JP2001052526A - 電気絶縁材とその製造方法 - Google Patents

電気絶縁材とその製造方法

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JP2001052526A
JP2001052526A JP11222527A JP22252799A JP2001052526A JP 2001052526 A JP2001052526 A JP 2001052526A JP 11222527 A JP11222527 A JP 11222527A JP 22252799 A JP22252799 A JP 22252799A JP 2001052526 A JP2001052526 A JP 2001052526A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 500℃以下の熱処理温度で電気絶縁被膜が
形成され、常用温度200〜500℃での使用で、耐熱
性、熱透過性、及び耐熱ひずみ特性の優れ、且つ廉価で
ある電気絶縁被膜材を得る。 【解決手段】 水ガラス、PbO等を含む複合系ガラス
粉末、及び電気絶縁性粉末で構成される混合物4からな
る電気絶縁被膜材原料を金属基板2の表面に塗布し,乾
燥及び加熱処理を施すことによって熱酸化反応を起こさ
せ,金属板表面に電気絶縁性酸化物層5とガラス基被膜
6とからなる電気絶縁被膜7を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面上に熱伝
導性及び耐熱性に優れた電気絶縁性被膜を形成した電気
絶縁性被膜材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属面に電気絶縁性被膜を形成す
るのに適用される電気絶縁性被膜材及びその形成方法
は、その用途に応じて種々のものが知られており、以下
にその代表的なものを示す。例えば、シリコーングリー
スを塗布したアルミナ薄板は,熱透過特性及び耐熱特性
に優れた電気絶縁材として,従来の熱電モジュールに広
く使用されている。しかしながら,この材料は、高価で
あり,しかも割れ易い欠点を有している。
【0003】また、Na20・SiO・nH20系水ガラ
スは,空気中で乾燥させるとガラス状になり,ガラス及
び陶磁器等の接合材として広く使用されている。一方、
ガラス粉末を用いて、金属表面にガラス被膜を形成させ
る技術は、電気絶縁性被膜形成技術として古くから知ら
れている。このガラス皮膜形成のための熱処理の多く
は、600℃以上の高温で行わなければならない。
【0004】従って、このガラス被膜形成技術は、50
0℃以下の温度領域での使用が要求される物品、例え
ば、本発明者らが提案した新型熱電モジュール(特許第
2873961号参照)の金属アルミ等の低融点部品の
絶縁被膜や、BiTe系及びPbTe系熱電素子等の揮
発性材料の揮発防止皮膜の形成には適用できない。
【0005】一方、水ガラスのみ、或いは、被膜の電気
絶縁性補強剤としてアルミナ粉末を添加した水ガラスを
金属表面に塗布し、さらに乾燥処理を施すことにより、
室温においては、水ガラスのもつ熱伝導性と電気伝導性
はかなり改良される。しかし、水ガラスのもつ吸湿性は
残存され、その特性は安定しない。
【0006】さらに、従来から使用されているアルミナ
薄板は、上記の耐熱性と熱透過性を満足するが割れ易
く、従って熱ひずみに弱い。なおかつ高価であるという
欠点をもっている。一方、エナメル等の合成樹脂塗布材
は、室温における電気絶縁性は優れているが、100〜
200℃の温領域で長時間使用すると、その絶縁性は劣
化し、熱透過性もよくない欠点がある。また雲母薄板の
耐熱性及び電気絶縁性は、500℃程度まで保持される
が、やはり熱透過性がよくない欠点がある。
【0007】以上の様に、種々の電気絶縁被膜材及び電
気絶縁被膜形成方法が存在するが、200〜500℃の
温度領域で、上記熱電モジュールに適合し、アルミナ薄
板と同等かそれよりも優れた耐熱性、熱透過性をもち、
しかも廉価な電気絶縁材を、従来知られている材料の中
から見出すことは出来なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば、(Bi,Sb)
2(Te,Se)3系及びPbTe系熱電素子をもつ熱電モ
ジュールの熱源温度は、それぞれ200〜300℃と3
00〜450℃である。従って、それぞれの常用温度
で、十分な耐熱性及び熱透過性をもつ電気絶縁材が要求
される。
【0009】しかしながら、上記のように、500℃以
下の熱処理温度で電気絶縁被膜が形成され、常用温度2
00〜500℃で、安定して耐熱性及び熱透過性の優れ
た電気絶縁被膜材は、従来知られていない。従って、従
来知られている電気絶縁被膜の形成技術は、例えば本発
明者らが先に提案した前記新型モジュールの製造技術等
には適用できないものである。
【0010】本発明は、上記実情に鑑み創案されたもの
であって、500℃以下の熱処理温度で電気絶縁被膜が
形成され、常用温度200〜500℃での使用で、安定
して耐熱性及び熱透過性に優れ、且つ廉価である電気絶
縁被膜材及び該電気絶縁被膜材を使用して電気絶縁被膜
を形成する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の電気絶縁被膜材は、主原料が水ガラスと酸化剤から
なることを特徴とするものである。前記酸化剤として
は、PbO等を含むガラス粉末等が採用できる。前記電
気絶縁被膜材を用いて、界面に電気絶縁性酸化物層をも
つガラス被膜を金属表面に形成させることが可能である
が、前記水ガラスに電気絶縁性補強材を添加することに
よって、ガラス被膜の電気絶縁性を補強することができ
好ましい。なお、PbOはそれ自体が直接酸化剤として
機能するものでなく、後述するように熱処理によってP
bO2に変化して酸化剤としての働きをもつ。従って、
PbOを含むガラス粉末は、正確には酸化剤の原料とな
るものであるが、特許請求の範囲に記載されている「酸
化剤」の用語は直接的な酸化剤に限らず、前記のような
酸化剤の原料となるものも含むものものである。
【0012】前記電気絶縁性補強材としては、絶縁性セ
ラミツク粉末を添加することによって、ガラス基被膜の
電気絶縁性が向上する。絶縁性セラミック粉末として
は、例えばAl23,SiO2、ZrO2、Si34、S
iAlON、SiC等の電気絶縁性絶縁性セラミック粉
末が採用できる。本発明の電気絶縁被膜材は、種々の用
途の物品に適用できるが、例えば熱電変換装置の低温側
の熱伝達板となるモジュール基板に好適である。
【0013】上記電気絶縁被膜材を使用した本発明の電
気絶縁被膜形成方法は、主原料が水ガラスと酸化剤から
なる前記電気絶縁被膜材を金属面に塗布し,乾燥(及び
加熱)処理を施して,水ガラスのもつ吸湿性を消失させ
ることにより、前記金属面に電気絶縁被膜を生成させる
ことを特徴とするものである。熱処理により熱酸化反応
を起こさせることによって、前記金属面に電気絶縁性酸
化物層とガラス基被膜とからなる電気絶縁被膜を生成さ
せることができる。前記熱酸化反応は、PbO等の酸化
剤を含む低軟化温度をもつ複合ガラス粉末を用いること
により、500℃以下の比較的低い熱処理温度で電気絶
縁性酸化物層を形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を基に詳
細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定される
ものでなく、その技術的思想の範囲内で種々の設計変更
が可能である。本実施形態の電気絶縁被膜材は、本発明
者らが先に提案した前記熱電モジュールに適用可能な電
気絶縁性被膜材を得るものであり、図1にその模式図が
示されている。
【0015】アルミニウム板等の金属板1の表面に、水
ガラス、PbO等を含む複合系ガラス粉末からなる酸化
剤、及びAl23等の電気絶縁性粉末3で構成される原
料を適当な量の水の中に溶いたもの(電気絶縁性被膜材
2)を金属表面に塗布する(図1(a))。次いで、そ
れを適当な温度で乾燥及び熱処理を行うと、水ガラスの
中に含まれる水分は消失すると同時にガラス粉末の中に
含まれるPbOがPbO2になり、該PbO2が酸化剤と
しての働きをもつ。PbO2と金属との熱酸化反応によ
って金属と塗布されたガラス被膜との界面に電気絶縁性
酸化物層が形成される。それと同時に水ガラスの組成が
変質しその吸湿性が失われる。その結果、図1(b)に
示すように、電気絶縁性酸化物層5と、Al23の電気
絶縁性粉末3が分散したガラス基被膜6からなる電気絶
縁被膜7が形成される。
【0016】なお、PbO等を含む複合系ガラス粉末
は、可能な限り軟化温度の低いもの(例えば300℃近
傍)であることが望ましい。しかしながら、酸化剤は、
必ずしもPbO等を含む複合系ガラス粉末に限らず、例
えばPbO2、酸化銀、酸化銅等の粉末が採用できる。
また、金属基板は、アルミニウム板に限らず他の酸化し
易い金属材料を使用することが好ましい。
【0017】以上のように、本実施形態の電気絶縁性被
膜材は、水ガラス、PbO等を含む複合ガラス粉末(酸
化剤の原料)、Al23粉末の電気絶縁性セラミック粉
末(電気絶縁性補強材)の混合物で構成され、その混合
割合は、各成分がその効果を奏するためには少なくとも
10%以上含まれているのが望ましく、用途に応じて適
宜選択できる。なお、前記のように、電気絶縁性補強材
は必ずしも必須のものではなく、電気絶縁性補強材を添
加しないで水ガラスと酸化剤のみで構成する場合も、水
ガラスと酸化剤がそれぞれ10%以上含まれていること
が望ましい。
【0018】上記のようにPbO等の酸化剤原料を含む
複合系ガラス粉末を用いて熱処理することにより、新し
く生成されたPbO2が酸化剤として作用し、アルミニ
ウムのような酸化され易い金属との界面に、ごく薄い電
気絶縁性酸化物層5が形成される。本実施形態では、低
軟化温度(320℃)をもつPbOの酸化剤原料を含む
複合系ガラス粉末を用いているため、500℃以下の比
較的低い熱処理温度で電気絶縁性酸化物層を形成するこ
とができる。また、電気絶縁性酸化物層と同時にガラス
基被膜が形成されるが、該ガラス基被膜は、水ガラスが
持っていた吸湿性が失われている。また、ガラス被膜内
にAl23等の電気絶縁性粉末を絶縁性補強材として添
加することによって、電気絶縁性を補強することができ
る。
【0019】前記電気絶縁性被膜材は、その使用温度領
域において耐熱性、熱透過性に優れ、かつ剥離しにくい
密着性の優れたものでなければならない。そのために
は、被膜を形成させる材料の耐熱温度に応じて、ガラス
粉末の軟化温度を調整し、酸化剤の流動性を確保する。
例えば、アルミニウム板の絶縁被膜形成や、BiTe系
及びPbTe系モジュール素子等の揮発性防止被膜形成
のためには、300℃近傍に軟化温度をもつガラス粉末
を使用する。
【0020】以上のようにして、得られた電気絶縁性被
膜材は、従来の水ガラスがもっていた吸湿性を消失した
水ガラス中のアルカリ塩のイオン伝導による電気伝導は
なくなり、優れた耐熱性、熱透過性及び密着性のみ残
る。その結果、熱電モジュールの絶縁材料として好適で
ある。
【0021】
【実施例】粒度100μm以下のアルミナ粉末、適当な
結晶水を含む水ガラス及び硼酸鉛系ガラス粉末(軟化温
度320℃)をそれぞれ1:1:1の割合で混合し、そ
の混合物を適当な量の水の中に溶いたものを、板厚10
0μmの金属アルミニウム薄板上に刷毛で塗布する。そ
の際、被膜の均一性を確認するためにベンガラを混入し
着色することもできる。それを200℃の真空乾燥炉の
中で乾燥処理を施す。この状態で既に、室温において優
れた熱透過性をもつ電気絶縁被膜が形成されるが、中高
温における電気絶縁性と被膜の密着強度は十分でない。
金属板が660℃の融点をもつアルミニウム薄板である
ことを考慮して、500℃に保持された大気炉中で数分
間加熱すると、金属アルミ板上に塗布されたうぐいす色
の被膜は黒褐色に変色する。これはガラス粉末中のPb
OがPbO2に変化したことを意味する。このPbO2
酸化剤として作用する。即ち、金属との界面に薄い電気
絶縁性酸化物層が形成されると同時に被膜成分の水ガラ
スが変質し、吸湿性を消失する。生成されたガラス基被
膜にはAl23粉末が均一に分散している。なお、被膜
形成が十分でなかった場合には、上記の熱処理を繰り返
すことにより、所定の被膜を得ることができる。
【0022】以上のようにして形成されたガラス基被膜
の表面粗度は1500#の研磨紙程度であった。また、
板厚100μmの金属アルミニウム板上に形成された電
気絶縁被膜は、折り曲げたり、接着テープによる剥離テ
スト(JIS8305−1982)を数回繰り返しても
剥離することがなく、優れた形状追随性を有し熱ひずみ
が生じても剥離しにくい特徴を有していることが確認さ
れた。また、加熱しながら熱透過性及び電気絶縁性を測
定した結果、温度500℃近傍までは、熱透過性及び電
気絶縁性は良好に保持され、初期の目的を達成すること
ができた。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、500
℃以下の熱処理温度で電気絶縁被膜が形成され、常用温
度200〜500℃での使用で、耐熱性、熱透過性、及
び耐熱ひずみ特性に優れ、且つ廉価である電気絶縁被膜
材を得ることができる。特に、水ガラスと酸化剤からな
る混合物に、さらに電気絶縁性補強材を混合することに
よって、金属基板上に形成されるごく薄い電気絶縁性酸
化物層と電気絶縁性粉末が均一に分散したガラス基被膜
が構成され、より良好な耐熱性、熱透過性、密着性を持
つ電気絶縁性被膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電気絶縁被膜材の断面
模式図であり、(a)は乾燥、熱処理前の状態を示し、
(b)は乾燥、熱処理後の状態を示している。
【符号の説明】
1 金属基板 2 電気絶縁性
被膜材 3 電気絶縁性粉末 5 電気絶縁性
酸化物層 6 ガラス基被膜 7 電気絶縁性
被膜
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月15日(2000.5.1
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電気絶縁材とその製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記酸化剤として、PbOを含むガラス
粉末を使用すること特徴とする請求項記載の電気絶縁
材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面上に熱伝
導性及び耐熱性に優れた電気絶縁性被膜を形成した電気
絶縁及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属面に電気絶縁性被膜を有する
電気絶縁材は、その用途に応じて種々のものが知られて
おり、以下にその代表的なものを示す。例えば、シリコ
ーングリースを塗布したアルミナ薄板は,熱透過特性及
び耐熱特性に優れた電気絶縁材として,従来の熱電モジ
ュールに広く使用されている。しかしながら,この材料
は、高価であり,しかも割れ易い欠点を有している。
【0003】また、Na2O・SiO・nH2O系水ガラ
スは,空気中で乾燥させるとガラス状になり,ガラス及
び陶磁器等の接合材として広く使用されている。一方、
ガラス粉末を用いて、金属表面にガラス被膜を形成させ
る技術は、電気絶縁性被膜形成技術として古くから知ら
れている。このガラス被膜形成のための熱処理の多く
は、600℃以上の高温で行わなければならない。
【0004】従って、このガラス被膜形成技術は、50
0℃以下の温度領域での使用が要求される物品、例え
ば、本発明者らが提案した新型熱電モジュール(特許第
287396号参照)の金属アルミ等の低融点部品の絶
縁被膜や、BiTe系及びPbTe系熱電素子等の揮発
性材料の揮発防止被膜の形成には適用できない。
【0005】一方、水ガラスのみ、或いは、被膜の電気
絶縁性補強剤としてアルミナ粉末を添加した水ガラスを
金属表面に塗布し、さらに乾燥処理を施すことにより、
室温においては、水ガラスのもつ熱伝導性と電気伝導性
はかなり改良される。しかし、水ガラスのもつ吸湿性は
残存され、その特性は安定しない。
【0006】さらに、従来から使用されているアルミナ
薄板は、上記の耐熱性と熱透過性を満足するが、割れ易
く、従って熱ひずみに弱い。かつ高価であるという欠点
をもっている。一方、エナメル等の合成樹脂塗布材は、
室温における電気絶縁性は優れているが、100〜20
0℃の温領域で長時間使用すると、その絶縁性は劣化
し、熱透過性もよくない欠点がある。また雲母薄板の耐
熱性及び電気絶縁性は、500℃程度まで保持される
が、やはり熱透過性がよくない欠点がある。
【0007】以上の様に、種々の電気絶縁材が存在する
が、200〜500℃の温度領域で、上記熱電モジュー
ルに適合し、アルミナ薄板と同等かそれよりも優れた耐
熱性、熱透過性をもち、しかも廉価な電気絶縁材は、従
来知られている材料の中から見出すことは出来なかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば、(Bi,Sb)
2(Te,Se)3系及びPbTe系熱電素子をもつ熱電モ
ジュールの熱源温度は、それぞれ200〜300℃と3
00〜450℃である。従って、それぞれの常用温度
で、十分な耐熱性及び熱透過性をもつ電気絶縁材が要求
される。
【0009】しかしながら、上記のように、500℃以
下の熱処理温度で電気絶縁性被膜が形成され、常用温度
200〜500℃で、安定して耐熱性及び熱透過性の優
れた電気絶縁は、従来知られていない。従って、従来
知られている電気絶縁性被膜の形成技術は、例えば本発
明者らが先に提案した前記新型モジュールの製造技術等
には適用できないものである。
【0010】本発明は、上記実情に鑑み創案されたもの
であって、500℃以下の熱処理温度で電気絶縁性被膜
が形成され、常用温度200〜500℃での使用で、安
定して耐熱性及び熱透過性に優れ、且つ廉価である電気
絶縁材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の電気絶縁は、主原料が水ガラスと酸化剤からなる
電気絶縁性被膜材を金属板表面に塗布し、乾燥及び加熱
処理を施して熱酸化反応を起こさせ、前記水ガラスの吸
湿性を消失させると同時に、前記金属表面に電気絶縁性
酸化物層とガラス基被膜からなる電気絶縁性被膜を形成
させてなることを特徴とするものである。前記酸化剤と
しては、PbO等を含むガラス粉末等が採用できる。前
記水ガラスに電気絶縁性補強材を添加することによっ
て、ガラス被膜の電気絶縁性を補強することができ好ま
しい。なお特許請求の範囲に記載されている「酸化
剤」の用語は直接的な酸化剤に限らず、酸化剤の原料と
なるものも含むものものである。
【0012】前記電気絶縁性補強材として、絶縁性セラ
ミツク粉末を添加することによって、ガラス基被膜の電
気絶縁性がより向上する。絶縁性セラミック粉末として
は、例えばAl23,SiO2、ZrO2、Si34、S
iAlON、SiC等の電気絶縁性絶縁性セラミック粉
末が採用できる。本発明の電気絶縁材は、種々の用途の
物品に適用できるが、例えば熱電変換装置の低温側の熱
伝達板となるモジュール基板に好適である。
【0013】上記電気絶縁材を製造する本発明の電気絶
材の製造方法は、主原料が水ガラスと酸化剤からなる
電気絶縁性被膜材を金属板表面に塗布し、乾燥及び50
0℃以下の温度で加熱処理して熱酸化反応を起こさせ、
前記水ガラスのもつ吸湿性を消失させると同時に、前記
金属面に電気絶縁性酸化物層とガラス基被膜からなる
気絶縁性被膜を生成させることを特徴とするものであ
る。前記熱酸化反応は、PbO等を含む低軟化温度をも
つ複合ガラス粉末を用いることにより、500℃以下の
比較的低い熱処理温度で電気絶縁性酸化物層を形成する
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を基に詳
細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定される
ものでなく、その技術的思想の範囲内で種々の設計変更
が可能である。本実施形態の電気絶縁は、本発明者ら
が先に提案した前記熱電モジュールに適用可能な電気絶
縁材を得るものであり、図1にその模式図が示されてい
る。
【0015】アルミニウム板等の金属板1の表面に、水
ガラス、PbO等を含む複合系ガラス粉末からなる酸化
剤、及びAl23等の電気絶縁性粉末3で構成される原
料を適当な量の水の中に溶いたもの(電気絶縁性被膜材
2)を金属表面に塗布する(図1(a))。次いで、そ
れを適当な温度で乾燥及び熱処理を行うと、水ガラスの
中に含まれる水分は消失すると同時にガラス粉末の中に
含まれる酸化剤が金属との熱酸化反応によって金属と塗
布されたガラス被膜との界面に電気絶縁性酸化物層が形
成される。それと同時に水ガラスの組成が変質しその吸
湿性が失われる。その結果、図1(b)に示すように、
電気絶縁性酸化物層5と、Al23の電気絶縁性粉末3
が分散したガラス基被膜6からなる電気絶縁性被膜7が
形成される。
【0016】なお、PbO等を含む複合系ガラス粉末
は、可能な限り軟化温度の低いもの例えば300℃
傍であることが望ましい。しかしながら、酸化剤は、必
ずしもPbO等を含む複合系ガラス粉末に限らず、例え
ばPbO2、酸化銀、酸化銅等の粉末が採用できる。ま
た、金属基板は、アルミニウム板に限らず他の酸化し易
い金属材料を使用することが好ましい。
【0017】以上のように、本実施形態の電気絶縁
は、水ガラス、PbO等を含む複合ガラス粉末、Al2
3粉末の電気絶縁性セラミック粉末(電気絶縁性補強
材)の混合物で構成され、その混合割合は、各成分がそ
の効果を奏するためには少なくとも10%以上含まれて
いるのが望ましく、用途に応じて適宜選択できる。な
お、前記のように、電気絶縁性補強材は必ずしも必須の
ものではなく、電気絶縁性補強材を添加しないで水ガラ
スと酸化剤のみで構成する場合も、水ガラスと酸化剤が
それぞれ10%以上含まれていることが望ましい。
【0018】上記のようにPbO等を含む複合系ガラス
粉末を用いて熱処理することにより、アルミニウムのよ
うな酸化され易い金属との界面に、ごく薄い電気絶縁性
酸化物層5が形成される。本実施形態では、低軟化温度
(320℃)をもつPbOの酸化剤原料を含む複合系ガ
ラス粉末を用いているため、500℃以下の比較的低い
熱処理温度で電気絶縁性酸化物層を形成することができ
る。また、電気絶縁性酸化物層と同時にガラス基被膜が
形成されるが、該ガラス基被膜は、水ガラスが持ってい
た吸湿性が失われている。また、ガラス被膜内にAl2
3等の電気絶縁性粉末を絶縁性補強材として添加する
ことによって、電気絶縁性を補強することができる。
【0019】前記電気絶縁性被膜材は、その使用温度領
域において耐熱性、熱透過性に優れ、かつ剥離しにくい
密着性の優れたものでなければならない。そのために
は、被膜を形成させる材料の耐熱温度に応じて、ガラス
粉末の軟化温度を調整し、酸化剤の流動性を確保する。
例えば、アルミニウム板の絶縁被膜形成や、BiTe系
及びPbTe系モジュール素子等の揮発性防止被膜形成
のためには、300℃近傍に軟化温度をもつガラス粉末
を使用する。
【0020】以上のようにして、得られた電気絶縁性被
膜材は、従来の水ガラスがもっていた吸湿性を消失した
水ガラス中のアルカリ塩のイオン伝導による電気伝導は
なくなり、優れた耐熱性、熱透過性及び密着性のみ残
る。その結果、熱電モジュールの絶縁材料として好適で
ある。
【0021】
【実施例】粒度100μm以下のアルミナ粉末、適当な
結晶水を含む水ガラス及び硼酸鉛系ガラス粉末(軟化温
度320℃)をそれぞれ1:1:1の割合で混合し、そ
の混合物を適当な量の水の中に溶いたものを、板厚10
0μmの金属アルミニウム薄板上に刷毛で塗布する。そ
の際、被膜の均一性を確認するためにベンガラを混入し
着色することもできる。それを200℃の真空乾燥炉の
中で乾燥処理を施す。この状態で既に、室温において優
れた熱透過性をもつ電気絶縁性被膜が形成されるが、中
高温における電気絶縁性と被膜の密着強度は十分でな
い。金属板が660℃の融点をもつアルミニウム薄板で
あることを考慮して、500℃に保持された大気炉中で
数分間加熱すると、金属アルミ板上に塗布されたうぐい
す色の被膜は黒褐色に変色する。これはガラス粉末中の
PbOがPbO2に変化したことを意味する。このPb
2が酸化剤として作用する。即ち、金属との界面に薄
い電気絶縁性酸化物層が形成されると同時に被膜成分の
水ガラスが変質し、吸湿性を消失する。生成されたガラ
ス基被膜にはAl23粉末が均一に分散している。な
お、被膜形成が十分でなかった場合には、上記の熱処理
を繰り返すことにより、所定の被膜を得ることができ
る。
【0022】以上のようにして形成されたガラス基被膜
の表面粗度は1500#の研磨紙程度であった。また、
板厚100μmの金属アルミニウム板上に形成された電
気絶縁性被膜は、折り曲げたり、接着テープによる剥離
テスト(JIS8305−1982)を数回繰り返して
も剥離することがなく、優れた形状追随性を有し熱ひず
みが生じても剥離しにくい特徴を有していることが確認
された。また、加熱しながら熱透過性及び電気絶縁性を
測定した結果、温度500℃近傍までは、熱透過性及び
電気絶縁性は良好に保持され、初期の目的を達成するこ
とができた。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、500
℃以下の熱処理温度で電気絶縁性被膜が形成され、常用
温度200〜500℃での使用で、耐熱性、熱透過性、
及び耐熱ひずみ特性に優れ、特に優れた形状追随性を有
し熱ひずみが生じても剥離しにくい特徴を有し、且つ廉
価である電気絶縁材を得ることができる。また、水ガラ
スと酸化剤からなる電気絶縁性被膜材に、さらに電気絶
縁性補強材を混合することによって、金属基板上に形成
されるごく薄い電気絶縁性酸化物層と電気絶縁性粉末が
均一に分散したガラス基被膜が構成され、より良好な耐
熱性、熱透過性、密着性を持つ電気絶縁性被膜を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電気絶縁材の断面模式
図であり、(a)は乾燥、熱処理前の状態を示し、
(b)は乾燥、熱処理後の状態を示している。
【符号の説明】 1 金属基板 2 電気絶縁性
被膜材 3 電気絶縁性粉末 5 電気絶縁性
酸化物層 6 ガラス基被膜 7 電気絶縁性
被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新野 正之 宮城県角田市君萱字小金沢1番地 Fターム(参考) 5G303 AA07 AA10 AB01 AB20 BA03 BA12 CA03 CB01 CB20 CB25 CB30 DA02 5G333 AA03 AB12 AB22 CB11 CB12 CC02 CC14 DA01 DA24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原料が水ガラスと酸化剤からなること
    を特徴とする電気絶縁被膜材。
  2. 【請求項2】 前記酸化剤がPbO等を含むガラス粉末
    である請求項1記載の電気絶縁被膜材。
  3. 【請求項3】 電気絶縁性補強材として絶縁性セラミッ
    ク粉末を添加してなる請求項1又は2記載の電気絶縁性
    被膜材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3何れか記載の電気絶縁被膜
    材を金属面に塗布し,乾燥及び又は加熱処理して,その
    吸湿性を消失させることにより、前記金属面に電気絶縁
    被膜を生成させることを特徴とする電気絶縁被膜形成方
    法。
  5. 【請求項5】 加熱処理して熱酸化反応を起こさせるこ
    とにより、前記金属面に電気絶縁性酸化物層とガラス基
    被膜とからなる電気絶縁被膜を生成させる請求項4記載
    の電気絶縁被膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記熱酸化反応を500℃以下の温度で
    起こさせる請求項5記載の電気絶縁被膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記ガラス基被膜には電気絶縁性粉末が
    分散している請求項4〜6何れか記載の電気絶縁被膜形
    成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012523111A (ja) * 2009-04-02 2012-09-27 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 絶縁基板を有する熱電モジュール
CN103762182A (zh) * 2013-12-11 2014-04-30 上海交通大学 基于水玻璃-陶瓷复合介质的tsv封装再分布层制备方法
CN108682478A (zh) * 2018-05-07 2018-10-19 宁波职业技术学院 一种复合氧化物微晶玻璃、绝缘介质浆料及其制备方法和应用
US11448842B2 (en) 2018-09-28 2022-09-20 Corning Research & Development Corporation Small diameter fiber optic cables having low-friction cable jackets and optical fibers with reduced cladding and coating diameters
WO2023047916A1 (ja) * 2021-09-24 2023-03-30 Ntn株式会社 電動アクチュエータ

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