JP2001055407A - リビング重合体の連続製造方法 - Google Patents

リビング重合体の連続製造方法

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JP2001055407A JP2000148725A JP2000148725A JP2001055407A JP 2001055407 A JP2001055407 A JP 2001055407A JP 2000148725 A JP2000148725 A JP 2000148725A JP 2000148725 A JP2000148725 A JP 2000148725A JP 2001055407 A JP2001055407 A JP 2001055407A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性の高い連続式重合法においては、分子
量分布の広がりの問題や副反応が原因となる問題があっ
た。 【解決手段】 重合開始剤、モノマー成分および触媒を
連続的に流通式攪拌槽型反応器に供給してリビング重合
を開始させるとともに、前記モノマー成分の反応率が1
重量%以上90重量%未満である反応液を、上記流通式
攪拌槽型反応器から流通管型反応器に連続的に供給し、
該流通管型反応器中でリビング重合を進行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続式リビング重
合反応による重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リビング重合とは、開始反応と生長反応
からなり、停止反応や連鎖移動反応など副反応を伴わな
い連鎖重合のことをいい、狭義においては、重合生長末
端が常に活性を保ち続けて分子鎖が生長していく重合の
ことをいうが、一般には、重合生長末端が不活性化され
たものと活性化されたものが平衡状態にありながら分子
鎖が成長していく擬リビング重合も含まれる。このよう
なリビング重合では、重合反応が同時に開始すれば分散
度の小さい重合体が得られ、また、特定の官能基を重合
体の活性末端に導入することや、2種以上のモノマーを
用いることにより共重合体を合成することができる。
【0003】工業的に実施されるリビング重合として
は、例えば、特開平7−292038号公報〔分散度
(すなわちMw/Mn値)が1.09〜1.38〕や特
開平8−53514号公報(分散度が1.07〜1.3
3)等に記載のイソブチレンのリビングカチオン重合;
特開平5−247199号公報(分散度が1.03〜
1.26)等に記載のポリエーテルの重合;特開平10
−306106号公報の重合などが挙げられる。これら
のように、リビング重合反応の操作形式は、攪拌槽型反
応器を用い、反応原料を重合槽に仕込んで回分式で行わ
れる報告例が多い。
【0004】回分式の重合では、いずれの方式において
も、生産性を高めるためには反応装置が大型化し、内部
蛇管冷却方式、リフラックスコンデンサー方式などによ
り除熱面積を増大させる工夫や、モノマーの逐次追加な
どセミバッチ方式による重合方法が用いられてきた。し
かしこの場合、除熱設備の大規模化、複雑化により設備
コストが高騰してしまう。設備コストを抑えようとする
と内温制御が困難になり、副反応が増加し、(リビング
重合の特徴である)分散度の小さい重合体が得られにく
くなるといった問題が生じる。
【0005】一方、生産性向上を目指し、原料を連続的
に反応器に供給する連続重合方式についても試みられて
いる。例えば、米国特許第4568732号や、Nagyら
(Polymer Bulletin 13, p.97-102, 1985 、Polymer Bu
lletin 14, p.251-257, 1985)は、重合開始剤およびル
イス酸触媒およびイソブチレンを1基の攪拌槽型反応器
に連続的に供給することによりリビングカチオン重合を
行う方法を試みている。Majoros ら(Polymer Bulletin
31, p.255-261, 1993)は攪拌槽型反応器3個を直列に
連結してイソブチレンを連続供給して重合させている。
【0006】また、Nagyら(Polymer Bulletin 15, p.4
11-416, 1986)は、管型反応器でイソブチレンの連続リ
ビングカチオン重合を行っている。特開平6−2988
43号公報では、シェルアンドチューブ型熱交換器を用
いてイソブチレンの連続リビングカチオン重合を行った
後に、引き続き、管型反応器内で重合体末端にビニル基
を導入する方法を提案している。
【0007】特開平11−286520号公報において
は、管型反応器で連続式のリビングアニオン重合を行う
ことを試みている。特開平5−339326号公報にお
いては、攪拌槽型反応器でスチレンのリビングアニオン
重合を行い、さらに攪拌槽型反応器あるいは管型反応器
でブタジエンを共重合することを試みている。特開平9
−3102号公報においては、(メタ)アクリル酸と開
始剤をマイクロミキサーで混合し、管型反応器でリビン
グアニオン重合を行ることを試みている。特開平11−
315104号公報では、リビングラジカル重合を押出
機で行うことができるとしている。
【0008】しかしながら、連続重合を行なう際にも、
いくつかの問題点が残されている。すなわち、1基の攪
拌槽型反応器で連続重合を行った結果、米国特許第45
68732号では、得られた重合体の分散度(重量平均
分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.4〜1.8、Na
gyら(Polymer Bulletin 13, p.97-102, 1985 )では分
散度が1.6〜2.7、Nagyら(Polymer Bulletin 14,
p.251-257, 1985)では分散度が1.4〜1.8のイソ
ブチレン重合体が得られ、特開平5−339326号公
報においては、重合体の分散度は2.1〜2.6、共重
合体の分散度は1.8〜1.9となり、回分式重合にお
けるよりも分散度が大きくなっている。このような傾向
は、1基の攪拌槽で連続式の反応を行なうと、反応液の
滞留時間が広く分布をもつ(すなわち槽内での滞留時間
が重合体分子ごとに異なる)ので、その間にリビング重
合によって生長する分子鎖の長さも揃いにくくなること
が影響しているものと考えられる。
【0009】Majoros らの方法では攪拌槽を3基にして
滞留時間分布を狭く改善した結果、重合体の分散度が
1.35〜1.37と、攪拌槽1槽に比べれば少し小さ
くなっている。
【0010】しかし、連続式の重合においては副反応が
問題になる場合もあり、滞留時間分布を狭くするのみで
は分散度が充分に小さくならない。特開平6−2988
43号公報では、管型反応器を用いているので反応液の
滞留時間が均一であると考えられるにも関わらず、得ら
れた重合体の分散度が3.1と大きい。また、Nagyら
(Polymer Bulletin 15, p.411-416, 1986)の管型反応
器での重合でも分散度が1.5〜2.8と大きい重合体
が得られている。
【0011】特開平11−286520号公報において
は、得られたアクリル系重合体の分散度は1.3〜1.
8、特開平9−3102号公報においては、重合体の分
散度は1.45〜2.44となり、比較的分散度が大き
い。これら管型反応器を用いた場合には、反応器への原
料の供給直後の混合が不充分である、あるいは重合反応
熱の除熱が不充分であるなどが原因で、リビング重合の
開始反応が適切に起こらずに、副反応が併発したものと
推察される。
【0012】また、特開平6−298843の方法では
3官能開始剤を用いて重合体を合成し、さらに重合体の
末端にビニル基を導入している。この場合には開始剤を
基準とした末端ビニル基数は量論的には3になるべきで
あるが、報告されている末端ビニル基数は6.14であ
る。その理由としては副反応が起こったため開始剤の3
つの末端以外にも活性末端が発生し、その末端にもビニ
ル基が導入されたためと推察される。
【0013】様々な重合反応のなかでもリビングカチオ
ン重合は触媒や添加剤についても特有の工夫を施して開
始反応を制御していたり、比較的低温でなければ重合活
性が低下したり副反応を併発するので重合反応熱の除熱
が重要となるなど、連続式を適用するのが比較的困難で
あったと思われる。
【0014】以上のように、リビング重合を連続的に行
なう場合、滞留時間分布の広がりや副反応により、得ら
れる重合体の分散度が大きくなるという問題がある。分
散度が大きくなると重合体の粘度が増大することから、
重合体の用途によっては大きな問題となり、その用途開
発に支障が生じることになる。なかでも副反応の問題は
重合体の分散度が大きくなるだけではなく、重合体の成
長末端が制御されないことから、重合体末端への官能基
の導入や、ブロック体の合成が本来の設計通りにならな
いという問題がある。これらは連続式の操作に特有な重
要な問題である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、分散度が小さい重合体を連続的に得ることができ
る製造方法を提供することを目的とするものである。ま
た、本発明の目的は、反応器の内温を効果的に制御でき
るコンパクトな設備により実施可能な、リビング重合体
の製造方法を提供することでもある。更に本発明の目的
は、末端への官能基の導入や、ブロック体の合成が本来
の設計通りにリビング重合体を得ることができる製造方
法を提供することでもある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、重合
開始剤、モノマー成分および触媒を連続的に流通式攪拌
槽型反応器に供給してリビング重合を開始させるととも
に、前記モノマー成分の反応率が1重量%以上から90
重量%未満である反応液を、前記流通式攪拌槽型反応器
から流通管型反応器に連続的に供給し、該流通管型反応
器中で更にリビング重合を進行させることを特徴とする
重合体の製造方法である。以下、本発明を詳述する。
【0017】
【発明の実施の形態】(反応装置形式)本発明において
は、流通式攪拌槽型反応器及び流通管型反応器を用い
る。流通式攪拌槽型反応器としては液体の供給及び排出
が同時に可能な攪拌槽であれば特に制限を受けるもので
はないが、たとえば、ジャケット部での冷却が可能な構
造を有し、重合開始剤、触媒及びモノマーなどを均一に
混合・反応させることのできる構造を有するものが好ま
しい。内部蛇管冷却やリフラックスコンデンサー等の付
帯設備を設けて冷却能力を向上させたり、邪魔板を設け
て混合状態を良好にできる構造であっても良い。複数の
攪拌槽型反応器を使用する場合、それらは同一種類のも
のであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0018】攪拌槽型反応器に用いられる攪拌翼として
は特に制限を受けるものではないが、反応液の上下方向
の循環、混合性能が高いものが好ましく、反応液の粘度
が数センチポイズ程度の比較的低粘度領域においては
(多段)傾斜パドル翼、タービン翼などの攪拌翼;数1
0センチポイズから数100ポイズの中粘性領域ではマ
ックスブレンド翼、フルゾーン翼、サンメラー翼、Hi
−Fiミキサー翼、特開平10−24230号公報に記
載されているものなど大型のボトムパドルを有する大型
翼;数100ポイズ以上の高粘性領域では、アンカー
翼、(ダブル)ヘリカルリボン翼、ログボーン翼などが
好適に使用される。
【0019】流通管型反応器としては液体の供給及び排
出が同時に可能な管型反応器であれば特に制限を受ける
ものではないが、除熱能力を有するものが好ましく、例
えば2重管型やシェルアンドチューブ型が好適に用いら
れ得る。また、混合・除熱性能を向上させるために、多
数のミキシングエレメントからなる静的混合用構造部を
1個以上組み込んだ管型反応器なども使用され得る。静
的混合用構造部としては、例えば、公知のスタティック
ミキサー、例えばスルザー式、ケニックス式、東レ式、
ノリタケカンパニー式などのものを挙げることができる
が、この限りではない。ミキシングエレメントの数は少
なくとも3個以上有することが好ましい。
【0020】本発明の製造方法においては、重合開始
剤、モノマー成分および触媒を連続的に流通式攪拌槽型
反応器に供給してリビング重合を開始させるとともに、
上記モノマー成分の反応率が1重量%以上から90重量
%未満である反応液を、上記流通式攪拌槽型反応器から
流通管型反応器に連続的に供給し、該流通管型反応器中
で更にリビング重合を進行させる。
【0021】より小さい分散度を持つ重合体を得るに
は、反応率が5〜50重量%の範囲にある反応液を、上
記流通管型反応器に供給するのが好ましい。なお、本発
明において上記モノマー成分の反応率とは、重量法によ
り求めたもののことをいう。すなわち、測定対象となる
反応液から、蒸発や洗浄の操作により、溶媒、残存モノ
マー及び触媒などを除去して得られた重合体の重量を測
定する。(重合体の測定重量)/(重合体の理論重量)
x100の式により、収率[%]を算出する。本発明に
おける反応率[%]は、100−収率[%]に相当す
る。
【0022】本発明の製造方法では、第二の反応器であ
る流通管型反応器から、重合反応が充分に進行した反応
液を連続的に取り出すことができる。あるいは、第二の
反応器である流通管型反応器から、重合反応が不十分な
反応液を更に第三の反応器に連続的に供給し、そこで更
にリビング重合を連続式又はバッチ式にて進行させても
よい。
【0023】取り出された反応液は水やアルコール類な
どで失活させた後、例えば、二相を分離し、必要により
有機相を水で洗浄し、有機溶媒を留去することで重合体
を得ることができる。
【0024】ブロック共重合体を得るには、上述のよう
に連続式リビング重合を行い、第二の反応器である流通
管型反応器を経た後、反応液を更に別の反応器に供給す
るとともに、上記第一のモノマー成分とは異なる第二の
モノマー成分を該別の反応器に供給して、二段目のリビ
ング重合を行わせることが好ましい。該別の反応器は、
第二の反応器である流通管型反応器と直接連結されてい
てもよいし、1個以上の反応器を介して間接的に連結さ
れていてもよい。上記別の反応器における二段目のリビ
ング重合は連続式で行ってもよいし、バッチ式で行って
もよい。
【0025】また、末端に官能基を有する重合体を得る
には、上述のように連続式リビング重合を行い、第二の
反応器である流通管型反応器を経た後、反応液を更に別
の反応器に供給するとともに、エンドキャップ剤を該別
の反応器に供給してリビング重合体末端と反応させるこ
とが好ましい。該別の反応器は、第二の反応器である流
通管型反応器と直接連結されていてもよいし、1個以上
の反応器を介して間接的に連結されていてもよい。上記
別の反応器における反応は連続式で行ってもよいし、バ
ッチ式で行ってもよい。
【0026】(熱交換器)本発明のイソブチレン系重合
体の製造においては連続式重合操作がなされるので、反
応器への各種原料液供給および反応溶液の排出は一定流
量で継続的におこなうことができる。従って、本発明の
好適な実施形態の一つは、反応器から排出される溶液を
供給原料液の少なくとも1種類と熱交換させることによ
り反応液の顕熱を回収して、エネルギー負荷を低減する
方法である。特に、リビングカチオン重合は−30℃〜
−100℃の低温で反応が進行することが多く原料液を
冷却する冷凍機負荷は大きいので、反応器から排出され
る低温の反応溶液を熱交換器を介して原料液を冷却する
ことで効率的な生産が可能になる。熱交換器を用いる場
合には特に制限を受けるものではないが、例えば2重管
型やシェルアンドチューブ型、プレート型、スパイラル
型などを用いることができる。低温の反応液が熱交換器
の中を流通して徐々に昇温されて流出する部分に、冷却
前の原料液を熱交換させて次第に低温側に導くいわゆる
向流熱交換方式を適用すれば、原料液を低温の反応液に
近い水準まで冷却することができる。
【0027】(モノマー成分)本発明で用いるモノマー
成分は、重合開始剤と触媒を用いることにより重合体を
得ることのできるものであればよい。ブロック共重合体
を得る場合に用いる第二のモノマー成分は、第一のモノ
マー成分とは異なる化合物及び/又は組成を有するもの
であり、第一のモノマー成分から構成される重合体の活
性末端に、共重合によって結合し得るものであれば良
い。第一のモノマー成分及び第二のモノマー成分として
は、それぞれ、以下に述べる各種重合系で適用しうるモ
ノマーを特に制限無く使用することができ、それら各種
モノマーを単独で用いても良いし、2種以上を併用して
も良い。
【0028】(エンドキャップ剤)本発明で用いるエン
ドキャップ剤は、第一のモノマー成分から構成される重
合体の活性末端と反応し、官能基を重合体末端に導入し
得るものであれば良い。エンドキャップ剤には、以下に
述べる各種重合系で適用しうるエンドキャップ剤を特に
制限無く使用することができ、それら各種エンドキャッ
プ剤を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良
い。
【0029】(重合体の分子量)本発明の方法により製
造される重合体の数平均分子量は特に限定されるもので
はないが、通常500〜300000、より好ましくは
3000〜150000である。
【0030】(適用できる反応系)本発明で適用される
リビング重合反応としては、特に限定はされないが、例
示するならば、リビングアニオン重合、リビングカチオ
ン重合、リビングラジカル重合、リビング配位重合、リ
ビング開環重合などが挙げられる。本発明の製造方法は
特にリビングカチオン重合に有効である。以下、リビン
グカチオン重合についてその詳細を述べる。
【0031】(リビングカチオン重合)リビングカチオ
ン重合としては、例えばJ.P.Kennedy らの著書(Carboc
ationicPolymerization, John Wiley & Sons, 1982 )
やK.Matyjaszewski らの著書(Cationic Polymerizatio
ns, Marcel Dekker, 1996 )に記載されている合成など
が適用され得る。
【0032】(原料供給方式) (1)少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性モ
ノマー成分を含む原料液、及び、(2)ルイス酸触媒を
含む原料液を、それぞれ別々に、流通式攪拌槽型反応器
に連続的に供給して両原料液を混合しリビングカチオン
重合を開始させることが好ましい。(1)の中にあらか
じめ重合開始剤を混合して原料液を供給することもでき
る。
【0033】(使用する重合開始剤)リビングカチオン
重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に
結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香環を有す
る塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイ
ニファー法が開発されており(米国特許4276394
号)、この方法を本発明に適用することができる。イニ
ファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮す
るものであれば良く、代表例としては下記の構造を有す
るものを示すことができる。 (X−CR12n3 (式中、Xはハロゲン原子を表す。R1 及びR2 は、同
一又は異なって、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を
表す。R3 は、炭素数1〜20のn価の炭化水素基を表
す。nは1〜4の整数である。)
【0034】代表的な重合開始剤としては、1,4−ビ
ス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン〔以下、p−D
CC又はジキュミルクロライドともいう〕、1,3,5
−トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(TC
C)とその誘導体がより好ましく、これらを単独あるい
は混合物として使用することができる。このように芳香
環を含んだ開始剤はより好ましい。p−DCCのように
二官能開始剤は二官能重合体を必要とするときに選定す
る事が出来る。その他に一官能、TCCなどの三官能、
多官能の開始剤を必要に応じて用いる事が出来る。重合
開始剤とモノマーとの仕込み比に応じて、重合体の分子
量を自由に設定することができる
【0035】(使用する触媒)リビングカチオン重合に
用いる触媒はルイス酸触媒であり、その具体例として
は、TiCl4 、AlCl4 、BCl3 、ZnCl2
SnCl4 、エチルアルミニウムクロライド、SnBr
4 などが挙げられる。ルイス酸触媒の使用量はモノマー
量を基準として0.0001〜10倍モル数とすること
が好ましい。
【0036】(電子供与剤)前述したイニファー法を用
いる際、連鎖移動反応やプロトン開始反応などの副反応
を抑制して良好な重合体を得るためには、電子供与剤を
用いることが効果的である(特開平2−245004号
公報、特開平1−318014号公報、特開平3−17
4403号公報)。
【0037】電子供与剤としては特に限定されないが、
例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシ
ド類、エステル類、または、金属原子に結合した酸素原
子を有する金属化合物等を挙げることができる。具体的
には、ピリジン、2−メチルピリジン(ピコリンまたは
α−ピコリンと略記)、トリメチルアミン、ジメチルア
セトアミド(DMAcと略記)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、酢酸エチル(EtOAc)、Ti(O−
iPr)4 などが好適に使用される。
【0038】電子供与剤は、反応系中に、ルイス酸触媒
に対しモル比で0.10〜5倍量、あるいは、6〜50
0mol/m3 の濃度で存在させるのが好ましい。電子
供与剤の量が少なすぎると副反応が多くなる傾向があ
り、プロトン開始反応や連鎖移動反応が起こることによ
って分散度が大きくなったり、エンドキャップ剤との反
応による重合体末端への官能基の導入が困難となる。逆
に電子供与剤が多すぎると重合反応速度が著しく抑制さ
れ、カチオン重合反応に長時間を要することとなり、生
産性が低下する。したがって、更に好ましい電子供与剤
の量は、ルイス酸触媒に対しモル比で0.15〜1倍
量、あるいは、濃度が10〜50mol/m3の範囲で
ある。
【0039】(モノマー)カチオン重合に用いられるモ
ノマーとしては、炭素数3〜12のオレフィン類、共役
ジエン類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物類な
どが挙げられる。これらの中で、炭素数3〜12のオレ
フィン類および共役ジエン類が好ましい。具体例として
は、例えば、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、
2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−2
−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキ
セン、5−エチリデンノルボルネン、ビニルシクロヘキ
サン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロス
チレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等が
挙げられる。これらの中で、イソブチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、2−ブテン、スチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、インデン、イソプレン、
シクロペンタジエンなどが好適である。本発明の方法で
は、これらのモノマーを1種単独で用いても良いし、2
種以上併用しても良い。特に、イソブチレンが好ましい
が、この場合、イソブチレン以外の他のカチオン重合性
モノマーと組み合わせてなるカチオン重合性モノマー成
分であってもよい。
【0040】(エンドキャップ剤)本発明の実施形態の
1つとして、末端活性な重合体を得た後に、エンドキャ
ップ剤を用いて、末端に、アリル基、水酸基、アリルフ
ェニルエーテル基、フェノール基などを導入することが
可能である。例えば、特開平4−20501号公報では
フリーデルクラフツ反応でフェノール基を導入し、特開
平2−248406号公報ではアリルトリメチルシラン
との置換反応によりアリル基を導入し、特開平4−28
8308号公報、特開平4−288309号公報では非
共役ジエン類の付加反応によりアルケニル基を導入して
いる。特開平2−248406号公報に記載された末端
にアリル基を有するイソブチレン系重合体は、SiH基
を有する硬化剤を用いたいわゆる付加型硬化によりゴム
状の硬化物とすることができる。また、特開平9−20
8624号公報に記載されているように、重合体末端の
アリル基をヒドロシリル化して得られる、末端にシリル
基を有するイソブチレン系重合体は、水分存在下でのシ
ラノール縮合によりゴム状硬化物を与える。
【0041】本発明のエンドキャップ剤としては、非共
役ジエン類、ビニルシラン類、アリルシラン類などが好
ましい。本発明で用いる非共役ジエンとしては従来公知
のものを広く使用できる。例えば、1,4−ペンタジエ
ン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、
1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−
デカジエン、1,19−ドデカジエン、2−メチル−
2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−1,5−ヘ
プタジエン、1,5,9−デカトリエン等が挙げられ
る。これらの中でも、得られる重合体の活性の点から
α,ω−ジエンである1,4−ペンタジエン、1,5−
ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタ
ジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、
1,19−ドデカジエン等が好ましい。
【0042】本発明で用いるビニルシラン類、アリルシ
ラン類としては従来公知のものを広く使用できる。具体
例としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニル
メチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラ
ン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラ
ン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメ
チルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシ
ラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルク
ロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルト
リメチルシラン、アリルジクロロシラン、ジアリルジメ
トキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙
げられる。
【0043】エンドキャップ剤として、保護された水酸
基および炭素−炭素2重結合を有する下記化合物 CH2 =C(R4 )−B−OG (式中、R4 は水素または炭素数1から18の飽和炭化
水素基を、Bは炭素数1から30の2価の炭化水素基
を、Gは1価の置換基を表す。)も好ましい。この方法
によって得られる、保護された水酸基を末端に有するイ
ソブチレン系重合体は、脱保護によって容易に、水酸基
を末端に有するイソブチレン系重合体に変換できる。
【0044】エンドキャップ剤としては、2位又は6位
に1価のアルキル基を有する置換フェノール類も好まし
い。エンドキャップ剤は1種単独で用いても良いし、2
種以上を併用しても良い。
【0045】本発明において、エンドキャップ剤(特に
非共役ジエンやアリルトリメチルシラン)の使用量は、
通常、リビング重合体あるいは重合開始剤1モルに対し
て0.01〜200倍モルであり、好ましくは0.1〜
100倍モルであり、より好ましくは0.5〜10倍モ
ルである。また、アリルトリメチルシランは、重合体の
末端との反応性が高いので好ましい。
【0046】(反応温度)反応温度は−100〜0℃の
範囲とすることができる。比較的高い温度条件では反応
速度が遅く、連鎖移動反応などの副反応が起こるので、
−30℃よりも低い温度を選定することが好ましい。し
かし反応温度が−100℃より低いと反応に関与する物
質(原料又は重合体)が析出する場合がある。したがっ
て、より好ましい反応温度は−80〜−30℃である。
【0047】(反応溶媒)本発明の方法では、反応溶媒
を用いてもよく、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水
素、および芳香族炭化水素からなる群から選ばれる単独
溶媒またはそれらの混合溶媒を用いることができる(特
開平8−53514)。ハロゲン化炭化水素としては、
クロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタ
ン、1,2−ジクロロエタン、n−プロピルクロライ
ド、n−ブチルクロライド、1−クロロプロパン、1−
クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−
クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブ
タン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロ
ロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジ
メチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−
メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1
−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、
1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メ
チルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−
クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1
−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブ
タン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−
クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン
等が使用でき、これらの中から選ばれる溶剤は単独であ
っても、2種以上の成分からなるものであってもよい。
【0048】脂肪族炭化水素としては、ブタン、ペンタ
ン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘ
キサンが好ましく、これらの中から選ばれる溶剤は単独
であっても、2種以上の成分からなるものであってもよ
い。また、芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく、これらの中
から選ばれる溶剤は単独であっても、2種以上の成分か
らなるものであってもよい。
【0049】とりわけハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化
水素の混合溶媒、芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混
合溶媒は、反応制御および溶解度の観点からより好適に
使用される。例えば、トルエンと脂肪族炭化水素を混合
して溶媒とする場合は、混合溶剤中のトルエンの含有量
は特に限定されるものではないが、一般的には10〜1
00重量%の範囲、より好ましくは50〜100重量%
の範囲とすることができる。本発明の実施形態として反
応溶媒を使用する場合には、得られる重合体の溶解度、
溶液の粘度や除熱の容易さを考慮し、重合体の濃度が5
〜80重量%となるよう溶媒を使用するのが好適であ
り、生産効率および操作性の観点からは10〜60重量
%となるよう使用するのが有利である。
【0050】以下に本発明の実施形態の図例を挙げて説
明するが、本発明はそれらの図の例に限定されるもので
はない。図1は、攪拌槽型反応器3でモノマーを連続的
にリビング重合した後に、管型反応器4で引き続き連続
重合を実施し、一度クッション槽5で滞留させ、引き続
き攪拌槽型反応器3にてエンドキャップ剤をバッチ反応
させ、受槽9に移液する場合の反応装置概略図を示して
いる。この方法では、モノマーを連続的に重合し、エン
ドキャップ剤を用いた官能基変性はバッチ反応にて行わ
せる。
【0051】図2は、攪拌槽型反応器3でモノマーを連
続的にリビング重合した後に、管型反応器4で引き続き
連続重合を実施し、引き続き攪拌槽反応器または管型反
応器8に第2のモノマーを添加し連続反応させ、攪拌槽
型反応器または管型反応器8で引き続き連続反応させ、
受槽9に移液する前に、原料1と熱交換器11で熱交換
して顕熱回収する場合の反応装置概略図を示している。
この方法では、第1のモノマーを連続的に重合し、第2
のモノマーの共重合も、連続反応にて行わせる。
【0052】
【実施例】(分析方法)本発明では、イソブチレン系重
合体の数平均分子量(Mn)および分散度(Mw/M
n)はクロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカ
ラムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)により求めている。また、Fn(ビニル)
〔イソブチレン系重合体1分子中に存在するビニル基の
数の平均値〕は、1 H−NMR(300MHz)により
各構造に帰属するプロトンの共鳴信号を測定比較するこ
とにより求めている。
【0053】(実施例1)実施例1、3、5および比較
例1、2、3、4に用いた実験装置を図3に示す。貯槽
21(内容積2500ml)、貯槽22(内容積250
0ml)および攪拌槽型反応器25(内容積1200m
l、大型パドル翼、d/D=0.5、邪魔板3枚)、管
型反応器26(内容積2000ml、内径10mm)を
窒素置換した後に、貯槽21、22および反応器25、
26にトルエン、エチルシクロヘキサンを体積比でおよ
そ3:1となるように仕込む。貯槽21、22および反
応器25、26のジャケット部に冷凍機ライン29から
ブラインを供給し、各貯槽および反応器内温が−65℃
となるよう調整し、重合性モノマーと重合開始剤を貯槽
21に、触媒と電子供与剤を貯槽22に、重合性モノマ
ーとしてイソブチレンを、重合開始剤として1,4−ビ
ス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン(p−DCC)
を、触媒としてTiCl4、電子供与剤としてα−ピコ
リンを、それぞれ用いて表1に示す比率で仕込んだ。な
お、この比率においてα−ピコリンはルイス酸触媒のモ
ル数に対し0.16倍量、反応液中濃度が10mol/
3である。
【0054】各貯槽21、22および反応器25、26
の内温が−65℃になった後に、ポンプ23、24を用
いて各原料を反応器25に、表1に示す供給量で供給を
開始した。反応器26出口のサンプルは、水との混合に
よる触媒失活・水洗操作後、溶媒を除去して重合体を得
た。
【0055】得られた重合体の収量より収率を算出する
とともに、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/
Mn)はGPC法より求めた。反応器26出口での(供
給開始後150分)重合体の分析値および反応器25の
反応液温度とジャケットとの温度差は表2の通りであ
る。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供給す
る際の、モノマー成分の反応率は70重量%であった。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】(比較例1)図3の反応器26を取り除い
た以外は、実施例1と同様の操作で実験を行った。反応
器25出口での(供給開始後150分)重合体の分析値
および反応器内部の反応液温度とジャケットとの温度差
は表3の通りである。
【0059】
【表3】
【0060】実施例1と比較例1の結果から明らかなよ
うに、比較例1では分散度が1.50であるのに対し、
実施例1では、分散度は1.34と小さくなった。 (実施例2)実施例2、4で用いた実験装置を図4に示
す。実施例1と同一の方法で得られた管型反応器26出
口の反応液を、一度クッション槽30で滞留させ、引き
続き−65℃の温度にて、攪拌槽型反応器35でエンド
キャップ剤であるアリルトリメチルシランをp−DCC
1モルに対して3モル添加して2時間バッチ反応させ
た。反応液を水との混合により触媒失活・水洗を実施し
た後、溶媒を除去し、アリル末端イソブチレン重合体を
得た。末端構造は 1H−NMR(300MHz)により
各構造に帰属するプロトンの共鳴信号を測定比較するこ
とにより求めた。得られた重合体の分析値は表4の通り
であった。なお、反応器25から反応器26へ反応液を
供給する際の、モノマー成分の反応率は70重量%であ
った。
【0061】
【表4】
【0062】実施例2の結果より明らかなように、連続
式反応器から排出された反応液とエンドキャップ剤であ
るアリルトリメチルシランの反応によって、Fn*(ビ
ニル)は1.94となり、リビング重合後の重合体の活
性末端へアリル基の導入が設計どおりにできた。 (実施例3)α−ピコリンの量を6.3mlとする以外
は、実施例1と同様の操作で実験を行った。反応器25
の反応液温度とジャケットとの温度差および反応器出口
での重合体の分析値は表5の通りであった。なお、反応
器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノマ
ー成分の反応率は50重量%であった。
【0063】
【表5】
【0064】(比較例2)α−ピコリンの量を5.63
mlとする以外は、比較例1と同様の操作で実験を行っ
た。なお、この比率においてα−ピコリンはルイス酸触
媒のモル数に対し0.2倍量、反応液中濃度が13mo
l/m3である。定常状態到達後(供給開始後150
分)の反応器内温、ジャケットとの温度差および反応器
出口での重合体の分析値は表6の通りであった。
【0065】
【表6】
【0066】実施例3と比較例2の結果から明らかなよ
うに、比較例2では分散度が1.46であるのに対し、
実施例3では、分散度は1.19と小さくなった。 (実施例4)実施例3で得られた管型反応器26出口の
反応液を500mlの攪拌槽反応器に移送し、引き続き
−65℃の温度にて、アリルトリメチルシランをp−D
CC1モルに対して3.0当量添加してバッチ反応を2
時間継続した。アリルトリメチルシラン導入後の反応液
を水との混合により失活・水洗を実施した後、溶媒を除
去し、アリル末端ポリイソブチレン重合体を得た。得ら
れた重合体の分析値は表7の通りであった。
【0067】
【表7】
【0068】実施例4より明らかなように、連続式反応
器から排出された反応液とエンドキャップ剤であるアリ
ルトリメチルシランの反応によって、Fn*(ビニル)
は1.88となり、リビング重合後の重合体の活性末端
へアリル基の導入が設計どおりにできた。 (比較例3)本発明に使用した重合器25を用いて、表
8に示す処方にてバッチ重合を実施した。触媒投入時の
内温は−65℃であった。
【0069】
【表8】
【0070】重合反応を2時間実施した後に、引き続き
アリルトリメチルシランをp−DCC1モルに対して3
モル添加し2時間反応した。反応液を水との混合により
触媒失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、アリル末
端ポリイソブチレンを得た。得られた重合体の分析値を
表9に示す。
【0071】
【表9】
【0072】このように、実施例3、4と比較例3よ
り、本発明方法では分散度、Fn*(ビニル)値、収率
ともにバッチ重合で得られる結果と大差なく、反応液と
ジャケットとの温度差のピークは、比較例3のバッチ式
の重合では10℃となるのに対して、実施例3の連続式
の重合では3℃でほぼ一定に制御された。 (実施例5)攪拌槽型反応器25(内容積300ml、
大型パドル翼、d/D=0.5、邪魔板3枚)、管型反
応器26(内容積1000ml、内径10mm)、貯槽
1、貯槽2からの供給量をそれぞれ5ml/min、と
した以外は実施例3と同じである。反応器26出口での
(供給開始後150分)重合体の分析値および反応器2
5の反応液温度とジャケットとの温度差は表10の通り
である。なお、反応器25から反応器26へ反応液を供
給する際の、モノマー成分の反応率は40重量%であっ
た。
【0073】
【表10】
【0074】(比較例4)図1の反応器26を取り除い
た以外は、実施例5と同様の操作で実験を行った。反応
器25出口での(供給開始後150分)重合体の分析値
は表11の通りである。
【0075】
【表11】
【0076】実施例5と比較例4の結果から明らかなよ
うに、比較例4では分散度が1.74であるのに対し、
実施例5では、分散度は1.24と小さくなった。 (実施例6)実施例6、7で用いた実験装置を図5に示
す。重合性モノマー成分と重合開始剤を貯槽21に、触
媒を貯槽22に、電子供与剤を貯槽32に、それぞれ表
12に示す比率で仕込んだ。実施例1と同一の方法で得
られた管型反応器26出口の反応液を、一度クッション
槽30で滞留させ、引き続き−65℃の温度にて、攪拌
槽型反応器35で第2の重合性モノマー成分であるスチ
レンをp−DCC1モルに対して290モル添加して3
時間バッチ反応させた。反応液を水との混合により触媒
失活・水洗を実施した後、溶媒を除去し、イソブチレン
−スチレンのブロック共重合体を得た。重合体の分子量
分布のピーク(Mp)、分散度(Mw/Mn)はGPC
法より求めた。反応器26出口での(供給開始後150
分)重合体の分析値および反応器35出口での重合体の
分析値は表13の通りである。なお、反応器25から反
応器26へ反応液を供給する際の、モノマー成分の反応
率は65重量%であった。
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】(実施例7)実施例6と同様の操作で実験
を行った。ただし触媒の仕込量を37.2ml、電子供
与剤の仕込量を1.94gとした。攪拌槽型反応器25
でスチレンをp−DCC1モルに対して290モル添加
して3時間バッチ反応させた。反応器25出口での(供
給開始後150分)重合体の分析値および反応器35出
口での重合体の分析値は表14の通りである。なお、反
応器25から反応器26へ反応液を供給する際の、モノ
マー成分の反応率は60重量%であった。
【0080】
【表14】
【0081】実施例7、8の結果から明らかなように、
スチレン添加前と添加後では分子量分布のピークの値が
増大している。ホモ重合体の活性末端にスチレンが重合
して分子鎖がさらに生長し、ブロック共重合体が得られ
たことがわかる。
【0082】
【発明の効果】上の実施例と比較例の結果でも示したよ
うに、本発明で提案したリビング重合体の連続製造方法
を用いれば、反応液とジャケットとの温度差が小さいこ
とから、反応器の除熱のための冷凍機能力が小さくて済
み、従来の方法と比べて反応器の内温制御が容易でコン
パクトな設備とすることが出来る。そして、分散度の小
さい重合体を得ることが出来る。このことは、得られる
液状の重合体の粘度を低下させる効果があり、製品の取
り扱い作業性に優れた特性を発現することができる。ま
た、本発明による連続式の重合方法を用いれば、重合体
の活性末端にエンドキャップ剤を反応させ、末端を設計
通りに官能化することができる。官能化した重合体末端
を架橋反応させれば、強度の高いゴム状の製品を作るこ
とができる。さらに、本発明による連続式の重合方法を
用いれば、ブロック共重合を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続式重合装置の概念1
【図2】 連続式重合装置の概念2
【図3】 実施例1、3、5および比較例1、2、3、
4に使用した実験装置
【図4】 実施例2、4に使用した実験装置
【図5】 実施例6、7に使用した実験装置
【符合の説明】
1 重合性モノマーおよび重合開始剤を含む原料供給ラ
イン 2 触媒を含む副原料供給ライン 3 攪拌槽型反応器 4 管型反応器 5 クッション槽 6 第2の重合性モノマーを含む原料供給ライン 7 エンドキャップ剤を含む原料供給ライン 8 管型反応器又は攪拌槽型反応器 9 受槽 10 ブライン冷凍機ライン 11 熱交換器 21 貯槽1 22 貯槽2 23 供給ポンプ1 24 供給ポンプ2 25 攪拌槽型反応器 26 管型反応器 27 失活タンク 28 クッションタンク 29 冷凍機ブラインライン 30 クッション槽 31 エンドキャップ剤 32 第2の重合性モノマー成分 33 貯槽3 34 供給ポンプ3 35 攪拌槽型反応器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 4/06 C08F 4/06 10/10 10/10 Fターム(参考) 4J011 AA01 AA04 AC03 AC09 DA04 DB12 DB13 DB16 DB17 DB19 HA03 HB12 HB13 HB19 HB22 NA13 NA17 NB02 NB04 NB05 4J015 DA13 DA14 DA16 DA17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合開始剤、モノマー成分および触媒を
    連続的に流通式攪拌槽型反応器に供給してリビング重合
    を開始させるとともに、前記モノマー成分の反応率が1
    重量%以上から90重量%未満である反応液を、前記流
    通式攪拌槽型反応器から流通管型反応器に連続的に供給
    し、該流通管型反応器中で更にリビング重合を進行させ
    ることを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記流通管型反応器を経た後、反応液を
    更に別の反応器に供給するとともに、エンドキャップ剤
    を該別の反応器に供給してリビング重合体末端と反応さ
    せることにより、官能基末端重合体を得る請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記流通管型反応器を経た後、反応液を
    更に別の反応器に供給するとともに、前記モノマー成分
    とは異なる第二のモノマー成分を該別の反応器に供給し
    て、二段目のリビング重合を行わせることにより、ブロ
    ック共重合体を得る請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応溶媒を使用し、かつ、モノマー成分
    は少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性モノマ
    ー成分であり、触媒はルイス酸触媒であり、前記反応溶
    媒は、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素および脂肪
    族炭化水素からなる群より選ばれる1種以上である請求
    項1、2又は3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応系中に、電子供与剤を、ルイス酸触
    媒に対しモル比で0.10〜5倍量存在させる請求項4
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応系中に、電子供与剤を、6〜500
    mol/m3 の濃度で存在させる請求項4記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 (1)少なくともイソブチレンを含むカ
    チオン重合性モノマー成分を含む原料液、及び、(2)
    ルイス酸触媒を含む原料液を、それぞれ、連続的に前記
    流通式攪拌槽型反応器に供給して、該反応器中で両原料
    液を混合しリビング重合を開始させる請求項5又は6記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 反応器出口での反応液と、反応器への供
    給液のうち少なくとも1種類とを熱交換させる請求項1
    記載の製造方法。
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