JP2001121984A - 四輪駆動車両の動力伝達装置 - Google Patents
四輪駆動車両の動力伝達装置Info
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- JP2001121984A JP2001121984A JP35184699A JP35184699A JP2001121984A JP 2001121984 A JP2001121984 A JP 2001121984A JP 35184699 A JP35184699 A JP 35184699A JP 35184699 A JP35184699 A JP 35184699A JP 2001121984 A JP2001121984 A JP 2001121984A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ベーンポンプを2個備えて主駆動輪および副
駆動輪間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達
装置において、車両の高速走行時にベーンポンプを無負
荷状態にして主駆動輪だけが駆動される二輪駆動状態に
する遠心バルブを容易かつコンパクトに組み込む。 【解決手段】 副駆動輪に接続されて回転するロータ3
2R に、ポンプ作動室34R およびケーシング22の内
部空間を連通させる通孔322 を半径方向に形成し、こ
の通孔322 に遠心バルブ44R を配置する。遠心バル
ブ44R は、車両が高速走行してロータ32R が高速回
転すると遠心力で開弁する。遠心バルブ44R をロータ
32R に設けたことにより、それをサイドプレートに設
ける場合に比べてコンパクトな配置が可能になり、かつ
加工も容易になる。
駆動輪間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達
装置において、車両の高速走行時にベーンポンプを無負
荷状態にして主駆動輪だけが駆動される二輪駆動状態に
する遠心バルブを容易かつコンパクトに組み込む。 【解決手段】 副駆動輪に接続されて回転するロータ3
2R に、ポンプ作動室34R およびケーシング22の内
部空間を連通させる通孔322 を半径方向に形成し、こ
の通孔322 に遠心バルブ44R を配置する。遠心バル
ブ44R は、車両が高速走行してロータ32R が高速回
転すると遠心力で開弁する。遠心バルブ44R をロータ
32R に設けたことにより、それをサイドプレートに設
ける場合に比べてコンパクトな配置が可能になり、かつ
加工も容易になる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータに放射状に
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させてなるベーンポ
ンプを1個あるいは複数備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置と
に関する。
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させてなるベーンポ
ンプを1個あるいは複数備えて主駆動輪および副駆動輪
間で駆動力の配分を行う四輪駆動車両の動力伝達装置と
に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力が直接伝達される主駆
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報、特開平1−153335号公報
により公知である。
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報、特開平1−153335号公報
により公知である。
【0003】かかる四輪駆動車両の動力伝達装置では、
主駆動輪および副駆動輪の直径差に起因して車両が直進
定常走行するだけで主駆動輪から副駆動輪に駆動力が配
分されてしまい、これが駆動系の発熱、駆動系の寿命低
下、駆動系の振動、燃料消費量の増加等の原因となる問
題がある。この傾向は車速の増加に応じて顕著になるた
め、車両の高速走行時にベーンポンプを無負荷状態にし
て二輪走行状態に保持することが望ましい。
主駆動輪および副駆動輪の直径差に起因して車両が直進
定常走行するだけで主駆動輪から副駆動輪に駆動力が配
分されてしまい、これが駆動系の発熱、駆動系の寿命低
下、駆動系の振動、燃料消費量の増加等の原因となる問
題がある。この傾向は車速の増加に応じて顕著になるた
め、車両の高速走行時にベーンポンプを無負荷状態にし
て二輪走行状態に保持することが望ましい。
【0004】そこで、副駆動輪に接続されて回転するベ
ーンポンプのサイドプレートに弁体をスプリングで付勢
して弁座に着座させた遠心バルブを設け、ロータの回転
に伴って弁体に作用する遠心力で該弁体をスプリングの
弾発力に抗して弁座から離反させることにより、吸入ポ
ートおよび吐出ポートを短絡させてベーンポンプを無負
荷状態にし、車両の高速走行時に主駆動輪だけが駆動さ
れる二輪駆動状態にするものが本出願人により提案され
ている(特開平11−123944号公報参照)。
ーンポンプのサイドプレートに弁体をスプリングで付勢
して弁座に着座させた遠心バルブを設け、ロータの回転
に伴って弁体に作用する遠心力で該弁体をスプリングの
弾発力に抗して弁座から離反させることにより、吸入ポ
ートおよび吐出ポートを短絡させてベーンポンプを無負
荷状態にし、車両の高速走行時に主駆動輪だけが駆動さ
れる二輪駆動状態にするものが本出願人により提案され
ている(特開平11−123944号公報参照)。
【0005】また、四輪駆動車両の動力伝達装置のベー
ンポンプのロータにチェックバルブを設けたものが、特
開平2−300524号公報、特開平8−25991号
公報により公知である。
ンポンプのロータにチェックバルブを設けたものが、特
開平2−300524号公報、特開平8−25991号
公報により公知である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記特開平
11−123944号公報に記載されたものの遠心バル
ブはベーンポンプのサイドプレートに設けられているた
め、サイドプレートの加工が難しくなってコストアップ
の要因になるだけでなく、サイドプレートが厚くなって
ベーンポンプの軸方向寸法が増加する問題がある。
11−123944号公報に記載されたものの遠心バル
ブはベーンポンプのサイドプレートに設けられているた
め、サイドプレートの加工が難しくなってコストアップ
の要因になるだけでなく、サイドプレートが厚くなって
ベーンポンプの軸方向寸法が増加する問題がある。
【0007】また前記特開平2−300524号公報に
記載されたチェックバルブは、ベーンポンプのロータが
正逆何れの方向に回転してもポンプ機能を支障なく発揮
すべくポンプ室に接続された吐出チェックバルブおよび
吸入チェックバルブのうちの吐出チェックバルブを構成
するものであり、その吐出チェックバルブの弁体は遠心
力で弁座に着座する方向に付勢されるようになっている
ため、車両の高速走行時に二輪駆動状態にする機能を備
えていない。
記載されたチェックバルブは、ベーンポンプのロータが
正逆何れの方向に回転してもポンプ機能を支障なく発揮
すべくポンプ室に接続された吐出チェックバルブおよび
吸入チェックバルブのうちの吐出チェックバルブを構成
するものであり、その吐出チェックバルブの弁体は遠心
力で弁座に着座する方向に付勢されるようになっている
ため、車両の高速走行時に二輪駆動状態にする機能を備
えていない。
【0008】また前記特開平8−25991号公報に記
載されたチェックバルブは、ベーンポンプのロータが正
逆何れの方向に回転してもポンプ機能を支障なく発揮す
べくポンプ室に接続された吐出チェックバルブおよび吸
入チェックバルブの両方を備えている。それぞれの吸入
チェックバルブは弁体を弁座に着座する方向に付勢する
スプリングを備えていない。しかも高速差回転時にベー
ンポンプのポンプ室への作動油の充填効率を低下させて
後輪に伝達されるトルクの上限値を制限すべく、前記吸
入チェックバルブに直列に接続した絞りを必須の構成用
件としており、前記特開平11−123944号公報に
記載された遠心バルブとは構造および機能が異なってい
る。
載されたチェックバルブは、ベーンポンプのロータが正
逆何れの方向に回転してもポンプ機能を支障なく発揮す
べくポンプ室に接続された吐出チェックバルブおよび吸
入チェックバルブの両方を備えている。それぞれの吸入
チェックバルブは弁体を弁座に着座する方向に付勢する
スプリングを備えていない。しかも高速差回転時にベー
ンポンプのポンプ室への作動油の充填効率を低下させて
後輪に伝達されるトルクの上限値を制限すべく、前記吸
入チェックバルブに直列に接続した絞りを必須の構成用
件としており、前記特開平11−123944号公報に
記載された遠心バルブとは構造および機能が異なってい
る。
【0009】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、四輪駆動車両の動力伝達装置において、車両の高速
走行時にベーンポンプを無負荷状態にして二輪駆動状態
にするための遠心バルブを容易にかつコンパクトに組み
込むことを目的とする。
で、四輪駆動車両の動力伝達装置において、車両の高速
走行時にベーンポンプを無負荷状態にして二輪駆動状態
にするための遠心バルブを容易にかつコンパクトに組み
込むことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り駆動される主駆動輪からベーンポンプを備えたハイド
ロリックカップリング装置を介して副駆動輪に駆動力を
伝達する四輪駆動車両の動力伝達装置であって、前記ベ
ーンポンプのカムリングの内部で回転するロータに遠心
バルブを設けたものにおいて、前記遠心バルブは、ロー
タの内部に半径方向外側に向けて形成された弁座と、弁
座に着座可能な弁体と、弁体を半径方向内側に向けて付
勢して弁座に着座させるスプリングとを備えてなり、車
両の高速走行時に弁体は遠心力によりスプリングの弾発
力に抗して弁座から離反し、カムリングの内部をベーン
ポンプの低圧部に連通させることを特徴とする四輪駆動
車両の動力伝達装置が提案される。
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンによ
り駆動される主駆動輪からベーンポンプを備えたハイド
ロリックカップリング装置を介して副駆動輪に駆動力を
伝達する四輪駆動車両の動力伝達装置であって、前記ベ
ーンポンプのカムリングの内部で回転するロータに遠心
バルブを設けたものにおいて、前記遠心バルブは、ロー
タの内部に半径方向外側に向けて形成された弁座と、弁
座に着座可能な弁体と、弁体を半径方向内側に向けて付
勢して弁座に着座させるスプリングとを備えてなり、車
両の高速走行時に弁体は遠心力によりスプリングの弾発
力に抗して弁座から離反し、カムリングの内部をベーン
ポンプの低圧部に連通させることを特徴とする四輪駆動
車両の動力伝達装置が提案される。
【0011】上記構成によれば、ロータに設けた遠心バ
ルブが、ロータの内部に半径方向外側に向けて形成され
た弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を半径方向内
側に向けて付勢して弁座に着座させるスプリングとを備
えているので、車両の発進時や低速走行時にはロータの
回転数が低いために弁体に作用する遠心力が小さくな
り、遠心バルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に着
座して閉弁状態になる一方、車両の高速走行時にはロー
タの回転数が高いために弁体に作用する遠心力が大きく
なり、遠心力で付勢された弁体がスプリングに抗して弁
座から離反して遠心バルブが開弁する。その結果、車両
の高速走行時にカムリングの内部がベーンポンプの低圧
部に連通してベーンポンプは無負荷状態になり、主駆動
輪から副駆動輪に駆動力が伝達されなくなって車両が二
輪駆動状態に維持される。しかも遠心バルブをロータの
内部に半径方向に配置したので、その遠心バルブをサイ
ドプレートに設ける場合に比べてコンパクトな配置が可
能になるだけでなく、加工も容易になって製造コストの
削減に寄与することができる。また弁体の質量あるいは
スプリングのセット荷重を変更するだけで、遠心バルブ
の開弁特性を容易かつ任意に設定することができる。
ルブが、ロータの内部に半径方向外側に向けて形成され
た弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を半径方向内
側に向けて付勢して弁座に着座させるスプリングとを備
えているので、車両の発進時や低速走行時にはロータの
回転数が低いために弁体に作用する遠心力が小さくな
り、遠心バルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に着
座して閉弁状態になる一方、車両の高速走行時にはロー
タの回転数が高いために弁体に作用する遠心力が大きく
なり、遠心力で付勢された弁体がスプリングに抗して弁
座から離反して遠心バルブが開弁する。その結果、車両
の高速走行時にカムリングの内部がベーンポンプの低圧
部に連通してベーンポンプは無負荷状態になり、主駆動
輪から副駆動輪に駆動力が伝達されなくなって車両が二
輪駆動状態に維持される。しかも遠心バルブをロータの
内部に半径方向に配置したので、その遠心バルブをサイ
ドプレートに設ける場合に比べてコンパクトな配置が可
能になるだけでなく、加工も容易になって製造コストの
削減に寄与することができる。また弁体の質量あるいは
スプリングのセット荷重を変更するだけで、遠心バルブ
の開弁特性を容易かつ任意に設定することができる。
【0012】また請求項2に記載された発明によれば、
エンジンにより左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸
と、左側の副駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副
駆動輪に接続された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸
の相対回転速度差に応じて作動する左ベーンポンプと、
入力軸および右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動す
る右ベーンポンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよ
び吐出ポート間に設けられた左第1オリフィスと、右ベ
ーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられ
た右第1オリフィスと、左ベーンポンプの吸入ポートお
よび右ベーンポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポ
ンプの吐出ポートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間
にそれぞれ設けられた第2オリフィスとを備えてなり、
前記各ベーンポンプは、ケーシングの内部に、左右の第
1サイドプレートと、左右の第1サイドプレート間に配
置された第2サイドプレートと、左第1サイドプレート
および第2サイドプレート間に配置された左カムリング
および左ロータと、右第1サイドプレートおよび第2サ
イドプレート間に配置された右カムリングおよび右ロー
タと、左右のロータに半径方向摺動自在に支持されて半
径方向外端が左右のカムリングの内周面にそれぞれ当接
する複数のベーンと、左右のロータにそれぞれ設けられ
た遠心バルブとを収納してなる四輪駆動車両の動力伝達
装置であって、前記遠心バルブは、ロータを半径方向に
貫通し、半径方向外端がカムリングの内部に連通すると
ともに半径方向内端がケーシング内の低圧部に連通する
通孔と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて形成され
た弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁座に向け
て付勢するスプリングとを備えてなり、弁体は遠心力に
よりスプリングの弾発力に抗して弁座から離反すること
を特徴とする四輪駆動車両の動力伝達装置が提案され
る。
エンジンにより左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸
と、左側の副駆動輪に接続された左駆動軸と、右側の副
駆動輪に接続された右駆動軸と、入力軸および左駆動軸
の相対回転速度差に応じて作動する左ベーンポンプと、
入力軸および右駆動軸の相対回転速度差に応じて作動す
る右ベーンポンプと、左ベーンポンプの吸入ポートおよ
び吐出ポート間に設けられた左第1オリフィスと、右ベ
ーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられ
た右第1オリフィスと、左ベーンポンプの吸入ポートお
よび右ベーンポンプの吸入ポート間、並びに左ベーンポ
ンプの吐出ポートおよび右ベーンポンプの吐出ポート間
にそれぞれ設けられた第2オリフィスとを備えてなり、
前記各ベーンポンプは、ケーシングの内部に、左右の第
1サイドプレートと、左右の第1サイドプレート間に配
置された第2サイドプレートと、左第1サイドプレート
および第2サイドプレート間に配置された左カムリング
および左ロータと、右第1サイドプレートおよび第2サ
イドプレート間に配置された右カムリングおよび右ロー
タと、左右のロータに半径方向摺動自在に支持されて半
径方向外端が左右のカムリングの内周面にそれぞれ当接
する複数のベーンと、左右のロータにそれぞれ設けられ
た遠心バルブとを収納してなる四輪駆動車両の動力伝達
装置であって、前記遠心バルブは、ロータを半径方向に
貫通し、半径方向外端がカムリングの内部に連通すると
ともに半径方向内端がケーシング内の低圧部に連通する
通孔と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて形成され
た弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁座に向け
て付勢するスプリングとを備えてなり、弁体は遠心力に
よりスプリングの弾発力に抗して弁座から離反すること
を特徴とする四輪駆動車両の動力伝達装置が提案され
る。
【0013】上記構成によれば、主駆動輪と副駆動輪と
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生する。その結果、入
力軸から左右の駆動軸への動力伝達が行われて主駆動輪
の駆動力の一部が副駆動輪に配分され、主駆動輪および
副駆動輪の両方が駆動される四輪駆動状態になる。
の間に相対回転速度差がないときには左右のベーンポン
プが作動しないため、入力軸から左右の駆動軸への動力
伝達が行われなくなって主駆動輪だけが駆動される二輪
駆動状態になる。低摩擦路における発進時や急加速時に
主駆動輪がスリップすると、副駆動輪との間に相対回転
速度差が発生して左右のベーンポンプが作動し、吐出さ
れた作動油が左右の第1オリフィスを通過することによ
り左右のベーンポンプに負荷が発生する。その結果、入
力軸から左右の駆動軸への動力伝達が行われて主駆動輪
の駆動力の一部が副駆動輪に配分され、主駆動輪および
副駆動輪の両方が駆動される四輪駆動状態になる。
【0014】車両が低速でタイトな旋回を行うと主駆動
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、左右のベーンポン
プは相互に異なる量の作動油を吐出する。この作動油は
左右の第1オリフィスおよび第2オリフィスを経て流れ
るため、両ベーンポンプに大きな負荷が発生することが
防止され、その結果、所謂タイトコーナーブレーキング
現象を軽減することができる。
輪と副駆動輪との間に回転数差が発生し、かつ左右の副
駆動輪間に回転数差が発生するため、左右のベーンポン
プは相互に異なる量の作動油を吐出する。この作動油は
左右の第1オリフィスおよび第2オリフィスを経て流れ
るため、両ベーンポンプに大きな負荷が発生することが
防止され、その結果、所謂タイトコーナーブレーキング
現象を軽減することができる。
【0015】左右の主駆動輪および左右一方の副駆動輪
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、その副駆動輪側
のベーンポンプを介して駆動力が伝達されるため、差動
制限機構の機能が発揮されて泥濘からの脱出が可能とな
る。
が泥濘にはまってスリップしても、摩擦係数の高い路面
に乗っている左右他方の副駆動輪には、その副駆動輪側
のベーンポンプを介して駆動力が伝達されるため、差動
制限機構の機能が発揮されて泥濘からの脱出が可能とな
る。
【0016】ロータに設けた遠心バルブが、ロータを半
径方向に貫通し、半径方向外端がカムリングの内部に連
通するとともに半径方向内端がケーシング内の低圧部に
連通する通孔と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて
形成された弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁
座に向けて付勢するスプリングとを備えているので、車
両の発進時や低速走行時には副駆動輪に接続されたロー
タの回転数が低いために弁体に作用する遠心力が小さく
なり、遠心バルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に
着座して閉弁状態になる一方、車両の高速走行時には副
駆動輪に接続されたロータの回転数が高いために弁体に
作用する遠心力が大きくなり、遠心力で付勢された弁体
がスプリングに抗して弁座から離反して遠心バルブが開
弁する。その結果、車両の高速走行時に吸入ポートおよ
び吐出ポートがケーシング内の空間を介して相互に連通
してベーンポンプは無負荷状態になり、主駆動輪から副
駆動輪に駆動力が伝達されなくなって車両が二輪駆動状
態に維持される。しかも遠心バルブをロータの内部に半
径方向に配置したので、その遠心バルブをサイドプレー
トに設ける場合に比べてコンパクトな配置が可能になる
だけでなく、加工も容易になって製造コストの削減に寄
与することができる。また弁体の質量あるいはスプリン
グのセット荷重を変更するだけで、遠心バルブの開弁特
性を容易かつ任意に設定することができる。
径方向に貫通し、半径方向外端がカムリングの内部に連
通するとともに半径方向内端がケーシング内の低圧部に
連通する通孔と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて
形成された弁座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁
座に向けて付勢するスプリングとを備えているので、車
両の発進時や低速走行時には副駆動輪に接続されたロー
タの回転数が低いために弁体に作用する遠心力が小さく
なり、遠心バルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に
着座して閉弁状態になる一方、車両の高速走行時には副
駆動輪に接続されたロータの回転数が高いために弁体に
作用する遠心力が大きくなり、遠心力で付勢された弁体
がスプリングに抗して弁座から離反して遠心バルブが開
弁する。その結果、車両の高速走行時に吸入ポートおよ
び吐出ポートがケーシング内の空間を介して相互に連通
してベーンポンプは無負荷状態になり、主駆動輪から副
駆動輪に駆動力が伝達されなくなって車両が二輪駆動状
態に維持される。しかも遠心バルブをロータの内部に半
径方向に配置したので、その遠心バルブをサイドプレー
トに設ける場合に比べてコンパクトな配置が可能になる
だけでなく、加工も容易になって製造コストの削減に寄
与することができる。また弁体の質量あるいはスプリン
グのセット荷重を変更するだけで、遠心バルブの開弁特
性を容易かつ任意に設定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0018】図1〜図20は本発明の第1実施例を示す
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
6−6線断面図、図7は図2の要部拡大図、図8は図7
の8−8線断面図、図9はコイルスプリングの斜視図、
図10はオリフィスプレートの斜視図、図11は図3の
11部拡大図、図12は図11の12方向矢視図、図1
3は図3に対応する作用説明図、図14はオリフィスプ
レートの作用説明図、図15はオリフィスプレートの作
用を説明するグラフ、図16はハイドロリックカップリ
ング装置の油圧回路図、図17は1組のチェックバルブ
の特性を変化させた場合の作用説明図、図18は1組の
チェックバルブの特性を変化させた場合の差回転とトル
クとの関係を示すグラフ、図19は2組のチェックバル
ブの特性を変化させた場合の作用説明図、図20は2組
のチェックバルブの特性を変化させた場合の差回転とト
ルクとの関係を示すグラフである。
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
6−6線断面図、図7は図2の要部拡大図、図8は図7
の8−8線断面図、図9はコイルスプリングの斜視図、
図10はオリフィスプレートの斜視図、図11は図3の
11部拡大図、図12は図11の12方向矢視図、図1
3は図3に対応する作用説明図、図14はオリフィスプ
レートの作用説明図、図15はオリフィスプレートの作
用を説明するグラフ、図16はハイドロリックカップリ
ング装置の油圧回路図、図17は1組のチェックバルブ
の特性を変化させた場合の作用説明図、図18は1組の
チェックバルブの特性を変化させた場合の差回転とトル
クとの関係を示すグラフ、図19は2組のチェックバル
ブの特性を変化させた場合の作用説明図、図20は2組
のチェックバルブの特性を変化させた場合の差回転とト
ルクとの関係を示すグラフである。
【0019】図1に示すように、四輪駆動車両Vは車体
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
【0020】第1動力伝達系D1 の駆動力を副駆動輪と
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
【0021】次に、図2に基づいてハイドロリックカッ
プリング装置Hの構造を説明する。
プリング装置Hの構造を説明する。
【0022】ハイドロリックカップリング装置Hは、概
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
【0023】一対のボールベアリング25L ,26L を
介して左ケーシング21および後記第2サイドプレート
30に回転自在に支持された左ロータシャフト14
L は、その外周面と左ケーシング21との間にシール部
材27L が配置される。一対のボールベアリング2
5R ,26R を介して右ケーシング22および後記第2
サイドプレート30に回転自在に支持された右ロータシ
ャフト14R は、その外周面と右ケーシング22との間
にシール部材27R が配置される。
介して左ケーシング21および後記第2サイドプレート
30に回転自在に支持された左ロータシャフト14
L は、その外周面と左ケーシング21との間にシール部
材27L が配置される。一対のボールベアリング2
5R ,26R を介して右ケーシング22および後記第2
サイドプレート30に回転自在に支持された右ロータシ
ャフト14R は、その外周面と右ケーシング22との間
にシール部材27R が配置される。
【0024】ケーシング24の内部には、左ベーンポン
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合31…
(図3〜図7参照)してケーシング24に対して回り止
めされる。左ロータシャフト14L にスプライン結合さ
れた左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、
左カムリング29 L および第2サイドプレート30に囲
まれた空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフ
ト14R にスプライン結合された右ロータ32R が、右
第1サイドプレート28R 、右カムリング29R および
第2サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収
納される。第2サイドプレート30は左ベーンポンプP
L および右ベーンポンプPR に共通する構成要素であ
り、その内周面に前記ボールベアリング26L 26R を
介して左ロータシャフト14L および右ロータシャフト
14R の対向部の外周が相対回転自在に支持される。
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合31…
(図3〜図7参照)してケーシング24に対して回り止
めされる。左ロータシャフト14L にスプライン結合さ
れた左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L 、
左カムリング29 L および第2サイドプレート30に囲
まれた空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフ
ト14R にスプライン結合された右ロータ32R が、右
第1サイドプレート28R 、右カムリング29R および
第2サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収
納される。第2サイドプレート30は左ベーンポンプP
L および右ベーンポンプPR に共通する構成要素であ
り、その内周面に前記ボールベアリング26L 26R を
介して左ロータシャフト14L および右ロータシャフト
14R の対向部の外周が相対回転自在に支持される。
【0025】図6および図7から明らかなように、左ケ
ーシング21の右側面と左第1サイドプレート28L の
左側面との間に環状の左スペーサ49L が配置され、右
ケーシング22の左側面と右第1サイドプレート28R
の右側面との間に環状の右スペーサ49R が配置され
る。右ロータシャフト14R の軸線を中心とする円周上
に配置された6本の六角穴ボルト50…が右ケーシング
22の外側から内側に螺入され、その先端が右第1サイ
ドプレート28R の右側面に当接する。左右のスペーサ
49L ,49R の外側面にはそれぞれ3本の溝491 …
が放射状に形成されており、この溝491 …を通してケ
ーシング24内の潤滑油が移動することができる。右ケ
ーシング22の外側面には放射状のリブ221 …に囲ま
れた6個の凹部222 …が形成されており、各々の凹部
222 にボルト50…の頭部を収納することにより該ボ
ルト50…が他物体と接触して損傷したり緩んだりする
のを防止している。
ーシング21の右側面と左第1サイドプレート28L の
左側面との間に環状の左スペーサ49L が配置され、右
ケーシング22の左側面と右第1サイドプレート28R
の右側面との間に環状の右スペーサ49R が配置され
る。右ロータシャフト14R の軸線を中心とする円周上
に配置された6本の六角穴ボルト50…が右ケーシング
22の外側から内側に螺入され、その先端が右第1サイ
ドプレート28R の右側面に当接する。左右のスペーサ
49L ,49R の外側面にはそれぞれ3本の溝491 …
が放射状に形成されており、この溝491 …を通してケ
ーシング24内の潤滑油が移動することができる。右ケ
ーシング22の外側面には放射状のリブ221 …に囲ま
れた6個の凹部222 …が形成されており、各々の凹部
222 にボルト50…の頭部を収納することにより該ボ
ルト50…が他物体と接触して損傷したり緩んだりする
のを防止している。
【0026】左ケーシング21には、ケーシング24内
に潤滑油を充填するための潤滑油供給口54が設けられ
ており、この潤滑油供給口54はボルト55により閉塞
される。
に潤滑油を充填するための潤滑油供給口54が設けられ
ており、この潤滑油供給口54はボルト55により閉塞
される。
【0027】次に、図3〜図5を併せて参照しながら右
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R」
および添字「L 」が付してある。
【0028】右カムリング29R の内周面は概略3角形
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
2R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
01 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
01 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
【0029】図7〜図9から明らかなように、前記コイ
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の半径方向内
端、即ちロータ32L,32R のベーン溝321 の底部
に接触する部分に、ロータ32L ,32R の軸方向寸法
d3 と略等しい軸方向寸法d3 を有する倒れ規制部36
1 が一体に連設される。従って、コイルスプリング36
をロータ32L ,32R のベーン溝32 1 に装着したと
き、コイルスプリング36の倒れ規制部361 はベーン
溝321の底部外周に沿うように接触し、かつ軸方向一
端部は第1サイドプレート28L,28R の内面に付き
当てられるとともに、軸方向他端部は第2サイドプレー
ト30に付き当てられて位置決めされる。
【0030】このように、コイルスプリング36の半径
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
方向内端に軸方向寸法を最大限に確保した倒れ規制部3
61 を一体に形成したので、この倒れ規制部361 がば
ね座の機能を発揮してコイルスプリング36の半径方向
内端が軸方向に移動するのを規制する。従って、ポンプ
吐出圧の増加により第1サイドプレート28L ,28 R
のクリアラスが増加し、ベーン溝321 内を例えば図1
6において左から右に作動油が流れても、その作動油に
押されてコイルスプリング36が倒れる事態を一層効果
的に防止することができる。
【0031】またコイルスプリング36の半径方向外端
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
はベーン35の半径方向内端に形成された台形状の切欠
351 (図7参照)に嵌合しており、これによりコイル
スプリング36を軸方向に位置決めすることができる。
【0032】以上のようにコイルスプリング36の横断
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
【0033】更にコイルスプリング36の半径方向外部
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
51に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
【0034】図2〜図4および図14から明らかなよう
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
7R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
【0035】尚、左右のベーンポンプPL ,PR は、そ
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
【0036】図10に示すように、オリフィスプレート
支持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレ
ート40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点
部401 から延びる板状の弁部402 とから構成されて
おり、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリ
フィス41R が貫通するように形成される。またオリフ
ィスプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠
42が施される。図14に示すように、上記構造を有す
るオリフィスプレート40R は、支点部401がオリフ
ィスプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁
部402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部39
2 の内部において揺動する。
支持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレ
ート40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点
部401 から延びる板状の弁部402 とから構成されて
おり、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリ
フィス41R が貫通するように形成される。またオリフ
ィスプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠
42が施される。図14に示すように、上記構造を有す
るオリフィスプレート40R は、支点部401がオリフ
ィスプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁
部402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部39
2 の内部において揺動する。
【0037】図3および図7から明らかなように、オリ
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
【0038】またロータ32R の外周面とカムリング2
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
9R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
【0039】右ベーンポンプPR のオリフィスプレート
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
【0040】図2および図4から明らかなように、第2
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R …
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
【0041】前記第2オリフィス43…は、第2サイド
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
【0042】図5から明らかなように、右第1サイドプ
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設され。
レート28R の左側面には、第2サイドプレート30の
右側面に形成された3個の吸入ポート37R …および3
個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸入ポート3
7R …および3個の吐出ポート38R …が凹設され。
【0043】図3、図11および図12から明らかなよ
うに、ロータ32R の6個のベーン溝321 …に挟まれ
るように該ロータ32R を半径方向に貫通する6本の通
孔322 …が形成されており、それら通孔322 …の内
部に遠心バルブ44R がそれぞれ設けられる。通孔32
2 …は半径方向外側が太く半径方向内側が細い段付き孔
からなり、その段部に形成された弁座61…にスプリン
グ62…で付勢されたボールよりなる弁体63…が着座
する。スプリング62…を保持すべく通孔32 2 …の半
径方向外端に圧入されたバネ座64…には、作動油の流
通を許容する4個の切欠641 …が形成される。遠心バ
ルブ44R …は、その閉弁時に作動室34R …および右
ロータシャフト14R の外周(つまりケーシング24の
内部空間)間の作動油の流通を規制し、その開弁時に作
動室34R …および右ロータシャフト14R の外周間の
作動油の流通を許容する。
うに、ロータ32R の6個のベーン溝321 …に挟まれ
るように該ロータ32R を半径方向に貫通する6本の通
孔322 …が形成されており、それら通孔322 …の内
部に遠心バルブ44R がそれぞれ設けられる。通孔32
2 …は半径方向外側が太く半径方向内側が細い段付き孔
からなり、その段部に形成された弁座61…にスプリン
グ62…で付勢されたボールよりなる弁体63…が着座
する。スプリング62…を保持すべく通孔32 2 …の半
径方向外端に圧入されたバネ座64…には、作動油の流
通を許容する4個の切欠641 …が形成される。遠心バ
ルブ44R …は、その閉弁時に作動室34R …および右
ロータシャフト14R の外周(つまりケーシング24の
内部空間)間の作動油の流通を規制し、その開弁時に作
動室34R …および右ロータシャフト14R の外周間の
作動油の流通を許容する。
【0044】図2および図7から明らかなように、左右
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
5R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
5L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452 に
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
5L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R の
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
【0045】而して、ベーンポンプPL ,PR の運転に
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PRの
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
【0046】以上、右ベーンポンプPR の構造を中心に
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
【0047】図16は上記ハイドロリックカップリング
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
0R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L ,
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
【0048】左ベーンポンプPL の吸入ポート37L お
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油室
50 L に連通し、また右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R および吐出ポート38 R の何れか高圧側は切換バ
ルブVR を介してベーン押上ポート281 ,301 およ
び右油室50R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入
ポート37L および吐出ポート38L は左ロータ32L
に設けた遠心バルブ44L を介してピストン45L ,4
5R に連通し、また右ベーンポンプPR の吸入ポート3
7R および吐出ポート38R は右ロータ32R に設けた
遠心バルブ44R を介してピストン45 L ,45R に連
通する。
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油室
50 L に連通し、また右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R および吐出ポート38 R の何れか高圧側は切換バ
ルブVR を介してベーン押上ポート281 ,301 およ
び右油室50R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入
ポート37L および吐出ポート38L は左ロータ32L
に設けた遠心バルブ44L を介してピストン45L ,4
5R に連通し、また右ベーンポンプPR の吸入ポート3
7R および吐出ポート38R は右ロータ32R に設けた
遠心バルブ44R を介してピストン45 L ,45R に連
通する。
【0049】更に、ベーン押上ポート281 ,301 と
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R も
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
【0050】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
の作用について説明する。
【0051】車両Vが定速走行する状態では、エンジン
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L ,
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
PR のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L ,
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
【0052】また低摩擦路における発進時や急加速時に
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。而して、前輪WFL,W
FRのスリップ時には四輪駆動状態となり、車両Vのトラ
クションを増加させることができる。このとき、第1オ
リフィス41L ,41R の径を減少させるほど、左右の
ベーンポンプPL ,PR の負荷が増加して後輪WRL,W
RRに伝達される駆動力が増加する。
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
PL ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
8R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。而して、前輪WFL,W
FRのスリップ時には四輪駆動状態となり、車両Vのトラ
クションを増加させることができる。このとき、第1オ
リフィス41L ,41R の径を減少させるほど、左右の
ベーンポンプPL ,PR の負荷が増加して後輪WRL,W
RRに伝達される駆動力が増加する。
【0053】車両Vが低速でタイトな旋回を行うとき、
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは左右のベーンポンプPL ,PR で異なって
いる。このとき、左右のベーンポンプPL ,PR の吐出
ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の第
1オリフィス41L ,41R を経て吸入ポート37L ,
37R に還流し、また左右のベーンポンプPL ,PR が
吐出した作動油の差分は、第2オリフィス43を経て行
き来することにより相殺されるため、両ベーンポンプP
L ,PR に大きな負荷が発生することが防止される。そ
の結果、四輪駆動車両Vが低速でタイトな旋回を行う際
に各車輪の旋回軌跡の半径差により発生する、所謂タイ
トコーナーブレーキング現象を軽減することができる。
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは左右のベーンポンプPL ,PR で異なって
いる。このとき、左右のベーンポンプPL ,PR の吐出
ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の第
1オリフィス41L ,41R を経て吸入ポート37L ,
37R に還流し、また左右のベーンポンプPL ,PR が
吐出した作動油の差分は、第2オリフィス43を経て行
き来することにより相殺されるため、両ベーンポンプP
L ,PR に大きな負荷が発生することが防止される。そ
の結果、四輪駆動車両Vが低速でタイトな旋回を行う際
に各車輪の旋回軌跡の半径差により発生する、所謂タイ
トコーナーブレーキング現象を軽減することができる。
【0054】例えば、左後輪WRLを除く左右の前輪
WFL,WFRおよび右後輪WRRが泥濘にはまったような場
合、スリップする前輪WFL,WFRに連動してカムリング
29L ,29R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減
少している右後輪WRRも、カムリング29R からベーン
35…、ロータ32R およびロータシャフト14R を介
して伝達される駆動力によりスリップしてしまう。しか
しながら、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪WRL
にはカムリング29L からベーン35…、ロータ32L
およびロータシャフト14L を介して駆動力が伝達され
るため、その駆動力により泥濘からの脱出が可能とな
る。即ち、本実施例のハイドロリックカップリング装置
Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能を発揮
させることが可能となる。このとき、第2オリフィス4
3の径を減少させるほど、前記差動制限機能を強めるこ
とができる。
WFL,WFRおよび右後輪WRRが泥濘にはまったような場
合、スリップする前輪WFL,WFRに連動してカムリング
29L ,29R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減
少している右後輪WRRも、カムリング29R からベーン
35…、ロータ32R およびロータシャフト14R を介
して伝達される駆動力によりスリップしてしまう。しか
しながら、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪WRL
にはカムリング29L からベーン35…、ロータ32L
およびロータシャフト14L を介して駆動力が伝達され
るため、その駆動力により泥濘からの脱出が可能とな
る。即ち、本実施例のハイドロリックカップリング装置
Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能を発揮
させることが可能となる。このとき、第2オリフィス4
3の径を減少させるほど、前記差動制限機能を強めるこ
とができる。
【0055】前述した低摩擦路における発進時や急加速
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図14(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図14(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
0R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
【0056】一方、車両が急制動を行う場合には、AB
S(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪の
ロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後
輪W RL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動
の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL,
WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロ
ータ32L ,32R が逆転方向(図3の矢印B方向)に
相対回転し、図14(B)に示すように、吐出ポート3
8L ,38R から作動油が吸入されて吸入ポート3
7L ,37R から作動油が吐出される。その結果、高圧
側の吸入ポート37 L ,37R と低圧側の吐出ポート3
8L ,38R との差圧によって切換バルブV L ,VR の
オリフィスプレート40L ,40R が吐出ポート3
8L ,38R 側に揺動するため、高圧側の吸入ポート3
7L ,37R がオリフィスプレート支持溝39L ,39
R を介してベーン押上ポート301 に連通するととも
に、ベーン押上ポート301 と低圧側の吐出ポート38
L ,38R との連通が遮断される。而して、ベーン押上
ポート301 に伝達された油圧によってベーン35…を
半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング29L ,
29R の内周面に圧接することができる。
S(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪の
ロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後
輪W RL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動
の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL,
WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロ
ータ32L ,32R が逆転方向(図3の矢印B方向)に
相対回転し、図14(B)に示すように、吐出ポート3
8L ,38R から作動油が吸入されて吸入ポート3
7L ,37R から作動油が吐出される。その結果、高圧
側の吸入ポート37 L ,37R と低圧側の吐出ポート3
8L ,38R との差圧によって切換バルブV L ,VR の
オリフィスプレート40L ,40R が吐出ポート3
8L ,38R 側に揺動するため、高圧側の吸入ポート3
7L ,37R がオリフィスプレート支持溝39L ,39
R を介してベーン押上ポート301 に連通するととも
に、ベーン押上ポート301 と低圧側の吐出ポート38
L ,38R との連通が遮断される。而して、ベーン押上
ポート301 に伝達された油圧によってベーン35…を
半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング29L ,
29R の内周面に圧接することができる。
【0057】左右のベーンポンプPL ,PR が作動する
と、左右の第1サイドプレート28 L ,28R の吐出ポ
ート38L …,38R …に発生したポンプ吐出圧によ
り、該左右の第1サイドプレート28L ,28R が軸方
向外側に押圧され、左右のカムリング29L ,29R お
よび左右のロータ32L ,32R との間のサイドクリア
ランスが増加する。また左右の第1サイドプレート28
L ,28R のベーン押上ポート281 ,281 に作用す
るポンプ吐出圧によっても、該左右の第1サイドプレー
ト28L ,28R が軸方向外側に押圧されてサイドクリ
アランスが増加する。このようにしてベーンポンプ
PL ,PR のサイドクリアランスが増加すると、高圧側
から低圧側に作動油がリークしてポンプ効率が低下して
しまう問題がある。
と、左右の第1サイドプレート28 L ,28R の吐出ポ
ート38L …,38R …に発生したポンプ吐出圧によ
り、該左右の第1サイドプレート28L ,28R が軸方
向外側に押圧され、左右のカムリング29L ,29R お
よび左右のロータ32L ,32R との間のサイドクリア
ランスが増加する。また左右の第1サイドプレート28
L ,28R のベーン押上ポート281 ,281 に作用す
るポンプ吐出圧によっても、該左右の第1サイドプレー
ト28L ,28R が軸方向外側に押圧されてサイドクリ
アランスが増加する。このようにしてベーンポンプ
PL ,PR のサイドクリアランスが増加すると、高圧側
から低圧側に作動油がリークしてポンプ効率が低下して
しまう問題がある。
【0058】本実施例によれば、6本のボルト50…を
回転させて右スペーサ49R を左ケーシング21に向け
て軸方向左側に押圧することにより、左右のスペーサ4
9L,49R 間に左右の第1サイドプレート28L ,2
8R 、第2サイドプレート30、左右のカムリング29
L ,29R および左右のロータ32L ,32R を挟持し
て軸方向に密着させ、サイドクリアランスを減少させて
作動油のリークを防止することができる。
回転させて右スペーサ49R を左ケーシング21に向け
て軸方向左側に押圧することにより、左右のスペーサ4
9L,49R 間に左右の第1サイドプレート28L ,2
8R 、第2サイドプレート30、左右のカムリング29
L ,29R および左右のロータ32L ,32R を挟持し
て軸方向に密着させ、サイドクリアランスを減少させて
作動油のリークを防止することができる。
【0059】このように、ケーシング24の外側から6
本のボルト50…を回転させてベーンポンプPL ,PR
のサイドクリアランスを調整するので、その調整作業が
極めて容易である。またサイドクリアランスを任意の大
きさに調整することができるので、サイドクリアランス
を過少に調整して左右のロータ32L ,32R の摺動面
の摩擦抵抗が増加する虞もない。しかもボルト50…の
押圧力を右サイドプレート28R に直接作用させずに右
スペーサ49R を介して作用させるので、6本のボルト
50…の押圧力に多少のバラツキが存在しても、右サイ
ドプレート28 R を均等な荷重で押圧してサイドクリア
ランスを円周方向に均一化することができる。
本のボルト50…を回転させてベーンポンプPL ,PR
のサイドクリアランスを調整するので、その調整作業が
極めて容易である。またサイドクリアランスを任意の大
きさに調整することができるので、サイドクリアランス
を過少に調整して左右のロータ32L ,32R の摺動面
の摩擦抵抗が増加する虞もない。しかもボルト50…の
押圧力を右サイドプレート28R に直接作用させずに右
スペーサ49R を介して作用させるので、6本のボルト
50…の押圧力に多少のバラツキが存在しても、右サイ
ドプレート28 R を均等な荷重で押圧してサイドクリア
ランスを円周方向に均一化することができる。
【0060】ところで、ハイドロリックカップリング装
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
【0061】これを回避すべく、本実施例では前輪
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図14
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図15の実線参照)。
WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
2L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図14
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
8L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図15の実線参照)。
【0062】一方、前述した急制動時のように後輪
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図14(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図15の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図14(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R に
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図15の破線参照)。而して、急制動時に前輪
WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
【0063】またベーンポンプPL ,PR の運転に伴っ
て吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート38
L ,38R )が負圧になったとき、その負圧で弁体63
…がスプリング62…に抗して弁座61…から離反する
ことにより、遠心バルブ44 L …,44R …が開弁して
吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8 L ,38R )をリザーバとして機能するピストン45
L ,45R に連通させるので、過剰な負圧によりキャビ
テーションが発生するのを確実に防止することができ
る。
て吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート38
L ,38R )が負圧になったとき、その負圧で弁体63
…がスプリング62…に抗して弁座61…から離反する
ことにより、遠心バルブ44 L …,44R …が開弁して
吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
8 L ,38R )をリザーバとして機能するピストン45
L ,45R に連通させるので、過剰な負圧によりキャビ
テーションが発生するのを確実に防止することができ
る。
【0064】また図13に示すように、車両Vの高速走
行時には後輪WRL,WRRに接続された左右のロータ32
L ,32R が高速回転するため、左右のロータ32L ,
32 R に設けた遠心バルブ44L …,44R …の弁体6
3…に大きな遠心力が作用する。その結果、弁体63…
がスプリング62…の弾発力に抗して弁座61…から離
反し、作動室34L …,34R …内に発生したポンプ吐
出圧は遠心バルブ44 L …,44R …を介して低圧側に
逃がされるため、左右のベーンポンプPL ,P R が無負
荷状態になって後輪WRL,WRRへの駆動力の配分が停止
され、車両Vは前輪駆動状態に維持される。
行時には後輪WRL,WRRに接続された左右のロータ32
L ,32R が高速回転するため、左右のロータ32L ,
32 R に設けた遠心バルブ44L …,44R …の弁体6
3…に大きな遠心力が作用する。その結果、弁体63…
がスプリング62…の弾発力に抗して弁座61…から離
反し、作動室34L …,34R …内に発生したポンプ吐
出圧は遠心バルブ44 L …,44R …を介して低圧側に
逃がされるため、左右のベーンポンプPL ,P R が無負
荷状態になって後輪WRL,WRRへの駆動力の配分が停止
され、車両Vは前輪駆動状態に維持される。
【0065】尚、遠心バルブ44L …,44R …が開弁
するときのロータ32L ,32R の設定回転角速度をω
とし、弁体63…の質量をmとし、回転中心から弁体6
3…までの半径をrとすると、スプリング62…の適切
なセット荷重Fは、ロータ32L ,32R の半径方向の
力の釣合いから、F=mrω2 により求めることができ
る。従って、弁体63…の質量mあるいはスプリング6
2…のセット荷重Fを適宜変更することにより、遠心バ
ルブ44L …,44R …の開弁特性を容易かつ任意に設
定することができる。
するときのロータ32L ,32R の設定回転角速度をω
とし、弁体63…の質量をmとし、回転中心から弁体6
3…までの半径をrとすると、スプリング62…の適切
なセット荷重Fは、ロータ32L ,32R の半径方向の
力の釣合いから、F=mrω2 により求めることができ
る。従って、弁体63…の質量mあるいはスプリング6
2…のセット荷重Fを適宜変更することにより、遠心バ
ルブ44L …,44R …の開弁特性を容易かつ任意に設
定することができる。
【0066】また複数の遠心バルブ44L …,44R …
をそれぞれ異なる特性とし、車速の増加に応じて段階的
に発生トルクを変えることもできる。図17に示す例
は、左右のロータ32L ,32R にそれぞれ設けた各8
個の遠心バルブ44L …,44 R …のうち、対角位置に
ある2個の遠心バルブa,a′の開弁回転数を他の6個
の遠心バルブの開弁回転数よりも低く設定し、かつ2個
の遠心バルブa,a′の開弁回転数を同一に設定したも
のである。図17のA〜Mの間のロータ32L ,32R
は反時計方向に120°回転するが、作動室34L …,
34R …は120°間隔で3個設けられているため、A
の状態とMの状態は実質的に同一の状態を示している。
つまり、Aを反時計方向に120°回転させたものがM
である。
をそれぞれ異なる特性とし、車速の増加に応じて段階的
に発生トルクを変えることもできる。図17に示す例
は、左右のロータ32L ,32R にそれぞれ設けた各8
個の遠心バルブ44L …,44 R …のうち、対角位置に
ある2個の遠心バルブa,a′の開弁回転数を他の6個
の遠心バルブの開弁回転数よりも低く設定し、かつ2個
の遠心バルブa,a′の開弁回転数を同一に設定したも
のである。図17のA〜Mの間のロータ32L ,32R
は反時計方向に120°回転するが、作動室34L …,
34R …は120°間隔で3個設けられているため、A
の状態とMの状態は実質的に同一の状態を示している。
つまり、Aを反時計方向に120°回転させたものがM
である。
【0067】A→B→C→D→E→Fの行程では、一方
の遠心バルブaに臨む作動室34L,34L の空間(斜
線部分参照)の容積が減少するため、前記一方の遠心バ
ルブaが開弁することにより前記作動室34L ,34R
の作動油が逃がされ、その分だけ発生トルクが減少す
る。それに続くG→H→I→J→K→Lの行程では、他
方の遠心バルブa′に臨む作動室34L ,34L の空間
(斜線部分参照)の容積が減少するため、前記他方の遠
心バルブa′が開弁することにより前記作動室34L ,
34R の作動油が逃がされ、その分だけ発生トルクが減
少する。
の遠心バルブaに臨む作動室34L,34L の空間(斜
線部分参照)の容積が減少するため、前記一方の遠心バ
ルブaが開弁することにより前記作動室34L ,34R
の作動油が逃がされ、その分だけ発生トルクが減少す
る。それに続くG→H→I→J→K→Lの行程では、他
方の遠心バルブa′に臨む作動室34L ,34L の空間
(斜線部分参照)の容積が減少するため、前記他方の遠
心バルブa′が開弁することにより前記作動室34L ,
34R の作動油が逃がされ、その分だけ発生トルクが減
少する。
【0068】このように、対角位置にある2個の遠心バ
ルブa,a′の開弁回転数を低く設定することにより、
全部の遠心バルブaの開弁圧を同一に設定した場合に比
べて、車速の増加に応じて発生トルクを減少させること
ができる(図18参照)。しかもロータ32L ,32R
がどのような位相にあっても、2個の遠心バルブa,
a′の何れか一方が常に機能しているので、発生トルク
の脈動を最小限に抑えることができる。
ルブa,a′の開弁回転数を低く設定することにより、
全部の遠心バルブaの開弁圧を同一に設定した場合に比
べて、車速の増加に応じて発生トルクを減少させること
ができる(図18参照)。しかもロータ32L ,32R
がどのような位相にあっても、2個の遠心バルブa,
a′の何れか一方が常に機能しているので、発生トルク
の脈動を最小限に抑えることができる。
【0069】図19に示す例は、左右のロータ32L ,
32R にそれぞれ設けた各8個の遠心バルブ44L …,
44R …のうち、対角位置にある2個の遠心バルブa,
a′の開弁回転数を最も低く設定し、前記2個の遠心バ
ルブa,a′と直交する対角位置にある2個の遠心バル
ブb,b′の開弁回転数を次に低く設定し、残りの4個
の遠心バルブの開弁回転数を最も高く設定したものであ
る。図19のA〜Mの間にロータ32L ,32R は反時
計方向に120°回転するが、作動室34L …,34R
…は120°間隔で3個設けられているため、Aの状態
とMの状態は実質的に同一の状態を示している。つま
り、Aを反時計方向に120°回転させたものがMであ
る。
32R にそれぞれ設けた各8個の遠心バルブ44L …,
44R …のうち、対角位置にある2個の遠心バルブa,
a′の開弁回転数を最も低く設定し、前記2個の遠心バ
ルブa,a′と直交する対角位置にある2個の遠心バル
ブb,b′の開弁回転数を次に低く設定し、残りの4個
の遠心バルブの開弁回転数を最も高く設定したものであ
る。図19のA〜Mの間にロータ32L ,32R は反時
計方向に120°回転するが、作動室34L …,34R
…は120°間隔で3個設けられているため、Aの状態
とMの状態は実質的に同一の状態を示している。つま
り、Aを反時計方向に120°回転させたものがMであ
る。
【0070】2個の遠心バルブa,a′の機能は、前記
図17で説明したものと同じであり、A→B→C→D→
E→Fの行程では一方の遠心バルブaが開弁して作動油
を逃がし、それに続くG→H→I→J→K→Lの行程で
は他方の遠心バルブa′が開弁して作動油を逃がすこと
により、車速の増加に応じて脈動を発生させることなく
発生トルクを減少させることができる。また他の2個の
遠心バルブb,b′のうちの一方の遠心バルブbは、A
→B→CおよびJ→K→L→Mの行程で開弁して作動室
34L ,34L の空間(黒塗り部分参照)の作動油を逃
がし、他方の遠心バルブb′は、D→E→F→G→H→
Iの行程で開弁して作動室34L ,34 L の空間(黒塗
り部分参照)の作動油を逃がすことにより、車速の増加
に応じて脈動を発生させることなく発生トルクを減少さ
せることができる。
図17で説明したものと同じであり、A→B→C→D→
E→Fの行程では一方の遠心バルブaが開弁して作動油
を逃がし、それに続くG→H→I→J→K→Lの行程で
は他方の遠心バルブa′が開弁して作動油を逃がすこと
により、車速の増加に応じて脈動を発生させることなく
発生トルクを減少させることができる。また他の2個の
遠心バルブb,b′のうちの一方の遠心バルブbは、A
→B→CおよびJ→K→L→Mの行程で開弁して作動室
34L ,34L の空間(黒塗り部分参照)の作動油を逃
がし、他方の遠心バルブb′は、D→E→F→G→H→
Iの行程で開弁して作動室34L ,34 L の空間(黒塗
り部分参照)の作動油を逃がすことにより、車速の増加
に応じて脈動を発生させることなく発生トルクを減少さ
せることができる。
【0071】このように、2組4個の遠心バルブa,
a′,b,b′の開弁回転数を他の4個の遠心バルブの
開弁回転数よりも2段階に低く設定することにより、全
部の遠心バルブaの開弁圧を同一に設定した場合に比べ
て、車速の増加に応じて発生トルクを段階的に減少させ
ることができる(図20参照)。しかもロータ32L ,
32R がどのような位相にあっても、2個の遠心バルブ
a,a′の何れか一方が、また他の2個の遠心バルブ
b,b′の何れか一方が常に機能しているので、発生ト
ルクの脈動を最小限に抑えることができる。
a′,b,b′の開弁回転数を他の4個の遠心バルブの
開弁回転数よりも2段階に低く設定することにより、全
部の遠心バルブaの開弁圧を同一に設定した場合に比べ
て、車速の増加に応じて発生トルクを段階的に減少させ
ることができる(図20参照)。しかもロータ32L ,
32R がどのような位相にあっても、2個の遠心バルブ
a,a′の何れか一方が、また他の2個の遠心バルブ
b,b′の何れか一方が常に機能しているので、発生ト
ルクの脈動を最小限に抑えることができる。
【0072】而して、共通の遠心バルブ44L …,44
R …に、作動室34L …,34R …にキャビテーション
が発生するのを防止するチェックバルブの機能と、高速
走行時に車両Vを前輪駆動状態に維持する遠心バルブの
機能とを併せ持たせたので、部品点数を減少させてコス
トが削減するとともにベーンポンプPL ,PR の小型化
を可能にすることができる。しかも遠心バルブ44
L …,44R …をロータ32L ,32R の内部に放射状
に設けたので、それらを第1サイドプレート28L,2
8R あるいは第2サイドプレート30に設ける場合に比
べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、加工も
容易になって製造コストの削減に寄与することができ
る。
R …に、作動室34L …,34R …にキャビテーション
が発生するのを防止するチェックバルブの機能と、高速
走行時に車両Vを前輪駆動状態に維持する遠心バルブの
機能とを併せ持たせたので、部品点数を減少させてコス
トが削減するとともにベーンポンプPL ,PR の小型化
を可能にすることができる。しかも遠心バルブ44
L …,44R …をロータ32L ,32R の内部に放射状
に設けたので、それらを第1サイドプレート28L,2
8R あるいは第2サイドプレート30に設ける場合に比
べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、加工も
容易になって製造コストの削減に寄与することができ
る。
【0073】以上のように、第2オリフィス43…を第
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
【0074】しかも切換バルブVL ,VR を用いて吸入
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
7R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
【0075】更に、左右のベーンポンプPL ,PR が第
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
【0076】次に、図21および図22に基づいて本発
明の第2実施例を説明する。
明の第2実施例を説明する。
【0077】第2実施例は、第1実施例の更なる改良で
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
あって、コイルスプリング36の横断面の長径d1 が、
半径方向内端のd1Sから半径方向外端のd1Lへとテーパ
ー状に漸増している。コイルスプリング36の横断面の
短径d2 が一定であることと、半径方向内端にロータ3
2L ,32R の軸方向寸法d3 と略等しい軸方向寸法d
3 を有する倒れ規制部361 を一体に備えたこととは、
前記第2実施例と同じである。
【0078】また、ベーン35の半径方向内端に形成さ
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
れた切欠351 が、前記第1実施例では台形状に形成さ
れているのに対し、本第2実施例では前記切欠351 の
軸方向寸法Wが、そこに嵌合するコイルスプリング36
の半径方向外端の軸方向寸法d1Lと略等しい一定幅Wに
設定されている。
【0079】而して、本第2実施例によれば、コイルス
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
プリング36の半径方向内端に設けた倒れ規制部361
によって、該コイルスプリング36の倒れを一層効果的
に防止できるのは勿論のこと、コイルスプリング36の
長径d1 が半径方向外側に向かって増加しているので、
ベーン35の切欠351 の形状を加工の面倒な台形から
加工の容易な長方形に変更しても、圧縮されたコイルス
プリング36が前記切欠351 に噛み込むのを確実に防
止することが可能になる。
【0080】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
【0081】例えば、実施例ではベーンポンプPL ,P
R を2個備えたハイドロリックカップリング装置Hを例
示したが、本発明はベーンポンプを1個備えたハイドロ
リックカップリング装置に対しても適用することができ
る。
R を2個備えたハイドロリックカップリング装置Hを例
示したが、本発明はベーンポンプを1個備えたハイドロ
リックカップリング装置に対しても適用することができ
る。
【0082】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、ロータに設けた遠心バルブが、ロータの内部
に半径方向外側に向けて形成された弁座と、弁座に着座
可能な弁体と、弁体を半径方向内側に向けて付勢して弁
座に着座させるスプリングとを備えているので、車両の
発進時や低速走行時にはロータの回転数が低いために弁
体に作用する遠心力が小さくなり、遠心バルブはスプリ
ングの弾発力で弁体が弁座に着座して閉弁状態になる一
方、車両の高速走行時にはロータの回転数が高いために
弁体に作用する遠心力が大きくなり、遠心力で付勢され
た弁体がスプリングに抗して弁座から離反して遠心バル
ブが開弁する。その結果、車両の高速走行時にカムリン
グの内部がベーンポンプの低圧部に連通してベーンポン
プは無負荷状態になり、主駆動輪から副駆動輪に駆動力
が伝達されなくなって車両が二輪駆動状態に維持され
る。しかも遠心バルブをロータの内部に半径方向に配置
したので、その遠心バルブをサイドプレートに設ける場
合に比べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、
加工も容易になって製造コストの削減に寄与することが
できる。また弁体の質量あるいはスプリングのセット荷
重を変更するだけで、遠心バルブの開弁特性を容易かつ
任意に設定することができる。
によれば、ロータに設けた遠心バルブが、ロータの内部
に半径方向外側に向けて形成された弁座と、弁座に着座
可能な弁体と、弁体を半径方向内側に向けて付勢して弁
座に着座させるスプリングとを備えているので、車両の
発進時や低速走行時にはロータの回転数が低いために弁
体に作用する遠心力が小さくなり、遠心バルブはスプリ
ングの弾発力で弁体が弁座に着座して閉弁状態になる一
方、車両の高速走行時にはロータの回転数が高いために
弁体に作用する遠心力が大きくなり、遠心力で付勢され
た弁体がスプリングに抗して弁座から離反して遠心バル
ブが開弁する。その結果、車両の高速走行時にカムリン
グの内部がベーンポンプの低圧部に連通してベーンポン
プは無負荷状態になり、主駆動輪から副駆動輪に駆動力
が伝達されなくなって車両が二輪駆動状態に維持され
る。しかも遠心バルブをロータの内部に半径方向に配置
したので、その遠心バルブをサイドプレートに設ける場
合に比べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、
加工も容易になって製造コストの削減に寄与することが
できる。また弁体の質量あるいはスプリングのセット荷
重を変更するだけで、遠心バルブの開弁特性を容易かつ
任意に設定することができる。
【0083】また請求項2に記載された発明によれば、
ロータに設けた遠心バルブが、ロータを半径方向に貫通
し、半径方向外端がカムリングの内部に連通するととも
に半径方向内端がケーシング内の低圧部に連通する通孔
と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて形成された弁
座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁座に向けて付
勢するスプリングとを備えているので、車両の発進時や
低速走行時には副駆動輪に接続されたロータの回転数が
低いために弁体に作用する遠心力が小さくなり、遠心バ
ルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に着座して閉弁
状態になる一方、車両の高速走行時には副駆動輪に接続
されたロータの回転数が高いために弁体に作用する遠心
力が大きくなり、遠心力で付勢された弁体がスプリング
に抗して弁座から離反して遠心バルブが開弁する。その
結果、車両の高速走行時に吸入ポートおよび吐出ポート
がケーシング内の空間を介して相互に連通してベーンポ
ンプは無負荷状態になり、主駆動輪から副駆動輪に駆動
力が伝達されなくなって車両が二輪駆動状態に維持され
る。しかも遠心バルブをロータの内部に半径方向に配置
したので、その遠心バルブをサイドプレートに設ける場
合に比べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、
加工も容易になって製造コストの削減に寄与することが
できる。また弁体の質量あるいはスプリングのばね定数
を変更するだけで、遠心バルブの開弁特性を容易かつ任
意に設定することができる。
ロータに設けた遠心バルブが、ロータを半径方向に貫通
し、半径方向外端がカムリングの内部に連通するととも
に半径方向内端がケーシング内の低圧部に連通する通孔
と、通孔の中間部に半径方向外側に向けて形成された弁
座と、弁座に着座可能な弁体と、弁体を弁座に向けて付
勢するスプリングとを備えているので、車両の発進時や
低速走行時には副駆動輪に接続されたロータの回転数が
低いために弁体に作用する遠心力が小さくなり、遠心バ
ルブはスプリングの弾発力で弁体が弁座に着座して閉弁
状態になる一方、車両の高速走行時には副駆動輪に接続
されたロータの回転数が高いために弁体に作用する遠心
力が大きくなり、遠心力で付勢された弁体がスプリング
に抗して弁座から離反して遠心バルブが開弁する。その
結果、車両の高速走行時に吸入ポートおよび吐出ポート
がケーシング内の空間を介して相互に連通してベーンポ
ンプは無負荷状態になり、主駆動輪から副駆動輪に駆動
力が伝達されなくなって車両が二輪駆動状態に維持され
る。しかも遠心バルブをロータの内部に半径方向に配置
したので、その遠心バルブをサイドプレートに設ける場
合に比べてコンパクトな配置が可能になるだけでなく、
加工も容易になって製造コストの削減に寄与することが
できる。また弁体の質量あるいはスプリングのばね定数
を変更するだけで、遠心バルブの開弁特性を容易かつ任
意に設定することができる。
【図1】四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図
【図2】ハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図2の要部拡大図
【図8】図7の8−8線断面図
【図9】コイルスプリングの斜視図
【図10】オリフィスプレートの斜視図
【図11】図3の11部拡大図
【図12】図11の12方向矢視図
【図13】図3に対応する作用説明図
【図14】オリフィスプレートの作用説明図
【図15】オリフィスプレートの作用を説明するグラフ
【図16】ハイドロリックカップリング装置の油圧回路
図
図
【図17】1組のチェックバルブの特性を変化させた場
合の作用説明図
合の作用説明図
【図18】1組のチェックバルブの特性を変化させた場
合の差回転とトルクとの関係を示すグラフ
合の差回転とトルクとの関係を示すグラフ
【図19】2組のチェックバルブの特性を変化させた場
合の作用説明図
合の作用説明図
【図20】2組のチェックバルブの特性を変化させた場
合の差回転とトルクとの関係を示すグラフ
合の差回転とトルクとの関係を示すグラフ
【図21】本発明の第2実施例に係る、前記図6に対応
する図
する図
【図22】本発明の第2実施例に係るコイルスプリング
の斜視図
の斜視図
E エンジン H ハイドロリックカップリング装置 PL 左ベーンポンプ PR 右ベーンポンプ WFL 左前輪(主駆動輪) WFR 右前輪(主駆動輪) WRL 左後輪(副駆動輪) WRR 右後輪(副駆動輪) 10 プロペラシャフト(入力軸) 13L 左車軸(駆動軸) 13R 右車軸(駆動軸) 24 ケーシング 28L 左第1サイドプレート(サイドプレート) 28R 右第1サイドプレート(サイドプレート) 29L 左カムリング 29R 右カムリング 30 第2サイドプレート(サイドプレート) 32L 左ロータ 32R 右ロータ 322 通孔 35 ベーン 37L 吸入ポート 37R 吸入ポート 38L 吐出ポート 38R 吐出ポート 41L 左第1オリフィス 41R 右第1オリフィス 43 第2オリフィス 44L 遠心バルブ 44R 遠心バルブ 61 弁座 62 スプリング 63 弁体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 卓也 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 (72)発明者 望月 武志 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 Fターム(参考) 3D043 AA06 AB17 CA07 CB04
Claims (2)
- 【請求項1】 エンジン(E)により駆動される主駆動
輪(WFL,WFR)からベーンポンプ(PL ,PR )を備
えたハイドロリックカップリング装置(H)を介して副
駆動輪(WRL,WRR)に駆動力を伝達する四輪駆動車両
の動力伝達装置であって、前記ベーンポンプ(PL ,P
R )のカムリング(29L ,29R )の内部で回転する
ロータ(32L ,32R )に遠心バルブ(44L ,44
R )を設けたものにおいて、 前記遠心バルブ(44L ,44R )は、 ロータ(32L ,32R )の内部に半径方向外側に向け
て形成された弁座(61)と、 弁座(61)に着座可能な弁体(63)と、 弁体(63)を半径方向内側に向けて付勢して弁座(6
1)に着座させるスプリング(62)と、を備えてな
り、車両の高速走行時に弁体(63)は遠心力によりス
プリング(62)の弾発力に抗して弁座(61)から離
反し、カムリング(29L ,29R )の内部をベーンポ
ンプ(PL ,PR )の低圧部に連通させることを特徴と
する四輪駆動車両の動力伝達装置。 - 【請求項2】 エンジン(E)により左右の主駆動輪
(WFL,WFR)と共に駆動される入力軸(10)と、 左側の副駆動輪(WRL)に接続された左駆動軸(1
3L )と、 右側の副駆動輪(WRR)に接続された右駆動軸(1
3R )と、 入力軸(10)および左駆動軸(13L )の相対回転速
度差に応じて作動する左ベーンポンプ(PL )と、 入力軸(10)および右駆動軸(13R )の相対回転速
度差に応じて作動する右ベーンポンプ(PR )と、 左ベーンポンプ(PL )の吸入ポート(37L )および
吐出ポート(38L )間に設けられた左第1オリフィス
(41L )と、 右ベーンポンプ(PR )の吸入ポート(37R )および
吐出ポート(38R )間に設けられた右第1オリフィス
(41R )と、 左ベーンポンプ(PL )の吸入ポート(37L )および
右ベーンポンプ(PR)の吸入ポート(37R )間、並
びに左ベーンポンプ(PL )の吐出ポート(38L )お
よび右ベーンポンプ(PR )の吐出ポート(38R )間
にそれぞれ設けられた第2オリフィス(43)と、を備
えてなり、 前記各ベーンポンプ(PL ,PR )は、ケーシング(2
4)の内部に、 左右の第1サイドプレート(28L ,28R )と、 左右の第1サイドプレート(28L ,28R )間に配置
された第2サイドプレート(30)と、 左第1サイドプレート(28L )および第2サイドプレ
ート(30)間に配置された左カムリング(29L )お
よび左ロータ(32L )と、 右第1サイドプレート(28R )および第2サイドプレ
ート(30)間に配置された右カムリング(29R )お
よび右ロータ(32R )と、 左右のロータ(32L ,32R )に半径方向摺動自在に
支持されて半径方向外端が左右のカムリング(29L ,
29R )の内周面にそれぞれ当接する複数のベーン(3
5)と、 左右のロータ(32L ,32R )にそれぞれ設けられた
遠心バルブ(44L ,44R )と、 を収納してなる四輪駆動車両の動力伝達装置であって、 前記遠心バルブ(44L ,44R )は、 ロータ(32L ,32R )を半径方向に貫通し、半径方
向外端がカムリング(29L ,29R )の内部に連通す
るとともに半径方向内端がケーシング(24)内の空間
に連通する通孔(322 )と、 通孔(322 )の中間部に半径方向外側に向けて形成さ
れた弁座(61)と、弁座(61)に着座可能な弁体
(63)と、 弁体(63)を弁座(61)に向けて付勢するスプリン
グ(62)と、を備えてなり、弁体(63)は遠心力に
よりスプリング(62)の弾発力に抗して弁座(61)
から離反することを特徴とする四輪駆動車両の動力伝達
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35184699A JP2001121984A (ja) | 1999-08-19 | 1999-12-10 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23322799 | 1999-08-19 | ||
JP11-233227 | 1999-08-19 | ||
JP35184699A JP2001121984A (ja) | 1999-08-19 | 1999-12-10 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001121984A true JP2001121984A (ja) | 2001-05-08 |
Family
ID=26530928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35184699A Pending JP2001121984A (ja) | 1999-08-19 | 1999-12-10 | 四輪駆動車両の動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001121984A (ja) |
-
1999
- 1999-12-10 JP JP35184699A patent/JP2001121984A/ja active Pending
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