JP2000182525A - 質量分離型イオン源 - Google Patents

質量分離型イオン源

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JP2000182525A JP10359064A JP35906498A JP2000182525A JP 2000182525 A JP2000182525 A JP 2000182525A JP 10359064 A JP10359064 A JP 10359064A JP 35906498 A JP35906498 A JP 35906498A JP 2000182525 A JP2000182525 A JP 2000182525A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 質量分離部の構造の簡素化、長寿命化および
開口率向上を図った質量分離型イオン源を提供する。 【解決手段】 この発明のイオン源を構成する質量分離
部70は、入射イオンビーム26に対して直角に磁界7
8を与えて当該イオンビーム26を曲げる一組の上流側
磁石76、77と、この上流側磁石76、77の下流側
に設けられていて、上流側磁石76、77でイオンビー
ム26を曲げる方向に傾けて複数枚のフィルタ板88を
ルーバー状に配置して成るフィルタ部86とを備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば液晶ディ
スプレイ用基板等の大面積の基板に均一性良く不純物注
入(イオンドーピング)を行うこと等に用いられるイオ
ン源であって、質量分離部を備える質量分離型イオン源
に関し、より具体的には、当該質量分離部の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】大面積のイオンビーム(これは面イオン
ビームとも呼ばれる)を引き出すことのできるイオン源
であって、イオンビーム中への不要イオンの混入を防止
するために、質量分離部を備える質量分離型イオン源
が、例えば特開平7−335160号公報に開示されて
いる。質量分離とは、イオンビーム中から必要なイオン
だけを選り分けて(選択的に)導出することを言う。
【0003】上記公報に開示された質量分離型イオン源
は、図5に示すように、プラズマ16を生成するプラズ
マ生成部10と、このプラズマ生成部10で生成された
プラズマ16からイオンビーム26を引き出すイオン引
出し部20と、このイオン引出し部20から引き出され
たイオンビーム26を質量分離する質量分離部30と、
この質量分離部30を通過したイオンビーム26を加速
するイオン加速部50とを備えている。
【0004】プラズマ生成部10は、プラズマ生成容器
12内に導入されたガス14を、直流放電、高周波放
電、マイクロ波放電等によって放電分解してプラズマ1
6を生成する。
【0005】イオン引出し部20は、プラズマ16から
電界の作用でイオンビーム26を引き出すものであり、
この例ではプラズマ電極22および引出し電極24を有
している。両電極間には、引出し電源62から引出し電
圧が印加される。
【0006】質量分離部30は、この例ではフィルタ部
32と、その下流側に設けられたイオン抑制電極46と
を有している。
【0007】フィルタ部32は、ウイーンフィルタまた
はE×B型質量分離器とも呼ばれるものであり、図6に
示すように、互いに直交する電界Eと磁界Bとの作用に
よってイオンビーム26の質量分離を行うものである。
即ちこのフィルタ部32は、多数のビーム引出し孔44
の両側に、上記電界Eを形成する電極板34、36およ
び上記磁界Bを形成する永久磁石40をそれぞれ配置し
た構造をしている。両電極板34、36には、フィルタ
電源64、65から上記電界Eを形成する電圧が印加さ
れる。38は絶縁板、42は非磁性の保持板である。
【0008】イオンビーム26中の所望イオンは、ビー
ム引出し孔44を直進してイオン抑制電極46を通過し
て下流側へ射出される。イオンビーム26中の不所望イ
オンは、ビーム引出し孔44を通過中に曲げられ、ビー
ム引出し孔44の壁面やイオン抑制電極46に衝突す
る。このようにしてイオンビーム26の質量分離が行わ
れる。
【0009】イオン加速部50は、質量分離部30から
導出されたイオンビーム26を、高電界によって加速し
て射出する。イオン加速部50は、この例では、下流側
からの逆流電子抑制用の抑制電極52と接地電極54と
を有している。上記プラズマ生成部10、イオン引出し
部20および質量分離部30と接地電極54との間に、
加速電源66から高電圧の加速電圧が印加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記質量分離型イオン
源には、次のような課題がある。
【0011】ホウ素やリン等のような絶縁物質を形成
するイオンを含むイオンビーム26を質量分離する際
に、質量分離部30のフィルタ部32を構成する電極板
34、36に不要イオンが衝突して両電極板34、36
の表面に絶縁膜が形成され、そこに不要イオンが衝突す
ることによって帯電(チャージアップ)するようにな
り、やがて、この帯電の影響で所望の上記電界Eを印加
することができなくなって、所望の質量分離作用を成さ
なくなる。即ち、フィルタ部32の寿命(使用可能時
間)が短く、頻繁にメンテナンスを必要とする。
【0012】質量分離部30のフィルタ部32は、電
極板34、36および永久磁石40等を多数必要とする
ので、構造が非常に複雑であり、上記絶縁膜除去等のメ
ンテナンスが困難である。
【0013】質量分離部30のフィルタ部32を構成
する永久磁石40は熱に弱いため、その保持板42に冷
却水を通して永久磁石40を強制的に冷却する構造にす
る必要があるが、永久磁石40およびその保持板42が
多数あるので、冷却構造にすることによってフィルタ部
32の構造が更に複雑かつ高価になる。
【0014】質量分離部30のフィルタ部32は、各
ビーム引出し孔44の両側に永久磁石40をそれぞれ配
置する必要があり、この永久磁石40およびその保持板
42等からの制約によってビーム引出し孔44を密に配
置することができず、フィルタ部32の開口率が低い
(例えば約10〜20%程度)。その結果、イオンビー
ム26の引き出し効率およびイオンビーム26全体の均
一性が悪くなる。
【0015】そこでこの発明は、質量分離部の構造の簡
素化、長寿命化および開口率向上を図った質量分離型イ
オン源を提供することを主たる目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明の質量分離型イ
オン源は、質量分離部が、入射イオンビームに対して直
角に磁界を与えて当該イオンビームを曲げる一組の上流
側磁石と、この上流側磁石の下流側に設けられていて当
該上流側磁石でイオンビームを曲げる方向に傾けて複数
枚のフィルタ板をルーバー状に配置して成るフィルタ部
とを備えることを特徴としている。
【0017】プラズマ生成部中のプラズマからイオン引
出し部によって引き出されたイオンビームは、上記質量
分離部に入射する。
【0018】質量分離部に入射したイオンビームは、上
流側磁石によって曲げられる。この際、イオンビーム中
のイオンの質量によって偏向角が異なる。この上流側磁
石で曲げられたイオンビームは、その下流側のフィルタ
部に入射する。このフィルタ部では、ルーバー状のフィ
ルタ板の傾き角度と等しい偏向角を持つイオンのみが、
即ち必要な質量のイオンのみが、ここを通過することが
できる。他のイオン種は、フィルタ板に衝突するので、
ここを通過することはできない。このようにして、質量
分離部によってイオンビームを質量分離して、必要なイ
オンだけを選り分けて導出することができる。
【0019】このようにして質量分離されたイオンビー
ムは、その下流側にあるイオン加速部によって加速され
る。
【0020】上記質量分離部は、一組の上流側磁石と、
ルーバー状のフィルタ板を有するフィルタ部とを組み合
わせたものであるので、多数の電極板および多数の磁石
を組み合わせた従来のE×B型のフィルタ部を有する質
量分離部に比べて、構造が簡単であり、従ってメンテナ
ンスも容易である。
【0021】しかも、上記質量分離部は、質量分離用に
電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィルタ
部のような電極板表面の絶縁化による機能低下の問題は
起こらず、従って長寿命である。
【0022】更に、上記質量分離部のフィルタ部におい
て開口率を低下させる要因となるのはフィルタ板の板厚
部分のみであるので、従来のE×B型のフィルタ部に比
べて、開口率を大幅に向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る質量分離
型イオン源の一例を示す断面図である。図2は、図1の
線A−Aに沿う断面図である。図3は、図1のC−C方
向に見た平面図である。図5の従来例と同一または相当
する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来
例との相違点を主に説明する。
【0024】この質量分離型イオン源は、プラズマ16
を生成する前述したようなプラズマ生成部10と、この
プラズマ生成部10の開口部18付近に設けられていて
当該プラズマ生成部10で生成されたプラズマ16から
イオンビーム26を引き出すイオン引出し部20と、こ
のイオン引出し部20の下流側に設けられていて当該イ
オン引出し部20から引き出されたイオンビーム26を
質量分離する質量分離部70と、この質量分離部70の
下流側に設けられていて当該質量分離部70を通過した
イオンビーム26を加速する前述したようなイオン加速
部50とを備えている。
【0025】イオン引出し部20は、この例では、プラ
ズマ生成部10に最も近いプラズマ電極22と、その下
流側に配置された第1引出し電極23と、その下流側に
配置された第2引出し電極25とを有している。
【0026】各電極22、23、25は、この例では、
直径1mm程度のタングステン線を一定間隔(例えば3
mm程度)ですだれ状に並べた構造をしている。これに
よって、高い開口率(例えば70%前後)を得ることが
できる。但し、電極22、23、25を他の構造、例え
ば細線を格子状に並べた構造、板に多数の小孔またはス
リットを設けた構造等でも良い。この例では、イオン引
出し部20から、断面長方形の面状のイオンビーム26
が引き出される。
【0027】プラズマ電極22は、この例ではプラズマ
生成容器12と同電位にされている。このプラズマ電極
22と第1引出し電極23との間に、第1引出し電源6
1から、第1引出し電極23側を負極にして、直流の第
1引出し電圧VE1が印加される。この第1引出し電圧V
E1によって、プラズマ電極22を出たイオン(イオンビ
ーム26)は第1引出し電極23に向かって引き出され
る。また、この第1引出し電圧VE1によって、イオンビ
ーム26の発散角が決められる。従って、質量分離部7
0において高い質量分解能を得るためには、この発散角
を最小にするのが好ましい。
【0028】プラズマ電極22と第2引出し電極25と
の間に、第2引出し電源63から、第2引出し電極25
側を負極にして、直流の第2引出し電圧VE2が印加され
る。この第2引出し電圧VE2によって、イオン引出し部
20を通過したときのイオンビーム26の運動エネルギ
ーが決まる。この運動エネルギーは、あまり大きくしな
い方が、質量分離部70でのイオンビーム26の偏向が
容易になるので好ましい。例えば、この運動エネルギー
は、0.1keV〜数keV程度にするのが好ましい。
【0029】質量分離部70は、この例では、その入口
部付近に設けられた一組(一対)の上流側磁石76、7
7と、その下流側(中間部)に設けられたフィルタ部8
6と、その下流側(出口部付近)に設けられた一組(一
対)の下流側磁石80、81とを備えている。この上流
側磁石76、77および下流側磁石80、81は、この
例では永久磁石から成る。
【0030】詳述すると、質量分離部70は、この例で
は、非磁性金属から成り中央部に、イオンビーム26を
通過させる断面長方形の開口部74を有する箱状の支持
体72を備えている。この支持体72の入口部付近に、
開口部74を挟んで異極を相対向させて、一組の上流側
磁石76、77を配置している。この上流側磁石76、
77は、入射イオンビーム26に対して直角に磁界78
を与えて、イオンビーム26を曲げる(偏向させる)。
【0031】このときのイオンビーム26の偏向角α
は、イオンの質量によって異なり、公知の次式で表され
る。ここで、Lは磁界78印加領域の幅(これは上流側
磁石76、77の厚さにほぼ等しい)、mはイオンの質
量、eはイオンの電荷、Bは磁界78印加領域での磁束
密度、VE2は上記第2引出し電圧である。
【0032】
【数1】 α=sin-1{L/B√(2・m・VE2/e)}
【0033】フィルタ部86は、上流側磁石76、77
でイオンビーム26を曲げる方向に沿って傾けて、複数
枚のフィルタ板88をルーバー状に(即ちフィルタ板8
8を互いに一定の間隔aをあけて互いに平行に並べて)
配置して成る。即ち、質量分離部70に入射する時のイ
オンビーム26の直進方向に対する各フィルタ板88の
傾き角度をθとしている。このフィルタ板88を並べる
間隔aと、フィルタ部86の(より具体的には各フィル
タ板88の入射イオンビームの直進方向側の)長さhと
で、質量分解能が決まる。
【0034】このフィルタ部86では、ルーバー状のフ
ィルタ板88の傾き角度θと等しい偏向角αを持つイオ
ンのみが、即ち所望の質量のイオンのみが、ここを通過
することができる。他のイオン種は、偏向角αが上記傾
き角度θよりも小さ過ぎたり(例えば質量が大き過ぎる
場合)、大き過ぎたりして(例えば質量が小さ過ぎる場
合)、フィルタ板88に衝突するので、このフィルタ部
86を通過することはできない。このようにして、基本
的には上流側磁石76、77とフィルタ部86との協働
によって、必要なイオンだけを選り分けて導出すること
ができる。
【0035】上記各フィルタ板88は、その板厚を薄く
する方が、入射イオンビームを遮る総面積が小さくなる
ので、フィルタ部86の開口率がより向上する。各フィ
ルタ板88の板厚は、例えば0.2mm〜0.3mm程
度である。
【0036】上記各フィルタ板88の好ましい材質は、
次のとおりである。
【0037】各フィルタ板88は、上述したように不
要イオンが衝突して温度上昇するので、耐熱性の高い金
属、より具体的にはW、Mo等の高融点金属で構成する
のが好ましい。そのようにすれば、各フィルタ板88の
温度上昇による変形、損傷等を防止して長寿命化を図る
ことができる。
【0038】各フィルタ板88は、上述したように不
要イオンが衝突してスパッタされるので、スパッタ率の
小さい金属、より具体的には高融点金属のような重い金
属で構成するのが好ましい。そのようにすれば、各フィ
ルタ板88のスパッタによる損耗を減少させて長寿命化
を図ることができる。
【0039】各フィルタ板88からのスパッタ粒子が
下流側に飛び出して、イオンビーム26を照射しよとう
する基板(図示省略)に入射して、コンタミネーション
(不純物混入)が生じるのを防止するためには、各フィ
ルタ板88を当該基板と同じ材質で形成しても良いし、
基板と同じ材質の膜を各フィルタ板88の表面にコーテ
ィングしても良い。例えば、基板がSi基板の場合は、
各フィルタ板88をSiで形成するかまたはSi膜でコ
ーティングすれば良い。同様に基板がGaAs基板の場
合は、各フィルタ板88をGaAsで形成するかまたは
GaAs膜でコーティングすれば良い。そのようにすれ
ば、各フィルタ板88からのスパッタ粒子が基板に入射
しても、基板と同じ物質が入射するので、コンタミネー
ションの問題は起こらない。基板がSi基板の場合は、
各フィルタ板88をカーボン(C)で形成するかまたは
カーボン膜をコーティングしても良い。炭素がSi基板
に混入しても、コンタミネーションの問題は少ないから
である。
【0040】上記質量分離部70の出口部付近に、この
例のように、フィルタ部86において上流側磁石76、
77からの漏れ磁界を打ち消す磁界を発生させる一組の
下流側磁石80、81を設けておくのが好ましい。この
下流側磁石80、81は、上流側磁石76、77と光学
対称に設けている。即ち、フィルタ部86に対して上流
側磁石76、77側と同じ位置関係で、開口部74を挟
んで異極を相対向させて、一組の下流側磁石80、81
を配置している。この下流側磁石80、81は、上流側
磁石76、77と逆極性の関係にあり、上流側磁石7
6、77が発生する磁界78と同じ強さで逆向きの磁界
82を発生させる。そして、一方の上流側磁石76とそ
の下流側にある一方の下流側磁石80とをヨーク84で
接続し、他方の上流側磁石77とその下流側にある他方
の下流側磁石81とをヨーク85で接続している。
【0041】このように構成すれば、上流側磁石76→
上流側磁石77→ヨーク85→下流側磁石81→下流側
磁石80→ヨーク84→上流側磁石76の経路で磁気回
路が形成されるので、フィルタ部86への漏れ磁界は殆
どなくなる。また仮に漏れ磁界が生じようとしても、上
流側磁石76、77からの漏れ磁界と下流側磁石80、
81からの漏れ磁界とがフィルタ部86で打ち消し合う
ので、フィルタ部86には漏れ磁界はなくなる。その結
果、所望イオンが、フィルタ部86のフィルタ板88間
を漏れ磁界の影響を受けずに直進して通り抜けることが
できるので、フィルタ部86から所望イオンを取り出す
効率が向上する。
【0042】また、下流側磁石80、81によってイオ
ンビーム26を上流側と同じ偏向角αだけ曲げ戻すこと
ができるので、質量分離部70に入射する時のイオンビ
ーム26と平行にイオンビーム26を質量分離部から射
出することができる。その結果、基板等の被照射物に照
射するイオンビーム26の入射角を決めやすくなる等の
利点がある。
【0043】なお、上記下流側磁石80、81が無くて
も、質量分離部70を出たイオンビーム26は、イオン
加速部50の電界によって当該電界に直交する方向に
(即ち接地電極54に直交する方向に)曲げ戻される作
用を受けるけれども、その曲げ戻しの程度はイオン加速
部50の電界の強さ(即ち後述する加速電圧VA の大き
さ)によって変化するので、確実にイオンビーム26を
曲げ戻すためには、上記のような下流側磁石80、81
を設けておく方が好ましい。
【0044】上記質量分離部70の支持体72および上
記第2引出し電極25には、加速電源66から、直流の
正極性の加速電圧VA が印加される。従ってイオン加速
部50では、支持体72と前述した接地電極54との間
に与えられる加速電圧VA によって、質量分離部70か
ら射出されたイオンビーム26が加速される。このイオ
ン加速部50での加速エネルギーは、例えば、数十ke
V〜100keV程度である。この例のように、イオン
加速部50でイオンビーム26に大きな加速エネルギー
を与える前に、質量分離部70で質量分離する方が、イ
オンビーム26の偏向が容易になるので好ましい。な
お、上記抑制電極52および接地電極54は、この例で
はイオンビーム26の断面形状に対応した断面長方形の
開口部を有している。
【0045】上記上流側磁石76、77および下流側磁
石80、81をこの例のように永久磁石とする場合は、
温度上昇による減磁防止のために、それらを強制的に冷
却する構造にするのが好ましい。そのためにこの例で
は、上記支持体72に冷媒通路90を設けて、そこに冷
却水等の冷媒92を流すようにしている。
【0046】上記質量分離部70は、基本的には一組の
上流側磁石76、77と、ルーバー状のフィルタ板88
を有するフィルタ部86とを組み合わせたものであるの
で、多数の電極板および多数の永久磁石を組み合わせた
従来のE×B型のフィルタ部32を有する質量分離部3
0に比べて、構造が簡単であり、従ってメンテナンスも
容易である。またコスト的にも安くできる。下流側磁石
80、81を設ける場合や、各磁石を永久磁石にしてそ
れらを強制冷却する構造にする場合でも、多数の永久磁
石を組み合わせ、かつそれらを強制冷却する従来の質量
分離部30に比べれば、やはり構造が簡単であり、メン
テナンスも容易であり、コスト的にも安くできる。
【0047】しかも、上記質量分離部70は、質量分離
用に電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィ
ルタ部32のような電極板表面の絶縁化による機能低下
の問題は起こらず、従って長寿命である。即ち長期間メ
ンテナンスせずに動作させることができる。
【0048】更に、上記質量分離部70のフィルタ部8
6において開口率を低下させる要因となるのはフィルタ
板88の板厚部分のみであるので、しかも当該板厚は前
述したように非常に薄くしても良いので、従来のE×B
型のフィルタ部32に比べて、開口率を大幅に向上させ
ることができる。例えば、80〜90%程度の開口率を
得ることも容易である。その結果、イオンビーム26の
引き出し効率およびイオンビーム26全体の均一性を向
上させることができる。
【0049】なお、この例では、イオン引出し部20
(より具体的にはその第2引出し電極25)に第2引出
し電源63から印加する第2引出し電圧VE2を可変にし
ている。そのようにすれば、上記数1からも分かるよう
に、必要とするイオン種(より具体的には質量mや電荷
e。以下同じ)を変えてもその偏向角αを一定に(即ち
フィルタ板88の傾き角度θと同じに)することができ
るので、質量分離部70で質量分離する(即ち質量分離
部70を通過させる)イオン種を種々に変える(制御す
る)ことができる。従って、このイオン源から引き出す
イオンビーム26を構成するイオン種を種々に、しかも
簡単に変えることができる。
【0050】上記上流側磁石76、77を(下流側磁石
80、81を設ける場合はそれも)例えば電磁石にする
等して、それがイオンビーム26に与える磁界の磁束密
度Bを可変にしても良く、そのようにすれば、上記数1
からも分かるように、必要とするイオン種を変えてもそ
の偏向角αを一定にすることができるので、質量分離部
70で質量分離するイオン種を種々に変えることができ
る。
【0051】また、例えば図4に示す例のように、上記
フィルタ部86を構成する複数枚のフィルタ板88の傾
き角度θを一括して調節可能(可変)にしても良い。こ
の図4の例では、各フィルタ板88の上流側端を、位置
の固定された軸受94でそれぞれ支持し、各フィルタ板
88の下流側端を、軸96に取り付けられた軸受95で
それぞれ支持し、この軸96を駆動部98で、矢印Dに
示すように前後動させる構成をしており、これによって
複数枚のフィルタ板88の傾き角度θを一括して変える
ことができる。上記数1からも分かるように、上流側磁
石76、77で曲げられるイオンの偏向角αは、イオン
種によって変わる。従って上記のようにフィルタ板88
の傾き角度θを調節可能にしておくことにより、上流側
磁石76、77で曲げられる所望イオンの偏向角αにフ
ィルタ板88の傾き角度θを合わせて当該イオンを通過
させることができるので、質量分離部70で質量分離す
るイオン種を種々に変えることができる。
【0052】上記第2引出し電圧VE2を可変にするこ
と、上記磁束密度Bを可変にすること、および上記傾き
角度θを調節可能にすることは、互いに任意に組み合わ
せて採用しても良い。
【0053】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0054】請求項1記載の発明によれば、質量分離部
は、一組の上流側磁石と、ルーバー状のフィルタ板を有
するフィルタ部とを組み合わせたものであるので、多数
の電極板および多数の磁石を組み合わせた従来のE×B
型のフィルタ部を有する質量分離部に比べて、構造が簡
単であり、従ってメンテナンスも容易である。またコス
ト的にも安くできる。
【0055】しかも、上記質量分離部は、質量分離用に
電極板を用いていないので、従来のE×B型のフィルタ
部のような電極板表面の絶縁化による機能低下の問題は
起こらず、従って長寿命である。即ち、長期間メンテナ
ンスせずに動作させることができる。
【0056】更に、上記質量分離部のフィルタ部におい
て開口率を低下させる要因となるのはフィルタ板の板厚
部分のみであるので、従来のE×B型のフィルタ部に比
べて、開口率を大幅に向上させることができる。その結
果、イオンビームの引き出し効率およびイオンビーム全
体の均一性を向上させることができる。
【0057】請求項2記載の発明によれば、下流側磁石
によって、フィルタ部において上流側磁石からの漏れ磁
界を打ち消すことができるので、所望イオンが、フィル
タ部のフィルタ板間を漏れ磁界の影響を受けずに直進し
て通り抜けることができ、フィルタ部から所望イオンを
取り出す効率が向上する。また、下流側磁石によってイ
オンビームを上流側と同じ偏向角だけ曲げ戻して、質量
分離部に入射する時のイオンビームと平行にイオンビー
ムを質量分離部から射出することも可能になる。
【0058】請求項3、4または5記載の発明によれ
ば、質量分離部で質量分離するイオン種を種々に変える
ことができるので、この発明のイオン源から引き出すイ
オンビームを構成するイオン種を種々に変えることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る質量分離型イオン源の一例を示
す断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】図1のC−C方向に見た平面図である。
【図4】フィルタ部の他の例を示す概略図である。
【図5】従来の質量分離型イオン源の一例を示す概略図
である。
【図6】図5中のフィルタ部の詳細を部分的に示す図で
あり、図5の線F−Fに沿う断面図に相当する。
【符号の説明】
10 プラズマ生成部 16 プラズマ 20 イオン引出し部 26 イオンビーム 50 イオン加速部 70 質量分離部 76、77 上流側磁石 80、81 下流側磁石 86 フィルタ部 88 フィルタ板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマを生成するプラズマ生成部と、
    このプラズマ生成部で生成されたプラズマからイオンビ
    ームを引き出すイオン引出し部と、このイオン引出し部
    から引き出されたイオンビームを質量分離する質量分離
    部と、この質量分離部を通過したイオンビームを加速す
    るイオン加速部とを備える質量分離型イオン源におい
    て、 前記質量分離部が、 入射イオンビームに対して直角に磁界を与えて当該イオ
    ンビームを曲げる一組の上流側磁石と、 この上流側磁石の下流側に設けられていて、当該上流側
    磁石でイオンビームを曲げる方向に傾けて複数枚のフィ
    ルタ板をルーバー状に配置して成るフィルタ部とを備え
    ることを特徴とする質量分離型イオン源。
  2. 【請求項2】 前記質量分離部が、前記フィルタ部の下
    流側に配置されていて前記フィルタ部において前記上流
    側磁石からの漏れ磁界を打ち消す磁界を発生させる一組
    の下流側磁石を更に備えている請求項1記載の質量分離
    型イオン源。
  3. 【請求項3】 前記イオン引出し部に印加する引出し電
    圧を可変にしている請求項1または2記載の質量分離型
    イオン源。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ部を構成する複数枚のフィ
    ルタ板の傾き角度を一括して調節可能にしている請求項
    1、2または3記載の質量分離型イオン源。
  5. 【請求項5】 前記上流側磁石が前記イオンビームに与
    える磁界の磁束密度を可変にしている請求項1、2、3
    または4記載の質量分離型イオン源。
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