JP2001055360A - ニトロフェニルフェノール化合物の製造法 - Google Patents

ニトロフェニルフェノール化合物の製造法

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JP2001055360A JP29432599A JP29432599A JP2001055360A JP 2001055360 A JP2001055360 A JP 2001055360A JP 29432599 A JP29432599 A JP 29432599A JP 29432599 A JP29432599 A JP 29432599A JP 2001055360 A JP2001055360 A JP 2001055360A
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C201/00Preparation of esters of nitric or nitrous acid or of compounds containing nitro or nitroso groups bound to a carbon skeleton
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高収率で、高純度なニトロフェニ
ルフェノールの製造方法を提供することを課題とする。 【解決手段】一般式(2) 【化2】 (式中、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物
と、一般式(3) 【化3】 (式中、nは0〜2の整数を示す)で表されるホウ素化
合物、または、一般式(4) 【化4】 で表されるホウ素化合物とを塩基及び触媒存在下で反応
さて、一般式(5) 【化5】 で表される化合物を得て、この化合物(5)を酸性条件
下で脱保護反応させることにより、一般式(1) 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬および
各種の材料となる液晶の中間体等として有用なニトロフ
ェェノール化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ニトロフェニルフェノール化合物
の合成法としては、ジフェニルベンゾエートやジフェニ
ルスルホネートをニトロ化し、エステルを加水分解して
o−ニトロフェニルフェノールとp−ニトロフェニルフ
ェノールの混合物を得た後に、再結晶やシリカゲルカラ
ムで精製して、目的とするo−ニトロフェニルフェノー
ルやp−ニトロフェニルフェノールを得る合成法が報告
されている(J.Chem.Soc.,1952,1829、J.Org.Chem.,24,
348(1959))。
【0003】しかしながら、上記の技術を用いてニトロ
フェニルフェノール化合物を合成すると生成物はo体お
よびp体の混合物として得られる。このために高純度の
標品を得るためには、この混合物を再結晶やシリカゲル
カラムで分離精製を数回行う必要があった。しかし、こ
れらの異性体の分離精製は困難であり、収率も低くいた
め工業的に採用するには難点があった。又、WO97/
20815号公報では、4−メトキシフェニルボロン酸
と3−ブロモニトロベンゼンとをクロスカップリングさ
せ、メトキシ基を酢酸溶媒中で濃臭化水素酸を加え環流
させて脱保護し、4−(m−ニトロフェニル)フェノー
ルを合成している。しかしながら、上記の技術では脱保
護の際に、臭気のきつい酢酸や取扱いの難しい濃臭化水
素酸を使用しなければならず、また反応を環流下で行う
必要があるため、酢酸や臭化水素ガスによる装置の腐食
や廃棄物となる酢酸の処理などの問題があり、工業的に
採用するには問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高収率で、
高純度なニトロフェニルフェノール化合物を製造する方
法、およびニトロフェニルフェノール化合物の製造に有
用な新規中間体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、出発原料として
ハロゲン化ニトロベンゼン(2)に、一般式(3)また
は一般式(4)で示されるホウ素化合物を塩基および遷
移金属触媒存在下で反応させ、得られた化合物に希硫酸
などの酸触媒を室温条件下で加えるだけで脱保護が進行
し、高収率で、高純度なニトロフェニルフェノール化合
物が合成できることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、一般式(1)で示される
ニトロフェニルフェノール化合物を製造する方法であっ
て、
【0007】
【化14】 一般式(2)
【0008】
【化15】 (式中、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物
と、一般式(3)
【0009】
【化16】 (式中、nは0〜2の整数を示す)で表されるホウ素化
合物、または、一般式(4)
【0010】
【化17】 で表されるホウ素化合物とを塩基および触媒存在下で反
応させて、一般式(5)
【0011】
【化18】 で表される化合物を得る工程と、酸性条件下での脱保護
反応により、化合物(5)から化合物(1)を得る工程
とを含むことを特徴とする方法である。
【0012】また、本発明は、前記触媒がテトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)である前
記の方法である。更に、本発明は、前記化合物(5)を
得る反応が溶媒中で行われ、前記溶媒が水、トルエン、
ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメトキシエタン、
メタノール、テトラヒドロフランおよびジオキサンから
成る群から選ばれる1または2種類以上である前記の方
法である。
【0013】また、本発明は、前記塩基が水酸化物、炭
酸塩、リン酸塩およびアミンから成る群から選ばれる1
または2種類以上であることを特徴とする前記の方法で
ある。また、本発明は、一般式(3)で表される化合物
が、n=1のジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン
酸であることを特徴とする前記の方法である。
【0014】また、本発明は使用される一般式(3)
(式中、nは0〜2の整数を示す)で示される化合物
が、トリアルキルホウ酸エステルにtert−ブトキシ
フェニルマグネシウムハライドを反応させ、加水分解後
に得られた反応液である前記の方法である。更に、本発
明は、一般式(4)で表される化合物が、トリス(p−
tert−ブトキシフェニル)ボロキシンであることを
特徴とする前記の方法である。また、本発明は 一般式
(5)で示される化合物に、酸触媒を加えて脱保護反応
を行わせることにより、一般式(1)で示される化合物
を製造する方法である。
【0015】
【化19】
【0016】
【化20】 この製造方法で使用する触媒としては、希硫酸を用いる
のが好ましい。
【0017】また、本発明は、一般式(6)
【0018】
【化21】 で示されるジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン酸
である。
【0019】また、本発明は、一般式(7)
【0020】
【化22】 で示されるジ(p−tert−ブトキシフェニル)ボリ
ン酸である。また、本発明は、一般式(4)
【0021】
【化23】 で示されるトリス(tert−ブトキシフェニル)ボロ
キシンである。また、本発明は、一般式(8)
【0022】
【化24】 で示されるトリス(p−tert−ブトキシフェニル)
ボロキシンである。また、本発明は、一般式(5)
【0023】
【化25】 で示されるtert−ブトキシ−ニトロビフェニルであ
る。
【0024】また、本発明は、一般式(9)
【0025】
【化26】 で示される4−tert−ブトキシ−2’−ニトロビフ
ェニルである。尚、本明細書において、「t−BuO」
は「tert−ブトキシ基(CH33CO−」を意味す
るものとして使用する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のニトロフェニルフ
ェノール化合物の製造法を更に詳しく説明する。本発明
は、一般式(2)で示す化合物(以下「ハロゲン化ニト
ロベンゼン化合物」ということがある)と、一般式
(3)または(4)で示す化合物(以下「ホウ素化合
物」ということがある)とを反応させて一般式(5)で
示す化合物(以下「t−ブトキシニトロビフェニル化合
物」ということがある)を得る工程と、酸性条件下での
脱保護反応により、化合物(5)から化合物(1)を得
る工程とを含むことを特徴とする一般式(1)で示すニ
トロフェニルフェノール化合物の製造方法である。本発
明のニトロフェニルフェノールの製造法の概略を下記に
示す。
【0027】
【化27】 以下各工程を説明する。
【0028】まず、最初に、t−ブトキシニトロビフェ
ニル化合物(5)を得る工程について以下説明する。 <1>t−ブトキシニトロビフェニル化合物(5)を得
る工程 式(5)で示すt−ブトキシニトロビフェニル化合物
は、式(2)で示すハロゲン化ニトロベンゼン化合物と
式(3)または(4)で示すホウ素化合物とを、塩基及
び触媒存在下で反応させることにより製造することがで
きる。
【0029】本発明の一つの原料は、式(2)で示すハ
ロゲン化ニトロベンゼン化合物(NO2−C64−X)
である。式(2)中、Xはハロゲン原子を表し、塩素、
臭素またはヨウ素原子である。ハロゲン化ニトロベンゼ
ン化合物の中では、ハロゲン原子が臭素またはヨウ素原
子であるもの、即ちブロモニトロベンゼンまたはヨード
ニトロベンゼンが好ましい。これらの化合物の置換基の
位置は、o−、p−、m−位の何れでもよいが、o−位
のものが好ましい。
【0030】これらのハロゲン化ニトロベンゼン化合物
は市販されており、一般に購入可能である。また、もう
一つの原料は、式(3)または(4)で表されるホウ素
化合物である。この式(3)中、nは0〜2の何れかの
整数である。
【0031】式(3)で表されるホウ素化合物の中で
は、反応性の点からは、n=1のジ(tert−ブトキ
シフェニル)ボリン酸(6)が好ましく、ハロゲン化ニ
トロベンゼンのXがBrでも速やかに反応は進行する。
後述の実施例2で示すように、この化合物は、例えば、
0〜40℃の温度で反応を行うことで合成することがで
きる。このジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン酸
(6)は新規な化合物であり、合成に特殊な冷却装置等
を必要とせず簡易に合成できるため、本発明のニトロフ
ェニルフェノール化合物の製造において、特に有用な原
料である。この化合物は、Pd(TPP)4 触媒を使用
して、本願発明の反応を行った場合、ハロゲン化ニトロ
ベンゼンとの反応性が高く、収率も良い。
【0032】また、ホウ素化合物(3)の中で、n=2
で示されるモノ−tert−ブトキシフェニルボロン酸
も、冷却装置を用いて反応を−50〜−30℃の温度で
行う以外は、上記のジ(tert−ブトキシフェニル)
ボリン酸と同様の方法で合成することができる。−30
℃以上の温度でも合成はできるが収率は低下する。モノ
p−tert−ブトキシフェニルボロン酸は既知化合物
であるが、ジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン酸
(6)と同様にニトロフェニルフェノール化合物を製造
する原料として用いることができる。
【0033】尚、ホウ素化合物(3)の中で、n=0で
示されるトリ(tert−ブトキシフェニル)ボラン
は、ホウ酸エステルに対して3倍モルの後述するグリニ
ャール試薬を反応させることで合成できる。また、ホウ
素化合物(4)で示されるトリス(tert−ブトキシ
フェニル)ボロキシンは、モノ−tert−ブトキシフ
ェニルボロン酸、もしくはその反応液に、トルエン、ヘ
プタン、ヘキサンなどの溶剤またはその混合物を加え、
共沸脱水を行い合成できる。反応終了後に冷却すると目
的物が結晶で得られる。ホウ酸化合物(4)の中では、
トリス(p−tert−ブトキシフェニル)ボロキシン
(8)を用いるのが好ましい。
【0034】本願発明のホウ素化合物に類似する従来か
ら知られている化合物としては、トリ−n−ブトキシフ
ェニルボランがある。しかし、この化合物中のn−ブト
キシ基は、脱保護するために濃臭化水素酸を加えて一昼
夜、還流するなど非常に厳しい反応条件が必要であり、
また反応の途中で副反応を伴うなど難点があった。
【0035】これに対し本発明は、出発物質として、
(3)で示す化合物を使用しており、この化合物中のt
−ブトキシ基は室温条件で希硫酸などで処理することに
より容易に脱保護することができる。従って、本願発明
は、tert−ブトキシ基をもつホウ素化合物[(3)
または(4)]を原料として用いることにより、従来の
方法に比べてニトロフェニルフェノール化合物を容易に
製造することができる。
【0036】尚、上記のホウ素化合物(3)には、一般
式(3)で示される化合物の他、これから誘導される許
容される塩やエステル類かモノtert−ブトキシフェ
ニルボロン酸の脱水体であるトリス(tert−ブトキ
シフェニル)ボロキシンなどのホウ酸無水物も含まれ
る。式(3)で示すホウ素化合物は以下に示す方法によ
り合成できるが、他の方法により合成したものを使用し
てもよい。また、反応に使用するホウ素化合物の純度は
特に限定されるものではなく、例えば以下に示す方法で
合成した反応液を精製せずにそのまま用いることもでき
る。
【0037】本発明の原料の一つであるホウ素化合物
(3)は、例えば、以下のようにして合成できる。式
(3)で示すホウ素化合物は、t−ブトキシフェニルハ
ロゲン化合物(t−BuO−C64−X、Xはハロゲン
原子を表し、塩素、臭素、またはヨウ素である)から合
成したt−ブトキシフェニルマグネシウムハロゲン化合
物(t−BuO−C64−MgX、以下「グリニャール
試薬」ということがある。Xはハロゲン原子を表し、塩
素、臭素、またはヨウ素である)と、(RO)3B(B
はホウ素原子を表し、Rは、C1〜C8の直鎖アルキル基
を表す)で示されるトリアルキルホウ酸エステル(以下
「ホウ酸エステル」ということがある)とを反応させて
できた生成物を、加水分解することにより合成できる。
【0038】このグリニャール試薬とホウ酸エステルと
の反応は、−50〜40℃の温度で行うのが好ましい。
また、このグリニャール試薬とホウ酸エステルとの比率
は、グリニャール試薬1モルに対して、ホウ酸エステル
0.01〜5モルを使用するのが好ましく、0.1〜3
モルを使用するのが更に好ましく、特に0.5〜1.0
モルを使用するのが好ましい。
【0039】本発明のグリニャール試薬とホウ酸エステ
ルとの反応は、溶媒中で行うのが好ましく、例えば、ペ
ンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素、トルエン等の芳香
族炭化水素、エーテル類、アセトン等のケトンなどの存
在中で行うことができる。
【0040】上記のグリニャール試薬(t−BuO−C
64−MgX)は、通常のグリニャール試薬の調製法に
より調製でき、例えば、テトラヒドロフラン(以下「T
HF」と略す)、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエ
ン等を単独でまたは2種類以上組合わせた溶媒中で、上
記t−ブトキシフェニルハロゲン化合物とマグネシウム
と反応させることで合成できる。t−ブトキシフェニル
ハロゲン化合物のハロゲンとしては塩素または臭素が好
ましい。このハロゲン化合物中の置換基の位置は、o、
p、m位の何れでもよい。
【0041】また、ホウ酸エステルは、式(RO)3
(Rは、C1〜C8の直鎖アルキル基を表す)で示される
トリアルキルホウ酸エステルを意味する。Rは炭素数が
4〜6であるものが好ましい。
【0042】尚、これらのホウ酸エステルは、例えば、
アルコールまたはナトリウムアルコシドと、ホウ酸、無
水ホウ酸または塩化ホウ酸との反応により合成できる。
上記のようにしてグリニャール試薬とホウ酸エステルと
の反応により合成した化合物は、酸性条件下で加水分解
することにより、ホウ素化合物(3)に変換できる。
【0043】尚、この加水分解は各種の酸の存在下で行
うのが好ましく、例えば塩酸、希硫酸等を使用して行う
ことができる。次に、上記のようにして合成したホウ素
化合物(3)または(4)とハロゲン化ニトロベンゼン
(2)を反応させて、t−ブトキシニトロビフェニル化
合物(5)を製造する反応の条件について以下説明す
る。
【0044】ホウ素化合物(3)または(4)とハロゲ
ン化ニトロベンゼン(2)とを用いる本発明の反応は溶
媒中で行うのが好ましい。溶媒としては、例えば水、ト
ルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、
アセトン、ジメチルホルムアミド(DMSO)、メタノ
ールまたはこれらの混合物が例示できる。これらの中で
は、水と水以外の溶媒を併用して使用するのが好まし
く、THFと水の混合溶媒を使用するのが更に好まし
い。この反応は使用する溶媒の種類により異なるが、2
0〜140℃で行うのが好ましく、50〜100℃で行
うのが更に好ましい。具体的には、使用する溶媒の還流
温度にて反応を行うのが操作性の点から好ましい。
【0045】また、本発明の反応は、塩基性条件下で行
うのが好ましく、例えば、上記の溶媒に水を加えて塩基
性の塩を溶解させて反応を行うのが好ましい。水溶性の
塩基性化合物としては、例えば、水酸化バリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、リン酸カリウム、リ
ン酸ナトリウム等リン酸塩、トリアルキルアミン等のア
ミンなどがあげられる。これらの塩基性化合物は単独で
使用してもよいし、2種類以上を組合わせて使用しても
よい。これらの塩基性化合物の量は、特に限定されるも
のではないが、ハロゲン化ニトロベンゼン化合物1モル
に対して、0.1〜10モルであるのが好ましく、0.
5〜5モルであるのが更に好ましい。
【0046】また、反応に用いる触媒としては、Pd、
Niなどの遷移金属触媒が好ましく、パラジウム触媒が
更に好ましい。パラジウム触媒としては、例えば、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ク
ロライド、ジフェニルホスフィノプロパンパラジウム
(II)クロライド、酢酸パラジウム(II)及び塩化
パラジウム(II)などがあげられる。この中では、テ
トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
を使用するのが特に好ましい。これらの触媒は単独で使
用してもよいし、2種類以上組合わせて使用してもよ
い。反応に使用する触媒の量は、特に限定されるもので
はないが、ハロゲン化ニトロベンゼン100重量部に対
して、0.01〜100重量部であるのが好ましく、
0.1〜20重量部であるのが更に好ましい。また、こ
れらの原料は滴下して反応系に加えても問題はない。
【0047】次に、上記のようにして合成したt−ブト
キシニトロビフェニル化合物(5)のtert−ブトキ
シ基の脱保護をしてニトロフェニルフェノール(1)を
製造する工程について説明する。 <2>脱保護の工程 式(5)で示すt−ブトキシニトロビフェニル化合物を
tert−ブトキシ基の脱保護することにより、式
(1)で示すニトロフェニルフェノール化合物が得られ
る。
【0048】尚、t−ブトキシニトロビフェニル化合物
(5)は、<1>で示す工程により合成した反応液を精
製してから用いてもよいし、反応液を濃縮等してそのま
ま用いてもよい。
【0049】t−ブトキシ基の脱保護は、従来法に従
い、t−ブトキシニトロビフェニル化合物(5)に、例
えば、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリ
フロロメタンスルホン酸トリメチルシリル、ヨウ化トリ
メチルシリル等を加えて酸性条件とすることにより行う
ことができる。これらの触媒の中では、硫酸を使用する
のが好ましい。
【0050】尚、脱保護の最適な条件は、適宜条件に変
更を加えて反応を行い、生成物の収率を測定することに
より決定することができる。例えば、t−ブトキシニト
ロビフェニル化合物(5)に等量のテトラヒドロフラン
等の溶媒と同量の60%〜80%の硫酸水を加え、20
〜40℃で1〜4時間攪拌することにより、t−ブトキ
シ基を脱保護することができる。
【0051】上記のようにして酸性条件下で脱保護させ
た反応液は、例えば、ナトリウム塩として取り出した
り、水洗後、溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフ
ィーや再結晶等により精製して、高純度の目的物(ニト
ロフェニルフェノール)を得ることができる。
【0052】
【実施例】次に実施例で本発明の製造法を具体的に説明
する。
【実施例1】4−(p−ニトロフェニル)フェノールの
製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、これにテトラヒドロフラン
(THF)50mlに希釈したp−ニトロヨードベンゼ
ン12.45g(0.05モル)とモノp−tert−
ブトキシフェニルボロン酸 11.64g(0.06
モル)を加え、酢酸パラジウム(II)0.34g
(0.0015モル)を添加した。この溶液に水酸化バ
リウム8水和物 23.57gと水 10gを加えた。
これらの混合物を還流温度で5時間攪拌した。
【0053】反応終了後に反応液を室温に冷却し、トル
エン25mlおよび水 30mlを加えて分液した。さ
らに、得られた有機層を水 30mlで2回洗浄し減圧
条件で溶媒を留去した。得られた4−tert−ブトキ
シ−4’−ニトロビフェニルを含有する組成物にテトラ
ヒドロフラン15mlと75%硫酸水 9.8gを加
え、20〜30℃で2時間攪拌した。反応後、水 20
mlおよびトルエン 15mlを加えて分液し、得られ
た有機層を水 30mlで3回洗浄し減圧条件で溶媒を
留去した。これにトルエン/ヘキサン(3:1)を加え
再結晶したところ淡黄色の結晶 8.2g(収率 76
%)を得た。目的物の融点は201〜202℃で、標品
である4−(p−ニトロフェニル)フェノールと完全に
一致した。
【0054】元素分析 理論値:C 66.97,H 4.22 実測値:C 66.85,H 4.29
【0055】
【実施例2】 ジ(p−tert−ブトキシフェニル)
ボリン酸の製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、これにマグネシウム2.4
3g(0.1モル)と少々の臭化エチルを入れて撹拌
し、マグネシウムを活性化した。次いでp−tert−
ブトキシクロロベンゼン9.23g(0.05モル)を
テトラヒドロフラン24mlに溶解して70℃で5時間
かけて滴下ロートより滴下した。滴下後70℃で2時間
撹拌し、p−tert−ブトキシフェニルマグネシウム
クロライドを得た。このグリニャール試薬をトルエン1
0mlに希釈したホウ酸トリ-n-ヘキシルエステル7.
86g(0.025モル)中に20〜30℃で2時間か
けて滴下した。さらに、同温度で1時間攪拌を続けた。
【0056】反応終了後、20℃以下で10%硫酸水溶
液27.0gを加えて加水分解し分液した。得られた有
機層を水15mlで2回洗浄した。減圧条件で溶媒を留
去した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ
ー(展開溶媒:酢酸エチル/トルエン=1:5)にて精
製し、減圧条件下で溶媒を留去した後、得られた残渣に
ヘキサンを加え洗浄したところ白色結晶 5.8gの生
成物を得た。融点は81〜85℃(収率:71%)であ
った。
【0057】NMR(DMSO−d6):1.34
(s,18H)、7.00〜7.66(m,8H)、
9.70(s,1H) 元素分析 理論値:C 73.63,H 8.34 実測値:C 73.81,H 8.41
【0058】
【実施例3】4−tert−ブトキシ−2’−ニトロビ
フェニルの製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、そこにテトラヒドロフラン
25mlに希釈したo−ニトロブロモベンゼン 5.
05 g(0.025 モル)とジ(p−tert−ブ
トキシフェニル)ボリン酸 4.89g(0.015
モル)を加え、テトラキストリフェニルホスフィンパラ
ジウム 0.29g(0.00025 モル)を添加し
た。この溶液に25%の水酸化ナトリウム水溶液を
8.0g加えた。これらの混合物を還流温度で5時間攪
拌した。反応終了後に反応液を室温に冷却し、水 10
mlおよびトルエン10mlを加えて分液した。さら
に、得られた有機層を水 10mlで2回洗浄し、減圧
条件で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン=3:
1)にて単離精製したところ、淡黄色の油状物 5.4
g(収率 80%)を得た。
【0059】NMR(CDCl3):1.32(s,9
H)、6.93〜7.18(m,4H)、7.33〜
7.74(m,4H) EI質量分析:271 元素分析 理論値:C 70.83,H 6.32 実測値:C 70.72,H 6.39
【0060】
【実施例4】 4−(o−ニトロフェニル)フェノール
の製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコにテトラヒドロフラン 4mlに希釈した
4−tert−ブトキシ−2’−ニトロビフェニル
4.07g(0.015モル)と75%硫酸水2.94
gを加え、20〜30℃で2時間攪拌した。反応後、水
8ml、トルエン 5mlを加え分液し、得られた有
機層を水 8mlで3回洗浄し減圧条件で溶媒を留去し
た。これにトルエン/ヘキサン(3:1)を加えて再結
晶したところ淡黄色の結晶 3.0g(収率 93%)
を得た。目的物の融点は115〜116℃で、標品であ
る4−(o−ニトロフェニル)フェノールと完全に一致
した。
【0061】元素分析 理論値:C 66.97,H 4.22 実測値:C 67.04,H 4.33
【0062】
【実施例5】4−(o−ニトロフェニル)フェノールの
製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、これにマグネシウム2.4
3g(0.1モル)と少々の臭化エチルを入れて撹拌
し、マグネシウムを活性化した。次いでp−tert−
ブトキシクロロベンゼン9.23g(0.05モル)を
テトラヒドロフラン24mlに溶解して70℃で5時間
かけて滴下ロートより滴下した。滴下後70℃で2時間
撹拌し、p−tert−ブトキシフェニルマグネシウム
クロライドを得た。このグリニャール試薬をトルエン1
0mlに希釈したホウ酸トリ-n-ヘキシルエステル1
0.38g(0.033モル)中に20〜30℃で2時
間かけて滴下した。さらに、同温度で1時間攪拌を続け
た。反応終了後、20℃以下で10%硫酸水溶液27.
0gを加えて加水分解し分液した。得られた有機層を水
15mlで2回洗浄した。
【0063】この有機層にo−ニトロブロモベンゼン
8.48g(0.042 モル)を加え、テトラキスト
リフェニルホスフィンパラジウム 0.49g(0.0
0042モル)を添加した。この溶液に25%の水酸化
ナトリウム水溶液を 13.4g加えた。これらの混合
物を還流温度で5時間攪拌した。反応後に反応液を室温
に冷却し、水 15mlを加えて分液した。さらに、得
られた有機層を水 15mlで2回洗浄し、減圧条件で
溶媒を留去した。得られた4−tert−ブトキシ−
2’−ニトロビフェニルを含有する組成物にテトラヒド
ロフラン 13mlと75%硫酸水 8.2 gを加
え、20〜30℃で2時間攪拌した。反応終了後、水
15mlおよびトルエン 15mlを加えて分液し、得
られた有機層を水 20mlで3回洗浄し減圧条件下で
溶媒を留去した。これにトルエン/ヘキサン(3:1)
を加えて再結晶したところ淡黄色の結晶 7.0g(収
率 77%)を得た。目的物の融点は115〜116℃
で、標品である4−(o−ニトロフェニル)フェノール
と完全に一致した。
【0064】元素分析 理論値:C 66.97,H 4.22 実測値:C 66.99,H 4.26
【0065】
【実施例6】4−(o−ニトロフェニル)フェノールの
製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、これにテトラヒドロフラン
50mlに希釈したo−ニトロブロモベンゼン10.1
0g(0.05モル)とトリス(p−tert−ブトキ
シフェニル)ボロキシン10.56g(0.02モル)
を加え、酢酸パラジウム(II)0.34g(0.00
15モル)を添加した。この溶液に水酸化バリウム8水
和物23.57gと水10gを加えた。これらの混合物
を還流温度で15時間攪拌した。
【0066】反応終了後に反応液を室温に冷却し、トル
エン25mlおよび水30mlを加えて分液した。さら
に、得られた有機層を水30mlで2回洗浄し、減圧条
件で溶媒を留去した。得られた4−tert−ブトキシ
−2’−ニトロビフェニルを含有する組成物にテトラヒ
ドロフラン15mlと75%硫酸水9.8gを加え、2
0〜30℃で2時間攪拌した。反応後、水20ml、ト
ルエン15mlを加え分液し、得られた有機層を水30
mlで3回洗浄し、減圧条件で溶媒を留去した。これに
トルエン/ヘキサン(3:1)を加えて再結晶したとこ
ろ淡黄色の結晶8.4g(収率 78%)を得た。目的
物の融点は115〜116℃で、標品である4−(o−
ニトロフェニル)フェノールと完全に一致した。
【0067】元素分析 理論値:C 66.97,H 4.22 実測値:C 66.96,H 4.30
【0068】
【実施例7】トリス(p−tert−ブトキシフェニ
ル)ボロキシンの製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、そこにモノ−p−tert
−ブトキシフェニルボロン酸 3.88g(0.02モ
ル)とトルエン 80mlを加え、還流温度で共沸脱水
しながら2時間撹拌した。反応修了後に反応液を濃縮し
てヘキサン10mlを加え、氷冷して生じた結晶を濾過
した。得られた結晶を乾燥したところ白色結晶 3.2
gを得た。この白色結晶の融点は202〜206℃で、
収率は91%であった。
【0069】NMR(CDCl3):1.43(s,2
7H)、7.09〜7.12(d,6H)、8.12〜
8.15(d,6H) 元素分析 理論値:C 68.23,H 7.44 実測値:C 68.29,H 7.40
【0070】
【実施例8】4−tert−ブトキシ−2’−ニトロビ
フェニルの製造法 還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた
4頚フラスコを窒素置換し、そこにテトラヒドロフラン
25mlに希釈したo−ニトロブロモベンゼン 5.
05g(0.025モル)とジ(p−tert−ブトキ
シフェニル)ボリン酸 4.89g(0.015モル)
を加え、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム
0.29g(0.00025モル)を添加した。この
溶液に水酸化バリウム8水和物 11.79gと水5g
を加えた。これらの混合物を還流温度で5時間攪拌し
た。
【0071】反応終了後に反応液を室温に冷却し、水
10mlおよびトルエン 10mlを加えて分液した。
さらに、得られた有機層を水 10mlで2回洗浄し減
圧条件で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルク
ロマトグラフィー(展開溶剤:トルエン/ヘキサン=
3:1)にて単離精製したところ淡黄色の油状物 5.
9g(収率 87%)を得た。
【0072】元素分析 理論値:C 70.83,H 6.32 実測値:C 70.75,H 6.35
【0073】
【発明の効果】本発明の方法によれば、医薬、農薬およ
び液晶等の各種の材料となる合成中間体として有用であ
る高純度なニトロフェニルフェノール化合物を高収率で
得られる。また、本発明のジ(tert−ブトキシフェ
ニル)ボリン酸、トリス(p−tert−ブトキシフェ
ニル)ボロキシン、tert−ブトキシ−ニトロビフェ
ニル等は、ニトロフェニルフェノール化合物を製造する
際の有用な中間体として用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC24 AC80 BA02 BA06 BA25 BA28 BA29 BA32 BA35 BA36 BA37 BA48 BA51 BA53 BB11 BB14 BB15 BB16 BB20 BB25 BB31 BC10 BC34 BJ50 BN30 BU26 GP03 GP12 GP30 4H039 CA41 CG20 4H048 AA01 AB81 AB84 VA20 VA22 VA77 VB10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で示されるニトロフェニル
    フェノール化合物を製造する方法であって、 【化1】 一般式(2) 【化2】 (式中、Xはハロゲン原子を示す)で表される化合物
    と、 一般式(3) 【化3】 (式中、nは0〜2の整数を示す)で表されるホウ素化
    合物、または、 一般式(4) 【化4】 で表されるホウ素化合物とを塩基及び触媒存在下で反応
    させて、 一般式(5) 【化5】 で表される化合物を得る工程と、 酸性条件下での脱保護反応により、化合物(5)から化
    合物(1)を得る工程とを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒がテトラキス(トリフェニルホ
    スフィン)パラジウム(O)である請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記化合物(5)を得る反応が溶媒中で
    行われ、前記溶媒が水、トルエン、ジメチルホルムアミ
    ド、アセトン、ジメトキシエタン、メタノール、テトラ
    ヒドロフランおよびジオキサンから成る群から選ばれる
    1または2種類以上である請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 前記塩基が水酸化物、炭酸塩、リン酸塩
    およびアミンから成る群から選ばれる1または2種類以
    上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つの
    請求項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 一般式(3)で表される化合物が、n=
    1のジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン酸である
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つの請求項に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 一般式(3)で表される化合物が、トリ
    アルキルホウ酸エステルに、tert−ブトキシフェニ
    ルマグネシウムハライドを反応させ、加水分解後に得ら
    れた反応液である請求項1〜4の何れか一つの請求項に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 一般式(4)で表される化合物が、トリ
    ス(p−tert−ブトキシフェニル)ボロキシンであ
    ることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つの請求項
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 一般式(5)で示される化合物に、酸触
    媒を加えて脱保護反応を行わせることにより、一般式
    (1)で示される化合物を製造する方法。 【化6】 【化7】
  9. 【請求項9】 使用される酸触媒が希硫酸である請求項
    8記載の方法。
  10. 【請求項10】 一般式(6) 【化8】 で示されるジ(tert−ブトキシフェニル)ボリン
    酸。
  11. 【請求項11】 一般式(7) 【化9】 で示されるジ(p−tert−ブトキシフェニル)ボリ
    ン酸。
  12. 【請求項12】 一般式(4) 【化10】 で示されるトリス(tert−ブトキシフェニル)ボロ
    キシン。
  13. 【請求項13】 一般式(8) 【化11】 で示されるトリス(p−tert−ブトキシフェニル)
    ボロキシン。
  14. 【請求項14】 一般式(5) 【化12】 で示されるtert−ブトキシ−ニトロビフェニル。
  15. 【請求項15】 一般式(9) 【化13】 で示される4−tert−ブトキシ−2’−ニトロビフ
    ェニル。
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