JP2001048892A - チタン−シリコン複合酸化物前駆体、その前駆体溶液、その製造方法、およびチタン−シリコン複合酸化物 - Google Patents

チタン−シリコン複合酸化物前駆体、その前駆体溶液、その製造方法、およびチタン−シリコン複合酸化物

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JP2001048892A JP22749999A JP22749999A JP2001048892A JP 2001048892 A JP2001048892 A JP 2001048892A JP 22749999 A JP22749999 A JP 22749999A JP 22749999 A JP22749999 A JP 22749999A JP 2001048892 A JP2001048892 A JP 2001048892A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性、製膜性、基材密着性、透明性に
優れ、加熱するだけで優れた親水性等の特性が得られる
チタン−シリコン複合酸化物前駆体、その溶液、その製
造方法、およびチタン−シリコン複合酸化物を提供す
る。 【解決手段】 アミノアルコール、カルボン酸化合物、
ヒドロキシカルボン酸、β−ジケトン化合物およびβ−
ジケト酸エステル化合物からなる群から選択される少な
くとも一つの化合物と、アルコキシチタンと、アルコキ
シシランとを反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン−シリコン
複合酸化物前駆体、その溶液、その製造方法、およびチ
タン−シリコン複合酸化物に関する。より詳しくは、保
存安定性や製膜性、あるいは基材との密着性に優れ、加
熱するだけで優れた親水性と、黒色から透明まで黒色度
のコントロールが可能なチタンーシリコン複合酸化物前
駆体、その溶液、その製造方法、およびなるチタン−シ
リコン複合酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二酸化チタンは光触媒や半導体電
極、あるいは活性試薬や不活性坦体等として使用されて
いるが、このような二酸化チタンを含む超親水性材料が
特開平10−237416(WO96/29375号公
報)等に開示されている。しかしながら、この超親水性
材料は、強度が強い光を一定量以上照射しないと超親水
性を示さないという問題があった。また、この超親水性
材料を光触媒膜として使用する場合、膜の硬度が十分で
なく、実用性に劣るという問題や、高温で焼成して作成
すると、光触媒性能が著しく低いという問題も見られ
た。さらに、膜強度を向上させるためにアルコキシシラ
ンなどを添加すると、溶液の保存安定性が低下するとい
う問題点も見られた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
従来の問題を鋭意検討した結果、アルコキシチタンと、
アルコキシシランと、アミノアルコール等とを組み合わ
せて用いてチタン−シリコン複合酸化物前駆体を組成す
ることにより、保存安定性、製膜性に優れるとともに、
かかる前駆体を焼成した場合に、強度が強い光を照射し
なくとも、優れた親水性、光触媒性能、基材密着性およ
び硬度を有するチタン−シリコン複合酸化物(低次チタ
ン−シリコン複合酸化物を含む。)が得られることを見
出した。また有機ポリマーを添加した場合には、添加し
ない場合に黒色となる加熱後のフィルムが透明となり、
かつ厚膜にした場合もクラックのない良好なフィルムが
出来ることを見いだした。さらに、有機ポリマーの添加
量をコントロールする事で、黒色から透明までフィルム
黒色度を容易にコントロール出来ることを見いだした。
【0004】すなわち、本発明の目的は、保存安定性や
製膜性に優れ、また、強度が強い光を照射しなくとも優
れた親水性や光触媒性能を有し、しかも黒色度のコント
ロールが可能で、クラックが無く、高い硬度と基材への
強固な密着性等を有するチタン−シリコン複合酸化物が
得られるチタン−シリコン複合酸化物前駆体あるいはそ
の溶液を提供することにある。また、本発明の別の目的
は、このようなチタン−シリコン複合酸化物前駆体が効
率的に得られる製造方法を提供することにある。さらに
本発明の別の目的は、優れた親水性、光触媒性能および
硬度等を有するチタン−シリコン複合酸化物を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、アミノアルコ
ール、カルボン酸化合物、ヒドロキシカルボン酸、β−
ジケトン化合物およびβ−ジケト酸エステル化合物から
なる群から選択される少なくとも一つの化合物と、下記
一般式(1)で表されるアルコキシチタンと、下記一般
式(2)で表されるアルコキシシランとを反応してなる
チタン−シリコン複合酸化物前駆体である。 Ti(OR14 (1) [一般式(1)中、R1は、アルキル基、アリール基ま
たはアシル基である。] Si(OR2p(R3q (2) [一般式(2)中、R2はアルキル基、アリール基また
はアシル基であり、pは2、3または4であり、R3
水素、アルキル基またはアリール基であり、qは(4−
p)で表される数である。] このようにチタン−シリコン複合酸化物前駆体を構成す
ることにより、優れた保存安定性や製膜性が得られると
ともに、焼成してチタン−シリコン複合酸化物を作成し
た場合に、黒色度のコントロールが可能、強度が強い光
を照射しなくとも優れた親水性、光触媒性能、基材密着
性および硬度といった特性を得ることができる。
【0006】また、本発明の別の態様は、上述したチタ
ン−シリコン複合酸化物前駆体を水性溶媒に溶解してな
る複合金属錯体溶液である。このようにチタン−シリコ
ン複合酸化物前駆体溶液を構成することにより、より優
れた保存安定性や製膜性が得られるとともに、プロセス
上、非危険物扱いとなるため使い勝手が著しく向上す
る。
【0007】また、本発明のさらに別の態様は、上述し
たチタン−シリコン複合酸化物前駆体あるいはチタン−
シリコン複合酸化物前駆体溶液を焼成して得られるチタ
ン−シリコン複合酸化物である。このように焼成してチ
タン−シリコン複合酸化物を構成することにより、強度
が強い光を照射しなくとも優れた親水性や光触媒性能を
得ることができる。また、高温で焼成したとしても、優
れた光触媒性能が得られるため、製造条件のマージンを
幅広くすることができる。
【0008】また、本発明のさらに別の態様は、アミノ
アルコール、カルボン酸化合物、ヒドロキシカルボン
酸、β−ジケトン化合物およびβ−ジケト酸エステル化
合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
と、下記一般式(1)で表されるアルコキシチタンと、
下記一般式(2)で表されるアルコキシシランとを反応
させてなるチタン−シリコン複合酸化物前駆体の製造方
法である。 Ti(OR14 (1) [一般式(1)中、R1は、アルキル基、アリール基ま
たはアシル基である。] Si(OR2p(R3q (2) [一般式(2)中、R2は、アルキル基、アリール基ま
たはアシル基であり、pは、2、3または4であり、R
3は、水素、アルキル基またはアリール基であり、qは
(4−p)で表される数である。]
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるチタン−シリコン
複合酸化物前駆体(チタン−シリコン複合酸化物前駆体
の製造方法を含む。)、チタン−シリコン複合酸化物前
駆体溶液、およびチタン−シリコン複合酸化物について
の実施形態1〜3をそれぞれ具体的に説明する。なお、
本発明において、チタン−シリコン複合酸化物前駆体
を、単に複合酸化物前駆体と称する場合がある。また、
アルコキシチタンおよびアルコキシシランを総称して金
属アルコキシドと称する場合がある。
【0010】[第1の実施の形態]第1の実施の形態は、
アミノアルコール、β−ジケトンおよびカルボン酸から
なる群から選択される少なくとも一つの化合物と、一般
式(1)で表されるアルコキシチタンと、一般式(2)
で表されるアルコキシシランとを反応させてなるチタン
−シリコン複合酸化物前駆体である。
【0011】(1)アルコキシチタン 第1の実施の形態で使用されるアルコキシチタンは、一
般式(1)で表される化合物である。この一般式(1)
中のR1は、アルキル基、アリール基またはアシル基で
あるが、具体的に、好ましいアルキル基の種類として、
メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−
ブチル基等が挙げられる。また同様に、好ましいアリー
ル基として、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が
挙げられる。さらに好ましいアシル基として、ホルミル
基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。ま
た、より安定した前駆体、例えば保存安定性に優れた前
駆体が得られることより、R1は直鎖または分岐を有す
るアルキル基であることがより好ましく、特に分岐を有
するアルキル基、例えばi−プロピル基またはs−ブチ
ル基であることがさらに好ましい。
【0012】したがって、一般式(1)で表されるアル
コキシチタンとして、テトラメトキシチタン、テトラエ
トキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ
−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタ
ン、テトラ−i−ブトキシチタン、テトラ−s−ブトキ
シチタン、テトラ−t−ブトキシチタン等の一種単独ま
たは二種以上の組み合わせが挙げられる。特に、保存安
定性に優れた複合酸化物前駆体が得られることから、テ
トラ−i−プロポキシチタンが好ましい。
【0013】ただし、一般式(1)で表されるアルコキ
シチタンには、構造式上表記はしないが、アルコキシル
基が置換されてアルコキシル基以外の加水分解性基や非
加水分解性基を含む場合がある。このような場合であっ
ても、本発明においては一般式(1)で表されるアルコ
キシチタンに含めるものとする。このようなアルコキシ
チタンとしては、チタン酸、四塩化チタン、チタン酸硫
酸等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられ
る。
【0014】(2)アルコキシシラン 第1の実施の形態で使用されるアルコキシシランは、上
述した一般式(2)で表される化合物である。また、一
般式(2)中におけるR2は、アルキル基、アリール基
またはアシル基であり、一般式(1)中のR1と同様の
内容とすることができる。したがって、R2としては、
例えばメチル基またはエチル基がより好ましい。また、
一般式(2)で表されるアルコキシシランは、アルコキ
シル基以外の加水分解性基、例えば、塩素や水素等を含
む場合があるが、このような場合であっても、アルコキ
シシランに含めるものとする。さらに、一般式(2)で
表されるアルコキシシランを縮合または部分縮合したシ
ロキサンポリマーやシロキサンオリゴマーについても、
一般式(2)で表される縮合前のアルコキシシランと同
様の効果が得られる限り、好適に使用することができ
る。
【0015】具体的に、一般式(2)で表されるアルコ
キシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ
−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラ
ン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−s−ブトキ
シシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ポリジメ
チルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等の一種単独
または二種以上の組み合わせが挙げられる。特に、アル
コキシチタンとの相溶性や反応性に優れ、しかも保存安
定性に優れた複合酸化物前駆体が得られることから、一
般式(2)で表されるアルコキシシランとしては、テト
ラメトキシシランやテトラエトキシシランが好ましい。
【0016】(3)アミノアルコール 第1の実施形態で使用されるアミノアルコールは、金属
アルコキシドと反応させて複合酸化物前駆体の保存安定
性等を向上させるために添加される。このようなアミノ
アルコールは、1分子中に、アミノ基とアルコール性水
酸基とを有する化合物と定義されるが、好ましくは、下
記一般式(3)で表される化合物である。 (HOR4sN(R5t (3) [一般式(3)中、R4は、アルキレン基またはアリー
レン基であり、sは、1、2または3であり、R5は、
水素、アルキル基またはアリール基であり、tは(3−
s)で表される数である。]
【0017】一般式(3)におけるR4は、アルキレン
基またはアリーレン基であるが、より具体的には、メチ
レン基、エチレン基、i−プロピレン基、n−プロピレ
ン基、i−ブチレン基、n−ブチレン基、s−ブチレン
基、t−ブチレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナ
フチレン基が挙げられる。また、さらに保存安定性に優
れた複合酸化物前駆体が得られることより、一般式
(3)におけるR4は直鎖または分岐を有するアルキレ
ン基であることがより好ましく、特に、分岐を有するア
ルキレン基であることが好ましい。
【0018】したがって、好ましいアミノアルコールの
具体例として、トリエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノー
ルアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノ
ールアミン等の一種単独または二種以上の組合わせが挙
げられる。また、こらのアミノアルコールのうち、特に
トリエタノールアミンとジエタノールアミンとの混合物
が好ましい。この理由は、これらの混合物からなるアミ
ノアルコールを使用することにより、前駆体の保存安定
性をより高めることができるためである。なお、トリエ
タノールアミンとジエタノールアミンと混合比率に関
し、当該トリエタノールアミン1モルに対して、ジエタ
ノールアミンの混合量を0.2〜1.5モルの範囲内の
値とすることが好ましい。
【0019】(4)カルボン酸化合物 第1の実施の形態において使用されるカルボン酸化合物
も、金属アルコキシドと反応させることにより、複合酸
化物前駆体の保存安定性等を向上させるために添加され
る。このようなカルボン酸化合物は、1分子中に、少な
くとも一つのカルボキシル基を有する化合物と定義され
るが、好ましくは、下記一般式(4)で表されるカルボ
ン酸化合物が好ましい。 X−(COOH)n (4) [一般式(4)中、Xは置換可能なn価の炭化水素基で
あり、nは1〜10の整数である。]
【0020】また、このようなカルボン酸化合物として
は、ヒドロキシカルボン酸塩やカルボン酸類等が挙げら
れるが、より具体的には、乳酸、クエン酸、酒石酸、シ
ュウ酸、酢酸、オキシ二酢酸、フタル酸、マレイン酸、
無水フタル酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸等の一
種単独あるいは二種以上の組み合わせが挙げられる。こ
れらのうち、特にクエン酸であることが好ましい。ま
た、これらカルボン酸化合物の水和物を使用することも
好ましい。このようなカルボン酸水和物を用いることに
より、金属アルコキシドとの相溶性や反応性がよリ良好
となるためである。
【0021】(5)β−ジケトン化合物およびβ−ジケ
ト酸エステル化合物 第1の実施の形態で使用されるβ−ジケトン化合物およ
びβ−ジケト酸エステル化合物も、金属アルコキシドと
反応させることにより、複合酸化物前駆体の保存安定性
等を向上させるために添加される。このようなβ−ジケ
トン化合物は、1分子中に、ケト基を2個有し、これら
のケト基が1個の炭素原子を隔てて結合された化合物と
定義されるが、具体的に、アセチルアセトン等が挙げら
れる。
【0022】(6)金属アルコキシドの組成比率 アルコキシチタンとアルコキシシランとからなる金属ア
ルコキシドの組成比率は特に限定されるものではない
が、例えば、金属アルコキシド中のチタン元素(Ti)
とシリコン元素(Si)とのモル比(Ti:Si)にお
いて、5:95〜95:5であることが好ましく、1
0:90〜80:20であることがさらに好ましく、1
0:90〜70:30であることが特に好ましい。この
理由は、チタン元素(Ti)とシリコン(Si)元素の
モル比が5:95よりも大きくなると光触媒活性や親水
性が低下する場合があり、一方、かかるモル比が95:
5よりも小さくなると、膜の硬度や基材との密着性が低
下したり、あるいは干渉色を呈し、反射率の高いミラー
ガラス状になったり、透明性が損なわれる場合があるた
めである。なお、このようにチタン元素(Ti)とシリ
コン元素(Si)とのモル比を調節するには、アルコキ
シチタンおよびアルコキシシランの種類を選択するとと
もに、後述するようにアルコキシチタンとアルコキシシ
ランとの反応比率を適宜変更すればよい。
【0023】(7)複合酸化物前駆体の製造方法 反応手順 複合酸化物前駆体を形成する際の、金属アルコキシドと
アミノアルコールとの反応手順は、アルコキシシランと
アミノアルコールを反応させ、さらにチタンアルコキシ
ドを反応させる方法、チタンアルコキシドとアミノアル
コールを反応させ、さらにアルコキシシランを反応させ
る方法、あるいはアルコキシシランとアミノアルコール
を反応させ、また別個にチタンアルコキシドとアミノア
ルコールを反応させ、両反応物を混合させる方法などが
ある。
【0024】反応比率 複合酸化物前駆体を形成する際の、金属アルコキシドと
アミノアルコールとの反応比率は特に制限されるもので
はないが、例えば、複合酸化物前駆体中のチタン元素お
よびシリコン元素からなる金属元素(M)とチッソ元素
(N)とのモル比(M:N)において、2:1〜1:4
の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、金属
元素(M)のモル比が2:1よりも大きくなると、複合
酸化物前駆体の保存安定性が低下する場合があるためで
あり、一方、かかるモル比が1:4よりも小さくなる
と、酸化時に不要なガスが多量に発生するとともに、生
成した金属酸化物の透明性や平滑性を損なう場合がある
ためである。したがって、金属元素(M)とチッソ元素
(N)とのモル比が、1:1〜1:3の範囲内の値とな
るように、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反
応比率を設定することがより好ましい。
【0025】また、金属アルコキシドとカルボン酸化合
物との反応比率、あるいは金属アルコキシドとβ−ジケ
トン化合物等との反応比率についてもそれぞれ制限され
るものではないが、例えば、前駆体中のチタン元素およ
びシリコン元素からなる金属元素(M)とカルボン酸ま
たはβ−ジケトンである化合物(C)とのモル比(M:
C)において、3:1〜1:5の範囲内の値とすること
が好ましく、2:1〜1:4の範囲内の値とすることが
より好ましく、1:1〜1:3の範囲内の値とすること
がさらに好ましい。この理由は、金属元素(M)のモル
比が3:1よりも大きくなると、複合酸化物前駆体の保
存安定性が低下する場合があるためであり、一方、かか
るモル比が1:5よりも小さくなると、酸化時に不要な
ガスが多量に発生するとともに、生成した複合酸化物の
透明性や平滑性を損なう場合があるためである。
【0026】反応温度 また、金属アルコキシドとアミノアルコール等との反応
温度についても、特に制限されるものではないが、具体
的に、当該反応温度を室温(20℃)〜170℃の範囲
内の値とするのが好ましく、室温(20℃)〜150℃
の範囲内の値とするのがより好ましい。この理由は、反
応温度が室温未満となると、反応性が著しく低下する場
合があり、一方、反応温度が170℃を超えると、反応
を制御することが困難となる場合があるためである。な
お、反応温度を制御するために、有機溶媒を使用し、こ
の有機溶媒の沸点もしくはその近傍温度で還流させるこ
とが好ましい。また、有機溶媒を使用した場合、反応温
度を50〜160℃の範囲内の値とするのが好ましく、
70〜100℃の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0027】反応時間 また、反応時間については、反応温度との関係がある
が、当該反応時間を好ましくは1〜10時間の範囲内の
値、より好ましくは、2〜9時間の範囲内の値とするこ
とである。この理由は、反応時間が1時間未満となる
と、反応が不均一となる場合があり、一方、反応時間が
10時間を超えると、金属錯体の生産性が著しく低下す
る傾向があるためである。
【0028】反応圧力 反応圧力についても、特に制限されるものではないが、
当該反応圧力を0.0067〜1.0気圧(5〜760
Torr)の範囲内の値とするのが好ましく、より好ま
しくは0.013〜0.20気圧(10〜150Tor
r)の範囲内の値とすることである。この理由は、反応
圧力が1気圧を超えると、副成するアルコールの沸点が
上昇し、除去することが困難となる場合があるためであ
る。
【0029】また、さらに反応を制御し、後述するよう
に金属アルコキシドの加水分解で生じる副成アルコール
を除去するために、反応器の圧力を下げるとともに、温
度を徐々に上昇させることが好ましい。この場合、通常
開始温度を室温から50℃の範囲内の値とすることであ
り、その後80℃程度まで、1〜2時間かけて上昇させ
ることが好ましい。
【0030】反応雰囲気 金属アルコキシドとアミノアルコール等との反応に際
し、不活性ガス、例えば、アルゴンガスや窒素ガスを反
応容器中で使用することが好ましい。このように不活性
ガスを用いて反応させることにより、金属アルコキシド
と、空気中の水分との反応により生成する沈殿物の発生
を有効に防止することができる。また、金属アルコキシ
ドとアミノアルコール等との反応に際し、溶媒を使用す
ることも好ましい。このように溶媒中で反応させること
により、金属アルコキシドと、アミノアルコール等との
反応をより均一に行うことができ、しかも、得られた複
合酸化物前駆体の取り扱いが極めて容易になる。なお、
好ましい溶媒としては、後述するように複合酸化物前駆
体溶液を調製する際に使用する溶媒、例えば、水、アル
コール化合物、グリコール等が挙げられる。
【0031】(8)副成アルコールの含有量 金属アルコキシドの加水分解により生成される一般式
(5)および一般式(6)で表される副成アルコール量
の合計を100重量%としたときに、複合酸化物前駆体
中に含まれるこれらの副成アルコール量の含有量を80
重量%以下の値とすることが好ましい。 R1(OH) (5) [一般式(5)中のR1は、一般式(1)中のR1と同様
である。] R2(OH) (6) [一般式(6)中のR2は、一般式(2)中のR2と同様
である。]
【0032】このように一般式(5)および一般式
(6)で表される副成アルコールの含有量を80重量%
以下の値に制限することにより、複合酸化物前駆体の安
定性をより向上させることができる。したがって、より
好ましくは、これら副成アルコールの含有量を50重量
%以下の値とすることであり、さらに好ましくは20重
量%以下の値とすることであり、最も好ましくは10重
量%以下の値とすることである。
【0033】なお、一般式(5)および一般式(6)で
表される副成アルコールの含有量の調整方法としては、
例えば、いずれか高い沸点を有する副成アルコールにお
ける沸点以上の温度、または沸点の近傍温度で複合酸化
物前駆体を加熱したり、あるいは低圧状態にして蒸発さ
せることが好ましい。例えば、金属アルコキシドとアミ
ノアルコール等との反応温度T1(℃)とし、一般式
(5)または一般式(6)で表わされる副成アルコール
のいずれか高い方の沸点をT2(℃)としたときに、T
1≧T2の関係を満足するのが好ましく、より好ましく
は、T1≧T2+10℃の関係を満足することである。
【0034】(9)状態温度等 さらに、複合酸化物前駆体(複合酸化物前駆体溶液を含
む。)の状態温度を変えることにより、ゲル化を容易に
起こしたり、あるいはゲル化を有効に防止して、安定化
させることができる。
【0035】(10)具体例 好ましいチタン−シリコン複合酸化物前駆体として、ア
ルコキシチタンと、アルコキシシランと、アミノアルコ
ールとを反応させることにより得られる下記一般式
(7)で表される化合物を挙げることができる。 aTi[(OR6)nNR7 m]x(OR8)y・bSi[(OR9)nNR10 m]x(OR11)y (7) [一般式(7)中、R6、R8、R9およびR11は、それ
ぞれ独立したアルキレン基またはアリーレン基であり、
7およびR10はそれぞれ独立した水素、アルキル基ま
たはアリール基であり、xは1〜4の整数を、yは(4
−x)で表される数を、nは1〜3の整数を、mは(3
−x)で表される数であり、aは0.95〜0.05の
範囲内の値、bは0.05〜0.95のの範囲内の値で
ある。]
【0036】一般式(7)において、R6、R8、R9
よびR11で表されるアルキレン基は、それぞれ独立にエ
チレン基、プロピレン基またはブチレン基であることが
好ましい。また、これらのアルキレン基は、直鎖状で
も、分岐状でもよい。なお、一般式(7)において構造
式上は表記しないが、アルコキシチタンやアルコキシシ
ランにおける未反応のアルコキシル基等が存在している
場合がある。
【0037】[第2の実施の形態]本発明における第2の
実施の形態は、チタン−シリコン複合酸化物前駆体溶液
(単に、複合酸化物前駆体溶液と称する場合がある。)
である。この複合酸化物前駆体溶液は、第1の実施の形
態で説明した複合前駆体に、溶媒を添加して調製するこ
とができる。このように複合酸化物前駆体を溶液とする
と、使い勝手が良好となり、基材等に均一に塗布した
後、所定温度で加熱することにより、フィルム状のチタ
ン−シリコン複合酸化物を容易に作製することができる
ためである。しかも、複合酸化物前駆体の保存安定性も
より良好となるためである。
【0038】(1)溶媒 複合酸化物前駆体溶液を調製する際に使用する溶媒とし
ては、水系溶媒(水または含水溶媒)あるいはモノアル
コール、ジオールまたはトリオールのアルコール化合物
等が挙げられる。これらの溶媒のうち、好ましいモノア
ルコールとして、下記一般式(8)で表されるアルコー
ル化合物が挙げられる。 R12OH (8)
【0039】ここで、一般式(8)中のR12は、炭素数
6〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、もしくは
炭素数5〜10の直鎖状または分岐状の酸素結合を有す
るアルキル基である。したがって、一般式(8)で表さ
れる好ましいモノアルコールとして、2−エチルヘキサ
ノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、オ
クタノール、メトキシエトキシエタノール等が挙げられ
る。
【0040】また、ジオールとしては、下記一般式
(9)で表されるアルコール化合物が挙げられる。 HO(R13)OH (9) ここで、一般式(9)中のR13は、炭素数2〜12の直
鎖状または分岐状のアルキレン基である。したがって、
一般式(9)で表される好ましいジオールとして、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレン
ジオール、ヘキサエチレングリコール等の一種、または
二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0041】さらに、好ましいトリオールとしては、グ
リセリン、1,2,6−ヘキサントリオールなどを挙げ
ることができる。なお、上述したアルコール化合物のな
かでエチレングリコールおよびグリセリンが最も好まし
い。また、上述したアルコール化合物と、トルエン、ク
ロロホルムなどの非アルコール性溶媒との混合物を使用
することも好ましく、界面活性剤や増粘剤等の添加剤を
溶媒とともに添加することも好ましい。
【0042】また、溶媒として、水系溶媒を使用するこ
とも好ましい。かかる溶媒を使用した場合、複合酸化物
前駆体におけるアルコキシ基等の一部または全部を容易
に加水分解することができ、結果として、平滑で、透明
性に優れたチタン−シリコン複合酸化物を得ることがで
きるためである。
【0043】(2)粘度 複合酸化物前駆体溶液の粘度(測定温度25℃)を0.
1〜10,000cpsの範囲内の値とするのが好まし
く、より好ましくは、0.5〜1,000cpsの範囲
内の値とすることであり、最も好ましくは、1〜100
cpsの範囲内の値とすることである。このような値の
粘度であれば、複合酸化物前駆体溶液の使い勝手や保存
安定性がさらに良好となるためである。なお、このよう
な粘度に調整するためには、溶媒の種類、溶媒の添加
量、前駆体の濃度、粘度調整剤の種類、粘度調整剤の添
加量等を適宜変更すれば良い。
【0044】(3)濃度 複合酸化物前駆体溶液における複合酸化物前駆体の濃度
についても特に制限されるものではないが、具体的に複
合酸化物前駆体の濃度を、チタン元素およびシリコン元
素を合計した全モル濃度において、0.05〜5.0モ
ル/リットルの範囲内の値とするのが好ましく、より好
ましくは0.12〜2モル/リットルの範囲内の値とす
ることである。このような値の濃度であれば、複合酸化
物前駆体溶液の使い勝手や保存安定性がさらに良好とな
るためである。
【0045】(4)添加剤 複合酸化物前駆体溶液に、各種用途に応じて、安定化
剤、界面活性剤、ドーパント、シリコン化合物、500
℃で99%以上分解する高分子化合物等の添加剤を添加
することが好ましい。このような安定化剤としては、乳
酸、グリセロール、グリコール酸等が挙げられる。ま
た、これら安定化剤の添加量を、金属アルコキシドの金
属1モルに対して、0.2〜4モルの範囲内の値とする
ことが好ましく、0.2〜2モルの範囲内の値とするこ
とがより好ましく、0.5〜1モルの範囲内の値とする
ことがさらに好ましい。また、安定化剤の添加時期を、
金属アルコキシドとアミノアルコール等との反応後とす
るか、あるいは金属アルコキシドの加水分解中や加水分
解後とするのが好ましい。
【0046】また、界面活性剤(消泡剤)としては、陰
イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面
活性剤等を挙げることができ、より具体的には、ポリエ
チレングリコールノニルフェニルエーテルやポリプロピ
レングリコールノニルフェニルエーテル等を挙げること
ができる。なお、界面活性剤の添加量を、複合酸化物前
駆体と界面活性剤を含めた全体量の0.001〜10重
量%の範囲内の値とするのが好ましく、0.01〜5重
量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0047】また、ドーパントとしては、ベリリウム、
ホウ素、バリウム、および鉛等の一種単独または二種以
上の組み合せが挙げられる。このようなドーパントを添
加することにより、基材との密着性の向上という効果を
得ることができる。また、ドーパントの添加量を、全体
量の0.001〜1.0重量%の範囲内の値とするのが
好ましく、0.01〜0.1重量%の範囲内の値とする
のがより好ましい。
【0048】また、シリコン化合物としては、コロイダ
ルシリカ、シリコーン樹脂およびケイ酸塩化合物等が挙
げられる。これらのシリコン化合物を添加することによ
り、複合酸化物前駆体を焼成して得られる複合酸化物の
硬度を高めたり、硬化収縮を低減することができる。こ
のようなコロイダルシリカとしては、平均粒子径が1〜
100nmの範囲内であるものが好ましく、2〜30n
mの範囲内であるものがより好ましい。また、電気透析
法、ケイ酸塩の酸による中和法、イオン交換樹脂法、解
膠法、有機珪素化合物の加水分解法、四塩化ケイ素の加
水分解法、気相法シリカの解重合法等の方法により製造
されたものを用いることができる。また、ケイ酸塩化合
物としては、水ガラス、シリカゲルなどSiO2構造を
含有する化合物を使用することが好ましい。
【0049】また、500℃の温度条件で、99重量%
以上分解する高分子化合物を添加することも好ましい。
このような高分子化合物としては、アクリル系ポリマ
ー、スチレン系ポリマー、ポリエチレングリコール、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ワックス
エマルジョン、パラフィン、リグニンスルホン酸、デン
プン、カルボキシメチルセルロース等の1種単独または
2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0050】ここで、シリコン(Si)を0.2部以上
添加した場合でも、加熱後のフィルムが黒色とならず、
透明なフィルムで且つ硬化収縮を低減する事が出来るこ
とから、アクリル系ポリマーを添加することがより好ま
しい。ここで、アクリル系ポリマーは、アクリレート化
合物およびメタクリレート化合物から選ばれるアクリル
系モノマーを主成分、好ましくは50重量%以上の値に
して重合により得られるポリマーと定義される。また、
アクリル系ポリマーの形態についても特に制限されるも
のでなく、アクリルエマルション、アクリルオリゴマー
およびアクリルポリマー等が挙げられる。
【0051】さらに、このようなアクリル系ポリマーを
重合する際に使用されるアクリレート系モノマーとして
は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリ
レート、2ーエチルヘキシルアクリレート、シクロヘキ
シルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなど
が、メタクリレート化合物としては、メチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルクリレート、2ーエチルヘキシルメタク
リレート等を挙げることが出来る。なお、このようなア
クリル系モノマーは、他の共重合モノマーと組み合わせ
て共重合することも好ましい。他の共重合モノマーとし
て、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、ジビニル
ベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどのアミド化合物、アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることが
出来る。
【0052】また、アクリル系ポリマーは、通常、溶液
重合、乳化重合、懸濁重合などのいずれの方法でも重合
することが出来るが、二酸化チタン前駆体を水系溶媒に
溶解する場合には、アクリル系ポリマーは水性分散体で
あることが好ましい。そして、アクリル系ポリマーの粒
子径を1μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに
好ましくは0.1μm以下の値とすることである。ま
た、これらアクリル系ポリマーを、他の種類のポリマー
と混合して用いてもよい。
【0053】[第3の実施の形態]本発明における第3の
実施の形態は、チタン−シリコン複合酸化物(単に、複
合酸化物と称する場合がある。)であり、第1の実施の
形態で説明したチタン−シリコン複合酸化物前駆体、ま
たは、第2の実施の形態において調製されたチタン−シ
リコン複合酸化物前駆体溶液を加熱して得ることができ
る。このようにして得られた複合酸化物は、強い光を照
射しなくとも優れた親水性や光触媒性能を示すことがで
き、また硬度が高く、しかも高温加熱させたとしても、
優れた光触媒性能を得ることができる。
【0054】(1)粒子径 複合酸化物が結晶粒子の場合、その平均粒子径を10〜
100nmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由
は、平均粒子径が10nm未満となると、光触媒活性が
十分得られない場合があり、一方、平均粒子径が100
nmを超えると、粒子や結晶構造に不規則性を生じる場
合があるためである。したがって、複合酸化物の平均粒
子径を15〜80nmの範囲内の値とするのがより好ま
しく、20〜50nmの範囲内の値とするのがさらに好
ましい。
【0055】(2)膜厚 また、複合酸化物が膜(フィルム)の場合、その厚さを
50〜700nmの範囲内の値とするのが好ましい。こ
の理由は、膜の厚さが50nm未満となると、光触媒活
性が不十分となったり、機械的強度が低下する場合があ
るためであり、一方、膜の厚さが700nmを超える
と、均一な厚さに形成するのが困難となる場合があるた
めである。
【0056】(3)基材 また、複合酸化物(膜)を形成する基材についても特に
制限されるものでなく、例えば、板状や繊維状のソーダ
ガラスおよび石英ガラスなどのガラス、ジルコニアおよ
びアルミナなどのセラミックス、鉄およびステンレスス
チールなどの金属等を挙げることができる。したがっ
て、チタン−シリコン複合酸化物(膜)をガラス上に形
成した場合、自動車などの車輌用ガラス、住宅用ガラ
ス、ビル用ガラスなどの建築物用ガラス、あるいは蛍光
灯、ハロゲンランプ、HIDランプなどの照明器具用ガ
ラス、として広く使用することができる。
【0057】(4)加熱工程(焼成工程) 加熱温度 複合酸化物前駆体を焼成するための加熱温度(焼成温
度)を、400℃〜800℃の範囲内の値とすることが
より好ましく、最も好ましくは500〜700℃範囲内
の値とすることである。この理由は、複合酸化物前駆体
の加熱温度が400℃未満となると、有機物が残り、ま
た酸化チタンがアナターゼ結晶とならない場合があるた
めであり、一方、複合酸化物前駆体の加熱温度が800
℃を超えると、酸化チタンがルチル型結晶となる場合が
あるためである。
【0058】加熱方法 また、複合酸化物前駆体の加熱方法も特に制限されるも
のではないが、複合酸化物前駆体(複合酸化物前駆体溶
液、あるいはこれから得られるゲル)を基体上に塗布し
た後、通常、加熱炉や赤外線ヒータあるいは電熱炉等の
手法を用いて、加熱することが好ましい。また、基体上
への塗布方法についても特に制限されるものでなく、例
えば、ディップ法、キャスト法、ロールコート法、スピ
ンコート法、スプレーコート法、熱加水分解法、CVD
法等を採ることができる。
【0059】
【実施例】以下実施例を基に、本発明をさらに詳細に説
明するが、言うまでもなく、本発明の範囲は実施例の記
載に制限されるものではない。
【0060】[実施例1] (1)チタン−シリコン複合酸化物前駆体の作成工程 1000mlの丸底フラスコ内に、アミノアルコールと
してのトリエタノールアミン298g(2mol)およ
びテトラメトキシシラン15.2g(0.1mol)を
収容し、室温(20°)、常圧条件で一時間、撹拌機を
用いて均一に撹拌させながら反応させた後、テトライソ
プロポキシチタン256g(0.9mol)を収容し
て、さらに1時間反応させた。次いで、グリセリン18
4g(2mol)を加え、さらに1時間、室温、常圧条
件で均一に撹拌し、チタン−シリコン複合酸化物前駆体
を含む反応液を得た。次に、この反応液が収容されたフ
ラスコをエバポレーターに接続し、温度を70℃に昇温
させ、圧力を40Torrに減圧した状態で、撹拌しな
がら反応させるとともに、副生するアルコールを約2時
間かけて蒸留し、淡黄色のシロップ状物を得た。この時
点で、シロップ状物(チタン−シリコン複合酸化物前駆
体)中のイソプロパノールおよびメタノールの含有量を
測定したところ、11重量%であった。
【0061】(2)チタン−シリコン複合酸化物前駆体
溶液を調製する工程 得られたシロップ状のチタン−シリコン複合酸化物前駆
体に対して、100mlの水を添加した後、溶液が均一
となるまで撹拌し、チタン−シリコン複合酸化物前駆体
の濃度が16重量%であるチタン−シリコン複合酸化物
前駆体溶液を得た。このチタン−シリコン複合酸化物前
駆体溶液20gに対して、界面活性剤としてポリエチレ
ングリコールノニルフェニルエーテルを0.32g(チ
タン−シリコン酸化物前駆体に対して1重量%)と、ア
クリル酸系エマルジョンであるアクリルエマルションA
E404(JSR(株)社製)を固形分換算で0.96
g(チタン−シリコン酸化物前駆体に対して30重量
%)と、蒸留水とをそれぞれ添加し、チタン−シリコン
酸化物前駆体溶液とした。なお、蒸留水は、チタン−シ
リコン酸化物前駆体の濃度が6重量%になるように添加
した。
【0062】(3)チタン−シリコン酸化物(膜)の焼
成工程 スピンコータを用いて、10秒間、100rpm、次い
で1分間、1000rpmの回転条件でそれぞれ回転さ
せて、得られたチタン−シリコン酸化物前駆体溶液か
ら、ガラス基材上にチタン−シリコン酸化物前駆体層を
形成した。次いで、チタン−シリコン酸化物前駆体層を
形成したガラス基材をオーブン内に収容し、空気中、1
20℃、60分の条件で乾燥した後、さらに空気中、6
50℃、5分の条件で加熱酸化させることにより、チタ
ン−シリコン複合酸化物膜を焼成した。得られたチタン
−シリコン複合酸化物膜は、表面状態が平滑であり、し
かも均一な膜厚(1500Å)を有していた。
【0063】(4)膜性能評価 親水性の評価 焼成後、室温条件に2時間放置後、および10日間放置
後のチタン−シリコン複合酸化物膜の純水に対する接触
角を測定した。結果を表1に示す。
【0064】光触媒活性の評価(アセトアルデヒド分
解性) 内部循環用ファンを取り付けた、縦、横、高さ各20c
mのアクリル製箱に、5cm×5cmの穴をあけ、その
穴にガラス基板付きのチタン−シリコン複合酸化物膜を
内側に向けて取り付けた。次いで、このアクリル製箱内
部に、注射器を用いて、約40ppm濃度のアセトアル
デヒドの蒸気を含む窒素ガスを注入し、ブックライト
(20W BLBライト)を用い、チタン−シリコン複
合酸化物膜に対してガラス基板側から1cm離れた位置
から光を照射した。そして、アセトアルデヒドの濃度を
検知管で測定し、その測定値の照射時間による変化から
反応速度を求め、光触媒活性を評価した。結果を表1に
示す。
【0065】鉛筆硬度 得られたチタン−シリコン複合酸化物膜について、鉛筆
硬度をJIS K5400に従い測定した。なお、判定
は表面の傷を目視で観察することにより行った。結果を
表1に示す。
【0066】外観 得られたチタン−シリコン複合酸化物膜の外観(着色
性)について目視で観察した。結果を表1に示す。
【0067】[実施例2〜4]実施例1におけるアルコキ
シシランと、アルコキシチタンとの添加比率および膜厚
を表1に示すように変えた他は、実施例1と同様にチタ
ン−シリコン複合酸化物を作成し、その親水性等をそれ
ぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0068】[実施例5〜7]表2に示すように、実施例
2〜4の組成にそれぞれ添加剤としてポリエチレングリ
コールノニルフェニルエーテル(1重量%)のみを用い
るとともに、複合酸化物前駆体溶液における複合酸化物
前駆体の濃度を6重量%から7重量%に変更し、さらに
は膜厚を変更した以外は、実施例2〜4と同様にチタン
−シリコン複合酸化物を作成し、外観および鉛筆硬度を
それぞれ評価した。得られた結果を表2に示す。
【0069】[実施例8]実施例1におけるアルコキシシ
ランと、アルコキシチタンの添加比率を表1に示すよう
に変えるとともに、添加剤としてポリエチレングリコー
ルノニルフェニルエーテル(1重量%)のみを用い、さ
らに複合酸化物前駆体溶液における複合酸化物前駆体の
濃度を6重量%から7重量%に変更し、さらに膜厚を変
更した以外は、実施例1と同様にチタン−シリコン複合
酸化物を作成し、外観および鉛筆硬度をそれぞれ評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0070】[比較例1]実施例1において、アルコキシ
シランを添加しなかった以外は、実施例1と同様にチタ
ン−シリコン複合酸化物を作成するとともに、実施例1
と同様に親水性等を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明のチタン−シリコン複合酸化物前
駆体およびその溶液によれば、保存安定性や製膜性に優
れ、また、加熱(焼成)によって強度が強い光を照射し
なくとも優れた親水性、光触媒性能および硬度を有する
チタン−シリコン複合酸化物を作成することができるよ
うになった。また、本発明のチタン−シリコン複合酸化
物前駆体の製造方法によれば、保存安定性や製膜性に優
れ、また、加熱(焼成)によって強度が強い光を照射し
なくとも優れた親水性、光触媒性能および硬度を有する
チタン−シリコン複合酸化物を作成することができるチ
タン−シリコン複合酸化物前駆体を効率的に得られるよ
うになった。
【0074】さらに本発明のチタン−シリコン複合酸化
物によれば、強い光を照射しなくとも優れた親水性や光
触媒性能を発揮し、しかも高い硬度と基材密着性等が得
られるようになった。したがって、住宅用の窓ガラス、
自動車の窓ガラス、温室、ドアミラーや水槽のガラス、
各種ランプ、ランプカバーなど広い用途に適用すること
が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 弘二 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA37 EE06 EE07 GG02 HH30 JJ46 KK13 KK15 KK17 LL14 LL15 4H049 VN01 VN05 VP02 VQ21 VQ35 VR41 VR42 VR43 VR51 VR52 VR53 VS02 VS21 VU24 VU32 VU36 VW02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノアルコール、カルボン酸化合物、
    ヒドロキシカルボン酸、β−ジケトン化合物およびβ−
    ジケト酸エステル化合物からなる群から選択される少な
    くとも一つの化合物と、下記一般式(1)で表されるア
    ルコキシチタンと、下記一般式(2)で表されるアルコ
    キシシランとを反応してなるチタン−シリコン複合酸化
    物前駆体。 Ti(OR14 (1) [一般式(1)中、R1は、アルキル基、アリール基ま
    たはアシル基である。] Si(OR2p(R3q (2) [一般式(2)中、R2はアルキル基、アリール基また
    はアシル基であり、pは2、3または4であり、R3
    水素、アルキル基またはアリール基であり、qは(4−
    p)で表される数である。]
  2. 【請求項2】 前記チタン−シリコン複合酸化物前駆体
    中のチタン元素(Ti)と、ケイ素元素(Si)とのモ
    ル比(Ti:Si)を95:5〜5:95の範囲内の値
    としてなる請求項1に記載のチタン−シリコン複合酸化
    物前駆体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のチタン−シリ
    コン複合酸化物前駆体を水系溶媒に溶解してなるチタン
    −シリコン複合酸化物前駆体溶液。
  4. 【請求項4】 有機物ポリマーをさらに添加してなる請
    求項3に記載のチタンーシリコン複合酸化物前駆体溶
    液。
  5. 【請求項5】 アミノアルコール、カルボン酸化合物、
    ヒドロキシカルボン酸、β−ジケトン化合物およびβ−
    ジケト酸エステル化合物からなる群から選択される少な
    くとも一つの化合物と、下記一般式(1)で表されるア
    ルコキシチタンと、下記一般式(2)で表されるアルコ
    キシシランとを反応させてなるチタン−シリコン複合酸
    化物前駆体の製造方法。 Ti(OR14 (1) [一般式(1)中、R1は、アルキル基、アリール基ま
    たはアシル基である。] Si(OR2p(R3q (2) [一般式(2)中、R2はアルキル基、アリール基また
    はアシル基であり、pは2、3または4であり、R3
    水素、アルキル基またはアリール基であり、qは(4−
    p)で表される数である。]
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3または4に記載のチタ
    ン−シリコン複合酸化物前駆体を焼成してなるチタン−
    シリコン複合酸化物。
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