JP2001055055A - 四輪駆動車両の動力伝達装置 - Google Patents
四輪駆動車両の動力伝達装置Info
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- vane
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副
駆動輪間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達
装置において、アンダーステア現象の回避と作動制限機
能の発揮とを両立させる。 【解決手段】 ケーシング24の内部に収納された左右
のベーンポンプPL ,P R は、ロータシャフト14L ,
14R に支持されたロータ32L ,32R と、その外周
を囲むカムリング29L 29R と、ロータ32L ,32
R およびカムリング29L 29R の両側面を挟持するサ
イドプレート30,28L ,28R とを軸方向に移動可
能に支持してなる。左右のサイドプレート28L ,28
R の外側に左右のベーンポンプPL ,PR の吐出圧によ
り作動する油圧クラッチPL ,PR を配置し、この油圧
クラッチPL ,PR で左右のロータシャフト14L ,1
4R をケーシング24に締結する。
駆動輪間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達
装置において、アンダーステア現象の回避と作動制限機
能の発揮とを両立させる。 【解決手段】 ケーシング24の内部に収納された左右
のベーンポンプPL ,P R は、ロータシャフト14L ,
14R に支持されたロータ32L ,32R と、その外周
を囲むカムリング29L 29R と、ロータ32L ,32
R およびカムリング29L 29R の両側面を挟持するサ
イドプレート30,28L ,28R とを軸方向に移動可
能に支持してなる。左右のサイドプレート28L ,28
R の外側に左右のベーンポンプPL ,PR の吐出圧によ
り作動する油圧クラッチPL ,PR を配置し、この油圧
クラッチPL ,PR で左右のロータシャフト14L ,1
4R をケーシング24に締結する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータに放射状に
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させたベーンポンプ
を2個備えて主駆動輪および副駆動輪間で駆動力の配分
を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に関する。
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させたベーンポンプ
を2個備えて主駆動輪および副駆動輪間で駆動力の配分
を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力が直接伝達される主駆
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報、特開平1−153335号公報
により公知である。
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報、特開平1−153335号公報
により公知である。
【0003】かかる四輪駆動車両の動力伝達装置は、主
駆動輪である前輪および左副駆動輪である左後輪の相対
回転速度差に応じて作動する左ベーンポンプの吸入ポー
トおよび吐出ポート間に設けられた左第1オリフィス
と、主駆動輪である前輪および右副駆動輪である右後輪
の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポンプの吸
入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリフ
ィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーンポ
ンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポー
トおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設け
られた第2オリフィスとを備えている。
駆動輪である前輪および左副駆動輪である左後輪の相対
回転速度差に応じて作動する左ベーンポンプの吸入ポー
トおよび吐出ポート間に設けられた左第1オリフィス
と、主駆動輪である前輪および右副駆動輪である右後輪
の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポンプの吸
入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリフ
ィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーンポ
ンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポー
トおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設け
られた第2オリフィスとを備えている。
【0004】図19に示すように、車両が低速でタイト
な旋回を行うと前輪と後輪との間に回転数差が発生し、
かつ左右の後輪間に回転数差が発生するため、左右のベ
ーンポンプは相互に異なる量の作動油を吐出する。左右
のベーンポンプの吐出量の差分に相当する作動油は前記
第2オリフィスを通過して行き来するため、第2オリフ
ィスの径の大小に応じて左右のベーンポンプの負荷、つ
まり前輪から左右の後輪に伝達されるトルクの大きさが
変化する。
な旋回を行うと前輪と後輪との間に回転数差が発生し、
かつ左右の後輪間に回転数差が発生するため、左右のベ
ーンポンプは相互に異なる量の作動油を吐出する。左右
のベーンポンプの吐出量の差分に相当する作動油は前記
第2オリフィスを通過して行き来するため、第2オリフ
ィスの径の大小に応じて左右のベーンポンプの負荷、つ
まり前輪から左右の後輪に伝達されるトルクの大きさが
変化する。
【0005】図15(A)は車両が15km/hでフル
転舵の右旋回を行うとき、左右の後輪に伝達されるトル
クが第2オリフィスの径に応じてどのように変化するか
を示すものである。旋回内輪となる右後輪は前輪との回
転数差が大きいために大きなトルクが伝達され、また旋
回外輪となる左後輪は前輪との回転数差が小さいために
小さなトルクが伝達される。そして左右の後輪に伝達さ
れるトルクの差は第2オリフィスの径が小さいほど大き
く、第2オリフィスの径が増加すると左右の副駆動輪に
伝達されるトルクの差は0に収束する。
転舵の右旋回を行うとき、左右の後輪に伝達されるトル
クが第2オリフィスの径に応じてどのように変化するか
を示すものである。旋回内輪となる右後輪は前輪との回
転数差が大きいために大きなトルクが伝達され、また旋
回外輪となる左後輪は前輪との回転数差が小さいために
小さなトルクが伝達される。そして左右の後輪に伝達さ
れるトルクの差は第2オリフィスの径が小さいほど大き
く、第2オリフィスの径が増加すると左右の副駆動輪に
伝達されるトルクの差は0に収束する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、左右の前輪
および左右一方の後輪が泥濘にはまってスリップしたよ
うな場合、摩擦係数の高い路面に乗っている左右他方の
後輪にトルクを伝達して泥濘を脱出するには、第2オリ
フィスの径をある程度小さくして動力伝達装置に作動制
限機能を発揮させる必要がある。しかしながら、第2オ
リフィスの径を小さくすると、図19に示すように旋回
内輪となる右後輪に大きなトルクが伝達され、また旋回
外輪となる左後輪に小さなトルクが伝達されるため、左
右のトルクの差が車両の右旋回を妨げるように作用して
しまい、所謂タイトコーナーブレーキング現象が発生す
る問題がある。
および左右一方の後輪が泥濘にはまってスリップしたよ
うな場合、摩擦係数の高い路面に乗っている左右他方の
後輪にトルクを伝達して泥濘を脱出するには、第2オリ
フィスの径をある程度小さくして動力伝達装置に作動制
限機能を発揮させる必要がある。しかしながら、第2オ
リフィスの径を小さくすると、図19に示すように旋回
内輪となる右後輪に大きなトルクが伝達され、また旋回
外輪となる左後輪に小さなトルクが伝達されるため、左
右のトルクの差が車両の右旋回を妨げるように作用して
しまい、所謂タイトコーナーブレーキング現象が発生す
る問題がある。
【0007】つまり、第2オリフィスの径を大きくすれ
ばタイトコーナーブレーキング現象を回避できるが作動
制限機能を発揮させることができなくなり、逆に第2オ
リフィスの径を小さくすれば作動制限機能を発揮させる
ことができるがタイトコーナーブレーキング現象を回避
できなくなってしまう。
ばタイトコーナーブレーキング現象を回避できるが作動
制限機能を発揮させることができなくなり、逆に第2オ
リフィスの径を小さくすれば作動制限機能を発揮させる
ことができるがタイトコーナーブレーキング現象を回避
できなくなってしまう。
【0008】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に
おいて、タイトコーナーブレーキング現象の回避と作動
制限機能の発揮とを両立させることを目的とする。
で、ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に
おいて、タイトコーナーブレーキング現象の回避と作動
制限機能の発揮とを両立させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸と、左側の副
駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副駆動輪に接続
された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプと、入力軸および
右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポ
ンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート
間に設けられた左第1オリフィスと、右ベーンポンプの
吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリ
フィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーン
ポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポ
ートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設
けられた第2オリフィスとを備え、前記各ベーンポンプ
は、ケーシングの内部に、左右の第1サイドプレート
と、左右の第1サイドプレート間に配置された第2サイ
ドプレートと、左第1サイドプレートおよび第2サイド
プレート間に配置された左カムリングおよび左ロータ
と、右第1サイドプレートおよび第2サイドプレート間
に配置された右カムリングおよび右ロータと、左ロータ
を左駆動軸に接続する左ロータシャフトと、右ロータを
右駆動軸に接続する右ロータシャフトと、左右のロータ
に半径方向摺動自在に支持されて半径方向外端が左右の
カムリングの内周面にそれぞれ当接する複数のベーンと
を収納した四輪駆動車両の動力伝達装置において、左右
の第1サイドプレート、左右のカムリングおよび第2サ
イドプレートをケーシングの内部に軸方摺動自在に支持
し、左第1サイドプレートおよびケーシング間に、左ベ
ーンポンプの吐出圧が導入される左油室と、この左油室
から受ける軸方向の荷重で作動して左ロータシャフトを
ケーシングに拘束する左油圧クラッチとを設け、右第1
サイドプレートおよびケーシング間に、右ベーンポンプ
の吐出圧が導入される右油室と、この右油室から受ける
軸方向の荷重で作動して右ロータシャフトをケーシング
に拘束する右油圧クラッチとを設けたことを特徴とする
四輪駆動車両の動力伝達装置が提案される。
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸と、左側の副
駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副駆動輪に接続
された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプと、入力軸および
右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポ
ンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート
間に設けられた左第1オリフィスと、右ベーンポンプの
吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリ
フィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーン
ポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポ
ートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設
けられた第2オリフィスとを備え、前記各ベーンポンプ
は、ケーシングの内部に、左右の第1サイドプレート
と、左右の第1サイドプレート間に配置された第2サイ
ドプレートと、左第1サイドプレートおよび第2サイド
プレート間に配置された左カムリングおよび左ロータ
と、右第1サイドプレートおよび第2サイドプレート間
に配置された右カムリングおよび右ロータと、左ロータ
を左駆動軸に接続する左ロータシャフトと、右ロータを
右駆動軸に接続する右ロータシャフトと、左右のロータ
に半径方向摺動自在に支持されて半径方向外端が左右の
カムリングの内周面にそれぞれ当接する複数のベーンと
を収納した四輪駆動車両の動力伝達装置において、左右
の第1サイドプレート、左右のカムリングおよび第2サ
イドプレートをケーシングの内部に軸方摺動自在に支持
し、左第1サイドプレートおよびケーシング間に、左ベ
ーンポンプの吐出圧が導入される左油室と、この左油室
から受ける軸方向の荷重で作動して左ロータシャフトを
ケーシングに拘束する左油圧クラッチとを設け、右第1
サイドプレートおよびケーシング間に、右ベーンポンプ
の吐出圧が導入される右油室と、この右油室から受ける
軸方向の荷重で作動して右ロータシャフトをケーシング
に拘束する右油圧クラッチとを設けたことを特徴とする
四輪駆動車両の動力伝達装置が提案される。
【0010】上記構成によれば、主駆動輪と副駆動輪と
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生し、かつ左右のベー
ンポンプの吐出圧が左右の油室に伝達されて左右の油圧
クラッチが作動して左右のロータシャフトをケーシング
に結合する。その結果、入力軸から左右の駆動軸への動
力伝達が行われて主駆動輪の駆動力の一部が副駆動輪に
配分され、主駆動輪および副駆動輪の両方が駆動される
四輪駆動状態になる。
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生し、かつ左右のベー
ンポンプの吐出圧が左右の油室に伝達されて左右の油圧
クラッチが作動して左右のロータシャフトをケーシング
に結合する。その結果、入力軸から左右の駆動軸への動
力伝達が行われて主駆動輪の駆動力の一部が副駆動輪に
配分され、主駆動輪および副駆動輪の両方が駆動される
四輪駆動状態になる。
【0011】車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベ
ーンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベー
ンポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが
吐出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリ
フィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側
のベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副
駆動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回
方向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向
外側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋
回方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制
される。
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベ
ーンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベー
ンポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが
吐出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリ
フィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側
のベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副
駆動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回
方向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向
外側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋
回方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制
される。
【0012】これと同時に左右のベーンポンプの吐出圧
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂タイトコーナーブレーキング現象を
軽減することができる。
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂タイトコーナーブレーキング現象を
軽減することができる。
【0013】左右の主駆動輪および左右一方の副駆動輪
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
【0014】而して、第2オリフィスの径をある程度小
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
【0015】特に副駆動輪への駆動力の伝達を、ベーン
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
【0016】また左右の油室にポンプ吐出圧が導入され
るので、ケーシングの剛性を特別に増加させることな
く、ポンプ吐出圧で左右の第1サイドプレートを左右の
ロータおよび左右のカムリングに向けて付勢してサイド
クリアランスを減少させ、作動油のリークを抑制してポ
ンプ効率を高めることができる。特にポンプ吐出圧が増
加してサイドクリアランスが増加すると、左右の第1サ
イドプレートを押し戻す付勢力も増加するので、常に最
適の付勢力で第1サイドプレートを付勢することができ
る。しかも油圧クラッチの油室に加わる油圧を利用して
サイドクリアランスを減少させることができるので、サ
イドクリアランスを減少させるための特別の手段が不要
になって部品点数が削減される。
るので、ケーシングの剛性を特別に増加させることな
く、ポンプ吐出圧で左右の第1サイドプレートを左右の
ロータおよび左右のカムリングに向けて付勢してサイド
クリアランスを減少させ、作動油のリークを抑制してポ
ンプ効率を高めることができる。特にポンプ吐出圧が増
加してサイドクリアランスが増加すると、左右の第1サ
イドプレートを押し戻す付勢力も増加するので、常に最
適の付勢力で第1サイドプレートを付勢することができ
る。しかも油圧クラッチの油室に加わる油圧を利用して
サイドクリアランスを減少させることができるので、サ
イドクリアランスを減少させるための特別の手段が不要
になって部品点数が削減される。
【0017】更に左右両方の第1サイドプレートが各々
対応するベーンポンプの吐出圧で勢可能であるため、少
なくとも一方のベーンポンプが作動していれば、そのベ
ーンポンプの吐出圧を第2オリフィスを介さずに一方の
第1サイドプレートに直接伝達し、その第1サイドプレ
ートを充分な付勢力で付勢することができる。その結
果、一方の第1サイドプレートの付勢力を左右のカムリ
ング、左右のロータおよび第2サイドプレートを介して
他方の第1サイドプレートまで伝達し、左右のベーンポ
ンプのサイドクリアランスを共に減少させることができ
る。
対応するベーンポンプの吐出圧で勢可能であるため、少
なくとも一方のベーンポンプが作動していれば、そのベ
ーンポンプの吐出圧を第2オリフィスを介さずに一方の
第1サイドプレートに直接伝達し、その第1サイドプレ
ートを充分な付勢力で付勢することができる。その結
果、一方の第1サイドプレートの付勢力を左右のカムリ
ング、左右のロータおよび第2サイドプレートを介して
他方の第1サイドプレートまで伝達し、左右のベーンポ
ンプのサイドクリアランスを共に減少させることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】図1〜図16は本発明の第1実施例を示す
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
要部拡大図、図7は図6の7−7線断面図、図8はコイ
ルスプリングの斜視図、図9はオリフィスプレートの斜
視図、図10はオリフィスプレートの作用説明図、図1
1はオリフィスプレートの作用を説明するグラフ、図1
2は図5の12−12線拡大断面図、図13はハイドロ
リックカップリング装置の油圧回路図、図14は主駆動
輪および副駆動輪の差回転と副駆動輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ、図15は第2オリフィスの径と副
駆動輪への伝達トルクとの関係を示すグラフ、図16は
本発明による車両の旋回性能向上の作用説明図である。
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
要部拡大図、図7は図6の7−7線断面図、図8はコイ
ルスプリングの斜視図、図9はオリフィスプレートの斜
視図、図10はオリフィスプレートの作用説明図、図1
1はオリフィスプレートの作用を説明するグラフ、図1
2は図5の12−12線拡大断面図、図13はハイドロ
リックカップリング装置の油圧回路図、図14は主駆動
輪および副駆動輪の差回転と副駆動輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ、図15は第2オリフィスの径と副
駆動輪への伝達トルクとの関係を示すグラフ、図16は
本発明による車両の旋回性能向上の作用説明図である。
【0020】図1に示すように、四輪駆動車両Vは車体
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
【0021】第1動力伝達系D1 の駆動力を副駆動輪と
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
【0022】次に、図2に基づいてハイドロリックカッ
プリング装置Hの構造を説明する。
プリング装置Hの構造を説明する。
【0023】ハイドロリックカップリング装置Hは、概
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
【0024】ニードルベアリング25L を介して左ケー
シング21に回転自在に支持された左ロータシャフト1
4L は、その中間部に形成されたフランジ141 の左側
面がスラストワッシャ26L を介して左ケーシング21
に対向するとともに、その外周面と左ケーシング21と
の間にシール部材27L が配置される。ニードルベアリ
ング25R を介して右ケーシング22に回転自在に支持
された右ロータシャフト14R は、その中間部に形成さ
れたフランジ141 の右側面がスラストワッシャ26R
を介して右ケーシング22に対向するとともに、その外
周面と右ケーシング22との間にシール部材27R が配
置される。
シング21に回転自在に支持された左ロータシャフト1
4L は、その中間部に形成されたフランジ141 の左側
面がスラストワッシャ26L を介して左ケーシング21
に対向するとともに、その外周面と左ケーシング21と
の間にシール部材27L が配置される。ニードルベアリ
ング25R を介して右ケーシング22に回転自在に支持
された右ロータシャフト14R は、その中間部に形成さ
れたフランジ141 の右側面がスラストワッシャ26R
を介して右ケーシング22に対向するとともに、その外
周面と右ケーシング22との間にシール部材27R が配
置される。
【0025】ケーシング24の内部には、左ベーンポン
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合52(図
2〜図6参照)してケーシング24に対して回り止めさ
れる。左ロータシャフト14L にスプライン結合された
左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、左カ
ムリング29Lおよび第2サイドプレート30に囲まれ
た空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフト1
4R にスプライン結合された右ロータ32R が、右第1
サイドプレート28R 、右カムリング29R および第2
サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収納さ
れる。第2サイドプレート30は左ベーンポンプPL お
よび右ベーンポンプPR に共通する構成要素であり、そ
の内周面にブッシュ33を介して左ロータシャフト14
L および右ロータシャフト14R の対向部の外周が相対
回転自在に支持される。
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合52(図
2〜図6参照)してケーシング24に対して回り止めさ
れる。左ロータシャフト14L にスプライン結合された
左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、左カ
ムリング29Lおよび第2サイドプレート30に囲まれ
た空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフト1
4R にスプライン結合された右ロータ32R が、右第1
サイドプレート28R 、右カムリング29R および第2
サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収納さ
れる。第2サイドプレート30は左ベーンポンプPL お
よび右ベーンポンプPR に共通する構成要素であり、そ
の内周面にブッシュ33を介して左ロータシャフト14
L および右ロータシャフト14R の対向部の外周が相対
回転自在に支持される。
【0026】次に、図3〜図5を併せて参照しながら右
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
【0027】右カムリング29R の内周面は概略3角形
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
【0028】図7〜図9から明らかなように、前記コイ
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
【0029】このように、コイルスプリング36の半径
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
【0030】またコイルスプリング36の半径方向外端
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
【0031】以上のようにコイルスプリング36の横断
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
【0032】更にコイルスプリング36の半径方向外部
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
【0033】図2〜図4および図10から明らかなよう
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
【0034】尚、左右のベーンポンプPL ,PR は、そ
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
【0035】図9に示すように、オリフィスプレート支
持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレー
ト40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点部
40 1 から延びる板状の弁部402 とから構成されてお
り、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリフ
ィス41R が貫通するように形成される。またオリフィ
スプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠4
2が施される。図10に示すように、上記構造を有する
オリフィスプレート40R は、支点部401 がオリフィ
スプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁部
402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部392
の内部において揺動する。
持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレー
ト40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点部
40 1 から延びる板状の弁部402 とから構成されてお
り、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリフ
ィス41R が貫通するように形成される。またオリフィ
スプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠4
2が施される。図10に示すように、上記構造を有する
オリフィスプレート40R は、支点部401 がオリフィ
スプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁部
402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部392
の内部において揺動する。
【0036】図3および図6から明らかなように、オリ
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
【0037】またロータ32R の外周面とカムリング2
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
【0038】右ベーンポンプPR のオリフィスプレート
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
【0039】図2および図4から明らかなように、第2
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
【0040】前記第2オリフィス43…は、第2サイド
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
【0041】図5から明らかなように、右第1サイドプ
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設されてお
り、これら右第1サイドプレート28R の3個の吸入ポ
ート37R …および3個の吐出ポート38R …は、合計
6個のチェックバルブ44R …を介して該右第1サイド
プレート28R の右側面に連通する。前記チェックバル
ブ44R …は右第1サイドプレート28R の右側面から
吸入ポート37 R …および吐出ポート38R …側への作
動油の流通を許容し、その逆方向への作動油の流通を規
制する。
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設されてお
り、これら右第1サイドプレート28R の3個の吸入ポ
ート37R …および3個の吐出ポート38R …は、合計
6個のチェックバルブ44R …を介して該右第1サイド
プレート28R の右側面に連通する。前記チェックバル
ブ44R …は右第1サイドプレート28R の右側面から
吸入ポート37 R …および吐出ポート38R …側への作
動油の流通を許容し、その逆方向への作動油の流通を規
制する。
【0042】図12を併せて参照すると明らかなよう
に、各チェックバルブ44R は、右第1サイドプレート
28R の吸入ポート37R および吐出ポート38R の底
面に凹設した弁座282 と、この弁座282 に着座可能
なチェックボール58とから構成されており、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が高圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 に着座して閉弁し、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が低圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 から離反して開弁する。
に、各チェックバルブ44R は、右第1サイドプレート
28R の吸入ポート37R および吐出ポート38R の底
面に凹設した弁座282 と、この弁座282 に着座可能
なチェックボール58とから構成されており、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が高圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 に着座して閉弁し、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が低圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 から離反して開弁する。
【0043】このようにチェックバルブ44R を右第1
サイドプレート28R の内部に設けたことにより、その
チェックバルブ44R に連なる油路の長さを最小限に抑
えるとともに、部品点数の増加を最小限に抑えることが
できる。また右第1サイドプレート28R の吸入ポート
37R および吐出ポート38R に右ロータ32R が対向
しているので、その右ロータ32R でチェックボール5
8の脱落を規制することができる。
サイドプレート28R の内部に設けたことにより、その
チェックバルブ44R に連なる油路の長さを最小限に抑
えるとともに、部品点数の増加を最小限に抑えることが
できる。また右第1サイドプレート28R の吸入ポート
37R および吐出ポート38R に右ロータ32R が対向
しているので、その右ロータ32R でチェックボール5
8の脱落を規制することができる。
【0044】図2および図6から明らかなように、左右
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
【0045】而して、ベーンポンプPL ,PR の運転に
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
【0046】図2および図6から明らかなように、左ケ
ーシング21と左第1サイドプレート28L との間に左
油圧クラッチCL が配置され、右ケーシング22と右第
1サイドプレート28R との間に右油圧クラッチCR が
配置される。左油圧クラッチCL は、左第1サイドプレ
ート28L の左側面および左ケーシング21の右側面間
に軸方向に積層されたプレッシャプレート49と、3枚
のクラッチプレート50…と、2枚のクラッチディスク
51,51とを備える。3枚のクラッチプレート50…
および2枚のクラッチディスク51,51は交互に配置
され、クラッチプレート50…の外周部は左ケーシング
21の内周面にスプライン結合され、クラッチディスク
51,51の内周部は左ロータシャフト14L の外周面
にスプライン結合される。
ーシング21と左第1サイドプレート28L との間に左
油圧クラッチCL が配置され、右ケーシング22と右第
1サイドプレート28R との間に右油圧クラッチCR が
配置される。左油圧クラッチCL は、左第1サイドプレ
ート28L の左側面および左ケーシング21の右側面間
に軸方向に積層されたプレッシャプレート49と、3枚
のクラッチプレート50…と、2枚のクラッチディスク
51,51とを備える。3枚のクラッチプレート50…
および2枚のクラッチディスク51,51は交互に配置
され、クラッチプレート50…の外周部は左ケーシング
21の内周面にスプライン結合され、クラッチディスク
51,51の内周部は左ロータシャフト14L の外周面
にスプライン結合される。
【0047】プレッシャプレート49の内面に環状のシ
リンダ491 が凹設されており、左第1サイドプレート
28L の外面に突設した環状のピストン283 がシール
部材54を介して前記シリンダ491 に嵌合する。そし
てシリンダ491 およびピストン283 間に区画された
左油室53L は、左第1サイドプレート28L を貫通す
る油路284 …を介して左ベーンポンプPL のベーン溝
321 …に連通する。図5に示すように、前記油路28
4 …は左第1サイドプレート28L に6個設けられる。
リンダ491 が凹設されており、左第1サイドプレート
28L の外面に突設した環状のピストン283 がシール
部材54を介して前記シリンダ491 に嵌合する。そし
てシリンダ491 およびピストン283 間に区画された
左油室53L は、左第1サイドプレート28L を貫通す
る油路284 …を介して左ベーンポンプPL のベーン溝
321 …に連通する。図5に示すように、前記油路28
4 …は左第1サイドプレート28L に6個設けられる。
【0048】右油圧クラッチCR の構造は左油圧クラッ
チCL の構造と左右対称であり、プレッシャプレート4
9、クラッチプレート50…、クラッチディスク51,
51および右油室53R から構成される。
チCL の構造と左右対称であり、プレッシャプレート4
9、クラッチプレート50…、クラッチディスク51,
51および右油室53R から構成される。
【0049】以上、右ベーンポンプPR の構造を中心に
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
【0050】図13は上記ハイドロリックカップリング
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
【0051】左ベーンポンプPL の吸入ポート37L お
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油圧
クラッチCL の左油室53L に連通し、また右ベーンポ
ンプPR の吸入ポート37Rおよび吐出ポート38R の
何れか高圧側は切換バルブVR を介してベーン押上ポー
ト281 ,301 および右油圧クラッチCR の右油室5
3R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入ポート37
L および吐出ポート38L の何れか低圧側は左第1サイ
ドプレート28L に設けたチェックバルブ44L を介し
てピストン45 L ,45R に連通し、また右ベーンポン
プPR の吸入ポート37R および吐出ポート38R の何
れか低圧側は右第1サイドプレート28R に設けたチェ
ックバルブ44R を介してピストン45L ,45R に連
通する。
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油圧
クラッチCL の左油室53L に連通し、また右ベーンポ
ンプPR の吸入ポート37Rおよび吐出ポート38R の
何れか高圧側は切換バルブVR を介してベーン押上ポー
ト281 ,301 および右油圧クラッチCR の右油室5
3R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入ポート37
L および吐出ポート38L の何れか低圧側は左第1サイ
ドプレート28L に設けたチェックバルブ44L を介し
てピストン45 L ,45R に連通し、また右ベーンポン
プPR の吸入ポート37R および吐出ポート38R の何
れか低圧側は右第1サイドプレート28R に設けたチェ
ックバルブ44R を介してピストン45L ,45R に連
通する。
【0052】更に、ベーン押上ポート281 ,301 と
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
【0053】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
の作用について説明する。
【0054】車両Vが定速走行する状態では、エンジン
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
【0055】また低摩擦路における発進時や急加速時に
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。
【0056】更に、左右のベーンポンプPL ,PR の吐
出ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の
油圧クラッチCL ,CR の油室53L ,53R に伝達さ
れ、その油圧によって外側に押圧されたプレッシャプレ
ート49,49がクラッチプレート50…およびクラッ
チディスク51…を相互に密着させることにより、左右
のロータシャフト14L ,14R がケーシング24に結
合される。その結果、ケーシング24に接続された前輪
WFL,WFRの駆動力が左右のロータシャフト14L ,1
4R に接続された左右の後輪WRL,WRRに伝達される。
出ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の
油圧クラッチCL ,CR の油室53L ,53R に伝達さ
れ、その油圧によって外側に押圧されたプレッシャプレ
ート49,49がクラッチプレート50…およびクラッ
チディスク51…を相互に密着させることにより、左右
のロータシャフト14L ,14R がケーシング24に結
合される。その結果、ケーシング24に接続された前輪
WFL,WFRの駆動力が左右のロータシャフト14L ,1
4R に接続された左右の後輪WRL,WRRに伝達される。
【0057】図14(A)および図14(B)を比較す
ると明らかなように、左右のベーンポンプPL ,PR の
負荷によって前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達
されるトルクの一部を、左右の油圧クラッチCL ,CR
により伝達されるトルクで置き換えることにより、ベー
ンポンプPL ,PR の容量を減少させて小型軽量化を図
りながら従来と同等のトルク伝達容量を確保することが
できる。しかもベーンポンプPL ,PR の吐出圧の脈動
を、油圧クラッチCL ,CR の摩擦力で吸収して制振効
果を発揮させることができる。
ると明らかなように、左右のベーンポンプPL ,PR の
負荷によって前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達
されるトルクの一部を、左右の油圧クラッチCL ,CR
により伝達されるトルクで置き換えることにより、ベー
ンポンプPL ,PR の容量を減少させて小型軽量化を図
りながら従来と同等のトルク伝達容量を確保することが
できる。しかもベーンポンプPL ,PR の吐出圧の脈動
を、油圧クラッチCL ,CR の摩擦力で吸収して制振効
果を発揮させることができる。
【0058】而して、前輪WFL,WFRのスリップ時には
ポンプトルクおよびクラッチトルクが前輪WFL,WFRか
ら後輪WRL,WRRに配分され、車両Vを四輪駆動状態に
してトラクションを増加させることができる。
ポンプトルクおよびクラッチトルクが前輪WFL,WFRか
ら後輪WRL,WRRに配分され、車両Vを四輪駆動状態に
してトラクションを増加させることができる。
【0059】車両Vが低速でタイトな旋回を行うとき、
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは旋回内輪側で大きく、旋回外輪側で小さく
なる。
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは旋回内輪側で大きく、旋回外輪側で小さく
なる。
【0060】例えば、図16に示すように、車両Vが低
速でタイトな右旋回を行うとき、車輪速が小さいために
前輪WFL,WFRとの差回転が大きい右後輪WRR側のベー
ンポンプPR の負荷が大きくなり、従って右後輪WRRに
伝達されるポンプトルクが大きくなる。一方、車輪速が
大きいために前輪WFL,WFRとの差回転が小さい左後輪
WRL側のベーンポンプPL の負荷が小さくなり、従って
左後輪WRLに伝達されるポンプトルクが小さくなる。
速でタイトな右旋回を行うとき、車輪速が小さいために
前輪WFL,WFRとの差回転が大きい右後輪WRR側のベー
ンポンプPR の負荷が大きくなり、従って右後輪WRRに
伝達されるポンプトルクが大きくなる。一方、車輪速が
大きいために前輪WFL,WFRとの差回転が小さい左後輪
WRL側のベーンポンプPL の負荷が小さくなり、従って
左後輪WRLに伝達されるポンプトルクが小さくなる。
【0061】左右の後輪WRL,WRRには前記ベーンポン
プPL ,PR の負荷に基づくポンプトルクに加えて、左
右の油圧クラッチCL ,CR の締結に基づくクラッチト
ルクが伝達されるが、このクラッチトルクは左右の後輪
WRL,WRRについて等しくなる。なぜならば、右旋回中
には右ベーンポンプPR の吐出圧が大きくなって右油室
53R に大きな油圧が伝達され、左ベーンポンプPR の
吐出圧が小さくなって左油室53L に小さな油圧が伝達
されるが、左右のベーンポンプPL ,PR の第2サイド
プレート28L ,28R 、カムリング29L ,29R お
よび第2サイドプレート30はケーシング24に対して
軸方向移動自在にスプライン嵌合52しているため、左
右の油室53L ,53R の何れか大きい方の油圧が左右
の油圧クラッチCL ,CR に作用して左右のクラッチト
ルクが等しくなるためである。
プPL ,PR の負荷に基づくポンプトルクに加えて、左
右の油圧クラッチCL ,CR の締結に基づくクラッチト
ルクが伝達されるが、このクラッチトルクは左右の後輪
WRL,WRRについて等しくなる。なぜならば、右旋回中
には右ベーンポンプPR の吐出圧が大きくなって右油室
53R に大きな油圧が伝達され、左ベーンポンプPR の
吐出圧が小さくなって左油室53L に小さな油圧が伝達
されるが、左右のベーンポンプPL ,PR の第2サイド
プレート28L ,28R 、カムリング29L ,29R お
よび第2サイドプレート30はケーシング24に対して
軸方向移動自在にスプライン嵌合52しているため、左
右の油室53L ,53R の何れか大きい方の油圧が左右
の油圧クラッチCL ,CR に作用して左右のクラッチト
ルクが等しくなるためである。
【0062】図19の従来例と図16の本実施例とを比
較すると明らかなように、従来のものは、左右の後輪W
RL,WRRに伝達されるトルクが全てポンプトルクで賄わ
れるため、左右の後輪WRL,WRRのトルク差が大きくな
って旋回を妨げる方向に大きなヨーモーメントが作用し
てしまう。それに対して、本実施例のものは、左右の後
輪WRL,WRRに伝達されるトルクの一部だけがポンプト
ルクで賄われ、残部は左右の大きさが等しいクラッチト
ルクであるため、ポンプトルクそのものが小さくなって
左右のポンプトルクの差も小さくなり、全体として左右
の後輪WRL,W RRのトルク差を従来のものに比べて小さ
くし、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減少させる
ことができる。これにより、四輪駆動車両Vが低速でタ
イトな旋回を行う際に各車輪の旋回軌跡の半径差により
発生する、所謂タイトコーナーブレーキング現象を軽減
し、車両Vの旋回性能を向上させることができる。
較すると明らかなように、従来のものは、左右の後輪W
RL,WRRに伝達されるトルクが全てポンプトルクで賄わ
れるため、左右の後輪WRL,WRRのトルク差が大きくな
って旋回を妨げる方向に大きなヨーモーメントが作用し
てしまう。それに対して、本実施例のものは、左右の後
輪WRL,WRRに伝達されるトルクの一部だけがポンプト
ルクで賄われ、残部は左右の大きさが等しいクラッチト
ルクであるため、ポンプトルクそのものが小さくなって
左右のポンプトルクの差も小さくなり、全体として左右
の後輪WRL,W RRのトルク差を従来のものに比べて小さ
くし、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減少させる
ことができる。これにより、四輪駆動車両Vが低速でタ
イトな旋回を行う際に各車輪の旋回軌跡の半径差により
発生する、所謂タイトコーナーブレーキング現象を軽減
し、車両Vの旋回性能を向上させることができる。
【0063】図15(A)は、図19に示す従来の車両
における左右の後輪WRL,WRRのポンプトルクを示すも
ので、第2オリフィス43の径が小さい領域で左右の後
輪W RL,WRRのポンプトルクの差が極めて大きくなって
いることが分かる。図15(A)は、図16に示す本実
施例の車両Vにおける左右の後輪WRL,WRRのトルク
(ポンプトルクおよびクラッチトルクの和)を示すもの
で、第2オリフィス43の径が小さい領域でも左右の後
輪WRL,WRRのトルクの差が大幅に減少していることが
分かる。
における左右の後輪WRL,WRRのポンプトルクを示すも
ので、第2オリフィス43の径が小さい領域で左右の後
輪W RL,WRRのポンプトルクの差が極めて大きくなって
いることが分かる。図15(A)は、図16に示す本実
施例の車両Vにおける左右の後輪WRL,WRRのトルク
(ポンプトルクおよびクラッチトルクの和)を示すもの
で、第2オリフィス43の径が小さい領域でも左右の後
輪WRL,WRRのトルクの差が大幅に減少していることが
分かる。
【0064】左後輪WRLを除く左右の前輪WFL,WFRお
よび右後輪WRRが泥濘にはまったような場合、スリップ
する前輪WFL,WFRに連動してカムリング29L ,29
R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減少している右
後輪WRRも、カムリング29 R からベーン35…、ロー
タ32R およびロータシャフト14R を介して伝達され
るトルクによりスリップしてしまう。このとき、第2オ
リフィス43,43の径が充分に小さく設定されていれ
ば、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪W RL側のベ
ーンポンプPL に大きな負荷が発生するため、その左後
輪WRLに充分なトルクが伝達されて泥濘からの脱出が可
能となる。即ち、本実施例のハイドロリックカップリン
グ装置Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能
を発揮させることが可能となる。
よび右後輪WRRが泥濘にはまったような場合、スリップ
する前輪WFL,WFRに連動してカムリング29L ,29
R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減少している右
後輪WRRも、カムリング29 R からベーン35…、ロー
タ32R およびロータシャフト14R を介して伝達され
るトルクによりスリップしてしまう。このとき、第2オ
リフィス43,43の径が充分に小さく設定されていれ
ば、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪W RL側のベ
ーンポンプPL に大きな負荷が発生するため、その左後
輪WRLに充分なトルクが伝達されて泥濘からの脱出が可
能となる。即ち、本実施例のハイドロリックカップリン
グ装置Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能
を発揮させることが可能となる。
【0065】尚、第2オリフィス43の径を減少させる
ほど差動制限機能を強めることができるが、第2オリフ
ィス43の径を減少させると前述した低速での急旋回時
に旋回を妨げるヨーモーメントが強く発生するこにな
る。しかしながら、本実施例によれば上述した望ましく
ないヨーモーメントを左右の油圧クラッチCL ,CR が
発生するクラッチトルクによって軽減することができる
ので、第2オリフィス43の径をある程度小さく設定し
て必要な差動制限機能を確保しながら、低速での急旋回
時における旋回性能の低下を防止することができる。
ほど差動制限機能を強めることができるが、第2オリフ
ィス43の径を減少させると前述した低速での急旋回時
に旋回を妨げるヨーモーメントが強く発生するこにな
る。しかしながら、本実施例によれば上述した望ましく
ないヨーモーメントを左右の油圧クラッチCL ,CR が
発生するクラッチトルクによって軽減することができる
ので、第2オリフィス43の径をある程度小さく設定し
て必要な差動制限機能を確保しながら、低速での急旋回
時における旋回性能の低下を防止することができる。
【0066】前述した低摩擦路における発進時や急加速
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図10(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図10(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
【0067】一方、車両が急制動を行う場合には、AB
S(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪の
ロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後
輪W RL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動
の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL,
WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロ
ータ32L ,32R が逆転方向(図3の矢印B方向)に
相対回転し、図10(B)に示すように、吐出ポート3
8L ,38R から作動油が吸入されて吸入ポート3
7L ,37R から作動油が吐出される。その結果、高圧
側の吸入ポート37 L ,37R と低圧側の吐出ポート3
8L ,38R との差圧によって切換バルブV L ,VR の
オリフィスプレート40L ,40R が吐出ポート3
8L ,38R 側に揺動するため、高圧側の吸入ポート3
7L ,37R がオリフィスプレート支持溝39L ,39
R を介してベーン押上ポート301 に連通するととも
に、ベーン押上ポート301 と低圧側の吐出ポート38
L ,38R との連通が遮断される。而して、ベーン押上
ポート301 に伝達された油圧によってベーン35…を
半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング29L ,
29R の内周面に圧接することができる。
S(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪の
ロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後
輪W RL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動
の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL,
WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロ
ータ32L ,32R が逆転方向(図3の矢印B方向)に
相対回転し、図10(B)に示すように、吐出ポート3
8L ,38R から作動油が吸入されて吸入ポート3
7L ,37R から作動油が吐出される。その結果、高圧
側の吸入ポート37 L ,37R と低圧側の吐出ポート3
8L ,38R との差圧によって切換バルブV L ,VR の
オリフィスプレート40L ,40R が吐出ポート3
8L ,38R 側に揺動するため、高圧側の吸入ポート3
7L ,37R がオリフィスプレート支持溝39L ,39
R を介してベーン押上ポート301 に連通するととも
に、ベーン押上ポート301 と低圧側の吐出ポート38
L ,38R との連通が遮断される。而して、ベーン押上
ポート301 に伝達された油圧によってベーン35…を
半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング29L ,
29R の内周面に圧接することができる。
【0068】左右のベーンポンプPL ,PR の吐出圧に
よって左右の油圧クラッチCL ,C R が作動すると、左
右の油室53L ,53R に伝達される油圧で左右の第1
サイドプレート28L ,28R が内向きに付勢されるた
め、左右のカムリング29L,29R 、左右のロータ3
2L ,32R およびベーン35…は左右の第1サイドプ
レート28L ,28R および第2サイドプレート30間
に強く挟持され、それらの摺動面に発生するサイドクリ
アランスが最小限に抑えられる。その結果、前記サイド
クリアランスを通しての作動油のリークが抑制されてポ
ンプ効率が向上する。特に、ポンプ吐出圧が増加してサ
イドクリアランスが増加するときには、サイドクリアラ
ンスを減少させる方向に第1サイドプレート28L ,2
8R を押し戻す付勢力も増加するので、常に最適の付勢
力で第1サイドプレート28L ,28R を付勢すること
ができる。
よって左右の油圧クラッチCL ,C R が作動すると、左
右の油室53L ,53R に伝達される油圧で左右の第1
サイドプレート28L ,28R が内向きに付勢されるた
め、左右のカムリング29L,29R 、左右のロータ3
2L ,32R およびベーン35…は左右の第1サイドプ
レート28L ,28R および第2サイドプレート30間
に強く挟持され、それらの摺動面に発生するサイドクリ
アランスが最小限に抑えられる。その結果、前記サイド
クリアランスを通しての作動油のリークが抑制されてポ
ンプ効率が向上する。特に、ポンプ吐出圧が増加してサ
イドクリアランスが増加するときには、サイドクリアラ
ンスを減少させる方向に第1サイドプレート28L ,2
8R を押し戻す付勢力も増加するので、常に最適の付勢
力で第1サイドプレート28L ,28R を付勢すること
ができる。
【0069】ところで、左右一方の第1サイドプレート
28L ,28R だけを油圧で内向きに付勢すれば、その
付勢力を左右他方の第1サイドプレート28L ,28R
へと伝達することができるが、このように構成すると以
下のような不具合が発生する。例えば、左ベーンポンプ
PL の左第1サイドプレート28L だけを付勢可能に構
成した場合に、左ベーンポンプPL が停止して右ベーン
ポンプPR だけが作動したとする。この場合、図13に
おいて右ベーンポンプPR の吐出ポート38Rから吐出
された作動油の一部が第2オリフィス43を介して左ベ
ーンポンプPLの左油室53L に供給されて左第1サイ
ドプレート28L を付勢することになるが、その左油室
53L に伝達される油圧は第2オリフィス43により減
圧されたものであるため、左第1サイドプレート28L
に充分な付勢力を与えることができないからである。こ
の不具合は、右ベーンポンプPR の右第1サイドプレー
ト28R だけを付勢可能に構成した場合に、右ベーンポ
ンプPR が停止して左ベーンポンプPR だけが作動した
ときにも同様に発生する。
28L ,28R だけを油圧で内向きに付勢すれば、その
付勢力を左右他方の第1サイドプレート28L ,28R
へと伝達することができるが、このように構成すると以
下のような不具合が発生する。例えば、左ベーンポンプ
PL の左第1サイドプレート28L だけを付勢可能に構
成した場合に、左ベーンポンプPL が停止して右ベーン
ポンプPR だけが作動したとする。この場合、図13に
おいて右ベーンポンプPR の吐出ポート38Rから吐出
された作動油の一部が第2オリフィス43を介して左ベ
ーンポンプPLの左油室53L に供給されて左第1サイ
ドプレート28L を付勢することになるが、その左油室
53L に伝達される油圧は第2オリフィス43により減
圧されたものであるため、左第1サイドプレート28L
に充分な付勢力を与えることができないからである。こ
の不具合は、右ベーンポンプPR の右第1サイドプレー
ト28R だけを付勢可能に構成した場合に、右ベーンポ
ンプPR が停止して左ベーンポンプPR だけが作動した
ときにも同様に発生する。
【0070】それに対して、本実施例では左ベーンポン
プPL の左第1サイドプレート28 L および右ベーンポ
ンプPR の右第1サイドプレート28R が共に付勢可能
であるため、左右のベーンポンプPL ,PR の少なくと
も一方が作動すれば、その吐出圧を第2オリフィス43
を介さずに直接対応する油室53L ,53R に伝達し、
少なくとも一方の第1サイドプレート28L ,28R を
付勢することができる。そして一方の第1サイドプレー
ト28L ,28R が付勢されれば、その付勢力を軸方向
に伝達して左ケーシング21あるいは右ケーシング22
から受ける反力で他方の第1サイドプレート28L ,2
8R を付勢することができる。
プPL の左第1サイドプレート28 L および右ベーンポ
ンプPR の右第1サイドプレート28R が共に付勢可能
であるため、左右のベーンポンプPL ,PR の少なくと
も一方が作動すれば、その吐出圧を第2オリフィス43
を介さずに直接対応する油室53L ,53R に伝達し、
少なくとも一方の第1サイドプレート28L ,28R を
付勢することができる。そして一方の第1サイドプレー
ト28L ,28R が付勢されれば、その付勢力を軸方向
に伝達して左ケーシング21あるいは右ケーシング22
から受ける反力で他方の第1サイドプレート28L ,2
8R を付勢することができる。
【0071】ところで、ハイドロリックカップリング装
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
【0072】これを回避すべく、本実施例では前輪
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図10
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図11の実線参照)。
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図10
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図11の実線参照)。
【0073】一方、前述した急制動時のように後輪
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図10(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図11の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図10(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図11の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
【0074】また、ベーンポンプPL ,PR の運転に伴
って吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8L ,38R )が負圧になったとき、その負圧でチェッ
クバルブ44L …,44R …が開弁して吸入ポート37
L ,37R (あるいは吐出ポート38L ,38R )をピ
ストン45L ,45R に連通させるので、過剰な負圧に
よりキャビテーションが発生するのを確実に防止するこ
とができる。
って吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8L ,38R )が負圧になったとき、その負圧でチェッ
クバルブ44L …,44R …が開弁して吸入ポート37
L ,37R (あるいは吐出ポート38L ,38R )をピ
ストン45L ,45R に連通させるので、過剰な負圧に
よりキャビテーションが発生するのを確実に防止するこ
とができる。
【0075】以上のように、第2オリフィス43…を第
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
【0076】しかも切換バルブVL ,VR を用いて吸入
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
【0077】更に、左右のベーンポンプPL ,PR が第
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
【0078】次に、図17および図18に基づいて本発
明の第2実施例を説明する。
明の第2実施例を説明する。
【0079】第2実施例は、第1実施例の更なる改良で
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
【0080】また、ベーン35の半径方向内端に形成さ
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
【0081】而して、本第2実施例によれば、コイルス
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
【0082】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
【0083】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動輪
と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副駆
動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベー
ンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベーン
ポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが吐
出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリフ
ィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側の
ベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副駆
動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回方
向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向外
側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋回
方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制さ
れる。
によれば、車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動輪
と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副駆
動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベー
ンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベーン
ポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが吐
出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリフ
ィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側の
ベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副駆
動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回方
向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向外
側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋回
方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制さ
れる。
【0084】これと同時に左右のベーンポンプの吐出圧
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂タイトコーナーブレーキング現象を
軽減することができる。
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂タイトコーナーブレーキング現象を
軽減することができる。
【0085】左右の主駆動輪および左右一方の副駆動輪
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
【0086】而して、第2オリフィスの径をある程度小
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
【0087】特に副駆動輪への駆動力の伝達を、ベーン
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
【図1】四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図
【図2】ハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の要部拡大図
【図7】図6の7−7線断面図
【図8】コイルスプリングの斜視図
【図9】オリフィスプレートの斜視図
【図10】オリフィスプレートの作用説明図
【図11】オリフィスプレートの作用を説明するグラフ
【図12】図5の12−12線拡大断面図
【図13】ハイドロリックカップリング装置の油圧回路
図
図
【図14】前輪および後輪の差回転と後輪への伝達トル
クとの関係を示すグラフ
クとの関係を示すグラフ
【図15】第2オリフィスの径と後輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ
の関係を示すグラフ
【図16】本発明による車両の旋回性能向上の作用説明
図
図
【図17】本発明の第2実施例に係る、前記図6に対応
する図
する図
【図18】本発明の第2実施例に係るコイルスプリング
の斜視図
の斜視図
【図19】従来の車両の旋回時の作用説明図
CL 左油圧クラッチ CR 右油圧クラッチ E エンジン PL 左ベーンポンプ PR 右ベーンポンプ WFL 左前輪(主駆動輪) WFR 右前輪(主駆動輪) WRL 左後輪(副駆動輪) WRR 右後輪(副駆動輪) 10 プロペラシャフト(入力軸) 13L 左車軸(駆動軸) 13R 右車軸(駆動軸) 14L 左ロータシャフト 14R 左ロータシャフト 24 ケーシング 28L 左第1サイドプレート 28R 右第1サイドプレート 29L 左カムリング 29R 右カムリング 30 第2サイドプレート(サイドプレート) 32L 左ロータ 32R 右ロータ 35 ベーン 37L 吸入ポート 37R 吸入ポート 38L 吐出ポート 38R 吐出ポート 41L 左第1オリフィス 41R 右第1オリフィス 43 第2オリフィス 53L 左油室 53R 左油室
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月1日(1999.12.
1)
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 四輪駆動車両の動力伝達装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータに放射状に
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させたベーンポンプ
を2個備えて主駆動輪および副駆動輪間で駆動力の配分
を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に関する。
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させたベーンポンプ
を2個備えて主駆動輪および副駆動輪間で駆動力の配分
を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力が直接伝達される主駆
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報により公知である。
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報により公知である。
【0003】上記特開平3−104736号公報に記載
された動力伝達装置は、主駆動輪である前輪および左副
駆動輪である左後輪の相対回転速度差に応じて作動する
左ベーンポンプの低圧部および高圧部間に設けられた左
第1オリフィスと、主駆動輪である前輪および右副駆動
輪である右後輪の相対回転速度差に応じて作動する右ベ
ーンポンプの低圧部および高圧部間に設けられた右第1
オリフィスと、左ベーンポンプの低圧部および右ベーン
ポンプの低圧部間、並びに左ベーンポンプの高圧部およ
び右ベーンポンプの高圧部間にそれぞれ設けられた第2
オリフィスとを備えている。
された動力伝達装置は、主駆動輪である前輪および左副
駆動輪である左後輪の相対回転速度差に応じて作動する
左ベーンポンプの低圧部および高圧部間に設けられた左
第1オリフィスと、主駆動輪である前輪および右副駆動
輪である右後輪の相対回転速度差に応じて作動する右ベ
ーンポンプの低圧部および高圧部間に設けられた右第1
オリフィスと、左ベーンポンプの低圧部および右ベーン
ポンプの低圧部間、並びに左ベーンポンプの高圧部およ
び右ベーンポンプの高圧部間にそれぞれ設けられた第2
オリフィスとを備えている。
【0004】図19に示すように、車両が低速でタイト
な旋回を行うと前輪と後輪との間に回転数差が発生し、
かつ左右の後輪間に回転数差が発生するため、左右のベ
ーンポンプは相互に異なる量の作動油を吐出する。左右
のベーンポンプの吐出量の差分に相当する作動油は前記
第2オリフィスを通過して行き来するため、第2オリフ
ィスの径の大小に応じて左右のベーンポンプの負荷、つ
まり前輪から左右の後輪に伝達されるトルクの大きさが
変化する。
な旋回を行うと前輪と後輪との間に回転数差が発生し、
かつ左右の後輪間に回転数差が発生するため、左右のベ
ーンポンプは相互に異なる量の作動油を吐出する。左右
のベーンポンプの吐出量の差分に相当する作動油は前記
第2オリフィスを通過して行き来するため、第2オリフ
ィスの径の大小に応じて左右のベーンポンプの負荷、つ
まり前輪から左右の後輪に伝達されるトルクの大きさが
変化する。
【0005】図15(A)は車両がフル転舵の右旋回を
行うとき、左右の後輪に伝達されるトルクが第2オリフ
ィスの径に応じてどのように変化するかを示すものであ
る。旋回内輪となる右後輪は前輪との回転数差が大きい
ために大きなトルクが伝達され、また旋回外輪となる左
後輪は前輪との回転数差が小さいために小さなトルクが
伝達される。そして左右の後輪に伝達されるトルクの差
は第2オリフィスの径が小さいほど大きく、第2オリフ
ィスの径が増加すると左右の副駆動輪に伝達されるトル
クの差は0に収束する。
行うとき、左右の後輪に伝達されるトルクが第2オリフ
ィスの径に応じてどのように変化するかを示すものであ
る。旋回内輪となる右後輪は前輪との回転数差が大きい
ために大きなトルクが伝達され、また旋回外輪となる左
後輪は前輪との回転数差が小さいために小さなトルクが
伝達される。そして左右の後輪に伝達されるトルクの差
は第2オリフィスの径が小さいほど大きく、第2オリフ
ィスの径が増加すると左右の副駆動輪に伝達されるトル
クの差は0に収束する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、左右の前輪
および左右一方の後輪が泥濘にはまってスリップしたよ
うな場合、摩擦係数の高い路面に乗っている左右他方の
後輪にトルクを伝達して泥濘を脱出するには、第2オリ
フィスの径をある程度小さくして動力伝達装置に作動制
限機能を発揮させる必要がある。しかしながら、第2オ
リフィスの径を小さくすると、図19に示すように旋回
内輪となる右後輪に大きなトルクが伝達され、また旋回
外輪となる左後輪に小さなトルクが伝達されるため、左
右のトルクの差が車両の右旋回を妨げるように作用して
しまい、所謂アンダーステア現象が発生する問題があ
る。
および左右一方の後輪が泥濘にはまってスリップしたよ
うな場合、摩擦係数の高い路面に乗っている左右他方の
後輪にトルクを伝達して泥濘を脱出するには、第2オリ
フィスの径をある程度小さくして動力伝達装置に作動制
限機能を発揮させる必要がある。しかしながら、第2オ
リフィスの径を小さくすると、図19に示すように旋回
内輪となる右後輪に大きなトルクが伝達され、また旋回
外輪となる左後輪に小さなトルクが伝達されるため、左
右のトルクの差が車両の右旋回を妨げるように作用して
しまい、所謂アンダーステア現象が発生する問題があ
る。
【0007】つまり、第2オリフィスの径を大きくすれ
ばアンダーステア現象を回避できるが作動制限機能を発
揮させることができなくなり、逆に第2オリフィスの径
を小さくすれば作動制限機能を発揮させることができる
がアンダーステア現象を回避できなくなってしまう。
ばアンダーステア現象を回避できるが作動制限機能を発
揮させることができなくなり、逆に第2オリフィスの径
を小さくすれば作動制限機能を発揮させることができる
がアンダーステア現象を回避できなくなってしまう。
【0008】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に
おいて、アンダーステア現象の回避と作動制限機能の発
揮とを両立させることを目的とする。
で、ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置に
おいて、アンダーステア現象の回避と作動制限機能の発
揮とを両立させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸と、左側の副
駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副駆動輪に接続
された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプと、入力軸および
右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポ
ンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート
間に設けられた左第1オリフィスと、右ベーンポンプの
吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリ
フィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーン
ポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポ
ートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設
けられた第2オリフィスとを備え、前記各ベーンポンプ
は、ケーシングの内部に、左右の第1サイドプレート
と、左右の第1サイドプレート間に配置された第2サイ
ドプレートと、左第1サイドプレートおよび第2サイド
プレート間に配置された左カムリングおよび左ロータ
と、右第1サイドプレートおよび第2サイドプレート間
に配置された右カムリングおよび右ロータと、左ロータ
を左駆動軸に接続する左ロータシャフトと、右ロータを
右駆動軸に接続する右ロータシャフトと、左右のロータ
に半径方向摺動自在に支持されて半径方向外端が左右の
カムリングの内周面にそれぞれ当接する複数のベーンと
を収納した四輪駆動車両の動力伝達装置において、左右
の第1サイドプレート、左右のカムリングおよび第2サ
イドプレートをケーシングの内部に軸方摺動自在に支持
し、左第1サイドプレートおよびケーシング間に、左ベ
ーンポンプの吐出圧が導入される左油室と、この左油室
から受ける軸方向の荷重で作動して左ロータシャフトを
ケーシングに拘束する左油圧クラッチとを設け、右第1
サイドプレートおよびケーシング間に、右ベーンポンプ
の吐出圧が導入される右油室と、この右油室から受ける
軸方向の荷重で作動して右ロータシャフトをケーシング
に拘束する右油圧クラッチとを設けたことを特徴とする
四輪駆動車両の動力伝達装置が提案される。
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸と、左側の副
駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副駆動輪に接続
された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプと、入力軸および
右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動する右ベーンポ
ンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート
間に設けられた左第1オリフィスと、右ベーンポンプの
吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられた右第1オリ
フィスと、左ベーンポンプの吸入ポートおよび右ベーン
ポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポンプの吐出ポ
ートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間にそれぞれ設
けられた第2オリフィスとを備え、前記各ベーンポンプ
は、ケーシングの内部に、左右の第1サイドプレート
と、左右の第1サイドプレート間に配置された第2サイ
ドプレートと、左第1サイドプレートおよび第2サイド
プレート間に配置された左カムリングおよび左ロータ
と、右第1サイドプレートおよび第2サイドプレート間
に配置された右カムリングおよび右ロータと、左ロータ
を左駆動軸に接続する左ロータシャフトと、右ロータを
右駆動軸に接続する右ロータシャフトと、左右のロータ
に半径方向摺動自在に支持されて半径方向外端が左右の
カムリングの内周面にそれぞれ当接する複数のベーンと
を収納した四輪駆動車両の動力伝達装置において、左右
の第1サイドプレート、左右のカムリングおよび第2サ
イドプレートをケーシングの内部に軸方摺動自在に支持
し、左第1サイドプレートおよびケーシング間に、左ベ
ーンポンプの吐出圧が導入される左油室と、この左油室
から受ける軸方向の荷重で作動して左ロータシャフトを
ケーシングに拘束する左油圧クラッチとを設け、右第1
サイドプレートおよびケーシング間に、右ベーンポンプ
の吐出圧が導入される右油室と、この右油室から受ける
軸方向の荷重で作動して右ロータシャフトをケーシング
に拘束する右油圧クラッチとを設けたことを特徴とする
四輪駆動車両の動力伝達装置が提案される。
【0010】上記構成によれば、主駆動輪と副駆動輪と
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生し、かつ左右のベー
ンポンプの吐出圧が左右の油室に伝達されて左右の油圧
クラッチが作動して左右のロータシャフトをケーシング
に結合する。その結果、入力軸から左右の駆動軸への動
力伝達が行われて主駆動輪の駆動力の一部が副駆動輪に
配分され、主駆動輪および副駆動輪の両方が駆動される
四輪駆動状態になる。
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生し、かつ左右のベー
ンポンプの吐出圧が左右の油室に伝達されて左右の油圧
クラッチが作動して左右のロータシャフトをケーシング
に結合する。その結果、入力軸から左右の駆動軸への動
力伝達が行われて主駆動輪の駆動力の一部が副駆動輪に
配分され、主駆動輪および副駆動輪の両方が駆動される
四輪駆動状態になる。
【0011】車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベ
ーンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベー
ンポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが
吐出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリ
フィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側
のベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副
駆動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回
方向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向
外側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋
回方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制
される。
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベ
ーンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベー
ンポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが
吐出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリ
フィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側
のベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副
駆動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回
方向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向
外側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋
回方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制
される。
【0012】これと同時に左右のベーンポンプの吐出圧
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂アンダーステア現象を軽減すること
ができる。
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂アンダーステア現象を軽減すること
ができる。
【0013】左右の主駆動輪および左右一方の副駆動輪
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
【0014】而して、第2オリフィスの径をある程度小
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
【0015】特に副駆動輪への駆動力の伝達を、ベーン
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
【0016】また左右の油室にポンプ吐出圧が導入され
るので、ケーシングの剛性を特別に増加させることな
く、ポンプ吐出圧で左右の第1サイドプレートを左右の
ロータおよび左右のカムリングに向けて付勢してサイド
クリアランスを減少させ、作動油のリークを抑制してポ
ンプ効率を高めることができる。特にポンプ吐出圧が増
加してサイドクリアランスが増加すると、左右の第1サ
イドプレートを押し戻す付勢力も増加するので、常に最
適の付勢力で第1サイドプレートを付勢することができ
る。しかも油圧クラッチの油室に加わる油圧を利用して
サイドクリアランスを減少させることができるので、サ
イドクリアランスを減少させるための特別の手段が不要
になって部品点数が削減される。
るので、ケーシングの剛性を特別に増加させることな
く、ポンプ吐出圧で左右の第1サイドプレートを左右の
ロータおよび左右のカムリングに向けて付勢してサイド
クリアランスを減少させ、作動油のリークを抑制してポ
ンプ効率を高めることができる。特にポンプ吐出圧が増
加してサイドクリアランスが増加すると、左右の第1サ
イドプレートを押し戻す付勢力も増加するので、常に最
適の付勢力で第1サイドプレートを付勢することができ
る。しかも油圧クラッチの油室に加わる油圧を利用して
サイドクリアランスを減少させることができるので、サ
イドクリアランスを減少させるための特別の手段が不要
になって部品点数が削減される。
【0017】更に左右両方の第1サイドプレートが各々
対応するベーンポンプの吐出圧で付勢可能であるため、
少なくとも一方のベーンポンプが作動していれば、その
ベーンポンプの吐出圧を第2オリフィスを介さずに一方
の第1サイドプレートに直接伝達し、その第1サイドプ
レートを充分な付勢力で付勢することができる。その結
果、一方の第1サイドプレートの付勢力を左右のカムリ
ングおよび第2サイドプレートを介して他方の第1サイ
ドプレートまで伝達し、左右のベーンポンプのサイドク
リアランスを共に減少させることができる。
対応するベーンポンプの吐出圧で付勢可能であるため、
少なくとも一方のベーンポンプが作動していれば、その
ベーンポンプの吐出圧を第2オリフィスを介さずに一方
の第1サイドプレートに直接伝達し、その第1サイドプ
レートを充分な付勢力で付勢することができる。その結
果、一方の第1サイドプレートの付勢力を左右のカムリ
ングおよび第2サイドプレートを介して他方の第1サイ
ドプレートまで伝達し、左右のベーンポンプのサイドク
リアランスを共に減少させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】図1〜図16は本発明の第1実施例を示す
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
要部拡大図、図7は図6の7−7線断面図、図8はコイ
ルスプリングの斜視図、図9はオリフィスプレートの斜
視図、図10はオリフィスプレートの作用説明図、図1
1はオリフィスプレートの作用を説明するグラフ、図1
2は図5の12−12線拡大断面図、図13はハイドロ
リックカップリング装置の油圧回路図、図14は主駆動
輪および副駆動輪の差回転と副駆動輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ、図15は第2オリフィスの径と副
駆動輪への伝達トルクとの関係を示すグラフ、図16は
本発明による車両の旋回性能向上の作用説明図である。
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
要部拡大図、図7は図6の7−7線断面図、図8はコイ
ルスプリングの斜視図、図9はオリフィスプレートの斜
視図、図10はオリフィスプレートの作用説明図、図1
1はオリフィスプレートの作用を説明するグラフ、図1
2は図5の12−12線拡大断面図、図13はハイドロ
リックカップリング装置の油圧回路図、図14は主駆動
輪および副駆動輪の差回転と副駆動輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ、図15は第2オリフィスの径と副
駆動輪への伝達トルクとの関係を示すグラフ、図16は
本発明による車両の旋回性能向上の作用説明図である。
【0020】図1に示すように、四輪駆動車両Vは車体
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
【0021】第1動力伝達系D1 の駆動力を副駆動輪と
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
【0022】次に、図2に基づいてハイドロリックカッ
プリング装置Hの構造を説明する。
プリング装置Hの構造を説明する。
【0023】ハイドロリックカップリング装置Hは、概
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
【0024】ニードルベアリング25L を介して左ケー
シング21に回転自在に支持された左ロータシャフト1
4L は、その中間部に形成されたフランジ141 の左側
面がスラストワッシャ26L を介して左ケーシング21
に対向するとともに、その外周面と左ケーシング21と
の間にシール部材27L が配置される。ニードルベアリ
ング25R を介して右ケーシング22に回転自在に支持
された右ロータシャフト14R は、その中間部に形成さ
れたフランジ141 の右側面がスラストワッシャ26R
を介して右ケーシング22に対向するとともに、その外
周面と右ケーシング22との間にシール部材27R が配
置される。
シング21に回転自在に支持された左ロータシャフト1
4L は、その中間部に形成されたフランジ141 の左側
面がスラストワッシャ26L を介して左ケーシング21
に対向するとともに、その外周面と左ケーシング21と
の間にシール部材27L が配置される。ニードルベアリ
ング25R を介して右ケーシング22に回転自在に支持
された右ロータシャフト14R は、その中間部に形成さ
れたフランジ141 の右側面がスラストワッシャ26R
を介して右ケーシング22に対向するとともに、その外
周面と右ケーシング22との間にシール部材27R が配
置される。
【0025】ケーシング24の内部には、左ベーンポン
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合52(図
2〜図6参照)してケーシング24に対して回り止めさ
れる。左ロータシャフト14L にスプライン結合された
左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、左カ
ムリング29Lおよび第2サイドプレート30に囲まれ
た空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフト1
4R にスプライン結合された右ロータ32R が、右第1
サイドプレート28R 、右カムリング29R および第2
サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収納さ
れる。第2サイドプレート30は左ベーンポンプPL お
よび右ベーンポンプPR に共通する構成要素であり、そ
の内周面にブッシュ33を介して左ロータシャフト14
L および右ロータシャフト14R の対向部の外周が相対
回転自在に支持される。
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合52(図
2〜図6参照)してケーシング24に対して回り止めさ
れる。左ロータシャフト14L にスプライン結合された
左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、左カ
ムリング29Lおよび第2サイドプレート30に囲まれ
た空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフト1
4R にスプライン結合された右ロータ32R が、右第1
サイドプレート28R 、右カムリング29R および第2
サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収納さ
れる。第2サイドプレート30は左ベーンポンプPL お
よび右ベーンポンプPR に共通する構成要素であり、そ
の内周面にブッシュ33を介して左ロータシャフト14
L および右ロータシャフト14R の対向部の外周が相対
回転自在に支持される。
【0026】次に、図3〜図5を併せて参照しながら右
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
【0027】右カムリング29R の内周面は概略3角形
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
【0028】図7〜図9から明らかなように、前記コイ
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
【0029】このように、コイルスプリング36の半径
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
【0030】またコイルスプリング36の半径方向外端
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
【0031】以上のようにコイルスプリング36の横断
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
【0032】更にコイルスプリング36の半径方向外部
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
【0033】図2〜図4および図10から明らかなよう
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
【0034】尚、左右のベーンポンプPL ,PR は、そ
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
【0035】図9に示すように、オリフィスプレート支
持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレー
ト40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点部
40 1 から延びる板状の弁部402 とから構成されてお
り、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリフ
ィス41R が貫通するように形成される。またオリフィ
スプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠4
2が施される。図10に示すように、上記構造を有する
オリフィスプレート40R は、支点部401 がオリフィ
スプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁部
402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部392
の内部において揺動する。
持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレー
ト40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点部
40 1 から延びる板状の弁部402 とから構成されてお
り、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリフ
ィス41R が貫通するように形成される。またオリフィ
スプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠4
2が施される。図10に示すように、上記構造を有する
オリフィスプレート40R は、支点部401 がオリフィ
スプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁部
402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部392
の内部において揺動する。
【0036】図3および図6から明らかなように、オリ
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
【0037】またロータ32R の外周面とカムリング2
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
【0038】右ベーンポンプPR のオリフィスプレート
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
【0039】図2および図4から明らかなように、第2
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
【0040】前記第2オリフィス43…は、第2サイド
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
【0041】図5から明らかなように、右第1サイドプ
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設されてお
り、これら右第1サイドプレート28R の3個の吸入ポ
ート37R …および3個の吐出ポート38R …は、合計
6個のチェックバルブ44R …を介して該右第1サイド
プレート28R の右側面に連通する。前記チェックバル
ブ44R …は右第1サイドプレート28R の右側面から
吸入ポート37 R …および吐出ポート38R …側への作
動油の流通を許容し、その逆方向への作動油の流通を規
制する。
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設されてお
り、これら右第1サイドプレート28R の3個の吸入ポ
ート37R …および3個の吐出ポート38R …は、合計
6個のチェックバルブ44R …を介して該右第1サイド
プレート28R の右側面に連通する。前記チェックバル
ブ44R …は右第1サイドプレート28R の右側面から
吸入ポート37 R …および吐出ポート38R …側への作
動油の流通を許容し、その逆方向への作動油の流通を規
制する。
【0042】図12を併せて参照すると明らかなよう
に、各チェックバルブ44R は、右第1サイドプレート
28R の吸入ポート37R および吐出ポート38R の底
面に凹設した弁座282 と、この弁座282 に着座可能
なチェックボール58とから構成されており、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が高圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 に着座して閉弁し、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が低圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 から離反して開弁する。
に、各チェックバルブ44R は、右第1サイドプレート
28R の吸入ポート37R および吐出ポート38R の底
面に凹設した弁座282 と、この弁座282 に着座可能
なチェックボール58とから構成されており、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が高圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 に着座して閉弁し、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が低圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 から離反して開弁する。
【0043】このようにチェックバルブ44R を右第1
サイドプレート28R の内部に設けたことにより、その
チェックバルブ44R に連なる油路の長さを最小限に抑
えるとともに、部品点数の増加を最小限に抑えることが
できる。また右第1サイドプレート28R の吸入ポート
37R および吐出ポート38R に右ロータ32R が対向
しているので、その右ロータ32R でチェックボール5
8の脱落を規制することができる。
サイドプレート28R の内部に設けたことにより、その
チェックバルブ44R に連なる油路の長さを最小限に抑
えるとともに、部品点数の増加を最小限に抑えることが
できる。また右第1サイドプレート28R の吸入ポート
37R および吐出ポート38R に右ロータ32R が対向
しているので、その右ロータ32R でチェックボール5
8の脱落を規制することができる。
【0044】図2および図6から明らかなように、左右
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
【0045】而して、ベーンポンプPL ,PR の運転に
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
【0046】図2および図6から明らかなように、左ケ
ーシング21と左第1サイドプレート28L との間に左
油圧クラッチCL が配置され、右ケーシング22と右第
1サイドプレート28R との間に右油圧クラッチCR が
配置される。左油圧クラッチCL は、左第1サイドプレ
ート28L の左側面および左ケーシング21の右側面間
に軸方向に積層されたプレッシャプレート49と、3枚
のクラッチプレート50…と、2枚のクラッチディスク
51,51とを備える。3枚のクラッチプレート50…
および2枚のクラッチディスク51,51は交互に配置
され、クラッチプレート50…の外周部は左ケーシング
21の内周面にスプライン結合され、クラッチディスク
51,51の内周部は左ロータシャフト14L の外周面
にスプライン結合される。
ーシング21と左第1サイドプレート28L との間に左
油圧クラッチCL が配置され、右ケーシング22と右第
1サイドプレート28R との間に右油圧クラッチCR が
配置される。左油圧クラッチCL は、左第1サイドプレ
ート28L の左側面および左ケーシング21の右側面間
に軸方向に積層されたプレッシャプレート49と、3枚
のクラッチプレート50…と、2枚のクラッチディスク
51,51とを備える。3枚のクラッチプレート50…
および2枚のクラッチディスク51,51は交互に配置
され、クラッチプレート50…の外周部は左ケーシング
21の内周面にスプライン結合され、クラッチディスク
51,51の内周部は左ロータシャフト14L の外周面
にスプライン結合される。
【0047】プレッシャプレート49の内面に環状のシ
リンダ491 が凹設されており、左第1サイドプレート
28L の外面に突設した環状のピストン283 がシール
部材54を介して前記シリンダ491 に嵌合する。そし
てシリンダ491 およびピストン283 間に区画された
左油室53L は、左第1サイドプレート28L を貫通す
る油路284 …を介して左ベーンポンプPL のベーン溝
321 …に連通する。図5に示すように、前記油路28
4 …は左第1サイドプレート28L に6個設けられる。
リンダ491 が凹設されており、左第1サイドプレート
28L の外面に突設した環状のピストン283 がシール
部材54を介して前記シリンダ491 に嵌合する。そし
てシリンダ491 およびピストン283 間に区画された
左油室53L は、左第1サイドプレート28L を貫通す
る油路284 …を介して左ベーンポンプPL のベーン溝
321 …に連通する。図5に示すように、前記油路28
4 …は左第1サイドプレート28L に6個設けられる。
【0048】右油圧クラッチCR の構造は左油圧クラッ
チCL の構造と左右対称であり、プレッシャプレート4
9、クラッチプレート50…、クラッチディスク51,
51および右油室53R から構成される。
チCL の構造と左右対称であり、プレッシャプレート4
9、クラッチプレート50…、クラッチディスク51,
51および右油室53R から構成される。
【0049】以上、右ベーンポンプPR の構造を中心に
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
【0050】図13は上記ハイドロリックカップリング
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
【0051】左ベーンポンプPL の吸入ポート37L お
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油圧
クラッチCL の左油室53L に連通し、また右ベーンポ
ンプPR の吸入ポート37Rおよび吐出ポート38R の
何れか高圧側は切換バルブVR を介してベーン押上ポー
ト281 ,301 および右油圧クラッチCR の右油室5
3R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入ポート37
L および吐出ポート38L の何れか低圧側は左第1サイ
ドプレート28L に設けたチェックバルブ44L を介し
てピストン45 L ,45R に連通し、また右ベーンポン
プPR の吸入ポート37R および吐出ポート38R の何
れか低圧側は右第1サイドプレート28R に設けたチェ
ックバルブ44R を介してピストン45L ,45R に連
通する。
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油圧
クラッチCL の左油室53L に連通し、また右ベーンポ
ンプPR の吸入ポート37Rおよび吐出ポート38R の
何れか高圧側は切換バルブVR を介してベーン押上ポー
ト281 ,301 および右油圧クラッチCR の右油室5
3R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入ポート37
L および吐出ポート38L の何れか低圧側は左第1サイ
ドプレート28L に設けたチェックバルブ44L を介し
てピストン45 L ,45R に連通し、また右ベーンポン
プPR の吸入ポート37R および吐出ポート38R の何
れか低圧側は右第1サイドプレート28R に設けたチェ
ックバルブ44R を介してピストン45L ,45R に連
通する。
【0052】更に、ベーン押上ポート281 ,301 と
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
【0053】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
の作用について説明する。
【0054】車両Vが定速走行する状態では、エンジン
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
【0055】また低摩擦路における発進時や急加速時に
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。
【0056】更に、左右のベーンポンプPL ,PR の吐
出ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の
油圧クラッチCL ,CR の油室53L ,53R に伝達さ
れ、その油圧によって外側に押圧されたプレッシャプレ
ート49,49がクラッチプレート50…およびクラッ
チディスク51…を相互に密着させることにより、左右
のロータシャフト14L ,14R がケーシング24に結
合される。その結果、ケーシング24に接続された前輪
WFL,WFRの駆動力が左右のロータシャフト14L ,1
4R に接続された左右の後輪WRL,WRRに伝達される。
出ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の
油圧クラッチCL ,CR の油室53L ,53R に伝達さ
れ、その油圧によって外側に押圧されたプレッシャプレ
ート49,49がクラッチプレート50…およびクラッ
チディスク51…を相互に密着させることにより、左右
のロータシャフト14L ,14R がケーシング24に結
合される。その結果、ケーシング24に接続された前輪
WFL,WFRの駆動力が左右のロータシャフト14L ,1
4R に接続された左右の後輪WRL,WRRに伝達される。
【0057】図14(A)および図14(B)を比較す
ると明らかなように、左右のベーンポンプPL ,PR の
負荷によって前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達
されるトルクの一部を、左右の油圧クラッチCL ,CR
により伝達されるトルクで置き換えることにより、ベー
ンポンプPL ,PR の容量を減少させて小型軽量化を図
りながら従来と同等のトルク伝達容量を確保することが
できる。しかもベーンポンプPL ,PR の吐出圧の脈動
を、油圧クラッチCL ,CR の摩擦力で吸収して制振効
果を発揮させることができる。
ると明らかなように、左右のベーンポンプPL ,PR の
負荷によって前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達
されるトルクの一部を、左右の油圧クラッチCL ,CR
により伝達されるトルクで置き換えることにより、ベー
ンポンプPL ,PR の容量を減少させて小型軽量化を図
りながら従来と同等のトルク伝達容量を確保することが
できる。しかもベーンポンプPL ,PR の吐出圧の脈動
を、油圧クラッチCL ,CR の摩擦力で吸収して制振効
果を発揮させることができる。
【0058】而して、前輪WFL,WFRのスリップ時には
ポンプトルクおよびクラッチトルクが前輪WFL,WFRか
ら後輪WRL,WRRに配分され、車両Vを四輪駆動状態に
してトラクションを増加させることができる。
ポンプトルクおよびクラッチトルクが前輪WFL,WFRか
ら後輪WRL,WRRに配分され、車両Vを四輪駆動状態に
してトラクションを増加させることができる。
【0059】車両Vが低速でタイトな旋回を行うとき、
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは旋回内輪側で大きく、旋回外輪側で小さく
なる。
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは旋回内輪側で大きく、旋回外輪側で小さく
なる。
【0060】例えば、図16に示すように、車両Vが低
速でタイトな右旋回を行うとき、車輪速が小さいために
前輪WFL,WFRとの差回転が大きい右後輪WRR側のベー
ンポンプPR の負荷が大きくなり、従って右後輪WRRに
伝達されるポンプトルクが大きくなる。一方、車輪速が
大きいために前輪WFL,WFRとの差回転が小さい左後輪
WRL側のベーンポンプPL の負荷が小さくなり、従って
左後輪WRLに伝達されるポンプトルクが小さくなる。
速でタイトな右旋回を行うとき、車輪速が小さいために
前輪WFL,WFRとの差回転が大きい右後輪WRR側のベー
ンポンプPR の負荷が大きくなり、従って右後輪WRRに
伝達されるポンプトルクが大きくなる。一方、車輪速が
大きいために前輪WFL,WFRとの差回転が小さい左後輪
WRL側のベーンポンプPL の負荷が小さくなり、従って
左後輪WRLに伝達されるポンプトルクが小さくなる。
【0061】左右の後輪WRL,WRRには前記ベーンポン
プPL ,PR の負荷に基づくポンプトルクに加えて、左
右の油圧クラッチCL ,CR の締結に基づくクラッチト
ルクが伝達されるが、このクラッチトルクは左右の後輪
WRL,WRRについて等しくなる。なぜならば、右旋回中
には右ベーンポンプPR の吐出圧が大きくなって右油室
53R に大きな油圧が伝達され、左ベーンポンプPR の
吐出圧が小さくなって左油室53L に小さな油圧が伝達
されるが、左右のベーンポンプPL ,PR の第2サイド
プレート28L ,28R 、カムリング29L ,29R お
よび第2サイドプレート30はケーシング24に対して
軸方向移動自在にスプライン嵌合52しているため、左
右の油室53L ,53R の何れか大きい方の油圧が左右
の油圧クラッチCL ,CR に作用して左右のクラッチト
ルクが等しくなるためである。
プPL ,PR の負荷に基づくポンプトルクに加えて、左
右の油圧クラッチCL ,CR の締結に基づくクラッチト
ルクが伝達されるが、このクラッチトルクは左右の後輪
WRL,WRRについて等しくなる。なぜならば、右旋回中
には右ベーンポンプPR の吐出圧が大きくなって右油室
53R に大きな油圧が伝達され、左ベーンポンプPR の
吐出圧が小さくなって左油室53L に小さな油圧が伝達
されるが、左右のベーンポンプPL ,PR の第2サイド
プレート28L ,28R 、カムリング29L ,29R お
よび第2サイドプレート30はケーシング24に対して
軸方向移動自在にスプライン嵌合52しているため、左
右の油室53L ,53R の何れか大きい方の油圧が左右
の油圧クラッチCL ,CR に作用して左右のクラッチト
ルクが等しくなるためである。
【0062】図19の従来例と図16の本実施例とを比
較すると明らかなように、従来のものは、左右の後輪W
RL,WRRに伝達されるトルクが全てポンプトルクで賄わ
れるため、左右の後輪WRL,WRRのトルク差が大きくな
って旋回を妨げる方向に大きなヨーモーメントが作用し
てしまう。それに対して、本実施例のものは、左右の後
輪WRL,WRRに伝達されるトルクの一部だけがポンプト
ルクで賄われ、残部は左右の大きさが等しいクラッチト
ルクであるため、ポンプトルクそのものが小さくなって
左右のポンプトルクの差も小さくなり、全体として左右
の後輪WRL,W RRのトルク差を従来のものに比べて小さ
くし、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減少させる
ことができる。これにより、アンダーステア現象を軽減
して車両Vの旋回性能を向上させることができる。
較すると明らかなように、従来のものは、左右の後輪W
RL,WRRに伝達されるトルクが全てポンプトルクで賄わ
れるため、左右の後輪WRL,WRRのトルク差が大きくな
って旋回を妨げる方向に大きなヨーモーメントが作用し
てしまう。それに対して、本実施例のものは、左右の後
輪WRL,WRRに伝達されるトルクの一部だけがポンプト
ルクで賄われ、残部は左右の大きさが等しいクラッチト
ルクであるため、ポンプトルクそのものが小さくなって
左右のポンプトルクの差も小さくなり、全体として左右
の後輪WRL,W RRのトルク差を従来のものに比べて小さ
くし、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減少させる
ことができる。これにより、アンダーステア現象を軽減
して車両Vの旋回性能を向上させることができる。
【0063】図15(A)は、図19に示す従来の車両
における左右の後輪WRL,WRRのポンプトルクを示すも
ので、第2オリフィス43の径が小さい領域で左右の後
輪W RL,WRRのポンプトルクの差が極めて大きくなって
いることが分かる。図15(A)は、図16に示す本実
施例の車両Vにおける左右の後輪WRL,WRRのトルク
(ポンプトルクおよびクラッチトルクの和)を示すもの
で、第2オリフィス43の径が小さい領域でも左右の後
輪WRL,WRRのトルクの差が大幅に減少していることが
分かる。
における左右の後輪WRL,WRRのポンプトルクを示すも
ので、第2オリフィス43の径が小さい領域で左右の後
輪W RL,WRRのポンプトルクの差が極めて大きくなって
いることが分かる。図15(A)は、図16に示す本実
施例の車両Vにおける左右の後輪WRL,WRRのトルク
(ポンプトルクおよびクラッチトルクの和)を示すもの
で、第2オリフィス43の径が小さい領域でも左右の後
輪WRL,WRRのトルクの差が大幅に減少していることが
分かる。
【0064】左後輪WRLを除く左右の前輪WFL,WFRお
よび右後輪WRRが泥濘にはまったような場合、スリップ
する前輪WFL,WFRに連動してカムリング29L ,29
R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減少している右
後輪WRRも、カムリング29 R からベーン35…、ロー
タ32R およびロータシャフト14R を介して伝達され
るトルクによりスリップしてしまう。このとき、第2オ
リフィス43,43の径が充分に小さく設定されていれ
ば、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪W RL側のベ
ーンポンプPL に大きな負荷が発生するため、その左後
輪WRLに充分なトルクが伝達されて泥濘からの脱出が可
能となる。即ち、本実施例のハイドロリックカップリン
グ装置Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能
を発揮させることが可能となる。
よび右後輪WRRが泥濘にはまったような場合、スリップ
する前輪WFL,WFRに連動してカムリング29L ,29
R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減少している右
後輪WRRも、カムリング29 R からベーン35…、ロー
タ32R およびロータシャフト14R を介して伝達され
るトルクによりスリップしてしまう。このとき、第2オ
リフィス43,43の径が充分に小さく設定されていれ
ば、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪W RL側のベ
ーンポンプPL に大きな負荷が発生するため、その左後
輪WRLに充分なトルクが伝達されて泥濘からの脱出が可
能となる。即ち、本実施例のハイドロリックカップリン
グ装置Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能
を発揮させることが可能となる。
【0065】尚、第2オリフィス43の径を減少させる
ほど差動制限機能を強めることができるが、第2オリフ
ィス43の径を減少させると前述した低速での急旋回時
に旋回を妨げるヨーモーメントが強く発生するこにな
る。しかしながら、本実施例によれば上述した望ましく
ないヨーモーメントを左右の油圧クラッチCL ,CR が
発生するクラッチトルクによって軽減することができる
ので、第2オリフィス43の径をある程度小さく設定し
て必要な差動制限機能を確保しながら、低速での急旋回
時における旋回性能の低下を防止することができる。
ほど差動制限機能を強めることができるが、第2オリフ
ィス43の径を減少させると前述した低速での急旋回時
に旋回を妨げるヨーモーメントが強く発生するこにな
る。しかしながら、本実施例によれば上述した望ましく
ないヨーモーメントを左右の油圧クラッチCL ,CR が
発生するクラッチトルクによって軽減することができる
ので、第2オリフィス43の径をある程度小さく設定し
て必要な差動制限機能を確保しながら、低速での急旋回
時における旋回性能の低下を防止することができる。
【0066】前述した低摩擦路における発進時や急加速
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図10(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図10(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
【0067】左右のベーンポンプPL ,PR の吐出圧に
よって左右の油圧クラッチCL ,C R が作動すると、左
右の油室53L ,53R に伝達される油圧で左右の第1
サイドプレート28L ,28R が内向きに付勢されるた
め、左右のカムリング29L,29R 、左右のロータ3
2L ,32R およびベーン35…は左右の第1サイドプ
レート28L ,28R および第2サイドプレート30間
に強く挟持され、それらの摺動面に発生するサイドクリ
アランスが最小限に抑えられる。その結果、前記サイド
クリアランスを通しての作動油のリークが抑制されてポ
ンプ効率が向上する。特に、ポンプ吐出圧が増加してサ
イドクリアランスが増加するときには、サイドクリアラ
ンスを減少させる方向に第1サイドプレート28L ,2
8R を押し戻す付勢力も増加するので、常に最適の付勢
力で第1サイドプレート28L ,28R を付勢すること
ができる。
よって左右の油圧クラッチCL ,C R が作動すると、左
右の油室53L ,53R に伝達される油圧で左右の第1
サイドプレート28L ,28R が内向きに付勢されるた
め、左右のカムリング29L,29R 、左右のロータ3
2L ,32R およびベーン35…は左右の第1サイドプ
レート28L ,28R および第2サイドプレート30間
に強く挟持され、それらの摺動面に発生するサイドクリ
アランスが最小限に抑えられる。その結果、前記サイド
クリアランスを通しての作動油のリークが抑制されてポ
ンプ効率が向上する。特に、ポンプ吐出圧が増加してサ
イドクリアランスが増加するときには、サイドクリアラ
ンスを減少させる方向に第1サイドプレート28L ,2
8R を押し戻す付勢力も増加するので、常に最適の付勢
力で第1サイドプレート28L ,28R を付勢すること
ができる。
【0068】ところで、左右一方の第1サイドプレート
28L ,28R だけを油圧で内向きに付勢すれば、その
付勢力を左右他方の第1サイドプレート28L ,28R
へと伝達することができるが、このように構成すると以
下のような不具合が発生する。例えば、左ベーンポンプ
PL の左第1サイドプレート28L だけを付勢可能に構
成した場合に、左ベーンポンプPL が停止して右ベーン
ポンプPR だけが作動したとする。この場合、図13に
おいて右ベーンポンプPR の吐出ポート38Rから吐出
された作動油の一部が第2オリフィス43を介して左ベ
ーンポンプPLの左油室53L に供給されて左第1サイ
ドプレート28L を付勢することになるが、その左油室
53L に伝達される油圧は第2オリフィス43により減
圧されたものであるため、左第1サイドプレート28L
に充分な付勢力を与えることができないからである。こ
の不具合は、右ベーンポンプPR の右第1サイドプレー
ト28R だけを付勢可能に構成した場合に、右ベーンポ
ンプPR が停止して左ベーンポンプPR だけが作動した
ときにも同様に発生する。
28L ,28R だけを油圧で内向きに付勢すれば、その
付勢力を左右他方の第1サイドプレート28L ,28R
へと伝達することができるが、このように構成すると以
下のような不具合が発生する。例えば、左ベーンポンプ
PL の左第1サイドプレート28L だけを付勢可能に構
成した場合に、左ベーンポンプPL が停止して右ベーン
ポンプPR だけが作動したとする。この場合、図13に
おいて右ベーンポンプPR の吐出ポート38Rから吐出
された作動油の一部が第2オリフィス43を介して左ベ
ーンポンプPLの左油室53L に供給されて左第1サイ
ドプレート28L を付勢することになるが、その左油室
53L に伝達される油圧は第2オリフィス43により減
圧されたものであるため、左第1サイドプレート28L
に充分な付勢力を与えることができないからである。こ
の不具合は、右ベーンポンプPR の右第1サイドプレー
ト28R だけを付勢可能に構成した場合に、右ベーンポ
ンプPR が停止して左ベーンポンプPR だけが作動した
ときにも同様に発生する。
【0069】それに対して、本実施例では左ベーンポン
プPL の左第1サイドプレート28 L および右ベーンポ
ンプPR の右第1サイドプレート28R が共に付勢可能
であるため、左右のベーンポンプPL ,PR の少なくと
も一方が作動すれば、その吐出圧を第2オリフィス43
を介さずに直接対応する油室53L ,53R に伝達し、
少なくとも一方の第1サイドプレート28L ,28R を
付勢することができる。そして一方の第1サイドプレー
ト28L ,28R が付勢されれば、その付勢力を軸方向
に伝達して左ケーシング21あるいは右ケーシング22
から受ける反力で他方の第1サイドプレート28L ,2
8R を付勢することができる。
プPL の左第1サイドプレート28 L および右ベーンポ
ンプPR の右第1サイドプレート28R が共に付勢可能
であるため、左右のベーンポンプPL ,PR の少なくと
も一方が作動すれば、その吐出圧を第2オリフィス43
を介さずに直接対応する油室53L ,53R に伝達し、
少なくとも一方の第1サイドプレート28L ,28R を
付勢することができる。そして一方の第1サイドプレー
ト28L ,28R が付勢されれば、その付勢力を軸方向
に伝達して左ケーシング21あるいは右ケーシング22
から受ける反力で他方の第1サイドプレート28L ,2
8R を付勢することができる。
【0070】ところで、ハイドロリックカップリング装
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
【0071】これを回避すべく、本実施例では前輪
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図10
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図11の実線参照)。
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図10
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図11の実線参照)。
【0072】一方、前述した急制動時のように後輪
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図10(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図11の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図10(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図11の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
【0073】また、ベーンポンプPL ,PR の運転に伴
って吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8L ,38R )が負圧になったとき、その負圧でチェッ
クバルブ44L …,44R …が開弁して吸入ポート37
L ,37R (あるいは吐出ポート38L ,38R )をピ
ストン45L ,45R に連通させるので、過剰な負圧に
よりキャビテーションが発生するのを確実に防止するこ
とができる。
って吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8L ,38R )が負圧になったとき、その負圧でチェッ
クバルブ44L …,44R …が開弁して吸入ポート37
L ,37R (あるいは吐出ポート38L ,38R )をピ
ストン45L ,45R に連通させるので、過剰な負圧に
よりキャビテーションが発生するのを確実に防止するこ
とができる。
【0074】以上のように、第2オリフィス43…を第
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
【0075】しかも切換バルブVL ,VR を用いて吸入
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
【0076】更に、左右のベーンポンプPL ,PR が第
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
【0077】次に、図17および図18に基づいて本発
明の第2実施例を説明する。
明の第2実施例を説明する。
【0078】第2実施例は、第1実施例の更なる改良で
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
【0079】また、ベーン35の半径方向内端に形成さ
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
【0080】而して、本第2実施例によれば、コイルス
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
【0081】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
【0082】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動輪
と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副駆
動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベー
ンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベーン
ポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが吐
出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリフ
ィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側の
ベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副駆
動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回方
向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向外
側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋回
方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制さ
れる。
によれば、車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動輪
と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副駆
動輪間に回転数差が発生するため、旋回方向内側のベー
ンポンプの吐出量が大きくなって旋回方向外側のベーン
ポンプの吐出量が小さくなる。左右のベーンポンプが吐
出する作動油は左右の第1オリフィスおよび第2オリフ
ィスを経て流れるため、吐出量が大きい旋回方向内側の
ベーンポンプの負荷が大きくなって旋回方向内側の副駆
動輪に大きな駆動力が伝達され、吐出量が小さい旋回方
向外側のベーンポンプの負荷が小さくなって旋回方向外
側の副駆動輪に小さな駆動力が伝達されてしまい、旋回
方向と逆方向のヨーモーメントが発生して旋回が抑制さ
れる。
【0083】これと同時に左右のベーンポンプの吐出圧
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂アンダーステア現象を軽減すること
ができる。
が左右の油室に伝達されて左右の油圧クラッチが作動す
るが、左右の第1サイドプレート、左右のカムリングお
よび第2サイドプレートはケーシングに軸方向摺動自在
に支持されているため、左右の油圧クラッチの締結力が
等しくなって左右の副駆動輪に同じ大きさの駆動力が伝
達される。左副駆動輪に伝達される駆動力は左ベーンポ
ンプの負荷によるものと左油圧クラッチの締結によるも
のとの総和となり、右副駆動輪に伝達される駆動力は右
ベーンポンプの負荷によるものと右油圧クラッチの締結
によるものとの総和となるが、油圧クラッチの締結によ
る駆動力は左右の副駆動輪について等しいため、左右の
副駆動輪に伝達される駆動力の差は、全ての駆動力を左
右のベーンポンプの負荷によって発生させる場合に比べ
て小さくなり、所謂アンダーステア現象を軽減すること
ができる。
【0084】左右の主駆動輪および左右一方の副駆動輪
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、第2オリフィス
によって作動油の流れを抑制された左右他方のベーンポ
ンプを介して、かつ締結した左右他方の油圧クラッチを
介して駆動力が伝達されるため、差動制限機構の機能が
発揮されて泥濘からの脱出が可能となる。
【0085】而して、第2オリフィスの径をある程度小
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
さく設定して差動制限機能を発揮させても、左右の油圧
クラッチにより左右の副駆動輪に等しい駆動力を伝達す
ることにより、旋回を妨げる方向のヨーモーメントを減
少させて旋回性能を確保することができる。
【0086】特に副駆動輪への駆動力の伝達を、ベーン
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
ポンプの負荷および油圧クラッチの締結力の両方で負担
するので、油圧クラッチの負担分だけベーンポンプを小
型化することができる。しかもベーンポンプの吐出圧に
脈動が発生しても、それを油圧クラッチの摩擦力で制振
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図
【図2】ハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の要部拡大図
【図7】図6の7−7線断面図
【図8】コイルスプリングの斜視図
【図9】オリフィスプレートの斜視図
【図10】オリフィスプレートの作用説明図
【図11】オリフィスプレートの作用を説明するグラフ
【図12】図5の12−12線拡大断面図
【図13】ハイドロリックカップリング装置の油圧回路
図
図
【図14】前輪および後輪の差回転と後輪への伝達トル
クとの関係を示すグラフ
クとの関係を示すグラフ
【図15】第2オリフィスの径と後輪への伝達トルクと
の関係を示すグラフ
の関係を示すグラフ
【図16】本発明による車両の旋回性能向上の作用説明
図
図
【図17】本発明の第2実施例に係る、前記図6に対応
する図
する図
【図18】本発明の第2実施例に係るコイルスプリング
の斜視図
の斜視図
【図19】従来の車両の旋回時の作用説明図
【符号の説明】 CL 左油圧クラッチ CR 右油圧クラッチ E エンジン PL 左ベーンポンプ PR 右ベーンポンプ WFL 左前輪(主駆動輪) WFR 右前輪(主駆動輪) WRL 左後輪(副駆動輪) WRR 右後輪(副駆動輪) 10 プロペラシャフト(入力軸) 13L 左車軸(駆動軸) 13R 右車軸(駆動軸) 14L 左ロータシャフト 14R 左ロータシャフト 24 ケーシング 28L 左第1サイドプレート 28R 右第1サイドプレート 29L 左カムリング 29R 右カムリング 30 第2サイドプレート(サイドプレート) 32L 左ロータ 32R 右ロータ 35 ベーン 37L 吸入ポート 37R 吸入ポート 38L 吐出ポート 38R 吐出ポート 41L 左第1オリフィス 41R 右第1オリフィス 43 第2オリフィス 53L 左油室 53R 左油室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 卓也 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 (72)発明者 望月 武志 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 Fターム(参考) 3D042 AA02 AA03 AA08 AB17 CA01 CA12 CA16 CA18 CB03 3D043 AA03 AA04 AA08 AB17 EA02 EA11 EA16 EA38 EA42 EA43 EA45 EB06 EB12 EB13 EC01 EC02 EC05 EE07 EF06 EF12 EF13 EF19 EF24 EF26 EF27 3H040 AA03 BB05 BB09 BB11 CC20 DD01 DD06 DD07 DD11 DD27 DD28 DD33 DD37
Claims (1)
- 【請求項1】 エンジン(E)により左右の主駆動輪
(WFL,WFR)と共に駆動される入力軸(10)と、 左側の副駆動輪(WRL)に接続された左駆動軸(1
3L )と、 右側の副駆動輪(WRR)に接続された右駆動軸(1
3R )と、 入力軸(10)および左駆動軸(13L )の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプ(PL )と、 入力軸(10)および右駆動軸(13R )の相対回転速
度差に応じて作動する右ベーンポンプ(PR )と、 左ベーンポンプ(PL )の吸入ポート(37L )および
吐出ポート(38L )間に設けられた左第1オリフィス
(41L )と、 右ベーンポンプ(PR )の吸入ポート(37R )および
吐出ポート(38R )間に設けられた右第1オリフィス
(41R )と、 左ベーンポンプ(PL )の吸入ポート(37L )および
右ベーンポンプ(PR)の吸入ポート(37R )間、並
びに左ベーンポンプ(PL )の吐出ポート(38L )お
よび右ベーンポンプ(PR )の吐出ポート(38R )間
にそれぞれ設けられた第2オリフィス(43)と、を備
え、 前記各ベーンポンプ(PL ,PR )は、ケーシング(2
4)の内部に、 左右の第1サイドプレート(28L ,28R )と、 左右の第1サイドプレート(28L ,28R )間に配置
された第2サイドプレート(30)と、 左第1サイドプレート(28L )および第2サイドプレ
ート(30)間に配置された左カムリング(29L )お
よび左ロータ(32L )と、 右第1サイドプレート(28R )および第2サイドプレ
ート(30)間に配置された右カムリング(29R )お
よび右ロータ(32R )と、 左ロータ(32L )を左駆動軸(13L )に接続する左
ロータシャフト(14 L )と、 右ロータ(32R )を右駆動軸(13R )に接続する右
ロータシャフト(14 R )と、 左右のロータ(32L ,32R )に半径方向摺動自在に
支持されて半径方向外端が左右のカムリング(29L ,
29R )の内周面にそれぞれ当接する複数のベーン(3
5)と、を収納した四輪駆動車両の動力伝達装置におい
て、 左右の第1サイドプレート(28L ,28R )、左右の
カムリング(29L ,29R )および第2サイドプレー
ト(30)をケーシング(24)の内部に軸方摺動自在
に支持し、 左第1サイドプレート(28L )およびケーシング(2
4)間に、左ベーンポンプ(PL )の吐出圧が導入され
る左油室(53L )と、この左油室(53L )から受け
る軸方向の荷重で作動して左ロータシャフト(14L )
をケーシング(24)に拘束する左油圧クラッチ
(CL )とを設け、 右第1サイドプレート(28R )およびケーシング(2
4)間に、右ベーンポンプ(PR )の吐出圧が導入され
る右油室(53R )と、この右油室(53R )から受け
る軸方向の荷重で作動して右ロータシャフト(14R )
をケーシング(24)に拘束する右油圧クラッチ
(CR )とを設けたことを特徴とする四輪駆動車両の動
力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23322899A JP2001055055A (ja) | 1999-08-19 | 1999-08-19 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23322899A JP2001055055A (ja) | 1999-08-19 | 1999-08-19 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001055055A true JP2001055055A (ja) | 2001-02-27 |
Family
ID=16951772
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23322899A Withdrawn JP2001055055A (ja) | 1999-08-19 | 1999-08-19 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001055055A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015054637A (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-23 | 富士重工業株式会社 | 4輪駆動車の制御装置 |
-
1999
- 1999-08-19 JP JP23322899A patent/JP2001055055A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015054637A (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-23 | 富士重工業株式会社 | 4輪駆動車の制御装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20051205 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061106 |