JP2001048052A - 車体のフレーム構造及びその形成方法 - Google Patents

車体のフレーム構造及びその形成方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1の充填材11が充填されたセンターピラ
ー2において、その内部に仕切板や画成部材を設けない
で第1の充填材11のフレーム長手方向両端部をフリー
状態で発泡させる場合に、その両端部が割れても第1の
充填材11の性能が低下するのを防止する。 【解決手段】 第1の充填材11のフレーム長手方向両
端側に、該第1の充填材11よりも発泡率が高い第2の
充填材36を、第1の充填材のフレーム長手方向両端部
に当接するように発泡充填させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
おける車体のフレーム構造及びその形成方法に関する技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のフレーム構造として
は、車室内に伝達される振動や騒音を抑えたり強度や剛
性を高めたりする観点から、フレーム断面の少なくとも
一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉断面部材
で囲まれた空間に発泡充填された充填材とを備えたもの
が知られている。
【0003】そして、上記のように閉断面部材で囲まれ
た空間に充填材を発泡充填する場合、例えば実開平6−
61659号公報に示されているように、閉断面部材で
囲まれた空間に、該空間をフレーム長手方向に仕切る仕
切板を設けてこの仕切板と閉断面部材とにより充填材の
発泡充填空間を形成するようにすることが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例
のように仕切板を設けたものでは、未発泡状態の充填材
のセット量がばらつくと充填材の発泡率ばらつきが生じ
るため、充填材のセット量の管理を正確に行う必要があ
る。また、閉断面部材で囲まれた空間に仕切板や画成部
材を設けると、フレーム構造が複雑になって、施工性の
悪化を招いてしまう。
【0005】そこで、閉断面部材で囲まれた空間に仕切
板を設けないで充填材のフレーム長手方向両端部をフリ
ー状態で発泡させるようにすることが考えられる。
【0006】しかしながら、充填材のフレーム長手方向
両端部をフリー状態で発泡させると、発泡後にその両端
部に割れが発生して充填材の性能が低下するという問題
がある。特に、充填材を高強度のものにして衝撃荷重等
がかかる部分に使用する場合には、このような割れが生
じ易く、衝撃荷重がかかったときに該割れ部からクラッ
クが内部にまで入り込み、十分な衝撃吸収性能を発揮で
きなくなる可能性がある。また、割れに起因して欠け落
ちた小片により異音が発生する場合がある。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記のように閉断面部
材で囲まれた空間に仕切板や画成部材を設けないで充填
材のフレーム長手方向両端部をフリー状態で発泡させる
場合に、その両端部が割れても充填材の性能が低下する
のを防止しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、第1の充填材のフレーム長手方向
両端部に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充
填材を当接させるようにした。
【0009】具体的には、請求項1の発明では、フレー
ム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部
材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第
1の充填材とを備えた車体のフレーム構造を対象とす
る。
【0010】そして、上記第1の充填材のフレーム長手
方向両端側における上記閉断面部材で囲まれた空間に、
該第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接するよ
うに発泡充填され、第1の充填材よりも発泡率が高い第
2の充填材を備えているものとする。
【0011】上記の構成により、第1の充填材のフレー
ム長手方向両端部に割れが生じても、発泡率が高くて割
れが生じ難い第2の充填材によりその割れ部からのクラ
ックの進行等を防止することができ、第1の充填材の性
能低下を防止することができる。このように第2の充填
材を充填するようにすれば、閉断面部材で囲まれた空間
に仕切板等を設けなくても済み、第1の充填材の両端部
をフリー状態で発泡させて発泡率ばらつきの低減化を図
ることができると共に、充填位置の変更等にも柔軟に対
応することができる。
【0012】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、第1の充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上で
かつ最大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものと
する。
【0013】このことにより、閉断面部材において衝撃
荷重の影響により折れ曲がる部分(座屈する部分)等に
対応して充填材を設けることで、その部分に加わる力を
充填材を介してその周囲に分散させることができ、その
部分の折れ曲がりを防止したり、折れ曲がるようにしな
がら衝撃エネルギーを効果的に吸収したりすることがで
きる。そして、上記充填材について、平均圧縮強度を4
MPa以上とし、かつ最大曲げ強度を10MPa以上と
したのは、充填材の平均圧縮強度又は最大曲げ強度が大
きくなるにつれて、フレームのエネルギー吸収量も増加
するが、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強
度が10MPa以上になるとエネルギー吸収量の増加度
合いが飽和するからである。つまり、平均圧縮強度が4
MPa以上であれば、フレームが局部的に大きく変形し
て断面の潰れが生じることを最大限に抑制することがで
き、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、フレーム
が局部的に大きく変形した場合でも、充填材の割れを抑
制してフレームが脆性的に折損することを最大限に防止
することができる。この結果、この特性を満たす充填材
を用いれば、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、
衝突安全性をかなり向上させることができる。したがっ
て、エネルギー吸収量を増大させるために閉断面部材等
の板厚を増大させる必要がなく、しかも、充填材が発泡
材であるので、車体を軽量化することができ、燃費性能
をも向上させることができる。そして、このような高強
度の充填材では、割れが特に生じ易くて衝撃荷重がかか
ったときに該割れ部からクラックが内部にまで入り込む
可能性がある。しかし、この発明では、第2の充填材に
よりそのようなクラックの進行を防止して、第1の充填
材による衝撃吸収性能が確実に得られる。尚、「平均圧
縮強度」は、充填材を一辺30mmの立方体に加工した
ものに対して一方向から10mm/minの速度で圧縮
荷重を加えたときにおいて変位量(圧縮量)が0〜8m
mの範囲での平均強度をいう。
【0014】請求項3の発明では、請求項1又は2の発
明において、閉断面部材は、フレーム断面外側縁部を構
成するパネル材と、フレーム断面内に設けられたレイン
フォースメントとで構成されているものとする。
【0015】こうすることで、特に請求項2の発明で
は、レインフォースメントと充填材との相乗効果により
衝撃エネルギーを効果的に吸収することができ、充填材
をフレーム断面全体に発泡充填させなくても済み、充填
材量を低減することができる。
【0016】請求項4の発明は、フレーム断面の少なく
とも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、該
閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填
材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法を対象とす
るものである。
【0017】そして、この発明では、上記複数の閉断面
部材の1つに、未発泡状態の上記第1の充填材をセット
すると共に、該第1の充填材のフレーム長手方向両端側
に第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を未発
泡状態でセットし、次いで、フレームを組み立てた後、
上記第1及び第2の充填材を加熱することで上記閉断面
部材で囲まれた空間に発泡充填させて、第2の充填材を
第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接させるよ
うにする。
【0018】この発明により、未発泡状態の第1及び第
2の充填材の各セット位置を適切に設定することで、両
充填材を互いに当接させた状態で発泡充填させることが
でき、簡単な方法で請求項1の発明と同様の作用効果が
得られる。
【0019】請求項5の発明では、フレーム断面の少な
くとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、
該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充
填材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法を対象と
する。
【0020】そして、上記複数の閉断面部材の1つに、
未発泡状態の上記第1の充填材をセットし、次いで、フ
レームを組み立てた後、上記第1の充填材を加熱するこ
とで閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填させ、その
後、上記発泡充填させた第1の充填材のフレーム長手方
向両端側に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の
充填材を発泡充填させて第1の充填材のフレーム長手方
向両端部に当接させるようにする。
【0021】このことで、第1の充填材の発泡充填後
に、第2の充填材を充填ガン等を用いて発泡充填させる
ことができ、簡単な方法で請求項1の発明と同様の作用
効果が得られる。また、第1の充填材は、その発泡時に
第2の充填材の影響を受けることはないので、完全にフ
リー状態で発泡させることができ、発泡率ばらつきをよ
り一層低減させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフ
レーム構造が適用されたセンターピラー2(フレーム)
を備えた自動車車体1の全体構成を示す。このセンター
ピラー2は、車体1の左右両側部の前後方向略中央部に
おいて略上下方向に延び、その上端部は、車室ルーフ部
の左右両側部において前後方向に延びるルーフサイドレ
ール3に接合され、下端部は、車室フロア部の左右両側
部において前後方向に延びるサイドシル4に接合されて
いる。そして、上記センターピラー2のベルトライン部
ないしその近傍には、後述の如く第1及び第2の充填材
11,36(図2及び図3参照)が設けられており、側
突時に衝撃荷重Asが入力されても、ベルトライン部が
折れて車室側に進入するのを抑制するようにしている。
尚、図1中、5はフロントピラーであり、6はリヤピラ
ーである。
【0023】上記センターピラー2は、図2及び図3に
示すように、車体外側に位置する鋼板等からなるアウタ
パネル12と、車体内側に位置する鋼板等からなるイン
ナパネル13と、該アウタパネル12とインナパネル1
3との間でかつセンターピラー2断面(フレーム断面)
内に設けられた鋼板等からなるレインフォースメント1
4とを備えている。このアウタパネル12、インナパネ
ル13及びレインフォースメント14は、各々、その左
右両側部(車体1前後両側部)にフランジ部12a,1
2a、13a,13a、14a,14aを有していて、
該各フランジ部12a,13a,14a同士がスポット
溶接により接合されることで互いに一体化されている。
すなわち、上記アウタパネル12とインナパネル13と
は、センターピラー2断面外側縁部を構成するパネル材
であり、アウタパネル12とレインフォースメント14
とは、センターピラー2断面の車体外側部を閉断面状に
形成する閉断面部材であり、インナパネル13とレイン
フォースメント14とは、センターピラー2断面の車体
内側部を閉断面状に形成する閉断面部材である。そし
て、アウタパネル12及びレインフォースメント14は
共に断面略コ字状をなし、その両者間の空間も断面略コ
字状をなしている。
【0024】上記センターピラー2のベルトライン部な
いしその近傍においてアウタパネル12とレインフォー
スメント14との間の空間(閉断面部材で囲まれた空
間)には、例えばエポキシ樹脂からなる第1の充填材1
1が発泡充填されている。つまり、この第1の充填材1
1は、センターピラー2断面内全体ではなく、その断面
において上記衝撃荷重Asが入力される側、又はその衝
撃荷重Asに起因してセンターピラー2に作用する曲げ
モーメントにより圧縮応力が発生する側(センターピラ
ー2の中立軸よりも車体外側)のみに充填されていて、
断面略コ字状をなしている。上記第1の充填材11の平
均圧縮強度は4MPa以上(好ましくは5MPa以上)
に設定されていると共に、最大曲げ強度は10MPa以
上(好ましくは60MPa以上)に設定されている。こ
れは、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、センター
ピラー2に上記衝撃荷重Asが入力されてもセンターピ
ラー2のベルトライン部が局部的に変形して断面の潰れ
が生じることを最大限に抑制することができ、最大曲げ
強度が10MPa以上であれば、たとえセンターピラー
2が局部的に大きく変形した場合でも、第1の充填材1
1の割れを抑制してセンターピラー2が脆性的に折損す
ることを最大限に防止することができるからであり、平
均圧縮強度を5MPa以上としかつ最大曲げ強度を60
MPa以上とすればその効果がより安定的に得られるか
らである。尚、上記平均圧縮強度は、第1の充填材11
を一辺30mmの立方体に加工したものに対して一方向
から10mm/minの速度で圧縮荷重を加えたときに
おいて変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均強
度をいう(図9参照)。
【0025】そして、上記第1の充填材11のセンター
ピラー2長手方向(上下方向)両端側におけるアウタパ
ネル12とレインフォースメント14との間には、第2
の充填材36,36が該第1の充填材11の上下両端部
に当接するように充填されている。この各第2の充填材
36は、上記第1の充填材11よりも発泡率が高いもの
であって、例えば発泡ウレタン樹脂やゴム系の発泡材か
らなっている。
【0026】次に、上記センターピラー2を組み立てる
方法を説明する。先ず、図4(a)に示すように、レイ
ンフォースメント14のアウタパネル12側面の所定部
分にシート状に加工した未発泡状態の第1の充填材10
を貼り付けてセットすると共に、この第1の充填材10
のフレーム長手方向両側に、シート状に加工した未発泡
状態の第2の充填材35,35を貼り付けてセットする
(図5参照)。このとき、これら第1及び第2の充填材
10,35は、発泡充填後において第1の充填材11の
上下両端部が該第1の充填材11の充填必要範囲よりも
外側に位置しかつ両充填材11,36の端部同士が当接
するような位置にセットする。
【0027】その後、図4(b)に示すように、上記両
充填材10,35を貼り付けたレインフォースメント1
4をアウタパネル12にセットし、両者のフランジ部1
2a,14a同士をスポット溶接により接合する。そし
て、図4(c)に示すように、上記レインフォースメン
ト14に対してインナパネル13をセットして該インナ
パネル13のフランジ部13aをレインフォースメント
14のフランジ部14aにスポット溶接により接合する
ことで、センターピラー2の組立てが完了する。
【0028】次いで、車体1全体の組立てを完成させた
後、その車体1を電着液に浸漬させて電着塗装を行い、
その後に180℃雰囲気中に35分間投入してその電着
塗装の乾燥を行う(センターピラー2の最低温度は15
0℃程度になる)。そして、車体シーラを塗布し、14
0℃雰囲気中に20分間投入してその車体シーラを乾燥
させ(センターピラー2の温度は100℃程度)、続い
て、中塗塗装を行い、140℃雰囲気中に40分間投入
してその中塗塗装の乾燥を行い(センターピラー2は1
40℃で20分間加熱されたことになる)、次いで、上
塗塗装を行い、140℃雰囲気中に40分間投入してそ
の上塗塗装の乾燥を行う(センターピラー2は140℃
で20分間加熱されたことになる)。この電着塗装等の
乾燥時に、上記第1及び第2の充填材10,35をその
乾燥熱により加熱することで、アウタパネル12とレイ
ンフォースメント14との間に完全に発泡充填させる。
このように未発泡状態の両充填材10,35を電着塗装
等の乾燥熱により発泡硬化させるので、発泡工程を別途
に設ける必要がなく、生産性を高めることができる。
尚、電着塗装の乾燥工程で上記両充填材10,35の発
泡が完了すると共にそれぞれ半分程度が硬化し、中塗塗
装及び上塗塗装の乾燥工程でそれぞれ残りが硬化する
(車体シーラの乾燥工程では、センターピラー2の温度
が低過ぎて両充填材10,35は殆ど硬化しない)。
【0029】上記車体1に対して側突がなされた場合、
衝撃荷重Asによりセンターピラー2におけるアウタパ
ネル12のベルトライン部には、折れ曲がって(座屈し
て)断面内側に進入しようとする大きな力が局所的に作
用することがある。しかし、この実施形態では、そのよ
うな力がアウタパネル12に作用したとしても、その力
を第1の充填材11を介して周囲に分散させることがで
き、しかも、その第1の充填材11の平均圧縮強度が4
MPa以上に設定され、最大曲げ強度が10MPa以上
に設定されているので、最大値に近いエネルギー吸収量
が得られ、センターピラー2の折れ曲がりを最大限に抑
制することができる。一方、第1の充填材11は、セン
ターピラー2断面内全体ではなく、アウタパネル12と
レインフォースメント14との間にしか設けられていな
いが、座屈開始の曲げモーメントは、センターピラー2
断面内全体に設ける場合と殆ど変わらないので、少ない
充填量で効果的に衝撃エネルギーを吸収することができ
る。しかも、第1の充填材11は発泡材であるので、車
体を軽量化することができる。よって、燃費性能を向上
させながら、衝突安全性を向上させることができる。
【0030】そして、上記第1の充填材11の上下方向
両端側には第2の充填材36,36が充填されているの
で、第1の充填材11の上下方向両端部に割れが生じて
も、高発泡して割れが生じ難い第2の充填材36により
その割れ部からのクラックの進行等を防止することがで
き、第1の充填材11の衝撃エネルギー吸収性能等の低
下を防止することができる。この結果、アウタパネル1
2とレインフォースメント14との間に仕切板等を設け
なくても済み、第1の充填材10の上下両端部をフリー
状態で発泡させて発泡率ばらつきの低減化を図ることが
できると共に、充填位置の変更等にも柔軟に対応するこ
とができる。
【0031】ここで、上記実施形態においては、上記レ
インフォースメント14の強度(引張強さ、耐力)及び
剛性の少なくとも一方は、アウタパネル12と同等以上
に設定することが望ましい。つまり、レインフォースメ
ント14の強度及び剛性の両方がアウタパネル12より
も小さいと、アウタパネル12のベルトライン部が折れ
曲がって断面内側に進入しようとするときに、レインフ
ォースメント14が局所的に座屈変形してアウタパネル
12が第1の充填材11と共に断面内側に進入してしま
うが、このようにレインフォースメント14の強度及び
剛性の少なくとも一方がアウタパネル12と同等以上で
あれば、アウタパネル12の断面内側への進入(折れ曲
がり)をより一層確実に抑制することができる。
【0032】また、上記第1及び第2の充填材11,3
6充填部分におけるアウタパネル12とレインフォース
メント14との間の隙間量は2mm以上(好ましくは3
mm以上)に設定することが望ましい。これは、第1の
充填材11を充填しない(第2の充填材36も充填しな
い)場合には上記隙間量は小さいほどセンターピラー2
が負担し得る最大曲げモーメント値は大きくなるが、第
1の充填材11を充填する場合に上記隙間量が2mmよ
りも小さいと、第1の充填材11の充填効果が低くて第
1の充填材11を充填しない場合と殆ど変わらなくなる
からである。一方、上記隙間量は、20mmよりも大き
いと、軽量化効果が小さくなると共に、コスト面で不利
になるので、20mm以下に設定することが望ましい。
【0033】さらに、上記アウタパネル12と第1の充
填材11との間の少なくとも一部には、3MPa以上の
せん断接着強さを有する接着剤層(車体シーラ等)を設
けることが望ましい。これは、アウタパネル12に局所
的に加わる力を第1の充填材11を介してその周囲に確
実に分散させることができると共に、接着剤層によりセ
ンターピラー2が負担し得る最大曲げモーメント値を効
果的に高めることができ、また、上述の如くレインフォ
ースメント14の強度及び剛性の少なくとも一方をアウ
タパネル12と同等以上にした場合には、アウタパネル
12が断面内側に進入することも断面外側に張り出すこ
ともできず、アウタパネル12の折れ曲がりを有効に防
止することができるからである。そして、接着剤層を設
ける代わりに、第1の充填材11自体が、アウタパネル
12に対して3MPa以上のせん断接着強さを有するよ
うにしてもよく、こうすれば、接着剤層を別途に設けな
くても済み、容易に上記効果が得られる。尚、アウタパ
ネル12と第1の充填材11との間だけでなく、インナ
パネル13と第1の充填材11との間の少なくとも一部
にも接着剤層を設けるようにしてもよい。
【0034】加えて、上記第1の充填材11は、センタ
ーピラー2長手方向において、センターピラー2の荷重
支持点間(ルーフサイドレール3に接合された上端部と
サイドシル4に接合された下端部との間)の長さに対し
て15%以上の長さの範囲に充填されていることが望ま
しい。すなわち、第1の充填材11の充填範囲が大きく
なるにつれてエネルギー吸収量は増大するが、荷重支持
点間の長さに対して15%で略飽和する。したがって、
15%以上の長さの範囲に充填すれば、略最大値に近い
エネルギー吸収量が得られる。
【0035】尚、上記実施形態では、第1の充填材11
は、平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa
以上)でかつ最大曲げ強度が10MPa以上(好ましく
は60MPa以上)に設定されたものとしたが、平均圧
縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)又は
最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa
以上)に設定されたものとしてもよい。このようにして
も衝突安全性を十分に向上させることができる。そし
て、アウタパネル12とレインフォースメント14との
間に充填された第1の充填材11を、アウタパネル12
側(衝突荷重入力側)とレインフォースメント14側
(反衝突荷重入力側)との2層で構成し、そのアウタパ
ネル12側には平均圧縮強度が4MPa以上(好ましく
は5MPa以上)のものを配置し、レインフォースメン
ト14側には最大曲げ強度が10MPa以上(好ましく
は60MPa以上)のものを配置するようにしてもよ
い。こうすれば、アウタパネル12側に直接的に作用す
る圧縮荷重と、レインフォースメント14側に作用する
曲げ荷重とを各層の第1の充填材11によりそれぞれ有
効に負担することができ、その各第1の充填材11に対
して最も効果的な特性を付与して、効率的な補強を行う
ことができる。
【0036】また、第1の充填材11は、このように高
強度を有するものでなくてもよく、車室内に伝達される
振動や騒音を抑えるための発泡ウレタン樹脂等の低強度
のものであっても本発明を適用することができ、特に発
泡時に割れが生じ易いものが適している。そして、充填
材11を、アウタパネル12とレインフォースメント1
4との間だけでなく、インナパネル13とレインフォー
スメント14との間にも充填するようにしてもよく、レ
インフォースメント14がない場合には、アウタパネル
12とインナパネル13との間に充填材11を充填する
ようにしてもよい。
【0037】さらに、上記実施形態では、未発泡状態の
第1及び第2の充填材10,35を略同時に発泡させた
が、第1の充填材11を発泡充填させた後に、図6に示
すように、この発泡充填させた第1の充填材11の上下
方向両端側に充填用ガン37,37を用いて第2の充填
材36,36(例えば二液性の常温硬化タイプのもの)
を発泡充填させるようにしてもよい。このようにすれ
ば、第1の充填材11は、その発泡時に第2の充填材3
6の影響を受けることはないので、完全にフリー状態で
発泡させることができ、発泡率ばらつきをより一層低減
させることができる。
【0038】また、図7に示すように、レインフォース
メント14の第1の充填材11充填部分に開口部14d
(例えば、未発泡状態の第1の充填材11をセットした
か否かを確認するためのものやセット時の位置合わせ用
に設けたもの等)が形成されている場合にはその開口部
14dから第1の充填材10が発泡時に漏れ出すが、こ
の漏れ出した部分にも割れが生じるため、インナパネル
13とレインフォースメント14との間における上記開
口部14dに対応する部分にも第2の充填材36を発泡
充填させるようにすることが望ましい。この場合、図8
に示すように、未発泡状態の第2の充填材35はインナ
パネル13の上記開口部14dに対向する部分にセット
すればよい。
【0039】さらに、上記実施形態では、本発明のフレ
ーム構造をセンターピラー2に適用したが、センターピ
ラー2以外のピラー部材(上記フロントピラー5やリヤ
ピラー6)にも適用することができる。また、その他に
も、車体1の左右両側において前後方向に延びるフレー
ム部材(フロントサイドフレーム、リヤサイドフレー
ム、上記ルーフサイドレール3、サイドシル4等)、こ
の左右のフレーム部材を連結する連結部材(クロスメン
バ等)、ドア本体部の補強部材(インパクトバー等)、
バンパの補強部材(バンパレインフォースメント等)等
にも適用することができる。このようなフレームに適用
する場合、その各フレームにおいてフレーム断面の少な
くとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材の1
つに、未発泡状態の第1及び第2の充填材10,35を
セットする(上述の如く第1の充填材11の発泡充填後
に第2の充填材36を発泡充填する場合には、第1の充
填材10のみをセットする)ようにすればよい。
【0040】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。
【0041】先ず、充填材そのものについて(つまりフ
レーム断面内に充填された状態ではなく、充填材自体に
ついて)、その基礎的な物理的および機械的特性を調べ
た。すなわち、表1に示す6種類の材料について、各々
その密度を調べると共に、平均圧縮強度及び最大曲げ強
度を試験によって求めた。尚、上記密度は、いずれの材
料についても、室温(約20℃)における値を調べた。
【0042】表1の各材料中、発泡ウレタン樹脂は硬度
が8kg/cm2のものを、Al発泡体はアルミニウム
発泡材を、木材は松を、Al塊は棒状のアルミニウム材
を、レインフォースメントは、一般的にフレーム断面内
に設けられる厚さ1mmの鋼板(SPCC;以下、この
実施例では、鋼板は全てSPCC)製の補強材をそれぞ
れ使用した。
【0043】尚、上記レインフォースメントの密度は、
後述する図10に示すようなフレーム断面内に配設され
たレインフォースメント重量と、該レインフォースメン
ト配設部分に対応するフレームの容積から、フレーム内
換算密度として算出したものである。また、発泡ウレタ
ンの平均圧縮強度、並びにレインフォースメントの平均
圧縮強度及び最大曲げ強度については、いずれも値が低
すぎて計測することができなかった。
【0044】
【表1】
【0045】各充填材の平均圧縮強度を調べるための単
体圧縮試験は、以下のようにして行った。すなわち、各
材料の供試材を一辺30mmの立方体に加工してそれぞ
れ試験片を作製し、これに対して一方向から10mm/
minの速度で圧縮荷重を加え、図9において模式的に
示すように、変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での
平均荷重を求めてこれを充填材の平均圧縮強度とした。
【0046】また、各充填材の最大曲げ強度を調べるた
めの単体曲げ試験は、以下のようにして行った。すなわ
ち、各材料の供試材を、幅50mm×長さ150mm×
厚さ10mmの平板状に加工してそれぞれ試験片を作製
し、各充填材の試験片について、支点間距離を80mm
とし、その中央をR8の圧子で10mm/minの速度
で押圧することにより、所謂オートグラフにて三点曲げ
試験を行った。そして、その荷重一変位線図から各充填
材の最大曲げ強度を算出した。
【0047】上記表1の各充填材の密度のデータ及びコ
スト、軽量化効果等から、車体フレームのフレーム断面
内に充填する充填材の密度としては、1.0g/cm3
以下が適当であり、好ましくは、0.6g/cm3以下
であれば、さらに軽量化効果が期待できる。
【0048】次に、上記各充填材をフレームの所定部分
の内部空間に充填して、フレームの主としてエネルギー
吸収特性を評価する試験を行った。
【0049】先ず、フレームを構成するパネル材として
は、板厚1mmの鋼板を用いた。この鋼板の引張強さは
292N/mm2であり、降伏点は147N/mm2であ
り、伸びは50.4%であった。
【0050】上記鋼板を用いて、図10に示すように、
片側が開口した断面コ字状のパネル材Poと平板状のパ
ネル材Piとを片ハット状に組み合わせ、その重合部分
Lf(フランジ部)について60mmピッチでスポット
溶接を行って最終的に組み立てた。
【0051】尚、図10において仮想線で示すように、
フレーム断面内にレインフォースメントRfを配設した
ものの場合、このレインフォースメントRfの材料はフ
レームFRのパネル材Pi,Poの材料と同じものを用
いた。この場合、レインフォースメントRfの両フラン
ジ部(不図示)は、両パネル材Pi,Poのフランジ部
(重合部分Lf)に挟み込んだ上で、三枚重ねにしてス
ポット溶接で組み立てた。
【0052】上記のフレームFRの所定部分の内部空間
に表1の各充填材をそれぞれ充填して各種の機械的試験
を行い、平均圧縮強度又は最大曲げ強度とエネルギー吸
収性との関係を調べた。
【0053】先ず、フレームの静的三点曲げ試験を実施
した。図11は、フレームRfの静的三点曲げ試験を行
う試験装置を模式的に示す説明図である。また、図12
は、この静的三点曲げ試験装置の要部を拡大して示す説
明図である。
【0054】図10において実線で示す断面形状を備え
た所定長さのフレームFRの断面内に充填材SをEf=
50〜300mmの長さにわたって充填し、万能試験機
により、圧子Maを介してフレームFRの中央に静的荷
重Wsを加え、図13に示すように、変位量0〜45m
mの範囲での荷重一変位を測定し、静的エネルギー吸収
量を求めた。
【0055】上記試験結果を図14〜図17のグラフに
示す。先ず、図14は、充填材質量とエネルギー吸収量
との関係を表したものである。この図14において、黒
丸印(●)は木材を、黒四角印(■)はエポキシ樹脂A
を、それぞれ充填した場合を示し、また、白三角印
(△)は鋼板レインフォースメント(板厚1.0mm)
をフレーム断面内に設けた場合を示している。尚、白丸
印(○)は、板厚1.6mmの鋼板の場合を参考までに
示したものである。
【0056】このグラフ(図14)から良く判るよう
に、木材及びエポキシ樹脂Aのいずれにおいても、充填
材Sの充填質量が増えるに連れて吸収エネルギーが高く
なり、試験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分
が潰れた状態で最大値を示した。また、木材やエポキシ
樹脂等の充填材Sを用いた場合、レインフォースメント
を設けただけの場合に比べて、同等のエネルギー吸収量
を得るのに、はるかに少ない充填質量で済む。
【0057】このように、フレーム断面内に充填材Sを
充填することにより、レインフォースメントRfを設け
ただけの場合に比べて、フレームFRのエネルギー吸収
性が大幅に向上することが確認できた。
【0058】また、図15は充填材Sの平均圧縮強度と
エネルギー吸収量との関係を示したもので、グラフの横
軸は対数目盛である。この測定においては、各充填材S
の充填長さEfを50mmとした。充填長さがこの程度
以下の場合には、充填材Sは殆ど曲げ作用を受けること
はなく、そのエネルギー吸収性は圧縮強度との相関性が
非常に強くなる。尚、図15において、a1点、a2
点、a3点、a4点及びa5点は、それぞれウレタン樹
脂、Al発泡体、木材、エポキシ樹脂A及びAl塊につ
いてのデータであることを示している。
【0059】この図15のグラフから良く判るように、
充填材Sの平均圧縮強度が大きくなるにつれてエネルギ
ー吸収量も増加するが、平均圧縮強度が4MPa以上に
なるとフレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
飽和する。換言すれば、平均圧縮強度が4MPa以上で
あれば、ほぼ最大値に近いエネルギー吸収量を得ること
ができる。
【0060】特に、平均圧縮強度が5MPa以上になれ
ば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合はより
安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量をより
安定して得ることができる。
【0061】さらに、図16は充填材Sの最大曲げ強度
とエネルギー吸収量との関係を示したもので、また、図
17は、図16のグラフにおける最大曲げ強度80MP
a以下の部分を拡大して示すものである。この測定にお
いては、各充填材Sの充填長さEfを100mmとし
た。充填長さが100mm程度にまで増加すると、充填
材の曲げ強度もフレームFRのエネルギー吸収性の向上
に大きく寄与するようになる。尚、図16及び図17に
おいて、b1点、b2点、b3点及びb4点は、それぞ
れAl発泡体、エポキシ樹脂A、木材及びAl塊のデー
タであることを示している。
【0062】これらのグラフから良く判るように、充填
材Sの最大曲げ強度が大きくなるにつれてエネルギー吸
収量も増加するが、最大曲げ強度が10MPa以上にな
ると(特に図17参照)フレームFRのエネルギー吸収
量の増加度合いは飽和する。換言すれば、最大曲げ強度
が10MPa以上であれば、ほぼ最大値に近いエネルギ
ー吸収量を得ることができる。
【0063】特に、最大曲げ強度が60MPa以上にな
れば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
より安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量を
より安定して得ることができる。
【0064】以上の静的エネルギー吸収性の試験におい
て、フレーム断面内に充填材が充填されていない場合に
は、図18に示すように、フレームFRは荷重Wsの入
力点で局部的に大きく変形する。これに対して、フレー
ム断面内に充填材が充填されている場合には、図19に
示すように、入力荷重Wsは、入力点だけでなく、長さ
Efの範囲で充填された充填材Sを介してフレームFR
の充填部分周辺に分散されることになる。すなわち、充
填材Sを内部に充填することにより、フレームは、局部
的に大きな変形が生じることなく、広範囲にわたって変
形することになる。これにより、吸収エネルギーも飛躍
的に増加するものと考えられる。
【0065】尚、このときの充填材Sの単体のエネルギ
ー吸収量を計算によって求めると、全吸収エネルギーの
7%以下であった。このことからも、充填材Sをフレー
ムFR内に充填することによるエネルギー吸収性の向上
は、充填材S自体のエネルギー吸収性よりも、充填材S
による荷重分散効果が非常に大きく寄与してることが理
解できる。
【0066】また、図14のグラフにおいて、特に、エ
ネルギー吸収量の上限を示す木材を充填したフレームに
ついて、試験後のフレームの状態を目視観察すると、試
験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分がほぼ完
全に潰れた状態となっていた。つまり、本フレームFR
での最大のエネルギー吸収がこの支点Msによる支持部
分の潰れによるものであると考えられる。したがって、
この場合、充填材Sの役割は入力荷重Wsを支点部分に
分散させることにあると言える。
【0067】さらに、充填長さEf=50mmで各充填
材をそれぞれ充填した各フレームについて、試験後のフ
レーム断面の潰れ状態を目視観察すると、エネルギー吸
収性が比較的低いもの(レインフォースメントRfの
み、ウレタン樹脂及びAl発泡体)ではフレーム断面が
荷重入力点でほぼ完全に潰れており、一方、エネルギー
吸収性が比較的高いもの(エポキシ樹脂、木材及びAl
塊)ではフレーム断面は荷重入力点で余り潰れていなか
った。
【0068】この荷重入力点でのフレーム断面の潰れ
は、充填材Sの圧縮強度が大きく寄与しており、上述の
ように、充填材Sの平均圧縮強度が増すにつれてエネル
ギー吸収量が増加し、約4MPaで飽和し、約5MPa
でより安定して飽和している(図15参照)。
【0069】このことから、断面の潰れはフレームのエ
ネルギー吸収性能に大きく影響しており、断面が潰れる
と応力集中が生じて局部的な変形を加速し、フレームF
Rの折れを招来して、十分なエネルギー吸収量を確保す
ることができなくなるものと考えられる。
【0070】フレームFR内に充填された充填材Sへの
圧縮荷重は、特に荷重入力側に直接的に作用するので、
充填材Sの平均圧縮強度は、特に荷重入力側において上
記断面の潰れを防ぐに足る値(4MPa以上)に維持さ
れることが好ましい。
【0071】また、上述のように、充填材Sの充填長さ
Efが一定以上長くなると、充填材Sの平均圧縮強度が
ほぼ同等であってもエネルギー吸収性に差が生じる。充
填材Sの充填長さEfを100mmとした場合において
エネルギー吸収量が比較的低かったエポキシ樹脂Aを充
填したフレームの断面を目視観察すると、充填材(エポ
キシ樹脂)に割れが生じていた。この割れに対しては最
大曲げ強度が大きく影響しており、この最大曲げ強度が
高くなるにつれてエネルギー吸収量が増加し、約10M
Paで飽和し、約60MPaでより安定して飽和してい
た(図16及び図17参照)。
【0072】フレームFR内に充填された充填材Sへの
曲げ荷重は、特に反荷重入力側に直接的に作用するの
で、上記充填材Sの最大曲げ強度は、特に反荷重入力側
において上記充填材の割れを防ぐに足る値(10MPa
以上)に維持されることが好ましい。
【0073】尚、以上のことから、フレームFR内に充
填材Sを充填する場合、充填材Sを異なる充填材で成る
多層構造とし、荷重入力側には平均圧縮強度が所定値
(少なくとも4MPa)以上の充填材層を設け、反荷重
入力側には最大曲げ強度が所定値(少なくとも10MP
a)以上の充填材層を設けるようにすれば、非常に効率
良くフレームFRのエネルギー吸収性を高めることがで
きる。
【0074】上述の静的三点曲げ試験に続いて、フレー
ムの動的三点曲げ試験を実施した。図20は、フレーム
FRの動的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す
説明図である。上記静的三点曲げ試験の場合と同様に、
図10において実線で示す断面形状を備えた所定長さの
フレームFRの断面内に充填材SをEf=50〜300
mmの長さにわたって充填し、落錘Mbによりフレーム
中央部分に衝撃荷重Wdを与えた場合のフレームFRの
変形量を測定すると共に、衝撃荷重をロードセルMcで
測定し、図21に示すように、変位量0〜45mmの範
囲でのエネルギー吸収量を求めた。
【0075】図22は、上記動的三点曲げ試験における
充填材長さとエネルギー吸収量との関係を示したもので
ある。この図22において、黒丸印(●)は木材を、黒
四角印(■)はエポキシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合
を示している。
【0076】このグラフ(図22)から良く判るよう
に、静的三点曲げ試験の場合と同様に、木材及びエポキ
シ樹脂Aのいずれにおいても、充填材Sの充填量が増え
るにつれて吸収エネルギーが高くなり、また、エネルギ
ー吸収量の上限が認められ、その値は約0.85kJで
あった。
【0077】このように、動的荷重Wdについても、フ
レーム断面内に充填材Sを充填することにより、フレー
ムFRのエネルギー吸収性が向上することが確認でき
た。
【0078】また、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wd
の場合とを比較すると、動的荷重Wdに対する方がエネ
ルギー吸収量は大きく、静的荷重Wsに対する場合の約
1.7倍であった。
【0079】さらに、以上で得られた静的荷重Ws及び
動的荷重Wdそれぞれにおけるエネルギー吸収性のデー
タから、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wdの場合との
比(静動比)を算出すると、非常に高い相関性が認めら
れた。したがって、静的荷重Wsにおけるエネルギー吸
収性について行った考察(充填材Sによる荷重分散効果
等)は、基本的には、動的荷重Wdにおけるエネルギー
吸収性を取り扱う場合にも、適用することができるもの
と考えられる。
【0080】図23は、上記動的三点曲げ試験におい
て、フレーム断面内にレインフォースメントRfのみが
設けられた場合に対するエネルギー吸収性の向上率と、
充填材Sの充填長さ範囲(荷重支点間距離に対する充填
長さ割合)との関係を示すグラフである。この図23に
おいて、白丸印(○)は木材を、白三角印(△)はエポ
キシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合を示している。
【0081】このグラフ(図23)から良く判るよう
に、木材及びエポキシ樹脂のいずれにおいても、充填材
Sの充填長さ範囲が大きくなるにつれて吸収エネルギー
が高くなるが、約15%でほぼ飽和する。換言すれば、
充填材Sの充填長さ範囲が荷重支点間距離に対して15
%以上あれば、ほぼ最大のエネルギー吸収量を得ること
ができる。したがって、充填材Sの充填範囲としては、
荷重支点間距離に対して15%以上であることが好まし
い。
【0082】図24は、フレームの静的片持ち曲げ試験
を行う試験装置を模式的に示す説明図である。図25に
示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内
に充填材Sを充填した上で、このフレームFRの一端を
支持板Meに固定し、この支持板Meを装置基板Mfに
固定する。そして、万能試験機により、フレームFRの
パネル材Piの他端近傍に圧子Mdを介して静的荷重W
mをパネル材Po方向に加え、曲げ角度(荷重作用点の
変位とこの荷重作用点の基端からの距離とで算出)と荷
重との関係を測定し、最大曲げモーメント及び静的エネ
ルギー吸収量を求めた。
【0083】図26は、種々の充填材を充填したフレー
ムの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフで
ある。このグラフにおいて、曲線aは充填材なし(鋼板
フレームのみ)のフレームの特性を、曲線bはエポキシ
樹脂Aを充填したフレームの特性を、曲線cはエポキシ
樹脂Bを充填したフレームの特性を、曲線dは、エポキ
シ樹脂Bを充填しかつフレームFRのパネル材PoとP
iとの間に接着剤(剪断強度7.3MPaの車体シー
ラ)を適用したフレームの特性を、曲線eは木材(松)
を充填したフレームの特性をそれぞれ示している。
【0084】この図26のグラフから判るように、いず
れの曲線についても、曲げ角度がある程度に達するまで
は、曲げモーメント値は曲げ角度の増加に伴って立ち上
がるように大きく上昇する。そして、曲線a〜c及び曲
線eについては、それぞれある曲げ角度でピーク(極大
点)を迎え、その後は曲げ角度が増すにつれて曲げモー
メントは低下する。曲線a(充填材なしで鋼板フレーム
のみ)の場合、この低下度合いが特に大きい。
【0085】これに対して、曲線d(エポキシ樹脂B+
接着剤)の場合には、曲げモーメントが大きく上昇した
後でも、曲げ角度の増加に対して曲げモーメントの落ち
込みは見られず、高い曲げモーメント値を維持してい
る。また、最大曲げモーメント値も5つの曲線のうちで
最も大きい。同じ充填材(エポキシ樹脂B)を用いた曲
線cと比較して、曲げ角度の増加に対する傾向及び最大
曲げモーメントの大きさの両方について、明確な差があ
る。
【0086】すなわち、同じ充填材を用いても、この充
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームの曲げモーメント特性が大きく向上
することが判る。
【0087】また、図27は、図26と同様の種々の充
填材を充填したフレームの最大曲げモーメント[Nm]
及びエネルギー吸収量[J]を示す棒グラフである。こ
のグラフにおいて、A〜Eの各欄は、図26の曲線a〜
eとそれぞれ同じフレームを示している。また、各欄に
おいて、左側の数値(白抜きの棒グラフ)がフレームの
最大曲げモーメント[Nm]を示し、右側の数値(斜線
ハッチングの棒グラフ)はフレームのエネルギー吸収量
[J]を示している。
【0088】この図27のグラフから良く判るように、
フレームのエネルギー吸収量は、エポキシ樹脂B+接着
剤(D欄)を適用したものが最も大きく、同じ充填材
(エポキシ樹脂B)を用いたC欄のエネルギー吸収量と
比べて明確な差がある。
【0089】すなわち、同じ充填材を用いても、この充
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームのエネルギー吸収特性が大きく向上
することが判る。
【0090】図28は、接着剤層のせん断接着強さと最
大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。この図
28のグラフから良く判るように、接着剤層のせん断接
着強さが大きくなるにつれて最大曲げモーメントも増加
するが、せん断接着強さが3MPa以上になると、最大
曲げモーメントの増加度合い(グラフにおける曲線の勾
配)は、それまでに比べて緩やかになる。つまり、接着
剤層のせん断接着強さが3MPa以上であれば、フレー
ムが負担できる最大曲げモーメントを非常に効果的に増
加させ、十分な曲げモーメント値を達成して高いエネル
ギー吸収能力を得ることが可能である。したがって、接
着剤層のせん断接着強さとしては、3MPa以上であれ
ばよい。また、せん断接着強さがさらに大きくなり、7
MPa以上になると最大曲げモーメントの増加度合いは
飽和する。換言すれば、せん断接着強さが7MPa以上
であれば、ほぼ最大値に近い曲げモーメント値を得るこ
とができる。よって、接着剤層のせん断接着強さが7M
Pa以上であることがさらに好ましい。
【0091】尚、上記せん断接着強さの測定は、JIS
K 6850の「接着剤の引張せん断接着強さ試験方
法」に基づいて行ったものであり、図29に示すよう
に、被着材51,51として幅25mm、厚さ1.6m
mの鋼板を用い、接着部分(長さ12.5mm)に未発
泡状態の充填材52を挟み込んで0.5mm厚さに固定
し、クランプした状態で電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行い、その後、発泡してはみ出した部分を
取り除いた状態で試験を行うことでせん断接着強さを測
定した(接着剤層が有る場合も無い場合も同じ)。
【0092】次に、図30に示す断面形状を備えた長さ
240mmのフレーム60の断面内の一部に充填材を充
填した場合と、全体に充填した場合とで、フレーム60
の曲げ角度と曲げモーメントとの関係がどのようになる
かを図24と同様の静的片持ち曲げ試験により調べた。
尚、静的荷重は、アウタパネル62側からインナパネル
63方向に加えた。
【0093】具体的には、(イ)アウタパネル62とレ
インフォースメント64との間のみに充填材を充填した
ものと、(ロ)インナパネル63とレインフォースメン
ト64との間のみに充填材を充填したものと、(ハ)ア
ウタパネル62とレインフォースメント64との間、及
びインナパネル63とレインフォースメント64との間
の両方に充填材を充填したものと、(ニ)充填材を全く
充填していないものとを作製してそれらに対して試験を
行った。このとき、アウタパネル62は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル63は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント64は厚さ1.2mmの鋼板
をそれぞれ使用した。また、充填材は、平均圧縮強度が
9MPaで最大曲げ強度が10MPaのエポキシ樹脂
(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等を含む)を使用
し、充填材自体が10MPaのせん断接着強さを有する
ようにした。そして、シート状の未発泡状態の充填材を
170℃で30分保持することでアウタパネル62とレ
インフォースメント64との間、及び/又はインナパネ
ル63とレインフォースメント64との間に完全に充填
させた。尚、充填材の充填量は、アウタパネル62とレ
インフォースメント64との間が117gであり、イン
ナパネル63とレインフォースメント64との間が42
3gであった。
【0094】上記曲げ試験の結果を図31〜図33に示
す。このことより、最大曲げモーメントは、充填材をフ
レーム断面内全体に充填したものが最もよいが、座屈開
始の曲げモーメントで比較すると、充填材をアウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間のみに充填し
たものは、フレーム60断面内全体に充填したものと殆
ど変わらない。したがって、充填材をアウタパネル62
とレインフォースメント64との間のみに充填すること
は、特にセンターピラーのように折れ曲がりを抑制する
必要があるフレームに特に有効であって、充填材の重量
当たりの曲げモーメントが非常に高くなり、充填量の観
点から最も効率が良いことが判る。
【0095】続いて、上記フレーム60のアウタパネル
62とレインフォースメント64との間のみに充填材を
充填する場合に、レインフォースメント64の曲げ高さ
を変えることによりアウタパネル62とレインフォース
メント64との間の隙間量(ここでは図30で7mmの
部分のみ)を変えて、上記と同様の曲げ試験を行うこと
で、その隙間量により最大曲げモーメントがどのように
変化するかを調べた。そして、比較のために、充填材を
全く充填しない場合についても調べた。尚、アウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間における左右
両側部の隙間量(図30で5mmの部分)は5mmのま
まとした。
【0096】上記試験の結果を図34に示す。このこと
より、充填材を充填しない場合には隙間量が小さいほど
最大曲げモーメントは高くなるが、充填材を充填する場
合には、隙間量が2mmよりも小さくなると、充填材を
充填しない場合と殆ど変わらず、2mm以上とすれば充
填効果が十分に得られることが判る。
【0097】次いで、図35(a)に示すように、アウ
タパネル72とレインフォースメント74との間のみに
充填材71を充填したセンターピラーを作製した(実施
例1)。このとき、アウタパネル72は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル73は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント74は厚さ1.2mmの鋼板
(材料がアウタパネル72と同じであるので、強度はア
ウタパネル72と同じであり、板厚がアウタパネル72
よりも大きいので、剛性がアウタパネル72よりも大き
い)をそれぞれ使用した。また、充填材71は、平均圧
縮強度が13.0MPaで最大曲げ強度が13.5MP
aのエポキシ樹脂(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等
を含む)を使用し、充填材71自体が10.5MPaの
せん断接着強さを有するようにした。そして、センター
ピラーを組み立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行って未発泡状態の充填材を発泡硬化させ
た。尚、充填材71の充填量は150gであった。
【0098】一方、比較のために、図35(b)に示す
ように、上記充填材71を全く充填しない点以外は上記
実施例1と同じもの(比較例1)を作製すると共に、こ
の比較例1に対して充填材71を充填しないで補強すべ
く、図35(c)に示すように、レインフォースメント
74の厚みを1.8mmにしかつ該レインフォースメン
ト74に厚さ1.2mmの鋼板からなる補強材75を接
合したもの(比較例2)を作製した。
【0099】そして、上記実施例1及び比較例1,2の
各センターピラーに対して上記と同様の静的片持ち曲げ
試験を行って、センターピラーの曲げ角度と曲げモーメ
ントとの関係を調べた。尚、静的荷重は、アウタパネル
72側からインナパネル73方向に加えた。
【0100】上記センターピラー曲げ試験の結果を図3
6に示す。このことより、実施例1のセンターピラーは
比較例1,2よりもかなり高い曲げモーメントが得ら
れ、しかも、比較例2の補強方法よりも格段に軽量化で
きることが判る。
【0101】次に、上記センターピラー曲げ試験に用い
たエポキシ樹脂(平均圧縮強度13.0MPa、最大曲
げ強度13.5MPa、せん断接着強さ10.5MP
a)からなる第1の充填材と、ゴム系の発泡材(発泡後
破断強度0.014MPa、破断伸び200%、密度
0.06g/cm2 )からなり、上記第1の充填材より
も発泡率が高い第2の充填材とを、上記実施形態のよう
に発泡させた。つまり、レインフォースメントに、未発
泡状態の第1及び第2の充填材を貼り付け(第2の充填
材は接着シートを有する二層構造のものを使用してその
接着シートを介して貼り付け)、センターピラーを組み
立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した加熱を行って
発泡硬化させた。これにより、第1の充填材の端部割れ
を第2の充填材で完全に覆うことができ、センターピラ
ーを振動させても第1の充填材の端部割れにより小片が
欠け落ちることはなかった。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車体のフ
レーム構造及びその形成方法によると、第1の充填材の
フレーム長手方向両端側における閉断面部材で囲まれた
空間に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填
材を、第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接す
るように発泡充填させたことにより、第1の充填材のフ
レーム長手方向両端部に割れが生じても、第2の充填材
によりその割れ部からのクラックの進行等を防止するこ
とができ、第1の充填材の性能を確実に維持させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るフレーム構造が適用さ
れたセンターピラーを備えた自動車車体の全体構成を示
す斜視図である。
【図2】センターピラーのベルトライン部の縦断面図で
ある。
【図3】センターピラーのベルトライン部の横断面図で
ある。
【図4】センターピラーの組立手順を示す説明図であ
る。
【図5】第1及び第2の充填材が発泡する前の状態を示
す図2相当図である。
【図6】第1充填材が発泡した後に第2の充填材を充填
用ガンにより充填している状態を示す図2相当図であ
る。
【図7】レインフォースメントの第1の充填材充填部分
に開口部が形成されている場合に、その開口部より漏れ
出した部分の割れを防止するために第2の充填材を設け
た例を示す図2相当図である。
【図8】第1及び第2の充填材が発泡する前の状態を示
す図7相当図である。
【図9】充填材の平均圧縮強度を説明するためにフレー
ムの静的圧縮荷重−変位曲線を模式的に示すグラフであ
る。
【図10】三点曲げ試験に用いたフレームの構造を示す
断面図である。
【図11】フレームの静的三点曲げ試験を行う試験装置
を模式的に示す説明図である。
【図12】図11の静的三点曲げ試験装置の要部を拡大
して示す説明図である。
【図13】静的エネルギー吸収量を説明するためにフレ
ームの静的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
【図14】充填材質量とフレームの静的エネルギー吸収
量との関係を示すグラフである。
【図15】充填材の平均圧縮強度とフレームの静的エネ
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図16】充填材の最大曲げ強度とフレームの静的エネ
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図17】図16の要部を拡大して示すグラフである。
【図18】充填材が充填されていない場合のフレームの
変形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図19】充填材が充填されている場合のフレームの変
形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図20】フレームの動的三点曲げ試験を行う試験装置
を模式的に示す説明図である。
【図21】動的エネルギー吸収量を説明するためにフレ
ームの動的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
【図22】充填材の充填長さとフレームの動的エネルギ
ー吸収量との関係を示すグラフである。
【図23】動的三点曲げ試験における充填長さ範囲とエ
ネルギー吸収性の向上率との関係を示すグラフである。
【図24】フレームの静的片持ち曲げ試験を行う試験装
置を模式的に示す説明図である。
【図25】静的片持ち曲げ試験に用いたフレームの構造
を示す断面図である。
【図26】各種充填材が充填されたフレームの曲げ角度
と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図27】各種充填材が充填されたフレームについての
最大曲げモーメント及びエネルギー吸収量を示すグラフ
である。
【図28】接着剤層のせん断接着強さと最大曲げモーメ
ントとの関係を示すグラフである。
【図29】せん断接着強さの測定方法を概略的に示す説
明図である。
【図30】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合との比較を行うために静的片持ち曲げ試
験に用いたフレームを示す断面図である。
【図31】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合と全く充填しない場合とにおいて、フレ
ームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフ
である。
【図32】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合と全く充填しない場合とについて、座屈
開始の曲げモーメントを比較して示すグラフである。
【図33】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合とについて、充填材の重量当たりの曲げ
モーメントを比較して示すグラフである。
【図34】アウタパネルとレインフォースメントとの間
のみに充填材を充填する場合に、その隙間量と最大曲げ
モーメントとの関係を示すグラフである。
【図35】静的片持ち曲げ試験に用いたセンターピラー
の構造を示す断面図である。
【図36】図35の各センターピラーの曲げ角度と曲げ
モーメントとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 車体 2 センターピラー(フレーム) 3 ルーフサイドレール(フレーム) 4 サイドシル(フレーム) 5 フロントピラー(フレーム) 6 リヤピラー(フレーム) 10 未発泡状態の第1の充填材 11 第1の充填材 12 アウタパネル(閉断面部材)(パネル材) 13 インナパネル(閉断面部材) 14 レインフォースメント(閉断面部材) 35 未発泡状態の第2の充填材 36 第2の充填材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 恭聡 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 山本 幸男 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 麻川 元康 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D003 AA01 AA05 BB01 CA17 CA33 CA34 CA35 CA40 3J066 AA01 AA23 BA04 BB01 BC05 BD05 BF01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレーム断面の少なくとも一部を閉断面
    状に形成する閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空
    間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレ
    ーム構造であって、 上記第1の充填材のフレーム長手方向両端側における上
    記閉断面部材で囲まれた空間に、該第1の充填材のフレ
    ーム長手方向両端部に当接するように発泡充填され、第
    1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を備えてい
    ることを特徴とする車体のフレーム構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車体のフレーム構造にお
    いて、 第1の充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最
    大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものであるこ
    とを特徴とする車体のフレーム構造。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の車体のフレーム構
    造において、 閉断面部材は、フレーム断面外側縁部を構成するパネル
    材と、フレーム断面内に設けられたレインフォースメン
    トとで構成されていることを特徴とする車体のフレーム
    構造。
  4. 【請求項4】 フレーム断面の少なくとも一部を閉断面
    状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲ま
    れた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体
    のフレーム構造の形成方法であって、 上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1
    の充填材をセットすると共に、該第1の充填材のフレー
    ム長手方向両端側に第1の充填材よりも発泡率が高い第
    2の充填材を未発泡状態でセットし、 次いで、フレームを組み立てた後、上記第1及び第2の
    充填材を加熱することで上記閉断面部材で囲まれた空間
    に発泡充填させて、第2の充填材を第1の充填材のフレ
    ーム長手方向両端部に当接させることを特徴とする車体
    のフレーム構造の形成方法。
  5. 【請求項5】 フレーム断面の少なくとも一部を閉断面
    状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲ま
    れた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体
    のフレーム構造の形成方法であって、 上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1
    の充填材をセットし、 次いで、フレームを組み立てた後、上記第1の充填材を
    加熱することで閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填さ
    せ、 その後、上記発泡充填させた第1の充填材のフレーム長
    手方向両端側に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第
    2の充填材を発泡充填させて第1の充填材のフレーム長
    手方向両端部に当接させることを特徴とする車体のフレ
    ーム構造の形成方法。
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