JP2001050177A - ベーンポンプ - Google Patents

ベーンポンプ

Info

Publication number
JP2001050177A
JP2001050177A JP22018599A JP22018599A JP2001050177A JP 2001050177 A JP2001050177 A JP 2001050177A JP 22018599 A JP22018599 A JP 22018599A JP 22018599 A JP22018599 A JP 22018599A JP 2001050177 A JP2001050177 A JP 2001050177A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
side plate
casing
rotor
vane pump
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22018599A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanji Kita
貫二 北
Kazunori Miyata
和典 宮田
Takuya Kurokawa
卓也 黒川
Takeshi Mochizuki
武志 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP22018599A priority Critical patent/JP2001050177A/ja
Publication of JP2001050177A publication Critical patent/JP2001050177A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)
  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーンポンプにおいて、カムリングおよびロ
ータとサイドプレートとの間に発生するサイドクリアラ
ンスを簡単に調整できるようにする。 【解決手段】 左右のケーシング21,22の内部に、
ロータシャフト14L ,14R に支持されたロータ32
L ,32R と、その外周を囲むカムリング29L29R
と、ロータ32L ,32R およびカムリング29L 29
R の両側面を挟持するサイドプレート30,28L ,2
R とを配置する。右ケーシング22に螺入した複数本
のボルト50の先端でスペーサ49R を介して右サイド
プレート28R を押圧することにより、ロータ32L
32R およびカムリング29L 29 R とサイドプレート
30,28L ,28R との間に発生するサイドクリアラ
ンスを任意に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータに放射状に
形成したベーン溝に摺動自在に支持したベーンの半径方
向外端をカムリングの内周面に当接させたベーンポンプ
に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力が直接伝達される主駆
動輪と、この主駆動輪からハイドロリックカップリング
装置を介して駆動力が配分される副駆動輪とを備えた四
輪駆動車両において、前記ハイドロリックカップリング
装置を一対のベーンポンプで構成したものが、特開平3
−104736号公報、特開平1−153335号公報
により公知である。
【0003】かかるベーンポンプは、半径方向外側およ
び内側がそれぞれカムリングおよびロータで区画され、
かつ軸方向両側が一対のサイドプレートで区画されたポ
ンプ作動室を備えており、ロータに半径方向摺動自在に
支持されて半径方向外端がカムリングの内周面に当接す
る複数のベーンをロータの回転に伴ってポンプ作動室内
で移動させることにより、ポンプ作動室の一端に設けた
吸入ポートから吸入した作動油をポンプ作動室の他端に
設けた吐出ポートから吐出するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ポンプ作動
室の内部でベーンが作動油を加圧して発生した吐出圧が
サイドプレートの内面に作用すると、サイドプレートが
軸方向外側に押されてカムリング、ロータあるいはベー
ンとの間にサイドクリアランスが発生するため、このサ
イドクリアランスを通して高圧側から低圧側に作動油が
リークしてベーンポンプの性能が低下してしまう問題が
ある。これを回避するには、サイドプレートの外面を支
持するケーシングの剛性を高めてサイドクリアランスの
発生を抑制すれば良いが、このようにするとケーシング
が大型化して重量増加の要因となる問題がある。
【0005】そこで、ケーシングおよびサイドプレート
間に所定の厚さのシムを介在させることにより、サイド
プレートをカムリングおよびロータに押し付けてサイド
クリアランスを減少させることが考えられるが、このよ
うにすると厚さの異なる多数種類のシムを用意する必要
があるだけでなく、適切な厚さのシムを見いだすために
シムの交換作業を繰り返し行う必要があり、その作業が
極めて面倒になる。
【0006】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、ベーンポンプのカムリングあるいはロータとサイド
プレートとの間に発生するサイドクリアランスを簡単に
調整できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ケーシングの
内部でカムリングおよび一対のサイドプレートにより囲
まれた空間にロータを回転自在に収納し、このロータに
放射状に形成した複数のベーン溝にそれぞれ摺動自在に
支持したベーンの半径方向外端をカムリングの内周面に
当接させたベーンポンプにおいて、ケーシングに螺合す
るボルトの先端で少なくとも一方のサイドプレートを押
圧し、このサイドプレートの内側面をロータおよびカム
リングの外側面に圧接したことを特徴とするベーンポン
プが提案される。
【0008】上記構成によれば、ケーシングに螺合する
ボルトの先端でサイドプレートを押圧してロータおよび
カムリングに圧接することにより、ロータあるいはカム
リングとサイドプレートとの間に発生するサイドクリア
ランスの大きさを任意に調整することができる。これに
より、過大なサイドクリアランスによる作動油のリーク
を抑制するとともに過少なサイドクリアランスによる摺
動抵抗の増加を抑制し、ポンプ効率を高めることができ
る。しかもケーシングの外部からボルトを操作するだけ
で良いため、サイドクリアランスの調整作業が極めて容
易である。
【0009】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、前記少なくとも一方のサイド
プレートおよびケーシング間に環状のスペーサを配置
し、円周上に配置された複数本のボルトの押圧力を前記
スペーサを介して前記サイドプレートに伝達することを
特徴とするベーンポンプが提案される。
【0010】上記構成によれば、円周上に配置した複数
本のボルトで、サイドプレートおよびケーシング間に配
置した環状のスペーサを押圧するので、複数本のボルト
の押圧力をスペーサで平均化してサイドプレートに伝達
し、サイドクリアランスの大きさを円周方向に均一化す
ることができる。
【0011】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、ケーシングの外側面に形成し
た凹部に前記ボルトを配置したことを特徴とするベーン
ポンプが提案される。
【0012】上記構成によれば、ケーシングの外側面に
形成した凹部にボルトを配置したので、そのボルトが他
の物体に接触して損傷したり緩んだりするのを防止する
ことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0014】図1〜図16は本発明の第1実施例を示す
もので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルト
ン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面
図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4
線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の
6−6線断面図、図7は図2の要部拡大図、図8は図7
の8−8線断面図、図9はコイルスプリングの斜視図、
図10はオリフィスプレートの斜視図、図11はオリフ
ィスプレートの作用説明図、図12はオリフィスプレー
トの作用を説明するグラフ、図13は図5の13−13
線拡大断面図、図14はハイドロリックカップリング装
置の油圧回路図、図15はサイドクリアランスと副駆動
輪に伝達されるトルクとの関係を示す図、図16はボル
トの回転角とカムリングの圧縮量との関係を示す図であ
る。
【0015】図1に示すように、四輪駆動車両Vは車体
前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンE
の右側面に結合したトランスミッションMとを備える。
トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右
の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1 は、ト
ランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ
2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3
と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式の
フロントディファレンシャル4と、フロントディファレ
ンシャル4から左右に延出して主駆動輪としての前輪W
FL,WFRに接続される左右の車軸5L ,5R とから構成
される。
【0016】第1動力伝達系D1 の駆動力を副駆動輪と
しての後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D
2 は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに
設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合す
る第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転
する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する
第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて
車体後方に延びるプロペラシャフト10と、プロペラシ
ャフト10の後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3
ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4
ベベルギヤ12により駆動されるハイドロリックカップ
リング装置Hと、ハイドロリックカップリング装置Hか
ら左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車
軸13L ,13R とを備える。
【0017】次に、図2に基づいてハイドロリックカッ
プリング装置Hの構造を説明する。
【0018】ハイドロリックカップリング装置Hは、概
略円板状の左ケーシング21および概略カップ状の右ケ
ーシング22をボルト23…で結合してなるケーシング
24を備えており、このケーシング24は一対のボール
ベアリング19L ,19R でハウジング20に回転自在
に支持される。右ケーシング22には前記第4ベベルギ
ヤ12がボルト23…で共締めされており、従ってプロ
ペラシャフト10の回転は第3ベベルギヤ11および第
4ベベルギヤ12を介してケーシング24に伝達され
る。左後輪WRLの車軸13L に接続されて左ケーシング
21の中央部を貫通する左ロータシャフト14L の右端
と、右後輪WRRの車軸13R に接続されて右ケーシング
22の中央部を貫通する右ロータシャフト14R の左端
とが、ケーシング24の内部で同軸に対向する。
【0019】一対のボールベアリング25L ,26L
介して左ケーシング21および後記第2サイドプレート
30に回転自在に支持された左ロータシャフト14
L は、その外周面と左ケーシング21との間にシール部
材27L が配置される。一対のボールベアリング2
R ,26R を介して右ケーシング22および後記第2
サイドプレート30に回転自在に支持された右ロータシ
ャフト14R は、その外周面と右ケーシング22との間
にシール部材27R が配置される。
【0020】ケーシング24の内部には、左ベーンポン
プPL および右ベーンポンプPR が左右対称に配置され
る。すなわち、ケーシング24の内部には左第1サイド
プレート28L 、左カムリング29L 、第2サイドプレ
ート30、右カムリング29 R および右第1サイドプレ
ート28R が軸方向に積層されており、それらの外周面
は右ケーシング22の内周面にスプライン嵌合31…
(図3〜図7参照)してケーシング24に対して回り止
めされる。左ロータシャフト14L にスプライン結合さ
れた左ロータ32L が、左第1サイドプレート28L
左カムリング29 L および第2サイドプレート30に囲
まれた空間に回転自在に収納され、また右ロータシャフ
ト14R にスプライン結合された右ロータ32R が、右
第1サイドプレート28R 、右カムリング29R および
第2サイドプレート30に囲まれた空間に回転自在に収
納される。第2サイドプレート30は左ベーンポンプP
L および右ベーンポンプPR に共通する構成要素であ
り、その内周面に前記ボールベアリング26L 26R
介して左ロータシャフト14L および右ロータシャフト
14R の対向部の外周が相対回転自在に支持される。
【0021】図6および図7から明らかなように、左ケ
ーシング21の右側面と左第1サイドプレート28L
左側面との間に環状の左スペーサ49L が配置され、右
ケーシング22の左側面と右第1サイドプレート28R
の右側面との間に環状の右スペーサ49R が配置され
る。右ロータシャフト14R の軸線を中心とする円周上
に配置された6本の六角穴ボルト50…が右ケーシング
22の外側から内側に螺入され、その先端が右第1サイ
ドプレート28R の右側面に当接する。左右のスペーサ
49L ,49R の外側面にはそれぞれ3本の溝491
が放射状に形成されており、この溝491 …を通してケ
ーシング24内の潤滑油が移動することができる。右ケ
ーシング22の外側面には放射状のリブ221 …に囲ま
れた6個の凹部222 …が形成されており、各々の凹部
222 にボルト50…の頭部を収納することにより該ボ
ルト50…が他物体と接触して損傷したり緩んだりする
のを防止している。
【0022】左ケーシング21には、ケーシング24内
に潤滑油を充填するための潤滑油供給口54が設けられ
ており、この潤滑油供給口54はボルト55により閉塞
される。
【0023】次に、図3〜図5を併せて参照しながら右
ベーンポンプPR の構造を詳細に説明する。尚、左ベー
ンポンプPL の構造は右ベーンポンプPR の構造と左右
鏡面対称であるため、その重複する説明は省略する。右
ベーンポンプPR および左ベーンポンプPL の相対応す
る構成要素には、同一の参照符号にそれぞれ添字「R
および添字「L 」が付してある。
【0024】右カムリング29R の内周面は概略3角形
になっており、その内部に収納された円形の右ロータ3
R との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の
作動室34R …が形成される。右ロータ32R に放射状
に形成された8個のベーン溝321 …にそれぞれ板状の
ベーン35…が摺動自在に支持されており、それらベー
ン35…の半径方向外端は右カムリング29R の内周面
に摺接する。右第1サイドプレート28R の左側面およ
び第2サイドプレート30の右側面には、各ベーン35
の半径方向外端を右カムリング29R の内周面に密着さ
せるべく、それぞれ環状のベーン押上ポート281 ,3
1 が形成される。これらベーン押上ポート281 ,3
1 は右ロータ32R の8個のベーン溝321 …の底部
にそれぞれ連通する。また各ベーン35の半径方向外端
を右カムリング29R の内周面に密着させるべく、ベー
ン溝321 の底部とベーン35の半径方向内端との間に
コイルスプリング36が縮設される。
【0025】図7〜図9から明らかなように、前記コイ
ルスプリング36の横断面形状は、右ロータ32R の軸
方向に長径d1 を有して円周方向に短径d2 を有する楕
円形に形成されている。コイルスプリング36の短径d
2 はベーン溝321 の溝幅に略等しく設定されており、
これによりコイルスプリング36の円周方向への倒れが
防止される。しかもコイルスプリング36の軸方向への
倒れは、その長径d1が軸方向に沿っていることにより
確実に防止される。またコイルスプリング36の半径方
向外端はベーン35の半径方向内端に形成された台形状
の切欠351 (図7参照)に嵌合しており、これにより
コイルスプリング36を軸方向に位置決めすることがで
きる。
【0026】以上のようにコイルスプリング36の横断
面を楕円形にしたことにより、同じスペースに配置可能
な円形の横断面を有するコイルスプリングに比べて、そ
の容量を増加させることができる。その結果、容量を増
加させるためにコイルスプリングの本数を増やしたり、
線径を太くしたり、巻き数を減少させたり、セット長を
長くしたりする必要がなくなり、コイルスプリングの本
数を増やしたことに伴う部品点数の増加、線径を太くし
たことに伴うコイルスプリングの密着高さの増加や塑性
変形の増加、巻き数を減少させたことに伴う塑性変形の
増加、セット長を長くしたことに伴うベーンの加工工数
の増加やコイルスプリングの倒れを防止することができ
る。
【0027】またコイルスプリング36の半径方向外部
が嵌合するベーン35の切欠351が台形状に形成され
ているので、圧縮されたコイルスプリング36が切欠3
1に噛み込むのを防止できるだけでなく、コイルスプ
リング36を軸方向に自動的にセンタリングすることが
できる。
【0028】図2〜図4および図11から明らかなよう
に、第2サイドプレート30の右側面には、右ベーンポ
ンプPR の3個の作動室34R …の円周方向両端にそれ
ぞれ臨む3個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポ
ート38R …が凹設される。隣接する2個の作動室34
R ,34R の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート3
R および吐出ポート38R を横切るように、半径方向
に延びるオリフィスプレート支持溝39R が凹設され
る。オリフィスプレート支持溝39R は、半径方向外側
に位置する支持部391 と、この支持部391 から半径
方向内側に延びる溝部392 とから構成される。
【0029】尚、左右のベーンポンプPL ,PR は、そ
の正転時には作動油を吸入ポート37L ,37R から吸
入して吐出ポート38L ,38R から吐出するが、その
逆転時には作動油を吐出ポート38L ,38R から吸入
して吸入ポート37L ,37 R から吐出する。
【0030】図10に示すように、オリフィスプレート
支持溝39R に首振り自在に支持されるオリフィスプレ
ート40R は、部分円柱状の支点部401 と、この支点
部401 から延びる板状の弁部402 とから構成されて
おり、弁部402 にはその両側面を連通させる第1オリ
フィス41R が貫通するように形成される。またオリフ
ィスプレート40R の弁部402 の1つのエッジに切欠
42が施される。図11に示すように、上記構造を有す
るオリフィスプレート40R は、支点部401がオリフ
ィスプレート支持溝39R の支持部391 に嵌合し、弁
部402 がオリフィスプレート支持溝39R の溝部39
2 の内部において揺動する。
【0031】図3および図7から明らかなように、オリ
フィスプレート40R の支点部40 1 の半径方向外側の
半部は、第2サイドプレート30の右側面に当接する右
カムリング29R により押さえられている。これによ
り、オリフィスプレート40Rが右ロータ32R 側に移
動できなくなり、オリフィスプレート40R のエッジが
ベーン35…のエッジと干渉することが防止される。
【0032】またロータ32R の外周面とカムリング2
R の内周面との間には若干の隙間が存在するため、オ
リフィスプレート40R の支点部401 とオリフィスプ
レート支持溝39R の支持部391 との間に隙間が存在
すると、吸入ポート37R と吐出ポート38R とが前記
支点部401 および支持部391 間の隙間と、前記ロー
タ32R およびカムリング29R 間の隙間とを介して相
互に連通してしまい、望ましくない作動油のリークが発
生する可能性がある。しかしながら、実際にはオリフィ
スプレート40R の支点部401 とオリフィスプレート
支持溝39R の支持部391 とは揺動自在かつ液密に嵌
合しているため、前記支点部401 および支持部391
間の隙間を介して望ましくない作動油のリークが発生す
るのを確実に防止することができる。
【0033】右ベーンポンプPR のオリフィスプレート
支持溝39R およびオリフィスプレート40R は切換バ
ルブVR を構成し、また左ベーンポンプPL のオリフィ
スプレート支持溝39L およびオリフィスプレート40
L は切換バルブVL を構成する。
【0034】図2および図4から明らかなように、第2
サイドプレート30の右側面に凹設された右ベーンポン
プPR の3個の吸入ポート37R …と、第2サイドプレ
ート30の左側面に凹設された左ベーンポンプPL の3
個の吸入ポート37L …とは相互に対向する位置に配置
されており、対応する右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R …と左ベーンポンプPL の吸入ポート37L …と
が、第2サイドプレート30を貫通する3個の第2オリ
フィス43…を介して接続される。また第2サイドプレ
ート30の右側面に凹設された右ベーンポンプPR の3
個の吐出ポート38R …と、第2サイドプレート30の
左側面に凹設された左ベーンポンプPLの3個の吐出ポ
ート38L …とは相互に対向する位置に配置されてお
り、対応する右ベーンポンプPR の吐出ポート38R
と左ベーンポンプPL の吸入ポート38L …とが、第2
サイドプレート30を貫通する3個の第2オリフィス4
3…を介して接続される。
【0035】前記第2オリフィス43…は、第2サイド
プレート30の両側面に凹設した吸入ポート37L …,
37R …および吐出ポート38L …,38L …の底面間
を接続されるように形成されるので、それら第2オリフ
ィス43…がベーン35…の側端面によって塞がれる虞
がない。
【0036】図2および図5から明らかなように、右第
1サイドプレート28R の左側面には、第2サイドプレ
ート30の右側面に形成された3個の吸入ポート37R
…および3個の吐出ポート38R …に対向する3個の吸
入ポート37R …および3個の吐出ポート38R …が凹
設されており、これら右第1サイドプレート28R の3
個の吸入ポート37R …および3個の吐出ポート38R
…は、合計6個のチェックバルブ44R …を介して該右
第1サイドプレート28R の右側面に連通する。前記チ
ェックバルブ44R …は右第1サイドプレート28R
右側面から吸入ポート37R …および吐出ポート38R
…側への作動油の流通を許容し、その逆方向への作動油
の流通を規制する。
【0037】図13を併せて参照すると明らかなよう
に、各チェックバルブ44R は、右第1サイドプレート
28R の吸入ポート37R および吐出ポート38R の底
面に凹設した弁座282 と、この弁座282 に着座可能
なチェックボール58とから構成されており、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が高圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 に着座して閉弁し、吸入ポー
ト37R および吐出ポート38R が低圧になるとチェッ
クボール58が弁座282 から離反して開弁する。
【0038】このようにチェックバルブ44R を右第1
サイドプレート28R の内部に設けたことにより、その
チェックバルブ44R に連なる油路の長さを最小限に抑
えるとともに、部品点数の増加を最小限に抑えることが
できる。また右第1サイドプレート28R の吸入ポート
37R および吐出ポート38R に右ロータ32R が対向
しているので、その右ロータ32R でチェックボール5
8の脱落を規制することができる。
【0039】図2および図7から明らかなように、左右
のロータシャフト14L ,14R の内部を軸方向に貫通
するようにシリンダ142 ,142 が形成されており、
これらシリンダ142 ,142 の内端は左右のベーンポ
ンプPL ,PR の内部空間に連通し、外端は大気に連通
する。各シリンダ142 ,142 にピストン45L ,4
R が摺動自在に嵌合しており、それぞれのピストン4
L ,45R の外周に形成した環状溝451 ,452
支持した2個のOリング46,47により、ピストン4
L ,45R およびシリンダ142 ,142 の摺動面が
シールされる。左右のロータシャフト14L ,14R
相対向する軸端間には、ピストン45L,45R が反対
側のシリンダ142 ,142 内に進入するのを防止する
ためのワッシャ48が配置される。
【0040】而して、ベーンポンプPL ,PR の運転に
より発生する熱で作動油が膨張すると、その作動油の一
部がロータシャフト14L ,14R の相対向する軸端か
らシリンダ142 ,142 の内部に浸入し、一対のピス
トン45L ,45R が相互に離反する方向に移動して作
動油の膨張を吸収する。逆にベーンポンプPL ,PR
運転停止による温度低下で作動油が収縮すると、一対の
ピストン45L ,45 R が相互に接近する方向に移動し
て作動油の収縮を吸収する。このように部品点数の少な
い簡単な構造で作動油の熱膨張および熱収縮の影響を確
実に除去し、作動油への空気の混入を未然に防止するこ
とができる。特に、一対のピストン45 L ,45R の接
近および離反により作動油の膨張および収縮を吸収する
ので、吸収可能な作動油の容積を充分に確保することが
できる。
【0041】以上、右ベーンポンプPR の構造を中心に
説明したが、左ベーンポンプPL の構造は前記右ベーン
ポンプPR のそれと鏡面対称であって両者の構造は実質
的に同じである。
【0042】図14は上記ハイドロリックカップリング
装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかな
ように、左ベーンポンプPL の吸入ポート37L および
吐出ポート38L は第2サイドプレート30の左側面に
設けたオリフィスプレート40L の第1オリフィス41
L により相互に連通するとともに、右ベーンポンプP R
の吸入ポート37R および吐出ポート38R は第2サイ
ドプレート30の右側面に設けたオリフィスプレート4
R の第1オリフィス41R により相互に連通する。ま
た左右のベーンポンプPL ,PR の吸入ポート37L
37R は第2サイドプレート30を貫通する第2オリフ
ィス43により相互に連通するとともに、左右のベーン
ポンプPL ,PR の吐出ポート38L ,38R は第2サ
イドプレート30を貫通する第2オリフィス43により
相互に連通する。
【0043】左ベーンポンプPL の吸入ポート37L
よび吐出ポート38L の何れか高圧側は切換バルブVL
を介してベーン押上ポート281 ,301 および左油室
50 L に連通し、また右ベーンポンプPR の吸入ポート
37R および吐出ポート38 R の何れか高圧側は切換バ
ルブVR を介してベーン押上ポート281 ,301 およ
び右油室50R に連通する。左ベーンポンプPL の吸入
ポート37L および吐出ポート38L の何れか低圧側は
左第1サイドプレート28L に設けたチェックバルブ4
L を介してピストン45L ,45R に連通し、また右
ベーンポンプP R の吸入ポート37R および吐出ポート
38R の何れか低圧側は右第1サイドプレート28R
設けたチェックバルブ44R を介してピストン45L
45R に連通する。
【0044】更に、ベーン押上ポート281 ,301
左右のピストン45L ,45R との間にリリーフバルブ
56L ,56R およびチョーク57L ,57R が設けら
れる。前記リリーフバルブ56L ,56R は仮想的なも
ので、左右の第1サイドプレート28L ,28R がポン
プ吐出圧で外側に押されることにより、左右の第1サイ
ドプレート28L ,28R あるいは第2プレート30と
左右のカムリング29 L ,29R あるいは左右のロータ
32L ,32R との間に発生するサイドクリアランスに
よって構成される。また前記チョーク57L ,57R
仮想的なもので、前記サイドクリアランスによって構成
される。
【0045】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0046】車両Vが定速走行する状態では、エンジン
Eの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパ
ーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の
車軸5L ,5R を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れる。このとき、フロントディファレンシャル4の第3
スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベル
ギヤ8、第2ベベルギヤ9、プロペラシャフト10、第
3ベベルギヤ11および第4ベベルギヤ12を介してハ
イドロリックカップリング装置Hのケーシング24(即
ち、左右のカムリング29L ,29R )を回転させる。
一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆
動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L
13R からローターシャフト14L ,14R を介して左
ベーンポンプPL のロータ32L および右ベーンポンプ
R のロータ32R に伝達される。前輪WFL,WFRにス
リップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび
後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、左右のカム
リング29L ,29R の回転数と左右のロータ32L
32R の回転数とが一致して相対回転が発生しない。そ
の結果、左右のベーンポンプPL ,PR が作動油を吐出
しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動
力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
【0047】また低摩擦路における発進時や急加速時に
エンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがス
リップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動する左右の
油圧ポンプPL ,PR のカムリング29L ,29R と、
後輪WRL,WRRの回転に連動する左右の油圧ポンプ
L ,PR のロータ32L ,32R との間に正転方向の
相対回転が発生し、左右のベーンポンプPL ,PR は吐
出ポート38L ,38R から吐出した作動油を吸入ポー
ト37L ,37R より吸入する。吐出ポート38L,3
R から吐出された作動油は左右の第1オリフィス41
L ,41R を通過して吸入ポート37L ,37R に還流
するが、その際の流通抵抗により左右のベーンポンプP
L ,PR に負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右
の後輪WRL,WRRに伝達される。而して、前輪WFL,W
FRのスリップ時には四輪駆動状態となり、車両Vのトラ
クションを増加させることができる。このとき、第1オ
リフィス41L ,41R の径を減少させるほど、左右の
ベーンポンプPL ,PR の負荷が増加して後輪WRL,W
RRに伝達される駆動力が増加する。
【0048】車両Vが低速でタイトな旋回を行うとき、
左右の前輪WFL,WFRの旋回軌跡の平均半径よりも左右
の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の平均半径が小さくなるた
め、前輪WFL,WFRに接続された左右のカムリング29
L ,29R と、後輪WRL,W RRに接続された左右のロー
タ32L ,32R との間に相対回転が発生する。しかも
左右の後輪WRL,WRRの旋回軌跡の半径は旋回外輪にお
いて大きく、旋回内輪において小さいため、前記相対回
転の大きさは左右のベーンポンプPL ,PR で異なって
いる。このとき、左右のベーンポンプPL ,PR の吐出
ポート38L ,38R から吐出された作動油は左右の第
1オリフィス41L ,41R を経て吸入ポート37L
37R に還流し、また左右のベーンポンプPL ,PR
吐出した作動油の差分は、第2オリフィス43を経て行
き来することにより相殺されるため、両ベーンポンプP
L ,PR に大きな負荷が発生することが防止される。そ
の結果、四輪駆動車両Vが低速でタイトな旋回を行う際
に各車輪の旋回軌跡の半径差により発生する、所謂タイ
トコーナーブレーキング現象を軽減することができる。
【0049】例えば、左後輪WRLを除く左右の前輪
FL,WFRおよび右後輪WRRが泥濘にはまったような場
合、スリップする前輪WFL,WFRに連動してカムリング
29L ,29R が回転すると、泥濘にはまって摩擦が減
少している右後輪WRRも、カムリング29R からベーン
35…、ロータ32R およびロータシャフト14R を介
して伝達される駆動力によりスリップしてしまう。しか
しながら、摩擦係数の高い路面に乗っている左後輪WRL
にはカムリング29L からベーン35…、ロータ32L
およびロータシャフト14L を介して駆動力が伝達され
るため、その駆動力により泥濘からの脱出が可能とな
る。即ち、本実施例のハイドロリックカップリング装置
Hによれば、所謂差動制限機構(LSD)の機能を発揮
させることが可能となる。このとき、第2オリフィス4
3の径を減少させるほど、前記差動制限機能を強めるこ
とができる。
【0050】前述した低摩擦路における発進時や急加速
時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRR
回転数を上回る場合には、ロータ32L ,32R が正転
方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図11(A)
に示すように、吸入ポート37L ,37R から作動油が
吸入されて吐出ポート38L ,38R から作動油が吐出
される。その結果、高圧側の吐出ポート38L ,38R
と低圧側の吸入ポート37L ,37R との差圧によって
切換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,4
R が吸入ポート37L ,37R 側に揺動するため、高
圧側の吐出ポート38L ,38R がオリフィスプレート
支持溝39L ,39R を介してベーン押上ポート301
に連通するとともに、ベーン押上ポート301 と低圧側
の吸入ポート37L ,37R との連通が遮断される。而
して、ベーン押上ポート301 に伝達された油圧によっ
てベーン35…を半径方向外側に付勢し、その先端をカ
ムリング29L ,29R の内周面に圧接することができ
る。
【0051】一方、車両が急制動を行う場合には、AB
S(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪の
ロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後
輪W RL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動
の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL
RRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロ
ータ32L ,32R が逆転方向(図3の矢印B方向)に
相対回転し、図11(B)に示すように、吐出ポート3
L ,38R から作動油が吸入されて吸入ポート3
L ,37R から作動油が吐出される。その結果、高圧
側の吸入ポート37 L ,37R と低圧側の吐出ポート3
L ,38R との差圧によって切換バルブV L ,VR
オリフィスプレート40L ,40R が吐出ポート3
L ,38R 側に揺動するため、高圧側の吸入ポート3
L ,37R がオリフィスプレート支持溝39L ,39
R を介してベーン押上ポート301 に連通するととも
に、ベーン押上ポート301 と低圧側の吐出ポート38
L ,38R との連通が遮断される。而して、ベーン押上
ポート301 に伝達された油圧によってベーン35…を
半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング29L
29R の内周面に圧接することができる。
【0052】左右のベーンポンプPL ,PR が作動する
と、左右の第1サイドプレート28 L ,28R の吐出ポ
ート38L …,38R …に発生したポンプ吐出圧によ
り、該左右の第1サイドプレート28L ,28R が軸方
向外側に押圧され、左右のカムリング29L ,29R
よび左右のロータ32L ,32R との間のサイドクリア
ランスが増加する。また左右の第1サイドプレート28
L ,28R のベーン押上ポート281 ,281 に作用す
るポンプ吐出圧によっても、該左右の第1サイドプレー
ト28L ,28R が軸方向外側に押圧されてサイドクリ
アランスが増加する。このようにしてベーンポンプ
L ,PR のサイドクリアランスが増加すると、高圧側
から低圧側に作動油がリークしてポンプ効率が低下して
しまう問題がある。
【0053】図15は、サイドクリアランスと副駆動輪
に伝達されるトルクとの関係を示すグラフであって、サ
イドクリアランスが大きい場合には前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの差回転の増加に伴って後輪WRL,W
RRに配分されるトルクが緩く立ち上がり、かつ配分され
るトルクの最大値が小さくなる。逆に、サイドクリアラ
ンスが小さい場合には前輪WFL,WFRおよび後輪WRL
RRの差回転の増加に伴って後輪WRL,WRRに配分され
るトルクが急激に立ち上がり、かつ配分されるトルクの
最大値が大きくなる。
【0054】本実施例によれば、6本のボルト50…を
回転させて右スペーサ49R を左ケーシング21に向け
て軸方向左側に押圧することにより、左右のスペーサ4
L,49R 間に左右の第1サイドプレート28L ,2
R 、第2サイドプレート30、左右のカムリング29
L ,29R および左右のロータ32L ,32R を挟持し
て軸方向に密着させ、サイドクリアランスを減少させて
作動油のリークを防止することができる。
【0055】このように、ケーシング24の外側から6
本のボルト50…を回転させてベーンポンプPL ,PR
のサイドクリアランスを調整するので、その調整作業が
極めて容易である。またサイドクリアランスを任意の大
きさに調整することができるので、サイドクリアランス
を過少に調整して左右のロータ32L ,32R の摺動面
の摩擦抵抗が増加する虞もない。しかもボルト50…の
押圧力を右サイドプレート28R に直接作用させずに右
スペーサ49R を介して作用させるので、6本のボルト
50…の押圧力に多少のバラツキが存在しても、右サイ
ドプレート28 R を均等な荷重で押圧してサイドクリア
ランスを円周方向に均一化することができる。
【0056】図16はボルト50…の回転角とカムリン
グ29L ,29R の圧縮量との関係を示すグラフであっ
て、ボルト50…の回転角が小さい領域では第1サイド
プレート28L ,28R およびカムリング29L ,29
R 間のガタが詰まるだけでカムリング29L ,29R
側面は圧縮されず、前記ガタが詰まった後にボルト50
…の回転角が増加に応じてカムリング29L ,29R
圧縮量がリニアに増加する。サイドクリアランスを円周
方向に均一化するには複数本のボルト50…を均一なト
ルクで締めつける必要があり、そのためには複数本のボ
ルト50…を同時に回転させる複数個のソケットを備え
たナットランナーを使用することが望ましい。
【0057】ところで、ハイドロリックカップリング装
置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じて左右のベーン
ポンプPL ,PR が負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよ
び後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さ
い側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における
制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしよう
とすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFR
回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪W FL,WFR
側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロッ
クが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるた
め、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRR
が同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性があ
る。
【0058】これを回避すべく、本実施例では前輪
FL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によ
りベーンポンプPL ,PR が発生する負荷の大きさに差
を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における
発進時や急加速時のように前輪W FL,WFRの回転数が後
輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ3
L ,32R が図3の矢印A方向に相対回転し、図11
(A)に示すように、オリフィスプレート40L ,40
R によって高圧のベーン押上ポート301 と低圧の吸入
ポート37L ,37R との連通が完全に遮断されるた
め、吸入ポート37L ,37R および吐出ポート3
L ,38R は第1オリフィス41L ,41R だけを介
して連通し、ベーンポンプPL ,PR は大きな負荷を発
生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される
駆動力が増加する(図12の実線参照)。
【0059】一方、前述した急制動時のように後輪
RL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る
場合には、ロータ32L ,32R が図3の矢印B方向に
相対回転し、図11(B)に示すように、オリフィスプ
レート40L ,40R によって高圧のベーン押上ポート
301 と低圧の吐出ポート38L ,38R との連通が一
応遮断されるが、オリフィスプレート40L ,40R
形成した切欠42によってベーン押上ポート301 から
吐出ポート38L ,38R に作動油がリークするため、
ベーンポンプPL ,PR が発生する負荷が減少して前輪
FL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減
少する(図12の破線参照)。而して、急制動時に前輪
FL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車
両挙動が不安定になるのを未然に防止することができ
る。
【0060】また、ベーンポンプPL ,PR の運転に伴
って吸入ポート37L ,37R (あるいは吐出ポート3
L ,38R )が負圧になったとき、その負圧でチェッ
クバルブ44L …,44R …が開弁して吸入ポート37
L ,37R (あるいは吐出ポート38L ,38R )をピ
ストン45L ,45R に連通させるので、過剰な負圧に
よりキャビテーションが発生するのを確実に防止するこ
とができる。
【0061】以上のように、第2オリフィス43…を第
2サイドプレート30に穿設したので、それら第2オリ
フィス43…の加工精度を高めてハイドロリックカップ
リングHの作動特性を安定させることができる。また第
1オリフィス41L …,41 R …および第2オリフィス
43…を第2サイドプレート30に集中して配置したの
で、それらオリフィス41L …,41R …;43…に連
なる油路の長さを最小限に抑えてハイドロリックカップ
リング装置Hを小型化することができるだけでなく、部
品点数の増加を最小限に抑えることができる。
【0062】しかも切換バルブVL ,VR を用いて吸入
ポート37L ,37R および吐出ポート38L ,38R
を選択的にベーン押上ポート301 に連通させることが
できるので、その機能を複数のチェックバルブを組み合
わせて発揮させるものに比べて部品点数の削減および油
路の簡略化が可能となる。特に、吸入ポート37L ,3
R および吐出ポート38L ,38R 間に配置された切
換バルブVL ,VR のオリフィスプレート40L ,40
R を利用して第1オリフィス41L ,41R を形成した
ので、油路の長さを最小限に短縮することができる。
【0063】更に、左右のベーンポンプPL ,PR が第
2サイドプレート30を共用しているので、部品点数の
削減に寄与することができる。
【0064】図17(A),(B)には、右第1サイド
プレート28R を押圧するボルトの緩み止めを図る他の
実施例が示される。
【0065】図17(A)に示す第2実施例は、2本の
六角穴ボルト50,51を用いて緩み止めを図るもので
あり、図17(B)に示す第3実施例は、通常のボルト
52にロックナット53を適用して緩み止めを図るもの
である。上記何れの場合にも、ボルト50〜52とボル
ト孔との間にシール剤を塗布することにより、ボルト5
0〜52の緩みを一層確実に防止することができる。
【0066】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
【0067】例えば、実施例ではハイドロリックカップ
リング装置HのベーンポンプPL ,PR を例示したが、
本発明は他の任意の用途のベーンポンプに対して適用す
ることができる。また実施例ではボルト50…で右第1
サイドプレート28R だけを押圧しているが、左第1サ
イドプレート28L だけ、あるいは左右の第1サイドプ
レート28L ,28R の両方を押圧しても良い。またス
ペーサ49L ,49Rを介在させずに、ボルト50…で
第1サイドプレート28L ,28R を直接押圧しても良
い。
【0068】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、ケーシングに螺合するボルトの先端でサイド
プレートを押圧してロータおよびカムリングに圧接する
ことにより、ロータあるいはカムリングとサイドプレー
トとの間に発生するサイドクリアランスの大きさを任意
に調整することができる。これにより、過大なサイドク
リアランスによる作動油のリークを抑制するとともに過
少なサイドクリアランスによる摺動抵抗の増加を抑制
し、ポンプ効率を高めることができる。しかもケーシン
グの外部からボルトを操作するだけで良いため、サイド
クリアランスの調整作業が極めて容易である。
【0069】また請求項2に記載された発明によれば、
円周上に配置した複数本のボルトでサイドプレートおよ
びケーシング間に配置した環状のスペーサを押圧するの
で、複数本のボルトの押圧力をスペーサで平均化してサ
イドプレートに伝達し、サイドクリアランスの大きさを
円周方向に均一化することができる。
【0070】また請求項3に記載された発明によれば、
ケーシングの外側面に形成した凹部にボルトを配置した
ので、そのボルトが他の物体に接触して損傷したり緩ん
だりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図
【図2】ハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図2の要部拡大図
【図8】図7の8−8線断面図
【図9】コイルスプリングの斜視図
【図10】オリフィスプレートの斜視図
【図11】オリフィスプレートの作用説明図
【図12】オリフィスプレートの作用を説明するグラフ
【図13】図5の13−13線拡大断面図
【図14】ハイドロリックカップリング装置の油圧回路
【図15】サイドクリアランスと副駆動輪に伝達される
トルクとの関係を示す図
【図16】ボルトの回転角とカムリングの圧縮量との関
係を示す図
【図17】サイドプレートを押圧するボルトの第2実施
例および第3実施例を示す図
【符号の説明】
24 ケーシング 28L 左第1サイドプレート(サイドプレート) 28R 右第1サイドプレート(サイドプレート) 29L 左カムリング 29R 右カムリング 30 第2サイドプレート(サイドプレート) 32L 左ロータ 32R 右ロータ 321 ベーン溝 35 ベーン 49R スペーサ 50〜52 ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 卓也 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 (72)発明者 望月 武志 栃木県真岡市松山町19 本田技研工業株式 会社栃木製作所内 Fターム(参考) 3D043 AA05 AB17 EA02 EA11 EA38 EA42 EA45 EB02 EB06 EB13 ED01 ED06 EE16 EF06 EF17 3H040 AA03 BB05 BB11 CC03 CC16 DD01 DD03 DD06 DD07 DD15 DD39

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(24)の内部でカムリング
    (29L ,29R )および一対のサイドプレート(28
    L ,28R ,30)により囲まれた空間にロータ(32
    L ,32R )を回転自在に収納し、このロータ(3
    L ,32R )に放射状に形成した複数のベーン溝(3
    1 )にそれぞれ摺動自在に支持したベーン(35)の
    半径方向外端をカムリング(29L ,29R )の内周面
    に当接させたベーンポンプにおいて、 ケーシング(24)に螺合するボルト(50〜52)の
    先端で少なくとも一方のサイドプレート(28L ,28
    R )を押圧し、このサイドプレート(28L ,28R
    の内側面をロータ(32L ,32R )およびカムリング
    (29L ,29 R )の外側面に圧接したことを特徴とす
    るベーンポンプ。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも一方のサイドプレート
    (28L ,28R )およびケーシング(24)間に環状
    のスペーサ(49R )を配置し、円周上に配置された複
    数本のボルト(50〜52)の押圧力を前記スペーサ
    (49R )を介して前記サイドプレート(28L ,28
    R )に伝達することを特徴とする、請求項1に記載のベ
    ーンポンプ。
  3. 【請求項3】 ケーシング(24)の外側面に形成した
    凹部(222 )に前記ボルト(50〜52)を配置した
    ことを特徴とする、請求項1に記載のベーンポンプ。
JP22018599A 1999-08-03 1999-08-03 ベーンポンプ Pending JP2001050177A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22018599A JP2001050177A (ja) 1999-08-03 1999-08-03 ベーンポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22018599A JP2001050177A (ja) 1999-08-03 1999-08-03 ベーンポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001050177A true JP2001050177A (ja) 2001-02-23

Family

ID=16747223

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22018599A Pending JP2001050177A (ja) 1999-08-03 1999-08-03 ベーンポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001050177A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005075153A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Fuji Univance Corp 油圧式動力伝達装置
US8259526B2 (en) 2009-07-31 2012-09-04 Elpida Memory, Inc. Semiconductor device performing serial parallel conversion

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005075153A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Fuji Univance Corp 油圧式動力伝達装置
JP4527372B2 (ja) * 2003-09-01 2010-08-18 株式会社ユニバンス 油圧式動力伝達装置
US8259526B2 (en) 2009-07-31 2012-09-04 Elpida Memory, Inc. Semiconductor device performing serial parallel conversion

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11123944A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JPH0629628B2 (ja) 駆動連結装置
JP3676583B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2001050177A (ja) ベーンポンプ
JP2001050175A (ja) ベーンポンプ
JP2001050176A (ja) ベーンポンプおよび四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2545574B2 (ja) オイル密封式駆動連結装置
JP2001121984A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2001032782A (ja) ベーンポンプ
JP2000136780A (ja) ベ―ンポンプ
JP2001055055A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2000136779A (ja) ベ―ンポンプ
JP2003269344A (ja) ベーンポンプ
JP2002276563A (ja) ベーンポンプ
JP4226207B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002276561A (ja) ベーンポンプ
JP2000062488A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002301943A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP3913307B2 (ja) デファレンシャル装置及びクラッチ装置
JP2001328450A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP4216995B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2004301100A (ja) ベーンポンプにおけるシール構造
JPH0324903Y2 (ja)
JPH0324904Y2 (ja)
JP2001328449A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置