JP4356147B2 - 車体のフレーム構造及びその形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両における車体のフレーム構造及びその形成方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のフレーム構造としては、車室内に伝達される振動や騒音を抑えたり強度や剛性を高めたりする観点から、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された充填材とを備えたものが知られている。
【0003】
そして、上記のように閉断面部材で囲まれた空間に充填材を発泡充填する場合、例えば実開平6−61659号公報に示されているように、閉断面部材で囲まれた空間に、該空間をフレーム長手方向に仕切る仕切板を設けてこの仕切板と閉断面部材とにより充填材の発泡充填空間を形成するようにすることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来例のように仕切板を設けたものでは、未発泡状態の充填材のセット量がばらつくと充填材の発泡率ばらつきが生じるため、充填材のセット量の管理を正確に行う必要がある。また、閉断面部材で囲まれた空間に仕切板や画成部材を設けると、フレーム構造が複雑になって、施工性の悪化を招いてしまう。
【0005】
そこで、閉断面部材で囲まれた空間に仕切板を設けないで充填材のフレーム長手方向両端部をフリー状態で発泡させるようにすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、充填材のフレーム長手方向両端部をフリー状態で発泡させると、発泡後にその両端部に割れが発生して充填材の性能が低下するという問題がある。特に、充填材を高強度のものにして衝撃荷重等がかかる部分に使用する場合には、このような割れが生じ易く、衝撃荷重がかかったときに該割れ部からクラックが内部にまで入り込み、十分な衝撃吸収性能を発揮できなくなる可能性がある。また、割れに起因して欠け落ちた小片により異音が発生する場合がある。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記のように閉断面部材で囲まれた空間に仕切板や画成部材を設けないで充填材のフレーム長手方向両端部をフリー状態で発泡させる場合に、その両端部が割れても充填材の性能が低下するのを防止しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、第1の充填材のフレーム長手方向両端部に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を当接させるようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造を対象とする。
【0010】
そして、上記第1の充填材のフレーム長手方向両端側における上記閉断面部材で囲まれた空間に、該第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接するように発泡充填され、第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を備えているものとする。
【0011】
上記の構成により、第1の充填材のフレーム長手方向両端部に割れが生じても、発泡率が高くて割れが生じ難い第2の充填材によりその割れ部からのクラックの進行等を防止することができ、第1の充填材の性能低下を防止することができる。このように第2の充填材を充填するようにすれば、閉断面部材で囲まれた空間に仕切板等を設けなくても済み、第1の充填材の両端部をフリー状態で発泡させて発泡率ばらつきの低減化を図ることができると共に、充填位置の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、第1の充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものとする。
【0013】
このことにより、閉断面部材において衝撃荷重の影響により折れ曲がる部分(座屈する部分)等に対応して充填材を設けることで、その部分に加わる力を充填材を介してその周囲に分散させることができ、その部分の折れ曲がりを防止したり、折れ曲がるようにしながら衝撃エネルギーを効果的に吸収したりすることができる。そして、上記充填材について、平均圧縮強度を4MPa以上とし、かつ最大曲げ強度を10MPa以上としたのは、充填材の平均圧縮強度又は最大曲げ強度が大きくなるにつれて、フレームのエネルギー吸収量も増加するが、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強度が10MPa以上になるとエネルギー吸収量の増加度合いが飽和するからである。つまり、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、フレームが局部的に大きく変形して断面の潰れが生じることを最大限に抑制することができ、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、フレームが局部的に大きく変形した場合でも、充填材の割れを抑制してフレームが脆性的に折損することを最大限に防止することができる。この結果、この特性を満たす充填材を用いれば、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、衝突安全性をかなり向上させることができる。したがって、エネルギー吸収量を増大させるために閉断面部材等の板厚を増大させる必要がなく、しかも、充填材が発泡材であるので、車体を軽量化することができ、燃費性能をも向上させることができる。そして、このような高強度の充填材では、割れが特に生じ易くて衝撃荷重がかかったときに該割れ部からクラックが内部にまで入り込む可能性がある。しかし、この発明では、第2の充填材によりそのようなクラックの進行を防止して、第1の充填材による衝撃吸収性能が確実に得られる。尚、「平均圧縮強度」は、充填材を一辺30mmの立方体に加工したものに対して一方向から10mm/minの速度で圧縮荷重を加えたときにおいて変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均強度をいう。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、閉断面部材は、フレーム断面外側縁部を構成するパネル材と、フレーム断面内に設けられたレインフォースメントとで構成されているものとする。
【0015】
こうすることで、特に請求項2の発明では、レインフォースメントと充填材との相乗効果により衝撃エネルギーを効果的に吸収することができ、充填材をフレーム断面全体に発泡充填させなくても済み、充填材量を低減することができる。
【0016】
請求項4の発明は、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法を対象とするものである。
【0017】
そして、この発明では、上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1の充填材をセットすると共に、該第1の充填材のフレーム長手方向両端側に第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を未発泡状態でセットし、次いで、フレームを組み立てた後、上記第1及び第2の充填材を加熱することで上記閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填させて、第2の充填材を第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接させるようにする。
【0018】
この発明により、未発泡状態の第1及び第2の充填材の各セット位置を適切に設定することで、両充填材を互いに当接させた状態で発泡充填させることができ、簡単な方法で請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0019】
請求項5の発明では、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法を対象とする。
【0020】
そして、上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1の充填材をセットし、次いで、フレームを組み立てた後、上記第1の充填材を加熱することで閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填させ、その後、上記発泡充填させた第1の充填材のフレーム長手方向両端側に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を発泡充填させて第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接させるようにする。
【0021】
このことで、第1の充填材の発泡充填後に、第2の充填材を充填ガン等を用いて発泡充填させることができ、簡単な方法で請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。また、第1の充填材は、その発泡時に第2の充填材の影響を受けることはないので、完全にフリー状態で発泡させることができ、発泡率ばらつきをより一層低減させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフレーム構造が適用されたセンターピラー2(フレーム)を備えた自動車車体1の全体構成を示す。このセンターピラー2は、車体1の左右両側部の前後方向略中央部において略上下方向に延び、その上端部は、車室ルーフ部の左右両側部において前後方向に延びるルーフサイドレール3に接合され、下端部は、車室フロア部の左右両側部において前後方向に延びるサイドシル4に接合されている。そして、上記センターピラー2のベルトライン部ないしその近傍には、後述の如く第1及び第2の充填材11,36(図2及び図3参照)が設けられており、側突時に衝撃荷重Asが入力されても、ベルトライン部が折れて車室側に進入するのを抑制するようにしている。尚、図1中、5はフロントピラーであり、6はリヤピラーである。
【0023】
上記センターピラー2は、図2及び図3に示すように、車体外側に位置する鋼板等からなるアウタパネル12と、車体内側に位置する鋼板等からなるインナパネル13と、該アウタパネル12とインナパネル13との間でかつセンターピラー2断面(フレーム断面)内に設けられた鋼板等からなるレインフォースメント14とを備えている。このアウタパネル12、インナパネル13及びレインフォースメント14は、各々、その左右両側部(車体1前後両側部)にフランジ部12a,12a、13a,13a、14a,14aを有していて、該各フランジ部12a,13a,14a同士がスポット溶接により接合されることで互いに一体化されている。すなわち、上記アウタパネル12とインナパネル13とは、センターピラー2断面外側縁部を構成するパネル材であり、アウタパネル12とレインフォースメント14とは、センターピラー2断面の車体外側部を閉断面状に形成する閉断面部材であり、インナパネル13とレインフォースメント14とは、センターピラー2断面の車体内側部を閉断面状に形成する閉断面部材である。そして、アウタパネル12及びレインフォースメント14は共に断面略コ字状をなし、その両者間の空間も断面略コ字状をなしている。
【0024】
上記センターピラー2のベルトライン部ないしその近傍においてアウタパネル12とレインフォースメント14との間の空間(閉断面部材で囲まれた空間)には、例えばエポキシ樹脂からなる第1の充填材11が発泡充填されている。つまり、この第1の充填材11は、センターピラー2断面内全体ではなく、その断面において上記衝撃荷重Asが入力される側、又はその衝撃荷重Asに起因してセンターピラー2に作用する曲げモーメントにより圧縮応力が発生する側(センターピラー2の中立軸よりも車体外側)のみに充填されていて、断面略コ字状をなしている。上記第1の充填材11の平均圧縮強度は4MPa以上(好ましくは5MPa以上)に設定されていると共に、最大曲げ強度は10MPa以上(好ましくは60MPa以上)に設定されている。これは、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、センターピラー2に上記衝撃荷重Asが入力されてもセンターピラー2のベルトライン部が局部的に変形して断面の潰れが生じることを最大限に抑制することができ、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、たとえセンターピラー2が局部的に大きく変形した場合でも、第1の充填材11の割れを抑制してセンターピラー2が脆性的に折損することを最大限に防止することができるからであり、平均圧縮強度を5MPa以上としかつ最大曲げ強度を60MPa以上とすればその効果がより安定的に得られるからである。尚、上記平均圧縮強度は、第1の充填材11を一辺30mmの立方体に加工したものに対して一方向から10mm/minの速度で圧縮荷重を加えたときにおいて変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均強度をいう(図9参照)。
【0025】
そして、上記第1の充填材11のセンターピラー2長手方向(上下方向)両端側におけるアウタパネル12とレインフォースメント14との間には、第2の充填材36,36が該第1の充填材11の上下両端部に当接するように充填されている。この各第2の充填材36は、上記第1の充填材11よりも発泡率が高いものであって、例えば発泡ウレタン樹脂やゴム系の発泡材からなっている。
【0026】
次に、上記センターピラー2を組み立てる方法を説明する。先ず、図4(a)に示すように、レインフォースメント14のアウタパネル12側面の所定部分にシート状に加工した未発泡状態の第1の充填材10を貼り付けてセットすると共に、この第1の充填材10のフレーム長手方向両側に、シート状に加工した未発泡状態の第2の充填材35,35を貼り付けてセットする(図5参照)。このとき、これら第1及び第2の充填材10,35は、発泡充填後において第1の充填材11の上下両端部が該第1の充填材11の充填必要範囲よりも外側に位置しかつ両充填材11,36の端部同士が当接するような位置にセットする。
【0027】
その後、図4(b)に示すように、上記両充填材10,35を貼り付けたレインフォースメント14をアウタパネル12にセットし、両者のフランジ部12a,14a同士をスポット溶接により接合する。そして、図4(c)に示すように、上記レインフォースメント14に対してインナパネル13をセットして該インナパネル13のフランジ部13aをレインフォースメント14のフランジ部14aにスポット溶接により接合することで、センターピラー2の組立てが完了する。
【0028】
次いで、車体1全体の組立てを完成させた後、その車体1を電着液に浸漬させて電着塗装を行い、その後に180℃雰囲気中に35分間投入してその電着塗装の乾燥を行う(センターピラー2の最低温度は150℃程度になる)。そして、車体シーラを塗布し、140℃雰囲気中に20分間投入してその車体シーラを乾燥させ(センターピラー2の温度は100℃程度)、続いて、中塗塗装を行い、140℃雰囲気中に40分間投入してその中塗塗装の乾燥を行い(センターピラー2は140℃で20分間加熱されたことになる)、次いで、上塗塗装を行い、140℃雰囲気中に40分間投入してその上塗塗装の乾燥を行う(センターピラー2は140℃で20分間加熱されたことになる)。この電着塗装等の乾燥時に、上記第1及び第2の充填材10,35をその乾燥熱により加熱することで、アウタパネル12とレインフォースメント14との間に完全に発泡充填させる。このように未発泡状態の両充填材10,35を電着塗装等の乾燥熱により発泡硬化させるので、発泡工程を別途に設ける必要がなく、生産性を高めることができる。尚、電着塗装の乾燥工程で上記両充填材10,35の発泡が完了すると共にそれぞれ半分程度が硬化し、中塗塗装及び上塗塗装の乾燥工程でそれぞれ残りが硬化する(車体シーラの乾燥工程では、センターピラー2の温度が低過ぎて両充填材10,35は殆ど硬化しない)。
【0029】
上記車体1に対して側突がなされた場合、衝撃荷重Asによりセンターピラー2におけるアウタパネル12のベルトライン部には、折れ曲がって(座屈して)断面内側に進入しようとする大きな力が局所的に作用することがある。しかし、この実施形態では、そのような力がアウタパネル12に作用したとしても、その力を第1の充填材11を介して周囲に分散させることができ、しかも、その第1の充填材11の平均圧縮強度が4MPa以上に設定され、最大曲げ強度が10MPa以上に設定されているので、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、センターピラー2の折れ曲がりを最大限に抑制することができる。一方、第1の充填材11は、センターピラー2断面内全体ではなく、アウタパネル12とレインフォースメント14との間にしか設けられていないが、座屈開始の曲げモーメントは、センターピラー2断面内全体に設ける場合と殆ど変わらないので、少ない充填量で効果的に衝撃エネルギーを吸収することができる。しかも、第1の充填材11は発泡材であるので、車体を軽量化することができる。よって、燃費性能を向上させながら、衝突安全性を向上させることができる。
【0030】
そして、上記第1の充填材11の上下方向両端側には第2の充填材36,36が充填されているので、第1の充填材11の上下方向両端部に割れが生じても、高発泡して割れが生じ難い第2の充填材36によりその割れ部からのクラックの進行等を防止することができ、第1の充填材11の衝撃エネルギー吸収性能等の低下を防止することができる。この結果、アウタパネル12とレインフォースメント14との間に仕切板等を設けなくても済み、第1の充填材10の上下両端部をフリー状態で発泡させて発泡率ばらつきの低減化を図ることができると共に、充填位置の変更等にも柔軟に対応することができる。
【0031】
ここで、上記実施形態においては、上記レインフォースメント14の強度(引張強さ、耐力)及び剛性の少なくとも一方は、アウタパネル12と同等以上に設定することが望ましい。つまり、レインフォースメント14の強度及び剛性の両方がアウタパネル12よりも小さいと、アウタパネル12のベルトライン部が折れ曲がって断面内側に進入しようとするときに、レインフォースメント14が局所的に座屈変形してアウタパネル12が第1の充填材11と共に断面内側に進入してしまうが、このようにレインフォースメント14の強度及び剛性の少なくとも一方がアウタパネル12と同等以上であれば、アウタパネル12の断面内側への進入(折れ曲がり)をより一層確実に抑制することができる。
【0032】
また、上記第1及び第2の充填材11,36充填部分におけるアウタパネル12とレインフォースメント14との間の隙間量は2mm以上(好ましくは3mm以上)に設定することが望ましい。これは、第1の充填材11を充填しない(第2の充填材36も充填しない)場合には上記隙間量は小さいほどセンターピラー2が負担し得る最大曲げモーメント値は大きくなるが、第1の充填材11を充填する場合に上記隙間量が2mmよりも小さいと、第1の充填材11の充填効果が低くて第1の充填材11を充填しない場合と殆ど変わらなくなるからである。一方、上記隙間量は、20mmよりも大きいと、軽量化効果が小さくなると共に、コスト面で不利になるので、20mm以下に設定することが望ましい。
【0033】
さらに、上記アウタパネル12と第1の充填材11との間の少なくとも一部には、3MPa以上のせん断接着強さを有する接着剤層(車体シーラ等)を設けることが望ましい。これは、アウタパネル12に局所的に加わる力を第1の充填材11を介してその周囲に確実に分散させることができると共に、接着剤層によりセンターピラー2が負担し得る最大曲げモーメント値を効果的に高めることができ、また、上述の如くレインフォースメント14の強度及び剛性の少なくとも一方をアウタパネル12と同等以上にした場合には、アウタパネル12が断面内側に進入することも断面外側に張り出すこともできず、アウタパネル12の折れ曲がりを有効に防止することができるからである。そして、接着剤層を設ける代わりに、第1の充填材11自体が、アウタパネル12に対して3MPa以上のせん断接着強さを有するようにしてもよく、こうすれば、接着剤層を別途に設けなくても済み、容易に上記効果が得られる。尚、アウタパネル12と第1の充填材11との間だけでなく、インナパネル13と第1の充填材11との間の少なくとも一部にも接着剤層を設けるようにしてもよい。
【0034】
加えて、上記第1の充填材11は、センターピラー2長手方向において、センターピラー2の荷重支持点間(ルーフサイドレール3に接合された上端部とサイドシル4に接合された下端部との間)の長さに対して15%以上の長さの範囲に充填されていることが望ましい。すなわち、第1の充填材11の充填範囲が大きくなるにつれてエネルギー吸収量は増大するが、荷重支持点間の長さに対して15%で略飽和する。したがって、15%以上の長さの範囲に充填すれば、略最大値に近いエネルギー吸収量が得られる。
【0035】
尚、上記実施形態では、第1の充填材11は、平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)でかつ最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa以上)に設定されたものとしたが、平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)又は最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa以上)に設定されたものとしてもよい。このようにしても衝突安全性を十分に向上させることができる。そして、アウタパネル12とレインフォースメント14との間に充填された第1の充填材11を、アウタパネル12側(衝突荷重入力側)とレインフォースメント14側(反衝突荷重入力側)との2層で構成し、そのアウタパネル12側には平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)のものを配置し、レインフォースメント14側には最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa以上)のものを配置するようにしてもよい。こうすれば、アウタパネル12側に直接的に作用する圧縮荷重と、レインフォースメント14側に作用する曲げ荷重とを各層の第1の充填材11によりそれぞれ有効に負担することができ、その各第1の充填材11に対して最も効果的な特性を付与して、効率的な補強を行うことができる。
【0036】
また、第1の充填材11は、このように高強度を有するものでなくてもよく、車室内に伝達される振動や騒音を抑えるための発泡ウレタン樹脂等の低強度のものであっても本発明を適用することができ、特に発泡時に割れが生じ易いものが適している。そして、充填材11を、アウタパネル12とレインフォースメント14との間だけでなく、インナパネル13とレインフォースメント14との間にも充填するようにしてもよく、レインフォースメント14がない場合には、アウタパネル12とインナパネル13との間に充填材11を充填するようにしてもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態では、未発泡状態の第1及び第2の充填材10,35を略同時に発泡させたが、第1の充填材11を発泡充填させた後に、図6に示すように、この発泡充填させた第1の充填材11の上下方向両端側に充填用ガン37,37を用いて第2の充填材36,36(例えば二液性の常温硬化タイプのもの)を発泡充填させるようにしてもよい。このようにすれば、第1の充填材11は、その発泡時に第2の充填材36の影響を受けることはないので、完全にフリー状態で発泡させることができ、発泡率ばらつきをより一層低減させることができる。
【0038】
また、図7に示すように、レインフォースメント14の第1の充填材11充填部分に開口部14d(例えば、未発泡状態の第1の充填材11をセットしたか否かを確認するためのものやセット時の位置合わせ用に設けたもの等)が形成されている場合にはその開口部14dから第1の充填材10が発泡時に漏れ出すが、この漏れ出した部分にも割れが生じるため、インナパネル13とレインフォースメント14との間における上記開口部14dに対応する部分にも第2の充填材36を発泡充填させるようにすることが望ましい。この場合、図8に示すように、未発泡状態の第2の充填材35はインナパネル13の上記開口部14dに対向する部分にセットすればよい。
【0039】
さらに、上記実施形態では、本発明のフレーム構造をセンターピラー2に適用したが、センターピラー2以外のピラー部材(上記フロントピラー5やリヤピラー6)にも適用することができる。また、その他にも、車体1の左右両側において前後方向に延びるフレーム部材(フロントサイドフレーム、リヤサイドフレーム、上記ルーフサイドレール3、サイドシル4等)、この左右のフレーム部材を連結する連結部材(クロスメンバ等)、ドア本体部の補強部材(インパクトバー等)、バンパの補強部材(バンパレインフォースメント等)等にも適用することができる。このようなフレームに適用する場合、その各フレームにおいてフレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の第1及び第2の充填材10,35をセットする(上述の如く第1の充填材11の発泡充填後に第2の充填材36を発泡充填する場合には、第1の充填材10のみをセットする)ようにすればよい。
【0040】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0041】
先ず、充填材そのものについて(つまりフレーム断面内に充填された状態ではなく、充填材自体について)、その基礎的な物理的および機械的特性を調べた。すなわち、表1に示す6種類の材料について、各々その密度を調べると共に、平均圧縮強度及び最大曲げ強度を試験によって求めた。尚、上記密度は、いずれの材料についても、室温(約20℃)における値を調べた。
【0042】
表1の各材料中、発泡ウレタン樹脂は硬度が8kg/cm2のものを、Al発泡体はアルミニウム発泡材を、木材は松を、Al塊は棒状のアルミニウム材を、レインフォースメントは、一般的にフレーム断面内に設けられる厚さ1mmの鋼板(SPCC;以下、この実施例では、鋼板は全てSPCC)製の補強材をそれぞれ使用した。
【0043】
尚、上記レインフォースメントの密度は、後述する図10に示すようなフレーム断面内に配設されたレインフォースメント重量と、該レインフォースメント配設部分に対応するフレームの容積から、フレーム内換算密度として算出したものである。また、発泡ウレタンの平均圧縮強度、並びにレインフォースメントの平均圧縮強度及び最大曲げ強度については、いずれも値が低すぎて計測することができなかった。
【0044】
【表1】
Figure 0004356147
【0045】
各充填材の平均圧縮強度を調べるための単体圧縮試験は、以下のようにして行った。すなわち、各材料の供試材を一辺30mmの立方体に加工してそれぞれ試験片を作製し、これに対して一方向から10mm/minの速度で圧縮荷重を加え、図9において模式的に示すように、変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均荷重を求めてこれを充填材の平均圧縮強度とした。
【0046】
また、各充填材の最大曲げ強度を調べるための単体曲げ試験は、以下のようにして行った。すなわち、各材料の供試材を、幅50mm×長さ150mm×厚さ10mmの平板状に加工してそれぞれ試験片を作製し、各充填材の試験片について、支点間距離を80mmとし、その中央をR8の圧子で10mm/minの速度で押圧することにより、所謂オートグラフにて三点曲げ試験を行った。そして、その荷重一変位線図から各充填材の最大曲げ強度を算出した。
【0047】
上記表1の各充填材の密度のデータ及びコスト、軽量化効果等から、車体フレームのフレーム断面内に充填する充填材の密度としては、1.0g/cm3以下が適当であり、好ましくは、0.6g/cm3以下であれば、さらに軽量化効果が期待できる。
【0048】
次に、上記各充填材をフレームの所定部分の内部空間に充填して、フレームの主としてエネルギー吸収特性を評価する試験を行った。
【0049】
先ず、フレームを構成するパネル材としては、板厚1mmの鋼板を用いた。この鋼板の引張強さは292N/mm2であり、降伏点は147N/mm2であり、伸びは50.4%であった。
【0050】
上記鋼板を用いて、図10に示すように、片側が開口した断面コ字状のパネル材Poと平板状のパネル材Piとを片ハット状に組み合わせ、その重合部分Lf(フランジ部)について60mmピッチでスポット溶接を行って最終的に組み立てた。
【0051】
尚、図10において仮想線で示すように、フレーム断面内にレインフォースメントRfを配設したものの場合、このレインフォースメントRfの材料はフレームFRのパネル材Pi,Poの材料と同じものを用いた。この場合、レインフォースメントRfの両フランジ部(不図示)は、両パネル材Pi,Poのフランジ部(重合部分Lf)に挟み込んだ上で、三枚重ねにしてスポット溶接で組み立てた。
【0052】
上記のフレームFRの所定部分の内部空間に表1の各充填材をそれぞれ充填して各種の機械的試験を行い、平均圧縮強度又は最大曲げ強度とエネルギー吸収性との関係を調べた。
【0053】
先ず、フレームの静的三点曲げ試験を実施した。図11は、フレームRfの静的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。また、図12は、この静的三点曲げ試験装置の要部を拡大して示す説明図である。
【0054】
図10において実線で示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内に充填材SをEf=50〜300mmの長さにわたって充填し、万能試験機により、圧子Maを介してフレームFRの中央に静的荷重Wsを加え、図13に示すように、変位量0〜45mmの範囲での荷重一変位を測定し、静的エネルギー吸収量を求めた。
【0055】
上記試験結果を図14〜図17のグラフに示す。先ず、図14は、充填材質量とエネルギー吸収量との関係を表したものである。この図14において、黒丸印(●)は木材を、黒四角印(■)はエポキシ樹脂Aを、それぞれ充填した場合を示し、また、白三角印(△)は鋼板レインフォースメント(板厚1.0mm)をフレーム断面内に設けた場合を示している。尚、白丸印(○)は、板厚1.6mmの鋼板の場合を参考までに示したものである。
【0056】
このグラフ(図14)から良く判るように、木材及びエポキシ樹脂Aのいずれにおいても、充填材Sの充填質量が増えるに連れて吸収エネルギーが高くなり、試験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分が潰れた状態で最大値を示した。また、木材やエポキシ樹脂等の充填材Sを用いた場合、レインフォースメントを設けただけの場合に比べて、同等のエネルギー吸収量を得るのに、はるかに少ない充填質量で済む。
【0057】
このように、フレーム断面内に充填材Sを充填することにより、レインフォースメントRfを設けただけの場合に比べて、フレームFRのエネルギー吸収性が大幅に向上することが確認できた。
【0058】
また、図15は充填材Sの平均圧縮強度とエネルギー吸収量との関係を示したもので、グラフの横軸は対数目盛である。この測定においては、各充填材Sの充填長さEfを50mmとした。充填長さがこの程度以下の場合には、充填材Sは殆ど曲げ作用を受けることはなく、そのエネルギー吸収性は圧縮強度との相関性が非常に強くなる。尚、図15において、a1点、a2点、a3点、a4点及びa5点は、それぞれウレタン樹脂、Al発泡体、木材、エポキシ樹脂A及びAl塊についてのデータであることを示している。
【0059】
この図15のグラフから良く判るように、充填材Sの平均圧縮強度が大きくなるにつれてエネルギー吸収量も増加するが、平均圧縮強度が4MPa以上になるとフレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは飽和する。換言すれば、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、ほぼ最大値に近いエネルギー吸収量を得ることができる。
【0060】
特に、平均圧縮強度が5MPa以上になれば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合はより安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量をより安定して得ることができる。
【0061】
さらに、図16は充填材Sの最大曲げ強度とエネルギー吸収量との関係を示したもので、また、図17は、図16のグラフにおける最大曲げ強度80MPa以下の部分を拡大して示すものである。この測定においては、各充填材Sの充填長さEfを100mmとした。充填長さが100mm程度にまで増加すると、充填材の曲げ強度もフレームFRのエネルギー吸収性の向上に大きく寄与するようになる。尚、図16及び図17において、b1点、b2点、b3点及びb4点は、それぞれAl発泡体、エポキシ樹脂A、木材及びAl塊のデータであることを示している。
【0062】
これらのグラフから良く判るように、充填材Sの最大曲げ強度が大きくなるにつれてエネルギー吸収量も増加するが、最大曲げ強度が10MPa以上になると(特に図17参照)フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは飽和する。換言すれば、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、ほぼ最大値に近いエネルギー吸収量を得ることができる。
【0063】
特に、最大曲げ強度が60MPa以上になれば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いはより安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量をより安定して得ることができる。
【0064】
以上の静的エネルギー吸収性の試験において、フレーム断面内に充填材が充填されていない場合には、図18に示すように、フレームFRは荷重Wsの入力点で局部的に大きく変形する。これに対して、フレーム断面内に充填材が充填されている場合には、図19に示すように、入力荷重Wsは、入力点だけでなく、長さEfの範囲で充填された充填材Sを介してフレームFRの充填部分周辺に分散されることになる。すなわち、充填材Sを内部に充填することにより、フレームは、局部的に大きな変形が生じることなく、広範囲にわたって変形することになる。これにより、吸収エネルギーも飛躍的に増加するものと考えられる。
【0065】
尚、このときの充填材Sの単体のエネルギー吸収量を計算によって求めると、全吸収エネルギーの7%以下であった。このことからも、充填材SをフレームFR内に充填することによるエネルギー吸収性の向上は、充填材S自体のエネルギー吸収性よりも、充填材Sによる荷重分散効果が非常に大きく寄与してることが理解できる。
【0066】
また、図14のグラフにおいて、特に、エネルギー吸収量の上限を示す木材を充填したフレームについて、試験後のフレームの状態を目視観察すると、試験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分がほぼ完全に潰れた状態となっていた。つまり、本フレームFRでの最大のエネルギー吸収がこの支点Msによる支持部分の潰れによるものであると考えられる。したがって、この場合、充填材Sの役割は入力荷重Wsを支点部分に分散させることにあると言える。
【0067】
さらに、充填長さEf=50mmで各充填材をそれぞれ充填した各フレームについて、試験後のフレーム断面の潰れ状態を目視観察すると、エネルギー吸収性が比較的低いもの(レインフォースメントRfのみ、ウレタン樹脂及びAl発泡体)ではフレーム断面が荷重入力点でほぼ完全に潰れており、一方、エネルギー吸収性が比較的高いもの(エポキシ樹脂、木材及びAl塊)ではフレーム断面は荷重入力点で余り潰れていなかった。
【0068】
この荷重入力点でのフレーム断面の潰れは、充填材Sの圧縮強度が大きく寄与しており、上述のように、充填材Sの平均圧縮強度が増すにつれてエネルギー吸収量が増加し、約4MPaで飽和し、約5MPaでより安定して飽和している(図15参照)。
【0069】
このことから、断面の潰れはフレームのエネルギー吸収性能に大きく影響しており、断面が潰れると応力集中が生じて局部的な変形を加速し、フレームFRの折れを招来して、十分なエネルギー吸収量を確保することができなくなるものと考えられる。
【0070】
フレームFR内に充填された充填材Sへの圧縮荷重は、特に荷重入力側に直接的に作用するので、充填材Sの平均圧縮強度は、特に荷重入力側において上記断面の潰れを防ぐに足る値(4MPa以上)に維持されることが好ましい。
【0071】
また、上述のように、充填材Sの充填長さEfが一定以上長くなると、充填材Sの平均圧縮強度がほぼ同等であってもエネルギー吸収性に差が生じる。充填材Sの充填長さEfを100mmとした場合においてエネルギー吸収量が比較的低かったエポキシ樹脂Aを充填したフレームの断面を目視観察すると、充填材(エポキシ樹脂)に割れが生じていた。この割れに対しては最大曲げ強度が大きく影響しており、この最大曲げ強度が高くなるにつれてエネルギー吸収量が増加し、約10MPaで飽和し、約60MPaでより安定して飽和していた(図16及び図17参照)。
【0072】
フレームFR内に充填された充填材Sへの曲げ荷重は、特に反荷重入力側に直接的に作用するので、上記充填材Sの最大曲げ強度は、特に反荷重入力側において上記充填材の割れを防ぐに足る値(10MPa以上)に維持されることが好ましい。
【0073】
尚、以上のことから、フレームFR内に充填材Sを充填する場合、充填材Sを異なる充填材で成る多層構造とし、荷重入力側には平均圧縮強度が所定値(少なくとも4MPa)以上の充填材層を設け、反荷重入力側には最大曲げ強度が所定値(少なくとも10MPa)以上の充填材層を設けるようにすれば、非常に効率良くフレームFRのエネルギー吸収性を高めることができる。
【0074】
上述の静的三点曲げ試験に続いて、フレームの動的三点曲げ試験を実施した。図20は、フレームFRの動的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。上記静的三点曲げ試験の場合と同様に、図10において実線で示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内に充填材SをEf=50〜300mmの長さにわたって充填し、落錘Mbによりフレーム中央部分に衝撃荷重Wdを与えた場合のフレームFRの変形量を測定すると共に、衝撃荷重をロードセルMcで測定し、図21に示すように、変位量0〜45mmの範囲でのエネルギー吸収量を求めた。
【0075】
図22は、上記動的三点曲げ試験における充填材長さとエネルギー吸収量との関係を示したものである。この図22において、黒丸印(●)は木材を、黒四角印(■)はエポキシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合を示している。
【0076】
このグラフ(図22)から良く判るように、静的三点曲げ試験の場合と同様に、木材及びエポキシ樹脂Aのいずれにおいても、充填材Sの充填量が増えるにつれて吸収エネルギーが高くなり、また、エネルギー吸収量の上限が認められ、その値は約0.85kJであった。
【0077】
このように、動的荷重Wdについても、フレーム断面内に充填材Sを充填することにより、フレームFRのエネルギー吸収性が向上することが確認できた。
【0078】
また、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wdの場合とを比較すると、動的荷重Wdに対する方がエネルギー吸収量は大きく、静的荷重Wsに対する場合の約1.7倍であった。
【0079】
さらに、以上で得られた静的荷重Ws及び動的荷重Wdそれぞれにおけるエネルギー吸収性のデータから、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wdの場合との比(静動比)を算出すると、非常に高い相関性が認められた。したがって、静的荷重Wsにおけるエネルギー吸収性について行った考察(充填材Sによる荷重分散効果等)は、基本的には、動的荷重Wdにおけるエネルギー吸収性を取り扱う場合にも、適用することができるものと考えられる。
【0080】
図23は、上記動的三点曲げ試験において、フレーム断面内にレインフォースメントRfのみが設けられた場合に対するエネルギー吸収性の向上率と、充填材Sの充填長さ範囲(荷重支点間距離に対する充填長さ割合)との関係を示すグラフである。この図23において、白丸印(○)は木材を、白三角印(△)はエポキシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合を示している。
【0081】
このグラフ(図23)から良く判るように、木材及びエポキシ樹脂のいずれにおいても、充填材Sの充填長さ範囲が大きくなるにつれて吸収エネルギーが高くなるが、約15%でほぼ飽和する。換言すれば、充填材Sの充填長さ範囲が荷重支点間距離に対して15%以上あれば、ほぼ最大のエネルギー吸収量を得ることができる。したがって、充填材Sの充填範囲としては、荷重支点間距離に対して15%以上であることが好ましい。
【0082】
図24は、フレームの静的片持ち曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。図25に示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内に充填材Sを充填した上で、このフレームFRの一端を支持板Meに固定し、この支持板Meを装置基板Mfに固定する。そして、万能試験機により、フレームFRのパネル材Piの他端近傍に圧子Mdを介して静的荷重Wmをパネル材Po方向に加え、曲げ角度(荷重作用点の変位とこの荷重作用点の基端からの距離とで算出)と荷重との関係を測定し、最大曲げモーメント及び静的エネルギー吸収量を求めた。
【0083】
図26は、種々の充填材を充填したフレームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。このグラフにおいて、曲線aは充填材なし(鋼板フレームのみ)のフレームの特性を、曲線bはエポキシ樹脂Aを充填したフレームの特性を、曲線cはエポキシ樹脂Bを充填したフレームの特性を、曲線dは、エポキシ樹脂Bを充填しかつフレームFRのパネル材PoとPiとの間に接着剤(剪断強度7.3MPaの車体シーラ)を適用したフレームの特性を、曲線eは木材(松)を充填したフレームの特性をそれぞれ示している。
【0084】
この図26のグラフから判るように、いずれの曲線についても、曲げ角度がある程度に達するまでは、曲げモーメント値は曲げ角度の増加に伴って立ち上がるように大きく上昇する。そして、曲線a〜c及び曲線eについては、それぞれある曲げ角度でピーク(極大点)を迎え、その後は曲げ角度が増すにつれて曲げモーメントは低下する。曲線a(充填材なしで鋼板フレームのみ)の場合、この低下度合いが特に大きい。
【0085】
これに対して、曲線d(エポキシ樹脂B+接着剤)の場合には、曲げモーメントが大きく上昇した後でも、曲げ角度の増加に対して曲げモーメントの落ち込みは見られず、高い曲げモーメント値を維持している。また、最大曲げモーメント値も5つの曲線のうちで最も大きい。同じ充填材(エポキシ樹脂B)を用いた曲線cと比較して、曲げ角度の増加に対する傾向及び最大曲げモーメントの大きさの両方について、明確な差がある。
【0086】
すなわち、同じ充填材を用いても、この充填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定することにより、フレームの曲げモーメント特性が大きく向上することが判る。
【0087】
また、図27は、図26と同様の種々の充填材を充填したフレームの最大曲げモーメント[Nm]及びエネルギー吸収量[J]を示す棒グラフである。このグラフにおいて、A〜Eの各欄は、図26の曲線a〜eとそれぞれ同じフレームを示している。また、各欄において、左側の数値(白抜きの棒グラフ)がフレームの最大曲げモーメント[Nm]を示し、右側の数値(斜線ハッチングの棒グラフ)はフレームのエネルギー吸収量[J]を示している。
【0088】
この図27のグラフから良く判るように、フレームのエネルギー吸収量は、エポキシ樹脂B+接着剤(D欄)を適用したものが最も大きく、同じ充填材(エポキシ樹脂B)を用いたC欄のエネルギー吸収量と比べて明確な差がある。
【0089】
すなわち、同じ充填材を用いても、この充填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定することにより、フレームのエネルギー吸収特性が大きく向上することが判る。
【0090】
図28は、接着剤層のせん断接着強さと最大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。この図28のグラフから良く判るように、接着剤層のせん断接着強さが大きくなるにつれて最大曲げモーメントも増加するが、せん断接着強さが3MPa以上になると、最大曲げモーメントの増加度合い(グラフにおける曲線の勾配)は、それまでに比べて緩やかになる。つまり、接着剤層のせん断接着強さが3MPa以上であれば、フレームが負担できる最大曲げモーメントを非常に効果的に増加させ、十分な曲げモーメント値を達成して高いエネルギー吸収能力を得ることが可能である。したがって、接着剤層のせん断接着強さとしては、3MPa以上であればよい。また、せん断接着強さがさらに大きくなり、7MPa以上になると最大曲げモーメントの増加度合いは飽和する。換言すれば、せん断接着強さが7MPa以上であれば、ほぼ最大値に近い曲げモーメント値を得ることができる。よって、接着剤層のせん断接着強さが7MPa以上であることがさらに好ましい。
【0091】
尚、上記せん断接着強さの測定は、JIS K 6850の「接着剤の引張せん断接着強さ試験方法」に基づいて行ったものであり、図29に示すように、被着材51,51として幅25mm、厚さ1.6mmの鋼板を用い、接着部分(長さ12.5mm)に未発泡状態の充填材52を挟み込んで0.5mm厚さに固定し、クランプした状態で電着塗装等の乾燥熱を模擬した加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃×20分)を行い、その後、発泡してはみ出した部分を取り除いた状態で試験を行うことでせん断接着強さを測定した(接着剤層が有る場合も無い場合も同じ)。
【0092】
次に、図30に示す断面形状を備えた長さ240mmのフレーム60の断面内の一部に充填材を充填した場合と、全体に充填した場合とで、フレーム60の曲げ角度と曲げモーメントとの関係がどのようになるかを図24と同様の静的片持ち曲げ試験により調べた。尚、静的荷重は、アウタパネル62側からインナパネル63方向に加えた。
【0093】
具体的には、(イ)アウタパネル62とレインフォースメント64との間のみに充填材を充填したものと、(ロ)インナパネル63とレインフォースメント64との間のみに充填材を充填したものと、(ハ)アウタパネル62とレインフォースメント64との間、及びインナパネル63とレインフォースメント64との間の両方に充填材を充填したものと、(ニ)充填材を全く充填していないものとを作製してそれらに対して試験を行った。このとき、アウタパネル62は厚さ0.7mmの鋼板を、インナパネル63は厚さ1.4mmの鋼板を、レインフォースメント64は厚さ1.2mmの鋼板をそれぞれ使用した。また、充填材は、平均圧縮強度が9MPaで最大曲げ強度が10MPaのエポキシ樹脂(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等を含む)を使用し、充填材自体が10MPaのせん断接着強さを有するようにした。そして、シート状の未発泡状態の充填材を170℃で30分保持することでアウタパネル62とレインフォースメント64との間、及び/又はインナパネル63とレインフォースメント64との間に完全に充填させた。尚、充填材の充填量は、アウタパネル62とレインフォースメント64との間が117gであり、インナパネル63とレインフォースメント64との間が423gであった。
【0094】
上記曲げ試験の結果を図31〜図33に示す。このことより、最大曲げモーメントは、充填材をフレーム断面内全体に充填したものが最もよいが、座屈開始の曲げモーメントで比較すると、充填材をアウタパネル62とレインフォースメント64との間のみに充填したものは、フレーム60断面内全体に充填したものと殆ど変わらない。したがって、充填材をアウタパネル62とレインフォースメント64との間のみに充填することは、特にセンターピラーのように折れ曲がりを抑制する必要があるフレームに特に有効であって、充填材の重量当たりの曲げモーメントが非常に高くなり、充填量の観点から最も効率が良いことが判る。
【0095】
続いて、上記フレーム60のアウタパネル62とレインフォースメント64との間のみに充填材を充填する場合に、レインフォースメント64の曲げ高さを変えることによりアウタパネル62とレインフォースメント64との間の隙間量(ここでは図30で7mmの部分のみ)を変えて、上記と同様の曲げ試験を行うことで、その隙間量により最大曲げモーメントがどのように変化するかを調べた。そして、比較のために、充填材を全く充填しない場合についても調べた。尚、アウタパネル62とレインフォースメント64との間における左右両側部の隙間量(図30で5mmの部分)は5mmのままとした。
【0096】
上記試験の結果を図34に示す。このことより、充填材を充填しない場合には隙間量が小さいほど最大曲げモーメントは高くなるが、充填材を充填する場合には、隙間量が2mmよりも小さくなると、充填材を充填しない場合と殆ど変わらず、2mm以上とすれば充填効果が十分に得られることが判る。
【0097】
次いで、図35(a)に示すように、アウタパネル72とレインフォースメント74との間のみに充填材71を充填したセンターピラーを作製した(実施例1)。このとき、アウタパネル72は厚さ0.7mmの鋼板を、インナパネル73は厚さ1.4mmの鋼板を、レインフォースメント74は厚さ1.2mmの鋼板(材料がアウタパネル72と同じであるので、強度はアウタパネル72と同じであり、板厚がアウタパネル72よりも大きいので、剛性がアウタパネル72よりも大きい)をそれぞれ使用した。また、充填材71は、平均圧縮強度が13.0MPaで最大曲げ強度が13.5MPaのエポキシ樹脂(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等を含む)を使用し、充填材71自体が10.5MPaのせん断接着強さを有するようにした。そして、センターピラーを組み立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃×20分)を行って未発泡状態の充填材を発泡硬化させた。尚、充填材71の充填量は150gであった。
【0098】
一方、比較のために、図35(b)に示すように、上記充填材71を全く充填しない点以外は上記実施例1と同じもの(比較例1)を作製すると共に、この比較例1に対して充填材71を充填しないで補強すべく、図35(c)に示すように、レインフォースメント74の厚みを1.8mmにしかつ該レインフォースメント74に厚さ1.2mmの鋼板からなる補強材75を接合したもの(比較例2)を作製した。
【0099】
そして、上記実施例1及び比較例1,2の各センターピラーに対して上記と同様の静的片持ち曲げ試験を行って、センターピラーの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を調べた。尚、静的荷重は、アウタパネル72側からインナパネル73方向に加えた。
【0100】
上記センターピラー曲げ試験の結果を図36に示す。このことより、実施例1のセンターピラーは比較例1,2よりもかなり高い曲げモーメントが得られ、しかも、比較例2の補強方法よりも格段に軽量化できることが判る。
【0101】
次に、上記センターピラー曲げ試験に用いたエポキシ樹脂(平均圧縮強度13.0MPa、最大曲げ強度13.5MPa、せん断接着強さ10.5MPa)からなる第1の充填材と、ゴム系の発泡材(発泡後破断強度0.014MPa、破断伸び200%、密度0.06g/cm2 )からなり、上記第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材とを、上記実施形態のように発泡させた。つまり、レインフォースメントに、未発泡状態の第1及び第2の充填材を貼り付け(第2の充填材は接着シートを有する二層構造のものを使用してその接着シートを介して貼り付け)、センターピラーを組み立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した加熱を行って発泡硬化させた。これにより、第1の充填材の端部割れを第2の充填材で完全に覆うことができ、センターピラーを振動させても第1の充填材の端部割れにより小片が欠け落ちることはなかった。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車体のフレーム構造及びその形成方法によると、第1の充填材のフレーム長手方向両端側における閉断面部材で囲まれた空間に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を、第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接するように発泡充填させたことにより、第1の充填材のフレーム長手方向両端部に割れが生じても、第2の充填材によりその割れ部からのクラックの進行等を防止することができ、第1の充填材の性能を確実に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るフレーム構造が適用されたセンターピラーを備えた自動車車体の全体構成を示す斜視図である。
【図2】センターピラーのベルトライン部の縦断面図である。
【図3】センターピラーのベルトライン部の横断面図である。
【図4】センターピラーの組立手順を示す説明図である。
【図5】第1及び第2の充填材が発泡する前の状態を示す図2相当図である。
【図6】第1充填材が発泡した後に第2の充填材を充填用ガンにより充填している状態を示す図2相当図である。
【図7】レインフォースメントの第1の充填材充填部分に開口部が形成されている場合に、その開口部より漏れ出した部分の割れを防止するために第2の充填材を設けた例を示す図2相当図である。
【図8】第1及び第2の充填材が発泡する前の状態を示す図7相当図である。
【図9】充填材の平均圧縮強度を説明するためにフレームの静的圧縮荷重−変位曲線を模式的に示すグラフである。
【図10】三点曲げ試験に用いたフレームの構造を示す断面図である。
【図11】フレームの静的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。
【図12】図11の静的三点曲げ試験装置の要部を拡大して示す説明図である。
【図13】静的エネルギー吸収量を説明するためにフレームの静的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフである。
【図14】充填材質量とフレームの静的エネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図15】充填材の平均圧縮強度とフレームの静的エネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図16】充填材の最大曲げ強度とフレームの静的エネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図17】図16の要部を拡大して示すグラフである。
【図18】充填材が充填されていない場合のフレームの変形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図19】充填材が充填されている場合のフレームの変形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図20】フレームの動的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。
【図21】動的エネルギー吸収量を説明するためにフレームの動的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフである。
【図22】充填材の充填長さとフレームの動的エネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図23】動的三点曲げ試験における充填長さ範囲とエネルギー吸収性の向上率との関係を示すグラフである。
【図24】フレームの静的片持ち曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す説明図である。
【図25】静的片持ち曲げ試験に用いたフレームの構造を示す断面図である。
【図26】各種充填材が充填されたフレームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図27】各種充填材が充填されたフレームについての最大曲げモーメント及びエネルギー吸収量を示すグラフである。
【図28】接着剤層のせん断接着強さと最大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図29】せん断接着強さの測定方法を概略的に示す説明図である。
【図30】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体に充填した場合との比較を行うために静的片持ち曲げ試験に用いたフレームを示す断面図である。
【図31】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体に充填した場合と全く充填しない場合とにおいて、フレームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図32】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体に充填した場合と全く充填しない場合とについて、座屈開始の曲げモーメントを比較して示すグラフである。
【図33】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体に充填した場合とについて、充填材の重量当たりの曲げモーメントを比較して示すグラフである。
【図34】アウタパネルとレインフォースメントとの間のみに充填材を充填する場合に、その隙間量と最大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図35】静的片持ち曲げ試験に用いたセンターピラーの構造を示す断面図である。
【図36】図35の各センターピラーの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 車体
2 センターピラー(フレーム)
3 ルーフサイドレール(フレーム)
4 サイドシル(フレーム)
5 フロントピラー(フレーム)
6 リヤピラー(フレーム)
10 未発泡状態の第1の充填材
11 第1の充填材
12 アウタパネル(閉断面部材)(パネル材)
13 インナパネル(閉断面部材)
14 レインフォースメント(閉断面部材)
35 未発泡状態の第2の充填材
36 第2の充填材

Claims (5)

  1. フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造であって、
    上記第1の充填材のフレーム長手方向両端側における上記閉断面部材で囲まれた空間に、該第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接するように発泡充填され、第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を備えていることを特徴とする車体のフレーム構造。
  2. 請求項1記載の車体のフレーム構造において、
    第1の充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものであることを特徴とする車体のフレーム構造。
  3. 請求項1又は2記載の車体のフレーム構造において、
    閉断面部材は、フレーム断面外側縁部を構成するパネル材と、フレーム断面内に設けられたレインフォースメントとで構成されていることを特徴とする車体のフレーム構造。
  4. フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法であって、
    上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1の充填材をセットすると共に、該第1の充填材のフレーム長手方向両端側に第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を未発泡状態でセットし、
    次いで、フレームを組み立てた後、上記第1及び第2の充填材を加熱することで上記閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填させて、第2の充填材を第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接させることを特徴とする車体のフレーム構造の形成方法。
  5. フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填された第1の充填材とを備えた車体のフレーム構造の形成方法であって、
    上記複数の閉断面部材の1つに、未発泡状態の上記第1の充填材をセットし、
    次いで、フレームを組み立てた後、上記第1の充填材を加熱することで閉断面部材で囲まれた空間に発泡充填させ、
    その後、上記発泡充填させた第1の充填材のフレーム長手方向両端側に、該第1の充填材よりも発泡率が高い第2の充填材を発泡充填させて第1の充填材のフレーム長手方向両端部に当接させることを特徴とする車体のフレーム構造の形成方法。
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