる放
電容器1を横切る磁界によって磁気フィルタが形成さ
れ、この磁気フィルタによって放電容器1内は上板2側
に第一室18、第1の電極5側に第二室19が区画され
る。
【0009】このようにして構成された負イオン源で
は、いわゆる体積生成法と呼ばれる方法によって負水素
イオン(以下、Hという。)が生成される。このH
の生成は2段階の原子反応からなるとされ、
【化1】 H +e(f)→H +e ……(1)
【化2】 H +e(s)→H +H ……(2) の(1)式で示されるように水素ガス分子が数10〜1
00eVの高温電子との衝突によって高振動レベルに励
起され、(2)式で示されるようにさらにそれに引き続
く1eV以下の低温電子が解離的に付着することによっ
てHは生成される。さらに、大電流の負イオンビーム
を負イオン源から発生させるため、上記の反応に加え、
放電容器内にアルカリ金属の蒸気を導入する表面生成法
と呼ばれる方法を併用する。
【0010】この表面生成法では、放電容器に導入され
たアルカリ金属蒸気は、第1の電極の表面に付着して、
電極表面の仕事関数を下げる働きをすると言われてい
る。そうすることによって放電プラズマ中で生成される
正水素イオンや中性水素原子などが第1の電極と衝突し
て第1の電極から電子を受け取り、Hが生成されるの
である。
【0011】図13は図12の電極の部分を示す拡大図
である。図13において、第2の電極7の貫通孔9に
は、ビームの進行方向に向かって孔径が大きくなるよう
にテーパ加工が施され、さらにビームの出口部には孔径
を小さくする電子トラップ20が設けられている。ま
た、第2の電極7には、複数の角棒状の磁石21が水平
方向にそれぞれ平行となるように、また第2の電極7の
面に直交する方向に着磁され、隣接するものが交互に異
なる極性となるように配列され内蔵されている。なお、
符号22は磁石21の作る磁力線である。また、第2の
電極7には、その電極7に衝突する荷電粒子による熱を
除去するために水冷パイプ23も内蔵されている。
【0012】第1の電極5と第2の電極7との間には、
放電容器1内の放電プラズマからH を引き出して加速
するため、第2の電極7に対して第1の電極5に負の電
位を印加するための引き出し電源24が接続される一
方、第2の電極7と第3の電極8との間には、プラズマ
から引き出されたHを所定のエネルギーに加速するた
め、第3の電極8に対して第2の電極7に負の電位を印
加するための加速電源25が接続される。
【0013】このような構成からなる従来の負イオン源
の動作について説明する。
【0014】すなわち、図12において、図示しない真
空排気装置によって真空に排気した放電容器1に図示し
ないアルカリ金属オーブンで加熱・蒸気化したアルカリ
金属をアルカリ金属蒸気導入口13から供給しておいた
状態で、図示しないガス源からガス導入口12を通して
水素ガスを供給し、同じく図示しないフィラメント電源
によってフィラメント11に通電して加熱した状態で、
図示しないアーク電源によってフィラメント11を陰
極、上板2および側壁3を陽極とする直流アーク放電を
発生させ、この放電によって放電容器1の第一室18内
に放電プラズマを生成するとともに、この放電プラズマ
を磁石14および磁石15によって作られる磁場によっ
て放電容器1内に閉じ込める。
【0015】このようにして生成された放電プラズマ
は、第二室19の方向に拡散する。ここで、プラズマが
磁気フィルタを横切って通過する際、プラズマ中の電子
は磁界中のラーマ半径が小さいため、磁気フィルタに捕
捉され、放電容器1内に存在する水素ガスなどと衝突し
ながらエネルギーを失い、第二室19に到達する過程で
低温の電子になる。一方、水素イオンの磁界中でのラー
マ半径は、磁気フィルタの厚みに対して大きいため、水
素イオンは磁気フィルタを通り抜けることができ、その
まま第二室19に移動することができる。
【0016】すなわち、このようにして第一室18には
水素分子の励起に適した電子エネルギー分布を持つ高温
プラズマが、第二室19には励起水素分子の解離性付着
反応を起こすのに適した電子エネルギー分布を持つ低温
プラズマがそれぞれ生成される。そして、第一室18に
おいて高エネルギー電子との衝突によって生成された振
動励起水素分子が第二室19で低温電子との衝突によっ
て解離性付着反応を起こし、Hが形成される。
【0017】また、放電容器1に導入されたアルカリ金
属蒸気は、第1の電極5に付着して電極表面の仕事関数
を下げているため、放電プラズマ中の正水素イオンや中
性水素原子などが第1の電極5と衝突した際にもH
生成される。このようにして第二室19に生成されたH
は、同じ荷電極性を持つ電子とともに引き出し電源2
4の作る電界によって第1の電極5の貫通孔6から引き
出される。
【0018】さらに、図13に示すように第2の電極7
に内蔵された磁石21によって第1の電極5と第2の電
極7との間のギャップには、磁力線22が作られてい
る。この磁場は、第二室19から引き出される電子成分
の量を抑えるとともに、引き出されたビーム中からH
のみを選別する働きを有する。
【0019】すなわち、引き出されたHと電子は、こ
の磁界によって軌道変更されるものの、Hは磁界中の
ラーマ半径が大きいため、ほとんど軌道偏向を受けず、
第2の電極7に到達した後、貫通孔9を通り、さらに加
速電源25の作る電界により加速され、第3の電極8の
貫通孔10を通ってビームとして引き出される。
【0020】一方、ラーマ半径の小さい電子は、第1の
電極5と第2の電極7との間のギャップを通過する際に
大きな軌道偏向を受け、取り除かれる。Hが加速され
る途中では、第1,第2,第3の電極5,7,8に穿設
された貫通孔6,9,10を通じて放電容器1から漏れ
出している水素ガスとの衝突によって、以下の反応が起
こることが知られている。
【0021】
【化3】 H + H→ H+e+H ……(3)
【0022】上記(3)の反応によりHから脱離した
脱離電子、その脱離電子や反応によって生成された中性
水素原子が第2の電極7と衝突することによって電極表
面から放出される二次電子などが発生する。これら二次
的に発生した電子は、磁石21が第2の電極7の出口側
に作る磁場および電子トラップ20によって捕捉される
ことで、加速電源25の作る加速電界の領域に到達する
量を抑えている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法では、Hから脱離した脱離電子、その脱離
電子や反応によって生成された中性水素原子が第2の電
極7と衝突することによって電極表面から放出される二
次電子を十分に捕捉することができないため、それらは
とともに、加速電源25の作る電界によって加速さ
れてしまうことになる。
【0024】このようにして発生する加速電子は、その
質量がHに比べて軽いため、フィルタ磁石16や第2
の電極7に内蔵された磁石21の作る磁場によって容易
に軌道偏向を受けるため、その全てが第3の電極8に穿
設された貫通孔10を通り抜けるわけではなく、第3の
電極8とも衝突して電極に大きな熱負荷を与える。
【0025】また一般に、核融合炉ではプラズマ閉じ込
めのために強力な磁場が形成されており、第3の電極8
の貫通孔10を通り抜けた電子もこの磁場の影響で軌道
偏向を受け、プラズマ加熱パワーとしてプラズマに入射
されることはなく、ほとんど全てが負イオン源と核融合
炉との間をつなぐビームラインの壁と衝突して熱負荷と
なる。
【0026】すなわち、加速電源25から供給している
ビーム加速電力のうち、加速電子の担う部分は、ほとん
ど全てがロスになり、中性粒子入射装置の稼働効率を低
下させる。さらに、このような加速電子は、上記の通り
第3の電極8やビームラインの壁に大きな熱負荷を与え
るため、場合によっては各部分の熱的な溶融が発生する
こともあり、装置の信頼性が低くなってしまうという問
題があった。
【0027】そこで、本発明は上記事情を考慮してなさ
れたもので、負イオンとともに引き出される電子のう
ち、加速される電子の量を抑制することが可能で、高い
効率と信頼性を有する負イオン源を提供することを目的
とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、放電容器と、この放電容
器を真空に排気する手段と、前記放電容器に放電の原料
ガスを供給する手段と、前記放電容器内に放電プラズマ
を生成するための手段と、前記放電プラズマから負イオ
ンを引き出して加速するためにビーム引き出し孔がそれ
ぞれ複数穿設され、かつビームの進行方向に対して複数
段設置された電極とを有する負イオン源において、前記
複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方向に
対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、かつ
引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁場を
形成する第1の磁場形成手段と、前記第2の電極のビー
ムの出口部分に設けられ、かつビーム軸と直交する方向
に磁場を形成する第2の磁場形成手段とを備えたことを
特徴とする。
【0029】請求項1記載の発明によれば、第2の電極
に設置されている負イオン源から引き出される電子量を
抑え、電子軌道を偏向させるための磁場に加えて、ビー
ムの出口部分に第2の磁場形成手段を設け、ビーム軸と
直交する方向に磁場が形成されているため、Hが加速
される過程で放電容器1から漏れ出している水素ガスと
の衝突によって生成されるHからの脱離電子、その脱
離電子や中性水素原子が第2の電極と衝突することによ
って電極表面から発生する二次電子などは、ビームの出
口部分に設けられたビーム軸と直交する方向の磁場に捕
捉され、加速電源の作る加速電界の領域に侵入すること
ができない。その結果、加速電子の量を抑え、高い効率
と信頼性を有する負イオン源を提供することが可能とな
る。
【0030】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
第2の磁場形成手段は、第2の電極のビームの出口部分
に設けられた電子トラップに、ビーム軸と直交する方向
に着磁された永久磁石を埋設し、この永久磁石にて磁場
を形成したことを特徴とする。
【0031】請求項3記載の発明では、請求項1記載の
第2の電極のビームの進行方向下流側に、第2の電極に
対して同電位かあるいは負の電位を有する他の電極を設
置したことを特徴とする。
【0032】請求項4記載の発明では、請求項1または
3のいずれかに記載の第2の磁場形成手段は、第2の電
極と第3の電極との間に設けた他の電極の内部に埋設し
た永久磁石にて磁場を形成したことを特徴とする。
【0033】請求項5記載の発明では、請求項1または
3のいずれかに記載の第2の磁場形成手段は、他の電極
に電流を流して磁場を形成したことを特徴とする。
【0034】請求項6記載の発明では、放電容器と、こ
の放電容器を真空に排気する手段と、前記放電容器に放
電の原料ガスを供給する手段と、前記放電容器内に放電
プラズマを生成するための手段と、前記放電プラズマか
ら負イオンを引き出して加速するためにビーム引き出し
孔がそれぞれ複数穿設され、かつビームの進行方向に対
して複数段設置された電極とを有する負イオン源におい
て、前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進
行方向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けら
れ、かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させ
る磁場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿
設されたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔に
ビームの進行方向に向かって孔径が大きくなるように形
成されたテーパ部と、第2の電極のビームの進行方向下
流側に設置された他の電極と、この他の電極にビームの
進行方向と逆向きに形成された突起とを備えたことを特
徴とする。
【0035】請求項7記載の発明では、放電容器と、こ
の放電容器を真空に排気する手段と、前記放電容器に放
電の原料ガスを供給する手段と、前記放電容器内に放電
プラズマを生成するための手段と、前記放電プラズマか
ら負イオンを引き出して加速するためにビーム引き出し
孔がそれぞれ複数穿設され、かつビームの進行方向に対
して複数段設置された電極とを有する負イオン源におい
て、前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進
行方向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けら
れ、かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させ
る磁場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿
設されたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔に
ビームの進行方向に向かって孔径が大きくなるように形
成されたテーパ部と、前記第2の電極のビームの出口部
分にビームの進行方向と逆向きに形成された第1の突起
と、前記第2の電極のビームの出口部分にビームの進行
方向に向かって孔径が小さくなるように形成された第2
の突起とを備えたことを特徴とする。
【0036】請求項8記載の発明では、放電容器と、こ
の放電容器を真空に排気する手段と、前記放電容器に放
電の原料ガスを供給する手段と、前記放電容器内に放電
プラズマを生成するための手段と、前記放電プラズマか
ら負イオンを引き出して加速するためにビーム引き出し
孔がそれぞれ複数穿設され、かつビームの進行方向に対
して複数段設置された電極とを有する負イオン源におい
て、前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進
行方向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けら
れ、かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させ
る磁場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿
設されたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔の
内面にビーム軸の方向に略平行に形成された突起とを備
えたことを特徴とする。
【0037】請求項9記載の発明では、放電容器と、こ
の放電容器を真空に排気する手段と、前記放電容器に放
電の原料ガスを供給する手段と、前記放電容器内に放電
プラズマを生成するための手段と、前記放電プラズマか
ら負イオンを引き出して加速するためにビーム引き出し
孔がそれぞれ複数穿設され、かつビームの進行方向に対
して複数段設置された電極とを有する負イオン源におい
て、前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進
行方向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けら
れ、かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させ
る磁場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿
設されたビーム引き出し孔とを有し、このビーム引き出
し孔の部分が二次電子放出係数の小さいグラファイト,
ニッケル,モリブデンの少なくとも一種から構成される
ことを特徴とする。
【0038】請求項10記載の発明では、請求項3ない
し6のいずれかに記載の他の電極は、二次電子放出係数
の小さいグラファイト,ニッケル,モリブデンの少なく
とも一種から構成されることを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0040】[第1実施形態]図1は本発明に係る負イ
オン源の第1実施形態の電極部分を示す拡大図である。
なお、従来の構成と同一または対応する部分には、図1
2および図13と同一の符号を用いて説明する。
【0041】本実施形態の負イオン源は、図12に示す
従来例と同様に、放電容器1を真空に排気する図示しな
い真空排気装置と、放電容器1に図示しないガス源から
ガス導入口12を通して放電の原料ガスである水素ガス
を供給する手段と、放電容器1内において図示しないフ
ィラメント電源によってフィラメント11に通電して加
熱した状態で、図示しないアーク電源によってフィラメ
ント11を陰極、上板2および側壁3を陽極とする直流
アーク放電を発生させ、この放電によって放電容器1の
第一室18内に放電プラズマを生成する手段と、放電プ
ラズマから負イオンを引き出して加速するためにビーム
引き出し孔としての貫通孔6,9,10がそれぞれ複数
穿設され、かつビームBの進行方向に対して複数段(本
実施形態では3段)設置された第1〜第3の電極4,
7,8とを有している。
【0042】また、第2の電極のビームの入口部分に
は、角棒状に形成された第1の磁場形成手段としての複
数の磁石21が埋設され、これらの磁石21は第2の電
極7の電子トラップ20の水平方向に対してそれぞれ平
行となるように、かつ第2の電極7の水平面に直角な方
向に着磁されるとともに、隣接するものが互いに異なる
極性となるように配列されている。
【0043】さらに、本実施形態の負イオン源では、第
2の電極7のビームBの出口部分に、角棒状に形成され
た第2の磁場形成手段としての複数の磁石26が埋設さ
れ、これらの磁石26は水平方向に対してそれぞれ平行
となるように、かつ第2の電極7の水平面に直角な方向
に着磁されるとともに、隣接するものが互いに異なる極
性となるように、また磁石21と向かい合う磁極の極性
が互いに異なるように配列されている。
【0044】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成に関する部分に
ついては図12を用いて説明する。
【0045】まず、図示しない真空排気装置によって真
空に排気した放電容器1に図示しないアルカリ金属オー
ブンで加熱・蒸気化したアルカリ金属をアルカリ金属蒸
気導入口13から供給しておいた状態で、図示しないガ
ス源からガス導入口12を通して水素ガスを供給し、同
じく図示しないフィラメント電源によってフィラメント
11に通電して加熱した状態で、図示しないアーク電源
によってフィラメント11を陰極、上板2および側壁3
を陽極とする直流アーク放電を発生させ、この放電によ
って放電容器1の第一室18内に放電プラズマを生成す
るとともに、この放電プラズマを磁石14および磁石1
5によって作られる磁場によって放電容器1内に閉じ込
める。
【0046】このようにして生成された放電プラズマ
は、第二室19の方向に拡散する。ここで、プラズマが
磁気フィルタを横切って通過する際、プラズマ中の電子
は磁界中のラーマ半径が小さいため、磁気フィルタに捕
捉され、放電容器1内に存在する水素ガスなどと衝突し
ながらエネルギーを失い、第二室19に到達する過程で
低温の電子になる。一方、水素イオンの磁界中でのラー
マ半径は、磁気フィルタの厚みに対して大きいため、水
素イオンは磁気フィルタを通り抜けることができ、その
まま第二室19に移動することができる。
【0047】すなわち、このようにして第一室18には
水素分子の励起に適した電子エネルギー分布を持つ高温
プラズマが、第二室19には励起水素分子の解離性付着
反応を起こすのに適した電子エネルギー分布を持つ低温
プラズマがそれぞれ生成される。そして、第一室18に
おいて高エネルギー電子との衝突によって生成された振
動励起水素分子が第二室19で低温電子との衝突によっ
て解離性付着反応を起こし、Hが形成される。
【0048】また、放電容器1に導入されたアルカリ金
属蒸気は、第1の電極5に付着して電極表面の仕事関数
を下げているため、放電プラズマ中の正水素イオンや中
性水素原子などが第1の電極5と衝突した際にもH
生成される。このようにして第二室19に生成されたH
は、同じ極性を持つ電子とともに引き出し電源24の
作る電界によって第1の電極5の貫通孔6から引き出さ
れる。
【0049】さらに、図1に示すように第2の電極7に
埋設された磁石21によって第1の電極5のビームB軸
の上流側面(第2の電極7との間のギャップ)には、磁
力線22が作られている。この磁場は、第二室19から
引き出される電子成分の量を抑えるとともに、引き出さ
れたビーム中からHのみを選別する働きを有する。
【0050】すなわち、引き出されたHと電子は、こ
の磁界によって軌道変更されるものの、Hは磁界中の
ラーマ半径が大きいため、ほとんど軌道偏向を受けず、
第2の電極7に到達した後、貫通孔9を通り、さらに加
速電源25の作る電界により加速され、第3の電極8の
貫通孔10を通ってビームとして引き出される。
【0051】一方、ラーマ半径の小さい電子は、第1の
電極5と第2の電極7との間のギャップを通過する際に
大きな軌道偏向を受け、取り除かれる。Hは放電プラ
ズマから引き出され、加速される過程で放電容器1から
漏れ出す水素ガス分子と衝突し、脱離電子および中性水
素原子を発生させる。これらの粒子は第2の電極7の貫
通孔9の表面と衝突し、二次電子を発生させるものの、
磁石26によって第2の電極7の出口側に形成される磁
力線27で示されるようなビームB軸と直交する磁場に
よって軌道が偏向されて捕捉されるため、加速電源25
の作る加速電界の領域には到達することができない。そ
の結果、加速電子の量を抑え、高い効率と信頼性を有す
る負イオン源が得られる。
【0052】また、図1に示すように磁石26を磁石2
0と向かい合う磁極の極性が相互に異なるよう配列して
いるため、両者の間をつなぐ磁力線28が形成され、そ
の結果、磁石21および26のそれ自身で閉じる磁力線
の数が減るため、第1の電極5の上流側上面に作られる
磁場22および第2の電極7の出口側に生成される加速
電子を抑えるための磁場27を強める効果も得られる。
【0053】[第2実施形態]図2は本発明に係る負イ
オン源の第2実施形態の電極部分を示す拡大図である。
なお、前記第1実施形態と同一の部分には同一の符号を
付して説明する。以下の各実施形態も同様である。
【0054】本実施形態では、第2の電極のビームの入
口部分に、角棒状に形成された第1の磁場形成手段とし
ての複数の磁石21が埋設され、これらの磁石21は第
2の電極7の電子トラップ20の水平方向に対してそれ
ぞれ平行となるように、かつ第2の電極7の水平面に直
角な方向に着磁されるとともに、隣接するものが互いに
異なる極性となるように配列されている。
【0055】また、本実施形態の負イオン源では、第2
の電極7のビームBの出口部分に、角棒状に形成された
第2の磁場形成手段としての複数の磁石26が埋設さ
れ、これらの磁石26は水平方向に対してそれぞれ平行
となるように、かつ第2の電極7の水平面に直角な方向
に着磁されるとともに、隣接するものが互いに異なる極
性となるように、また磁石21と向かい合う磁極の極性
が互いに同じになるよう配列されている。
【0056】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0057】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0058】本実施形態では、図2に示すように磁石2
6を磁石21と向かい合う磁極の極性が相互に同じにな
るよう配列しているため、磁石26によって第2の電極
7の出口側に形成される磁力線27に加えて、磁力線2
9で示されるような磁場成分が形成される。すなわち、
二次電子は、ビームB軸と直交する磁場によって軌道が
偏向されて捕捉されるため、加速電源25の作る加速電
界の領域には到達することができず、加速電子の量を抑
える効果が得られる。
【0059】[第3実施形態]図3は本発明に係る負イ
オン源の第3実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0060】本実施形態では、第2の電極のビームの入
口部分に、角棒状に形成された第1の磁場形成手段とし
ての複数の磁石21が埋設され、これらの磁石21は第
2の電極7の電子トラップ20の水平方向に対してそれ
ぞれ平行となるように、かつ第2の電極7の水平面に直
角な方向に着磁されるとともに、隣接するものが互いに
異なる極性となるように配列されている。
【0061】また、本実施形態の負イオン源では、第2
の電極7のビームBの出口側に複数の角棒状の磁石26
が水平方向にそれぞれ平行となるように、かつ第2の電
極7の水平面に平行な方向に着磁されるとともに、隣接
するものが互いに異なる極性となるよう配列されてい
る。
【0062】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0063】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0064】本実施形態では、図3に示すように磁石2
6が水平方向にそれぞれ平行となるように、また第2の
電極7の水平面に平行な方向に着磁されるとともに、隣
接するものが互いに異なる極性となるよう配列されてい
るため、磁力線30で示されるような磁場成分が形成さ
れる。すなわち、この場合も二次電子は、ビームB軸と
直交する磁場によって軌道が偏向されて捕捉されるた
め、加速電源25の作る加速電界の領域には到達するこ
とができず、加速電子の量を抑える効果が得られる。
【0065】[第4実施形態]図4は本発明に係る負イ
オン源の第4実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0066】本実施形態は、第3実施形態で説明した構
成に加え、第2の電極7と第3の電極8との間に他の電
極としての第4の電極31を設置し、電子抑制電源32
により第2の電極7に対して第4の電極31から負の電
位を与えたものである。
【0067】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0068】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0069】本実施形態では、図4に示すように磁石2
6によって、ビームB軸と直交する磁力線30が形成さ
れる。この磁場成分によって二次電子の軌道を偏向して
捕捉し加速電源25の作る加速電界の領域に到達する電
子の量を抑えた上、さらに第4の電極31により、第2
の電極7の出口部に二次電子の速度を減速させる電位障
壁が形成されているため、二次電子のうち加速電界の領
域に到達するものの量を一段と抑える効果が得られる。
【0070】なお、本実施形態では、第4の電極31か
ら第2の電極7に対して負の電位を与えるようにした
が、同電位を与えるようにしてもよい。
【0071】[第5実施形態]図5は本発明に係る負イ
オン源の第5実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0072】本実施形態は、第2の電極7と第3の電極
8との間に、第2の磁場形成手段としての磁石33を埋
設した第4の電極31を設け、この第4の電極31へ電
子抑制電源32によって第2の電極6に対して負の電位
を与えたものである。
【0073】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0074】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0075】本実施形態では、図5に示すように磁石3
3によって、ビームB軸と直交する磁力線34が形成さ
れる。この磁場成分によって二次電子の軌道を偏向して
捕捉し加速電源25の作る加速電界の領域に到達する電
子の量を抑えた上、さらに第4の電極31により、第2
の電極7の出口部に二次電子の速度を減速させる電位障
壁が形成されているため、二次電子のうち加速電界の領
域に到達するものの量を一段と抑える効果が得られる。
【0076】なお、本実施形態では、前記第4実施形態
と同様に第4の電極31から第2の電極6に対して負の
電位を与えるようにしたが、同電位を与えるようにして
もよい。
【0077】[第6実施形態]図6は本発明に係る負イ
オン源の第6実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0078】本実施形態では、第2の電極7と第3の電
極8の間に第4の電極31を設けた上、この第4の電極
31に紙面に垂直(表面から裏面)な方向に電流を通電
している。
【0079】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0080】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0081】本実施形態では、図6に示すように第4の
電極31に電流を通電することによってビームB軸と直
交する磁力線35が形成される。この磁場成分によって
二次電子の軌道を偏向して捕捉し加速電源25の作る加
速電界の領域に到達する電子の量を抑える効果が得られ
る。
【0082】なお、上記実施形態に限らず、第4の電極
31の表面と平行な方向に電流を通電すれば、ビームB
軸と直交する磁力線が形成されるため、上記実施形態と
同様の効果が得られる。
【0083】[第7実施形態]図7は本発明に係る負イ
オン源の第7実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0084】本実施形態では、第2の電極7の貫通孔9
には図13に示すような電子トラップ20を設けず、ビ
ームBの進行方向に向かって孔径が大きくなっていくよ
うなテーパ加工を施してテーパ部9aを形成するととも
に、第2の電極7と第3の電極8との間のビーム出口部
にビームBの進行方向とは逆向きの突起36が形成され
た第4の電極31を設置し、その第4の電極31から電
子抑制電源32により第2の電極7に対して負の電位を
印加している。
【0085】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0086】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0087】本実施形態では、図7に示すように第4の
電極31によって第2の電極7の出口部に二次電子の速
度を減速させる電位障壁が形成されるため、二次電子の
うち加速電界の領域に到達するものの量を抑える効果が
得られる。また、電子トラップのもつ働きを第4の電極
31に持たせているため、第2の電極7の貫通孔9に電
子トラップを設ける必要がなく、第2の電極7の製作を
極めて容易に行うことができることに加え、第4の電極
31にはビームBの進行方向とは逆向きに突起36を形
成しているため、電子トラップに捕捉された二次電子の
加速電界領域への漏洩を抑える効果をさらに顕著にする
ことができる。
【0088】[第8実施形態]図8は本発明に係る負イ
オン源の第8実施形態の電極部分を示す拡大図である。
【0089】本実施形態では、第2の電極7に穿設され
た貫通孔9にはビームBの進行方向に向かって孔径が大
きくなっていくようなテーパ加工を施してテーパ部9a
を形成するとともに、ビーム出口部にはビームBの進行
方向とは逆向きの突起(第1の突起)37を形成し、さ
らにビームBの進行方向に向かって孔径が小さくなって
いくようなテーパ加工を施した突起(第2の突起)38
が形成されている。
【0090】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0091】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0092】本実施形態では、図8に示すように突起3
7によって電子トラップに捕捉された二次電子の加速電
界領域への漏洩を抑える効果を一段と顕著にするととも
に、突起38によって加速電界が第2の電極7に穿設さ
れた貫通孔9の出口部に侵入するのが抑えられ、二次電
子が加速されるのを抑える効果が得られる。
【0093】[第9実施形態]図9は本発明に係る負イ
オン源の第9実施形態の電極部分を示す拡大図、図10
は第9実施形態の電極部分を図9の矢印の方向から見た
拡大図である。
【0094】本実施形態では、第2の電極7に穿設され
た貫通孔9の内面にビームB軸の方向に略平行な突起3
9が周方向に所定間隔をおいて8つ形成されている。
【0095】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0096】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0097】本実施形態では、図9および図10に示す
ように第2の電極7の貫通孔9に突起39が形成されて
いる。第2の電極7の貫通孔9の表面で発生した二次電
子は、第2の電極7に埋設された磁石21の磁極同士を
結ぶ磁力線40の周りを図10に示す二次電子の軌道4
1a,41bのようにラーマ運動しながら加速電界領域
に引き込まれていくものの、突起38によってそのよう
な二次電子のラーマ運動が遮られ、電子が加速領域に引
き込まれるのを抑える効果が得られる。
【0098】なお、図10では第2の電極7の貫通孔9
を円周方向に8等分した位置に突起39が設けられてい
るが、本実施形態はその等分数に限るものではない。
【0099】[第10実施形態]図11は本発明に係る
負イオン源の第10実施形態の電極部分を示す拡大図で
ある。
【0100】本実施形態では、第2の電極7に穿設され
た貫通孔9のうち斜線で示した部分が二次電子放出係数
の小さい、例えばグラファイト,ニッケル,モリブデン
の少なくとも一種を含む金属、それ以外の部分が銅で構
成されている。
【0101】上記のような負イオン源における基本動作
を説明する。なお、放電プラズマの生成とビームBの引
き出しに関する部分については前記第1実施形態と同様
であるので、その説明を省略する。
【0102】放電プラズマから引き出されたHは、加
速される過程で放電容器1から漏れ出す水素ガス分子と
衝突し、脱離電子および中性水素原子を発生させる。こ
れらの粒子は第2の電極7の貫通孔9の表面と衝突し二
次電子を発生させる。
【0103】本実施形態では、図11に示すように銅か
らなる第2の電極7の貫通孔9の部分に、二次電子放出
係数の小さい元素を含む金属を嵌め込んでいるため、第
2の電極7を全て銅で製作した従来のものに比べて二次
電子の発生数が抑えられるとともに、熱伝導のよい銅を
用いることによって第2の電極7に流入する熱負荷を水
冷パイプ23を介して容易に除去することができる。
【0104】また、貫通孔9の表面が荷電粒子などによ
るスパッタリングによって損耗した場合には、この部分
だけを取り替えることができるなど、メンテナンスが容
易になる。
【0105】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ことなく、種々の変更が可能である。例えば、第4の電
極31を二次電子放出係数の小さい、例えばグラファイ
ト,ニッケル,モリブデンの少なくとも一種を含む金属
で構成すれば、第10実施形態と同様の効果を得ること
ができる。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ビ
ーム軸と直交する方向に磁場を形成し、この磁場により
二次電子を捕捉することにより、負イオンとともに引き
出される電子のうち加速される電子の量を抑制すること
が可能で、高い効率と信頼性を有する負イオン源を提供
できるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る負イオン源の第1実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図2】本発明に係る負イオン源の第2実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図3】本発明に係る負イオン源の第3実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図4】本発明に係る負イオン源の第4実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図5】本発明に係る負イオン源の第5実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図6】本発明に係る負イオン源の第6実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図7】本発明に係る負イオン源の第7実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図8】本発明に係る負イオン源の第8実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図9】本発明に係る負イオン源の第9実施形態の電極
部分を示す拡大図。
【図10】第9実施形態の電極部分を図9の矢印の方向
から見た拡大図。
【図11】本発明に係る負イオン源の第10実施形態の
電極部分を示す拡大図。
【図12】従来の負イオン源を示す断面図。
【図13】図12の電極の部分を示す拡大図。
【符号の説明】
1 放電容器 2 上板 3 側壁 4 絶縁材 5 第1の電極 6 貫通孔 7 第2の電極 8 第3の電極 9 貫通孔 9a テーパ部 10 貫通孔 11 フィラメント 12 ガス導入口 13 アルカリ金属蒸気導入口 14 磁石 15 磁石 16 フィルタ磁石 17 磁力線 18 第一室 19 第二室 20 電子トラップ 21 磁石(第1の磁場形成手段) 22 磁力線 23 水冷パイプ 24 引き出し電源 25 加速電源 26 磁石(第2の磁場形成手段) 27 磁力線 28 磁力線 29 磁力線 30 磁力線 31 第4の電極(他の電極) 32 電子抑制電源 33 磁石(第2の磁場形成手段) 34 磁力線 35 磁力線 36 突起 37 突起(第1の突起) 38 突起(第2の突起) 39 突起 40 磁力線 41a,41b 二次電子の軌道
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G085 AA01 BA02 BA05 BA06 BA14 BA15 BA17 BC05 BC06 BC11 BE02 CA16 EA01 EA09 5C030 DD05 DE01 DG01 DG06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電容器と、この放電容器を真空に排気
    する手段と、前記放電容器に放電の原料ガスを供給する
    手段と、前記放電容器内に放電プラズマを生成するため
    の手段と、前記放電プラズマから負イオンを引き出して
    加速するためにビーム引き出し孔がそれぞれ複数穿設さ
    れ、かつビームの進行方向に対して複数段設置された電
    極とを有する負イオン源において、 前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方
    向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、
    かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁
    場を形成する第1の磁場形成手段と、前記第2の電極の
    ビームの出口部分に設けられ、かつビーム軸と直交する
    方向に磁場を形成する第2の磁場形成手段とを備えたこ
    とを特徴とする負イオン源。
  2. 【請求項2】 第2の磁場形成手段は、第2の電極のビ
    ームの出口部分に設けられた電子トラップに、ビーム軸
    と直交する方向に着磁された永久磁石を埋設し、この永
    久磁石にて磁場を形成したことを特徴とする請求項1記
    載の負イオン源。
  3. 【請求項3】 第2の電極のビームの進行方向下流側
    に、第2の電極に対して同電位かあるいは負の電位を有
    する他の電極を設置したことを特徴とする請求項1記載
    の負イオン源。
  4. 【請求項4】 第2の磁場形成手段は、第2の電極と第
    3の電極との間に設けた他の電極の内部に埋設した永久
    磁石にて磁場を形成したことを特徴とする請求項1また
    は3のいずれかに記載の負イオン源。
  5. 【請求項5】 第2の磁場形成手段は、他の電極に電流
    を流して磁場を形成したことを特徴とする請求項1また
    は3のいずれかに記載の負イオン源。
  6. 【請求項6】 放電容器と、この放電容器を真空に排気
    する手段と、前記放電容器に放電の原料ガスを供給する
    手段と、前記放電容器内に放電プラズマを生成するため
    の手段と、前記放電プラズマから負イオンを引き出して
    加速するためにビーム引き出し孔がそれぞれ複数穿設さ
    れ、かつビームの進行方向に対して複数段設置された電
    極とを有する負イオン源において、 前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方
    向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、
    かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁
    場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿設さ
    れたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔にビー
    ムの進行方向に向かって孔径が大きくなるように形成さ
    れたテーパ部と、第2の電極のビームの進行方向下流側
    に設置された他の電極と、この他の電極にビームの進行
    方向と逆向きに形成された突起とを備えたことを特徴と
    する負イオン源。
  7. 【請求項7】 放電容器と、この放電容器を真空に排気
    する手段と、前記放電容器に放電の原料ガスを供給する
    手段と、前記放電容器内に放電プラズマを生成するため
    の手段と、前記放電プラズマから負イオンを引き出して
    加速するためにビーム引き出し孔がそれぞれ複数穿設さ
    れ、かつビームの進行方向に対して複数段設置された電
    極とを有する負イオン源において、 前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方
    向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、
    かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁
    場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿設さ
    れたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔にビー
    ムの進行方向に向かって孔径が大きくなるように形成さ
    れたテーパ部と、前記第2の電極のビームの出口部分に
    ビームの進行方向と逆向きに形成された第1の突起と、
    前記第2の電極のビームの出口部分にビームの進行方向
    に向かって孔径が小さくなるように形成された第2の突
    起とを備えたことを特徴とする負イオン源。
  8. 【請求項8】 放電容器と、この放電容器を真空に排気
    する手段と、前記放電容器に放電の原料ガスを供給する
    手段と、前記放電容器内に放電プラズマを生成するため
    の手段と、前記放電プラズマから負イオンを引き出して
    加速するためにビーム引き出し孔がそれぞれ複数穿設さ
    れ、かつビームの進行方向に対して複数段設置された電
    極とを有する負イオン源において、 前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方
    向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、
    かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁
    場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿設さ
    れたビーム引き出し孔と、このビーム引き出し孔の内面
    にビーム軸の方向に略平行に形成された突起とを備えた
    ことを特徴とする負イオン源。
  9. 【請求項9】 放電容器と、この放電容器を真空に排気
    する手段と、前記放電容器に放電の原料ガスを供給する
    手段と、前記放電容器内に放電プラズマを生成するため
    の手段と、前記放電プラズマから負イオンを引き出して
    加速するためにビーム引き出し孔がそれぞれ複数穿設さ
    れ、かつビームの進行方向に対して複数段設置された電
    極とを有する負イオン源において、 前記複数段設置された電極のうち、前記ビームの進行方
    向に対して第2の電極のビームの入口部分に設けられ、
    かつ引き出される電子量を抑え電子軌道を偏向させる磁
    場を形成する磁場形成手段と、前記第2の電極に穿設さ
    れたビーム引き出し孔とを有し、このビーム引き出し孔
    の部分が二次電子放出係数の小さいグラファイト,ニッ
    ケル,モリブデンの少なくとも一種から構成されること
    を特徴とする負イオン源。
  10. 【請求項10】 他の電極は、二次電子放出係数の小さ
    いグラファイト,ニッケル,モリブデンの少なくとも一
    種から構成されることを特徴とする請求項3ないし6の
    いずれかに記載の負イオン源。
JP11230859A 1999-08-17 1999-08-17 負イオン源 Pending JP2001057160A (ja)

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CN117790260B (zh) * 2024-02-23 2024-04-30 成都菲奥姆光学有限公司 一种调节电磁变量保护放电灯丝的装置

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