JP4013377B2 - 質量分離型イオン源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば液晶ディスプレイ用基板等の大面積の基板に均一性良く不純物注入(イオンドーピング)を行うこと等に用いられるイオン源であって、質量分離部を備える質量分離型イオン源に関し、より具体的には、当該質量分離部の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
大面積のイオンビーム(これは面イオンビームとも呼ばれる)を引き出すことのできるイオン源であって、イオンビーム中への不要イオンの混入を防止するために、質量分離部を備える質量分離型イオン源が、例えば特開平7−335160号公報に開示されている。質量分離とは、イオンビーム中から必要なイオンだけを選り分けて(選択的に)導出することを言う。
【0003】
上記公報に開示された質量分離型イオン源は、図5に示すように、プラズマ16を生成するプラズマ生成部10と、このプラズマ生成部10で生成されたプラズマ16からイオンビーム26を引き出すイオン引出し部20と、このイオン引出し部20から引き出されたイオンビーム26を質量分離する質量分離部30と、この質量分離部30を通過したイオンビーム26を加速するイオン加速部50とを備えている。
【0004】
プラズマ生成部10は、プラズマ生成容器12内に導入されたガス14を、直流放電、高周波放電、マイクロ波放電等によって放電分解してプラズマ16を生成する。
【0005】
イオン引出し部20は、プラズマ16から電界の作用でイオンビーム26を引き出すものであり、この例ではプラズマ電極22および引出し電極24を有している。両電極間には、引出し電源62から引出し電圧が印加される。
【0006】
質量分離部30は、この例ではフィルタ部32と、その下流側に設けられたイオン抑制電極46とを有している。
【0007】
フィルタ部32は、ウイーンフィルタまたはE×B型質量分離器とも呼ばれるものであり、図6に示すように、互いに直交する電界Eと磁界Bとの作用によってイオンビーム26の質量分離を行うものである。即ちこのフィルタ部32は、多数のビーム引出し孔44の両側に、上記電界Eを形成する電極板34、36および上記磁界Bを形成する永久磁石40をそれぞれ配置した構造をしている。両電極板34、36には、フィルタ電源64、65から上記電界Eを形成する電圧が印加される。38は絶縁板、42は非磁性の保持板である。
【0008】
イオンビーム26中の所望イオンは、ビーム引出し孔44を直進してイオン抑制電極46を通過して下流側へ射出される。イオンビーム26中の不所望イオンは、ビーム引出し孔44を通過中に曲げられ、ビーム引出し孔44の壁面やイオン抑制電極46に衝突する。このようにしてイオンビーム26の質量分離が行われる。
【0009】
イオン加速部50は、質量分離部30から導出されたイオンビーム26を、高電界によって加速して射出する。イオン加速部50は、この例では、下流側からの逆流電子抑制用の抑制電極52と接地電極54とを有している。上記プラズマ生成部10、イオン引出し部20および質量分離部30と接地電極54との間に、加速電源66から高電圧の加速電圧が印加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記質量分離型イオン源には、次のような課題がある。
【0011】
▲1▼ホウ素やリン等のような絶縁物質を形成するイオンを含むイオンビーム26を質量分離する際に、質量分離部30のフィルタ部32を構成する電極板34、36に不要イオンが衝突して両電極板34、36の表面に絶縁膜が形成され、そこに不要イオンが衝突することによって帯電(チャージアップ)するようになり、やがて、この帯電の影響で所望の上記電界Eを印加することができなくなって、所望の質量分離作用を成さなくなる。即ち、フィルタ部32の寿命(使用可能時間)が短く、頻繁にメンテナンスを必要とする。
【0012】
▲2▼質量分離部30のフィルタ部32は、電極板34、36および永久磁石40等を多数必要とするので、構造が非常に複雑であり、上記絶縁膜除去等のメンテナンスが困難である。
【0013】
▲3▼質量分離部30のフィルタ部32を構成する永久磁石40は熱に弱いため、その保持板42に冷却水を通して永久磁石40を強制的に冷却する構造にする必要があるが、永久磁石40およびその保持板42が多数あるので、冷却構造にすることによってフィルタ部32の構造が更に複雑かつ高価になる。
【0014】
▲4▼質量分離部30のフィルタ部32は、各ビーム引出し孔44の両側に永久磁石40をそれぞれ配置する必要があり、この永久磁石40およびその保持板42等からの制約によってビーム引出し孔44を密に配置することができず、フィルタ部32の開口率が低い(例えば約10〜20%程度)。その結果、イオンビーム26の引き出し効率およびイオンビーム26全体の均一性が悪くなる。
【0015】
そこでこの発明は、質量分離部の構造の簡素化、長寿命化および開口率向上を図った質量分離型イオン源を提供することを主たる目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明の質量分離型イオン源は、質量分離部が、入射イオンビームに対して直角に磁界を与えて当該イオンビームを曲げる一組の上流側磁石と、この上流側磁石の下流側に設けられていて当該上流側磁石でイオンビームを曲げる方向に傾けて複数枚のフィルタ板を、互いに一定の間隔をあけて互いに平行に並べて配置して成るフィルタ部とを備えることを特徴としている。
【0017】
プラズマ生成部中のプラズマからイオン引出し部によって引き出されたイオンビームは、上記質量分離部に入射する。
【0018】
質量分離部に入射したイオンビームは、上流側磁石によって曲げられる。この際、イオンビーム中のイオンの質量によって偏向角が異なる。この上流側磁石で曲げられたイオンビームは、その下流側のフィルタ部に入射する。このフィルタ部では、上記フィルタ板の傾き角度と等しい偏向角を持つイオンのみが、即ち必要な質量のイオンのみが、ここを通過することができる。他のイオン種は、フィルタ板に衝突するので、ここを通過することはできない。このようにして、質量分離部によってイオンビームを質量分離して、必要なイオンだけを選り分けて導出することができる。
【0019】
このようにして質量分離されたイオンビームは、その下流側にあるイオン加速部によって加速される。
【0020】
上記質量分離部は、一組の上流側磁石と、上記フィルタ板を有するフィルタ部とを組み合わせたものであるので、多数の電極板および多数の磁石を組み合わせた従来のE×B型のフィルタ部を有する質量分離部に比べて、構造が簡単であり、従ってメンテナンスも容易である。
【0021】
しかも、上記質量分離部は、質量分離用に電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィルタ部のような電極板表面の絶縁化による機能低下の問題は起こらず、従って長寿命である。
【0022】
更に、上記質量分離部のフィルタ部において開口率を低下させる要因となるのはフィルタ板の板厚部分のみであるので、従来のE×B型のフィルタ部に比べて、開口率を大幅に向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る質量分離型イオン源の一例を示す断面図である。図2は、図1の線A−Aに沿う断面図である。図3は、図1のC−C方向に見た平面図である。図5の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0024】
この質量分離型イオン源は、プラズマ16を生成する前述したようなプラズマ生成部10と、このプラズマ生成部10の開口部18付近に設けられていて当該プラズマ生成部10で生成されたプラズマ16からイオンビーム26を引き出すイオン引出し部20と、このイオン引出し部20の下流側に設けられていて当該イオン引出し部20から引き出されたイオンビーム26を質量分離する質量分離部70と、この質量分離部70の下流側に設けられていて当該質量分離部70を通過したイオンビーム26を加速する前述したようなイオン加速部50とを備えている。
【0025】
イオン引出し部20は、この例では、プラズマ生成部10に最も近いプラズマ電極22と、その下流側に配置された第1引出し電極23と、その下流側に配置された第2引出し電極25とを有している。
【0026】
各電極22、23、25は、この例では、直径1mm程度のタングステン線を一定間隔(例えば3mm程度)ですだれ状に並べた構造をしている。これによって、高い開口率(例えば70%前後)を得ることができる。但し、電極22、23、25を他の構造、例えば細線を格子状に並べた構造、板に多数の小孔またはスリットを設けた構造等でも良い。この例では、イオン引出し部20から、断面長方形の面状のイオンビーム26が引き出される。
【0027】
プラズマ電極22は、この例ではプラズマ生成容器12と同電位にされている。このプラズマ電極22と第1引出し電極23との間に、第1引出し電源61から、第1引出し電極23側を負極にして、直流の第1引出し電圧VE1が印加される。この第1引出し電圧VE1によって、プラズマ電極22を出たイオン(イオンビーム26)は第1引出し電極23に向かって引き出される。また、この第1引出し電圧VE1によって、イオンビーム26の発散角が決められる。従って、質量分離部70において高い質量分解能を得るためには、この発散角を最小にするのが好ましい。
【0028】
プラズマ電極22と第2引出し電極25との間に、第2引出し電源63から、第2引出し電極25側を負極にして、直流の第2引出し電圧VE2が印加される。この第2引出し電圧VE2によって、イオン引出し部20を通過したときのイオンビーム26の運動エネルギーが決まる。この運動エネルギーは、あまり大きくしない方が、質量分離部70でのイオンビーム26の偏向が容易になるので好ましい。例えば、この運動エネルギーは、0.1keV〜数keV程度にするのが好ましい。
【0029】
質量分離部70は、この例では、その入口部付近に設けられた一組(一対)の上流側磁石76、77と、その下流側(中間部)に設けられたフィルタ部86と、その下流側(出口部付近)に設けられた一組(一対)の下流側磁石80、81とを備えている。この上流側磁石76、77および下流側磁石80、81は、この例では永久磁石から成る。
【0030】
詳述すると、質量分離部70は、この例では、非磁性金属から成り中央部に、イオンビーム26を通過させる断面長方形の開口部74を有する箱状の支持体72を備えている。この支持体72の入口部付近に、開口部74を挟んで異極を相対向させて、一組の上流側磁石76、77を配置している。この上流側磁石76、77は、入射イオンビーム26に対して直角に磁界78を与えて、イオンビーム26を曲げる(偏向させる)。
【0031】
このときのイオンビーム26の偏向角αは、イオンの質量によって異なり、公知の次式で表される。ここで、Lは磁界78印加領域の幅(これは上流側磁石76、77の厚さにほぼ等しい)、mはイオンの質量、eはイオンの電荷、Bは磁界78印加領域での磁束密度、VE2は上記第2引出し電圧である。
【0032】
【数1】
α=sin-1{L/B√(2・m・VE2/e)}
【0033】
フィルタ部86は、上流側磁石76、77でイオンビーム26を曲げる方向に沿って傾けて、複数枚のフィルタ板88をルーバー状に(即ちフィルタ板88を互いに一定の間隔aをあけて互いに平行に並べて)配置して成る。即ち、質量分離部70に入射する時のイオンビーム26の直進方向に対する各フィルタ板88の傾き角度をθとしている。このフィルタ板88を並べる間隔aと、フィルタ部86の(より具体的には各フィルタ板88の入射イオンビームの直進方向側の)長さhとで、質量分解能が決まる。
【0034】
このフィルタ部86では、ルーバー状のフィルタ板88の傾き角度θと等しい偏向角αを持つイオンのみが、即ち所望の質量のイオンのみが、ここを通過することができる。他のイオン種は、偏向角αが上記傾き角度θよりも小さ過ぎたり(例えば質量が大き過ぎる場合)、大き過ぎたりして(例えば質量が小さ過ぎる場合)、フィルタ板88に衝突するので、このフィルタ部86を通過することはできない。このようにして、基本的には上流側磁石76、77とフィルタ部86との協働によって、必要なイオンだけを選り分けて導出することができる。
【0035】
上記各フィルタ板88は、その板厚を薄くする方が、入射イオンビームを遮る総面積が小さくなるので、フィルタ部86の開口率がより向上する。各フィルタ板88の板厚は、例えば0.2mm〜0.3mm程度である。
【0036】
上記各フィルタ板88の好ましい材質は、次のとおりである。
【0037】
▲1▼各フィルタ板88は、上述したように不要イオンが衝突して温度上昇するので、耐熱性の高い金属、より具体的にはW、Mo等の高融点金属で構成するのが好ましい。そのようにすれば、各フィルタ板88の温度上昇による変形、損傷等を防止して長寿命化を図ることができる。
【0038】
▲2▼各フィルタ板88は、上述したように不要イオンが衝突してスパッタされるので、スパッタ率の小さい金属、より具体的には高融点金属のような重い金属で構成するのが好ましい。そのようにすれば、各フィルタ板88のスパッタによる損耗を減少させて長寿命化を図ることができる。
【0039】
▲3▼各フィルタ板88からのスパッタ粒子が下流側に飛び出して、イオンビーム26を照射しよとうする基板(図示省略)に入射して、コンタミネーション(不純物混入)が生じるのを防止するためには、各フィルタ板88を当該基板と同じ材質で形成しても良いし、基板と同じ材質の膜を各フィルタ板88の表面にコーティングしても良い。例えば、基板がSi基板の場合は、各フィルタ板88をSiで形成するかまたはSi膜でコーティングすれば良い。同様に基板がGaAs基板の場合は、各フィルタ板88をGaAsで形成するかまたはGaAs膜でコーティングすれば良い。そのようにすれば、各フィルタ板88からのスパッタ粒子が基板に入射しても、基板と同じ物質が入射するので、コンタミネーションの問題は起こらない。基板がSi基板の場合は、各フィルタ板88をカーボン(C)で形成するかまたはカーボン膜をコーティングしても良い。炭素がSi基板に混入しても、コンタミネーションの問題は少ないからである。
【0040】
上記質量分離部70の出口部付近に、この例のように、フィルタ部86において上流側磁石76、77からの漏れ磁界を打ち消す磁界を発生させる一組の下流側磁石80、81を設けておくのが好ましい。この下流側磁石80、81は、上流側磁石76、77と光学対称に設けている。即ち、フィルタ部86に対して上流側磁石76、77側と同じ位置関係で、開口部74を挟んで異極を相対向させて、一組の下流側磁石80、81を配置している。この下流側磁石80、81は、上流側磁石76、77と逆極性の関係にあり、上流側磁石76、77が発生する磁界78と同じ強さで逆向きの磁界82を発生させる。そして、一方の上流側磁石76とその下流側にある一方の下流側磁石80とをヨーク84で接続し、他方の上流側磁石77とその下流側にある他方の下流側磁石81とをヨーク85で接続している。
【0041】
このように構成すれば、上流側磁石76→上流側磁石77→ヨーク85→下流側磁石81→下流側磁石80→ヨーク84→上流側磁石76の経路で磁気回路が形成されるので、フィルタ部86への漏れ磁界は殆どなくなる。また仮に漏れ磁界が生じようとしても、上流側磁石76、77からの漏れ磁界と下流側磁石80、81からの漏れ磁界とがフィルタ部86で打ち消し合うので、フィルタ部86には漏れ磁界はなくなる。その結果、所望イオンが、フィルタ部86のフィルタ板88間を漏れ磁界の影響を受けずに直進して通り抜けることができるので、フィルタ部86から所望イオンを取り出す効率が向上する。
【0042】
また、下流側磁石80、81によってイオンビーム26を上流側と同じ偏向角αだけ曲げ戻すことができるので、質量分離部70に入射する時のイオンビーム26と平行にイオンビーム26を質量分離部から射出することができる。その結果、基板等の被照射物に照射するイオンビーム26の入射角を決めやすくなる等の利点がある。
【0043】
なお、上記下流側磁石80、81が無くても、質量分離部70を出たイオンビーム26は、イオン加速部50の電界によって当該電界に直交する方向に(即ち接地電極54に直交する方向に)曲げ戻される作用を受けるけれども、その曲げ戻しの程度はイオン加速部50の電界の強さ(即ち後述する加速電圧VA の大きさ)によって変化するので、確実にイオンビーム26を曲げ戻すためには、上記のような下流側磁石80、81を設けておく方が好ましい。
【0044】
上記質量分離部70の支持体72および上記第2引出し電極25には、加速電源66から、直流の正極性の加速電圧VA が印加される。従ってイオン加速部50では、支持体72と前述した接地電極54との間に与えられる加速電圧VA によって、質量分離部70から射出されたイオンビーム26が加速される。このイオン加速部50での加速エネルギーは、例えば、数十keV〜100keV程度である。この例のように、イオン加速部50でイオンビーム26に大きな加速エネルギーを与える前に、質量分離部70で質量分離する方が、イオンビーム26の偏向が容易になるので好ましい。なお、上記抑制電極52および接地電極54は、この例ではイオンビーム26の断面形状に対応した断面長方形の開口部を有している。
【0045】
上記上流側磁石76、77および下流側磁石80、81をこの例のように永久磁石とする場合は、温度上昇による減磁防止のために、それらを強制的に冷却する構造にするのが好ましい。そのためにこの例では、上記支持体72に冷媒通路90を設けて、そこに冷却水等の冷媒92を流すようにしている。
【0046】
上記質量分離部70は、基本的には一組の上流側磁石76、77と、ルーバー状のフィルタ板88を有するフィルタ部86とを組み合わせたものであるので、多数の電極板および多数の永久磁石を組み合わせた従来のE×B型のフィルタ部32を有する質量分離部30に比べて、構造が簡単であり、従ってメンテナンスも容易である。またコスト的にも安くできる。下流側磁石80、81を設ける場合や、各磁石を永久磁石にしてそれらを強制冷却する構造にする場合でも、多数の永久磁石を組み合わせ、かつそれらを強制冷却する従来の質量分離部30に比べれば、やはり構造が簡単であり、メンテナンスも容易であり、コスト的にも安くできる。
【0047】
しかも、上記質量分離部70は、質量分離用に電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィルタ部32のような電極板表面の絶縁化による機能低下の問題は起こらず、従って長寿命である。即ち長期間メンテナンスせずに動作させることができる。
【0048】
更に、上記質量分離部70のフィルタ部86において開口率を低下させる要因となるのはフィルタ板88の板厚部分のみであるので、しかも当該板厚は前述したように非常に薄くしても良いので、従来のE×B型のフィルタ部32に比べて、開口率を大幅に向上させることができる。例えば、80〜90%程度の開口率を得ることも容易である。その結果、イオンビーム26の引き出し効率およびイオンビーム26全体の均一性を向上させることができる。
【0049】
なお、この例では、イオン引出し部20(より具体的にはその第2引出し電極25)に第2引出し電源63から印加する第2引出し電圧VE2を可変にしている。そのようにすれば、上記数1からも分かるように、必要とするイオン種(より具体的には質量mや電荷e。以下同じ)を変えてもその偏向角αを一定に(即ちフィルタ板88の傾き角度θと同じに)することができるので、質量分離部70で質量分離する(即ち質量分離部70を通過させる)イオン種を種々に変える(制御する)ことができる。従って、このイオン源から引き出すイオンビーム26を構成するイオン種を種々に、しかも簡単に変えることができる。
【0050】
上記上流側磁石76、77を(下流側磁石80、81を設ける場合はそれも)例えば電磁石にする等して、それがイオンビーム26に与える磁界の磁束密度Bを可変にしても良く、そのようにすれば、上記数1からも分かるように、必要とするイオン種を変えてもその偏向角αを一定にすることができるので、質量分離部70で質量分離するイオン種を種々に変えることができる。
【0051】
また、例えば図4に示す例のように、上記フィルタ部86を構成する複数枚のフィルタ板88の傾き角度θを一括して調節可能(可変)にしても良い。この図4の例では、各フィルタ板88の上流側端を、位置の固定された軸受94でそれぞれ支持し、各フィルタ板88の下流側端を、軸96に取り付けられた軸受95でそれぞれ支持し、この軸96を駆動部98で、矢印Dに示すように前後動させる構成をしており、これによって複数枚のフィルタ板88の傾き角度θを一括して変えることができる。上記数1からも分かるように、上流側磁石76、77で曲げられるイオンの偏向角αは、イオン種によって変わる。従って上記のようにフィルタ板88の傾き角度θを調節可能にしておくことにより、上流側磁石76、77で曲げられる所望イオンの偏向角αにフィルタ板88の傾き角度θを合わせて当該イオンを通過させることができるので、質量分離部70で質量分離するイオン種を種々に変えることができる。
【0052】
上記第2引出し電圧VE2を可変にすること、上記磁束密度Bを可変にすること、および上記傾き角度θを調節可能にすることは、互いに任意に組み合わせて採用しても良い。
【0053】
【発明の効果】
この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
【0054】
請求項1記載の発明によれば、質量分離部は、一組の上流側磁石と、上記フィルタ板を有するフィルタ部とを組み合わせたものであるので、多数の電極板および多数の磁石を組み合わせた従来のE×B型のフィルタ部を有する質量分離部に比べて、構造が簡単であり、従ってメンテナンスも容易である。またコスト的にも安くできる。
【0055】
しかも、上記質量分離部は、質量分離用に電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィルタ部のような電極板表面の絶縁化による機能低下の問題は起こらず、従って長寿命である。即ち、長期間メンテナンスせずに動作させることができる。
【0056】
更に、上記質量分離部のフィルタ部において開口率を低下させる要因となるのはフィルタ板の板厚部分のみであるので、従来のE×B型のフィルタ部に比べて、開口率を大幅に向上させることができる。その結果、イオンビームの引き出し効率およびイオンビーム全体の均一性を向上させることができる。
【0057】
請求項2記載の発明によれば、下流側磁石によって、フィルタ部において上流側磁石からの漏れ磁界を打ち消すことができるので、所望イオンが、フィルタ部のフィルタ板間を漏れ磁界の影響を受けずに直進して通り抜けることができ、フィルタ部から所望イオンを取り出す効率が向上する。また、下流側磁石によってイオンビームを上流側と同じ偏向角だけ曲げ戻して、質量分離部に入射する時のイオンビームと平行にイオンビームを質量分離部から射出することも可能になる。
【0058】
請求項3、4または5記載の発明によれば、質量分離部で質量分離するイオン種を種々に変えることができるので、この発明のイオン源から引き出すイオンビームを構成するイオン種を種々に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る質量分離型イオン源の一例を示す断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】図1のC−C方向に見た平面図である。
【図4】フィルタ部の他の例を示す概略図である。
【図5】従来の質量分離型イオン源の一例を示す概略図である。
【図6】図5中のフィルタ部の詳細を部分的に示す図であり、図5の線F−Fに沿う断面図に相当する。
【符号の説明】
10 プラズマ生成部
16 プラズマ
20 イオン引出し部
26 イオンビーム
50 イオン加速部
70 質量分離部
76、77 上流側磁石
80、81 下流側磁石
86 フィルタ部
88 フィルタ板

Claims (5)

  1. プラズマを生成するプラズマ生成部と、このプラズマ生成部で生成されたプラズマからイオンビームを引き出すイオン引出し部と、このイオン引出し部から引き出されたイオンビームを質量分離する質量分離部と、この質量分離部を通過したイオンビームを加速するイオン加速部とを備える質量分離型イオン源において、
    前記質量分離部が、
    入射イオンビームに対して直角に磁界を与えて当該イオンビームを曲げる一組の上流側磁石と、
    この上流側磁石の下流側に設けられていて、当該上流側磁石でイオンビームを曲げる方向に傾けて複数枚のフィルタ板を、互いに一定の間隔をあけて互いに平行に並べて配置して成るフィルタ部とを備えることを特徴とする質量分離型イオン源。
  2. 前記質量分離部が、前記フィルタ部の下流側に配置されていて前記フィルタ部において前記上流側磁石からの漏れ磁界を打ち消す磁界を発生させる一組の下流側磁石を更に備えている請求項1記載の質量分離型イオン源。
  3. 前記イオン引出し部に印加する引出し電圧を可変にしている請求項1または2記載の質量分離型イオン源。
  4. 前記フィルタ部を構成する複数枚のフィルタ板の傾き角度を一括して調節可能にしている請求項1、2または3記載の質量分離型イオン源。
  5. 前記上流側磁石が前記イオンビームに与える磁界の磁束密度を可変にしている請求項1、2、3または4記載の質量分離型イオン源。
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